説明

電子楽器

【目的】鍵盤から手を離さずにカーソル移動を行え、且つカーソル移動キーを無くす。
【構成】鍵盤1a上で相前後して操作された各キーの相対位置情報に基づいて表示器2上のカーソル位置を制御するカーソル位置制御手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鍵盤及び曲目や各種の楽音パラメータが表示される表示器を備える電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】表示器上に曲目や各種楽音パラメータが表示される鍵盤付き電子楽器では、表示器上で曲目や楽音パラメータを選択するのにカーソル及びそのカーソルを移動させるためのカーソルキーが使用される。また、カーソルキーに代えてマウスやジョイステック等が使用される場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の構成ではカーソルを移動させるための手段としてカーソルキーやマウス等を必ず設ける必要があるとともに、演奏時等、鍵盤上に手を置いている場合にはカーソルを移動させようとする時、鍵盤から一旦手を放してカーソルキー等を操作しなければならず操作が面倒である不都合があった。
【0004】本発明の目的は、キーボード上に手を置いている場合に、その手をキーボードから放さずに表示画面上の任意の位置にカーソルによるポインティングを行うことのできる電子楽器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、鍵盤と、任意の情報がカーソルとともに表示される表示器と、前記鍵盤上で相前後して操作された各キーの相対位置情報に基づいて前記表示器上のカーソル位置を制御するカーソル位置制御手段と、を具備してなることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明では、鍵盤の各キーがポインティングデバイスを兼用する。すなわち、鍵盤上で相前後して操作された各キーの相対位置情報に基づいてカーソル位置が制御される。各キーの相対位置情報は、すなわち各キーの音高情報である。カーソル位置の制御は、たとえば白鍵上で、或るキーを押した後それよりもピッチの高いキーを押すとカーソルを右方向に所定量だけ移動させる。また、或るキーを押した後それよりもピッチの低いキーを押すとカーソルを左方向に所定量だけ移動させる。また、白鍵の或るキーを押した後黒鍵のキーを押すとカーソルを上方向に所定量だけ移動させ、黒鍵の或るキーを押した後白鍵のキーを押すとカーソルを所定量だけ下方向に移動させる。このような制御方法により、画面上のカーソルを任意の位置に移動させることができる。
【0007】
【実施例】図1は本発明の実施例の電子楽器の概略図である。電子楽器本体1にはディスプレイ2、スピーカー3、コントローラ4が接続されている。電子楽器本体1は、鍵盤1aと、CD−ROM1bがセット可能なCD−ROM装着部1cと、外部メモリであるシリコンカードディスク1dがセット可能なカード装着部1eと、画面上においてカーソルで位置指定された演奏曲名等を決定したりする決定ボタン1fとを備えている。この電子楽器本体1に接続されるコントローラ4は、公知のTVゲーム等に使用されるコントローラと同様の構造を備え、この電子楽器を例えば曲を流しながらTVゲームを行うモードにした場合、コントローラ4を表示画面上に表示される特定の表示対象の移動用に使用することができる。CD−ROM1bやシリコンカードディスク1dは演奏データ、ゲームプログラム等を記憶する。
【0008】図2は上記CD−ROM1bやシリコンカードディスク1dの記憶内容を示す。表示データ領域M1には表示内容データd、実施例においては演奏曲名及びそのデータ(演奏曲名)を表示するための座標データc,d等を記憶し、演奏データ領域M2には前述の演奏曲名に対応する演奏データが記憶領域指定データeで示されているアドレスに記憶されている。また、a,bには、X,Y座標の許容範囲が記憶されている。つまり、操者が、カーソルを操作して、a,bの条件を満足する位置で決定ボタン1fを操作すれば、a,bに対応する記憶領域指定データeで示される領域MZから演奏データが読出される。電子楽器本体1に、CD−ROM1b又はシリコンカードディスク1dが装着されると、表示データ領域M1のデータに基づき、内部のグラフィックRAM(GRAM)に第1図に示すような画面データが書き込まれるとともに、この画面データに従いデータdが表示画面上のデータcで示される位置にに表示されるよう画面形成出力制御回路で制御される。
【0009】図3は、上記電子楽器のブロック図である。制御部はCPU10、RAM11、ROM12、GRAM13、楽音形成出力制御回路14、画面形成出力制御回路15で構成され、これらに、上記鍵盤1a、決定スイッチ1f、コントローラ4、外部記憶装置であるCD−ROM1b、シリコンカードディスク1dがそれぞれ接続される。なお、楽音形成出力制御回路14にはスピーカー3が接続され、画面形成出力制御回路15にはディスプレイ2が接続されている。
【0010】図4は、上記電子楽器の制御ルーチンのうちメインルーチンを示す。電源がオンされると、各種レジスタ類のイニシャライズが行われ、鍵盤1aの押鍵検出やその他スイッチ操作の検出を行う。次に前記検出結果に基づき画面制御、さらに楽音制御とその他の処理を行って再び押鍵検出ルーチンに戻る。画面制御ステップでは、現在のカーソル位置を記憶するカーソルレジスタの情報に応じてその位置のカーソル反転表示制御を行う。また、所定の表示内容を表示データ領域M1のデータに従って画面上に表示する制御を行う。また、楽音制御ステップでは、鍵盤1aが操作されている場合それに従った演奏を行ったり、または自動演奏を行ったりする。
【0011】図5は、鍵盤1aを使用して画面上のカーソル位置操作を行うモードの時の鍵盤1aのキーイベント処理を示すフローチャートである。キーオンイベントがあると、レジスタNKのデータをレジスタOKに移す。レジスタNKは、新たに押されたキーのキーコードを記憶するレジスタであり、レジスタOKは、一つ前に押されたキーのキーコードを記憶するレジスタである。次に、ニューキー(新たに押されたキー)のキーコードをNKに取り込む。そして、NK及びOKの内容に応じて表示画面上でのカーソルの移動位置を判定する。すなわち、NK,OKとも白鍵のキーコードで、且つNKがOKより大きければ、現在のカーソル位置のX座標を所定量Aだけ増やす。この場合カーソルは画面上を右方へ移動する。
【0012】また、NK,OKとも白鍵で、NKがOK未満であればX座標を所定量Aだけ減らす。この場合カーソルは画面上を左方へ移動する。また、OKが白鍵でNKが黒鍵である場合はカーソルのY座標を所定量Bだけ増やす。この場合カーソルは画面上を上方へ移動する。OKが黒鍵でNKが白鍵の時にはY座標を所定量Bだけ減らす。この場合カーソルは画面上を下方へ移動する。基本的に、以上の判定により、現在のカーソル位置から、カーソルをX(左右)方向又はY(上下)方向に所定量だけ移動させることができる。カーソルを連続的にX方向又はY方向に移動できるようにしたり、左右,上下への移動方向を逆転できるようにするためには、ある一定時間が経過した時にNK,OKともクリアする。この場合、一定時間経過した次の入力キーコードをNK,OKの両方へ代入すればよい。一定時間内の連続操作であれば一方向へのカーソル連続移動が出来、或る時間をおいての間欠操作によりカーソルの移動方向の反転が可能になる。たとえば、図6に示すように白鍵を右方向にグリッサンド演奏のように連続的に操作すると、各キーの操作間隔は一定時間以内となるためにカーソルは右方向に連続的に移動する。この場合、その移動量は白鍵の操作範囲、すなわち指の移動量となる。
【0013】なお、カーソルの移動量は新しく押したキーの押圧時間に比例させるような制御も可能である。このように制御すると、黒鍵を使うY方向への移動量も簡単に制御することができる。また、キーが2コ押されたら、つまりカーソル移動処理が一回行われたら、NK,OKをクリアするようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】本発明では、キーボードから手を離さずに素早いポインティングが可能であり、操作性が良くなる利点がある。また、カーソルキー等を特に設けなくてもよいために、電子楽器本体の外観や構造をシンプル化できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の電子楽器の概略の構成図を示す。
【図2】CD−ROM及びシリコンカードディスクの記憶データの内容を示す図
【図3】上記電子楽器のブロック図
【図4】上記電子楽器のメインルーチンを示す図
【図5】上記電子楽器のキーイベント時の動作を示す図
【図6】カーソルを右方向に連続移動させるときの鍵盤操作方法を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】鍵盤と、任意の情報がカーソルとともに表示される表示器と、前記鍵盤上で相前後して操作された各キーの相対位置情報に基づいて前記表示器上のカーソル位置を制御するカーソル位置制御手段と、を具備してなる電子楽器。

【図2】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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