説明

電子放出表示装置および電子放出表示装置の駆動方法

【課題】走査信号のパルスが所定の時間以上維持されると,走査駆動部または電源供給部の駆動を制御して電子放出表示装置を保護するようにする電子放出表示装置およびその駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明の電子放出表示装置は,データ信号と走査信号の伝達を受けて画像を表示する画素部100と,上記画素部100にデータ信号を伝達するデータ駆動部200と,上記画素部100に走査信号を伝達する走査駆動部300と,上記データ駆動部200と上記走査駆動部300を駆動させる駆動信号を伝達するタイミング制御部400と,上記走査駆動部300からの走査信号に対応して制御信号を出力する走査信号感知部500と,上記各部に駆動電源を供給し、上記制御信号によって電源供給を中断する電源供給部600とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子放出表示装置および電子放出表示装置の駆動方法に係り,特にスキャン信号が停止した場合にパネルが損傷することを防止する電子放出表示装置および電子放出表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ,携帯電話機,PDA(Personal Digital Assistance)といった携帯情報端末機などの表示装置または各種情報機器のモニターとして薄型軽量の平板表示装置が用いられている。このような平板表示装置としては,液晶パネルを用いたLCD(Liquid Crystal Display),有機発光素子を用いた有機発光表示装置,プラズマパネルを用いたPDP(Plasma Display Panel)などが知られている。
【0003】
平板表示装置は,構造によってはアクティブマトリックス(Active Matrix)とパッシブマトリックス(Passive Matrix)に区分され,発光原理によってはメモリ駆動方式と非メモリ駆動方式に区分される。一般に,アクティブマトリックス方式はメモリ駆動方式と意味が類似であり,パッシブマトリックス方式は非メモリ駆動方式と意味が類似であると言える。アクティブマトリックス方式とメモリ駆動方式はフレーム単位の周期で発光する方式であり,パッシブマトリックス方式と非メモリ駆動方式はライン(Line)単位の周期で発光する方式である。
【0004】
以下,現在商用化されている重大型平板ディスプレイについて考察する。
【0005】
TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)はアクティブマトリックス方式であり,新規表示素子として開発されているOLEDもアクティブ方式である。これに対し,新規のディスプレイ素子としての電子放出表示装置(Electron Emission Display)は,パッシブマトリックス方式でありながら,他の平板素子とは異なり非メモリ駆動方式であって,水平ラインを順次選択し,選択された水平ラインが選ばれたときにのみ発光するラインスキャン方式を適用する。すなわち,一定のデューティ比(Duty ratio)をもって駆動する方式である。
【0006】
図1は従来の技術に係る電子放出表示装置を示す構造図である。図1を参照すると,電子放出表示装置は,画素部10,データ駆動部20,走査駆動部30,タイミング制御部40および電源供給部50を含む。
【0007】
画素部10は,カソード電極C1,C2・・・Cnとゲート電極G1,G2・・・Gnとが交差する部分に画素11が形成され,カソード電極から放出された電子がアノードに衝突して蛍光体を発光させることにより諧調を表示する。表示される映像の諧調は,入力されるデジタル映像信号の値に応じて変わる。デジタル映像信号の値に応じて表現される諧調を調節するために,一般にパルス幅変調(Pulse Width Modulation)方式または振幅変調(Pulse Amplitude Modulation)方式を使用することができる。
【0008】
データ駆動部20は,カソード電極C1,C2・・・Cnと連結され,データ信号を生成して画素部に伝達することにより,画素部がデータ信号に対応して発光するようにする。走査駆動部30は,ゲート電極G1,G2・・・Gnと連結され,走査信号を生成して画素部10に伝達して画素部10をラインスキャン方式によって水平ライン単位で一定の時間ずつ順次発光させることにより全体画面を表示する方式であって,回路コストおよび消費電力を減らしながら駆動することができる。
【0009】
タイミング制御部40は,データ駆動部20と走査駆動部30にそれぞれデータ駆動部制御信号と走査駆動部制御信号を伝達し,データ駆動部20と走査駆動部30の動作を制御する。
【0010】
電源供給部50は,画素部10,データ駆動部20,走査駆動部30およびタイミング制御部40に電源を供給して各部を動作させる。
【0011】
このように構成された電子放出表示装置は,ラインスキャン方式を採用し,外部の衝撃やノイズなどにより回路に異常が発生してライン選択動作が停止する場合,特定のラインにDCに近い電流が流れることにより,パネルを損傷させるおそれがあるうえ,回路に激しい損傷または発熱を誘発するおそれがある。すなわち,一定のデューティ比で水平ラインを順次発光させる途中にスキャン動作が停止した場合には,一定のデューティ比を有するパルスが印加されず,殆どDCに近いパルスが印加されることにより,そのラインにのみ過度なエミッション電流(Emission Current)が発生してパネルのカソードの寿命を急激に短縮させるうえ,場合によっては激しく損傷するという問題点が生ずる。
【0012】
また,走査動作の停止した走査線に定格値以上の電流が流れることにより,駆動回路の発熱および損傷を発生させるという問題点が生ずる。
【0013】
【特許文献1】大韓民国韓国特許公報2005−0052229号
【特許文献2】米国特許出願公開2002/0075206号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで,本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので,その目的は,走査信号のパルスが所定の時間以上保たれると,走査駆動部または電源供給部の動作を制御して電子放出表示装置を保護することが可能な,新規かつ改良された電子放出表示装置およびその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,データ信号と走査信号の伝達を受けて画像を表示する画素部と,上記画素部にデータ信号を伝達するデータ駆動部と,上記画素部に走査信号を伝達する走査駆動部と,上記データ駆動部と上記走査駆動部の駆動信号を伝達するタイミング制御部と,上記走査駆動部からの走査信号の出力信号に応じて上記制御信号を出力する走査信号感知部と,上記各部に電源を供給し,上記制御信号によって電源供給を中断する電源供給部とを含む,電子放出表示装置を提供する。
【0016】
上記走査信号感知部は,上記走査信号を感知し,上記走査信号がオン信号を所定の時間以上維持すると,上記電源供給部から駆動電源の出力を遮断することができる。
【0017】
上記走査信号感知部は,上記走査信号に対応して上記制御信号を出力するIC部を含み,上記制御信号に対応して上記電源供給部の動作を制御することができる。
【0018】
上記電源供給部は,上記制御信号に対応して上記画素部に伝達する駆動電源,上記データ駆動部に伝達する駆動電源,上記走査駆動部に伝達する駆動電源,および上記タイミング制御部に伝達する駆動電源の少なくとも一つを遮断することができる。
【0019】
上記制御信号のパルス幅は,上記走査信号のパルス幅に対応することができる。
【0020】
上記画素部は,下部基板と上記下部基板上にストライプ状に配列されるカソード電極と上記下部基板と上記カソード電極上に形成され,上記カソード電極の一部を露出させる第1開口部を備える第1絶縁膜と上記第1絶縁膜上に上記カソード電極と交差して形成され,上記第1開口部に対応する第2開口部を備えるゲート電極と上記第1開口部と上記第2開口部に対応し,上記カソード電極上に形成される電子放出部と上記下部基板と所定の距離を維持し,上記電子放出部から放出された電子によって発光する蛍光膜および高電圧の印加されたアノード電極を含む上部基板と上記下部基板と上記上部基板間の距離を維持させるスペーサとを含むことができる。
【0021】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,走査信号による制御信号を生成する段階と,上記制御信号に基づいて電源供給部の動作を制御する段階とを含む,電子放出表示装置の駆動方法を提供する。
【0022】
上記電源供給部は,複数の駆動電源を生成し,上記制御信号によって上記複数の駆動電源の少なくとも一つが遮断されることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように,本発明によれば,スキャン動作が停止する場合に簡単な論理回路を用いて走査駆動部の出力を制御したり,あるいは電源供給部の動作を制御することにより,パネルだけでなく駆動回路に対する保護ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する発明特定事項については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
図2は本発明の実施形態に係る電子放出表示装置の構造を示す構造図である。図2を参照すると,電子放出表示装置は,画素部100,データ駆動部200,走査駆動部300,タイミング制御部400,走査信号感知部500および電源供給部600を含む。
【0026】
画素部100は,複数のカソード電極C1,C2・・・Cnが列方向に配列され,複数のゲート電極G1,G2・・・Gnが行方向に配列され,カソード電極C1,C2・・・Cnとゲート電極G1,G2・・・Gnとが交差する部分ごとに電子放出源が設けられて画素101を形成する。また,ゲート電極G1,G2・・・Gnが列方向に配列され,カソード電極C1,C2・・・Cnが行方向に配列されてもよい。以下では,カソード電極C1,C2・・・Cnは列方向に配列され,ゲート電極G1,G2・・・Gnは行方向に配列されていると仮定して説明する。
【0027】
データ駆動部200は,カソード電極C1,C2・・・Cnと連結され,データ信号をカソード電極C1,C2・・・Cnに伝達する。データ駆動部200は,選択されたカソード電極C1,C2・・・Cnとゲート電極G1,G2・・・Gnとが交差する部分に形成された画素に対するON/OFFのための電極信号を発生させる。
【0028】
走査駆動部300は,ゲート電極G1,G2・・・Gnと連結され,行方向に配列されている複数のゲート電極G1,G2・・・Gnのいずれか一つを選択し,ゲート電極G1,G2・・・Gnに連結されている画素に走査信号が伝達されるようにする。
【0029】
タイミング制御部400は,映像信号の入力を受けてデータ駆動部200と走査駆動部300を駆動するための制御信号を生成し,データ駆動部200と走査駆動部300に伝達する。さらに詳しく説明すると,タイミング制御部400は,データ駆動部200を駆動するための制御信号,および走査駆動部300を駆動するための水平ラインを順次選択するための制御信号を発生させる。
【0030】
走査信号感知部500は,走査駆動部300から出力される走査信号を感知し,走査信号のパルスが所定の時間以上保たれると,走査駆動部300または電源供給部600の動作を停止させて電子放出表示装置で画像を表示しないようにして電子放出表示装置を保護する。走査信号感知部500は,論理IC回路を含み,走査信号と所定の信号とを演算して走査駆動部300の動作または電源供給部600の動作を制御する。
【0031】
電源供給部600は,各部分で必要とする電源を供給する部分であって,画素部100にアノード電圧を伝達し,データ駆動部200,走査駆動部300,タイミング制御部400および走査感知部500に駆動電圧を供給する。
【0032】
図3は図1に示した電子放出表示装置の画素部を示す斜視図,図4は図2に示した画素部の断面を示す断面図である。図3および図4を参照すると,電子放出表示装置は,下部基板110,上部基板190およびスペーサ180を含み,下部基板110上にはカソード電極120,絶縁層130,電子放出部140およびゲート電極150が形成され,上部基板190には前面基板,アノード電極および蛍光膜が形成される。
【0033】
下部基板110上には,ストライプ状に少なくとも一つのカソード電極120が形成され,カソード電極120の上部には,カソード電極120の一部を露出させる複数の第1開口部131を有する絶縁層130が形成される。絶縁層130の上部にゲート電極150が形成される。ゲート電極150には一定のサイズの複数の第2開口部151が備えられる。第2開口部151は第1開口部131の上部に設けられる。カソード電極120の上部には第1開口部131と第2開口部151とが一致する領域に電子放出部140が位置する。
【0034】
下部基板110は,ガラスまたはシリコン基板を使用し,電子放出部140は,ペーストを用いて背面露光によって形成する場合には,ガラス基板のような透明基板が好ましい。
【0035】
カソード電極120は,データ駆動部(図示せず)または走査駆動部(図示せず)から印加されるそれぞれのデータ信号または走査信号を電子放出部140へ供給する。カソード電極120はITO(Indium Tin Oxide)が使用される。
【0036】
絶縁層130は,下部基板110とカソード電極120の上部に形成され,カソード電極120とゲート電極150とを電気的に絶縁させる。
【0037】
ゲート電極150は,絶縁層130上に所定の形状に,例えばストライプ状にカソード電極120と交差する方向に配置され,データ駆動部200または走査駆動部300から印加されるそれぞれのデータ信号または走査信号を各画素に供給する。ゲート電極150は,伝導性が良好な金属,例えば金(Au),銀(Ag),白金(Pt),アルミニウム(Al),クロム(Cr)およびこれらの合金の中から選択された少なくとも一つの導電性金属材料からなる。
【0038】
電子放出部140は,絶縁層130の第1開口部131によって露出したカソード電極120上に電気的に接続されてそれぞれ位置し,電界が加えられると電子を放出する物質,例えばカーボン系物質またはナノメートルサイズ物質,カーボンナノチューブ,グラファイト,グラファイトナノファイバー,ダイヤモンドライクカーボン,C60,シリコンナノワイヤまたはこれらの組み合わせ物質が好ましい。
【0039】
上部基板190は,蛍光膜を備え,電子が蛍光膜に衝突すると光を発光するようにし,アノード電極を備え,電子放出部から放出された電子が上部基板に衝突することができるようにする。
【0040】
スペーサ180は,下部基板110と上部基板190との間に一定の距離を保つようにする。
【0041】
図5は本発明の実施形態に係る走査駆動部の入出力波形を示すタイミング図である。映像のフレーム周波数が60Hzの場合を例として説明する。図5を参照すると,Tは走査信号の周期(Period)を示し,Tpは1周期の間1本のラインが発光することが可能な最大時間を示し,Tbはラインとライン間のブランク時間を示す。ここで,デューティ比はTp/Tになる。
【0042】
ラインスキャン駆動の際,1フレームごとに1回ずつラインをスキャンするためのON信号であるSDIN信号が入力され,SDIN信号パルスの周期は約16.7msになる。SCLK信号は,走査駆動部内のシフトレジスタのクロック信号であって,走査線をシフトする信号である。SBLKは,ブランク(Blank)信号であって,一般に走査駆動部の出力波形の立ち上り(Rising),立ち下り(Falling)時の波形遅延による2本のラインが同時に選択されることを防止するために,ラインとラインとの間に一定の時間ブランキングが行われるように使用する。すなわち,SBLK信号がハイ信号であれば,全ての出力がオフ状態になる。SDOUTはSDIN信号が入力され,シフトレジスタを通過して最後に出力される信号であり,直列データ出力信号であって,SDIN信号と同じ周期をもって出力される。
【0043】
すなわち,SDIN信号がシフトレジスタに入力され,SCLKによってシフトされてSDOUTに出力されるので,SDOUTの周期はSDINと同一であり,SDOUTのパルス幅はSCLKの周期と同一である。
【0044】
前述したように,正常動作状態では16.7ms毎にSDOUTにパルスが出力されなければならない,もしスキャン動作が停止した場合には,SDOUTにはパルスが出力されず,ハイ信号またはロー信号が維持される。
【0045】
電子放出表示装置の発光部分の明るさは放出される電子の量に比例し,放出される電子の量はデューティ比に比例する。すなわち,明るさとエミッション電流とデューティ比は比例する関係が成り立つ。言い換えれば,特定の走査線に引き続き走査信号の波形が印加されると,デューティ比が水平ラインの数だけ増加し,これにより過度なエミッション電流が発生することにより,該当ラインのみが非常に明るく発光する。これは電子放出部の寿命を短縮させるうえ,場合によっては回路と画素部に致命的な欠陥を誘発させるおそれがある。
【0046】
図6は図2に示した走査信号感知部に使用される論理ICの一例を示す構造図,図7は論理ICの入出力波形のタイミング図を示す。図6および図7を参照すると,走査信号感知部500は,走査駆動部300の出力波形が周期的なパルス波形であるか否かを感知することが可能な回路であって,一定の時間内にパルス波形が発生しなければ,スキャン動作が停止したものと判断する回路である。走査信号感知部500は,単安定マルチバイブレータ機能を用いて実現することができる。
【0047】
論理ICは,RCx端子,Cx端子,T1端子,/CLR端子,Q端子および/Q端子を備える。RCx端子とCx端子はパルス幅を決定する変数として使用される外部抵抗とキャパシタとを連結する端子であり,T1はパルスを出力するためのトリガー入力端子であり,/CLRは出力をリセットする端子である。Q端子と/Q端子はパルスを出力する出力端子である。
【0048】
パルスを発生させる方法では,/CLR端子を介してハイ信号が入力されているとき,T1端子にローレベルからハイレベルに変わる信号が入力されると,RCx端子とCx端子に連結された抵抗とキャパシタの値に応じて出力端子Q,/Qを介してパルスを出力する。T1端子を介してパルスが入力されると,ローからハイに変わる時点に出力端子を介してパルスが発生する。パルスの幅Tpは論理ICの外部に連結されたRt,Ctによって決定される。一般に,単安定マルチバイブレータ論理ICは,Tp≒k×Rt×Ct特性を有し,kは定数係数であって,ICによって異なり,普通0<k<1の値に定められる。
例えば,Phlips社の74HC/HCT4538の場合にはTp≒0.7×Rt×Ct(Tp:ns,Rt:kΩ,Ct:pF)の特性を有し,Fairchild社のDM74LS123の場合にはTp≒0.37×Rt×Ct(Tp:ns,Rt:kΩ,Ct:pF)の特性を示す。
【0049】
出力端子Qを介して一番目のパルスが発生した後,パルスが維持される時点にT1端子を介して別のパルスが入力されると,パルスの入力時点からTpだけパルスが保たれる。そして,/CLR端子を介してリセット信号が入力されると,論理ICは入力に関係なく出力をリセットさせる。
【0050】
図8aおよび図8bは,本発明の実施形態に係る走査感知部の基本入出力波形特性を示す説明図である。図8aおよび図8bを参照すると,トリガー信号が入力されると,出力端子は約k×Rt×Ctの一定の幅を有するパルスを出力する。
【0051】
図8aはT1端子に入力されるトリガーの間隔(Trigger Interval)が出力パルス幅(Pulse Width)より大きい場合のときを示す。すなわち,パルスを発生させ,基準レベルで待った後,次のトリガーが入力されると,さらにパルスを発生させる。図8bはT1端子に入力されるトリガーの間隔が出力パルス幅より小さい場合のときを示す。トリガーが入力されると,出力レベルが変わり,一定の時間だけパルス幅を維持するが,パルス幅に該当する時間間隔以前に再びトリガーが入力されると,そのときからさらに一定の時間そのレベルを維持する。したがって,パルス幅より小さい時間間隔でトリガーが引き続き入力されると,出力はパルスを発生させるためのレベルを保持する。
【0052】
(第1の実施形態)
図9は本発明の第1の実施形態に係る走査信号感知部の連結関係を示す説明図,図10は図9の走査感知部の動作を示すタイミング図である。図9および図10を参照すると,走査感知部である論理IC500のT1端子が走査駆動部300のSDOUT端子に連結され,/Q端子がORゲート510の一入力端子に連結される。タイミング制御部400のブランク信号出力端子BLKがORゲートの他の入力端子に連結される。ORゲート510は,演算によって生成された信号を走査駆動部300のブランク信号端子SBLKに出力させる。
【0053】
したがって,スキャン動作が正常の場合には,論理IC500の出力/Qがローレベルなので,タイミング制御部400のBLK信号が走査駆動部のSBLKに伝達されて制御する。ところが,スキャン動作が停止すると,出力/Qはハイレベルになり,ORゲート510によってタイミング制御部400のBLK信号に関係なく,SBLKはハイレベルが入力されるので,走査駆動部の全ての出力がオフ状態になる。
【0054】
(第2の実施形態)
前述した第2の実施形態において,回路構成方式は,画素部の構造や走査駆動部の入出力信号特性などによって適切に調整可能である。例えば,走査駆動部のSBLK信号特性が上記例示と反対の場合には,反転された出力が必要なので,ORゲートの代わりにNORゲートを使用すればよい。
【0055】
図11は本発明の実施形態に係る走査信号感知部の連結関係を示す説明図である。図11を参照すると,論理IC500のT1端子は走査駆動部300のSDOUT端子に連結され,Q端子は電源供給部600のENABLE端子に連結される。論理IC500のT1端子は,走査駆動部300のSDOUT端子に連結され,タイミング制御部400のブランク信号端子BLKは,走査駆動部300のブランク信号端子SBLKに連結される。
【0056】
スキャン動作が正常の場合には,論理IC500のQ端子の出力がハイ状態なので,電源供給部600の動作を正常的な状態に制御する。スキャン動作停止の場合には,Q端子の出力がロー状態となるので,電源供給部600の主要出力を遮断することにより,走査駆動部300の発熱または画素部100の異常発光を防ぐことができる。
【0057】
ENABLE信号に応じて電源供給部600を制御する場合,主要制御電源は,スキャン電源V(scan)のみを制御する方法,あるいはスキャン電源V(scan)を含んだアノードV(anode)電源,データ電源V(data)を同時に制御する方法などの場合がある。
【0058】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は,電子放出表示装置および電子放出表示装置の駆動方法に適用可能であり,特にスキャン信号が停止した場合にパネルが損傷することを防止する電子放出表示装置および電子放出表示装置の駆動方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来の技術に係る電子放出表示装置を示すブロック図である。
【図2】本発明のある実施形態に係る電子放出表示装置の構造を示すブロック図である。
【図3】図1に採用された電子放出表示装置の画素部を示す斜視図である。
【図4】図2に示した画素部の断面を示す断面図である。
【図5】本発明のある実施形態に係る走査駆動部の入出力波形を示すタイミング図である。
【図6】図2に示した走査信号感知部に使用される論理ICの一例を示す構造図である。
【図7】論理ICの入出力波形を示すタイミング図である。
【図8a】本発明のある実施形態に係る走査感知部の基本入出力波形特性を示すタイミング図である。
【図8b】本発明のある実施形態に係る走査感知部の基本入出力波形特性を示すタイミング図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る走査信号感知部の連結関係を示す説明図である。
【図10】図9の走査感知部の動作を示すタイミング図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る走査信号感知部の連結関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
100 画素部
101 画素
110 下部基板
130 絶縁層
131 第1開口部
140 電子放出部
150 ゲート電極
151 第2開口部
180 スペーサ
190 上部基板
200 データ駆動部
300 走査駆動部
400 タイミング制御部
500 走査信号感知部
510 ORゲート
600 電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号と走査信号の伝達を受けて画像を表示する画素部と;
前記画素部にデータ信号を伝達するデータ駆動部と;
前記画素部に走査信号を伝達する走査駆動部と;
前記データ駆動部と前記走査駆動部の駆動信号を伝達するタイミング制御部と;
前記走査駆動部からの走査信号の出力信号に応じて制御信号を出力する走査信号感知部と;
前記画素部,前記データ駆動部,前記走査駆動部,前記タイミング制御部,前記走査信号感知部に電源を供給し,前記制御信号によって電源供給を中断する電源供給部と;
を含むことを特徴とする,電子放出表示装置。
【請求項2】
前記走査信号感知部は,前記走査信号を感知し,前記走査信号がオン信号を所定の時間以上維持すると,前記電源供給部から駆動電源の出力を遮断すること;
を特徴とする,請求項1に記載の電子放出表示装置。
【請求項3】
前記走査信号感知部は,前記走査信号に対応して前記制御信号を出力するIC部を含み,前記制御信号に対応して前記電源供給部の動作を制御すること;
を特徴とする,請求項1または2に記載の電子放出表示装置。
【請求項4】
前記電源供給部は,前記制御信号に対応して前記画素部に伝達する駆動電源,前記データ駆動部に伝達する駆動電源,前記走査駆動部に伝達する駆動電源,および前記タイミング制御部に伝達する駆動電源の少なくとも一つを遮断すること;
を特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の電子放出表示装置。
【請求項5】
前記制御信号のパルス幅は,前記走査信号のパルス幅より大きいこと;
を特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の電子放出表示装置。
【請求項6】
前記画素部は,
下部基板と;
前記下部基板上にストライプ状に配列されるカソード電極と;
前記下部基板と前記カソード電極上に形成され,前記カソード電極の一部を露出させる第1開口部を備える第1絶縁膜と;
前記第1絶縁膜上に前記カソード電極と交差して形成され,前記第1開口部に対応する第2開口部を備えるゲート電極と;
前記第1開口部と前記第2開口部に対応し,前記カソード電極上に形成される電子放出部と;
前記下部基板と所定の距離を維持し,前記電子放出部から放出された電子によって発光する蛍光膜および高電圧の印加されたアノード電極を含む上部基板と;
前記下部基板と前記上部基板間の距離を維持させるスペーサと;
を含むことを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の電子放出表示装置。
【請求項7】
走査信号による制御信号を生成する段階と;
前記制御信号に基づいて電源供給部の動作を制御する段階と;
を含むことを特徴とする,電子放出表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記電源供給部は,複数の駆動電源を生成し,前記制御信号によって前記複数の駆動電源の少なくとも一つが遮断されること;
を特徴とする,請求項7に記載の電子放出表示装置の駆動方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−58981(P2009−58981A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320274(P2008−320274)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【分割の表示】特願2005−254662(P2005−254662)の分割
【原出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】