説明

電子機器の釦構造

【課題】本発明は電子機器に関するもので、商品価値の低下を防止することを目的とするものである。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、滑動案内部10の下方外周部分で、操作ボタン4の表示部7外周に対応する部分に、滑動材用傾斜面12を設けたので、操作ボタン4の滑動部9と、本体ケース1の滑動案内部10との間に設けた液状、もしくはゲル状の滑動材11が、本体ケース1の滑動案内部10を介して表面側に流出しようとした場合、この滑動材用傾斜面12の存在により、流出経路が長くなり、その結果として、液状、もしくはゲル状の滑動材11が操作ボタン4の表面側へと流出しにくく、これにより、商品価値の低下を防止することが出来るのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースの前面側に設けた操作開口部内に、この操作開口部の後方側へと移動自在に配置された操作ボタンを有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種、電子機器は、本体ケースと、この本体ケースの前面側に設けた操作開口部内に、この操作開口部の後方側へと移動自在に配置された操作ボタンと、この操作ボタンの後方側であって、この操作ボタンとは所定間隔をおいて配置された光源とを備えた構成となっていた(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
すなわち、前記操作ボタンの後方には光源を配置しているので、この光源からの光が、操作ボタンに設けた透光表示部を照明し、これによって操作ボタンの機能(例えばA機能ON)が理解されるようにしているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−25948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例の電子機器においては、操作ボタンの操作性(滑り)を良くするために、この操作ボタンと、本体ケースの操作開口部間に、液状、もしくはゲル状の滑動材を配置している。
【0006】
したがって、操作ボタンの操作性は極めて良好なものになるが、この操作ボタンの操作を繰り返すことにより、前記液状、もしくはゲル状の滑動材の一部が、操作ボタンの表面側に流出してしまうこともある。
【0007】
しかしながら、このように液状、もしくはゲル状の滑動材の一部が、操作ボタンの表面側に流出してしまうと、操作ボタンが汚れやすく、商品価値を低下させてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、商品価値の低下を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前面側に設けた操作開口部内に、この操作開口部の後方側へと移動自在に配置された操作ボタンと、この操作ボタンの後方側であって、この操作ボタンとは所定間隔をおいて配置された光源とを備え、前記操作ボタンは、前記操作開口部を覆った表示部と、この表示部に設けた透光表示部と、前記表示部の後面外周内の少なくとも下側部分から、後方に延長した滑動部とを有し、前記本体ケースの操作開口部内の少なくとも下側部分には、前記操作ボタンの滑動部を案内する滑動案内部と、この滑動案内部の下方外周部分で、前記操作ボタンの表示部外周に対応する部分に設けた滑動材用傾斜面とを設け、前記滑動材用傾斜面は、その下辺部が上辺部よりも前方側となる傾斜面を有し、前記操作ボタンの滑動部と、前記操作開口部内の滑動案内部との間には、液状、もしくはゲル状の滑動材を設け、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前面側に設けた操作開口部内に、この操作開口部の後方側へと移動自在に配置された操作ボタンと、この操作ボタンの後方側であって、この操作ボタンとは所定間隔をおいて配置された光源とを備え、前記操作ボタンは、前記操作開口部を覆った表示部と、この表示部に設けた透光表示部と、前記表示部の後面外周内の少なくとも下側部分から、後方に延長した滑動部とを有し、前記本体ケースの操作開口部内の少なくとも下側部分には、前記操作ボタンの滑動部を案内する滑動案内部と、この滑動案内部の下方外周部分で、前記操作ボタンの表示部外周に対応する部分に設けた滑動材用傾斜面とを設け、前記滑動材用傾斜面は、その下辺部が上辺部よりも前方側となる傾斜面を有し、前記操作ボタンの滑動部と、前記操作開口部内の滑動案内部との間には、液状、もしくはゲル状の滑動材を設けたものであるので、液状、もしくはゲル状の滑動材が操作ボタンの表面側へと流出しにくく、その結果として商品価値の低下を防止することが出来る。
【0011】
すなわち、本発明においては、前記滑動案内部の下方外周部分で、前記操作ボタンの表示部外周に対応する部分に、滑動材用傾斜面を設けたので、操作ボタンの滑動部と、前記本体ケースの滑動案内部との間に設けた液状、もしくはゲル状の滑動材が、本体ケースの滑動案内部を介して表面側に流出しようとした場合、この滑動材用傾斜面の存在により、流出経路が長くなり、その結果として、液状、もしくはゲル状の滑動材が操作ボタンの表面側へと流出しにくく、これにより、商品価値の低下を防止することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器の正面図
【図2】同操作部の断面図(図1のA−A線断面図)
【図3】同操作部の断面図(図1のA−A線断面図)
【図4】比較例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1において、1は例えば自動車車内の前方に配置される音響再生装置(電子機器の一例)の本体ケースであり、この本体ケース1の前面側上方には、光ディスク(図示せず)を挿入する挿入口2が配置されている。
【0015】
また、この挿入口2の下方には表示部3が配置され、さらにその下方には複数の操作ボタン4が配置されている。
【0016】
つまり、光ディスク(図示せず)を挿入口2から本体ケース1内に挿入し、操作ボタン4を押せば、光ディスクに記録された例えば音楽が再生され、その曲名などが表示部3に表示されるようになっている。
【0017】
さて、本体ケース1の操作ボタン4装着部は図2に示すような構成となっている。
【0018】
すなわち、本体ケース1の前面側には、矩形状の操作開口部5が設けられており、この操作開口部5内には、この操作開口部5の後方側へと移動自在に前記操作ボタン4が配置されている。
【0019】
また、操作ボタン4の後方側であって、この操作ボタン4とは所定間隔をおいて光源6が配置されている。
【0020】
前記操作ボタン4は、前記操作開口部5を覆った矩形状の表示部7を備えている。
【0021】
また、この表示部7の略全面は遮光体8で覆われているが、この遮光体8に例えば動作表示を行う開口(図面の煩雑化を避けるために図示せず)を設けることで、その開口を透光表示部としている。
【0022】
つまり、前記光源6からの光を、遮光体8の開口を介して全面側に透光させることで、透光表示部としているのである。
【0023】
また、前記表示部7の後面外周内には、後方に延長した枠体状の滑動部9が設けられており、またこの滑動部9の外周方向、つまり、前記本体ケース1の操作開口部5内には、前記操作ボタン4の滑動部9を案内する滑動案内部10が設けられており、前記操作ボタン4の滑動部9と、前記操作開口部5内の滑動案内部10との間には、液状、もしくはゲル状の滑動材11を設けている。
【0024】
また、前記本体ケース1の操作開口部5内であって、前記滑動案内部10の外周部分で、前記操作ボタン4の表示部7外周に対応する部分には、滑動材用傾斜面12を設けている。
【0025】
滑動材用傾斜面12は操作開口部5の内方四辺にあわせて、全周に設けられているが、この滑動材用傾斜面12の内、図2において下方側のものは、この図2に示すように、その下辺部が上辺部よりも前方側となる傾斜面となっている。
【0026】
また、このような構成の滑動材用傾斜面12は、滑動案内部10の先端よりも後方側に設けている。
【0027】
このため、前記操作ボタン4の滑動部9と、前記操作開口部5内の滑動案内部10との間に設けた、液状、もしくはゲル状の滑動材11が、操作ボタン4の操作に応じて、滑動案内部10上を前方に流れた状態が発生しても、それは、次に滑動材用傾斜面12に向けて後進し、その後、滑動材用傾斜面12に沿って流れることになり、つまり流動距離が長くなるので、この液状、もしくはゲル状の滑動材が操作ボタン4の表面側へと流出しにくく、その結果として商品価値の低下を防止することが出来ることとなる。
【0028】
これに対して、図4は滑動材用傾斜面12が無い比較例であり、この場合には、操作ボタン4の操作に応じて、滑動案内部10上を前方に流れた状態が発生した時には、直ちに、操作開口部5へと流れることになり、つまり流動距離が短く、その結果として、この液状、もしくはゲル状の滑動材が操作ボタン4の表面側へと流出しやすくなる。
【0029】
また、この比較例である図4と、本実施形態を示す図1との比較から理解されるように、滑動材用傾斜面12を設けるために、滑動材用傾斜面12は操作開口部5内の後方側に設けられていることが、上述した流動距離を長くすることに寄与している。
【0030】
また、実施形態品では、図示していないが、操作ボタン4の押し込み時には、その下方の方が上方よりも大きく後方に移動する構成としている。つまり、操作ボタン4の上辺側に軸支部分が設けられているので、上述した滑動材用傾斜面12の内、特に下辺部分(図2の下側の滑動材用傾斜面12)について、その下辺部を上辺部よりも前方側となる傾斜面とすることが効果的である。
【0031】
また、このような構成とすると、図2の矢印ごとく光源6から下方に向かう光は、滑動材用傾斜面12によって上方に反射することになるので、操作ボタン4の下辺側からの光
漏れも無く、この点からも商品価値の低下を防止することが出来る。
【0032】
つまり、図4の比較例であれば、光源6から下方に向かう光の一部は滑動部(透明)9を通過後、垂直面Aで反射し、次に垂直面Bで再度反射し、その後、上述のごとく大きく後方に押された操作ボタン4の下辺側から前方へと漏れ出してしまい、商品価値を低下させてしまう。
【0033】
これに対して、本実施形態では、図3のごと、光源6から下方に向かう光の一部は滑動部(透明)9を通過後、垂直面Aで反射し、次に滑動材用傾斜面12によって上方に反射することになるので、操作ボタン4の下辺側からの光漏れも無く、この点からも商品価値の低下を防止することが出来るのである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように本発明においては、前記滑動案内部の下方外周部分で、前記操作ボタンの表示部外周に対応する部分に、滑動材用傾斜面を設けたので、操作ボタンの滑動部と、前記本体ケースの滑動案内部との間に設けた液状、もしくはゲル状の滑動材が、本体ケースの滑動案内部を介して表面側に流出しようとした場合、この滑動材用傾斜面の存在により、流出経路が長くなり、その結果として、液状、もしくはゲル状の滑動材が操作ボタンの表面側へと流出しにくく、これにより、商品価値の低下を防止することが出来るのである。
【0035】
したがって、車載用の電子機器としての活用が期待されるものとなる。
【符号の説明】
【0036】
1 本体ケース
2 挿入口
3 表示部
4 操作ボタン
5 操作開口部
6 光源
7 表示部
8 遮光体
9 滑動部
10 滑動案内部
11 滑動材
12 滑動材用傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケースの前面側に設けた操作開口部内に、この操作開口部の後方側へと移動自在に配置された操作ボタンと、この操作ボタンの後方側であって、この操作ボタンとは所定間隔をおいて配置された光源とを備え、前記操作ボタンは、前記操作開口部を覆った表示部と、この表示部に設けた透光表示部と、前記表示部の後面外周内の少なくとも下側部分から、後方に延長した滑動部とを有し、前記本体ケースの操作開口部内の少なくとも下側部分には、前記操作ボタンの滑動部を案内する滑動案内部と、この滑動案内部の下方外周部分で、前記操作ボタンの表示部外周に対応する部分に設けた滑動材用傾斜面とを設け、前記滑動材用傾斜面は、その下辺部が上辺部よりも前方側となる傾斜面を有し、前記操作ボタンの滑動部と、前記操作開口部内の滑動案内部との間には、液状、もしくはゲル状の滑動材を設けた電子機器。
【請求項2】
滑動材用傾斜面は、滑動案内部の先端よりも後方側に設けた請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−204045(P2012−204045A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65573(P2011−65573)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】