説明

電子式着順及びタイム判定装置

【課題】移動体の着順判定とタイム判定が即時に、しかも容易に報知できるようにした電子式着順及びタイム判定装置を提供すること。
【解決手段】走路W上の走者2を撮像するカラーラインセンサカメラ3を備え、走者2の着順とタイムを判定する方式の電子式着順及びタイム判定装置において、走者2がゴールライン1の上を通過したとき、当該走者2に保持されているICタグ30からデータを取得する受信データ受信機31を設け、この受信データ受信機31により取得したデータにより、ゴールライン1を通過した走者2を識別し、この移動体の識別結果に基づいて、各走者2がゴールラインを通過しているときの画像を含む走路Wの一部の画像がハードコピー画としてビデオプリンタ18から得られるようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競艇、競馬、競輪、陸上競技など複数の競技者が同時に着順とタイムを競う競技に用いられる判定装置に係り、特に、ラインセンサカメラと競技者識別手段を併用して電子式に着順とタイムを判定するようにした電子式着順及びタイム判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の競技者が同時に着順や速さを競う競艇、競馬、競輪、陸上などの競技の場合、その着順とタイムの正確な判定には、通常、かなりの困難が伴う。そして、このことは、複数の競技者の技量が伯仲している場合、特に著しく、ときには判定不能になってしまう可能性すらなしとしない。
そこで、古くから写真による判定が用いられ、特に競馬にはほとんど欠かせない技法として知られているが、更に近年では、テレビジョンカメラによる電子式の判定装置を用い、画像データ上で着順とタイムを判定する方法が用いられている。
【0003】
ところで、この電子式の着順及びタイム判定装置には、従来からラインセンサカメラを用いた装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照。)。
このラインセンサカメラを使用した着順及びタイム判定装置においては、ゴールライン等の判定基準線上を通過する移動体を、撮像視野を判定基準線に正確に一致させたラインセンサカメラを使用して撮像し、ラインセンサカメラの出力である一次元の映像信号を、走査変換機能を有する画像記憶部に入力し、着順判定に必要な時間情報等と共に記録し、ラインセンサカメラの一次元の映像信号を二次元の映像信号に走査変換して着順判定に必要な時間情報等と共に画像記録部より読み出し、ビデオモニタに出力し、判定に必要な画像を表示するものである。
【0004】
このときの着順の判定とタイムの計測には、各移動体を識別する必要があるが、このとき上記従来技術では、各移動体に付されているゼッケンなどの番号を画像上で見ることにより、人為的に移動体を識別している。
一方、この移動体の識別について、他の従来技術では、ICタグ等の非接触識別素子を使用し、最初からデータとして識別が得られるようにした方法について提案している(例えば、特許文献3〜特許文献8等参照。)。
【0005】
この場合、走者などの移動体に、予め各移動体固有の情報データが登録されたICタグ等の非接触識別素子を保持させておく。
そして、このICタグ等を保持した移動体がゴールラインを通過したとき、走路のゴールライン上に設置してある受信装置から得られる情報データにより当該移動体の識別が個々に得られるようにしたものであり、従って、この場合には人間の視覚に頼ることなく、移動体の識別が得られることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭55−24831号公報
【特許文献2】特開平3−139374号公報
【特許文献3】特開2003−284061号公報
【特許文献4】特開2006−141867号公報
【特許文献5】特開2002−281492号公報
【特許文献6】特開2004−159151号公報
【特許文献7】特開2005−293020号公報
【特許文献8】特開2004−312511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術は、移動体の着順判定とタイム判定に即応して確度良く対応する点に配慮がされているとはいえず、ゴールライン通過後、判定結果の報知に迅速な対応が困難であるという問題があった。
従来のラインセンサ方式の画像による判定では、移動体がゴールラインを通過したときモニタ画像から移動体を識別しているので正確な判定が難しく、メモリに記録した判定用の画像から着順とタイムを判定する必要があり、この結果、即応性に富んだ判定が難しく、従って、ゴールライン通過後、判定結果の報知に迅速な対応が困難であるという問題が生じてしまうのである。
【0008】
このとき、タイム計測後なら画像のプリントが得られるが、タイム計測に時間がかかり、即座にプリントを得ることはできない。
また、ICタグ等を使用した従来技術による判定では、移動体の識別は瞬時にできるが、ゴール通過時の画像を得る点に配慮されていないので、プリントが得られず、従って、後から検証、確認することもできない。
本発明の目的は、移動体の着順判定とタイム判定が即時に、しかも容易に報知できるようにした電子式着順及びタイム判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、移動体を撮像するラインセンサカメラと、前記移動体のスタート時点で計時を開始するタイマ手段とを備え、前記ラインセンサカメラで撮像した前記移動体のモニタ画像面に、前記タイマ手段により計時されている時間目盛の画像を表示させる方式の電子式着順及びタイム判定装置において、
前記移動体が競技路のゴールライン上を通過したとき、当該移動体に保持されているICタグからデータを取得する受信手段と、画像データプリント手段とを設け、
前記受信手段により取得したデータにより、前記ゴールラインを通過した移動体を識別し、この移動体の識別結果に基づいて、各移動体が前記ゴールラインを通過しているときの画像を含む前記競技路の一部の画像がハードコピー画として前記画像データプリント手段から得られるようにして達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮影対象である移動体の画像と当該移動体固有の情報が、ゴールライン等の判定場所通過時に同時に、しかも自動的に記録され、ハードコピー画として得られるので、競技者などの当事者に即座に判定結果が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る電子式着順及びタイム判定装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による表示画像の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態による移動体固有の情報のデータ構成を示す概念図である。
【図4】本発明の実施形態により記録した表示画像の概念図である。
【図5】本発明の実施形態によるビデオモニタ表示画像の一例を示す概念図である。
【図6】本発明の実施形態によるビデオモニタ表示画像の他の一例を示す概念図である。
【図7】本発明の実施形態によりプリントアウト画像の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による電子式着順及びタイム判定装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明に係るカラー電子式着順及びタイム判定装置を陸上競技のランナーに適用し、走路(競技路:トラック)Wに設けられているゴールライン1を走者(ランナー)2が横切って通過するときの着順とタイムを、カラーラインセンサカメラ3を用い、ゴールライン1を判定基準線として判定するようにしたものであり、このときカラーラインセンサカメラ3には、撮像レンズ4を備えた3板式のカラーラインセンサカメラが用いられ、これをゴールライン1の横に設置し、これによりゴールライン1の上を通過する走者2を進行方向の右上方から撮像し、一次元カラー画像信号をカラーラインセンサカメラ3から画像記録制御部5に入力するようになっている。
【0013】
ここで、この画像記録制御部5は、カラーラインセンサカメラ3から出力されたRGBの映像信号をディジタル信号化するA/D変換回路6と、このA/D変換回路6からのディジタルRGB映像信号をメモリに記憶させる書き込み回路7、ディジタルRGB映像信号やディジタル情報信号を記憶する画像メモリ部8、この画像メモリ部8に記憶したディジタルRGB映像信号やディジタル情報信号を合成し、カラービデオモニタに表示させる画像を記憶する表示メモリ部9、この表示メモリ部9に記憶した表示データを走査変換して読み出す読み出し回路10を備えている。
【0014】
また、この画像記録制御部5は、例えばスタートからの経過時刻を画像に重畳表示するためのディジタル情報データを出力するタイム発生器11と、画像メモリ部8及び表示メモリ部9の書き込み及び読み出しを制御するアドレス制御部12、競技名等の文字や記号判定線等の図形を画像に重畳するためのディジタル情報データを出力する文字発生器13、全体の制御を行うCPU(中央処理装置)14、それに外部信号とのインタフェイスを行うインタフェイス部15を備えている。
【0015】
さらに、この画像記録制御装置5には、カラービデオモニタ16と画像ファイリング装置17、それにビデオプリンタ18が接続され、更に基準タイマスタート信号入力手段19とメモリ取込み信号入力手段20、それに操作器21が接続されている。
そこでカラーラインセンサカメラ3が作動すると、ゴールライン1の上を通過する走者2などの移動体が被写体として撮像され、それによる一次元RGB映像信号がカラーラインセンサカメラ3から画像記録部5に供給されるようになる。
【0016】
そして、この一次元RGB映像信号は、A/D変換回路6によりディジタルRGB映像信号に変換され、書き込み回路7を経由して画像メモリ部8に書き込まれ記憶されることになる。また、このとき画像メモリ部8には、タイム発生器11から入力されるディジタル情報データと文字発生器13から入力されるディジタル情報データも同時に記憶される。
従って、このとき画像メモリ部8に記憶される画像データと情報データは、図2に示すようになり、この結果、ディジタルRGB映像データが画像22として表示でき、その下にタイム発生器11から入力されるディジタル情報データがタイムスケール(時刻目盛)Tとして表示できることになる。
【0017】
このため画像メモリ部8に記憶されたディジタルRGB映像信号とディジタル情報信号は、この後、着順及びタイム判定に必要な部分が読み出され、このときカラービデオモニタ16に表示させるため二次元の画像データに合成され、表示メモリ部9に合成画像データとして記憶される。そこで読み出し回路10は、この合成画像データを表示メモリ部9から読み出し、テレビジョン信号に走査変換してカラービデオモニタ16に出力する。これによりカラービデオモニタ16は、読み出し回路9から入力された二次元の映像信号と情報信号とから着順及びタイムの判定に必要な画像を表示する。
【0018】
また、この合成画像データを、必要に応じて画像ファイリング装置17に供給することにより、当該合成画像データを記録し保存させることができ、同じくビデオプリンタ18に供給することにより、当該合成画像データのプリントアウトを得ることができる。
このための書き込み回路7と画像メモリ部8、表示メモリ9、読み出し回路10、文字発生器13等の制御は、CPU14により、必要に応じてアドレス制御部12を介して実行され、書き込み読み出しなどが制御される。
【0019】
このとき操作器21は、映像信号や情報信号の記録及び読み出しの選択による各種制御のための信号等を発生する働きをし、これにより与えられる各種制御のための信号はインタフェイス部15を経由してCPU14に入力され、装置全体の制御と管理に使用される。このときタイム発生器11には、基準タイマスタート信号入力手段19から基準タイマスタート信号Sが入力され、CPU14には、インタフェイス部15を経由して、メモリ取込み信号入力手段20からメモリ取込み信号Rが入力される。
【0020】
そして基準タイマスタート信号Sが入力されると、タイム発生器11はタイム計測の基準となる0秒からのカウントを開始し、メモリ取込み信号Rが入力されると、走者2がゴールライン1の上を通過するときの映像が画像メモリ部8に記録され、この後、表示メモリ部9に合成画像データが記憶できるようになる。
このときの基準タイマスタート信号Sには、例えば陸上競技の場合、スタートの合図に使用されるスタータピストルから直接得られる電気信号や、スタータピストルの発射音を捉える音響センサによる信号を用いれば良く、他の競技でも、スタートには必ず何等かの合図がなされるので、それに使用されている機器から得られる信号を用いれば良い。
【0021】
一方、メモリ取込み信号Rには、一般には競技を運営している係員などが手動でスイッチを操作して人為的に発生させる信号が用いられるが、ゴールラインの手前でトラック上の物体を検知するセンサ、例えば光センサによる信号を用いるようにしても良い。
従って、このラインセンサカメラ3による判定装置を上記した競艇、競馬、競輪、陸上競技などに適用した場合には、夫々ボート、馬、自転車、ランナー(走者)などの移動体がゴールラインなどの判定基準線上を通過したとき、当該移動体の一次元画像が時間軸に沿って順次時系列的に並んで前記画像記憶部に記録されることになる。
【0022】
そこで、このときの画像メモリ部8に記憶される画像データ及び他の情報データを画像としてビデオモニタに表示させると、図2に示すように、横方向を時間軸とし、そこに判定基準線を通過した順に移動体が並んでいる横長の画像22となり、その下側には、移動体のスタート時点からの経過時間情報であるタイムスケールTが表示され、この結果、この画像22をカラービデオモニタ16に表示させてやれば、着順の判定とタイムの判定が行えることになる。
なお、ここでは、一例として陸上競技を対象とした場合を示したので、画面では移動体として走者を表すパターンが記載されている。
【0023】
次に、図1において、30はICタグ、31は情報データ受信機、そして32は情報データ処理装置である。
そして、まず、ICタグ30は、それ自身の識別に使用することができるICチップのことで、所定の周波数帯(ギガヘルツ帯)の微弱な電波による呼び掛けに応答して動作し、データを受信して記憶したり、記憶したデータを呼び掛けに応じて送信するなどの機能が備えられているものである。
そして、このICタグ30に、予め競技に参加する走者2の夫々に対応した識別データを記憶させた上で、上記したように、識別データが対応している走者2にそれぞれ保持させるようにしてある。
【0024】
次に、情報データ受信機31は、ゴールライン1の近傍(望ましくは同じ位置)に設置されたアンテナを備え、競技中、上記した所定の周波数の電波を送信し、ゴールライン1上を走者2が通過したとき、当該走者2に保持されているICタグ30が能動化され、そこに記憶してある識別データが送信されるようにした上で、送信された識別データを受信する働きをする。
そして、受信した識別データは、インタフェイス部15を経由してCPU14に入力される。
【0025】
次に、この実施形態の動作について説明する。
この実施形態が対象としている陸上競技においては、ゴールライン1上を通過した走者の順位を判定し、タイムを判定することが目的であり、このため図示のように、ゴールライン1上を通過したときの競技者、つまり走者2の画像からなる情報と、走者2がゴールライン1を通過したとき、走者2が保持しているICタグ30から得られる競技者固有の識別情報とから、ゴールした競技者の着順及びタイムの計測が得られるようにしている。
【0026】
このため、外部信号として、基準タイマスタート信号入力手段19から基準タイマスタート信号Sが入力され、CPU14には、インタフェイス部15を経由して、メモリ取込み信号入力手段20からメモリ取込み信号Rが入力される。
このときタイマスタート信号Sは、タイム計測の基準となる時刻0秒からカウントを開始させるための信号であり、メモリ取込み信号Rは、それが入力されている間、カラーラインセンサカメラ3の画像が記録されるようにするための信号である。
【0027】
ここで、図2は、上記したように、判定画像として記録したメモリ内の画像データを、画像メモリ内画像22として示したもので、図示のように、各走者2は、横軸を時間軸としてゴールラインを通過した時間順に画像として記録されている。
そして、ここに図示されている[A]、[B]、[C]、[D]、[E]、[F]の各記号は、個々の被写体(走者2)を区別するための便宜上のもので、実際には表示させていないが、この実施形態の場合、識別データがあるので、表示させることも簡単にできる。
【0028】
また、この実施形態においては、判定画像の自動記録が可能で、取得した判定画像から確認したい対象画像の検索及び印刷なども可能であり、以下、この点も含めて説明する。
レース(競技)が開始されると、これと同時に基準タイマスタート信号Sが発生され、画像記録制御部5及び情報データ処理装置32に基準タイマスタート信号Sが入力され、画像記録制御部5及び情報データ処理装置32のタイマがスタートし、それぞれ計測の基準となる0秒からのカウントを開始する。
このとき走者2は、それぞれICタグ30を保持していて、これには、図3に示すように、各々の走者に固有のレーン番号とゼッケン番号、選手名などが予め情報データ23として登録(記憶)してある。
【0029】
従って、各走者2がゴールライン1の上を通過したとすると、当該走者2が保持しているICタグ30から情報データが情報データ受信機31に読み取られ、当該走者2の情報データ23が取得されるようになる。
そして、情報データ受信機31は、この取得した情報データ23を情報データ処理装置32に転送し、情報データ処理装置32から情報データ23が画像記録制御部5に送信される。
そこで、画像記録制御部5は、この信号入力のタイミングで画像の取込みを開始し、画像メモリ部8に、画像と共に、このときの競技者(走者)に固有のものである情報データ23の記録を開始する。
【0030】
しかし、このように、情報データの取得時、同時に画像の取込みを開始したとすると、画像の取込みに遅れが発生し、競技者の先頭部分の画像に欠落が生じてしまう虞がある。
そのため、ある一定の期間に亘り順次画像を記憶しておく一時メモリを画像メモリ部8に搭載しておき、情報データ取得時にはその一時メモリの部分から記録を開始させ、それ以前の画像も記録できるようにしてある。
このとき、ゴールライン1の手前に走者を検出するセンサを置くなどしてゴール時以前の画像が取り込めるようしてもよい。
【0031】
この画像の自動記録方式について、更に詳しく説明する。
レース開始と同時に、外部から基準タイマスタート信号Sが入力されると、タイム発生器11がスタートし、タイム計測の基準となる0秒からのカウントを開始する。そして、基準線であるゴールライン1上を、移動体である走者2が通過したとき、メモリ取り込み信号Rが入力されると、カラーラインセンサカメラ3の画像が記録される。
このときの記録方式としては、基準線(ゴールライン1)上の走者2を、レンズ4を介してカラーラインセンサカメラ3により撮像し、一次元RGB映像信号を得るようにしている。
【0032】
走者2がゴールライン1上を通過したら、ICタグ30の情報を、ゴールライン1上に設置された情報データ受信機31により読取り、情報データ処理装置32に転送する。
受信された情報データは、情報データ処理装置32から画像記録制御部5に送信され、CPU14の制御により、カラーラインセンサカメラ3のRGB映像信号が画像記録部5に出力され、RGB映像信号がA/D変換回路6によりディジタルRGB映像信号に変換され、書き込み回路7を経由して、画像メモリ部8へ書き込まれ記憶される。
【0033】
このとき、上記したように、一時メモリの画像から画像の書込みを開始し、これと共に情報データ処理装置32から入力される競技者固有情報データ23も同時に記録される。
この画像の記録は、ゴールライン1上を通過した走者から固有情報データ23が受信された時点から開始し、その走者が通過するまでの一定時間だけ記録する。
【0034】
例えば、図4に示す走者2Aがゴールライン1を通過したとき、当該走者固有情報データ23Aの情報を記録し、一定時間の間、画像を記録し、次の走者2Bがゴールライン1上を通過したら、その走者固有情報データ23Bの情報を記録し、一定時間、画像記録をすることになる。
更に、走者が連続してゴールライン1上を通過した場合、例えば図4の走者2Bと走者2Cに示すように、走者2Bが通過中、その時点で次の走者2Cの走者固有情報データ23Cを記録し、連続して画像を記録することになる。
【0035】
画像メモリ部8は、カラーラインセンサカメラ3からのディジタルRGB映像データを記憶すると同時に、内部で持っているデータ、例えばスタートからの経過時刻データを画像に重畳表示するためのタイム発生器11と競技名等の文字や記号、判定線を画像に重畳するための文字発生器13からのデータも記憶される。
そして、この画像メモリ部8に記憶したディジタルRGB映像信号やディジタル情報信号は、着順及びタイム判定に必要な部分をカラービデオモニタに表示させる画像として二次元の画像データとして合成し、表示メモリ部9に記憶される。
【0036】
読み出し回路10は、表示メモリ部9に記憶されている合成画像データを読み出し、所望のテレビジョン信号に走査変換してカラービデオモニタ16に出力し、この結果、カラービデオモニタ16は、読み出し回路9から入力された二次元の映像信号と情報信号とから着順及びタイムの判定に必要な画像、すなわち判定画像を表示する。
そこで、次に、指定した画像の検索と計測、装置例表示方式について説明する。
【0037】
まず、上述した記録方式により記録した画像は、概念的には図5の画像メモリ内画像22として示す画像となり、実際にモニタに表示される画像は、図5のモニタ表示画像24として示す画像(判定画像)となる。
そして、このモニタ表示画像24には、計測結果表示画像25がウインド表示され、その中には、ICタグ30から読み取った走者2の夫々の順位25aとゼッケン番号25b、ゴールタイム25cなどが含まれている。
これは、走者固有情報データ23Cが各走者毎に読み取れ、走者が識別できるので、走者毎の順位25aとゼッケン番号25bが判ることになり、走者固有情報データ23Cが取り込まれたときのタイミングから、一応、ゴールタイム25cが算定できるからである。
【0038】
しかしながら、このときのゴールタイム25cは、ICタグ30から読み取った情報をそのまま表示したのでは正確な時間にならない。
これは、計測結果表示画像25がICタグ30から読み取った情報に基づいたもので、ゴールタイムもICタグ30から読み取った情報に基づいたものであり、この場合、情報データ受信機31によるICタグ30の検出位置に幅があり、ゴールライン1の位置で必ず検出されるとは限らないからである。
そこで、一旦、走者固有情報データ23Cが取り込まれたときのタイミングによるゴールタイム25cを表示した後、更に記録した判定画像から計測を行ってから修正する。
【0039】
このため操作器21の操作により、計測するためのタイム計測線26がモニタ表示画像24内に表示できるようにしてあり、且つ、このタイム計測線26は画面の横方向、すなわち走者2の走行方向に沿って左右に移動できるようにしてある。
一方、このときカラーラインセンサカメラ3からの1ライン毎の画像には、それぞれタイムデータが記録されており、モニタ表示画像24には、このタイムデータから得られる正確な経過時間がタイムスケールTとして表示されている。
【0040】
そこで、これらモニタ表示画像24に表示されるタイム計測線26とタイムスケールTにより、各走者2の正確なゴールタイムが計測でき、それをゴールタイム25cとして表示させることができるようになっている。
このときの[A]から[F]までの走者2のタイム計測及び着順判定の手順について、図5と図6により、更に詳しく説明する。ここで、以下に示されている処理は、全て操作器21の人為的な操作、例えば係員による操作によりCPU14に与えられる動作指示によるものを表す。
【0041】
当初、「計測モード」が指示されるようになっている。そうすると、図5に示すように、計測のためのタイム計測線26と、計測結果表示25がモニタ表示画像に表示される。
次いで「番号入力」を指示し、計測すべき走者の順位又はゼッケン番号を選択すると、タイム計測線26は、ICタグ30から読み取った走者の位置に移動し、ここでタイム計測線26とタイムスケールTによるゴールタイムの計測が可能にされる。
例えば、いま、操作器21から順位「1」を入力し、走者2の中の[A]が選択されるようにしたとすると、この場合、タイム計測線26は、図5に示す位置に表示される。
【0042】
そこで、次に、「計測ライン移動」を指示し、タイム計測線26を動かして走者[A]に合わせるのであるが、このとき、陸上競技では走者の胴部の特に胸の部分がゴールラインに一致したときのタイムをゴールタイムとするようにルールで規定されている。
従って、このときは、走者[A]の胸の先頭に合うようにタイム計測線26の位置を微調整する。
そして、タイム計測線26が合ったら「決定」を指示すると、このときタイム計測線26が一致しているタイムスケールTの目盛(スタート時点からの経過時間を表わしている目盛)から、正確なゴールタイムが算定され、この正確なゴールタイムが、それまでゴールタイム表示欄25cに表示されていたゴールタイムに代わって表示される。
【0043】
続いて同様に操作器21から順位「2」を入力すると、タイム計測線26が走者[B]の位置に移動するので、同様に計測を行えば、走者[B]の正確なゴールタイムが算定されて表示され、以下、順次、次の順位の走者を選択してゆけば、全ての走者2について、正確なゴールタイムがゴールタイム表示欄25cに表示されることになる。
【0044】
このとき、モニタ表示画像24から外れていて、表示されていない走者、例えば走者[D]の場合、操作器21から順位「4」を入力すると、モニタ表示画像24が自動時に移動し、図6に示すように、走者[D]が画像の中央付近に表示される。これも、勿論、走者固有情報データ23Cが各走者毎に読み取れ、走者が識別できるからである。
そこで、同様にゴールタイムの算定を行い、正確なゴールタイム表示にすることができる。
このことは、他の走者についても同じであり、従って、全ての走者2について、正確なゴールタイムがゴールタイム表示欄25cに表示させることができる。
【0045】
このときの計測結果表示25については、操作器21を操作することにより、任意に表示と非表示に切換えることができ、表示位置についても、同じく操作器21を操作することにより、任意の位置に変更することができる。
また、ここで操作器21を操作することにより、画像メモリ内画像22をビデオプリンタ18によりプリントアウトすることができ、従って、着順結果が明確なハード画像プリントとして配布することができる。
更に、このとき、計測結果表示25もビデオプリンタ18によりプリントアウトすることができ、従って、明確な画像のモニタと共に、各走者の競技結果をハード画像プリントとして配布することができ、このときのプリントの作成方式が、この実施形態の特徴であり、以下、この点について、図7により詳細に説明する。
【0046】
この実施形態では、ゴールライン上の画像を取込む場合、既に図4により説明したように、まず、走者2Aがゴールライン1を通過したとき、当該走者固有情報データ23Aの情報を記録し、一定時間の間、画像を記録し、次の走者2Bがゴールライン1上を通過したら、その走者固有情報データ23Bの情報を記録し、一定時間、画像を記録する。このとき、例えば図4の走者2Bと走者2Cに示すように、走者が連続してゴールライン1上を通過した場合、走者2Bが通過した時点で次の走者2Cの走者固有情報データ23Cを記録し、連続して画像を記録するようになっている。
【0047】
そこで、上述したゴールライン上の画像を取込む場合、まず、図7の走者2Aがゴールライン1を通過したとき、走者固有情報データ23Aの情報を記録し、その位置(23A)から一定時間後の位置(27A)まで画像を記録し、位置(27A)までの一定時間記録後、CPU14からの制御により、位置(23A)から位置(27A)までのゴール部分の画像と走者固有情報データ23Aを読み出し、プリントメモリ9でプリント用の画像に合成してから読出し回路10を経由してビデオプリンタ18に供給し、プリントアウト画像28Aを得る。
【0048】
このときのプリントアウト画像28Aは、図示の通り、位置(23A)から位置(27A)までの走路Wのゴール部分の画像と、その画像がどの走者の画像であるのか識別できるように、その走者の順位、ゼッケン、選手名、タイム等の走者固有情報データ23Aを文字情報として画像上部に表示したハードコピー画として得られるようにしてある。
同様に、次の走者2Bがゴールライン1上を通過したら走者固有情報データ23Bの情報を記録し、その位置(23B)から位置(27B)までの一定時間の画像を記録する。
【0049】
このとき、例えば図7の走者2Bと走者2Cとして示すように、走者が連続してゴールライン1上を通過した場合、走者2Bが通過した時点(23C)で次の走者2Cの走者固有情報データ23Cを記録し、位置(27C)まで連続して画像を記録する。
そして、位置(27C)まで記録後、CPU14からの制御により、位置(23B)から位置(27B)までのゴール部分の画像と走者固有情報データ23Bを読み出し、プリントメモリ9でプリント用の画像に合成してから読出し回路10を経由してビデオプリンタ18に供給し、同じくハードコピー画からなるプリントアウト画像28Bを得る。
【0050】
続いて、位置(23C)から位置(27C)までのゴール部分の画像と走者固有情報データ23Cを読み出し、プリントメモリ9でプリント用の画像に合成してから読出し回路10を経由してビデオプリンタ18に供給し、同じくハードコピー画からなるプリントアウト画像28Cを得るのである。
ここで以上は、走者[A]から走者[C]までのプリントアウト処理について説明したが、他の走者[D]から走者[F]についても同じく順次、処理され、この結果、全ての走者がゴール後、即座に全ての走者のプリントアウト画像が得られることになる。
【0051】
従って、この実施形態によれば、走者がゴール後、直ちにゴール部分の画像が走者の固有情報と共にプリントアウトされるので、この結果、ゴール判定結果をハードコピー画として即座に関係者に提供できるというサービスが可能になる。
なお、ここまでの説明では、プリント用の画像に合成した後、そのままビデオプリンタ18に出力しているが、このとき上記したように、画像ファイリング装置17に供給することもできるので、プリント用の画像をデータとして個別に保存することも可能である。
【0052】
ところで、この実施形態では、計測結果表示画像25に表示される項目として、順位とゼッケン番号及びゴールタイムが選ばれているが、本発明の場合、これらの項目に限るものではなく、その他、予めICタグ30に情報として格納してあれば、例えば走者の名前や所属団体、競艇や競輪の選手名、競馬のジョッキー名と騎乗する馬の名前や厩舎名など、どのような情報でも任意に表示することができ、プリントアウトすることができる。
【0053】
また、以上に説明した実施形態では、計測方式と手順などについては、専用の操作器21の操作による場合について説明したが、これに限らずパソコンのマウス、キーボートを使用して行うようにしても良いことは言うまでもなく、このとき、表示方法についても、上記実施形態は一例であり、表示位置や表示形式については任意に変更することができる。
なお、ここで着順については、もちろん従来通り、ゴール時の判定画像のみで判断することも可能であり、必要に応じて画像ファイリング装置17に記録して保存したり、ビデオプリンタ18により画像をプリントアウトすることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 ゴールライン
2 走者(競技者、馬、自転車、モータボートなどの移動体)
3 カラーラインセンサ
4 撮像レンズ
5 画像記録制御部
6 A/D変換器
7 書き込み回路
8 画像メモリ部
9 表示メモリ部
10 読み出し回路
11 タイム発生器
12 アドレス制御部
13 文字発生器
14 CPU(中央処理装置)
15 インタフェイス回路
16 カラービデオモニタ
17 画像ファイリング装置
18 ビデオプリンタ
19 基準タイマスタート信号入力手段
20 メモリ取込み信号入力手段
21 操作器
22 画像メモリ内画像
23 情報データ(走者固有情報データ)
24 モニタ表示画像
25 計測結果表示画像
26 タイム計測線
30 ICタグ
31 情報データ受信機
32 情報データ処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を撮像するラインセンサカメラと、前記移動体のスタート時点で計時を開始するタイマ手段とを備え、前記ラインセンサカメラで撮像した前記移動体のモニタ画像面に、前記タイマ手段により計時されている時間目盛の画像を表示させる方式の電子式着順及びタイム判定装置において、
前記移動体が競技路のゴールライン上を通過したとき、当該移動体に保持されているICタグからデータを取得する受信手段と、画像データプリント手段とを設け、
前記受信手段により取得したデータにより、前記ゴールラインを通過した移動体を識別し、この移動体の識別結果に基づいて、各移動体が前記ゴールラインを通過しているときの画像を含む前記競技路の一部の画像がハードコピー画として前記画像データプリント手段から得られるように構成したことを特徴とするカラー電子式着順及びタイム判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子式着順及びタイム判定装置において、
前記受信手段により取得したデータにより、前記ゴールラインを通過した移動体を識別し、この移動体の識別結果に基づいて前記モニタ画像面による前記タイムの判定を修正するように構成したことを特徴とするカラー電子式着順及びタイム判定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate