説明

電子機器、制御方法、及びプログラム

【課題】電磁波の反射や回折に起因する無線通信状態の劣化を改善する。
【解決手段】通信評価部132は、LSI53とLSI54との無線通信状態を表す状態パラメータを生成し、通信部133は、通信評価部132により生成された状態パラメータを、監視制御部71の通信部161に供給する。そして、通信部161は、通信部133により供給された状態パラメータを取得し、駆動制御部162は、通信部161により取得された状態パラメータに基づいて、駆動部の駆動を制御する。本発明は、電磁波の反射や回折が生じる、例えば、電子機器の筐体内の無線通信に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、制御方法、及びプログラムに関し、特に、例えば、筐体内の電磁波の反射や回折に起因する無線通信状態の劣化を、容易に改善することができるようにする電子機器、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の電子機器を構成する基板やLSI(Large Scale Integration)等は、銅線等の配線によって接続され、電子機器の筐体内の基板やLSIの間では、配線(有線)を介した有線通信(データ(信号)のやりとり)が行われる。
【0003】
また、近年、半導体プロセスの進化や、信号の広帯域化及び高速化に伴い、電子機器の筐体内の基板やLSIの間の通信量が増加し、これに伴い、基板間や基板内に、多数の配線を設ける必要が生じている。
【0004】
しかしながら、例えば、筐体の小型化、配線の引き回しの複雑化、配線の周波数特性、配線間のクロストーク、データをパラレルで送信するときのスキューの保証、基板の層数の増加による高コスト化等の観点から、多数の配線を設けることは、難しくなってきている。
【0005】
そこで、電子機器の筐体内の基板やLSIの間の通信を、配線を介することなく、電磁波(電波)を用いた無線通信によって行うことが提案されている。
【0006】
しかしながら、電子機器の筐体内において電磁波による無線通信を行う場合には、筐体内の基板や内部構造等が無線通信の障害となって、電磁波が反射や回折をするため、基板やLSIの設置位置によっては、電磁波の到達距離や電界強度が所望のレベルに達せず、基板やLSIによる無線通信を高速に行うことが困難であった。
【0007】
ここで、図1ないし図3を参照して、電子機器の筐体内における電磁波の電界強度の分布について説明する。
【0008】
図1は、無線通信を行う機能を有するLSI1Aが設けられた基板を内蔵する電子機器の筐体1を示す斜視図である。この筐体1は、略直方体状の形状をしている。また、筐体1のX,Y,Z座標系を図示するように定義する。
【0009】
図2及び図3は、図1のLSI1Aが筐体1内で図面に向かって右下にくる状態で、筐体1をZ軸方向から見たときに、筐体1内のLSI1Aが出力する電磁波により生じた筐体1内の電界強度(V/m)の分布が、時間の変化に伴って変化する様子を示している。
【0010】
筐体1内のLSI1Aが出力する電磁波において、その位相を表す角度thは、時間の経過とともに、角度が大きくなるように変化する。図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図3C、及び図3Dには、筐体1内の電界強度が、時間の経過とともに変化する様子が示されている。
【0011】
すなわち、図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図3C、及び図3Dには、それぞれ、時間の経過とともに角度が大きくなるように変化する、電磁波の位相を表す角度thが0度、30度、60度、90度、100度、110度、140度、及び170度であるときの電界強度が示されている。
【0012】
なお、図2Aないし図3Dに示される電界強度において、白黒の濃淡は電界強度の強さ(大きさ)を示しており、黒色に近い程、電界強度が弱く電磁波が疎の状態であることを、白色に近い程、電界強度が強く電磁波が密の状態であることを示している。
【0013】
図2Aないし図3Dを参照してわかるように、筐体1内の電界強度に斑(ムラ)があり、無線通信を高速に行うことが困難となる領域が発生し得る。
【0014】
このように、電磁波の反射や回折によって、筐体内の電界強度に斑が生じ、無線通信に障害を与えてしまうことを抑止する方法として、筐体内の全面に、電波吸収体を貼付し、電波吸収体によって、筐体内の壁面における電磁波の反射を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0015】
【特許文献1】特開2004-220264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1のように、電波吸収体を貼付する方法は、高コストであり、また、排熱等の観点からも適切であるとは言い難い。
【0017】
また、一般的な無線通信において、電磁波の反射や回折の対策の方法としては、例えば、変調方式にスペクトル拡散方式を採用するとともに、受信側でレイク(RAKE)受信を行う方法や、送信側及び受信側でマルチアンテナ(複数のアンテナ)を用いるMIMO(Multiple Input Multiple Output)を採用する方法等がある。
【0018】
しかしながら、変調方式にスペクトル拡散方式を採用し、レイク受信を行う方法では、変調時及び復調時に、ベースバンドの速度よりも何倍も速いチップ(chip)レートで、処理を行う必要があり、高速な通信の実現が困難である。また、受信側に到達する信号電力が小さいことからも、レイク受信による効果は期待できない。
【0019】
さらに、MIMOを採用する方法では、アンテナの設置スペースが大きくなること、筐体内ではアンテナの設置スペースがあまりないので互いに無相関になるようなマルチアンテナの配置が困難であること等が問題となる。
【0020】
以上のように、電磁波の反射や回折に起因して電界強度に斑が生じて、無線通信状態が劣化してしまうと、これを容易に改善することは困難であった。
【0021】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、筐体内における無線通信状態の劣化を、容易に改善できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一側面の電子機器、又はプログラムは、同一の筐体内で相互に無線通信を行う複数の無線通信部、及び前記筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する制御部を備える電子機器、又は同一の筐体内で相互に無線通信を行う複数の無線通信部、及び前記筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する制御部を備える電子機器として、コンピュータを機能させるプログラムであって、前記無線通信部は、他の無線通信部との無線通信状態を表す状態パラメータを生成する生成手段と、生成された前記状態パラメータを、前記制御部に供給する供給手段とを備え、前記制御部は、前記供給手段により供給された前記状態パラメータを取得する取得手段と、取得された前記状態パラメータに基づいて、前記駆動部の駆動を制御する駆動制御手段とを備える電子機器、又は電子機器として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【0023】
前記駆動制御手段では、前記無線通信部が設置された、前記駆動部としての基板、又は、前記無線通信部とは独立して駆動する、前記駆動部としての部材のうちの少なくとも一方の駆動を制御することができる。
【0024】
前記取得手段では、前記駆動制御手段により、前記駆動部の駆動が制御され、前記無線通信状態が変化した後、再度、前記供給手段により供給された前記状態パラメータを取得することができるとともに、前記駆動制御手段では、前記無線通信状態が変化した後の前記状態パラメータにも基づいて、前記駆動部の駆動を制御することができる。
【0025】
本発明の一側面の制御方法は、同一の筐体内で相互に無線通信を行う複数の無線通信部、及び前記筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する制御部を備える電子機器を制御する制御方法であって、前記無線通信部では、他の無線通信部との無線通信状態を表す状態パラメータを生成し、生成された前記状態パラメータを、前記制御部に供給し、前記制御部では、前記無線通信部により供給された前記状態パラメータを取得し、取得された前記状態パラメータに基づいて、前記駆動部の駆動を制御するステップを含む制御方法である。
【0026】
本発明の一側面においては、無線通信部により、他の無線通信部との無線通信状態を表す状態パラメータが生成され、生成された前記状態パラメータが、制御部に供給される。また、前記制御部により、無線通信部から供給された前記状態パラメータが取得され、取得された前記状態パラメータに基づいて、筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動が制御される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、筐体内の無線通信状態の劣化を、容易に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態である電子機器について、図4及び図5を参照して説明する。
【0029】
図4は、本発明の一実施の形態である電子機器11の構成例を示す斜視図である。また、図5は、図4の電子機器11の構成例を示す上面図である。
【0030】
この電子機器11の筐体21内には、電子機器11を機能させるための信号処理を行う基板であって、筐体21に対して固定されている固定基板、電子機器11を機能させるための信号処理を行う基板であって、その位置が変更可能な可動基板、各可動基板を支持する、固定基板に固定された基板支持治具が設けられており、さらに、各可動基板上には、無線通信を行う機能を有するLSIと、その無線通信のための電磁波を送受信するアンテナとのセットが、必要に応じて設けられている。
【0031】
すなわち、筐体21内には、筐体21に対して固定されている2つの固定基板31及び35と、基板支持治具41により支持されている可動基板32及び33、並びに、基板支持治具42により支持されている可動基板34が設けられている。
【0032】
固定基板31には、基板支持治具41及び42が固定されている。さらに、基板支持治具41には、可動基板32及び33が、Z軸方向(固定基板31に垂直な上下方向)に移動自在に装着されている。なお、図4において、筐体21のX,Y,Z座標系を図示するように定義する。
【0033】
また、基板支持治具42には、可動基板34が、Z軸方向に移動自在に装着されている。
【0034】
可動基板32には、無線通信を行う機能を有するLSI51、及び、その無線通信のための電磁波を送受信するアンテナ61が設けられている。
【0035】
可動基板33には、無線通信を行う機能を有するLSI52、及び、その無線通信のための電磁波を送受信するアンテナ62が設けられている。
【0036】
可動基板34には、無線通信を行う機能を有するLSI53、及び、その無線通信のための電磁波を送受信するアンテナ63、無線通信を行う機能を有するLSI54、及び、その無線通信のための電磁波を送受信するアンテナ64、並びに、無線通信を行う機能を有するLSI55、及び、その無線通信のための電磁波を送受信するアンテナ65が設けられている。
【0037】
LSI51は、アンテナ61から電磁波を送受信することにより、他のLSI52ないし55との間で、無線通信を行うことができる。LSI52ないし55それぞれも、LSI51と同様に無線通信を行うことができる。
【0038】
固定基板35には、筐体21内の無線通信における無線通信状態を監視する監視制御部71が設けられている。監視制御部71は、適宜、筐体21内の無線通信状態を監視し、その監視結果に基づいて、例えば、基板支持治具41に移動自在に装着された可動基板32,33、又は基板支持治具42に移動自在に装着された可動基板34を移動させて、筐体21内の無線通信状態を変化させる。
【0039】
次に、図6は、基板支持治具42の詳細な構成例を示している。
【0040】
基板支持治具42には、可動基板34を支持しながら上下方向に移動できる基板駆動治具91が設けられている。基板駆動治具91は、基板駆動治具91を上下方向に移動させるための図示せぬアクチュエータ(監視制御部71により制御される)により、上下方向に駆動(移動)される。当然、基板駆動治具91の駆動に伴って、基板駆動治具91が支持している可動基板34も上下方向に駆動される。
【0041】
なお、基板支持治具41についても、基板支持治具42と同様に構成され、同様に駆動される。
【0042】
以上、図4ないし図6において、筐体21の構成例を説明したが、筐体21内に設けられた基板及びLSIの配置や設置方法、個数等は、上述した構成例に限定されるものではない。
【0043】
以下では、説明を簡単にするため、可動基板34を駆動させる監視制御部71、並びに、可動基板34に設けられた3つのLSI53,54及び55に注目し、その監視制御部71、並びに3つのLSI53,54及び55が、筐体21内で行う通信について、図7を参照して説明する。
【0044】
図7は、筐体21内の監視制御部71及びLSI53の詳細な構成例を示している。
【0045】
LSI53は、受信制御部131、通信評価部132、通信部133、信号生成部134、及び送信制御部135により構成される。
【0046】
受信制御部131は、LSI54及び55等の他のLSIから送信された電磁波を、アンテナ63を介して受信し、その結果得られた電気信号を、他のLSIとLSI53との無線通信状態を表す状態パラメータ(以下、他のLSIとLSI53との状態パラメータともいう)を検出するための検出用信号として、通信評価部132に供給する。
【0047】
通信評価部132(生成手段)は、受信制御部131から供給された検出用信号に基づいて、アンテナ63で受信された電磁波の受信電力や、その検出用信号のビット誤り率(BER(Bit Error Ratio))等を、その検出用信号に対応する電磁波の送信元である他のLSI(例えば、LSI54やLSI55)とLSI53との状態パラメータとして検出(生成)し、通信部133に供給する。
【0048】
通信部133(供給手段)は、通信評価部132からの状態パラメータを、LSI53の通信部133と監視制御部71(後述する通信部161)とを接続する銅線等の有線回線を介して、監視制御部71に送信(供給)する。
【0049】
なお、通信部133は、有線回線を介する他、無線により、通信評価部132からの状態パラメータを、監視制御部71に送信するようにしてもよい。これは、通信部133から監視制御部71に送信される状態パラメータのデータ量が、電子機器11を機能させるための信号処理として、LSI間で行われる無線通信により送受信されるデータ量と比較して少ないデータ量でよく、高速で無線通信を行う必要がないことから、筐体21内の電磁波の反射や回折による影響が少ないことによる。
【0050】
また、通信部133には、監視制御部71(通信部161)から、他のLSIとLSI53との状態パラメータを検出するために用いられる検出用信号の生成を指示する生成信号が供給される。通信部133は、監視制御部71からの生成信号を、信号生成部134に供給する。
【0051】
信号生成部134は、通信部133から、検出用信号の生成を指示する生成信号が供給されたことに対応し、LSI54及び55等の他のLSIに送信する検出用信号を生成して、送信制御部135に供給する。
【0052】
送信制御部135は、信号生成部134からの検出用信号を、アンテナ63に供給し、電磁波として、LSI54及び55等の他のLSIに送信させる。これにより、LSI54及び55等の他のLSIは、LSI53の送信制御部135からの電磁波としての検出用信号に基づいて、他のLSIとLSI53との状態パラメータを生成し、監視制御部71に、有線回線を介して送信する。
【0053】
なお、LSI54及び55は、LSI53と同様に構成されるため、それらの説明は省略する。
【0054】
監視制御部71は、通信部161、及び駆動制御部162により構成される。
【0055】
通信部161(取得手段)は、LSI53,54及び55等の通信部から、有線回線を介して、LSI53とLSI54との無線通信状態を表す状態パラメータ、LSI53とLSI55との無線通信状態を表す状態パラメータ、及びLSI54とLSI55との無線通信状態を表す状態パラメータ等を受信(取得)し、駆動制御部162に供給する。
【0056】
また、通信部161には、駆動制御部162から、検出用信号の生成を指示する生成信号が供給される。通信部161は、駆動制御部162からの生成信号を、有線回線を介して、LSI53,54、又は55等に送信する。
【0057】
駆動制御部162(駆動制御手段)は、通信部161からの状態パラメータに基づいて、LSI53,54、及び55の総合的な無線通信状態を表す総合状態パラメータを生成する。
【0058】
ここで、例えば、状態パラメータが、LSI53からLSI54に送信された電磁波がアンテナ64で受信されたときの受信電力、LSI53からLSI55に送信された電磁波がアンテナ65で受信されたときの受信電力、及びLSI54からLSI55に送信された電磁波がアンテナ65で受信されたときの受信電力である場合、それらの受信電力を平均した平均値等が、総合状態パラメータとされる。
【0059】
また、例えば、状態パラメータが、LSI53からLSI54に送信された検出用信号のビット誤り率、LSI53からLSI55に送信された検出用信号のビット誤り率、及びLSI54からLSI55に送信された検出用信号のビット誤り率である場合、それらのビット誤り率を平均した平均値等が、総合状態パラメータとされる。
【0060】
駆動制御部162は、RAM(Random Access Memory)等により構成されるメモリ162Aを内蔵し、そのメモリ162Aに、通信部161からの状態パラメータから生成した総合状態パラメータを記憶する。
【0061】
駆動制御部162は、メモリ162Aに記憶された総合状態パラメータに基づいて、筐体21内の無線通信状態が良好な状態となるように、LSI53,54及び55等の無線通信による無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する。
【0062】
すなわち、例えば、駆動制御部162は、筐体21内の無線通信状態が良好な状態となるように、可動基板34を制御して、筐体21の底面(固定基板31)から可動基板34までの高さを決定する位置決定処理を行う。なお、位置決定処理は、図8ないし図10を参照して後述する。
【0063】
また、駆動制御部162は、LSI53,54又は55等に対して、状態パラメータを検出するために用いられる検出用信号の生成を指示する生成信号を生成し、通信部161に供給する。
【0064】
次に、図8ないし図10を参照して、駆動制御部162が行う位置決定処理を説明する。
【0065】
図8ないし図10は、筐体21の底面から可動基板34までの高さ(以下、可動基板34の高さともいう)を、それぞれ、0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)に変化させたときに、筐体21内のLSI53が送信する電磁波により生じた筐体21内の電界強度の分布を示している。なお、筐体21の底面から天井面までの高さは100(mm)である。
【0066】
筐体21内のLSI53が送信する電磁波において、その位相を表す角度thは、時間の経過とともに、角度が大きくなるように変化する。図8ないし図10には、LSI53を筐体21内の右下に置くようにして、筐体21をZ軸方向から見たときの筐体21(図5)内の電界強度の分布が、時間の経過とともに変化する様子が示されている。
【0067】
すなわち、図8ないし図10には、それぞれ、時間の経過とともに変化する角度thが0度、90度、及び170度であるときの電界強度が示されている。
【0068】
図8A、図8B、図8C、及び図8Dには、それぞれ、可動基板34の高さが、0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)である場合に、筐体21内のLSI53が送信した電磁波の位相を表す角度thが0度であるときに計測された筐体21内の電界強度が示されている。
【0069】
また、図9A、図9B、図9C、及び図9Dには、それぞれ、可動基板34の高さが、0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)である場合に、筐体21内のLSI53が送信した電磁波の位相を表す角度thが90度であるときに計測された筐体21内の電界強度が示されている。
【0070】
さらに、図10A、図10B、図10C、及び図10Dには、それぞれ、可動基板34の高さが、0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)である場合に、筐体21内のLSI53が送信した電磁波の位相を表す角度thが170度であるときに計測された筐体21内の電界強度が示されている。
【0071】
例えば、駆動制御部162は、30(mm)間隔で、可動基板34を駆動させることにより、可動基板34の高さが、それぞれ、0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)であるときの筐体21内の電界強度を監視し、その監視結果に基づいて、筐体21内の無線通信状態が良好な状態となるように、可動基板34を制御して、可動基板34の高さを決定する。
【0072】
図8ないし図10から明らかなように、筐体21内のLSI53が送信する電磁波の位相を表す角度thが、0度、90度、及び170度のいずれの場合にも、可動基板34の高さが90(mm)であるときの筐体21内の電界強度が、可動基板34の高さが0(mm),30(mm)、及び60(mm)であるときの筐体21内の電界強度と比較して、全体的に大きくなっている。
【0073】
特に、例えば、筐体21内の右上の領域においては、可動基板34の高さが90(mm)であるときの電界強度が、可動基板34の高さが0(mm)であるときの電界強度と比較して大きくなっていることを顕著に表しており、可動基板34の高さが90(mm)であるときの筐体21内の右上の領域における電磁波は密であるのに対して、可動基板34の高さが0(mm)であるときの筐体21内の右上の領域における電磁波は疎であることがわかる。
【0074】
従って、駆動制御部162は、可動基板34の高さが、可動基板34の高さとして、0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)のうち、筐体21内の無線通信状態が最も良好な状態となる90(mm)となるように、アクチュエータを制御して、基板駆動治具91を駆動させ、これにより、可動基板34を駆動させる。
【0075】
次に、図11のフローチャートを参照して、LSI53が行う通信評価処理を説明する。
【0076】
この通信評価処理は、例えば、LSI54やLSI55等の他のLSIから、LSI53に対して検出用信号が送信されたときに開始される。なお、LSI54やLSI55等は、監視制御部71からの制御に従って、検出用信号を、電磁波としてLSI53に送信する。
【0077】
ステップS1において、LSI53の受信制御部131は、LSI54、及び55等の他のLSIからの電磁波を、アンテナ63を介して受信し、その結果得られた電気信号を、他のLSIとLSI53との無線通信状態を表す状態パラメータを検出するための検出用信号として、通信評価部132に供給する。
【0078】
ステップS2において、通信評価部132は、受信制御部131から供給された検出用信号に基づいて、アンテナ63で受信された電磁波の受信電力や、その検出用信号のビット誤り率(BER(Bit Error Rate))等を、その検出用信号に対応する電磁波の送信元である他のLSI(例えば、LSI54又はLSI55)とLSI53との状態パラメータとして検出(算出)し、通信部133に供給する。
【0079】
ステップS3において、通信部133は、通信評価部132からの状態パラメータを、有線回線を介して、監視制御部71の通信部161に送信して、通信評価処理は終了される。
【0080】
なお、通信評価処理は、LSI53の他、LSI54及び55についても同様に行われる。
【0081】
次に、図12のフローチャートを参照して、監視制御部71が行う位置決定処理を説明する。
【0082】
この位置決定処理は、例えば、筐体21内の監視制御部71及び各LSIの電源がオンされたときに開始される。
【0083】
ステップS31において、監視制御部71の駆動制御部162は、アクチュエータを制御して、基板駆動治具91を駆動させることにより、可動基板34の高さを、筐体21の底面からの高さ0(mm)に変更する初期化を行う。
【0084】
ステップS32において、駆動制御部162は、状態パラメータを検出するために用いられる検出用信号の生成を指示する生成信号を生成し、通信部161に供給する。さらに、通信部161は、駆動制御部162からの生成信号を、有線回線を介して、例えば、LSI53の通信部133に送信する。このとき、LSI53の通信部133は、通信部161からの生成信号を受信し、信号生成部134に供給する。
【0085】
そして、LSI53の信号生成部134は、通信部133から、生成信号が供給されたことに対応し、状態パラメータを検出するために用いられる検出用信号を生成して、送信制御部135に供給する。送信制御部135は、信号生成部134からの検出用信号を、アンテナ63を介して、例えば、LSI54及び55に電磁波として送信する。
【0086】
このとき、LSI54及び55では、LSI53からの電磁波としての検出用信号に基づいて、状態パラメータを生成し、監視制御部71の通信部161に送信する通信評価処理(図11)が行われる。
【0087】
すなわち、LSI54は、LSI53とLSI54との無線通信状態を表す状態パラメータを、監視制御部71の通信部161に供給するとともに、LSI55は、LSI53とLSI55との無線通信状態を表す状態パラメータを、監視制御部71の通信部161に供給する。
【0088】
また、ステップS32において、さらに、駆動制御部162は、検出用信号の生成を指示する生成信号を生成し、通信部161及び有線回線を介して、LSI54に送信する。LSI54は、駆動制御部162から、通信部161及び有線回線を介して生成信号が供給されたことに対応して、検出用信号を生成し、LSI55に送信する。
【0089】
このとき、LSI55では、LSI54からの電磁波としての検出用信号に基づいて、LSI54とLSI55との無線通信状態を表す状態パラメータを生成し、監視制御部71の通信部161に送信する通信評価処理が行われる。
【0090】
ステップS33において、通信部161は、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSI(例えば、LSI54及び55)からの状態パラメータを受信する。
【0091】
ステップS34において、通信部161は、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSIからの状態パラメータすべてを受信したか否かを判定する。ステップS34において、まだ、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSIからの状態パラメータすべてを受信していないと判定された場合、処理は、ステップS33に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0092】
また、ステップS34において、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSIからの状態パラメータすべてを受信したと判定された場合、処理は、ステップS35に進められ、通信部161は、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSIからの状態パラメータすべてを、現在の可動基板34の高さに対応付けた形で、駆動制御部162に供給する。
【0093】
また、ステップS35において、駆動制御部162は、通信部161からの状態パラメータに基づいて、現在の可動基板34の高さに対応する総合状態パラメータを生成する。
【0094】
ステップS36において、駆動制御部162は、通信部161からの状態パラメータに基づいて生成した総合状態パラメータを、現在の可動基板34の高さに対応付けた形で、内蔵するメモリ162Aに記憶する。
【0095】
ステップS37において、駆動制御部162は、可動基板34の高さすべてについて、すなわち、例えば、図8ないし図10を参照して説明したように、可動基板34の高さ0(mm),30(mm),60(mm)、及び90(mm)のすべてについての総合状態パラメータを生成したか否かを判定する。
【0096】
ステップS37において、まだ、可動基板34の高さすべてについての総合状態パラメータを生成していないと判定された場合、処理は、ステップS38に進められ、駆動制御部162は、可動基板34の高さを変更(例えば、0(mm)から30(mm)に変更)して、処理は、ステップS32に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0097】
また、ステップS37において、可動基板34の高さすべてについての総合状態パラメータを生成したと判定された場合、処理は、ステップS39に進められ、駆動制御部162は、内蔵するメモリ162Aに記憶されている、可動基板34の高さ毎の総合状態パラメータに基づいて、可動基板34の最適な高さを求める。
【0098】
ここで、最適な高さとは、LSI53とLSI54との無線通信状態、LSI53とLSI55との無線通信状態、及びLSI54とLSI55との無線通信状態が、最も良好な状態であることを表す総合状態パラメータに対応する高さをいう。
【0099】
すなわち、例えば、総合状態パラメータが、LSI53からLSI54に送信された電磁波がアンテナ64で受信されたときの受信電力、LSI53からLSI55に送信された電磁波がアンテナ65で受信されたときの受信電力、及びLSI54からLSI55に送信された電磁波がアンテナ65で受信されたときの受信電力を平均した平均値である場合、可動基板34の高さに対応する総合状態パラメータのうち、最も値が大きい総合状態パラメータに対応する可動基板34の高さが、可動基板34の最適な高さとされる。
【0100】
また、例えば、状態パラメータが、LSI53からLSI54に送信された検出用信号のビット誤り率、LSI53からLSI55に送信された検出用信号のビット誤り率、及びLSI54からLSI55に送信された検出用信号のビット誤り率を平均した平均値である場合、可動基板34の高さに対応する総合状態パラメータのうち、最も値が小さい総合状態パラメータに対応する可動基板34の高さが、可動基板34の最適な高さとされる。
【0101】
ステップS39では、駆動制御部162は、可動基板34の高さ毎の総合状態パラメータに基づいて求められた可動基板34の最適な高さとなるように、アクチュエータを制御して、可動基板34とともに駆動する基板駆動治具91を駆動させることにより、可動基板34の最終的な高さ(位置)を決定し、位置決定処理は終了される。
【0102】
図12の位置決定処理では、LSI53,54及び55等の各LSIの無線通信状態を表す状態パラメータが可動基板34の高さ毎に検出された後、可動基板34の高さ毎の状態パラメータに基づいて、可動基板34の最終的な高さが決定される。従って、最適な無線通信状態で、各LSIは無線通信を行うことが可能となる。
【0103】
このため、例えば、電磁波の反射や回折の対策の方法として、複数のアンテナを用いるMIMOを採用する方法のように、複数のアンテナを筐体21内に配置することなく、最適な無線通信状態で、各LSIは無線通信を行うことが可能となるため、限られた筐体21内のスペースを有効に利用することが可能となる。
【0104】
また、図12の位置決定処理とともに、無線通信を行う各LSIにおいて、レイク受信等の信号処理を行うこととすれば、電磁波の反射や回折に起因する信号(電子機器11を機能させるための信号処理により用いられる信号)の歪みをさらに低減させることができる。
【0105】
さらに、電子機器11に新たな機能を追加したり、電子機器11の設計変更等により、新たに、基板や、無線通信を行う機能を有するLSI等が追加配置されたとしても、新たな基板やLSI等が追加配置された筐体21に対して、図12の位置決定処理を行うことにより、各LSIの無線通信状態を良好な状態にすることが可能である。
【0106】
従って、電子機器11に新たな機能を追加したり、電子機器11の設計変更等により、再度、基板を作り直したり、LSIの配置を変更する必要がなくなるため、電子機器11の筐体21を作成するコストを削減することが可能となる。
【0107】
また、図12の位置決定処理において、基板やLSIを駆動させて配置を変更させることにより、基板やLSIの配置が異なる筐体21を作成することが可能であるため、例えば、同一シリーズの電子機器のハイエンドモデルの筐体と、その筐体とは基板やLSIの配置が異なるローエンドモデルの筐体とを同一の筐体として作成することが可能である。
【0108】
従って、ハイエンドモデルの筐体と、その筐体とは異なるローエンドモデルの筐体とを、異なる筐体として別々に作成する場合と比較して、筐体21を作成するコストを削減することが可能となる。
【0109】
さらに、図12の位置決定処理において、適宜、筐体21内における無線通信状態を良好な状態にすることが可能であるため、筐体21内のLSIが無線通信を高速に行うことができるように、筐体21内の基板やLSIの配置を厳密に設計する必要がなくなる。従って、この場合、筐体21内の基板やLSIの配置を厳密に設計する場合と比較して、筐体21の開発工数を削減することができる。
【0110】
ところで、図6に示したように、駆動制御部162は、アクチュエータを制御して、基板駆動治具91を駆動させることにより、可動基板34を上下方向に移動させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図13ないし図15に示すように、図6に示した構成とは異なる構成により、可動基板34を上下方向に移動させることが可能である。
【0111】
図13は、可動基板34を移動自在にさせる別の構成例を示している。
【0112】
なお、図13において、図6の場合と同様に構成される部分については同様の符号を付している。
【0113】
すなわち、図13においては、基板支持治具191が新たに設けられている他は、図6の場合と同様に構成される。
【0114】
基板支持治具191には、可動基板34を支持しながら上下方向に移動できる基板駆動治具が設けられており、その基板駆動治具は、基板駆動治具91を上下方向に移動させるためのアクチュエータと同様の動作をするアクチュエータ(図示せず)により、上下方向に移動される。
【0115】
駆動制御部162は、基板支持治具191に設けられた基板駆動治具を上下方向に移動させるためアクチュエータ、及び基板支持治具42に設けられた基板駆動治具91を上下方向に移動させるためのアクチュエータを制御して、基板支持治具191の基板支持治具と、基板支持治具42の基板駆動治具91とを、同時に同方向に駆動させる。これにより、可動基板34も、基板支持治具191の基板支持治具、及び基板支持治具42の基板駆動治具91が駆動する方向と同方向に駆動する。
【0116】
次に、図14は、可動基板34を移動自在にさせるさらに別の構成例を示している。
【0117】
図14においては、図6の基板支持治具42及び基板駆動治具91に代えて、円柱状の形状を有し、上下方向に伸縮自在の基板駆動治具2211ないし2214が、矩形状の可動基板34の四隅に装着されている。
【0118】
基板駆動治具2211ないし2214が、同時に同方向に駆動することにより、可動基板34も同方向に駆動する。
【0119】
駆動制御部162は、基板駆動治具2211ないし2214を制御し、同時に同方向に駆動させる。これにより、可動基板34も、基板駆動治具2211ないし2214が駆動する方向と同方向に駆動する。
【0120】
図15は、可動基板34を移動自在にさせるさらに別の構成例を示している。
【0121】
図15においては、図14の基板駆動治具2211ないし2214に代えて、可動基板34の中央に、円柱状の形状を有し、上下方向に伸縮自在の基板駆動治具251が装着されている。
【0122】
基板駆動治具251が、上下方向に駆動することにより、可動基板34も、基板駆動治具251と同様に駆動する。
【0123】
駆動制御部162は、基板駆動治具251を制御し、上下方向に駆動させる。これにより、可動基板34も、基板駆動治具251が駆動する方向と同方向に駆動する。
【0124】
次に、図16は、筐体21内の可動基板34等を駆動させる代わりに、電磁波を反射する素材からなる反射板281を駆動させることにより、筐体21内の無線通信状態を変化させることを説明する図である。
【0125】
図16は、監視制御部71に、電磁波を反射させる反射板281を装着させたときの筐体21の上面図を示している。
【0126】
なお、図16において、監視制御部71に、反射板281が装着されている他は、図5の場合と同様に構成される。また、図16では、基板支持治具41及び42は、図面が煩雑になるのを避けるために、図示は省略している。
【0127】
図16の監視制御部71は、反射板281を駆動させるためのステッピングモータや、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術を駆使して構成されたMEMSモータ等で形成される駆動モータを内蔵し、その駆動モータを制御することにより、反射板281に取り付けられた回転軸を所定の回転方向で駆動(回転)させる。
【0128】
監視制御部71は、可動基板34等を駆動させる代わりに、駆動モータを制御して反射板281を駆動させることにより、筐体21内の無線通信状態を変化させる。
【0129】
次に、図17のフローチャートを参照して、図16の監視制御部71が行う角度設定処理を説明する。
【0130】
この角度決定処理は、例えば、筐体21内の監視制御部71及び各LSIの電源がオンされたときに開始される。
【0131】
ステップS61において、監視制御部71の駆動制御部162は、内蔵する駆動モータを制御して、反射板281を駆動させることにより、反射板281の角度を、0度に変更する初期化を行う。ここで、反射板281の角度とは、反射板281の所定の位置を基準とする回転角度を指す。
【0132】
なお、ステップS62ないしステップS64において、図12のステップS32ないしステップS34と同様の処理が行われる。
【0133】
すなわち、ステップS64において、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSIからの状態パラメータすべてを受信したと判定された場合、処理は、ステップS65に進められ、通信部161は、図11の通信評価処理により状態パラメータを送信するLSIからの状態パラメータすべてを、現在の反射板281の角度に対応付けた形で、駆動制御部162に供給する。
【0134】
また、ステップS65において、駆動制御部162は、通信部161からの状態パラメータに基づいて、現在の反射板281の角度に対応する総合状態パラメータを生成する。
【0135】
ステップS66において、駆動制御部162は、通信部161からの状態パラメータに基づいて生成した総合状態パラメータを、現在の反射板281の角度に対応付けた形で、内蔵するメモリ162Aに記憶する。
【0136】
ステップS67において、駆動制御部162は、反射板281の角度すべてについて、すなわち、例えば、反射板281の角度として0度(360度)、120度、240度すべてについての総合状態パラメータを生成したか否かを判定する。
【0137】
ステップS67において、まだ、反射板281の角度すべてについての総合状態パラメータを生成していないと判定された場合、処理は、ステップS68に進められ、駆動制御部162は、反射板281の角度を変更(例えば、0度から120度に変更)して、処理は、ステップS62に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0138】
また、ステップS67において、反射板281の角度すべてについての総合状態パラメータを生成したと判定された場合、処理は、ステップS69に進められ、駆動制御部162は、内蔵するメモリ162Aに記憶されている、反射板281の角度毎の総合状態パラメータに基づいて、反射板281の最適な角度を求める。
【0139】
なお、最適な角度とは、可動基板34の最適な高さと同様に、LSI53とLSI54との無線通信状態、LSI53とLSI55との無線通信状態、及びLSI54とLSI55との無線通信状態が、最も良好な状態であることを表す総合状態パラメータに対応する角度をいう。
【0140】
ステップS69では、駆動制御部162は、反射板281の角度毎の総合状態パラメータに基づいて求められた反射板281の最適な角度となるように、駆動モータを制御して、反射板281を駆動(回転)させることにより、反射板281の最終的な角度を決定し、角度決定処理は終了される。
【0141】
図17の角度設定処理では、LSI53,54及び55等の各LSIの無線通信状態を表す状態パラメータが、反射板281の角度毎に検出された後、反射板281の角度毎の状態パラメータに基づいて、反射板281の最終的な角度が決定される。従って、最適な無線通信状態で、各LSIは無線通信を行うことが可能となる。
【0142】
このため、例えば、電磁波の反射や回折の対策の方法として、複数のアンテナを用いるMIMOを採用する方法のように、複数のアンテナを筐体21内に配置することなく、最適な無線通信状態で、各LSIは無線通信を行うことが可能となるため、限られた筐体21内のスペースを有効に利用することが可能となる。
【0143】
また、図17の角度設定処理とともに、無線通信を行う各LSIにおいて、レイク受信等の信号処理を行うこととすれば、電磁波の反射や回折に起因する信号の歪みをさらに低減させることができる。
【0144】
さらに、電子機器11に新たな機能を追加したり、電子機器11の設計変更等により、新たに、基板や、無線通信を行う機能を有するLSI等が追加配置されたとしても、新たな基板やLSI等が追加配置された筐体21に対して、図17の角度設定処理を行うことにより、各LSIの無線通信状態を良好な状態にすることが可能である。
【0145】
従って、電子機器11に新たな機能を追加したり、電子機器11の設計変更等により、再度、基板を作り直したり、LSIの配置を変更する必要がなくなるため、電子機器11の筐体21を作成するコストを削減することが可能となる。
【0146】
また、図17の角度設定処理において、適宜、筐体21内における無線通信状態を良好な状態にすることが可能であるため、筐体21内のLSIが無線通信を高速に行うことができるように、筐体21内の基板やLSIの配置を厳密に設計する必要がなくなる。従って、この場合、筐体21内の基板やLSIの配置を厳密に設計する場合と比較して、筐体21の開発工数を削減することができる。
【0147】
なお、筐体21内の可動基板34等を駆動させたり、電磁波を反射させる反射板281を駆動させる他、筐体21の天井面に、開閉可能なシャッターにより構成されるシャッター部を駆動させることにより、筐体21内の無線通信状態を変化させることが可能である。
【0148】
図18は、筐体21の天井面に、開閉可能なシャッターにより構成されるシャッター部311を設けた筐体21の側面図を示している。
【0149】
なお、図18において、シャッター部311を新たに設けた他は、図4の場合と同様に構成される。
【0150】
シャッター部311は、電磁波を反射させる金属で構成される金属面と、電磁波を吸収する素材からなる吸収体で構成される吸収体面との2つの面を有する板状の板状部材が、複数枚重なる形で構成される。
【0151】
シャッター部311は、駆動制御部162(監視制御部71)の制御に従って、筐体21の天井面を、金属面又は吸収面で覆うように駆動する。
【0152】
図19は、図18のシャッター部311の詳細な構成例を示している。
【0153】
図19Aには、筐体21の天井面を吸収体面で覆うように駆動したときのシャッター部311が示されている。また、図19Aに示すモジュール331は、シャッター部311を構成し、金属面と吸収体面との2つの面を有する板状部材を示している。
【0154】
図19Bには、筐体21の天井面を金属面で覆うように駆動したときのシャッター部311が示されている。
【0155】
筐体21では、図19Aに示すように、筐体21の天井面がシャッター部311の吸収体面で覆われることにより、各LSIが行う無線通信により出力される電磁波が、吸収体面で吸収される。このとき、LSIや基板が設けられている側の、筐体21内の無線通信による無線通信状態が変化する。
【0156】
また、筐体21では、図19Bに示すように、筐体21の天井面がシャッター部311の金属面で覆われることにより、各LSIが行う無線通信により出力される電磁波が、金属面で反射される。このとき、LSIや基板が設けられている側の、筐体21内の無線通信による無線通信状態が変化する。
【0157】
駆動制御部162は、図19に示すシャッター部311を駆動させることにより、シャッター部311の開き具合を表す角度について、図17の角度決定処理を行い、シャッター部311の最適な角度を決定することが可能である。
【0158】
図20は、シャッター部311を、2つの面が共に金属面である板状部材により構成し、筐体21の天井面の内側を吸収体により構成したときの筐体21を示している。
【0159】
図20Aに示す筐体21では、2つの面が共に金属面である板状部材のシャッター部311が開いて、電磁波が筐体21の天井面に到達可能な状態となっている。このとき、各LSIが行う無線通信により出力される電磁波が、筐体21の天井面の吸収体面で吸収され、筐体21内の無線通信による無線通信状態が変化する。
【0160】
なお、図20Aに示すモジュール361は、シャッター部311を構成し、2つの面が共に金属面である板状部材を示している。
【0161】
また、図20Bに示す筐体21では、2つの面が共に金属面である板状部材のシャッター部311が閉じて、筐体21の天井面がシャッター部311の板状部材で覆われることにより、電磁波が、筐体21の天井面に到達不可能な状態となっている。このとき、各LSIが行う無線通信により出力される電磁波が、シャッター部311の板状部材の金属面で反射されることになり、LSIや基板が設けられている側の、筐体21内の無線通信による無線通信状態が変化する。
【0162】
駆動制御部162は、図20に示すシャッター部311を駆動させることにより、シャッター部311の開き具合を表す角度について、図17の角度決定処理を行い、シャッター部311の最適な角度を決定することが可能である。
【0163】
上記実施の形態では、図12の位置決定処理において、駆動制御部162は、LSIが設けられた基板を駆動させることとしたが、LSIが設けられた基板に代えて、又はLSIが設けられた基板とともに、例えば、LSIが設けられておらず、LSIとは独立して駆動する基板等を、筐体21内の無線通信状態を変化させるために駆動させるようにしてもよい。
【0164】
さらに、上記実施の形態では、図12の位置決定処理において、可動基板34の高さ毎に状態パラメータを検出し、その状態パラメータから生成した可動基板34の高さ毎の総合状態パラメータのうち、最も良好な無線通信状態を表す総合状態パラメータに対応する可動基板34の高さを、可動基板34の最終的な高さに決定することとしたが、これに限定されない。
【0165】
すなわち、例えば、総合状態パラメータが、予め設定された条件を満たしたときの高さを、可動基板34の最適な高さとして採用することが可能である。
【0166】
また、例えば、図12の位置決定処理を開始する時点での可動基板34の高さに対応する総合状態パラメータと比較して、無線通信状態が良好な総合状態パラメータとなる可動基板34の高さを、可動基板34の最適な高さとして採用するようにしてもよい。
【0167】
このことは、図17の角度決定処理についても、同様である。
【0168】
上記実施の形態では、図12の位置決定処理において、筐体21内の1枚の可動基板34を上下方向に駆動させることにより、可動基板34の最適な高さを決定することとしたが、筐体21内の複数の基板を上下方向に駆動させることにより、複数の基板それぞれの最適な高さを決定するようにしてもよい。また、図17の角度決定処理においても同様に、複数の反射板(又は複数のシャッター部)等を駆動させることにより、複数の反射板それぞれの最適な角度を決定することが可能である。
【0169】
なお、筐体21内に、例えば、LSIが設けられた1つの基板、及びLSIが設けられておらず、LSIとは独立して駆動する2つの基板により構成される複数の基板が設けられている場合に、複数の基板の高さを変更させる順番としては、例えば、最初に、LSIが設けられた基板の高さを変更し、次に、LSIが設けられておらず、LSIとは独立して駆動する基板であって、LSIが設けられた基板に近い基板から、基板の高さを変更させることが考えられる。そして、例えば、総合状態パラメータが、予め設定された条件を満たしたとき、又は図12の位置決定処理を開始する時点での可動基板34の高さに対応する総合状態パラメータと比較して、無線通信状態が良好な総合状態パラメータとなったときの複数の基板の高さが、複数の基板それぞれの高さの最適な高さとして決定される。
【0170】
また、上記実施の形態では、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理のうちのいずれかにより、筐体21内の無線通信状態を変化させることとしたが、例えば、図12の位置決定処理における可動基板34の高さ、及び図17の角度決定処理における反射板281の角度やシャッター部311の角度の組合せ毎に、状態パラメータを検出し、可動基板34の高さ、及び反射板281の角度やシャッター部311の角度の組合せ毎に検出された状態パラメータに基づいて、可動基板34の最適な高さ、及び反射板281やシャッター部311の角度の最適な角度を決定するようにしてもよい。
【0171】
さらに、上記実施の形態において、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理は、例えば、筐体21内の監視制御部71及び各LSIの電源がオンされたときに開始されることとしたが、これに限定されない。
【0172】
すなわち、例えば、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理は、筐体21(図4)内において、基板やLSI等が外される、新たな基板やLSI等が装着される、基板やLSI等の配置が変更される等といった、筐体21内の無線通信状態の変化が生じたとき、ユーザからの指令があったときに開始することが可能である。
【0173】
また、例えば、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理は、数日に1回、又は数時間に1回等の、任意の時間間隔毎のペースで、開始するようにしてもよいし、例えば、LSI53とLSI54との間で無線通信を行った後に、LSI53とLSI55との間で無線通信を行う場合等の、無線通信を行う対象が変更されたとき毎に、開始することが可能である。
【0174】
その他、例えば、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理は、工場において作成された筐体21を出荷するときに行うようにしてもよい。
【0175】
図12の位置決定処理では、監視制御部71の駆動制御部162において、LSI54がLSI53からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、LSI55がLSI53からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、及びLSI55がLSI54からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータに基づいて、総合状態パラメータが生成されることとしたが、これに限定されない。
【0176】
すなわち、例えば、監視制御部71の駆動制御部162において、LSI54がLSI53からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、LSI55がLSI53からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、及びLSI55がLSI54からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータとともに、LSI53がLSI54からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、LSI53がLSI55からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、及びLSI54がLSI55からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータにも基づいて、総合状態パラメータが生成されるようにしてもよい。
【0177】
この場合、駆動制御部162において、LSI53,54、及び55の総合的な無線通信状態をより正確に表した総合状態パラメータを生成することができるため、より正確に、可動基板34の最適な高さを求めることが可能である。
【0178】
なお、LSI53がLSI54からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、LSI53がLSI55からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータ、及びLSI54がLSI55からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータは、LSI54がLSI53からの検出用信号に基づいて生成した状態パラメータと同様に、図11の通信評価処理により生成される。
【0179】
また、上記実施の形態では、本発明を、筐体21内で行われる通信に適用した場合について説明したが、本発明は、その他、例えば、マンションや一戸建て等で行われる無線LAN等による無線通信に応用可能である。
【0180】
ところで、上述した図11の通信評価処理、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理は、専用のハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。図11の通信評価処理、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、いわゆる組み込み型のコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム格納媒体からインストールされる。
【0181】
図21は、上述した図11の通信評価処理、図12の位置決定処理、及び図17の角度決定処理をプログラムにより実行するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【0182】
CPU(Central Processing Unit)411は、ROM(Read Only Memory)412、または記憶部418に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)413には、CPU411が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU411、ROM412、およびRAM413は、バス414により相互に接続されている。
【0183】
CPU411にはまた、バス414を介して入出力インタフェース415が接続されている。入出力インタフェース415には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部416、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部417が接続されている。CPU411は、入力部416から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU411は、処理の結果を出力部417に出力する。
【0184】
入出力インタフェース415に接続されている記憶部418は、例えばハードディスクからなり、CPU411が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部419は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0185】
また、通信部419を介してプログラムを取得し、記憶部418に記憶してもよい。
【0186】
入出力インタフェース415に接続されているドライブ420は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア421が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部418に転送され、記憶される。
【0187】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム格納媒体は、図21に示されるように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア421、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM412や、記憶部418を構成するハードディスクなどにより構成される。プログラム格納媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースである通信部419を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行われる。
【0188】
なお、本明細書において、プログラム格納媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0189】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】LSIを含む基板が設けられた筐体からなる電子機器を示す斜視図である。
【図2】図1の筐体内の電界強度を示す第1の図である。
【図3】図1の筐体内の電界強度を示す第2の図である。
【図4】本発明を適用した電子機器の構成例を示す斜視図である。
【図5】図4の電子機器の構成例を示す上面図である。
【図6】図4の基板を移動自在にさせる構成例を示す図である。
【図7】監視制御部及びLSIの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】電磁波の位相を表す角度thが0度であるときに計測された筐体内の電界強度を示す図である。
【図9】電磁波の位相を表す角度thが90度であるときに計測された筐体内の電界強度を示す図である。
【図10】電磁波の位相を表す角度thが170度であるときに計測された筐体内の電界強度を示す図である。
【図11】通信評価処理を説明するフローチャートである。
【図12】位置決定処理を説明するフローチャートである。
【図13】図4の基板を移動自在にさせる別の構成例を示す第1の図である。
【図14】図4の基板を移動自在にさせる別の構成例を示す第2の図である。
【図15】図4の基板を移動自在にさせる別の構成例を示す第3の図である。
【図16】監視制御部に、反射板を装着させたときの筐体の上面図を示している。
【図17】角度設定処理を説明するフローチャートである。
【図18】筐体の天井面に、開閉可能なシャッターにより構成されるシャッター部を設けた筐体の側面図を示している。
【図19】図18のシャッター部の詳細な構成例を示す図である。
【図20】図18のシャッター部を、2つの面が共に金属面である板状部材により構成し、筐体の天井面を吸収体により構成したときの筐体を示す側面図である。
【図21】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0191】
53 LSI, 54 LSI, 55 LSI, 63 アンテナ, 64 アンテナ, 65 アンテナ, 71 監視制御部, 131 受信制御部, 132 通信評価部, 133 通信部, 134 信号生成部, 135 送信制御部, 161 通信部, 162 駆動制御部, 162A メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の筐体内で相互に無線通信を行う複数の無線通信部、及び前記筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する制御部を備える電子機器において、
前記無線通信部は、
他の無線通信部との無線通信状態を表す状態パラメータを生成する生成手段と、
生成された前記状態パラメータを、前記制御部に供給する供給手段と
を備え、
前記制御部は、
前記供給手段により供給された前記状態パラメータを取得する取得手段と、
取得された前記状態パラメータに基づいて、前記駆動部の駆動を制御する駆動制御手段と
を備える
電子機器。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記無線通信部が設置された、前記駆動部としての基板、又は、前記無線通信部とは独立して駆動する、前記駆動部としての部材のうちの少なくとも一方の駆動を制御する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記取得手段は、前記駆動制御手段により、前記駆動部の駆動が制御され、前記無線通信状態が変化した後、再度、前記供給手段により供給された前記状態パラメータを取得し、
前記駆動制御手段は、前記無線通信状態が変化した後の前記状態パラメータにも基づいて、前記駆動部の駆動を制御する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
同一の筐体内で相互に無線通信を行う複数の無線通信部、及び前記筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する制御部を備える電子機器を制御する制御方法において、
前記無線通信部では、
他の無線通信部との無線通信状態を表す状態パラメータを生成し、
生成された前記状態パラメータを、前記制御部に供給し、
前記制御部では、
前記無線通信部により供給された前記状態パラメータを取得し、
取得された前記状態パラメータに基づいて、前記駆動部の駆動を制御する
ステップを含む制御方法。
【請求項5】
同一の筐体内で相互に無線通信を行う複数の無線通信部、及び前記筐体内の無線通信状態を変化させる駆動部の駆動を制御する制御部を備える電子機器として、コンピュータを機能させるプログラムにおいて、
前記無線通信部は、
他の無線通信部との無線通信状態を表す状態パラメータを生成する生成手段と、
生成された前記状態パラメータを、前記制御部に供給する供給手段と
を備え、
前記制御部は、
前記供給手段により供給された前記状態パラメータを取得する取得手段と、
取得された前記状態パラメータに基づいて、前記駆動部の駆動を制御する駆動制御手段と
を備える
電子機器として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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