説明

電子放出素子及びその製造方法

【目的】 コーン形のように特に高精度の製造技術を必要とせず、完成した各素子の破損によるショートの発生も起き難いようにでき、さらに、エッジ形の場合よりも優れた電気的特性並びに電子放出に関する均一性及び安定性を有する電子放出素子を提供する。
【構成】 例えば長方形状に形成された複数の張出し部11aを放射状又は求心状に並べることによって形成されたエミッタ1と、そのエミッタ1の近傍に設けられていてそのエミッタ1に電界を印加するゲート2とを有する電子放出素子及びその製造方法。エミッタ1の各張出し部11aの先端には、3次元的に突出してその先端が鋭く尖った2個の尖端突起10aが形成される。ゲート2とエミッタ1間に電界をかけたとき尖端突起10aから集中的に電子が飛び出る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像表示装置、光プリンタあるいは照明ランプ等に電子源として用いられる電子放出素子、特に電界放出現象を利用した電子放出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の状態において物体表面から外へ電子を取り出すためには、その物体表面の仕事関数に相当するエネルギーを与えてやる必要がある。これは、仕事関数分のエネルギー障壁が存在するためである。
【0003】物体表面にエネルギーを与えるために、よく知られている例では、物体表面をある程度以上の高温に加熱する。この熱により運動エネルギーが増大された電子は前記のエネルギー障壁を越えて物体表面から外へと飛び出す。これが、いわゆる熱電子放出と称されるものであり、そして放出された電子は熱電子と称されている。また、この電子を放出する陰極を熱陰極と称している。
【0004】ところが、前記のように高温に加熱しなくても、物体表面に対して電界をかけると前記のエネルギー障壁の幅が電界に応じて次第に狭くなり、特に電界強度が約107 V/cm以上の強電界であれば、電子はいわゆるトンネル効果によって前記のエネルギー障壁を突破して物体表面から外へ放出される。
【0005】これが、いわゆる電界放出又は強電界放出と称されているものであり、放出された電子は電界放出電子又は強電界放出電子と称されている。また、この電子と陰極のことを、前記の熱電子と熱陰極に対して、それぞれ冷電子と冷陰極と称することもある。
【0006】この電界放出現象は、前記のような熱電子放出とは原理が異なるものであり、工業的応用を検討した場合には、その原理の違いに起因した数々の優れた特長を有していることが知られている。
【0007】まず、電場はポアソンの方程式に支配されているため、突起があるとその先端に電界が集中する。すなわち、突起形状を用いれば比較的低電圧で電界放出を起こすことができ、これを電子源として利用することができる。
【0008】そして、電界放出現象を利用した電子源としての電子放出素子には、代表的な例の一つとして、書籍:Journal of Applied Physics,47(1976)pp.5248−5263に記載された文献に示された、図16に示すようなものがある。この素子は、円形の穴を持つゲート2と円錐状、すなわちコーン状に形成されたエミッタ1とを有している。このような電子放出素子を以下ではコーン形電子放出素子と呼ぶことにする。このコーン形電子放出素子は、鋭利に尖ったエミッタ1の先端から効率よく電子を放出することができ、優れた電気的特性を発揮できるという特長を有している。図中、符号3は絶縁層、そして符号4は基板を示している。
【0009】なお、例えば書籍:Japan Display ’86, pp.512−515に記載された文献によれば、上記のコーン形電子放出素子を多数個マトリクス状に配置し、これを蛍光体を塗布したアノード電極に対向させた構造の画像表示素子が、既に開発されている。
【0010】またこの他にも、例えば書籍:電気通信学会技術報告ED91−134 pp.17−22の記載によれば、図17に示す構成の電子放出素子も既に提案されている。この素子は、平板状で円形のエミッタ1の外縁すなわちエッジに電界を集中させる方式のものであり、そのエミッタ1の形状の故に製造技術が上記のコーン形電子放出素子に比べて簡単であるという優れた特長を有している。この電子放出素子を以下ではエッジ形電子放出素子と呼ぶことにする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のコーン形電子放出素子(図16)では、ゲート2の穴を直径1μm程度の小ささで多数個均一にしかも非常に高精度に形成することが必要であるものの、その製造にはきわめて高度な技術を要し、その上に手間もかかるという問題があった。また、完成した電子放出素子に関し、エミッタ1が破損してショートを起こし易いという問題があった。
【0012】また、上記のエッジ形電子放出素子(図17R>7)では、エミッタ1の形状の故にそのエミッタのエッジへの電界集中があまり大きくなく、そのためコーン形(図16)に比べて高電圧を印加する必要があり、電気的特性がコーン形程には優れていないという問題があった。
【0013】本発明は、上記の問題点を解消するために成されたものであって、電子放出素子に関して、コーン形電子放出素子(図16)のように特に高精度の製造技術を必要としないこと、完成した電子放出素子内の各要素の破損によるショートの発生を起き難くすること、さらにエッジ形電子放出素子(図17)よりも優れた電気的特性並びに電子放出に関する均一性及び安定性を達成することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1記載の電子放出素子は、基板上に形成されていて強電界の下で電子を放出するエミッタと、絶縁層を挟んでそのエミッタの近傍に設けられていてそのエミッタに電界を印加するゲートとを有する電子放出素子であって、上記ゲートは上記エミッタに対応する位置に円形穴又は多角形穴を有しており、そして上記エミッタは、ゲートに近い先端位置に2個の尖端突起を備えた張出し部をゲートに対してほぼ平行に複数個放射状に並べることによって形成されることを特徴としている。
【0015】また、請求項2記載の電子放出素子では、ゲートが円形状又は多角形状に形成され、そしてエミッタが、ゲートに近い先端位置に2個の先端突起を備えた張出し部をゲートに対してほぼ平行に複数個、ゲートを中心とする求心状に並べることによって形成される。
【0016】また、請求項3記載の電子放出素子では、ゲートが円形穴又は多角形穴を有しており、そしてエミッタが、ゲートの穴の縁端に近い先端位置に2個の尖端突起を備えた張出し部をゲートに対してほぼ平行に複数個、ゲートの穴を中心とする求心状に並べることによって形成される。
【0017】尖端突起というのは、形状の如何を問わず、尖端が鋭く尖った立体的な突出部分のことであり、これを備えた張出し部というのは、例えば、図1又は図4R>4に示すような2個の尖端突起10a又は10cを備えた長方形状の張出し部11a又は11cや、図2に示すような2個の尖端突起10bを備えた先端が円弧状に丸みを帯て突出するほぼ長方形状の張出し部11bや、あるいは図6又は図8に示すような2個の尖端突起10d又は10eを備えた先端が円弧状に丸みを帯びて窪んだ状態のほぼ長方形状の張出し部11d又は11e等のような形状が考えられる。
【0018】また、請求項16に記載した電子放出素子の製造方法、特に請求項1及び請求項2に記載の電子放出素子の製造に好適な製造方法は、基板上にエミッタの概略形状又はゲート形状を形成し、さらに基板上に絶縁層及びゲート用膜又はエミッタ用膜を形成し、その後、概略形状のエミッタを、2個の尖端突起を備えた複数個の張出し部を放射状又は求心状に並べた形状へと加工することを特徴としている。
【0019】また、請求項17に記載した電子放出素子の製造方法、特に請求項3に記載の電子放出素子の製造に好適な製造方法は、求心状に配列されるエミッタの張出し部の原形となる放射状張出し部を基板上に形成し、さらに基板及びその放射状張出し部の上に絶縁層及びゲート用膜を形成し、その後、ゲート用膜、絶縁層及びエミッタ用放射状張出し部の各層を貫通する円形状又は多角形状の穴を開けることにより、円形状又は多角形状の穴を有するゲート及び複数の求心状に配列されたエミッタ張出し部を形成することを特徴としている。
【0020】エミッタの張出し部を形成する際には、2段階のフォトエッチングを用いるのが望ましい。すなわち、張出し部の縦の境界及び横の境界の形成ためにそれぞれ独立のフォトリソグラフィとエッチングを用いることにより、角の鋭いエミッタ形状が得られる。またこの場合、ゲートがエミッタ張出し部と同様の形状に加工されてしまうと、エミッタに電界をかける効果が弱くなってしまう。そこで、エミッタを所望の張出し部形状に加工するときにゲートが加工されない工夫が重要となる。そのための方法として、例えば、ゲート上にエッチング保護層、例えばAl、レジスト等を付けておいたり、あるいはエミッタ加工の一部をゲート成膜前に行う等の方法が考えられる。
【0021】また、請求項4又は請求項5に記載の電子放出素子のようにエミッタ又はゲートをエッチングストッパ層の上に設けるようにした電子放出素子に関しては、請求項18及び請求項19に記載のように、まず基板上にエッチングストッパ層を形成し、そのエッチングストッパ層の上にエミッタ又はゲートを形成することにより電子放出素子を製造できる。
【0022】さらに、請求項1記載の電子放出素子を製造するに際して、請求項20に記載のように、エミッタ用膜の上に保護膜を形成し、エミッタ及びゲートを所定形状に形成した後にその保護膜を除去することができる。
【0023】
【作用】従来のエッジ形電子放出素子(図17)はいわば2次元的な突起であり、これはコーン形電子放出素子(図16)に比較して電界集中が弱い。これに対して本発明の電子放出素子では、エミッタの形状をエッジ形(図17)のような単純な円ではなく、図1、2、4、6、8に示すような、2個の尖端突起10a〜10eを備えた張出し部11a〜11eを放射状又は求心状に配列させて構成してある。ここで各尖端突起10a〜10eを1個ずつ見れば、それらは3つの平面を側面とする3面体すなわち3次元突起であり、その頂点への電界集中が起こり易く、その結果、コーン形(図16)と同様に良好な電気的特性を有する電子放出素子が得られる。
【0024】また、エッジ形(図17)に関しては、円形エッジのどの点から電子放出が起こるかは微妙な形状や表面状態の違いで決まるものであり、それが均一性や安定性に問題を残していた。これに対して本発明では、電子の放出点がエミッタの張出し部の尖端突起に確定しており、電子の放出に関する均一性及び安定性の改善に大きな効果がある。電子放出点は1個の張出し部あたり2個の尖端突起、すなわち2点であるから、4個の張出し部を持つエミッタならば8点、n個の張出し部ならば2n点となり、集積密度の向上にも役立つ。
【0025】以上のように本発明の電子放出素子では、エミッタの形状が平面であるので、エッジ形(図17)の特長である作製が容易であるという利点を得ることができる。そして同時に、2個の尖端突起を備えた複数の張出し部を放射状又は求心状に並べることによってエミッタが形成されるので、電界がそれらの尖端突起に集中し、そのため良好な電気的特性を持った電子放出素子を得ることができる。また、電子放出点が尖端突起に確定することにより、従来のエッジ形(図17)に比べて電子放出点に関する均一性及び安定性を改善できる。
【0026】
【実施例】
(電子放出素子の第1実施例)図1は、本発明に係る電子放出素子の第1実施例を示している。この実施例では、ゲート2に多角形穴、例えば正方形穴Tが形成され、その正方形穴Tの下にエミッタ1が形成されている。このエミッタ1は、ゲート2に対してほぼ平行に形成されていて、さらに4個の張出し部11aを90゜の角度間隔で放射状に、すなわち十字形状に配列することによって形成されている。各張出し部11aのゲート2に近い先端位置にはそれぞれ2個の先端突起10aが設けられている。これらの先端突起10aは、それを微視的に見れば、3つの平面を互いに接合した3面体、すなわち三角錐形状の3次元突起であり、その頂点は鋭く尖っている。ゲート2とエミッタ1との間に電界を印加すると、エミッタ1から、特に各尖端突起10aから電子が放出される。
【0027】(第1実施例の電子放出素子の製造方法)図1に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を図3に模式的に示す。この製造方法では、まず、導電性を有するSi(シリコン)によって形成された基板4を用意する。この基板4は、エミッタへ電流を流すためのエミッタ配線を兼ねている。この基板4上に、後にエミッタ1(図1)となるW(タングステン)膜1’をスパッタ処理によって厚さ0.2μmに成膜する(a)。その後、エミッタの概略形状、本実施例では正方形のレジストパターン5を周知のパターン形成方法によって形成し(b)、さらに、SF6 ガスを用いた反応性イオンエッチングによってエミッタ用膜(W)1’及び基板(Si)4をエッチングしてエミッタ概形1’’を形成する(c)。このとき、基板(Si)4の方がエミッタ用膜(W)1’よりもエッチングされ易いため、エミッタ概形1’’がひさし状に張り出した形状となる。
【0028】次に、工程(d)で示すように、レジストパターン5を残したままで、絶縁層3としてSiOX を0.5μmの厚さで蒸着する。そしてその上にゲート用膜2’としてNbを0.4μm、さらにエッチングストッパ層としてAlを0.05μm、その保護層としてMoを0.05μmの厚さで順次蒸着する。この状態からレジスト5を除去することにより、エミッタ概形1’’上に付いた絶縁層材料3及びゲート用膜2’をリフト・オフする(e)。図(i)は図(e)の上面図を示している。
【0029】さらに、放射状のエミッタ1(図1)を加工するための放射形状、すなわち十字形状のレジストパターン6を周知のパターン形成方法によって形成し(f,j)、SF6 を用いた反応性イオンエッチングによってエミッタ概形1’’及び基板4をエッチングして、所望形状の張出し部11a(図1)を備えたエミッタ1を形成する(g)。このとき、ゲート用膜2’に対するエッチングはその内部に含まれるAl層で停止するため、ゲート用膜2’の形状は変化しない。
【0030】その後、レジストパターン6を除去し、さらにゲート用膜2’に含まれるAl層をリン硝酸を用いたウエットエッチングによって除去し、そしてさらにフォトリソグラフィ及びSF6 を用いた反応性イオンエッチングによってゲート用膜2’を電極として作用するゲート2とゲート配線部とに加工する。ゲート2は図示の通りにエミッタ1の近傍に位置していてエミッタ1に電界を印加する部分であり、ゲート配線部とはそのゲート電極へ電圧を印加するための導電部として作用する部分である。便宜上、ゲート配線部の図示は省略してある。
【0031】最後に、緩衝フッ酸で絶縁層3を軽くエッチング、例えば30秒〜10分、好ましくは3分のエッチングを行うことにより、ゲート2を絶縁層3からひさし状に張り出させて図1に示すような目標とする電子放出素子が完成する(h)。
【0032】(電子放出素子の第2実施例)図2は、本発明に係る電子放出素子の第2実施例を示している。この実施例では、ゲート2に円形の穴Eが形成され、その円形穴Eの下にエミッタ1が形成されている。このエミッタ1は、ゲート2に対してほぼ平行に形成されていて、さらに6個の張出し部11bを60゜の角度間隔で放射状に配列することによって形成されている。各張出し部11bのゲート2に近い先端位置にもそれぞれ2個の先端突起10bが設けられている。これらの先端突起10bも、微視的には3つの平面を互いに接合して成る3面体、すなわち3次元突起であり、その頂点は鋭く尖っている。
【0033】この第2実施例の電子放出素子は、第1実施例の電子放出素子を製造するための製造方法、すなわち図3に示した製造方法と同じ方法によって作製できる。
【0034】(電子放出素子の第3実施例)図4は、本発明に係る電子放出素子の第3実施例を示している。この実施例では、ゲート2に多角形の穴、例えば正方形の穴Tが形成され、その多角形穴Tの下にエミッタ1が形成されている。このエミッタ1は、ゲート2に対してほぼ平行に形成されていて、さらに4個の張出し部11cを90゜の角度間隔で放射状に、すなわち十字形状に配列することによって形成されている。各張出し部11cのゲート2に近い先端位置にはそれぞれ2個の先端突起10cが設けられている。これらの先端突起10cも、3つの平面を互いに接合した3面体、すなわち三角錐形状の3次元突起であり、その頂点は鋭く尖っている。
【0035】この第3実施例が図1に示した第1実施例と異なる点は、エミッタ1の材料として基板4と異なる特別の材料を使うことなく、基板と同じ材料、例えばSiを使ってエミッタ1を形成したことである。
【0036】(第3実施例の電子放出素子の製造方法)図4に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を図5に模式的に示す。この製造方法は、基本的には図3に示した製造方法と同じであり、異なる点は、エミッタ用金属膜の成膜工程を省くことによって、エミッタ1(図4)を基板4の材料と同じSiを用いて形成するようにしたことである。
【0037】具体的に説明すれば、まず、導電性を有するSiによって形成された基板4を用意し、その上にエミッタの概略形状、本実施例では正方形のレジストパターン5を周知のパターン形成方法によって形成する(a)。そして、SF6 ガスを用いた反応性イオンエッチングによって基板4をエッチングしてエミッタ概形1’’を形成する(b)。
【0038】次に、工程(c)で示すように、レジストパターン5を残したままで、絶縁層3としてSiOX を0.5μmの厚さで蒸着する。そしてその上にゲート用膜2’としてNbを0.4μm、エッチングストッパ層としてAlを0.05μm、その保護層としてMoを0.05μmの厚さで順次蒸着する。この状態からレジスト5を除去することにより、エミッタ概形1’’上に付いた絶縁層材料3及びゲート用膜2’をリフトオフする(d)。図(h)は図(d)の上面図を示している。
【0039】さらに、放射形状のエミッタ1(図4)を加工するための放射形状、すなわち十字形状のレジストパターン6を形成し(e,i)、SF6 を用いた反応性イオンエッチングによってエミッタ概形1’’をエッチングして、所望形状の張出し部11c(図4)を備えたエミッタ1を形成し、さらにレジストパターン6を除去する(f)。
【0040】レジストパターン6の除去後、ゲート用膜2’に含まれるエッチングストッパ層(Al)をリン硝酸を用いたウエットエッチングによって除去し、フォトリソグラフィ及びSF6 を用いた反応性イオンエッチングによってゲート用膜2’を電極として作用するゲート2とゲート配線部とに加工する。そして最後に、緩衝フッ酸で絶縁層3を軽くエッチングしてゲート2を絶縁層3からひさし状に張り出させ、これにより図4に示したような目標とする電子放出素子が完成する(g)。
【0041】(電子放出素子の第4実施例)図6は、本発明に係る電子放出素子の第4実施例を示している。この実施例では、ゲート2が円形状に形成され、エミッタ1がそのゲート2のまわりに形成されている。このエミッタ1は、ゲート2に対してほぼ平行に形成されていて、さらに4個の張出し部11dを90゜の角度間隔でゲート2を中心とする求心状に配列することによって形成されている。各張出し部11dのゲート2に近い先端位置にはそれぞれ2個の先端突起10dが設けられている。これらの先端突起10dも、微視的に見て、3つの平面を互いに接合した3面体、すなわち3次元突起として構成され、その頂点は鋭く尖っている。ゲート2は、正方形その他の多角形状とすることもできる。
【0042】(第4実施例の電子放出素子の製造方法)図6に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を図7に模式的に示す。この製造方法では、まず、ゲート配線を兼ねる導電性のSi基板4を準備し、その基板4上に、後にゲート2(図6)となるゲート用膜(Nb)2’を真空蒸着で厚さ0.2μmに成膜する(a)。その後、円形状のゲート2を形成するための円形のレジストパターン5を周知のパターン形成方法によって形成し(b)、SF6 を用いた反応性イオンエッチングによってゲート用膜2’及び基板4をエッチングして円形のゲート2を形成する(c)。
【0043】次に、レジストパターン5を残したままで、絶縁層3としてSiOX を0.5μm蒸着し、さらにエミッタ用膜1’としてNbを0.1μm、Moを0.2μm順次蒸着する(d)。図(h)は図(d)の上面図を示している。さらに、求心形状のエミッタ1(図6)を加工するための十字形状のレジストパターン6を形成し(e,i)、そしてSF6 を用いた反応性イオンエッチングによってエミッタ用膜1’のMo及びNb並びに基板(Si)4をエッチングし、さらにレジストパターン6及びレジストパターン5を周知の除去方法によって除去する(f)。なお、エミッタ用膜1’及び基板4のエッチング時、ゲート(Nb)2はレジストパターン5に保護されてエッチングされない。
【0044】レジストパターン6及びレジストパターン5の除去後、フォトリソグラフィ及びSF6 を用いた反応性イオンエッチングによりエミッタ用膜1’を電極としてのエミッタ1とエミッタ配線部1aとに加工する。そして最後に、エミッタ1の先端がゲート2へ向けて絶縁層3から張り出すように緩衝フッ酸で絶縁層3を軽くエッチングして目標とする電子放出素子が完成する(g)。
【0045】(電子放出素子の第5実施例)図8は、本発明に係る電子放出素子の第5実施例を示している。この実施例では、ゲート2が円形状の穴Eを有する形状に形成され、エミッタ1がそのゲート2の下に形成されている。このエミッタ1は、ゲート2に対してほぼ平行に形成されていて、さらに4個の張出し部11eを90゜の角度間隔でゲート穴Eを中心とする求心状に配列することによって形成されている。各張出し部11eのゲート穴Eに近い先端位置にはそれぞれ2個の先端突起10eが設けられている。これらの先端突起10eも、3つの平面を互いに接合した3面体、すなわち3次元突起として構成され、その頂点は鋭く尖っている。ゲート2の穴は正方形その他の多角形状とすることもできる。
【0046】(第4実施例の電子放出素子の製造方法)図8に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を図9に模式的に示す。この製造方法では、まず、絶縁性の石英によって形成された基板4を準備し、その基板4上に、後にエミッタ1(図8)となるW膜、すなわちエミッタ用膜1’をスパッタによって厚さ0.2μmに成膜する(a)。その後、エミッタ1の求心形状の元になる形、この実施例では十字形状のレジストパターン6を形成し(b,h)、さらにSF6 を用いた反応性イオンエッチングによってエミッタ用膜1’をエッチングして求心状のエミッタ張出し部11eの原形となる十字形状の放射状張出し部1’’を形成する(c,i)。このとき、エミッタ配線部の加工も行う。次に、レジストパターン6を除去した後、絶縁層3としてSiOX を厚さ0.5μm、さらにゲート用膜2’としてNbを厚さ0.4μmで順次に蒸着する(d)。
【0047】次に、ゲート用膜2’、絶縁層3及び十字形状のエミッタ概形1’’の上に円形の穴を開けるための円形穴を備えたレジストパターン5を形成し(e,j)、さらにSF6 を用いた反応性イオンエッチングによってゲート用膜2’、絶縁層SiOX 、エミッタ概形1’’及び石英基板4の全てをエッチングし、さらにレジストパターン5を除去する(f)。レジストパターン5の除去後、フォトリソグラフィ及びSF6 を用いた反応性エッチングによってゲート用膜2’を電極としてのゲート2とゲート配線部とに加工し、そして最後に、緩衝フッ酸によって絶縁層3及び石英基板4を軽くエッチング、例えば1分〜20分、好ましくは5分間エッチングして目標とする電子放出素子が完成する(g)。
【0048】図1、図2、図4、図6、そして図8に示した電子放出素子に関し、蛍光体を塗布した透明電極付きガラス基板を対向させ、その状態でゲート2とエミッタ1との間に電界を印加したところ、エミッタ1からの電子放出及び蛍光体の発光を確認した。
【0049】(電子放出素子の第6実施例)図10は、本発明に係る電子放出素子の第6実施例を示している。この実施例を矢印A方向から見た場合の外観形状は図1に示す実施例と同じである。この実施例が図3(h)に示す第1実施例と異なる点は、エミッタ1がエッチングストッパ層7及びエミッタ基体8の上に設けられることである。エミッタ基体8の材質は特定のものに限定されないが、それをSi等の電気抵抗性の材料によって形成して安定化抵抗の役割を持たせることができる。
【0050】(第6実施例の電子放出素子の製造方法)図10に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を図12に模式的に示す。この製造方法では、まず、導電性のSiによって基板4を形成する。この基板4はエミッタ配線1aを兼ねている。この基板4上にエッチングストッパ層7としてAlを0.05μm成膜し、続いてエミッタ基体用膜8’としてSiを0.25μm成膜し、そしてエミッタ用膜1’としてWを0.2μm成膜する(a)。
【0051】次に、レジスト5をエミッタの概略形状にパターニングし、SF6 による反応性イオンエッチングでエミッタ概形1’’及びエミッタ基体概形8’’を加工する。Alによって形成されたエッチングストッパ層7はエッチングされないので、縦方向のエッチングはエミッタ基体概形(Si)8’’までで停止する。横方向に関しては、エミッタ用膜(W)1’のサイドエッチは小さく、一方、エミッタ基体用膜(Si)8’のサイドエッチは大きいので、エミッタ基体概形(Si)8’’がエミッタ概形(W)1’’よりも大きく削られ、よってエミッタ概形1’’がひさし状に飛び出した形になる。このひさしの長さはエッチング時間によって自由に制御でき、よって設計通りの形状を容易に得ることができる(b)。続いて、ウェットエッチングにより、エミッタ概形1’’に対応する部分以外の部分のエッチングストッパ層(Al)7を除去しておく(c)。但し、エッチングストッパ層は除去せず残したままでも良い。
【0052】次に、レジスト5を残したままで、絶縁層3としてSiOX を0.4μm、ゲート用膜2’としてNbを0.3μm、エッチングストッパ層としてAlを0.05μm、その保護層としてMoを0.05μm、それぞれ蒸着する(d)。その後、レジスト5を除去することにより、エミッタ概形1’’上に付着した不要部分を取り去る(e)。
【0053】続いて、十字形のレジスト6を形成し(f,k)、SF6 による反応性イオンエッチングでエミッタ概形1’’を十字形に加工して放射状のエミッタ1を形成する(g)。このとき、ゲート用膜2’は内包するエッチングストッパ層(Al)によって保護されるので、エッチングされない。その後、レジスト6を除去した後、電極として働くゲート2をパターニングし(h)、最後に緩衝フッ酸で絶縁層3(SiOX )を軽くエッチングして目標とする電子放出素子が完成する(i)。
【0054】なお、ゲート2上のエッチングストッパ層及び保護層の形成並びに十字パターニングを省略すれば、ディスクエッジ形のフィールドエミッタとなる。
【0055】(第6実施例(図10)の電子放出素子の別の製造方法)図12に示した製造方法の改良法として、保護層を用いる場合について説明する。図12における各材料膜の形成工程(a)において、エミッタ用膜(W)1’を蒸着した後に、その上に保護層としてMoを0.2μm蒸着しておく。すると、図12(e)の工程においてエミッタ概形1’’の上には図14(e)に示すように保護層(Mo)14が残る。この保護層14は、ゲート2のパターニング工程(図12(h))まで保持され、この間、エミッタ概形1’’を外部の各種薬品やゴミ等から保護する。そして、保護層14をリン硝酸で除去した後、緩衝フッ酸で絶縁層3を軽くエッチングして目標形状の電子放出素子を得る(図12(i))。このとき、図14(i)に示すように、保護層14はエミッタ1の近傍から取り除かれている。
【0056】(電子放出素子の第7実施例及びその製造方法)図12に示した製造方法の改良法として、機械的強度向上層を用いた場合について説明する。図12における各材料膜の形成工程(a)においてエミッタ用膜(W)1’を0.2μm蒸着する代わりに、図15(a)に示すように、機械的強度向上第1層15としてTiを0.1μm、エミッタ用膜1’としてWを0.1μm、そして機械的強度向上第2層16としてTiを0.2μm蒸着しておく。ここで、機械的強度向上第2層16は、保護層14の役割も兼ねている。こうすると、図12(e)の工程においてエミッタ概形1’’の上下両側には図15(e)に示すように機械的強度向上第1層15及び機械的強度向上第2層16が残る。
【0057】この積層構造はゲート2のパターニング工程(図12(h))まで保持され、この間、機械的強度向上第2層16はエミッタ概形1’’を外部の各種薬品やゴミ等から保護する。そして、絶縁層3を緩衝フッ酸で軽くエッチングするとき、機械的強度向上第1層5及び第2層16も緩衝フッ酸でエッチングされて図15(i)で示すようにサイドエッチされる。機械的強度向上層はエミッタ概形1’’及びエミッタ1の上下片側だけに設けるようにしても良い。
【0058】(電子放出素子の第8実施例)図11は、本発明に係る電子放出素子の第8実施例を示している。この実施例を矢印B方向から見た場合の外観形状は図6に示す実施例と同じである。この実施例が図7(g)に示す実施例と異なる点は、ゲート2がエッチングストッパ層7及びゲート基体9の上に設けられることである。
【0059】(第8実施例の電子放出素子の製造方法)図11に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を図13に模式的に示す。この製造方法では、絶縁性の石英を用いて基板4を形成し、その基板4上にゲート配線2aとしてWを0.2μm成膜し、さらにパターニングしておく。そして、その上にエッチングストッパ層7としてAlを0.05μm成膜し、続いてゲート基体用膜9’としてMoを0.3μm、さらにゲート用膜2’としてNbを0.3μm成膜する(a)。
【0060】次に、希望するゲート形状にレジスト5をパターニングし(b)、SF6 による反応性イオンエッチングでゲート2及びゲート基体9を加工する(c)。エッチングストッパ層(Al)7はエッチングされないので、縦方向のエッチングはゲート基体(Mo)9までで停止する。ここで、リン硝酸のウェットエッチングによりゲート2に対応する部分以外の部分のエッチングストッパ層(Al)7を除去すると共にゲート基体9を細くする(d)。
【0061】次に、レジスト5を残したままで、絶縁層3としてSiOX を0.5μm、エミッタ用膜1’としてNbを0.2μm蒸着する(e)。続いて、十字形のレジスト6を形成し(f,j)、SF6 による反応性イオンエッチングによってエミッタ用膜1’及び絶縁層3を十字状に加工して、求心形状のエミッタ1及び絶縁層3を形成する(g)。このとき、ゲート2はレジスト5によって保護されていてエッチングされない。その後、レジスト5を除去し(g)、さらにエミッタ層1にエミッタ配線1aをパターニングし、最後に緩衝フッ酸で絶縁層3を軽くエッチングして目標とする電子放出素子が完成する(h)。
【0062】以上に説明した実施例は製造方法や材料を限定するものではなく、例えば図8に示す電子放出素子を製造するための図9に示す製造方法、特にそのエミッタの加工工程において、エミッタ用膜の成膜後にそれをフォトエッチングする代わりに、先に陰画のレジストパターンを形成しておいて、エミッタ用膜の成膜後にそのレジストパターンをリフトオフしてもよい。また、例えばエミッタには、W、Mo以外に、Ta、Nb等の金属、Si等の半導体又はTiN等の窒化物等が使用できる。エッチングストッパ層にはAl以外にCrも使用できる。また、基板4やエミッタ1は必ずしもエミッタ配線を兼ねる必要はなく、絶縁基板上にエミッタ配線を施した後にエミッタ電極層を形成してもよい。このことは、ゲート配線についても同様である。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る電子放出素子によれば、エミッタの形状が平面であるので、エッジ形電子放出素子(図17)の特長である作製が容易であるという利点を得ることができる。しかも、エミッタが複数の張出し部を放射状又は求心状に並べた形状を有するので、電界が張出し部の角部、すなわち2個の先端突起に集中し、それ故、良好な電気的特性を持った電子放出素子が得られる。また、電子放出点が張出し部の角部に確定するので、従来のエッジ形電子放出素子(図17)に比べて電子の放出に関して均一性及び安定性を改善できる。
【0064】請求項4及び請求項5記載の電子放出素子によれば、エミッタ又はゲートの下にエッチングストッパ層を埋め込んでおくことにより、次のような効果が得られる。すなわち、エッチングストッパ層を設けない場合には、基板の上に形成されるエミッタ又はゲートの高さはエッチング量で決まるので、エッチング速度のバラツキに起因して素子特性にバラツキが発生していた。これに対し、エッチングストッパ層を下層に埋め込んだ状態でエミッタまたゲートをエッチング加工すると、エミッタ又はゲートの高さはエッチングストッパ層より上の膜の厚さで決まり、エッチング速度のバラツキの影響を受けない。これにより、エミッタ又はゲートの高さが均一になり、素子特性が均一化する。
【0065】請求項14記載の電子放出素子によれば、エミッタ基体を安定化抵抗とすることにより、各素子の特性のバラツキを補正することができ、素子特性の均一性がさらに向上する。特に、抵抗が各素子ごとに分離しているため、仮に1つの素子で短絡が起こったとしても、その素子だけの破壊で済み、近隣に影響を及ぼすことがない。
【0066】請求項15記載の電子放出素子又は請求項20記載の電子放出素子の製造方法によれば、機械的強度向上層や保護層を設けることにより、作製工程中や完成後のエミッタの破損を確実に防止できる。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子放出素子の第1実施例の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電子放出素子の第2実施例の要部を示す斜視図である。
【図3】図1及び図2に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図4】本発明に係る電子放出素子の第3実施例の要部を示す斜視図である。
【図5】図4に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図6】本発明に係る電子放出素子の第4実施例の要部を示す斜視図である。
【図7】図6に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図8】本発明に係る電子放出素子の第5実施例の要部を示す斜視図である。
【図9】図8に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図10】本発明に係る電子放出素子の第6実施例の要部を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る電子放出素子の第8実施例の要部を示す斜視図である。
【図12】図10に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図13】図11に示す電子放出素子を製造するための製造方法の一実施例を示す工程図である。
【図14】図12に示す電子放出素子の製造方法の改変例の要部を示す工程図である。
【図15】本発明に係る電子放出素子の第7実施例の要部及び図12に示す電子放出素子の製造方法の他の改変例の要部を示す工程図である。
【図16】従来の電子放出素子、特にコーン形の電子放出素子の一例の要部を破断して示す斜視図である。
【図17】従来の電子放出素子、特にエッジ形の電子放出素子の一例の要部を破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 エミッタ
1’ エミッタ用膜(加工前)
1’’ エミッタ(加工途中)
2 ゲート
2’ ゲート用膜(加工前)
3 絶縁層
4 基板
5 レジストパターン(エミッタ概略形状及びゲート加工用)
6 レジストパターン(エミッタ張出し部加工用)
7 エッチングストッパ層
8 エミッタ基体
8’ エミッタ基体用膜(加工前)
8’’ エミッタ基体(加工途中)
9 ゲート基体
9’ ゲート基体用膜(加工前)
10a〜10e エミッタ張出し部の先端突起
11a〜11e エミッタの張出し部
14 保護層
15 機械的強度向上第1層
16 機械的強度向上第2層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に形成されていて強電界の下で電子を放出するエミッタと、絶縁層を挟んでそのエミッタの近傍に設けられていてそのエミッタに電界を印加するゲートとを有する電子放出素子であって、上記ゲートは上記エミッタに対応する位置に円形穴又は多角形穴を有しており、そして上記エミッタは、上記ゲートに近い先端位置に2個の尖端突起を備えた張出し部をそのゲートに対してほぼ平行に複数個放射状に並べることによって形成されることを特徴とする電子放出素子。
【請求項2】 基板上に形成されていて強電界の下で電子を放出するエミッタと、絶縁層を挟んでそのエミッタの近傍に設けられていてそのエミッタに電界を印加するゲートとを有する電子放出素子であって、上記ゲートは円形状又は多角形状に形成され、そして上記エミッタは、上記ゲートに近い先端位置に2個の尖端突起を備えた張出し部をそのゲートに対してほぼ平行に複数個、そのゲートを中心とする求心状に並べることによって形成されることを特徴とする電子放出素子。
【請求項3】 基板上に形成されていて強電界の下で電子を放出するエミッタと、絶縁層を挟んでそのエミッタの近傍に設けられていてそのエミッタに電界を印加するゲートとを有する電子放出素子であって、上記ゲートは円形穴又は多角形穴を有しており、上記エミッタは、上記ゲートの穴の縁端に近い先端位置に2個の尖端突起を備えた張出し部をそのゲートに対してほぼ平行に複数個、そのゲートの穴を中心とする求心状に並べることによって形成されることを特徴とする電子放出素子。
【請求項4】 上記エミッタはエッチングストッパ層の上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
【請求項5】 上記ゲートはエッチングストッパ層の上に設けられることを特徴とする請求項2記載の電子放出素子。
【請求項6】 上記基板は導電性材料によって形成され、上記エミッタの材質がその基板の材質と同一であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項7】 上記基板は導電性材料によって形成され、上記エミッタの材質がその基板の材質と異なることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項8】 上記基板は絶縁性材料によって形成され、上記エミッタの材質がその基板の材質と異なることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項9】 上記エッチングストッパ層は金属によって形成されることを特徴とする請求項4記載の電子放出素子。
【請求項10】 上記エミッタが金属であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項11】 上記エミッタが金属によって形成され、上記基板が半導体によって形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項12】 上記エミッタが高融点金属によって形成され、上記基板又はエミッタ基体よりも耐ドライエッチング特性が大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項13】 上記エミッタがW、Mo、Ta、Nb又はTiNによって形成され、上記基板がSiによって形成され、そして上記ゲートがNb又はMoによって形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項14】 上記エミッタと上記基板との間に設けるエミッタ基体が、電気抵抗性の物質によって形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項15】 上記エミッタの片側又は両側に機械的強度向上層を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子放出素子。
【請求項16】 請求項1又は請求項2記載の電子放出素子を製造するための製造方法であって、基板上にエミッタ又はゲートの概略形状を形成し、さらにその基板上に絶縁層及びゲート又はエミッタ用膜を形成し、その後、上記概略形状のエミッタを、2個の尖端突起を備えた複数個の張出し部を放射状又は求心状に並べた形状へと加工することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【請求項17】 請求項3記載の電子放出素子を製造するための製造方法であって、求心状に配列されるエミッタの張出し部の原形となる放射状張出し部を基板上に形成し、さらにその基板及びその放射状張出し部の上に絶縁層及びゲート用膜を形成し、その後、ゲート用膜、絶縁層及びエミッタ用放射状張出し部の各層を貫通する円形状又は多角形状の穴を開けることにより、円形状又は多角形状の穴を有するゲート及び複数の求心状に配列されたエミッタ張出し部を形成することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【請求項18】 請求項4記載の電子放出素子を製造するための製造方法であって、基板上にエッチングストッパ層を形成する工程と、そのエッチングストッパ層の上にエミッタ基体用膜及びエミッタ用膜を形成する工程と、そして、エミッタ基体用膜及びエミッタ用膜にエッチングを施してエミッタ基体及びエミッタを形成する工程とを有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【請求項19】 請求項5記載の電子放出素子を製造するための製造方法であって、基板上にエッチングストッパ層を形成する工程と、そのエッチングストッパ層の上にゲート基体用膜及びゲート用膜を形成する工程と、そして、ゲート基体用膜及びゲート用膜にエッチングを施してゲート基体及びゲートを形成する工程とを有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【請求項20】 請求項1記載の電子放出素子を製造するための製造方法であって、基板上にエミッタ用膜を形成する工程と、エミッタ用膜上に保護膜を形成する工程と、ゲート及びエミッタを所定形状に形成する工程と、所定形状のゲート及びエミッタを形成した後に上記保護層を除去する工程とを特徴とする電子放出素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開平7−99024
【公開日】平成7年(1995)4月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−264164
【出願日】平成5年(1993)9月28日
【出願人】(000001144)工業技術院長 (75)
【上記1名の復代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明 (外1名)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明