説明

電子機器及び制御方法

【課題】撮像可能枚数を算出する際に用いる動作電流データを取得している間に撮像動作とは異なる動作が行われた場合でも、実際の使用状態に応じた動作電流データを高精度に取得する。
【解決手段】被写体像を撮像する撮像装置と、撮像装置に着脱可能な電池とを備える撮像システムであって、設定された期間において、電池から撮像装置に供給される電流を計測して撮像装置の撮像動作時の動作電流データを取得する電流計測手段と、電池の残量を検出する電池残量検出手段と、前記期間において、撮像装置が撮像動作と異なる動作を行う条件が生じた場合に、電池から撮像装置に供給される電流の計測を停止して動作電流データを取得する動作を中止又は中断するように、電流計測手段を制御する制御手段を有し、取得された動作電流データと、前記期間に撮像した枚数と、検出された電池の残量とに基づいて撮像可能枚数を算出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置の一つとして、被写体からの光を、光学レンズを介して撮像素子に結像して被写体の画像を撮像及び記録する電子カメラが普及してきている。電子カメラは、一般的に、電池から供給される電力によって動作するが、電池が貯蔵している電力は有限であるため、電池残量が所定量以下に減少した場合、撮像等の動作が不可能(即ち、電子カメラが使用不可能)になる。電子カメラにおいては、使用可能な状態から突然使用不可能な状態になることを防止するために、電池残量を定期的に監視(検出)し、電子カメラに備えられた表示機能を用いて電池残量をユーザに通知している。
【0003】
電池残量を検出する技術としては、例えば、無負荷状態での電圧(開放電圧)と所定の有負荷状態での電圧(有負荷電圧)を測定し、かかる測定結果(開放電圧値及び負荷電圧値)に基づいて内部抵抗値を算出して電池残量を予測する技術が知られている。電池は、放電すると電圧が低くなる、及び、内部抵抗が高くなるという特性を有しているため、開放電圧値と負荷電圧値から電池残量を予測することが可能である。
【0004】
また、電池にマイコンを内蔵させて充電電流量及び放電電流量を電池自身で常に監視(検出)するFG(Fuel Gauge)と呼ばれる新しい技術も提案されている。FGは、開放電圧値と有負荷電圧値から電池残量を予測する技術と異なり、充電電流量及び放電電流量(充放電電流データ)を直接取得することができるため、電池残量を高精度に検出することが可能である。なお、電子カメラと電池との間には通信信号線が構成されており、電池から監視データを受信することで、電子カメラ側において電池残量を把握することができる。
【0005】
一方、ユーザに通知される電池残量は、例えば、「満充電状態に対して50%」というように示されるのが一般的である。従って、電池残量を撮像可能枚数に換算するとどのくらいになるのかは直感的にはわからず、ユーザの経験的な判断に任せている(即ち、通知された電池残量に基づいてユーザ側で撮像可能枚数を予測している)。その結果、ユーザ側で予測した撮像可能枚数と実際の撮像可能枚数との間に少なからず誤差が生じてしまう。つまり、ユーザが求める情報は、電池残量ではなく、その電池残量で撮像できる撮像可能枚数である。
【0006】
そこで、電池残量に代わって撮像可能枚数をユーザに通知する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、撮像時の動作電流データと電池残量とに基づいて撮像可能枚数を算出している。1コマ撮像するために必要な電流積算量及び電池残量がわかれば、撮像可能枚数を求めることが可能である。
【0007】
特許文献1に開示された技術では、電池残量を高精度に把握すること、及び、実際の撮像時の電流積算量と演算に使用される動作電流データとが一致していることが重要である。電池残量に関しては、FGを用いることで電池残量を高精度に把握することが可能である。一方、実際の撮像時の電流積算量と演算に使用される動作電流データとを完全に一致させることは、撮像状態(撮像モード)によって電流値が大きく変動するため、非常に困難である。特許文献1では、撮像モードに応じた代表的な動作電流データを予め電子カメラに用意している。例えば、スポーツモードでは連写で複数枚連続撮像することを想定したり、夜景モードではストロボ発光及びスローシャッタを想定したりして、それぞれの撮像モードに特化した動作電流データを用意している。
【0008】
また、実際に撮像した際の動作電流データを連続的に取得して、かかる動作電流データを用いて撮像可能枚数を算出する技術も提案されている。かかる技術では、ユーザの操作を介して実際の撮像時の動作電流データを直接取得することで、ユーザの意図した(即ち、撮像状態(撮像モード)に応じた)動作電流データを取得することができるため、撮像可能枚数を高精度に算出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−336336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術では、撮像時の動作電流データを取得する際に、動作電流の計測を開始してから完了するまでの動作が一連のシーケンスとなっている。従って、動作電流データを取得している間に、通常の電力消費量とは異なる特殊な機能を使用した場合や撮像以外の機能を長時間使用した場合には、その動作電流までも動作電流データに反映されてしまうため、撮像可能枚数の算出精度を劣化させてしまう。また、通常の電力消費量とは異なる特殊な機能を使用した場合や撮像以外の機能を長時間使用した場合には、動作電流データの取得を最初からやり直すことも考えられるが、動作電流を再度計測することは非常に煩わしい。
【0011】
本発明は、撮像可能枚数を算出する際に用いる動作電流データを取得している間に撮像動作とは異なる動作が行われた場合でも、実際の使用状態に応じた動作電流データを高精度に取得することができる撮像システムを提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面としての撮像システムは、被写体像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置に着脱可能な電池とを備える撮像システムであって、設定された期間において、前記電池から前記撮像装置に供給される電流を計測して前記撮像装置の撮像動作時の動作電流データを取得する電流計測手段と、前記電池の残量を検出する電池残量検出手段と、前記期間において、前記撮像装置が撮像動作と異なる動作を行う条件が生じた場合に、前記電池から前記撮像装置に供給される電流の計測を停止して前記動作電流データを取得する動作を中止又は中断するように、前記電流計測手段を制御する制御手段と、前記電流計測手段によって取得された動作電流データと、前記期間に前記撮像装置が前記被写体像を撮像した枚数と、前記電池残量検出手段によって検出された電池の残量とに基づいて前記撮像装置の撮像可能枚数を算出する算出手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、撮像可能枚数を算出する際に用いる動作電流データを取得している間に撮像動作とは異なる動作が行われた場合でも、実際の使用状態に応じた動作電流データを高精度に取得することができる撮像システムを提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一側面としての撮像システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す撮像システムにおける撮像可能枚数を算出する動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す撮像システムの撮像装置における動作電流データを算出するための動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示す撮像システムの2次電池における動作電流データを算出するための動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を設定する設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の一側面としての撮像システム1の構成を示す概略ブロック図である。撮像システム1は、被写体の画像を撮像する撮像装置100と、撮像装置100に着脱可能(装着可能)に構成されて撮像装置100に電力を供給する2次電池200とを有する。撮像装置100及び2次電池200のそれぞれには、電力供給用及びデータ通信用の端子部300a及び300bが設けられている。撮像装置100の端子部300aと2次電池200の端子部300bとが接続することによって、撮像装置100に2次電池200が装着される。
【0018】
撮像装置100は、本実施形態では、電子カメラとして具現化され、光学レンズ102と、撮像処理回路104と、画像処理回路106と、メモリ制御回路108と、システム制御回路110とを有する。更に、撮像装置100は、不揮発性メモリ112と、メモリ114と、表示回路116と、記録用メモリ118と、DCDCコンバータ120と、外部接続機器インターフェース(IF)122と、操作スイッチ124とを有する。
【0019】
光学レンズ102は、被写体像を撮像処理回路104に含まれる撮像素子に結像する。
【0020】
撮像処理回路104は、撮像素子やAD変換器などを含み、光学レンズ102を介して結像された被写体像をAD変換してデジタルデータにする。
【0021】
画像処理回路106は、撮像処理回路104で変換されたデジタルデータ(被写体像)に対して所定の画像処理を施す回路である。
【0022】
メモリ制御回路108は、システム制御回路110と、メモリ114と、表示回路116と、記録用メモリ118との間において、データの送受信を制御する。
【0023】
システム制御回路110は、撮像装置100の全体を制御する回路である。システム制御回路110には、2次電池200と通信する(即ち、2次電池200とデータの送受信を行う)通信回路としての機能が内蔵されている。また、システム制御回路110は、撮像システム1において主演算を行う演算処理回路としての機能も備えている。例えば、システム制御回路110は、電池制御回路204と通信し、撮像可能枚数を算出する。なお、システム制御回路110は、所定の期間(本実施形態では、電流計測回路206が電流を計測する期間)において、撮像装置100が被写体像を撮像した枚数を検出する機能を備えている。
【0024】
不揮発性メモリ112は、システム制御回路110の動作用の定数、変数、プログラムなどを記録するメモリである。
【0025】
メモリ114は、SDRAMなどの高速アクセス可能な揮発性メモリで構成される。
【0026】
表示回路116は、LCDディスプレイなどの表示デバイスを含み、撮像した画像をフルカラーで表示したり、撮像した画像サイズや容量、記録用メモリ118の空き容量などを表示したりする。また、表示回路116は、入力デバイスとしても使用することが可能である。
【0027】
記録用メモリ118は、撮像装置100に着脱可能に構成され、空き容量が不足した場合は交換することができる。
【0028】
DCDCコンバータ120は、端子部300a及び300bを介して、2次電池200から供給される電力を電圧変換して、撮像装置100の各回路に供給する機能を有する。
【0029】
外部機器接続IF122は、例えば、USB通信プロトコルを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器とデータの送受信が可能なインターフェースである。
【0030】
操作スイッチ124は、システム制御回路110と接続し、撮像装置100の操作に関連する指示を入力するためのスイッチである。操作スイッチ124は、本実施形態では、表示回路116と共同して、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を設定する設定手段として機能する。
【0031】
2次電池200は、外部接続機器としての撮像装置100に対して、撮像動作、オートフォーカス動作(AF)、絞り駆動動作を行うための電力を供給する電池である。2次電池200は、電池セル202と、電池制御回路204と、電流計測回路206と、電圧計測回路208と、メモリ210とを有する。
【0032】
電池セル202は、撮像装置100に供給する電力を貯蔵する機能を有し、例えば、リチウムイオン電池などで構成される。
【0033】
電池制御回路204は、2次電池200の全体を制御する回路である。電池制御回路204は、端子部300a及び300bを介してシステム制御回路110に接続され、4線式シリアルインターフェースなどで通信可能な構成となっている。換言すれば、電池制御回路204には、撮像装置100と通信する(即ち、撮像装置100とデータの送受信を行う)通信回路としての機能が内蔵されている。また、電池制御回路204は、電流計測回路206が計測した充電電流量と放電電流量とに基づいて電池残量を算出(検出)する電池残量検出手段として機能する。
【0034】
電流計測回路206は、電池セル202から撮像装置100に供給される電流、充電時にチャージャーから供給される電流(充電電流量)や放電時の電流(放電電流量)を計測する回路である。また、電流計測回路206は、撮像装置100の撮像動作時の動作電流データを取得するための回路としても機能する。
【0035】
電圧計測回路208は、電池セル202の電圧を計測する回路である。
【0036】
メモリ210は、電池制御回路204を介して、電流計測回路206及び電圧計測回路208の計測結果を記録する。なお、メモリ210は、電流計測回路206及び電圧計測回路208の計測結果を順次記録して履歴データとして記録することができる。また、メモリ210は、電池制御回路204で算出された電池残量を記録することも可能である。
【0037】
以下、図2を参照して、撮像システム1における撮像可能枚数を算出する動作について説明する。
【0038】
まず、ステップS402において、システム制御回路110は、2次電池200の電池残量データZ[mAh]を取得する。具体的には、システム制御回路110は、電池制御回路204と通信し、電池残量データZ[mAh]を要求する。かかる要求に対して、電池制御回路204は、メモリ210に記録された電流計測回路206の計測結果(充電電流量及び放電電流量)に基づいて電池残量を算出し、電池残量データZ[mAh]としてシステム制御回路110に送信する。
【0039】
次に、ステップS404において、システム制御回路110は、不揮発性メモリ112から動作電流データX[mAh]を読み出す。動作電流データX[mAh]は、画像を1コマ撮像するために必要な電流積算量を表すパラメータである。なお、動作電流データX[mAh]を算出(取得)する動作については後で詳細に説明する。
【0040】
次いで、ステップS406において、システム制御回路110は、ステップS402で取得した電池残量データZ[mAh]とステップS404で読み出した動作電流データX[mAh]とに基づいて撮像可能枚数α[枚]を算出する。撮像可能枚数α[枚]は、具体的には、以下の式1から算出することができる。
【0041】
【数1】

【0042】
次に、ステップS408において、システム制御回路110は、ステップS406で算出した撮像可能枚数α[枚]を表示回路116に表示して、ユーザに撮像可能枚数を通知する。
【0043】
ここで、図3及び図4を参照して、撮像システム1における動作電流データを算出(取得)する動作について説明する。図3は、撮像システム1の撮像装置100における動作電流データを算出するための動作を説明するためのフローチャートである。図4は、撮像システム1の2次電池200における動作電流データを算出するための動作を説明するためのフローチャートである。まず、撮像装置100における動作電流データを算出するための動作について説明する。
【0044】
まず、ステップS502において、システム制御回路110は、動作電流データを取得するための電流を計測する期間(電流計測期間)を設定する。詳細には、ステップS502は、ユーザが、表示回路116や操作スイッチ124を用いたGUI操作によって、例えば、所定の時間、所定のショット数、所定の電池容量などを電流計測期間として入力することで実行される。
【0045】
次いで、ステップS504において、システム制御回路110は、ステップS502で設定した電流計測期間であっても、電流を計測しない条件(電流計測除外条件)、即ち、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を設定する。図5は、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を設定する設定画面の一例を示す図である。図5に示す設定画面は、撮像装置100の表示回路116に表示される。ステップS504は、ユーザが、表示回路116に表示された図5に示す設定画面の各項目に対して、操作スイッチ124を用いたGUI操作によって電流の計測を中断するのか、中止するのか、或いは、計測するのかを入力することで実行される。本実施形態では、外部機器接続IF122にUSB機器が接続された場合に、動作電流データを取得する動作を中断する条件を設定したとする。
【0046】
次に、ステップS506において、システム制御回路110は、電池制御回路204と通信し、電池セル202から供給される電流値(即ち、撮像装置100の動作電流値)をΔt[msec]毎に定期的に計測するように指示する。
【0047】
電流値の計測を指示したシステム制御回路110は、ステップS508において、ユーザから撮像動作の指示等を受け付けて通常の動作を行うと共に、電池制御回路204から電流データ(計測した電流値)が送信されたかどうか監視する。但し、一般には、ステップS508において、電池制御回路204から電池データが送信されることはなく、後述するように、2次電池200のメモリ210の空き容量がなくなった場合にのみ電池制御回路204から電池データが送信される。
【0048】
システム制御回路110は、電池制御回路204から電流データが送信されると、ステップS510において、電池制御回路204から電流データを受信する。また、システム制御回路110は、ステップS512において、ステップS510で電池制御回路204から受信した電流データを不揮発性メモリ112に記録する。不揮発性メモリ112には、電池制御回路204から電流データを受信するたびに順次記録される。
【0049】
なお、2次電池200のメモリ210の空き容量が十分にあり、ステップS508で電池制御回路204から電流データが送信されていなければ、ステップS514に進む。
【0050】
ステップS514において、システム制御回路110は、現在の撮像装置100の状態がステップS504で設定した動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を満たしているかどうかを判断する。
【0051】
本実施形態では、外部機器接続IF122にUSB機器が接続されると、システム制御回路110は、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を満たしていると判断し、ステップS516にて、電池制御回路204に電流値の計測の停止を指示する。
【0052】
また、システム制御回路110は、ステップS518において、ステップS504で設定した動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件が解除されたかどうかを判断する。本実施形態では、システム制御回路110は、外部機器接続IF122の接続状況を監視して、USB機器の接続が解除されると、ステップS504で設定した動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件が解除されたと判断する。
【0053】
ステップS504で設定した動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件が解除されると、システム制御回路110は、ステップS520において、電池制御回路204に対して電流計測の再開を指示して、ステップS508に戻る。
【0054】
このようにして、ステップS504で設定した動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を満たしている間は、電流の計測を停止することで不要な電流データを取得しないようにすることができる。なお、不要な電流データとは、撮像動作時と異なる動作時の電流データであって、例えば、通常の電力消費量とは異なる特殊な機能を使用した場合や撮像以外の機能を長時間使用した場合の電流データである。
【0055】
一方、ステップS514において、現在の撮像装置100の状態がステップS504で設定した動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を満たしていないとシステム制御回路110が判断した場合には、ステップS522に進む。
【0056】
ステップS522において、システム制御回路110は、ステップS502で設定した動作電流データを取得するための電流を計測する期間(電流計測期間)が終了したかどうかを判定する。電流を計測する期間が終了していなければステップS508に戻り、電流を計測する期間が終了していればステップS524に進む。
【0057】
ステップS524において、電池セル202から供給される電流値の計測の終了を電池制御回路204に指示する。
【0058】
次いで、ステップS526では、電池制御回路204から電流データを受信する。また、ステップS528において、システム制御回路110は、ステップS526で電池制御回路204から受信した電流データを不揮発性メモリ112に記録する。このようにしてユーザが意図する撮像装置100の動作時の電流データが不揮発性メモリ112に記録される。
【0059】
次に、ステップS530において、システム制御回路110は、不揮発性メモリ112に記録されている全ての電流データを読み出す。不揮発性メモリ112には、1次行列の電流データI(N)が記録されている。
【0060】
次いで、ステップS532において、システム制御回路110は、動作電流データXを算出する。電池セル202から供給される電流値を計測したサンプリング周期はΔt[msec]であることから、動作電流データXは、以下の式2から算出することができる。
【0061】
【数2】

【0062】
式2において、Nは動作電流データの数、Yは電池セル202から供給される電流値を計測している期間に撮像した枚数である。
【0063】
なお、システム制御回路110は、ステップS530で算出した動作電流データXを不揮発性メモリ112に記録し、上述した撮像可能枚数を算出する際に用いる。
【0064】
次に、2次電池200における動作電流データを算出するための動作について説明する。
【0065】
まず、システム制御回路110から電流値を計測する指示(ステップS506)を受け付けた電池制御回路204は、ステップS602において、電流計測回路206を制御して、Δt[msec]毎に電池セル202から供給される電流値を計測する。また、電池制御回路204は、ステップS604において、ステップS602で計測した電流値をメモリ210に記録する。
【0066】
次いで、電池制御回路204は、ステップS606において、システム制御回路110からの指示(ステップS516又はS524)を受信したかどうかを確認する。システム制御回路110からの指示を受信していなければ、ステップS608に進む。
【0067】
ステップS608において、電池制御回路204は、計測した電流値を記録するメモリ210の空き容量が十分であるかどうか(次に計測される電流値を記録できるかどうか)を確認する。
【0068】
メモリ210の空き容量が十分であれば、ステップS602に戻り、ステップS602乃至S608を繰り返す。これにより、計測された電流値(電流データ)は、メモリ210に順次記録されていくため、1次の行列データとなって記録される。
【0069】
メモリ210の空き容量が十分でなければ(即ち、メモリ210の空き容量が所定量以下になった場合には)、ステップS610に進む。ステップS610において、電池制御回路204は、システム制御回路110と通信し、メモリ210に記録されている1次行列の電流データを送信する(ステップ508及びS510に相当)。
【0070】
また、電流データの送信が完了すると、電池制御回路204は、ステップS612において、メモリ210に記録されている電流データを削除する。これにより、メモリ210に空き容量を確保することができる。
【0071】
一方、システム制御回路110からの指示を受信していれば、ステップS614に進む。ステップS614において、電池制御回路204は、システム制御回路110から受信した指示が電流値の計測の停止の指示(ステップS516)であるのか、電流値の計測の終了の指示(ステップS524)であるのかを判別する。
【0072】
システム制御回路110から受信した指示が電流値の計測の停止の指示(ステップS516)であれば、電池制御回路204は、ステップS616において、電流計測回路206を制御して、電流値の計測を停止する。そして、ステップS618において、電池制御回路204は、システム制御回路110から電流値の計測の再開の指示を待ち、システム制御回路110から電流値の計測の再開の指示を受信したら、ステップS602に戻り、電流値の計測を再開する。
【0073】
システム制御回路110から受信した指示が電流値の計測の終了の指示(ステップS524)であれば、電池制御回路204は、ステップS620において、電流計測回路206を制御して、電池セル202から供給される電流値の計測を終了する。
【0074】
次いで、ステップS622において、電池制御回路204は、メモリ210に記録されている1次行列の電流データをシステム制御回路110に送信する(ステップS526に相当)。このようにしてユーザが意図する撮像装置100の動作時の電流データがシステム制御回路110に送信される。
【0075】
また、電流データの送信が完了すると、電池制御回路204は、ステップS624において、メモリ210に記録されている電流データを削除する。
【0076】
このように、本実施形態の撮像システム1によれば、撮像可能枚数を算出する際に用いられる動作電流データを取得する間において、予め設定された所定条件を満たす場合(撮像動作とは異なる動作が行われた場合)に電流値の計測を停止することができる。従って、撮像システム1は、ユーザの意図した使用状態に応じた動作電流データを高精度に取得することが可能となり、撮像可能枚数を高精度に算出することができる。
【0077】
本実施形態においては、動作電流データXは、動作電流データを取得する期間に電池セル202から供給される電流の積算値を示す情報と電池セル202から供給される電流値を計測している期間に撮像した枚数を示す情報とを含んでいる。但し、動作電流データを取得する期間に電池セル202から供給される電流の積算値を示す情報のみを動作電流データとし、電池セル202から供給される電流値を計測している期間に撮像した枚数を示す情報を別にしてもよい。この場合、動作電流データを取得する期間に電池セル202から供給される電流の積算値を示す動作電流データと、電池セル202から供給される電流値を計測している期間に撮像した枚数と、電池残量とに基づいて撮像可能枚数を算出する。
【0078】
なお、本実施形態においては、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件として、外部機器接続IF122にUSB機器が接続された場合を例に説明した。但し、図5に示した設定画面の他の項目、例えば、オートプレイ動作、或いは、所定時間の再生動作のいずれかが実行された場合を、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件としてもよい。勿論、複数の条件を組み合わせてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を満たす場合には、電流値の計測を中断する例を説明した。但し、電流値の計測を中止する場合には、動作電流データを取得する動作を中止又は中断する条件を満たした際に、電流値の計測を終了するシーケンスに移行すればよい。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 撮像システム
100 撮像装置
102 光学レンズ
104 撮像回路
106 画像処理回路
108 メモリ制御回路
110 システム制御回路
112 不揮発性メモリ
114 メモリ
116 表示回路
118 記録用メモリ
120 DCDCコンバータ
122 外部機器接続インターフェース
124 操作スイッチ
200 2次電池
202 電池セル
204 電池制御回路
206 電流計測回路
208 電圧計測回路
210 メモリ
300a及び300b 端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置に着脱可能な電池とを備える撮像システムであって、
設定された期間において、前記電池から前記撮像装置に供給される電流を計測して前記撮像装置の撮像動作時の動作電流データを取得する電流計測手段と、
前記電池の残量を検出する電池残量検出手段と、
前記期間において、前記撮像装置が撮像動作と異なる動作を行う条件が生じた場合に、前記電池から前記撮像装置に供給される電流の計測を停止して前記動作電流データを取得する動作を中止又は中断するように、前記電流計測手段を制御する制御手段と、
前記電流計測手段によって取得された動作電流データと、前記期間に前記撮像装置が前記被写体像を撮像した枚数と、前記電池残量検出手段によって検出された電池の残量とに基づいて前記撮像装置の撮像可能枚数を算出する算出手段とを有することを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178832(P2012−178832A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72311(P2012−72311)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2007−300966(P2007−300966)の分割
【原出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】