説明

電子数表作成装置、電子数表作成方法、プログラム、及び、記録媒体

【課題】新たな数表を作成する場合に、作成効率を向上できる電子数表作成装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成装置であって、上記第3の電子数表における第1の列の各行に、上記第1の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第1転記部302と、上記第3の電子数表における第2の列の各行に、上記第2の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第2転記部303と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の書類を作成する電子数表作成装置、及び、電子数表作成方法に関する。また、そのような電子数表作成装置を動作させるプログラム、及び、そのようなプログラムが記録されている記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の市場には、常時、約2700〜3000のファンドが存在している。毎年、約300〜400のファンドが新規設定ファンドとして新しく設定され、同時に、約300〜400のファンドが償還されている。なお、新規設定ファンドは、次年度以降には、継続開示ファンドとなる。
【0003】
新規設定ファンドを設定する際には、投資信託会社(投信会社)は、例えば、有価証券届出書、交付/請求目論見書など、様々な書類を作成する必要がある。また、継続開示ファンドについては、投信会社は、有価証券報告書、半期報告書などを随時作成する必要がある。そして、例えば、有価証券届出書などには、当期以前の貸借対照表を記載する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−222385号公報(2002年8月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらファンドの設定および維持に必要な文書は、一般に、熟練した担当者の属人的な能力(知識、経験など)に依って作成されている。そのため、多数のファンドを担当する担当者には多大な負担がかかり、この負担を軽減するための技術が求められている。
【0006】
特許文献1には、コンピュータシステムを利用して各決算開示文書を作成するための作成システムが開示されている。特許文献1に記載の作成システムでは、各決算開示書類を作成するための数値データ群を共通データと固有データとに区分して利用可能にしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の作成システムは、各決算開示文書を作成するためのシステムである。それゆえ、ファンドの設定および維持に必要な文書を作成するための労力を依り好適に軽減することができる技術があれば、より好ましい。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ファンドの設定および維持に必要な文書を好適に作成するための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子数表作成装置は、上記課題を解決するために、第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成装置であって、上記第3の電子数表における第1の列の各行に、上記第1の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第1の転記手段と、上記第3の電子数表における第2の列の各行に、上記第2の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第2の転記手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
ファンドの設定および維持に必要な文書の中には、当期以前の貸借対照表を記載する必要がある文書が存在する(例えば、有価証券届出書)。上記の構成によれば、第3の電子数表を作成する場合に、第1の電子数表及び第2の電子数表から数値を転記する。すなわち、例えば、当期以前の貸借対照表(第3の電子数表)を記載する必要がある文書を作成するときに、既存の電子数表(第1の電子数表および第2の電子数表)から第3の電子数表へ数値を転記して、ユーザが新たに上記第3の電子数表に数値を入力する手間を省き、さらに、数値の入力によるミスを防ぐことができる。
【0011】
このように、上記の構成によれば、ファンドの設定および維持に必要な文書を好適に作成することができる。
【0012】
本発明に係る電子数表作成装置では、上記第1の電子数表、上記第2の電子数表、及び上記第3の電子数表の各行には、項目名が含まれており、上記第1の転記手段は、上記第1の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、共通の項目名または類似する項目名を含む行同士を対応行と見做し、上記第2の転記手段は、上記第2の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、共通の項目名または類似する項目名を含む行同士を対応行と見做す、ことが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、上記第1及び上記第2の電子数表の特定列から、上記第3の電子数表の項目名と共通又は類似する項目名を含む行に記載の数値のみを転記することができる。したがって、上記第3の電子数表に含まれない項目の数値が、上記第1及び上記第2の電子数表から転記されることを防ぐことができる。すなわち、上記第1及び上記第2の電子数表から上記第3の電子数表に数値を転記する際に、より正確に数値を転記することができる。
【0014】
本発明に係る電子数表作成装置において、上記第1の電子数表、上記第2の電子数表、及び上記第3の電子数表の各行には、項目名が含まれており、上記第1の転記手段は、上記第1の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、予め関連付けられた項目名を含む行同士を対応行と見做し、上記第2の転記手段は、上記第2の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、予め関連付けられた項目名を含む行同士を対応行と見做す、ことを特徴とする請求項1に記載の電子数表作成装置。
【0015】
上記の構成によれば、上記第1及び上記第2の電子数表の特定列から、上記第3の電子数表の項目名と関連付けられ項目名を含む行に記載の数値のみを転記することができる。したがって、上記第3の電子数表に含まれない項目の数値を、上記第1及び上記第2の電子数表から転記されることを防ぐことができる。すなわち、上記第1及び上記第2の電子数表から上記第3の電子数表に数値を転記する際に、より正確に数値を転記することができる。
【0016】
本発明に係る電子数表作成装置において、ユーザが指定した上記第1及び第2の電子数表における特定列の列番号、並びに、ユーザが指定した上記第3の電子数表の上記第1の列及び上記第2の列の列番号を記録したスクリプトを作成するスクリプト作成手段を更に備え、上記第1の転記手段は、上記スクリプトが存在するときに、該スクリプトを参照することによって、上記第1の電子数表における特定列、及び、上記第3の電子数表における上記第1の列がどの列であるかを特定し、上記第2の転記手段は、上記スクリプトが存在するときに、該スクリプトを参照することによって、上記第3の電子数表における上記第2の列がどの列であるかを特定する、ことが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上記スクリプトを参照することによって、ユーザが指定した上記第1及び上記第2の電子数表の特定列の各行に含まれる数値を、ユーザが指定した上記第3の電子数表の各列に含まれる各行に転記することができる。したがって、ユーザは、第1及び上記第2の電子数表の特定列の列番号、及び、第3の電子数表の特定列の列番号を一度指定することで、以降に同じ操作をする必要がなくなるため、上記第3の電子数表を新たに数表を作成する場合に、作成効率を向上することができる。
【0018】
上記第1の電子数表は、前期実績を表す上記特定列を含む、前期以前の各期実績を表す前期実績表であり、上記第3の電子数表は、前期実績を表す上記第1の列と当期実績を表す上記第2の列とを含む、当期以前の各記実績を表す当期実績表である、ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の電子数表作成装置。
【0019】
上記の構成によれば、上記第1の電子数表に含まれる前期実績を表す上記特定列の数値を、上記第3の電子数表に含まれる前期実績を表す上記第1の列に転記した、当期実績表を作成することができる。
【0020】
本発明に係る電子数表作成装置は、上記課題を解決するために、第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成装置であって、上記第3の電子数表における第1の行の各列に、上記第1の電子数表における特定行の対応列に記載の数値を転記する第1の転記手段と、上記第3の電子数表における第2の行の各列に、上記第2の電子数表における特定行の対応列に記載の数値を転記する第2の転記手段と、を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、上記第1及び上記第2の電子数表の特定行の各列から、上記第3の電子数表の項目名と共通又は類似する項目名を含む列に記載の数値のみを転記することができる。これによって、上記第3の電子数表に含まれない項目の数値が、上記第1及び上記第2の電子数表から転記されることを防ぐことができる。すなわち、上記第1及び上記第2の電子数表から上記第3の電子数表に数値を転記する際に、より正確に数値を転記することができる。
【0022】
本発明に係る電子数表作成装置の電子数表作成方法は、第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成方法であって、上記第3の電子数表における第1の列の各行に、上記第1の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第1の転記ステップと、上記第3の電子数表における第2の列の各行に、上記第2の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第2の転記ステップと、を含んでいることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、上述した電子数表作成装置と同様の効果を奏する。
【0024】
なお、コンピュータを本発明に係る電子数表作成装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記電子数表作成装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム、及び、それらのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る電子数表作成装置は、上記課題を解決するために、第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成装置であって、上記第3の電子数表における第1の列の各行に、上記第1の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第1の転記手段と、上記第3の電子数表における第2の列の各行に、上記第2の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第2の転記手段と、を備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、上記第3の電子数表を作成する場合に、上記第1の電子数表及び上記第2の電子数表から数値を転記するため、ユーザが新たに上記第3の電子数表を入力する手間を省くことができる。これによって、少なくとも2つの書類から新たに1つの書類を作成する場合に、作成効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図2に示す電子数表作成装置が備える制御部及び記憶部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子数表作成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電子数表作成装置における、当期有価証券報告書の貸借対照表作成の流れを示すシーケンス図である。
【図4】図2に示す電子数表作成装置における、数表転記処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2に示す電子数表作成装置が作成した前期の有価証券届出書の貸借対照表の一例を示すである。
【図6】図2に示す電子数表作成装置が当期の有価証券届出書の貸借対照表を作成するために参照する当期参照表の一例を示す図である。
【図7】図2に示す電子数表作成装置が作成する当期の有価証券届出書の貸借対照表の一例を示す図である。
【図8】図2に示す電子数表作成装置が実行する準一致判定の一例を示す図である。
【図9】本発明の変形例に係る電子数表作成装置が作成した前期純資産額計算書の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る電子数表作成装置が当期純資産額計算書を作成するために参照する当期純資産額計算書の一例を示す図である。
【図11】発明の変形例に係る電子数表作成装置が作成する当期純資産額計算書の一例を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る電子数表作成装置が備える制御部及び記憶部の構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示す電子数表作成装置における、当期実績表作成の流れを示すシーケンス図である。
【図14】図12に示す電子数表作成装置の数値転記処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
本発明の一実施形態に係る電子数表作成装置、及び、電子数表作成方法について、図1から図11を参照して以下に説明する。
【0029】
(電子数表作成装置の構成)
本実施形態に係る電子数表作成装置の構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る電子数表作成装置1の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、本実施形態に係る電子数表作成装置1は、入力装置2及びサーバ3を備えている。また、入力装置2は、図2に示すように、入力部20、表示制御部21、表示部22、及び、通信部23を備えており、サーバ3は、制御部30、記憶部31、及び、通信部32を備えている。なお、各部材の詳細については後述する。
【0031】
(制御部、記憶部の構成)
また、本実施形態に係る電子数表作成装置1のサーバ3が備える制御部30及び記憶部31の構成について、図1を参照して説明する。図1は。本実施形態に係る電子数表作成装置1が備える制御部30及び記憶部31の構成を示すブロック図である。
【0032】
記憶部31は、図1に示すように、第1数表格納部311、第2数表格納部312、第3数表格納部313、及び、対応情報格納部314を有している。なお、各部材の詳細については後述する。
【0033】
制御部30は、図1に示すように、数表管理部301、第1転記部302、及び、第2転記部303を備えている。なお、各部材の詳細については後述する。
【0034】
(電子数表作成装置の概要)
本実施形態に係る電子数表作成装置1は、第1電子数表(第1の電子数表)の特定列の各行の数値、及び、第2電子数表(第2の電子数表)の特定列の各行の数値を、それぞれ第3電子数表の第1列の各行(第1の列の各行)及び第2列の各行に(第2の列の各行)に転記する。
【0035】
これによって、第3の電子数表を作成する場合に、上記第1の電子数表及び上記第2の電子数表から数値を転記するため、ユーザが新たに上記第3の電子数表を入力する手間を省くことができ、作成効率を向上させることができる。
【0036】
〔電子数表作成処理の一例〕
次に、本実施形態に係る電子数表作成処理の一例について、図3から図11を参照して説明する。
【0037】
本実施形態では、電子数表作成装置1にて作成する電子数表は、投資信託に関する書類(以降、投信書類とも呼称する)であって、第1電子数表が前期に作成された前期有価証券届出書の貸借対照表(前期実績表)であり、第3電子数表が当期に作成される当期有価証券届出書の貸借対照表(当期実績表)であり、第2電子数表が当期有価証券届出書の貸借対照表を作成するために参照される実績表(以降、当期参照表とも呼称する)である場合を例に挙げて説明する。
【0038】
有価証券届出書は、新規設定ファンドを設立する場合、及び、新規設定ファンドを設立した時点から1年(最長16ヶ月)毎に、新規設定ファンドを設立する投信会社に提出が求められる書類である。また、当期参照表は、投信会社が外部から供給を受ける各ファンドの経理データに含まれている数値データである。
【0039】
(当期実績表の作成)
当期有価証券報告書の貸借対照表(以降、当期実績表とも呼称する)の流れについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る電子数表作成装置1における、当期実績表作成の流れを示すシーケンス図である。
【0040】
図3に示すように、入力部20は、当期実績表の作成開始指示の入力を受け付けると、受け付けた当期実績表の作成開始指示を、通信部23を介して数表管理部301に通知する。
【0041】
数表管理部301は、当期実績表の作成開始指示を取得すると、数値転記処理を実行するように、第1転記部302に通知する。第1転記部302は、数値転記処理の実行指示を取得すると、第2転記部303と共に、数値転記処理を実行する。なお、数値転記処理については、図面を替えて後述する。また、第2転記部303は、数値転記処理が終了すると、数表管理部301に終了通知を供給する。
【0042】
数表管理部301は、第2転記部303から終了通知を取得すると、第3数表格納部313から数値転記処理によって当期実績値が反映された当期実績表を読み出し、通信部32を介して表示制御部21に供給する。表示制御部21は、供給された当期実績表を表示部22に表示する。
【0043】
入力部20は、表示部22に表示される当期実績表のうち、当期実績値が反映されていない項目名を有する行に対する数値の入力を受け付ける。入力部20は、受け付けた数値データを表示制御部21に供給する。
【0044】
表示制御部21は、供給された数値データを当期実績表に反映し、反映した当期実績表を表示部22に表示する。すなわち、ユーザは、当期実績表を作成する際に、当期参照表に含まれる項目名と一致又は準一致でない項目名を含む行について数値データを入力するだけで、当期実績表を作成することができる。
【0045】
表示制御部21は、入力された数値データを当期実績表に反映すると、反映した当期実績表を通信部23を介して数表管理部301に供給する。
【0046】
数表管理部301は、供給された当期実績表を第3数表格納部313に格納する。
【0047】
(数値転記処理)
次に、数値転記処理について、図4から図7を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る電子数表作成装置1における、数表転記処理の流れを示すフローチャートである。図5は、本実施形態に係る電子数表作成装置1が作成した前期有価証券届出書の貸借対照表(以降、前期実績表とも呼称する)の一例を示す図である。図6は、本実施形態に係る電子数表作成装置1が当期の有価証券届出書の貸借対照表を作成するために参照する当期参照表の一例を示す図である。図7は、本実施形態に係る電子数表作成装置1が作成する当期実績表の一例を示す図である。
【0048】
第1転記部302は、数表管理部301から数値転記処理の実行指示を取得すると、図4に示すように、第1数表格納部311から、図5に示す前期実績表の表データを読み出すと共に、第3数表格納部313から数値データの入力されていない当期実績表を読み出し、対応情報格納部314から対応情報を読み出す。(ステップS1)。対応情報については、後述する。
【0049】
第1転記部302は、読み出した前期実績表の各行に含まれる項目名が、当期実績表の各行に含まれる項目名と一致又は準一致するかを判定する(ステップS2)。一致又は準一致の判定は、前期実績表の各行に含まれる項目名の文字データと、当期実績表の各行に含まれる項目名の文字データとを比較することによって実行される。なお、準一致判定については、図面を替えて後述する。
【0050】
前期実績表の行に含まれる項目名と、当期実績表の行に含まれる項目名とが一致又は準一致すると判定すると(ステップS2においてYES)、第1転記部302は、読み出した前期実績表の第2列の各行に含まれる数値データを、各行の項目名と一致又は準一致すると判定された項目名を含む当期実績表の第1列の各行に転記する(ステップS3)。
【0051】
前期実績表の第2列の各行に含まれる数値データが第1行の各行に転記された当期実績表の第1列を、図7に示す。前期実績表の第2列は、図5においては、「当特定期間(平成21年6月15日現在)」という期間名を含む列であり、当期実績表の第1列は、図7においては、「前特定期間(平成21年6月15日現在)」という期間名を含む列である。すなわち、第1転記部302は、読み出した前期実績表のうち、最新の期間の実績値を含む列(第1の電子数表における特定列)の各行に含まれる数値データを、当期実績表のうち、最新の期間よりも1期間だけ前の期間を示す列の各行に転記する。
【0052】
第1転記部302は、前期実績表の行に含まれる項目名と当期実績表の行に含まれる項目名とが一致又は準一致しない判定した場合、(ステップS2においてNO)、又は、前期実績表の第2列の各行に含まれる数値データを当期実績表の第1列の各行に転記した後、第1電子数表の全ての行に含まれる項目名について、一致又は準一致の判定を行ったか否かを判定する(ステップS4)。
【0053】
全ての行に含まれる項目名について一致又は準一致の判定を行っていないと判定すると(ステップS4においてNO)、第1転記部302は、ステップS2からS3の処理を繰り返す。
【0054】
全ての行に含まれる項目名について一致又は準一致の判定を行った判定すると(ステップS4においてYES)、第1転記部302は、数値データを転記した当期実績表を第2転記部303に供給する。
【0055】
次に、第2転記部303は、数値データが転記された当期実績表を取得すると、第2数表格納部312から当期参照表を読み出すと共に、対応情報格納部314から対応情報を読み出す(ステップS5)。
【0056】
第2転記部303は、読み出した当期参照表の各行に含まれる項目名が、当期実績表の各行に含まれる項目名と一致又は準一致するかを判定する(ステップS6)。
【0057】
当期参照表の行に含まれる項目名と、当期実績表の行に含まれる項目名とが一致又は準一致すると判定すると(ステップS6においてYES)、第2転記部303は、読み出した当期参照表の第2列の各行に含まれる数値データを、各行の項目名と一致又は準一致すると判定された項目名を含む当期実績表の第2列の各行に転記する(ステップS7)。
【0058】
当期参照表の第2列の各行に含まれる数値データが第2行の各行に転記された当期実績表の第2列を、図7に示す。当期参照表の第2列は、図6においては、「第7〜第8期(平成21年12月15日現在)」という期間名を含む列であり、当期実績表の第2列は、図7においては、「当特定期間(平成21年12月15日現在)」という期間名を含む列である。すなわち、第2転記部303は、読み出した当期参照表のうち、最新の期間の実績値を含む列(第2の電子数表における特定列)の各行に含まれる数値データを、当期実績表のうち、最新の期間を示す列の各行に転記する。
【0059】
第2転記部303は、当期参照表の行に含まれる項目名と当期実績表の行に含まれる項目名とが一致又は準一致しない判定した場合、(ステップS6においてNO)、又は、当期参照表の第2列の各行に含まれる数値データを当期実績表の第2列の各行に転記した後、第2電子数表の全ての行に含まれる項目名について、一致又は準一致の判定を行ったか否かを判定する(ステップS8)。
【0060】
全ての行に含まれる項目名について一致又は準一致の判定を行っていないと判定すると(ステップS8においてNO)、第1転記部302は、ステップS6からS7の処理を繰り返す。
【0061】
全ての行に含まれる項目名について一致又は準一致の判定を行った判定すると(ステップS8においてYES)、第2転記部303は、数値データを転記した当期実績表を第2数表格納部312に格納し、数値転記処理を終了する。また、第2転記部303は、数値転記処理の終了通知を数表管理部301に供給する。
【0062】
このように、本実施形態に係る電子数表作成装置1は、第1転記部302において、当期実績表における第1列の各行に、前期実績表における第2列の各行に記載の数値を転記し、第2転記部303において、当期実績表における第2の列の各行に、当期参照表における第2列の各行に記載の数値を転記する。
【0063】
これによって、当期実績表を作成する場合に、前期実績表及び当期参照表から数値を転記することができるため、ユーザが新たに当期実績表に数値を入力する手間を省くことができ、さらに、数値の入力によるミスを防ぐことができる。これによって、当期実績表を新たに数表を作成する場合に、前期実績表及び当期参照表の数値を転記することによって作成効率を向上することができる。
【0064】
(準一致判定、対応情報)
ここで、図4に示すステップS2及びS6における準一致判定について、図8を参照して説明する。図8は、準一致判定の一例を示す図である。図8(a)は、前期有価証券届出書に含まれる前期実績表の一例を示し、(b)は、前期実績表を転記した当期有価証券届出書に含まれる当期実績表の一例を示し、(c)は、当期実績表を作成するために参照される当期参照表の一例を示し、(d)は、前期実績表及び当期参照表を転記した当期実績表を示す。なお、図8においては、当期参照表の数値を当期実績表に転記する場合に準一致判定が行われる場合を例に挙げて説明する。
【0065】
第1転記部302は、前記実績表の各列に含まれる項目名と当期実績表の各列に含まれる項目名とを比較し、比較した結果、何れの実績表の第1行の項目名も「A」であり、第2行の項目名も「B」であるため、一致すると判定すると、前期実績表の第2列の各行に含まれる数値を、各行の項目名と一致する項目名を有する当期実績表の第1列の行に、それぞれ転記する。
【0066】
次に、第2転記部303は、当期実績表の各列に含まれる項目名と当期参照表の各列に含まれる項目名とを比較する。ここで、当期実績表の第1行と当期参照表の第1行とに含まれる項目名は共に「A」であるため、一致すると判定されるが、当期実績表の第2行に含まれる項目名が「B」であるのに対し、当期参照表の第2行に含まれる項目名が「b」であるため、一致しないと判定される。このとき、第2転記部303はさらに、当期実績表の第2行に含まれる項目名「B」と当期参照表の第2行に含まれる項目名「b」とが類似するか否かを判定する。
【0067】
第2転記部303は、対応情報格納部314から読み出したゆらぎ情報に基づいて、準一致判定を行う。ゆらぎ情報には、項目名が類似すると判定することができる、ゆらぎの範囲が定められている。ゆらぎの範囲の一例としては、例えば、英字の大文字及び小文字、英数字の全角及び半角、片仮名文字の全角及び半角、及び、文字間のスペースの有無(例えば「元本」と「元 本」)などを挙げることができる。なお、ゆらぎの範囲を参照して行われる準一致判定を、ゆらぎ判定とも呼称する。
【0068】
当期実績表の第2行に含まれる項目名「B」と当期参照表の第2行に含まれる項目名「b」とは、英字の大文字及び小文字の関係にあるため、ゆらぎ判定により、類似していると判定される。
【0069】
第2転記部303は、当期実績表の第2行に含まれる項目名「B」と当期参照表の第2行に含まれる項目名「b」とが類似すると判定すると、当期実績表の第2列の各列に含まれる数値を、当期参照表の第2列の各行に転記し、図8(d)を作成する。
【0070】
このように、本実施形態に係る電子数表作成装置1は、第1転記部302にて、前期実績表と当期実績表とにおいて、共通の項目名または類似する項目名を含む行同士を対応行と見做し、第2転記部303において、当期参照表と当期実績表とにおいて、共通の項目名または類似する項目名を含む行同士を対応行と見做し、前期実績表及び当期参照表の第2列に含まれる各行の数値を、当期実績表の第1列及び第2列の対応行に転記することができる。
【0071】
これによって、前期実績表及び当期参照表の各行から、当期実績表の項目名と共通又は類似する項目名を含む行に記載の数値のみを転記することができる。したがって、当期実績表に含まれない項目の数値が、前期実績表及び当期参照表から転記されることを防ぎ、より正確に数値を転記することができる。
【0072】
〔電子数表の変形例〕
本実施形態では、電子数表作成装置1にて作成する電子数表は、第1電子数表が前期実績表であり、第2電子数表が当期参照表であり、第3電子数表が当期実績表である場合を例に挙げて説明したが、もちろん、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1電子数表が前期に作成された有価証券報告書の貸借対照表であり、第3電子数表が当期に作成された有価証券報告書の貸借対照表であってもよい。
【0073】
もちろん、電子数表作成装置1にて作成する電子数表は投信書類に限定されるものではなく、ある電子数表を参照して新たな電子数表を作成する場合に広く適用することができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、第1及び第2電子数表の第2列の各行に含まれる数値を第3電子数表の第1列及び第2列の各行に転記することによって第3電子数表を作成する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1電子数表の第2列の各行に含まれる数値を第1電子数表の第1列の各行に転記し、第2電子数表の第2列に含まれる数値を転記後の第1電子数表の第2列に転記することによって新しい第1電子数表(すなわち、第3電子数表)を作成する構成を採用してもよい。
【0075】
〔準一致判定の変形例〕
また、本実施形態に係る電子数表作成装置1において、ゆらぎ判定を行うことで準一致判定を実行する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、文言は異なるが、表現される内容が同じであるもの(例えば、「アメリカドル」と「米ドル」など)の対応関係が定義された対応情報を参照することで対応判定を行い、準一致判定を実行する構成を採用してもよい。
【0076】
このとき、図4のステップS2及びS6において、前期実績表及び当期参照表と当期実績表との準一致判定を実行する場合、ゆらぎ判定において類似していないと判定された場合に、対応判定を行うことで準一致判定を実行すればよい。
【0077】
このように、電子数表作成装置1において、第1転記部302は、前期実績表と当期実績表とにおいて、予め関連付けられた項目名を含む行同士を対応行と見做し、第2転記部303は、当期参照表と当期実績表とにおいて、予め関連付けられた項目名を含む行同士を対応行と見做すことで、前期実績表及び当期参照表の各行に含まれる数値を、当期実績表の対応行に転記することができる。
【0078】
これによって、前期実績表及び当期参照表の各行から、当期実績表の項目名と関連付けられた項目名を含む行に記載の数値のみを転記することができる。したがって、当期実績表に含まれない項目の数値が、前期実績表及び当期参照表から転記されることを防ぎ、より正確に数値を転記することができる。
【0079】
〔数値転記処理の変形例1〕
なお、本実施形態では、前期実績表、当期参照表及び当期実績表の各行から当期実績表の対応する各行に含まれる数値を転記する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前期実績表、当期参照表及び当期実績表が各行に期間名を含み、各列に項目名及び実績値を含む表(すなわち、上述した前期実績表、当期参照表及び当期実績表と行列が入れ替わった表)である場合に、当期実績表における第1行の各列に、前期実績表における特定行の対応列に記載の数値を転記し、当期実績表における第2行の各列に、当期参照表における特定行の対応列に記載の数値を転記する構成を採用してもよい。
【0080】
これによって、前期実績表及び当期参照表の各列から、当期実績表の項目名と一致又は準一致する項目名を含む列に記載の数値のみを転記することができる。したがって、当期実績表に含まれない項目の数値が、前期実績表及び当期参照表から転記されることを防ぎ、より正確に数値を転記することができる。
【0081】
〔数値転記処理の変形例2〕
また、本実施形態では、第1及び第2電子数表の各行に含まれる数値を第3電子数表の対応する各行に転記する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1電子数表の各行に含まれる数値を、第2電子数表の対応する各行に含まれる数値に置き換えることによって第3電子数表を作成する構成を採用してもよい。
【0082】
本変形例では、電子数表作成装置1にて作成する電子数表は投信書類であって、第1電子数表が前期有価証券届出書の純資産額計算書(以降、前期純資産額計算書とも呼称する)であり、第3電子数表が当期有価証券届出書の純資産額計算書(以降、当期純資産額計算書とも呼称する)であり、第2電子数表が当期純資産額計算書を作成するために参照される実績表(以降、当期資産額参照表とも呼称する)である場合を例に挙げ、図9から図11を参照して説明する。
【0083】
図9は、本変形例に係る電子数表作成装置1が作成した前期純資産額計算書の一例を示す図である。図10は、本変形例に係る電子数表作成装置1が当期純資産額計算書を作成するために参照する当期純資産額計算書の一例を示す図である。図11は、本変形例に係る電子数表作成装置1が作成する当期純資産額計算書の一例を示す図である。
【0084】
前期純資産額計算書の各行に含まれる数値を、当期純資産額計算書の対応する各行に含まれる数値に置き換える場合、第2転記部303は、第1数表格納部311から読み出した前期純資産額計算書の各行に含まれる項目名と、第2数表格納部312から読み出した当期資産額参照表の各行に含まれる項目名とが、一致又は準一致するかを判定する。
【0085】
なお、第2転記部303は、図9に示す前記純資産額計算書の第5行に含まれる項目名「1口当たり純資産額」、及び、図10に示す当期資産額参照表の第5行に含まれる項目名「1口当たり純資産額」の「1」が数字の全角と半角とで異なるが、上述したゆらぎ判定によって類似であると判定することができる。また、第2転記部303は、前記純資産額計算書の第1行から第4行に含まれる項目名と、当期資産額参照表の第1行から第4行に含まれる項目名とが一致すると判定する。
【0086】
次に、第2転記部303は、前期純資産額計算書の各行に含まれる数値を、当期資産額参照表の対応する各行に含まれる数値に置き換えることにより、図11に示す当期純資産額計算書を作成する。これによって、第1電子数表の各行に含まれる数値を第2電子数表の対応する各行に含まれる数値に置き換えることによって、第3電子数表を作成することができる。
【0087】
<実施形態2>
本発明の他の実施形態に係る電子文書作成装置、及び、電子文書作成方法について、図12及び図13を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1に係る構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとする。図12は、本実施形態に係る電子数表作成装置1が備える制御部30及び記憶部31の構成を示すブロック図である。
【0088】
本変形例に係る電子数表作成装置1は、制御部30の替わりに制御部33を備えていること以外は実施形態1に記載の電子数表作成装置1と同じ構成である。
【0089】
(制御部、記憶部の構成)
本実施形態に係る電子数表作成装置1が備える制御部33は、図12に示すように、数表管理部301、第1転記部332、第2転記部333、及び、スクリプト作成部334(スクリプト作成手段)を備えている。なお、各部材の詳細については後述する。
【0090】
本実施形態では、電子数表作成装置1にて作成する電子数表は投信書類であって、第1電子数表が前期実績表であり、第3電子数表が当期実績表であり、第2電子数表が当期参照表である場合を例に挙げて説明する。
【0091】
当期実績表の流れについて、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る電子数表作成装置1における、当期実績表作成の流れを示すシーケンス図である。
【0092】
(スクリプトの作成)
まず、図13に示すように、入力部20は、電子数表の作成に関してユーザが行う指定を記録したスクリプト情報(スクリプト)を作成するためのスクリプト記録指示の入力を受け付けると、受け付けたスクリプト記録指示を、通信部23を介してスクリプト作成部334に通知する。スクリプト記録指示を取得したスクリプト作成部334は、次の一連のユーザ指定を受け付ける。
【0093】
入力部20は、電子数表の作成に関してユーザが行うユーザ指示を受け付ける。具体的には、入力部20は、まず、前期実績表の何れの列の各行に含まれる数値を、当期実績表の何れの列の対応する各行に転記するかを指定する、前期実績表の特定列の列番号指定操作、及び、当期実績表の特定列の列番号指定操作を受け付ける。
【0094】
また、入力部20は、当期参照表の何れの列の各行に含まれる数値を、当期実績表の何れの列の対応する各行に転記するかを指定する、当期参照表の特定列の列番号指定操作、及び、当期実績表の特定列の列番号指定操作を受け付ける。
【0095】
入力部は、受け付けた列番号指定操作によって指定された列番号のユーザ指定情報を、通信部23を介してスクリプト作成部334に供給する。
【0096】
スクリプト作成部334は、取得したユーザ指定情報に基づいて、前期実績表の特定列の列番号、及び、当期実績表の特定列の列番号を関連付け、第1スクリプトとする。また、スクリプト作成部334は、当期参照表の特定列の列番号、及び、当期実績表の特定列の列番号を関連付け、第2スクリプトとする。スクリプト作成部334は、第1スクリプト及び第2スクリプトを1つのスクリプト情報として対応情報格納部314に格納する。
【0097】
例えば、スクリプト作成部334は、前期実績表の特定列として第2列、当期実績表の特定列として第1列が指定されていた場合には、前期実績表の第2列と当期実績表の第1列とを関連付けて第1スクリプトとし、当期参照表の特定列として第2列、当期実績表の特定列として第2列が指定されていた場合には、当期参照表の第2列と当期実績表の第2列とを関連付けて第2スクリプトとする。
【0098】
(当期実績表の作成)
スクリプト情報の作成が終了すると、入力部20は、図13に示すように、当期実績表の作成開始指示の入力を受け付け、受け付けた当期実績表の作成開始指示を、通信部23を介して数表管理部301に通知する。
【0099】
数表管理部301は、当期実績表の作成開始指示を取得すると、数値転記処理を実行するように、第1転記部332に通知する。第1転記部332は、数値転記処理の実行指示を取得すると、第2転記部333と共に、数値転記処理を実行する。なお、数値転記処理については後述する。また、第2転記部333は、数値転記処理が終了すると、数表管理部301に終了通知を供給する。
【0100】
数表管理部301は、第2転記部303から終了通知を取得すると、第3数表格納部313から数値転記処理によって当期実績値が反映された当期実績表を読み出し、通信部32を介して表示制御部21に供給する。表示制御部21は、供給された当期実績表を表示部22に表示する。
【0101】
入力部20は、表示部22に表示される当期実績表のうち、当期実績値が反映されていない項目名を有する行に対する数値の入力を受け付ける。入力部20は、受け付けた数値データを表示制御部21に供給する。
【0102】
表示制御部21は、供給された数値データを当期実績表に反映し、反映した当期実績表を表示部22に表示する。すなわち、ユーザは、当期実績表を作成する際に、当期参照表に含まれる項目名と一致又は準一致しない項目名を含む行について数値データを入力するだけで、当期実績表を作成することができる。
【0103】
表示制御部21は、入力された数値データを当期実績表に反映すると、反映した当期実績表を通信部23を介して数表管理部301に供給する。数表管理部301は、供給された当期実績表を第3数表格納部313に格納する。
【0104】
(数値転記処理)
次に、数値転記処理について、図14を参照して説明する。図14は、本実施形態に係る電子数表作成装置1の数値転記処理の流れを示すフローチャートである。
【0105】
第1転記部332は、数表管理部301から数値転記処理の実行指示を取得すると、図14に示すように、第1数表格納部311から、前期実績表の表データを読み出すと共に、第3数表格納部313から数値データの入力されていない当期実績表を読み出し、対応情報格納部314からスクリプト情報を読み出す。(ステップS11)。
【0106】
第1転記部332は、読み出したスクリプト情報に含まれる第1スクリプトを参照し、前期実績表の特定列の各行に含まれる数値を、当期実績表の特定列の各行に転記する(ステップS12)。
【0107】
前期実績表の特定列の各行に含まれる数値を、当期実績表の特定列の各行に転記すると、第1転記部332は、数値データを転記した当期実績表を第2転記部333に供給する。
【0108】
次に、第2転記部333は、数値データが転記された当期実績表を取得すると、第2数表格納部312から当期参照表を読み出すと共に、対応情報格納部314からスクリプト情報を読み出す(ステップS13)。
【0109】
第1転記部332は、読み出したスクリプト情報に含まれる第1スクリプトを参照し、当期参照表の特定列の各行に含まれる数値を、当期実績表の特定列の各行に転記する(ステップS14)。
【0110】
当期参照表の特定列の各行に含まれる数値を、当期実績表の特定列の各行に転記すると、第2転記部333は、数値データを転記した当期実績表を第2数表格納部312に格納し、数値転記処理を終了する。また、第2転記部333は、数値転記処理の終了通知を数表管理部301に供給する。
【0111】
これによって、ユーザは、第1及び上記第2の電子数表の特定列の列番号、及び、第3の電子数表の特定列の列番号を一度指定することで、以降に同じ操作をする必要がなくなるため、上記第3の電子数表を新たに数表を作成する場合に、作成効率を向上することができる。
【0112】
〔数値転記処の変形例1〕
なお、本実施形態では、ステップS12及びS14において、スクリプト情報を参照することによって、前期実績表及び当期参照表の特定列の各行に含まれる数値を、当期実績表の特定列の各行に転記する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。もちろん、ステップS12及び14において、スクリプト情報によって関連付けられた、前期実績表及び当期参照表の特定列に含まれる項目名と、当期実績表の特定列に含まれる項目名とが一致又は準一致するかを判定してもよい。
【0113】
具体的には、第1転記部332は、前期実績表及び当期実績表の特定列に含まれる項目名が一致するか否かを判定し、一致しないと判定した項目に対してゆらぎ判定及び対応判定により準一致しているか否かを判定すればよい。また、第2転記部333は、当期参照表及び当期実績表の特定列に含まれる項目名が一致するか否かを判定し、一致しないと判定した項目に対してゆらぎ判定及び対応判定により準一致しているか否かを判定すればよ。
【0114】
〔数値転記処の変形例2〕
本実施形態では、スクリプト情報が、前期実績表の特定列の列番号と当期実績表の特定列の列番号、及び、当期参照表の特定列の列番号と当期実績表の特定列の列番号をそれぞれ関連付けている構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0115】
例えば、スクリプト情報は、前期実績表の特定列に含まれる特定行と、当期実績表の特定列に含まれる特定行とを関連付け、当期参照表の特定列に含まれる特定行と、当期実績表の特定列に含まれる特定行とを関連付けていてもよい。この場合、入力部20は、図13に示すユーザ指定により、前期実績表及び当期参照表の特定列に含まれる何れの行と、当期実績表の特定列に含まれる何れの行とを関連付けるかの指定を受け付ければよい。
【0116】
(プログラム、記憶媒体)
電子数表作成装置1の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0117】
後者の場合、電子数表作成装置1は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである電子数表作成装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、電子数表作成装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0118】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0119】
また、上記プログラムコードは、通信ネットワークを介して電子数表作成装置1に供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE80211無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0120】
なお、ここで開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、例えば、共通の項目を有する2つ以上の電子数表を作成する電子数表作成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 電子数表作成装置
2 入力装置
3 サーバ
20 入力部
21 表示制御部
22 表示部
23 通信部
30 制御部
31 記憶部
32 通信部
301 数表管理部
302 第1転記部(第1の転記手段)
303 第2転記部(第2の転記手段)
311 第1数表格納部
312 第2数表格納部
313 第3数表格納部
314 対応情報格納域
332 第1転記部(第1の転記手段)
333 第2転記部(第2の転記手段)
334 スクリプト作成部(スクリプト作成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成装置であって、
上記第3の電子数表における第1の列の各行に、上記第1の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第1の転記手段と、
上記第3の電子数表における第2の列の各行に、上記第2の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第2の転記手段と、を備えていることを特徴とする電子数表作成装置。
【請求項2】
上記第1の電子数表、上記第2の電子数表、及び上記第3の電子数表の各行には、項目名が含まれており、
上記第1の転記手段は、上記第1の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、共通の項目名または類似する項目名を含む行同士を対応行と見做し、
上記第2の転記手段は、上記第2の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、共通の項目名または類似する項目名を含む行同士を対応行と見做し、ことを特徴とする請求項1に記載の電子数表作成装置。
【請求項3】
上記第1の電子数表、上記第2の電子数表、及び上記第3の電子数表の各行には、項目名が含まれており、
上記第1の転記手段は、上記第1の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、予め関連付けられた項目名を含む行同士を対応行と見做し、
上記第2の転記手段は、上記第2の電子数表と上記第3の電子数表とにおいて、予め関連付けられた項目名を含む行同士を対応行と見做す、ことを特徴とする請求項1に記載の電子数表作成装置。
【請求項4】
ユーザが指定した上記第1及び第2の電子数表における特定列の列番号、並びに、ユーザが指定した上記第3の電子数表の上記第1の列及び上記第2の列の列番号を記録したスクリプトを作成するスクリプト作成手段を更に備え、
上記第1の転記手段は、上記スクリプトが存在するときに、該スクリプトを参照することによって、上記第1の電子数表における特定列、及び、上記第3の電子数表における上記第1の列がどの列であるかを特定し、
上記第2の転記手段は、上記スクリプトが存在するときに、該スクリプトを参照することによって、上記第3の電子数表における上記第2の列がどの列であるかを特定する、ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の電子数表作成装置。
【請求項5】
上記第1の電子数表は、前期実績を表す上記特定列を含む、前期以前の各期実績を表す前期実績表であり、上記第3の電子数表は、前期実績を表す上記第1の列と当期実績を表す上記第2の列とを含む、当期以前の各記実績を表す当期実績表である、ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の電子数表作成装置。
【請求項6】
第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成装置であって、
上記第3の電子数表における第1の行の各列に、上記第1の電子数表における特定行の対応列に記載の数値を転記する第1の転記手段と、
上記第3の電子数表における第2の行の各列に、上記第2の電子数表における特定行の対応列に記載の数値を転記する第2の転記手段と、を備えていることを特徴とする電子数表作成装置。
【請求項7】
第1及び第2の電子数表から第3の電子数表を作成する電子数表作成方法であって、
上記第3の電子数表における第1の列の各行に、上記第1の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第1の転記ステップと、
上記第3の電子数表における第2の列の各行に、上記第2の電子数表における特定列の対応行に記載の数値を転記する第2の転記ステップと、を含んでいることを特徴とする電子数表作成方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から6までの何れか1項に記載の電子数表作成装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記電子数表作成装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−118619(P2012−118619A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265539(P2010−265539)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(597095599)株式会社プロネクサス (8)
【Fターム(参考)】