説明

電子機器のマスト取付金具の収納構造

【課題】電子機器がコンパクトになっても、マスト取付金具の取付けが容易で、外周囲からはみ出さないように収納できるマスト取付金具の収納構造を提供する。
【解決手段】保持部5下側の、貫通穴に隣接した受け部に連結棒部12Cを載せ、押さえ金具13および蝶ナット14を用いて保持部5にボルト部材12を固定した状態で、連結棒部12Cが、コネクタの下端部または取付部6A,6Bの下端よりも上方に位置する。また、押さえ金具13および蝶ナット14を適用して保持部5にボルト部材12を固定した状態で、上端が機器ケーシング3の本体部4の上端部と同じかあるいはそれよりも下側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分配器、ブースター、コンバーター、混合器などの電子機器のマスト取付金具の収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のマスト取付金具の収納構造として、ケース本体の背面側に保持部が突出して形成され、その保持部にマスト取付金具が保持され、そのマスト取付金具を介してマストに取り付けられるものにおいて、前記マスト取付金具は、ボルト部材、押さえ金具およびナット部材を備え、前記ボルト部材は、左右のボルト部と、それらの基端を相互に連結する連結部とを有するコ字形状とされると共に、前記連結部が保持部に回動可能に保持され、前記押さえ金具は、両端部に左右のボルト部を挿通する被挿通部が形成され、この被挿通部を貫通するボルト部の雄ネジにナット部材が螺合される構成とされる構造は知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この構造においては、ボルト部材は、ケース本体の保持部に形成され左右方向に貫通する貫通部に、ボルト部材の連結部を回転可能に挿通させることで、前記保持部に保持される。そして、梱包時や金具不使用時におけるマスト取付金具の収納状態では、保持部の、貫通部とは反対側の部分に押さえ金具を載せ、ナット部材を締め込むことで、マスト取付金具を保持部に固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−119404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、そのような電子機器においては、保持部の貫通部にボルト部材を取り付けるのが面倒であり、ボルト部材を簡単に保持部に保持できることが望まれている。それに加えて、梱包時や金具不使用時において、マスト取付金具をコンパクトに収納できることも望まれている。
【0006】
その一方、電子機器のコンパクト化に比べて、マスト取付金具は、電子機器を取り付けるマストとの関係から、あまり小さくすることができないので、従来と同様に梱包時や不使用時にはケース本体の保持部に収納させるにしても、できるだけコンパクトに収納させたいという要求がある。そのため、収納状態で、ボルト部材の、機器ケーシングの本体部外周囲からの突出量をできるだけ小さくしたい。
【0007】
この発明は、前述したような構造において、梱包時や金具不使用時に、マスト取付金具を本体部の外周囲からはみ出さないように収納でき、かつ保持部へのマスト取付金具の取付けが容易である電子機器のマスト取付金具の収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、機器ケーシングの本体部の背面側に保持部が突出して形成され、前記本体部に下方に突出する壁面部などへの取付部が設けられると共に接栓が下方に突出するように設けられており、前記保持部にマスト取付金具が保持され、そのマスト取付金具を介してマストに固定され、前記マスト取付金具は、ボルト部材、押さえ部材およびナット部材を備える電子機器のマスト取付金具の収納構造であって、前記ボルト部材は、平行に延びる1対の取付棒部と、それらの基端を相互に連結する連結棒部とを有するコ字形状とされると共に、前記連結棒部を回転軸として前記保持部に回転可能に保持される一方、前記押さえ部材は、各端部に前記取付棒部が挿通される挿通部がそれぞれ形成され、前記取付棒部の少なくとも一方が前記ナット部材を螺合するネジ棒部とされるものであり、前記保持部の両側に上下方向に貫通する貫通穴が形成され、この貫通穴に前記ボルト部材の取付棒部が下側から挿通され、前記保持部下側の、前記貫通穴に隣接した部分に前記連結棒部を載せ、前記押さえ部材およびナット部材を用いて前記保持部に前記ボルト部材を固定した状態で、前記連結棒部が、前記接栓の下端部または前記取付部下端よりも上方に位置することを特徴とする。ここで、取付棒部は、両方ともネジ棒部であってもよく、請求項6に記載のように一方だけがネジ棒部であってもよい。
【0009】
このようにすれば、マスト取付金具の収納状態で、保持部下側の、貫通穴に隣接した部分に連結棒部を載せ、押さえ部材およびナット部材を用いて前記保持部にボルト部材を固定し、その状態では、前記連結棒部が、前記接栓の下端部または前記取付部下端よりも上方に位置するようにしているので、梱包時や金具不使用時に、ボルト部材の連結棒部が、機器ケーシングの本体部の外周部からはみ出さないようにすることができる。
【0010】
また、ボルト部材を保持部に取り付けるには、貫通穴に取付棒部を下側から挿通するだけでよいので、前記特許文献1に記載の構造のように、保持部において左右方向に延びる貫通口部にボルト部材の連結棒部を挿通させて取り付ける場合に比べて、取り付けが容易となる。
【0011】
この場合、請求項2に記載のように、前記保持部下側の、前記貫通穴に隣接した部分に、前記連結棒部が係脱可能に係合する係合凹部が形成されていることが望ましい。
【0012】
このようにすれば、係合凹部に連結棒部を係合させることで、安定した保持が可能となる。
【0013】
請求項3に記載のように、前記保持部の上側に、保持面が形成され、前記押さえ部材およびナット部材を用いて前記保持部に前記ボルト部材を固定した状態で、前記押さえ部材は、前記保持面上に載せられており、前記押さえ部材の上端が前記機器ケーシングの本体部の上端部と同じかあるいはそれよりも下側に位置していることが望ましい。
【0014】
このようにすれば、ボルト部材だけでなく、押さえ金具も、電子機器の外周部からはみ出さないようにすることができ、マスト取付金具をコンパクトに収納する上でより有利になる。
【0015】
請求項4に記載のように、前記押さえ部材は、断面コ字形状で、矩形板状の本体部と、この本体部の上下において平行に延びる矩形板状の側板部とを有する構成とすることが望ましい。
【0016】
このようにすれば、収納する際に、押さえ部材を収納のために保持部に沿わせるのが容易になり、従来のくの字形状の押さえ金具に比べて、コンパクトに収納する上で有利となる。
【0017】
請求項5に記載のように、前記貫通穴の背面側に前記ボルト部材の取付棒部に係合して水平に支持する係合支持部が形成され、
前記係合支持部に前記ボルト部材の取付棒部を水平に支持する際に、前記ボルト部材の、前記連結棒部回りの回転を許容する凹部が前記保持部であって前記貫通穴の間に形成されている構成とすることができる。
【0018】
このようにすれば、ボルト部材を無理なく回転して、収納状態から取付状態へ変更することができることを確保した上で、コンパクト化を図ることができる。
【0019】
請求項6に記載のように、前記ボルト部材の取付棒部は、前記押さえ部材を係止可能である係止凹部が形成されている係止棒部と、この係止棒部と平行に延び前記ナット部材が螺合されるネジ棒部とで構成され、前記挿通部の少なくとも一方は、前記係止棒部が係脱可能に係合する切り欠きであるようにすることができる。
【0020】
このようにすれば、電子機器の機器ケーシングの保持部と押さえ部材との間にマストを挟んだ状態で、押さえ部材の一端部を、マストの直径に対応する位置の係止棒部の係止凹部に係止し、ナット部材をネジ棒部に対しねじ込むことで簡単に固定することができる。特に、1つのナット部材を締め付けて固定するので、2つのナット部材を締め付ける場合に比べて、作業時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記のように、マスト取付金具の収納状態で、保持部下側の、貫通穴に隣接した部分に連結棒部を載せ、押さえ部材およびナット部材を用いて前記保持部にボルト部材を固定し、その状態では、前記連結棒部が、接栓の下端部または前記取付部下端よりも上方に位置するようにしているので、梱包時や金具不使用時に、マスト取付金具を本体部の外周囲からはみ出さないようにコンパクトに収納することができ、かつ保持部へのマスト取付金具の取付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電子機器の固定構造に用いられる電子機器を正面側から見た状態を示す斜視図である。
【図2】同電子機器を背面側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】前記電子機器を、マスト取付金具を取り除いた状態で示す底面図である。
【図4】前記電子機器をマストに固定した状態を、正面側から見た斜視図である。
【図5】(a)は前記電子機器をマストに固定した状態を、背面側から見た斜視図、(b)は図5(a)においてマストを省略した斜視図である。
【図6】前記電子機器をマストに固定した状態を、右側面上方から見た斜視図である。
【図7】前記電子機器をマストに固定した状態の平面図である。
【図8】同底面図である。
【図9】(a)は電子機器からマスト取付金具を取り外した状態を示す分解斜視図、(b)はボルト部材の正面図である。
【図10】前記電子機器の左側面図である。
【図11】図10のB−B方向の断面図である。
【図12】図10のC−C方向の断面図である。
【図13】図8のA−A方向の一部断面図である。
【図14】前記電子機器の底面図である。
【図15】前記図14のD−D方向の一部断面図である。
【図16】(a)〜(c)はそれぞれ電子機器の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。なお、説明においては、本体部4が設けられている側を正面側として、取付部6A,6Bが設けられている側を底面側として説明する。
【0024】
図1〜図4に示すように、電子機器1(例えば2分配器)の機器本体2における機器ケーシング3は、直方体形状の本体部4と、その本体部4の背面側に突出して一体的に設けられ外周部が本体部4の外周部より内方に位置する保持部5とを備えている。この保持部5にマストMに電子機器1を取り付けるためのマスト固定金具11が取り外し可能に保持されている。本体部4の下部には、屋外のマストだけでなく、壁面等の取付面にも電子機器1を取り付けることができるように、取付部6A,6Bが設けられ、その取付部6A,6Bには電子機器を取り付けるための取付ネジ15が設けられている。
【0025】
図1および図2に示す状態では、マスト取付金具11は収納状態にあり、マストMに前記電子機器を取り付ける際には、図4〜図8に示すように、マスト取付金具11を介してマストMに機器ケーシング3(電子機器)が固定される。なお、この機器ケーシング3の本体部4内には、高周波信号を処理する回路ユニット(図示せず)が収容され、本体部4の下面には信号を入出力するF型コネクタ8(コネクタ8)が下方に突出するように複数設けられている。
【0026】
マスト取付金具11は、図9(a)に示すように、ボルト部材12、押さえ金具13(押さえ部材)および1つの蝶ナット14(ナット部材)によって構成される。
【0027】
ボルト部材12は、図9(b)に示すように、線材がコ字形状に折り曲げて形成されたもので、係止棒部12A(取付棒部)と、この係止棒部12Aと平行に延びるネジ棒部12B(取付棒部)と、係止棒部12Aとネジ棒部12Bとの基端を相互に連結する連結棒部12Cとを備え、連結棒部12Cを回転軸として保持部5に対して回転可能に保持されている。係止棒部12Aには、押さえ金具13の一端部を係止可能である複数の係止凹部12Aa,12Aa、・・・が一定間隔でもって規則的に設けられている。この各係止凹部12Aaは、押さえ金具13の切り欠き13aが係合した状態で、押さえ金具13が係止棒部12Aの先端側あるいは基端側に移動するのを規制する機能を有する。なお、1つの係止凹部12Aaは、断面円形状の棒状部分の外周面より外方に突出する2つの突出部12Abが設けられることで、それらの間に設けられていることになる。この突出部12Abは、係止棒部12Aの一部をつぶして外方に突出させて形成したものであり、機器ケーシング3(電子機器)が固定される複数種類のマストの直径に対応する位置を含むように一定間隔で設けられている。つまり、保持部5はマストMが嵌り込む凹部5aが形成されいるので、図7に示すように、マストMの直径が例えばLの場合にはその直径Lに対応する係止凹部12Aaを選択して切り欠き13aを係合させれば、凹部5aと押さえ金具13との間にマストMを挟持して固定することができる。この係止凹部12Aaが、機器ケーシング3(電子機器)が固定されるマストMの直径に対応する位置に少なくとも設けられているからである。
【0028】
押さえ金具13は、矩形板状の金具本体13A(本体部)と、その金具本体13Aの上下両側において同一方向に平行に延びる2つの矩形板状の側板部13B,13Cとにより断面コ字形状に形成されている。この側板部13B,13Cの幅は、金具本体13Aの高さ(幅)よりも小さくなっている。そして、押さえ金具13(金具本体13A)の一方の端部側には、一方の側板部13Cまで延び係止棒部12Aに係脱可能に係合する切り欠き13a(挿通部)が、他方の端部側にはネジ棒部12Bが挿通される被挿通穴13b(挿通部)がそれぞれ形成されている。そして、挿通穴13bを貫通して突出するネジ棒部12Bの雄ネジ12Baに蝶ナット14が螺合されている。また、側板部13B,13CにはマストMの外周面に接触する凹部13Ba,13Caが形成されている。なお、金具本体13Aは中央部に凹み部13cが形成され、必要な剛性が確保されている。
【0029】
よって、押さえ金具13(側板部13B)をマストMに当てる際、矩形板状の金具本体13Aを機器ケーシング3とほぼ平行に配置しやすくなり、蝶ナット14の締め付けが容易となり、また、押さえ金具13を、機器ケーシング3に対して傾けることなく取り付けることができる。
【0030】
ネジ棒部12Bは、マストに取り付ける際に係止棒部12Aが位置する側に蝶ナット14を回転することで締め付けられるように雄ネジ12Baが形成されており、締め付けのための蝶ナット14を回転する回転方向R1と押さえ金具13の切り欠き13aが係止凹部12Aaに係合する方向R2とが一致し、同じ方向となっている(図5(a)参照)。具体的には、保持部5に向かって左側にネジ棒部12Bが、右側に係止棒部12Aがそれぞれ配置され、ネジ棒部12Bの雄ネジ12Baは右ネジとなっている。
【0031】
よって、切り欠き13aがいずれかの係止凹部12Aaに係合した状態では、蝶ナット14を回転して締め付ける際に、係止凹部12Aa及びそれの両側の突出部12Abによって押さえ金具13が係止棒部12Aに対し軸線方向に移動したり外れたりするのが防止されるので、作業者が押さえ金具13を手で押さえたりすることなく、固定することができる。
【0032】
また、本体部4の背面側には、図10〜図12に示すように、保持部5の両側に、連結部7A,7Bを介して、取付部6A,6Bが下方に突出して形成されている。保持部5の上端部5eは平坦面(保持面)になっており、下端部には、本体部4側の凹部5bとそれの外側の受け部5c(貫通穴9A,9Bに隣接した部分)が形成されている。この受け部5cには、さらに、ボルト部材12の連結棒部12Cが、収納時に係合する係合凹部5dが形成されている。
【0033】
また、本体部4と取付部6A,6Bとが連結部7A,7Bを介して連結され、その連結部7A,7Bによって取付部6A,6Bと保持部5との間には貫通穴9A,9Bが形成されている。この貫通穴9A,9Bの背面側に位置する連結部7A,7Bの上側には、マストへの取付状態で、ボルト部材12の係止棒部12Aとネジ棒部12Bとの基端部付近が係合し、両棒部12A,12Bを水平に支持する係合凹部(係合支持部)7Aa,7Baが形成されている。
【0034】
これにより、ボルト部材12を係止棒部12Aおよびネジ棒部12Bを下側から貫通穴9A,9Bを挿通させるだけで、ボルト部材12を保持部5に対して取り付けることができ、ボルト部材12の取付けも容易である。そして、ボルト部材12は、図1および図2、図10〜図12に示すように、連結棒部12Cが受け部5cの係合凹部5dに係合し、かつ押さえ金具13が保持部5の上端部5e上に載せられ、蝶ナット14によって固定される収納状態と、図4〜図8および図13に示すように、連結棒部12Cが凹部5bの底部に接触し係止棒部12Aとネジ棒部12Bとの基端部が連結部7A,7Bの係合凹部7Aa,7Baに係合するマスト取付状態との切り替えを簡単に行うことができるようになっている。なお、このように、ボルト部材12の係止棒部12Aとネジ棒部12Bを水平に支持する際に、係合凹部7Aa,7Baに、ボルト部材12の係止棒部12Aとネジ棒部12Bとの基端部を係合できるように、凹部5b内の支持部5fに連結棒部12Cが接触した状態で、ボルト部材12を、連結棒部12Cを回転軸としての回転を許容するようになっている。
【0035】
上記のように構成すれば、ボルト部材12を保持部5に取り付けるには、貫通穴9A,9Bに対し、係止棒部12Aおよびネジ棒部12Bを下側から挿通するだけでよいので、前記特許文献1に記載の構造のように、保持部において左右方向に延びる貫通口部にボルト部材の連結棒部を挿通させて取り付ける場合に比べて、取り付けが容易となる。
【0036】
また、梱包時や金具不使用時などにおける収納状態では、図14及び図15に示すように、保持部5下側の、貫通穴9A,9Bに隣接した部分である受け部5cの係合凹部5dに連結棒部12Cを係合させ、押さえ金具13および蝶ナット14を用いて保持部5にボルト部材12を簡単に固定することができる。この状態で、連結棒部12Cが、コネクタ8の下端部または取付部6A,6Bの下端よりも上方に位置し、押さえ金具13上端が機器ケーシング3の本体部4の上端部と同じかあるいはそれよりも下側に位置しているので、マスト取付金具11が本体部4の外周囲からはみ出さないようにコンパクトに収納される。
【0037】
また、押さえ金具13は、矩形板状の金具本体13Aと、この本体13Aの上下において平行に延びる側板部13B,13Cとを有する構成としているので、収納する際に、保持部に沿わせるのが容易になり、従来のくの字形状の押さえ金具に比べてコンパクトに収納する上で有利となる。
【0038】
このように、ボルト部材12の係止棒部12Aおよびネジ棒部12Bの先端部分や蝶ナット14を除き、マスト取付金具11は、機器ケーシング3の本体部4の外周囲よりも内方側に位置するようになり、マスト取付金具11を構成する部材ができるだけはみ出さないように収納することができ、コンパクト化が図れる。よって、梱包時の体積削減、部品の離散防止を図る上で有利となる。
【0039】
それに加えて、ボルト部材12を保持部5に取り付けるには、貫通穴9A,9Bに係止棒部12Aおよびネジ棒部12Bを下側から挿通するだけでよいので、前記特許文献1に記載の構造のように、保持部において左右方向に延びる貫通口部にボルト部材の連結棒部を挿通させて取り付ける場合に比べて、取り付けが容易となる。
【0040】
そして、マストMに電子機器1を固定する場合には、まず、蝶ナット14を緩め、押さえ金具13と保持部5の上端部5eとの係合を解除し、ボルト部材12を、連結棒部12Cを回転軸として凹部5b内で回転させ、ボルト部材12の係止棒部12Aとネジ棒部12Bとの基端部付近を係合凹部7Aa,7Baに係合させ、両棒部12A,12Bを水平状態に支持させる。
【0041】
それから、ボルト部材12の係止棒部12Aとネジ棒部12Bとの間にマストMが位置するようにマストMにボルト部材12を係合させる。保持部5の凹部5aに、マストMの外周面を接触させる。
【0042】
その後、押さえ金具13を、ネジ棒部12Bを回転軸として回転させ、切り欠き13aを係止棒部12Aの、固定しようとするマストMの直径に対応する係止凹部12Aaに係止させる。それから、ネジ棒部12Bの雄ネジ12Baに蝶ナット14を締め込むことで、押さえ金具13と保持部5との間にマストMを挟持して固定することができる。
【0043】
このように、1つの蝶ナット14を締め付けるだけで固定することができるので、蝶ナット14の締め付け作業が、2つの蝶ナットを締め付ける従来作業の半分の作業で行うことができる。
【0044】
前記実施の形態のほか、本発明は次のように変更して実施することができる。
【0045】
(i)前記実施の形態では、押さえ金具は、金具本体が平板状となっているが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば特開2007−12800号公報に記載されるように、屈曲されていてもよいのはいうまでもない。
【0046】
(ii)前記実施の形態では、電気機器としての2分配器に適用したものであるが、図16(a)〜(c)に示すように、4分配器にも適用できるのはもちろん、ブースター、コンバーター、混合器にも適用することができる。
【0047】
(iii)前記実施の形態では、直径が異なる複数種類のマストに固定することができるように係止凹部を係止棒部12Aに一定の間隔で複数設けているが、電子部品が固定されるマストが一種類でマストの直径が一定である場合には、係止凹部を複数設ける必要はなく、1つだけ設ければよいのはもちろんである。また、取付が予定されているマストの直径に対応する複数位置にのみ、係止凹部を設けることもできる。
【0048】
(iv)前記実施の形態では、係止凹部(突出部)を、例えば転造により係止棒部12Aの一部をつぶすことで形成しているが、そのような押しつぶして形成する係止部に制限されることなく、他の加工方法で形成することができる係止部としてもよいのはいうまでもない。また、突出部の形状は、円板形状である必要はなく、切り欠きに係合して押さえ金具を係止できる形状であればよい。よって、係止凹部を全周に形成する必要はなく、一部にのみ形成するだけでも、押さえ金具の軸線方向の移動を規制できる形状であればよい。
【0049】
(v)前記実施の形態では、押さえ金具13の、ネジ棒部12Bが挿通される挿通部を挿通穴13bとしているが、それに限定されるものではなく、切り欠きとして、ボルト部材の一側からボルト部材に対し差し込めるようにすることも可能である。この場合、この係止棒部12Aが挿通される切り欠きは、ネジ棒部12Bが挿通される切り欠きの延びる方向は平行である必要はない。
【0050】
(vi)前記実施の形態では、係止棒部12Aやネジ棒部12Bは直線状であるが,必ずしもその必要はなく、マストの外周面に対応させて屈曲形状や湾曲形状とすることも可能である。
【0051】
(vii)前記実施の形態では、マストにマスト取付金具11を用いて取り付ける際に、取付部6A,6Bに取付ネジ15を残しているが、取付ネジ15を取り外してもよいのはもちろんである。また、取付ネジ15を用いて電子機器1を壁面などの取付面に取り付ける場合も、マスト取付金具11を取り外して取り付けてもよいし、マスト取付金具11が保持部5に収納された状態のまま取り外すことなく、取り付けることができるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
M マスト
1 電子機器
2 機器本体
3 機器ケーシング
4 本体部
5 保持部
5c 受け部
5d 係合凹部
7A,7B 連結部
7Aa,7Ba 係合凹部(係合支持部)
9A,9B 貫通穴
11 マスト取付金具
12 ボルト部材
12A 係止棒部(取付棒部)
12Aa 係止凹部
12B ネジ棒部(取付棒部)
12C 連結棒部
13 押さえ金具(押さえ部材)
13A 金具本体
13B,13C 側板部
13a 切り欠き
13b 挿通穴(挿通部)
14 蝶ナット(ナット部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケーシングの本体部の背面側に保持部が突出して形成され、前記本体部に下方に突出する壁面部などへの取付部が設けられると共に接栓が下方に突出するように設けられており、前記保持部にマスト取付金具が保持され、そのマスト取付金具を介してマストに固定され、
前記マスト取付金具は、ボルト部材、押さえ部材およびナット部材を備える電子機器のマスト取付金具の収納構造であって、
前記ボルト部材は、平行に延びる1対の取付棒部と、それらの基端を相互に連結する連結棒部とを有するコ字形状とされると共に、前記連結棒部を回転軸として前記保持部に回転可能に保持される一方、前記押さえ部材は、各端部に前記取付棒部が挿通される挿通部がそれぞれ形成され、前記取付棒部の少なくとも一方が前記ナット部材を螺合するネジ棒部とされるものであり、
前記保持部の両側に上下方向に貫通する貫通穴が形成され、この貫通穴に前記ボルト部材の取付棒部が下側から挿通され、前記保持部下側の、前記貫通穴に隣接した部分に前記連結棒部を載せ、前記押さえ部材およびナット部材を用いて前記保持部に前記ボルト部材を固定した状態で、前記連結棒部が、前記接栓の下端部または前記取付部下端よりも上方に位置することを特徴とする電子機器のマスト取付金具の収納構造。
【請求項2】
前記保持部下側の、前記貫通穴に隣接した部分に、前記連結棒部が係脱可能に係合する係合凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器のマスト取付金具の収納構造。
【請求項3】
前記保持部の上側に、保持面が形成され、
前記押さえ部材およびナット部材を用いて前記保持部に前記ボルト部材を固定した状態で、前記押さえ部材は、前記保持面上に載せられており、前記押さえ部材の上端が前記機器ケーシングの本体部の上端部と同じかあるいはそれよりも下側に位置していることを特徴とする請求項1または2記載の電子機器のマスト取付金具の収納構造。
【請求項4】
前記押さえ部材は、断面コ字形状で、矩形板状の本体部と、この本体部の上下において平行に延びる矩形板状の側板部とを有する構成とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子機器の固定構造。
【請求項5】
前記貫通穴の背面側に前記ボルト部材の取付棒部に係合して水平に支持する係合支持部が形成され、
前記係合支持部に前記ボルト部材の取付棒部を水平に支持する際に、前記ボルト部材の、前記連結棒部回りの回転を許容する凹部が前記保持部であって前記貫通穴の間に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子機器のマスト取付金具の収納構造。
【請求項6】
前記ボルト部材の取付棒部は、前記押さえ部材を係止可能である係止凹部が形成されている係止棒部と、この係止棒部と平行に延び前記ナット部材が螺合されるネジ棒部とで構成され、
前記挿通部の少なくとも一方は、前記係止棒部が係脱可能に係合する切り欠きであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子機器のマスト取付金具の収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−138986(P2011−138986A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299224(P2009−299224)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】