説明

電子機器

【課題】更新済みのソフトウェアが使用可能となるまでの時間を短縮することのできる電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、ソフトウェアのプログラムをブロック単位で格納する不揮発性のNAND35と、第1のNANDに格納されたプログラムを更新するための更新情報データを受信する第2のNANDと、実行対象のプログラムを作業用に格納する揮発性のSDRAM34と、NAND35に格納されたプログラムを読み込み、第2のNANDに記憶された更新情報データに基づいて、更新済みのプログラムを生成してSDRAM34へ格納し、SDRAM34に格納されたプログラムを実行するMPU30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアの更新機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な電子機器において、メモリに予め記憶されたソフトウェアを実行することにより各種機能を実現している。このような電子機器の中には、ソフトウェアの不具合修正や機能拡張等の理由により、更新用データを取得して新しいソフトウェアに更新する機能を有するものがある。
【0003】
このようなソフトウェア更新の機能を有する電子機器は、例えば、ソフトウェアの新旧バージョンの差分データをダウンロードし、所定の更新エンジンを実行して、この差分データにより単位領域(ブロック)毎にソフトウェアを更新する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、電子機器は、不揮発性のメモリ(例えば、NANDフラッシュメモリ)にソフトウェアを格納し、実際にソフトウェアを実行する際には、読み書きが高速な揮発性メモリ(例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory))にコピーして実行する場合が多い。
【0005】
この場合、電子機器は、揮発性メモリ上のソフトウェアによって通常動作中に、不揮発性メモリのソフトウェアを更新する、いわゆるバックグラウンド更新を行うことができる。その後、電子機器は、不揮発性メモリ上にある更新済みソフトウェアの機能を、電子機器の実際の動作に反映させるため、再起動処理の後に更新済みソフトウェアの全ブロックを揮発性メモリへコピーしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−219883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、NANDフラッシュメモリ等の不揮発性メモリの書き換えには時間が掛かるため、再起動により更新処理を実行した場合にも、更新が完了するまで、ユーザは使用中であったソフトウェアの再実行を長時間待たなければならなかった。
【0008】
本発明は、更新済みのソフトウェアが使用可能となるまでの時間を短縮することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、ソフトウェアのプログラムを格納する不揮発性の第1記憶部と、実行対象のプログラムを作業用に格納する揮発性の第2記憶部と、更新情報データを記憶する第3記憶部と、前記第1記憶部に格納されたプログラムと、前記第3記憶部に記憶された更新情報データとに基づいて、更新済みのプログラムを生成して前記第2記憶部へ格納し、当該第2記憶部に格納されたプログラムを実行する制御部と、を備える。
【0010】
また、前記制御部は、前記更新済みのプログラムを生成した場合において、更新を行うプログラムに関しては、前記更新済みのプログラムを前記第2記憶部へ格納し、更新を行わないプログラムに関しては、前記第1記憶部に記憶されたプログラムを前記第2記憶部へコピーすることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記第2記憶部に格納された更新済みのプログラムを実行しているときに、当該更新済みのプログラムを、前記第1記憶部へコピーすることが好ましい。
【0012】
また、前記第1記憶部は、前記プログラムをブロック単位で格納し、前記制御部は、前記更新済みのプログラムのうち、前記更新情報データにより更新されたブロックのみを、前記第1記憶部へコピーすることが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記第2記憶部に格納されたプログラムを実行する処理負荷が低下したときに、前記更新済みのプログラムを、前記第1記憶部へコピーすることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る電子機器は、前記第3記憶部が前記更新情報データを記憶しているときに、前記第1記憶部と前記第2記憶部のいずれを先に更新するかの選択入力を受け付ける受付部を更に備え、前記制御部は、前記受付部により前記第1記憶部を先に更新する選択入力を受け付けた場合、前記更新情報データに基づいて前記第1記憶部に格納されたプログラムを更新し、前記受付部により前記第2記憶部を先に更新する選択入力を受け付けた場合、前記更新情報データに基づいて、更新済みのプログラムを生成して前記第2記憶部へ格納することが好ましい。
【0015】
また、前記受付部は、前記更新情報データに付加された緊急度を受け付け、当該緊急度に応じて、前記第1記憶部と前記第2記憶部のいずれを先に更新するかを決定することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る電子機器は、前記第3記憶部に記憶される前記更新情報データを受信する通信部を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、更新済みのソフトウェアが使用可能となるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るソフトウェアの更新システムを示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係るNANDからSDRAMへのプログラムのコピー処理を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るSDRAMにおける更新処理を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る更新済みのプログラムをNANDへコピーする処理を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るNANDにおけるバックグラウンド更新処理を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るNANDのプログラムが更新された後のSDRAMへのコピー処理を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るMPUの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、電子機器の一例として、携帯電話機1を説明する。なお、本発明の電子機器はこれには限られず、例えば、PHS(Personal Handy phone System)やPDA(Personal Digital Assistant)の他、ナビゲーション装置やパーソナルコンピュータ等、様々な電子機器に適用可能である。
【0020】
図1は、本実施形態に係る携帯電話機1(電子機器)の外観斜視図である。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態はこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0021】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0022】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0023】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0024】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示すブロック図である。携帯電話機1は、MPU30(制御部)と、電源部31と、無線部32(通信部)と、アンテナ33と、SDRAM34(第2記憶部)と、NAND35(第1記憶部、第3記憶部)と、操作部11(受付部)と、表示部21と、音声制御部36と、を備える。
【0025】
MPU30は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、表示部21、無線部32、音声制御部36等に対して所定の制御を行う。また、MPU30は、操作部11等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、MPU30は、処理実行の際には、SDRAM34およびNAND35を制御し、各種プログラムおよびデータの読み出し、およびデータの書き込みを行う。
【0026】
電源部31は、携帯電話機1の各部へ電源を供給している。また、電源ON/OFFを切り替える所定の操作入力に応じて、電源部31は、電源の供給先を変更する。すなわち、電源OFFの場合には、例えばSDRAM34等の限られた部位のみに電源を供給する。
【0027】
無線部32は、所定の使用周波数帯(例えば、2GHz帯や800MHz帯等)で外部装置(基地局)と通信を行う。そして、無線部32は、アンテナ33より受信した信号を復調処理し、処理後の信号をMPU30に供給し、また、MPU30から供給された信号を変調処理し、アンテナ33から外部装置に送信する。
【0028】
SDRAM34は、MPU30により作業用に使用される記憶装置であり、電流の供給を受け続けることによりデータを保持する揮発性の記憶装置である。なお、携帯電話機1は、電源をOFFにした場合にも、電源部31によりSDRAM34へ電流を供給し続ける。これにより、例えば再起動時に一旦電源がOFFとなった場合にも、SDRAM34は、記憶されたデータを保持することが可能となる(セルフリフレッシュ)。
【0029】
NAND35は、ソフトウェアのプログラム等を静的に記憶する不揮発性の記憶装置である。SDRAM34のデータの読み書きは、NAND35の読み書きよりも速いため、NAND35に記憶されたプログラムの一部または全部は、SDRAM34にコピーされることにより、MPU30によって実行される。また、無線部32により受信(ダウンロード)したソフトウェア、あるいはソフトウェアの更新情報データは、このNAND35に記憶される。
【0030】
表示部21は、MPU30の制御に従って、所定の画像処理を行う。そして、処理後の画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングで画面出力する。
【0031】
音声制御部36は、MPU30の制御に従って、無線部32から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をレシーバ22に出力する。レシーバ22は、音声制御部36から供給された信号を外部に出力する。なお、この信号は、レシーバ22に代えて、または、レシーバ22と共に、スピーカ(図示せず)から出力されるとしてもよい。
【0032】
また、音声制御部36は、MPU30の制御に従って、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を無線部32に出力する。無線部32は、音声制御部36から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をアンテナ33より出力する。
【0033】
図3は、本実施形態に係るソフトウェアの更新システムを示す概略図である。携帯電話機1で利用されるソフトウェアは、管理サーバにて新旧のバージョン管理がされている。管理サーバは、データベースにてソフトウェアのプログラムと、旧バージョンから新バージョンへ更新するための更新情報データとを保持する。そして、管理サーバは、携帯電話機1からの要求に応じて、最新のプログラムまたは更新情報データを、基地局を介して送信する。
【0034】
以下、携帯電話機1で実行されるソフトウェアを新バージョンへ更新するための、MPU30の処理内容を説明する。
【0035】
図4は、本実施形態に係るNAND35からSDRAM34へのプログラムのコピー処理を示す図である。この処理において、MPU30は、携帯電話機1の電源がONとなったときに、実行対象のソフトウェアのプログラムを、作業用の記憶装置であるSDRAM34へコピーする。
【0036】
NAND35において、プログラムはブロック単位に格納されており、SDRAM34へも、このブロック単位で順次コピーされる。そして、全ブロックのコピーが完了すると、MPU30は、SDRAM34上でソフトウェアを実行し、ユーザの利用が開始される。
【0037】
なお、前述のセルフリフレッシュ機能が動作しているときは、SDRAM34のデータが保持されているので、本処理は省略され、MPU30は、即座にSDRAM34上でソフトウェアを実行することができる。
【0038】
図5は、本実施形態に係る更新情報データを受信した後の、SDRAM34における更新処理を示す図である。この処理は、携帯電話機1が一旦リセットされた後、再起動時に実行される。
【0039】
MPU30は、旧バージョンのソフトウェアを新バージョンへ更新するための差分データ(更新情報データ)をサーバより受信すると、NAND35に当該差分データを記憶させる。続いて、携帯電話機1が再起動する際、SDRAM34上のソフトウェアを実行する前に、この差分データおよび、NAND35の該当ブロック(例えば、ブロック1〜ブロック3)にある更新前のイメージに基づいて更新後のイメージを生成すると(比喩的に換言すれば、差分データと更新前のイメージとを足し合わせることにより更新後のイメージを生成する)、MPU30は、SDRAM34の対応するブロックを更新後のイメージで更新する。ここで、差分データによる更新対象となっていないブロック(例えば、ブロック4〜ブロックn)については、MPU30は、当該更新対象となっていないブロックをNAND35からSDRAM34へコピーする。
【0040】
ところで、NAND35に対するデータの書き換え処理は、NAND35からの読み出し処理や、SDRAM34の書き換え処理に比べて非常に遅い。したがって、NAND35の更新を行う前にSDRAM34を更新することにより、更新後のソフトウェアをSDRAM34上で実行するまでに要する時間が大幅に短縮されることが期待できる。つまり、本実施形態によれば、更新済みのソフトウェアが使用可能となるまでの時間を短縮し、携帯電話機1の起動を高速にできる。
【0041】
なお、SDRAM34において前述のセルフリフレッシュ機能が動作している場合、差分データによる更新対象となっていないブロックについてSDRAM34へのコピーは不要となる。その結果、更新後のソフトウェアがSDRAM34に展開される時間を更に短縮することができる。
【0042】
図6は、本実施形態に係るSDRAM34に展開された更新済みのプログラムをNAND35へコピーする処理を示す図である。この処理は、SDRAM34上で更新済みのソフトウェアが実行され、ユーザの利用が可能となった後に実行される。
【0043】
このコピー処理は、ユーザが携帯電話機1を利用中に実行されるので、NAND35に格納されているソフトウェアが更新されるのを待つことなく、ユーザは、新バージョンのソフトウェアの利用を継続することができる。
【0044】
また、MPU30は、このコピー処理において、差分データに基づいて更新されたブロック(例えば、ブロック1〜ブロック3)のみをNAND35へコピーする。したがって、全ブロックをコピーするのに比べて、処理に掛かる時間が短縮され、MPU30の処理負荷が低減される。
【0045】
また、MPU30は、SDRAM34に格納されたプログラムを実行する処理負荷が低下したとき、例えば、スリープ状態等のときにコピー処理を実行することが望ましい。このことにより、MPU30の処理負荷が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0046】
図5および図6において、NAND35の更新より前にSDRAM34を更新する処理について示した。また、MPU30は、更に、SDRAM34とNAND35のいずれを先に更新するかの順序を選択する入力を受け付けてもよい。例えば、ソフトウェアの致命的なバグ等、緊急度の高い更新内容である場合には、SDRAM34を先に更新し、旧バージョンのソフトウェアを使用することに問題がなければ、バックグラウンドでNAND35を先に更新する。
【0047】
図7は、本実施形態に係るNAND35におけるバックグラウンド更新処理を示す図である。この処理は、携帯電話機1が利用され、SDRAM34上で旧バージョンのソフトウェアが実行されている間に実行される。
【0048】
MPU30は、旧バージョンのソフトウェアを新バージョンへ更新するための差分データをサーバより受信すると、NAND35に記憶する。続いて、この差分データおよび、NAND35の該当ブロック(例えば、ブロック1〜ブロック3)にある更新前のイメージに基づいて、更新後のイメージを生成すると、MPU30は、同ブロックを更新後のイメージで更新する。
【0049】
図8は、本実施形態に係るNAND35のプログラムがバックグラウンド処理によって更新された後のSDRAM34へのコピー処理を示す図である。このコピー処理は、NAND35の更新が完了した後、携帯電話機1の再起動時に実行される。
【0050】
なお、図8では、更新の有無によらず、MPU30は、全てのブロックを更新しているものの、実施形態はこれには限られない。例えば、前述のセルフリフレッシュ機能が動作している場合には、差分データに基づいて更新されたブロックのみをコピーすることとしてよい。
【0051】
図9は、本実施形態に係るMPU30の処理を示すフローチャートである。
ステップS1では、MPU30は、無線部32を介して、管理サーバからソフトウェア更新用の更新情報データとして差分データをダウンロードする。
【0052】
ステップS2では、MPU30は、ステップS1でダウンロードした差分データに係る更新が、緊急度の高いものであるか否かを判定する。具体的には、例えば操作部11を介してユーザから当該判定の入力を受け付けてもよい。この判定がYESの場合は、SDRAM34の更新を優先するため、MPU30の処理はステップS3に移る。一方、判定がNOの場合は、NAND35の更新を優先するため、MPU30の処理はステップS11に移る。
【0053】
ステップS3では、MPU30は、アクセス中のSDRAM34に格納されているソフトウェアのプログラムを更新するため、携帯電話機1のリセット(再起動)を行う。
【0054】
次に、MPU30は、ステップS4からステップS6において、SDRAM34と対応付けられているNAND35の全ブロックをループして判定することにより、SDRAM34に格納されているプログラムを更新する。
【0055】
ステップS4では、MPU30は、現在ループによって判定を行っているNAND35のブロックが、更新対象で且つ未更新であるか否かを判定する。この判定がYESの場合はステップS5に移り、判定がNOの場合はステップS6に移る。
【0056】
ステップS5では、MPU30は、ステップS4で未更新であると判定されたNAND35のブロックに対して、ステップS1でダウンロードした差分データを適用し、更新後のメモリイメージ(プログラム)を生成する。
【0057】
ステップS6では、MPU30は、ステップS5で生成した更新後のメモリイメージ、または更新不要であったブロック(更新対象外または更新済みのブロック)のメモリイメージを、SDRAM34へ書き込む。
【0058】
ステップS7では、SDRAM34のソフトウェアが更新されたので、MPU30は、更新後のソフトウェアを実行し、携帯電話機1の各種機能を起動させる。これにより、携帯電話機1は、ユーザによる利用が可能な状態となる。
【0059】
次に、MPU30は、ステップS8からステップS10において、SDRAM34と対応付けられているNAND35の全ブロックを対象としてループして判定することにより、NAND35に格納されているプログラムを更新する。
【0060】
ステップS8では、MPU30は、現在ループによって判定を行っているNAND35のブロックが更新対象であり、且つ未更新であるか否かを判定する。この判定がYESの場合はステップS9に移り、判定がNOの場合は次のブロックの処理に移る。
【0061】
ステップS9では、MPU30は、ステップS8で未更新であると判定されたNAND35のブロックに対して、対応するSDRAM34のブロックからメモリイメージをコピーする。
【0062】
ステップS10では、MPU30は、CRC(Cyclic Redundancy Check、巡回冗長検査)等のエラー検出機能を使用し、SDRAM34とNAND35との整合性を確認する。これにより、MPU30は、誤ったプログラムをNAND35へ書き込むことを回避できる。
【0063】
また、ステップS2の判定により、更新の緊急度が低く、NAND35を先に更新すると決定した場合、MPU30は、ステップS11からステップS14において、SDRAM34と対応付けられているNAND35の全ブロックを対象としてループして判定することにより、NAND35に格納されているプログラムを更新する。
【0064】
ステップS11では、MPU30は、現在ループによって判定を行っているNAND35のブロックが更新対象であるか否かを判定する。この判定がYESの場合は、MPU30の処理はステップS12に移り、判定がNOの場合は、MPU30の処理は次のブロックの処理に移る。
【0065】
ステップS12では、MPU30は、ステップS11で更新対象であると判定されたNAND35のブロックに対して、ステップS1でダウンロードした差分データを適用し、更新後のメモリイメージ(プログラム)を生成する。
【0066】
ステップS13では、MPU30は、ステップS12で生成した更新後のメモリイメージをNAND35へ書き込む。
【0067】
ステップS14では、MPU30は、エラー検出機能を使用してNAND35のデータの確認を行う。これにより、MPU30は、誤ったプログラムをNAND35へ書き込むことを回避できる。
【0068】
ステップS15では、MPU30は、アクセス中のSDRAM34に格納されているソフトウェアのプログラムを更新するため、携帯電話機1のリセット(再起動)を行う。このとき、MPU30は、NAND35からSDRAM34へのコピー処理を実行することにより、SDRAM34のソフトウェアを更新する。そして、MPU30は、更新後のソフトウェアを実行し、携帯電話機1の各種機能を起動させる。これにより、ユーザによる利用が可能となる。
【0069】
なお、NAND35の更新中(ステップS8〜ステップS10、またはステップS11〜ステップS14)に、携帯電話機1の電源がOFFとなる等の理由により更新が中断した場合、NAND35に格納されているプログラムは不完全な状態であるため、MPU30は、このままSDRAM34へコピーしても実行することができない。
【0070】
そこで、MPU30は、更新の中断後に携帯電話機1が再起動する場合、ステップS3から処理を再開する。MPU30は、ステップS4において未更新のブロックを判定するので、不完全に更新されているNAND35から更新後のメモリイメージを生成し、SDRAM34に更新後のプログラムを書き込むことができる。また、MPU30は、ステップS8においても未更新のブロックを判定するので、更新済みのブロックに対する不要なコピー処理を回避し、効率的にNAND35の更新を完了させることができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0072】
前述の実施形態では、SDRAM34とNAND35のいずれを先に更新するかを、ユーザの選択入力に応じて決定したものの、実施形態はこれには限られない。例えば、受信した差分データの属性として付加された重要度に応じて、自動的に決定してもよい。
【0073】
また、前述の実施形態では、SDRAM34を先に更新する場合に、SDRAM34に展開された更新後のメモリイメージをNAND35にコピーしたものの、実施形態はこれに限らない。例えば、ステップS12、13のように、ステップS8で更新対象であり且つ未更新であると判定されたNAND35のブロックに対し、MPU30は、ステップS1でダウンロードした差分データを適用し、更新後のメモリイメージ(プログラム)を生成して書き込んでもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 携帯電話機(電子機器)
11 操作部(受付部)
21 表示部
31 電源部
32 無線部(通信部)
33 アンテナ
34 SDRAM(第2記憶部)
35 NAND(第1記憶部、第3記憶部)
36 音声制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアのプログラムを格納する不揮発性の第1記憶部と、
実行対象のプログラムを作業用に格納する揮発性の第2記憶部と、
更新情報データを記憶する第3記憶部と、
前記第1記憶部に格納されたプログラムと、前記第3記憶部に記憶された更新情報データとに基づいて、更新済みのプログラムを生成して前記第2記憶部へ格納し、当該第2記憶部に格納されたプログラムを実行する制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記更新済みのプログラムを生成した場合において、
更新を行うプログラムに関しては、前記更新済みのプログラムを前記第2記憶部へ格納し、
更新を行わないプログラムに関しては、前記第1記憶部に記憶されたプログラムを前記第2記憶部へコピーする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2記憶部に格納された更新済みのプログラムを実行しているときに、当該更新済みのプログラムを、前記第1記憶部へコピーすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1記憶部は、前記プログラムをブロック単位で格納し、
前記制御部は、前記更新済みのプログラムのうち、前記更新情報データにより更新されたブロックのみを、前記第1記憶部へコピーすることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2記憶部に格納されたプログラムを実行する処理負荷が低下したときに、前記更新済みのプログラムを、前記第1記憶部へコピーすることを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第3記憶部が前記更新情報データを記憶しているときに、前記第1記憶部と前記第2記憶部のいずれを先に更新するかの選択入力を受け付ける受付部を更に備え、
前記制御部は、前記受付部により前記第1記憶部を先に更新する選択入力を受け付けた場合、前記更新情報データに基づいて前記第1記憶部に格納されたプログラムを更新し、前記受付部により前記第2記憶部を先に更新する選択入力を受け付けた場合、前記更新情報データに基づいて、更新済みのプログラムを生成して前記第2記憶部へ格納することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記受付部は、前記更新情報データに付加された緊急度を受け付け、当該緊急度に応じて、前記第1記憶部と前記第2記憶部のいずれを先に更新するかを決定することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第3記憶部に記憶される前記更新情報データを受信する通信部を更に備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−198387(P2010−198387A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43212(P2009−43212)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】