説明

電子機器、通信制御プログラムおよび通信システム

【課題】コンテンツの圧縮に関する好適なパラメータをコンテンツに応じて決定すること。
【解決手段】携帯電話端末(電子機器)1は、コンテンツの送信要求を送信するとともに、送信要求に応じて送信されたコンテンツを受信する通信部26によって受信されたコンテンツの容量を、当該コンテンツを識別するための識別情報と対応づけて記憶する記憶部24と、取得対象のコンテンツの識別情報と対応づけて記憶部24に記憶されている容量に応じて当該コンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、決定した設定値を当該コンテンツの送信要求に含めさせる制御部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、通信制御プログラムおよび通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信時間の短縮や通信料金の削減を目的として、電子機器がダウンロードするWEBページ等のコンテンツを圧縮する技術が知られている。例えば、特許文献1では、通信端末が接続に使用している通信方式の情報を取得し、通信端末が接続に使用している通信方式に対応する圧縮情報に基づいてデータを圧縮する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術のように通信方式に応じて圧縮の仕方を決定することとすると、各種のコンテンツが一様に圧縮されてしまい、個々のコンテンツに応じて圧縮の仕方を適切に決定することができない。例えば、サイズの小さなコンテンツについては、ほとんど圧縮することなく十分短時間でダウンロードできるにもかかわらず、高い圧縮率で圧縮されて品質が低下してしまう場合がある。また、サイズの大きなコンテンツについては、圧縮が十分に行われずに、ダウンロードに多くの時間を要してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンテンツの圧縮に関する好適なパラメータをコンテンツに応じて決定することができる電子機器、通信制御プログラムおよび通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、コンテンツの送信要求を送信する送信部と、前記送信要求に応じて送信されたコンテンツを受信する受信部と、前記受信部によって受信されたコンテンツの容量を、当該コンテンツを識別するための識別情報と対応づけて記憶する記憶部と、所定のコンテンツの識別情報が、容量と対応づけて前記記憶部に記憶されている場合、その容量に応じて当該所定のコンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、当該決定の後に前記所定のコンテンツの送信要求を再びする場合、決定した設定値を当該所定のコンテンツの送信要求に含める制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記制御部は、前記所定のコンテンツの識別情報と対応づけて前記記憶部に記憶されている容量が、所定値より大きいほど当該コンテンツが小さな容量で受信され、前記容量が前記所定値より小さいほど当該コンテンツが大きな容量で受信されるように前記設定値を決定することが好ましい。
【0008】
また、前記受信部は、無線基地局との間で無線通信を行い、前記制御部は、前記受信部と無線通信を行う無線基地局の性能に応じて、前記設定値を補正することが好ましい。
【0009】
また、前記受信部は、時分割多次元接続によるスロット通信を行い、前記制御部は、受信に使用しているスロットの数に応じて前記設定値を補正することが好ましい。
【0010】
また、前記コンテンツは、他のコンテンツへのリンクを含み、前記制御部は、受信済のコンテンツからリンクされた他のコンテンツの識別情報が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記受信済のコンテンツの識別情報と対応づけて前記記憶部に記憶されている容量に応じて前記他のコンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、決定した設定値を前記他のコンテンツの送信要求に含めさせることが好ましい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、通信制御プログラムであって、コンテンツの送信要求を送信するステップと、前記送信要求に応じて送信されたコンテンツを受信するステップと、受信された前記コンテンツの容量を、当該コンテンツを識別するための識別情報と対応づけて記憶部に記憶させるステップと、取得対象のコンテンツの識別情報と対応づけて前記記憶部に記憶されている容量に応じて当該コンテンツの圧縮に関する設定値を決定するステップと、決定した前記設定値を前記取得対象のコンテンツの送信要求に含めるステップとを電子機器に実行させることを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、コンテンツを配信するコンテンツサーバと、前記サーバからコンテンツを受信し、当該コンテンツに対して圧縮処理を行い、圧縮されたコンテンツを送信する中継サーバと、前記中継サーバから前記圧縮されたコンテンツを受信する電子機器とを備える通信システムであって、前記電子機器は、所定コンテンツを初めて受信する場合には未圧縮の所定コンテンツを受信し、前記未圧縮の所定コンテンツを受信した場合には、当該所定コンテンツの識別情報と容量とに基づいて当該所定コンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、前記所定コンテンツを再受信する場合には、前記設定値を前記中継サーバに送信し、前記集計サーバは、前記電子機器から受信した設定値に基づいて、前記所定コンテンツに対して圧縮処理を行い、当該圧縮処理が行われた所定コンテンツを前記電子機器へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子機器、通信制御プログラムおよび通信システムは、コンテンツの圧縮に関する好適なパラメータをコンテンツに応じて決定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、通信システムの概要構成を示す図である。
【図2】図2は、携帯電話端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、受信履歴データの一例を示す図である。
【図4】図4は、設定値データの一例を示す図である。
【図5】図5は、容量別補正値の一例を示す図である。
【図6】図6は、基地局別補正値の一例を示す図である。
【図7】図7は、コンテンツ取得処理の処理手順を示すフロー図である。
【図8】図8は、ブックマークデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器として携帯電話端末を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0016】
(実施形態)
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る通信システム100について説明する。図1は、通信システム100の概要構成を示す図である。図1に示すように通信システム100は、コンテンツサーバ300と、高速化サーバ200と、携帯電話端末1とを含む。
【0017】
コンテンツサーバ300は、コンテンツを保管し、クライアントからの送信要求に応じてコンテンツを要求元のクライアントへ送信する。ここでいうコンテンツとは、クライアントにおいて再生や閲覧されるデータであり、例えば、映像データ、画像データ、音声データ、文書データ、WEBページ等である。
【0018】
高速化サーバ200は、コンテンツサーバ300と携帯電話端末1との間のやりとりを仲介する中継サーバである。高速化サーバ200は、携帯電話端末1から高速化サーバ200へ送信される送信要求に圧縮パラメータが含まれている場合、コンテンツサーバ300から携帯電話端末1へ応答されるコンテンツを、圧縮パラメータに応じて圧縮する。
【0019】
ここで、圧縮パラメータとは、コンテンツをどのように圧縮するかを指定するパラメータである。なお、コンテンツの圧縮は、ランレングス圧縮のような汎用的な圧縮方式を用いて実現されてもよいし、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やMPEG(Moving Picture Experts Group)のような特定の種別のデータを対象とする圧縮方式を用いて実現されてもよい。また、画像や映像の解像度を低下させたり、コンテンツに含まれるデータの一部を削除したりすることによって実現されてもよい。
【0020】
携帯電話端末1は、送信要求を送信し、応答されたコンテンツの再生等を行うクライアントである。携帯電話端末1は、例えば、HTTP(HyperText Transfer Protocol)のリクエストメッセージとして送信要求を送信し、コンテンツをどのように圧縮するかを指定する圧縮パラメータを、送信されるリクエストのヘッダ部分に含める。携帯電話端末1は、基地局400との間で確立される無線通信回線を介して、他の装置と情報をやりとりする。
【0021】
通信システム100におけるコンテンツの配信は、以下のような手順で行われる。まず、携帯電話端末1が、ステップS1として、送信要求を高速化サーバ200へ送信する。送信要求には、取得対象のコンテンツを特定する情報に加えて、圧縮パラメータが含まれる。
【0022】
続いて、高速化サーバ200が、ステップS2として、携帯電話端末1から送信された送信要求をコンテンツサーバ300へ転送する。このとき、高速化サーバ200は、送信要求に含まれている圧縮パラメータを記憶しておく。なお、送信要求をコンテンツサーバ300へ転送するに際して、送信要求から圧縮パラメータを削除してもよい。
【0023】
コンテンツサーバ300は、送信要求を受信すると、ステップS3として、送信要求に対応するコンテンツを高速化サーバ200へ応答する。高速化サーバ200は、コンテンツを受信すると、ステップS4として、記憶していた圧縮パラメータに基づいてコンテンツを圧縮し、圧縮済みのコンテンツを携帯電話端末1へ送信する。
【0024】
このように、通信システム100では、携帯電話端末1が指定した圧縮パラメータに基づいて圧縮されたコンテンツが携帯電話端末1へ配信される。このため、通信システム100では、携帯電話端末1の指定に応じて、配信されるコンテンツの品質や、配信に要する時間が変動する。
【0025】
ここで、携帯電話端末1は、コンテンツを受信するたびに、指定した圧縮パラメータと、受信されたコンテンツの容量とを記録しておき、記録しておいた情報を、同じコンテンツの送信を次回要求する場合に利用する。具体的には、携帯電話端末1は、記録しておいた情報に基づいて、配信されるコンテンツの容量が好適な容量に近くなるように圧縮パラメータを調整する。好適な容量とは、好適な配信時間内に配信可能なコンテンツの容量である。
【0026】
例えば、あるコンテンツの前回受信時の容量が好適な容量よりも小さい場合、携帯電話端末1は、そのコンテンツの送信を新たに要求する場合に、圧縮パラメータとして、配信されるコンテンツの容量がより大きくなるように前回の値を補正した値を設定する。このように設定することにより、携帯電話端末1は、好適な配信時間内で配信を完了させつつ、配信されるコンテンツの品質を向上させることができる。
【0027】
また、あるコンテンツの前回受信時の容量が好適な容量よりも大きい場合、携帯電話端末1は、そのコンテンツの送信を新たに要求する場合に、圧縮パラメータとして、配信されるコンテンツの容量がより小さくなるように前回の値を補正した値を設定する。このように設定することにより、携帯電話端末1は、コンテンツの配信を好適な配信時間内またはそれにより近い時間内で完了させることができる。
【0028】
このように、通信システム100では、携帯電話端末1が過去の受信履歴に基づいて圧縮パラメータを調整することにより、個々のコンテンツごとに圧縮パラメータを最適化することができる。
【0029】
なお、図1では、コンテンツサーバ300、高速化サーバ200および携帯電話端末1が1台ずつ存在する例を示したが、これらの装置は、複数存在してもよい。また、高速化サーバ200は、コンテンツの種別ごとに存在していてもよいし、複数の種別のコンテンツを圧縮できるように構成されていてもよい。また、コンテンツサーバ300と高速化サーバ200とが一体に構成されていてもよい。
【0030】
また、携帯電話端末1が他の装置と情報をやりとりするために無線通信回線を確立する相手方である基地局400も、複数存在していてよい。この場合、携帯電話端末1において受信される電波が最も高品質な基地局400が、無線通信回線を確立する相手方として選択されることとしてもよい。また、それぞれの基地局400がサポートする無線通信方式が異なる場合、携帯電話端末1が利用可能な無線通信方式のうち最も好適なものをサポートする基地局400が、無線通信回線を確立する相手方として選択されることとしてもよい。
【0031】
次に、図2を参照しながら、図1に示した携帯電話端末1の機能的な構成について説明する。図2は、携帯電話端末1の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯電話端末1は、制御部22と、記憶部24と、通信部26と、操作部13と、音声処理部30と、表示部2とを有する。
【0032】
記憶部24は、各種情報を記憶する記憶装置である。記憶部24は、携帯電話端末1内に固定的に設けられたフラッシュメモリ等の半導体に情報を記憶させるものであってもよいし、メモリカード等の取り出し可能な記憶媒体と、記憶媒体の読み書き装置との組み合わせとして構成されていてもよい。
【0033】
記憶部24には、制御部22での処理に利用されるデータやプログラムが記憶される。記憶部24に記憶されるデータやプログラムには、通信制御プログラム24aと、ブックマークデータ24bと、受信履歴データ24cと、設定値データ24dと、容量別補正値24eと、基地局別補正値24fとが含まれる。
【0034】
通信制御プログラム24aは、コンテンツの配信等の通信に関する各種制御を実現するためのプログラムである。ブックマークデータ24bは、利用者によって登録されたWEBページのアドレスを保持する。受信履歴データ24cは、受信されたコンテンツの容量と、そのコンテンツの送信を要求する際に指定された圧縮パラメータとを保持する。設定値データ24dは、携帯電話端末1の動作を規定する各種設定値を保持する。
【0035】
ここで、設定値データ24dについて詳細に説明するために、本実施形態における携帯電話端末1と基地局400との間で行われる通信方式について説明する。本実施形態において、携帯電話端末1と基地局400との間で行われる通信方式は、TDMA(時分割多元接続方式)である。TDMA通信方式とは、1種類の搬送波を用いて1つの基地局が複数の携帯電話端末と通信を行うための通信方式である。
【0036】
より具体的に説明すると、基地局は、1つの搬送波をスロットと呼ばれる単位に時分割(例えば、625μsec毎に時分割)し、当該スロットを単位として携帯電話端末と通信を行う。また、基地局は、送信時に連続して4スロット、受信時に連続して4スロットを私用する。なお、受信用の4スロットと送信用の4スロットを合計した送受信用の8スロット合わせてフレームと呼ぶ。このフレームによる通信を繰り返し行う通信の方式がTDMA通信方式である。
【0037】
例えば、もし、1つの基地局が4つの携帯電話端末と通信を行う場合、基地局はそれぞれの携帯電話端末に対して1スロットずつしか割り当てることができない。しかしながら、もし、1つの基地局が1つの携帯電話端末と通信を行う場合、基地局は、1〜4スロットのいずれかのスロット数で1つの携帯電話端末と通信を行うことができる。
【0038】
そして、ここでいう設定データ24dとは、携帯電話端末1が、基地局400との通信に用いるスロットの数と、圧縮パラメータとの関係を示したデータのことである。なお、上述したTDMA通信方式の仕組みから分かるとおり、通信に用いられるスロットの数が多ければ多いほど、携帯電話端末1と基地局との間で一度に(1フレームで)やりとりされる情報量は多くなる。
【0039】
具体的には、設定値データ24dには、「4スロット使用」というパラメータに対して、圧縮パラメータ「3」が対応づけて記憶されている。また、同様に、「2スロット使用」というパラメータに対して、圧縮パラメータ「4」が対応づけて記憶されている。つまり、例えば、携帯電話端末1が2スロットを用いて基地局400と通信をする場合には、「圧縮パラメータ」4を加味した上で、高速化サーバ200に送信する圧縮パラメータが決定される。同様に、携帯電話端末1が4スロットを用いて基地局400と通信をする場合には、「圧縮パラメータ」3を加味した上で、高速化サーバ200に送信する圧縮パラメータが決定される。
【0040】
容量別補正値24eは、受信履歴データ24cに基づいて新たに圧縮パラメータを決定する際に用いられる補正値を保持する。基地局別補正値24fは、接続中の基地局に応じて圧縮パラメータを補正するための補正値を保持する。基地局は、機種の相違や設定の相違等のために、それぞれ通信速度やエラーの修正能力等の性能が異なる場合がある。基地局別補正値24fは、基地局の性能の差を補正するために用いられる。
【0041】
通信部26は、送信部および受信部として機能する。通信部26は、アンテナ26aを有し、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信および情報通信を行う。操作部13は、操作キー、方向キー、決定ボタン等を含み、これらのキーやボタンが利用者によって操作されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、利用者の指示として制御部22へ入力される。
【0042】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16から出力される音声信号の処理を実行する。表示部2は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro-Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルを備え、制御部22の制御に基づいて待受画面や各種の機能画面等を表示パネルに表示させる。
【0043】
制御部22は、携帯電話端末1の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、制御部22は、携帯電話端末1の各種の処理が、操作部13の操作や携帯電話端末1の記憶部24に記憶されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部26や、音声処理部30や、表示部2等の動作を制御する。
【0044】
制御部22は、記憶部24に記憶されているコンピュータプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。制御部22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、コンピュータプログラムに定義された手順にしたがって携帯電話端末1の各種の処理を実行する。すなわち、制御部22は、記憶部24に記憶されるコンピュータプログラムから命令列を順次読み込んで処理を実行する。なお、制御部22は、記憶部24に記憶されているコンピュータプログラムだけでなく、他の装置に記憶されているコンピュータプログラムをダウンロードして実行することもできる。
【0045】
制御部22は、携帯電話端末1の制御の一部として、通信制御プログラム24aを実行することにより、上述したような方式で圧縮パラメータを決定し、決定した圧縮パラメータを含む送信要求を通信部26から送信させる。
【0046】
次に、図3から図6を参照しながら、携帯電話端末1の記憶部24に記憶されるデータについて説明する。図3は、受信履歴データ24cの一例を示す図である。図4は、設定値データ24dの一例を示す図である。図5は、容量別補正値24eの一例を示す図である。図6は、基地局別補正値24fの一例を示す図である。
【0047】
図3に示すように、受信履歴データ24cは、URL(Uniform Resource Locator)、容量、圧縮パラメータといった項目を有し、コンテンツが受信されるたびにデータが登録される。なお、受信されるコンテンツがWEBページの場合、HTML文書や画像データ等の要素ごとに受信履歴データ24cにデータを登録することとしてもよいが、WEBページ単位で受信履歴データ24cにデータを登録することがより好ましい。利用者は、WEBページ単位でコンテンツを閲覧し、WEBページ単位で配信時間の長短を知覚するためである。
【0048】
URLの項目には、受信したコンテンツのネットワーク上での位置を示す識別子が格納される。容量の項目には、受信したコンテンツの容量が格納される。なお、ここでいう受信したコンテンツの容量とは、高速化サーバ200によって圧縮されたままのコンテンツの容量である。圧縮パラメータの項目には、受信したコンテンツの要求時に指定した圧縮パラメータが格納される。本実施形態では、圧縮パラメータは、1から5のいずれかの値を取り、値が大きいほど高速化サーバ200によってコンテンツが小さく圧縮されるものとする。
【0049】
例えば、図3に示す、受信履歴データ24cの1行目では、URLの項目に「http://example1.com/」が格納され、容量の項目に「1.2MB」が格納され、圧縮パラメータの項目に「4」が格納されている。これは、「http://example1.com/」という識別子で識別されるコンテンツを「4」という圧縮パラメータを指定して要求したところ、容量が「1.2MB」のコンテンツが受信されたことを示している。
【0050】
図5に示すように、容量別補正値24eは、コンテンツの容量と対応づけて、圧縮パラメータの補正値を保持する。図5に示す容量別補正値24eの1行目では、容量の項目に「0〜100KB」が格納され、補正値に「−2」が格納されている。これは、前回受信時のコンテンツの容量が「0〜100KB」の場合、コンテンツの配信時間に余裕があるため、圧縮パラメータを前回の値より2だけ小さくすべきことを示している。
【0051】
また、図5に示す容量別補正値24eの3行目では、容量の項目に「300KB〜500KB」が格納され、補正値に「0」が格納されている。これは、前回受信時のコンテンツの容量が「300KB〜500KB」の場合、コンテンツの配信時間が好適であるため、圧縮パラメータを前回の値と同じにすべきことを示している。また、図5に示す容量別補正値24eの5行目では、容量の項目に「1MB〜」が格納され、補正値に「+2」が格納されている。これは、前回受信時のコンテンツの容量が「1MB」以上の場合、コンテンツの配信時間が長すぎるため、圧縮パラメータを前回の値より2だけ大きくすべきことを示している。
【0052】
図5に示す容量別補正値24eでは、前回受信時のコンテンツの容量が好適な値と大きく異なるほど圧縮パラメータの補正量が大きくなるように補正値が設定されている。このように設定することにより、圧縮パラメータの最適化を早く進めることができる。
【0053】
なお、図5に示す容量別補正値24eの例は、配信時間が適切な長さとなるコンテンツの好適な容量が「300KB〜500KB」であることを前提としているが、コンテンツの好適な容量はこの通りである必要はない。コンテンツの好適な容量は、通信方式に応じて変更してもよいし、利用者がコンテンツの好適な容量を任意に変更できるように携帯電話端末1を構成していてもよい。
【0054】
図6に示すように、基地局別補正値24fは、図1を用いて説明した基地局を識別するための基地局識別子と対応づけて、圧縮パラメータの補正値を保持する。図6に示す基地局別補正値24fの2行目では、基地局識別子の項目に「YYY」が格納され、補正値に「+1」が格納されている。これは、通信中の基地局が「YYY」という識別子で識別される場合、通信速度が通常よりも遅いため、圧縮パラメータを1だけ大きくすべきことを示している。なお、基地局別補正値24fは、基地局の識別子が登録されていない場合に用いられるデフォルトの補正値を保持していてもよい。
【0055】
次に、図7を参照しながら、通信制御プログラム24aに基づいて制御部22が実行するコンテンツ取得処理の処理手順について説明する。なお、図7に示すコンテンツ取得処理は、例えば、利用者がコンテンツの取得を求める操作を操作部13に対して行った場合に実行される。そして、コンテンツ取得処理によって取得されたコンテンツは、他のプログラムに基づいて制御部22が実行する処理によって再生等の対象となる。
【0056】
図7は、コンテンツ取得処理の処理手順を示すフロー図である。図7に示すように、制御部22は、ステップS101として、取得対象のコンテンツのURLを検索キーとして受信履歴データ24cを検索する。そして、該当するデータが検索された場合(ステップS102,Yes)、制御部22は、ステップS106として、検索されたデータから容量と圧縮パラメータを取得する。
【0057】
該当するデータがなかった場合(ステップS102,No)、制御部22は、ステップS103として、リンク元のコンテンツがあるかを判定する。ここで、リンク元のコンテンツとは、取得対象のコンテンツへリンクを張っているコンテンツである。例えば、AというWEBページがBというWEBページへリンクを張っており、BというWEBページが取得対象のコンテンツである場合に、AというWEBページがリンク元のコンテンツに相当する。リンク元のコンテンツがあるということは、あるコンテンツを取得するためのコンテンツ取得処理が実行され、続いて、取得されたコンテンツのリンクを辿って今回取得対象となっているコンテンツに対するコンテンツ取得処理が実行中されていることを意味する。
【0058】
リンク元のコンテンツがある場合(ステップS103,Yes)、制御部22は、ステップS104として、リンク元のコンテンツのURLを検索キーとして受信履歴データ24cを検索する。そして、該当するデータが検索された場合(ステップS105,Yes)、制御部22は、ステップS106として、検索されたデータから容量と圧縮パラメータを取得する。
【0059】
ここで、リンク元のコンテンツに対応する容量と圧縮パラメータを取得するのは、リンク元のコンテンツとリンク先のコンテンツは、容量が同等である場合が多いためである。例えば、複数のページに分割され、前のページから次のページへリンクが張られたコンテンツの場合、リンク元のコンテンツの容量とリンク先のコンテンツの容量はほぼ同一であることが多い。
【0060】
受信履歴データ24cから検索されたデータから容量と圧縮パラメータを取得した場合、制御部22は、ステップS107として、取得した容量に対応する補正値を容量別補正値24eから取得する。そして、制御部22は、ステップS108として、取得した補正値を圧縮パラメータに加算することにより、圧縮パラメータを補正し、ステップS110以降を実行する。なお、補正後の圧縮パラメータが最大値よりも大きくなるか最小値よりも小さくなる場合には、補正は行わないこととしてもよい。
【0061】
一方、受信履歴データ24cから検索されたデータから容量等を取得できなかった場合、すなわち、リンク元のコンテンツがない場合(ステップS103,No)、または、リンク元のURLに該当するデータがない場合(ステップS105,No)、制御部22は、ステップS109として、設定値データ24dからデフォルトの圧縮パラメータを取得し、ステップS110以降を実行する。
【0062】
ステップS110として、制御部22は、接続中の基地局に対応する補正値を基地局別補正値24fから取得する。そして、制御部22は、ステップS111として、取得した補正値を圧縮パラメータに加算することにより、圧縮パラメータを補正する。なお、補正後の圧縮パラメータが最大値よりも大きくなるか最小値よりも小さくなる場合には、補正は行わないこととしてもよい。
【0063】
続いて、制御部22は、ステップS112として、取得対象のコンテンツのURLと圧縮パラメータとを含めた送信要求を通信部26に送信させる。そして、ステップS113として、送信要求に対応するコンテンツが通信部26で受信されると、制御部22は、ステップS114として、受信したコンテンツのURLと、容量と、要求時に指定した圧縮パラメータとを対応づけて受信履歴データ24cに格納する。
【0064】
上述してきたように、本実施形態では、過去の受信履歴に基づいて圧縮パラメータを調整することとしたので、個々のコンテンツごとに圧縮パラメータを最適化することができる。
【0065】
なお、上記の各実施形態で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、通信制御プログラム24aは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと統合されていてもよい。また、携帯電話端末1は、通信回線を通じて通信制御プログラム24aを他の装置からダウンロードしてしてもよいし、可搬の記憶媒体に記憶された通信制御プログラム24aを読み出して実行してもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、容量に基づいて圧縮パラメータを調整することとしたが、コンテンツの要求から受信までに要した時間である配信時間を記録しておき、前回同じコンテンツを受信したときの配信時間に基づいて圧縮パラメータを調整してもよい。この場合、前回同じコンテンツを受信したときの配信時間が好適な時間よりも長い場合には、コンテンツがさらに小さく圧縮されるように圧縮パラメータが補正される。一方、前回同じコンテンツを受信したときの配信時間が好適な時間よりも短い場合には、受信されるコンテンツの容量が大きくなり、コンテンツの品質が向上するように圧縮パラメータが補正される。
【0067】
また、容量別補正値24eをコンテンツの種類別に設けてもよい。例えば、WEBページ用の容量別補正値24eは、好適な容量が比較的小さいことを前提として設定され、動画データ用の容量別補正値24eは、好適な容量が比較的大きいことを前提として設定される。
【0068】
また、ブックマークデータ24bに登録されているWEBページを受信した場合に、受信したWEBページの容量等を、受信履歴データ24cではなく、ブックマークデータ24bに記録することとしてもよい。受信したWEBページの容量等を記録する場合のブックマークデータ24bの一例を図8に示す。図8に示すブックマークデータ24bでは、WEBページの名称およびURLと対応づけて、前回そのWEBページを受信した際の容量と、用いられた圧縮パラメータとが記録されている。
【0069】
記憶部24の記憶容量の圧迫を避けるためには、受信履歴データ24cに格納されているデータの一部を何らかのタイミングで削除することが好ましい。このとき、利用者が頻繁に参照するWEBページに対応するデータが削除されると、次回そのWEBページを取得する際に圧縮パラメータとして適切な値が指定されないおそれがある。利用者が頻繁に参照するWEBページは、通常、ブックマークデータ24bに登録されているので、ブックマークデータ24bに登録されているWEBページの容量等をブックマークデータ24bに記録すれば、そのような不都合が生じにくくなる。
【0070】
また、圧縮パラメータの決定を、コンテンツの取得時にではなく、コンテンツの取得後に行うこととしてもよい。この場合、同じコンテンツを前回取得した後に決定された圧縮パラメータを用いて、コンテンツの取得が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明に係る電子機器、通信制御プログラムおよび通信システムは、コンテンツの圧縮に関する好適なパラメータをコンテンツに応じて決定する場合に適している。
【符号の説明】
【0072】
1 携帯電話端末
2 表示部
13 操作部
15 マイク
16 レシーバ
22 制御部
24 記憶部
24a 通信制御プログラム
24b ブックマークデータ
24c 受信履歴データ
24d 設定値データ
24e 容量別補正値
24f 基地局別補正値
26 通信部
30 音声処理部
100 通信システム
200 高速化サーバ
300 コンテンツサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの送信要求を送信する送信部と、
前記送信要求に応じて送信されたコンテンツを受信する受信部と、
前記受信部によって受信されたコンテンツの容量を、当該コンテンツを識別するための識別情報と対応づけて記憶する記憶部と、
所定のコンテンツの識別情報が、容量と対応づけて前記記憶部に記憶されている場合、その容量に応じて当該所定のコンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、当該決定の後に前記所定のコンテンツの送信要求を再びする場合、決定した設定値を当該所定のコンテンツの送信要求に含める制御部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定のコンテンツの識別情報と対応づけて前記記憶部に記憶されている容量が、所定値より大きいほど当該コンテンツが小さな容量で受信され、前記容量が前記所定値より小さいほど当該コンテンツが大きな容量で受信されるように前記設定値を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記受信部は、無線基地局との間で無線通信を行い、
前記制御部は、前記受信部と無線通信を行う無線基地局の性能に応じて、前記設定値を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記受信部は、時分割多次元接続によるスロット通信を行い、
前記制御部は、受信に使用しているスロットの数に応じて前記設定値を補正することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記コンテンツは、他のコンテンツへのリンクを含み、
前記制御部は、受信済のコンテンツからリンクされた他のコンテンツの識別情報が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記受信済のコンテンツの識別情報と対応づけて前記記憶部に記憶されている容量に応じて前記他のコンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、決定した設定値を前記他のコンテンツの送信要求に含めさせることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
コンテンツの送信要求を送信するステップと、
前記送信要求に応じて送信されたコンテンツを受信するステップと、
受信された前記コンテンツの容量を、当該コンテンツを識別するための識別情報と対応づけて記憶部に記憶させるステップと、
取得対象のコンテンツの識別情報と対応づけて前記記憶部に記憶されている容量に応じて当該コンテンツの圧縮に関する設定値を決定するステップと、
決定した前記設定値を前記取得対象のコンテンツの送信要求に含めるステップと
を電子機器に実行させることを特徴とする通信制御プログラム。
【請求項7】
コンテンツを配信するコンテンツサーバと、
前記サーバからコンテンツを受信し、当該コンテンツに対して圧縮処理を行い、圧縮されたコンテンツを送信する中継サーバと、
前記中継サーバから前記圧縮されたコンテンツを受信する電子機器とを備える通信システムであって、
前記電子機器は、
所定コンテンツを初めて受信する場合には未圧縮の所定コンテンツを受信し、
前記未圧縮の所定コンテンツを受信した場合には、当該所定コンテンツの識別情報と容量とに基づいて当該所定コンテンツの圧縮に関する設定値を決定し、
前記所定コンテンツを再受信する場合には、前記設定値を前記中継サーバに送信し、
前記集計サーバは、
前記電子機器から受信した設定値に基づいて、前記所定コンテンツに対して圧縮処理を行い、当該圧縮処理が行われた所定コンテンツを前記電子機器へ送信する
ことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−95161(P2012−95161A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241552(P2010−241552)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】