説明

電子時計

【課題】近距離無線モジュールの電源を、使用者の近距離無線通信の使用意図に反して切断することの少ない、かつ、必要のない場合には、より確実に切断することのできる電子時計を提供する。
【解決手段】電子時計は、外部機器と近距離無線通信を行い、時刻情報等の情報を表示する表示手段と、アンテナを介して外部機器と近距離無線通信を行う通信手段と、時計本体の傾く動きを検出する傾斜検出手段(S1〜S5)と、時計本体の加速する動きを検出する加速度検出手段(S7)と、通信手段が通電状態にあるときに、傾斜検出手段および加速度検出手段でそれぞれ時計本体の動きが検出されなかった場合に通信手段の電源をオフにする電源切断手段(S10)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器との間で近距離無線通信を行う電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルートゥース(Bluetooth;登録商標)などの近距離無線通信技術における低消費電力化の進展に伴い、電子時計と外部機器としてスマートフォン等の携帯電話機との間で原則、常時通信接続を行い、両者で各種通信を行うような使用方法が可能になりつつある。通信例としては、スマートフォンの時刻情報を電子時計に送信したり、電話やメールの着信を電子時計に知らせ、鳴っているときに電子時計を操作すればスマートフォンの着信音やバイブレーションを停止させるといったことが考えられている。
【0003】
近距離無線通信技術を用いてスマートフォン等の携帯電話と原則常時接続を指向する電子時計の場合、内蔵されるボタン一次電池を搭載して、通常の腕時計並の数年の電池寿命を有することが求められている。スマートフォン等と、たとえばブルートゥースにて原則常時接続するに際しては、送受信を司るブルートゥースモジュールの動作電流が電池寿命に大きく影響を及ぼす。したがって、使用者に対する実質的な常時接続性を確保する一方で電池寿命を延ばすためには、ブルートゥースモジュールの電源をこまめにON/OFFさせて、ブルートゥースモジュールの積算通電時間を極力少なくする必要がある。
【0004】
特許文献1には、加速度、傾斜センサを備えた電子式歩数計において、傾斜センサにより歩数計が傾斜していると判断されたときに加速度センサにより歩数を計数する様に構成されている電子式歩数計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−178303号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、時計装着時における使用者の活動状況は、歩く、走るという動作以外にも、様々な動作がある。したがって、会議中や電車内での腕組や、高速道路の車運転中などのような静止に近い動作に対しては十分な検知ができずに、ブルートゥースモジュールの電源を切る機能が働いてしまうと、以下のような課題が存在する。
すなわち、従来の電子時計の使用態様は、おもに、必要な時に使用者が時計の時刻を見るといった、間歇的な時計機能の利用であった。よって、必要があれば、使用者が例えば腕を振る等の動作をすることに起因させて、時刻表示のオフを解除し、時刻表示を復活させればよかった。しかし、常時接続指向の場合、ブルートゥースモジュールの電源が切れていると、使用者が気づいて例えば腕を振ってブルートゥースモジュール電源をオンにしたとしても、それまでの間は、スマートフォンから着信情報があっても時計は着信出来ず、着信情報を受け取れないという課題が存在してしまう。したがって、スマートフォンとブルートゥースにて原則常時接続するに際しては、より一層緻密な動作検出・節電技術が必要であった。
【0007】
この発明の目的は、外部機器としてスマートフォン等の携帯電話機とブルートゥースなどの近距離無線通信を行う際に比較的大きな電力を消費する近距離無線モジュールの電源を、使用者の近距離無線通信の使用意図に反して切断することの少ない、かつ、必要のない場合には、より確実に切断することのできる電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、
外部機器と近距離無線通信を行う電子時計において、
時刻情報等の情報を表示する表示手段と、
アンテナを介して前記外部機器と近距離無線通信を行う通信手段と、
前記電子時計本体の傾く動きを検出する傾斜検出手段と、
前記電子時計本体の加速する動きを検出する加速度検出手段と、
前記通信手段が通電状態にあるときに、前記傾斜検出手段および前記加速度検出手段でそれぞれ前記電子時計本体の動きが検出されなかった場合に前記通信手段の電源をオフにする電源切断手段と、
を備えていることを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従うと、外部機器としてスマートフォン等の携帯電話機とブルートゥースなどの近距離無線通信をする際に比較的大きな電力を消費する近距離無線モジュールの電源切断をより効率的に行うことができる電子時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電子時計40の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子時計40とリンクされるスマートフォン10の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電子時計40がスマートフォン10と無線リンクされている様子を示す図である。
【図4】電子時計40を使用者が腕に装着している様子を示す図である。
【図5】使用者の腕に装着された状態で示した本実施形態に係る電子時計40に内蔵されている傾斜センサ60と加速度センサ62を説明するための図である。
【図6】「パワーセービング処理」の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】電子時計40が、パワーセーブモードに入っている場合における、「パワーセービング解除処理」の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電子時計40の内部構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施形態に係る電子時計40と外部機器としてリンクされるスマートフォン10の内部構成を示すブロック図である。
【0013】
電子時計40は、図1に示すように、機器の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)41と、CPU41が実行する制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)42と、CPU41に作業用のメモリ領域を提供するRAM(Random Access Memory)43と、外部から操作可能で、モードを切換用のスイッチ及び外部から操作可能で、外部から時刻データを設定するための複数のスイッチを有するスイッチ部44と、現在時刻データを計数する時刻計数手段としての計時回路45と、電子時計40本体の正面部に設けられ時刻表示や種々の機能表示を行う表示手段としてのLCD(液晶表示部)46と、LCD46を駆動する液晶ドライバ47と、アンテナAN411を介して近距離無線通信を行う通信手段としてのブルートゥースモジュール48(近距離無線モジュール)と、ブルートゥースモジュール48を介して送受信されるデータに対してシリアル/パラレル変換等のデータ処理を行うUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)49と、振動によりユーザに通知を行う振動モータ50およびそのドライバ51と、発光点滅等によりユーザに通知を行ったり文字盤を照らしたりする発光ダイオード(LED)52およびそのドライバ53と、ブザー音によりユーザに通知を行うピエゾ素子54およびそのドライバ55と、電子時計の傾きを検出する傾斜センサ60およびその検出回路61と、電子時計40に掛かる加速度を検出する加速度センサ62およびその検出回路63と、各部に動作電圧を供給する電源部64と電源部64に収納される電池64aと、CPU41と各部との間で信号をやり取りするバス58等を備えている。
【0014】
なお、本実施形態において、ブルートゥースモジュールと称する部分は、ブルートゥースRFチップ、ブルートゥース送受信部などと呼ばれることもある。一般的に、モジュールと呼ぶ場合には、制御するアプリケーション又はOSも一括して含んでいる概念であることが多く、チップと呼ぶ場合には、チップを制御するアプリケーション又はOSが別のところにある場合をいうことが多い。本実施形態では、ブルートゥースにおける送信や受信を司る機能であって電力の消費量の多い部分を特定する用語として「ブルートゥースモジュール」いう用語を用いる。その意味において、ブルートゥースRFチップ、ブルートゥース送受信部、無線受信部という用語も「ブルートゥースモジュール」と同義である。
【0015】
電子時計40のROM42には、制御プログラムとして、計時回路45の計時データに従って時刻表示を行ったり設定時刻にアラーム動作を行ったりする基本時計モード処理、スイッチ部44の入力に応じて動作モードを変更したり各種設定を行う操作入力処理、ユーザによりペアリング操作が行われた場合にペアリング処理および、スマートフォン10との各種連携動作を行う連携処理の各プログラムが格納されている。
【0016】
スマートフォン10は、図2に示すように、機器の全体的な制御を行うCPU11と、CPU11が実行する制御プログラムや制御データを格納したROM12と、CPU11に作業用のメモリ空間を提供するRAM13と、複数の操作キーを有する操作部14と、種々の機能表示を行うLCD(液晶表示部)15およびその表示ドライバ16と、通話時の音声入出力を行うスピーカ17およびマイク18と、入出力される音声信号とデジタルデータとの相互変換を行うコーデック19と、アンテナAN111を介して基地局との間で無線信号の送受信を行うRF送受信回路20と、コーデック19から入出力される通話音声のデジタルデータや種々の送受信データの変調および復調処理を行う通信回路21と、アンテナAN112を介して近距離無線通信を行うブルートゥースモジュール22と、ブルートゥースモジュール22を介して送受信されるデータに対してシリアル/パラレル変換等のデータ処理を行うUART23と、振動により着信を知らせる振動モータ24およびそのドライバ25と、現在時刻を計数する内蔵時計27と、CPU11と各部との間で信号をやりとりするバス28等を備えている。
【0017】
次に、上記のように構成された電子時計40の動作について説明する。
【0018】
図3は、本発明に係る実施形態に係る電子時計40がスマートフォン10と無線リンクされている様子を示す図である。図4は、使用者が電子時計40を腕に装着している様子を示す図である。図5は、使用者の腕に装着された状態で示した本実施形態に係る電子時計40に内蔵されている傾斜センサ60と加速度センサ62を説明するための図である。
【0019】
図3のように、電子時計40は、ブルートゥースでの近距離無線通信機能を有し、スマートフォン10とデータ通信を行うことが可能になっている。電子時計のブルートゥースモジュール48は、スマートフォン10のブルートゥースモジュール22と通信接続を行ってデータ通信を行うものである。ブルートゥースモジュール48は、無線通信を送受信するためにRFチップ(RF回路)などのアナログ回路を有し、この部分の動作電流により比較的大きな電力を消費する。ブルートゥースモジュール48は、予めペアリングと呼ばれる通信設定処理を行うことで、互いのデバイス情報や認証鍵のデータが無線信号により通信相手と交換され、その後、この通信設定処理を毎回行うことなく、この通信相手と自動的に或いは半自動的に通信接続されたり解除されたりするようになっている。例えば、電子時計40とスマートフォン10とが電波が届かない範囲に離れれば通信接続が解除され、電波が届く範囲に近づけば自動的に通信接続されたり、或いは接続の操作により半自動的に通信接続されたりする。このように、近距離にスマートフォン10が存在すると、常にリンクしているのが電子時計40の特徴である。
【0020】
また、使用者は、電子時計40のスイッチ操作によってブルートゥース機能をオン、オフすることができる。スイッチ操作でブルートゥース機能をオフする時は、接続は切れてもブルートゥースモジュールの電源は切れない。また、時計表示は消えない。
【0021】
電子時計40には、パワーセービング機能が備えられている。パワーセービング機能とは、パワーセービング機能の設定をオンにした状態で下記に詳述する条件になったときに、電子時計40のブルートゥースモジュール48の電源を切り、時計の表示を消すものである。なお、時計表示が消えても、時計の計時等の機能は動作している。ブルートゥースモジュール48の電源を切ると、僅かなリーク電流以外消費しない。一方、パワーセービング機能をオフに設定すると、電子時計40はパワーセーブ状態にならず、ブルートゥースモジュール48の電源は24時間切れない。
【0022】
次に、電子時計40に内蔵されている傾斜センサ60、加速度センサ62の動作について説明する。図4のように、使用者は電子時計40を腕1に装着しており、図示しないスマートフォン10が、たとえば使用者の鞄の中に収納されていると仮定する。電子時計40を装着している使用者は様々な動作をするのであるが、電子時計40の表示を見ようとしたり、スイッチ部44を操作したりする際に、図4に示すような、ほぼ腕の軸を中心とする回転運動を行うことが多い。この回転運動は、時計表示における6時−12時方向の動作である。以下、電子時計40の表示面の6時−12時方向を6H方向と称する。また、電子時計40の表示面の6H方向を、縦軸方向、それと直交する軸の方向を横軸方向と称する。
【0023】
このような事情を考慮して本実施形態では、例えば、6H方向での傾く動きを検知する傾斜センサ60を図5のように、電子時計40本体に内蔵する。傾斜センサ60は、例えば、6H方向という1軸方向(縦軸方向)のみの傾斜を検出する。
【0024】
しかしながら、傾斜センサ60のみでは、会議中や電車内での腕組や、高速道路の車運転中などのような静止に近い動作に対しては微妙な動きを検知できずに、パワーセービング機能が働いてしまう。そこで、加速度センサ62を図5に示すように、併用する。加速度センサ62の検出方向は、例えば、図4、図5に示すように、傾斜センサ60の傾斜検出方向と直行する方向のZ軸方向である、電子時計40のガラス(表示面)と垂直方向(Z軸方向)とする。そして、加速度センサ62は、2軸検出型では消費電力が1軸検出型の概ね倍になってしまうので例えば、1軸型を用いる。
【0025】
さらに、単純に加速度センサ62を長時間稼働させると電池64aの電力消費が大きくなるので、加速度センサ62は、加速度を検出する時以外は電池64aからの電源供給をオフしておく。
【0026】
図6は、「パワーセービング処理」の制御手順を示すフローチャートである。以下、電子時計40による「パワーセービング処理」動作について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
「パワーセービング処理」が開始されると、CPU41は先ず、スリープカウンタのカウンタ変数iをi=0に設定する(ステップS1)。次にCPU41は、10分キャリーか否か確認する。すなわち、毎時0分、10分、20分、・・・50分であるか否かを判別する(ステップS2)。現在が10分キャリーでなければ「NO」へ分岐して、ステップS2の処理を繰り返す。現在が10分キャリーであれば、「YES」へ分岐してステップS3に移行する。ステップS3ではCPU41は、傾斜センサ60の出力がONになったか否かを判別する。傾斜センサ60の出力が検出されないと判断されるとCPU41は「NO」へ分岐してスリープカウンタのカウンタ変数を1増加させる(i=1)(ステップS4)。次に、ステップS5に移行する。ステップS3で傾斜センサの出力がONになったと判断されると、CPU41は、「YES」へ分岐して、「パワーセービング処理」の初期、ステップS1に戻る。
【0028】
ステップS5において、CPU41は、スリープカウンタのカウンタ変数がi=6であるか否か確認する。i=6でなければ、「NO」へ分岐して、ステップS2に戻る。スリープカウンタのカウンタ変数がi=6であれば、「YES」へ分岐して、ステップS6に移行する。ここで、スリープカウンタがi=6であるということは、10分毎の計測にて、傾斜センサのオンを6回連続して検出しなかったことを意味する。ここで、CPU41、傾斜センサ60、検出回路61、およびステップS1〜ステップS5が傾斜検出手段である。
【0029】
ステップS6では、CPU41は、加速度センサ62の電源をオンし、加速度センサ62により加速する動きが検出されるか否か確認する(ステップS7)。加速する動きが検出されなかったら、「NO」に分岐して、加速度センサ62の電源をオフにし(ステップS9)、ブルートゥースモジュール48の電源を切断するとともに、時計表示をオフする(ステップS10)。そして、パワーセービング処理を終了する。一方、ステップS7にて、加速度が検出されたら、加速度センサの62電源をオフにして(ステップS8)、「パワーセービング処理」の初期、ステップS1に戻る。ここで、CPU41、加速度センサ62、検出回路63、およびステップS7が加速度検出手段である。また、CPU41およびステップS10が電源切断手段である。また、CPU41、ステップS6、ステップS8、ステップS9が加速度センサ電源制御手段である。
【0030】
以上の通り、CPU41は傾斜センサ60を用いて10分毎に6回測定して6回連続して時計本体の傾く動きが検出されなかった場合に、加速度センサ62を電源オンにして、時計本体の加速する動きを検出し、検出されない場合、ブルートゥースモジュール48の電源を切断するとともに、時計表示をオフする。このようにすることで、効率的なパワーセービング機能を実現することができる。ここで、傾斜センサ60を用いた10分毎の6回測定を「所定期間内の時計本体の傾き検出」と呼ぶ。また、10分毎の6回測定としたが、10分毎の12回測定や5分毎の6回測定とすることも可能である。
【0031】
なお、パワーセービング機能として、ステップS10において、ブルートゥースモジュールの電源を切るタイミングと、時計表示をオフするタイミングを同時としているが、同時に限定する必要はない。たとえば、傾斜センサ60が所定回数傾斜を検出しなかった時点で(ステップS5で「YES」へ分岐した時点で)電源切断手段が時計表示をオフし、次に、加速度センサが加速度を検出しなかった場合に、ステップS10で電源切断手段がブルートゥースモジュールの電源を切っても良い。
【0032】
図7は、電子時計40が、パワーセーブモードに入っている場合における、「パワーセービング解除処理」の手順を示すフローチャートである。
【0033】
「パワーセービング処理」が開始されると、CPU41は先ず、ブルートゥースモジュール48の電源がオフ状態であること、時計表示がオフ状態であること確認する(ステップS21)。次に、CPU41は、傾斜センサ60による時計本体の傾く動き又は使用者によるキー入力(スイッチ部44の入力)が検出されたか判別する(ステップS22)。ステップS22にて、傾斜センサ60による時計本体の動きおよび使用者によるキー入力のいずれも検出されなかったと判別されたときは、「NO」へ分岐して、ステップS21に戻る。
【0034】
一方、ステップS22にて、いずれかが検出されたと判断されれば、ステップS22で「YES」へ分岐して、CPU41は、ブルートゥースモジュール48の電源を投入し、時計表示もオンにする(ステップS23)。続いてCPU41はスリープカウンタのカウンタ変数iをi=0に設定する(ステップS24)。そして、パワーセービング解除処理を終了する。
【0035】
このように、パワーセービング解除処理は、使用者によるキー入力、又は傾斜センサ60による時計本体の傾く動きで解除処理が行われる。例えば電子時計40を装着せず所定時間放置していた状態から、時計を装着すると、傾斜センサ60が働き、パワーセーブを解除してブルートゥースモジュールの電源がオンされ、時計表示もオンになる。そして、スマートフォンとの間で通信接続し得る状態になる。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る電子時計40では、ブルートゥースモジュール48が通電状態にあるときに、傾斜検出手段41、61、S1〜S5および加速度検出手段41、63、S7でそれぞれ時計本体の動きが検出されなかった場合にブルートゥースモジュール48の電源をオフにするので、スマートフォン等の携帯電話機とブルートゥースなどの近距離無線通信をする際に大きな消費電流を占めるブルートゥースモジュールの電源切断をより効率的に行うことができる電子時計を提供することができる。
【0037】
また、加速度検出手段は、傾斜検出手段により所定期間内に時計本体の傾く動きが検出されない場合に、加速度検出手段による時計本体の加速する動きの検出を実行するようにしたので、加速度検出手段の使用を抑えることで、電子時計40全体での節電効果を高めることができる。
【0038】
また、電源切断手段は、ブルートゥースモジュールの電源オフと同時に、表示手段の表示をオフするので、表示手段の表示を同時に切断することができ、さらに電子時計40全体での節電効果を高めることができる。
【0039】
また、電源切断手段は、傾斜検出手段により所定期間内に時計本体の傾く動きが検出されなかった場合に、表示手段の表示をオフにすることもでき、さらに電子時計40全体での節電効果を高めることができる。
【0040】
また、加速度検出手段は加速度センサ62を含み、加速度センサが計測状態になっていない場合に、前記加速度センサの電源をオフする加速度センサ電源制御手段41、S6、S8、S9をさらに備えていることにより、さらに電子時計40全体での節電効果を高めることができる。
【0041】
さらに、傾斜検出手段は、時計の表示面の縦軸方向について時計本体の傾く動きを検出するとともに、加速度検出手段は、時計の表示面に直行する軸方向の時計本体の加速する動きを検出することにより、傾斜センサと加速度センサの構造を簡単にすることができ、コスト低減を図ることができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記の実施形態では通信手段としてブルートゥースのモジュールを例示したが、例えば、WibreeやZigBee(登録商標)などの各種の省電力短距離無線通信を適用することもできるし、また、独自規格の短距離無線通信を適用することもできる。
【0043】
また、上記の実施形態では、傾斜センサが所定期間内に時計本体の傾く動きが検出されなかった場合に、加速度センサは加速度検出を1回行う仕様としているが、例えば、加速度検出は1分や2分おきに複数回(一定周期で複数回)検出して、加速度が検出されなかった場合にブルートゥースモジュールの電源を切るように構成されても良い。また、上記の実施形態では、加速度センサ62の検出方向は、図4、図5に示すように、傾斜センサ60の傾斜検出方向と直交する方向のZ軸方向としたが、これに限らず、例えば、3時−9時方向のY軸方向としてもよい。さらに、電子時計と近距離無線通信する外部機器として、スマートフォンを例示したが、普通の携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)などの電子機器であってもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記]
<請求項1>
外部機器と近距離無線通信を行う電子時計において、
時刻情報等の情報を表示する表示手段と、
アンテナを介して前記外部機器と近距離無線通信を行う通信手段と、
前記電子時計本体の傾く動きを検出する傾斜検出手段と、
前記電子時計本体の加速する動きを検出する加速度検出手段と、
前記通信手段が通電状態にあるときに、前記傾斜検出手段および前記加速度検出手段でそれぞれ前記電子時計本体の動きが検出されなかった場合に前記通信手段の電源をオフにする電源切断手段と、
を備えていることを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記加速度検出手段は、
前記傾斜検出手段により所定期間内に前記電子時計本体の傾く動きが検出されない場合に、前記加速度検出手段による前記電子時計本体の加速する動きの検出を実行することを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記電源切断手段は、
前記通信手段の電源をオフするとともに、前記表示手段の表示をオフすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項4>
前記電源切断手段は、
前記傾斜検出手段により所定期間内に前記電子時計本体の傾く動きが検出されなかった場合に、前記表示手段の表示をオフすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項5>
前記加速度検出手段は、
加速度センサを含み、前記加速度センサが計測状態になっていない場合に、前記加速度センサの電源をオフする加速度センサ電源制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項6>
前記傾斜検出手段は、前記電子時計の表示面の縦軸方向について前記電子時計本体の傾く動きを検出するとともに、前記加速度検出手段は、前記電子時計の表示面に直行する軸方向の前記電子時計本体の加速する動きを検出することを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【符号の説明】
【0045】
1 腕
10 スマートフォン
22 ブルートゥースモジュール
27 内蔵時計
40 電子時計
41 CPU(傾斜検出手段、加速度検出手段、電源切断手段、加速度センサ電源制御手段)
42 ROM
43 RAM
44 スイッチ
45 計時回路
46 LCD(液晶表示部)
48 ブルートゥースモジュール(近距離無線モジュール)
60 傾斜センサ(傾斜検出手段)
61 検出回路(傾斜検出手段)
62 加速度センサ(加速度検出手段)
63 検出回路(加速度検出手段)
64 電源部
64a 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と近距離無線通信を行う電子時計において、
時刻情報等の情報を表示する表示手段と、
アンテナを介して前記外部機器と近距離無線通信を行う通信手段と、
前記電子時計本体の傾く動きを検出する傾斜検出手段と、
前記電子時計本体の加速する動きを検出する加速度検出手段と、
前記通信手段が通電状態にあるときに、前記傾斜検出手段および前記加速度検出手段でそれぞれ前記電子時計本体の動きが検出されなかった場合に前記通信手段の電源をオフにする電源切断手段と、
を備えていることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記加速度検出手段は、
前記傾斜検出手段により所定期間内に前記電子時計本体の傾く動きが検出されない場合に、前記加速度検出手段による前記電子時計本体の加速する動きの検出を実行することを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
前記電源切断手段は、
前記通信手段の電源をオフするとともに、前記表示手段の表示をオフすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項4】
前記電源切断手段は、
前記傾斜検出手段により所定期間内に前記電子時計本体の傾く動きが検出されなかった場合に、前記表示手段の表示をオフすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項5】
前記加速度検出手段は、
加速度センサを含み、前記加速度センサが計測状態になっていない場合に、前記加速度センサの電源をオフする加速度センサ電源制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項6】
前記傾斜検出手段は、前記電子時計の表示面の縦軸方向について前記電子時計本体の傾く動きを検出するとともに、前記加速度検出手段は、前記電子時計の表示面に直行する軸方向の前記電子時計本体の加速する動きを検出することを特徴とする請求項1記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57515(P2013−57515A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194529(P2011−194529)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】