説明

電子機器及び電源供給方法

【課題】停電時においても、屋内などに位置された表示装置に対してアンテナによる放送の受信が可能な表示装置及び電源供給方法を提供する。
【解決手段】実施形態において、電子機器は、増幅部と、受信処理部と、第一の電源部と、第二の電源部と、を具備する。増幅部は、アンテナが放送波を受信した信号の利得を高める。受信処理部は、前記増幅部により増幅された信号を復調して所望の番組を再生する。第一の電源部は、前記受信処理部及び前記増幅部に、商用電源からの電源を供給する。第二の電源部は、前記商用電源と独立に内部に設けられ、前記増幅部及び前記受信処理部に、前記商用電源の遮断時に電源を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、放送事業者または配信事業者が供給する番組またはコンテンツを受信して再生して表示する電子機器及び電源供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局(放送事業者)あるいは配信事業者が供給する番組(コンテンツ)を受信して再生して表示する表示装置において、屋外での使用や停電時などの非商用電源からの電力により動作可能としたものが既に開発されている。
【0003】
反面、利用者の自宅における利用あるいは設置環境に関連し、放送局からの放送を受信する際の利得(ゲイン)を高めるため、アンテナと表示装置の間にブースター(増幅器)を設ける場合も多い。ブースターは、駆動原(電源)を必要とし、その場合、通常は商用電源を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−48062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放送を受信する際の利得を高めるためにブースターを用いる場合、停電時には、表示装置側にバッテリ(非商用電源)が用意されている場合であっても、ブースターが非動作となることが多く、表示装置において放送を再生することは困難である。
【0006】
本発明は、停電時においても、屋内などに位置された表示装置に対してアンテナによる放送の受信が可能な電子機器及び電源供給方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、電子機器は、増幅部と、受信処理部と、第一の電源部と、第二の電源部と、を具備する。増幅部は、アンテナが放送波を受信した信号の利得を高める。受信処理部は、前記増幅部により増幅された信号を復調して所望の番組を再生する。第一の電源部は、前記受信処理部及び前記増幅部に、商用電源からの電源を供給する。第二の電源部は、前記商用電源と独立に内部に設けられ、前記増幅部及び前記受信処理部に、前記商用電源の遮断時に電源を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態を適用する表示装置の一例を示す。
【図2】実施形態を適用する表示装置の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する要素や構成は、ハードウエアで実現するものであってもよいし、マイクロコンピュータ(Central Processing Unit、CPU)すなわち処理装置等を用いてソフトウエアで実現するものであってもよい。
【0010】
図1に一例を示すが、実施形態を適用する電子機器101は、例えば放送局(放送事業者)あるいは配信事業者が供給する番組(またはコンテンツ)を受信して再生して表示する表示装置、例えばテレビジョン受信装置である。なお、電子機器101は、例えばモニター装置(ディスプレイ)とSTB(Set Top Box、広義には外部チューナー装置と解され、狭義にはコンテンツ配信事業者が設置する分岐器等を示す)とが組み合わせられた装置、モニター装置に接続して利用される録画再生装置(レコーダー)もしくはPC(パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、電子機器101は、例えば家庭内(あるいは小規模事業所内)などの限られた領域内のプライベートネットワーク(LAN(Local Area Network))などを介して、さまざまな通信相手先機器と相互に通信可能であってもよい。
【0011】
電子機器(以下単にテレビ装置と称する)101は、受信した放送すなわち番組(コンテンツと称することもある)の映像(Video)を再生して表示する映像表示デバイス(モニター装置)111、番組の音声(オーディオ,Audio)を再生するスピーカー(音声再生装置)113、任意のチャンネルの放送を受信して、出力映像及び出力音声を映像表示デバイス111及びスピーカー113に出力するチューナー/映像・音声処理回路ブロック115を、少なくとも含む。なお、チューナー/映像・音声処理ブロック115は、例えばチューナーと映像・音声処理ブロックとが独立に用意されてもよいし、映像・音声処理ブロックが複数の要素(またはブロック)を含むものであってもよい。
【0012】
チューナー/映像・音声処理ブロック115の前段には、放送を受信するためのアンテナ(ANT)11が、RF(Radio Frequency,入力またはゲインと称することもある)入力端117及びDC分離器(キャパシター)119を介して接続される。
【0013】
なお、個々の要素の動作や信号処理などは、CPU(制御ブロック)121により制御される。
【0014】
アンテナ11とRF入力端117との間には、アンテナ11が受信した放送の利得(ゲイン)を所定のレベルに高める(増幅する)ブースター13が位置する。
【0015】
映像表示デバイス111、スピーカー113及びチューナー/映像・音声処理ブロック115は、切り替え器123を介して、商用電源(ACライン)と接続する電源回路125及び充電池(二次電池)すなわちバッテリー127と接続する。なお、切り替え器123には、電圧調整器129を介してブースター13が接続する。
【0016】
図1に示したテレビ装置(表示装置)101においては、アンテナ11から入力したRF(Radio Frequency)信号は、ブースター(RFブースター)13を経由し、チューナー/映像・音声処理ブロック115に入力される。
【0017】
チューナー/映像・音声処理ブロック115にて処理された音声信号は、スピーカー113から出力される。
【0018】
チューナー/映像・音声処理ブロック115にて処理された映像信号は、映像表示デバイス111に、例えば動画あるいは静止画として表示される。
【0019】
また、AC電源(外部電源)すなわち商用電源がテレビ装置101の電源回路125に接続され、通常時の電源が供給され、上述の各要素が駆動される(動作する)。
【0020】
すなわち、上述のテレビ装置101は、商用電源(ACライン)によりAC電源(外部電源)が供給されている場合(通常時)には、電源回路125からブースター13、チューナー/映像・音声処理ブロック115及び映像表示デバイス111のそれぞれに、電源(電力)が供給される。
【0021】
一方で、例えば停電などにより、商用電源(ACライン)が遮断されてAC電源(外部電源)が供給されない場合は、例えば電源回路125をモニタするCPU121の判定に従い切り替え器123が動作され、ブースター13、チューナー/映像・音声処理ブロック115及び映像表示デバイス111のそれぞれに、バッテリー127から電源(電力)が供給される。また、電圧調整器129を介して、ブースター13についてもバッテリー127から電源(電力)が供給される。
【0022】
すなわち、図2に一例を示すが、ACライン(商用電源)の非接続(遮断)を検出した場合[01−YES]、切り替え器123が動作され[02]、電源(電力)供給元がバッテリー127に切り替えられる。なお、ブースター13に供給される電源(電力)は、電圧調整器129により、予め設定されているブースター13の種別や規格に基づいた所定の電圧に設定される[03]。
【0023】
もちろん、ACライン(商用電源)の接続(復帰)が検出された時点[04−YES]で、電源(電力)は、商用電源(ACライン)に戻される。
【0024】
これにより、例えば弱電界地域等において、RFブースター(ブースター13)を使用している場合であっても、AC電源(外部電源)により電源(電力)が供給されている時(通常時)はもちろん、停電などにより、商用電源(ACライン)が遮断された場合においても、テレビ放送(アンテナ11により受信する放送の番組)を視聴することが可能となる。
【0025】
また、バッテリーを持たない場合や、バッテリーがテレビ装置(電子機器)のみに電源(電力)を供給可能である場合、もしくはブースターが別の(独立した)ACラインからの電源(電力)供給により動作する場合等において、商用電源の遮断(非接続)に伴ってテレビ装置が視聴できなくなることが、解消する。
【0026】
以上説明したように、実施形態を適用することで、受信利得(ゲイン)を高めて放送を受信する場合において、AC電源(外部電源)による電源(電力)の供給が、停電などにより遮断された場合においても、実質的なコストアップを必要とすることなくテレビ放送(アンテナにより受信する放送の番組)を視聴することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
11…アンテナ、13…ブースター、101…テレビジョン装置(電子機器)、111…映像表示デバイス、113…音声再生装置、115…映像表示デバイス、117…RF(Radio Frequency)入力端、119…キャパシター(DC分離器)、121…CPU(制御ブロック)、123…切り替え器、125…電源回路、127…バッテリー(充電池)、129…電圧調整器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナが放送波を受信した信号の利得を高める増幅部と、
前記増幅部により増幅された信号を復調して所望の番組を再生する受信処理部と、
前記増幅部及び前記受信処理部に、商用電源からの電源を供給する第一の電源部と、
前記商用電源と独立に内部に設けられ、前記増幅部及び前記受信処理部に、前記商用電源の遮断時に電源を供給する第二の電源部と、
を具備する電子機器。
【請求項2】
前記第一の電源部と前記第二の電源部とを切り替える切り替え部をさらに具備する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記商用電源の遮断を検出して前記切り替え部を切り替える切り替え制御部をさらに具備する請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記受信処理部が再生した映像を表示する表示部をさらに具備する請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記切り替え制御部により前記第二の電源部から電源が供給された場合に前記受信処理部へ前記第二の電源部からの電源供給を抑止する分離器をさらに具備する請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
アンテナが放送波を受信した信号の利得を高める増幅部及び増幅部により増幅された信号を復調して所望の番組を再生する受信処理部に、商用電源からの電源供給の遮断を検出し、
前記増幅部及び前記受信処理部に、商用電源とは異なる内部電源からの電源を供給する電源供給方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−77902(P2013−77902A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215319(P2011−215319)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】