説明

電子機器

【課題】ICカードがスロットに中途半端に挿入されてもその誤検出を防ぎ、ICカードとパネル部とが接触して破損等を防止する電子機器を提供すること。
【解決手段】ICカード130の挿入排出に際して、第二の検出器60のレバー62がICカード130の表裏面およびICカード130の挿入排出方向と平行を成す両端面と接触しない位置に配置された電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により情報を保持するカードを利用する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送を受信する装置では、この装置にデジタル放送を受信するためのICカード(B−CAS社が発行する接触式ICカードで、いわゆる「B−CASカード」と呼ばれるカード)を差し込んで利用することが知られている。
【0003】
一方、近年、カーナビゲーション装置として、デジタル放送も受信できるデジタル放送受信機能内蔵型のハードディスクナビゲーション装置が普及しつつある。このようなカーナビゲーション装置は、通常、ハードディスク装置やDVD装置等の主要な機器を内蔵した電子機器本体部と、この電子機器本体部のサブパネルに対して開閉可能に設けられ、液晶表示部等を備えたパネル部とから構成されている。そして、電子機器本体部のサブパネルには、DVD等の円盤状メディアを挿入するためのスロットが設けられている(例えば、特許文献1等参照)。また、デジタル放送受信機能内蔵型の装置であれば、サブパネルには、円盤状メディア用のスロットと共に又はその代わりに、デジタル放送を受信用のICカード(B−CAS社が発行する接触式ICカードで、いわゆる「B−CASカード」と呼ばれるICカード)を挿入するためのスロットが設けられる。
【0004】
上述したデジタル放送対応型のカーナビゲーション装置などのように、ICカードを挿入するスロットを少なくとも備えた電子機器本体部と、この電子機器本体部のサブパネルに対して開閉可能に設けられたパネル部とを備えた電子機器では、ICカードの検出は、図4に例示するように、2つの検出器を用いて行われていた。すなわち、これら2つの検出器50(検出スイッチ)、検出器60(接触端子)は、ICカードをスロットに挿入した際に、ICカード130の下面側に位置するように配置されている。ここで、一方の検出器(第一の検出器50)がICカード130の存在を電気的に直接感知する検出器である。また、もう一方の検出器(第二の検出器60)は、レバー62(62A,62B。なお、符号62A、62Bはレバー62の位置を特定した状態を示す)を備えたレバー式の検出器である。このレバー式検出器は、ICカード130が挿入された際に、レバー62がICカード130の下面側と接触することによって、第二の位置(62B)から、第一の位置(62A)へと回動することによって、このレバー62の移動を電気的信号の変化として変換するものである。
【0005】
そして、パネル部を開いた状態でICカード130をスロットに挿入した場合、これら2つの検出器50、60が発する電気的信号が変化する。それゆえ、これらの電気的信号の変化に基づいて、ICカード130がスロット内に挿入されたと判定されると、パネル部が自動的に閉じられる。なお、図4は、従来のICカードを利用する電子機器におけるICカードの検出状態について説明する概略模式図であり、図4(A)が、ICカード130が完全に挿入された状態を示す図であり、図4(B)がICカード130を挿入する途中の段階を示す図である。また、図4中、矢印IはICカード130の挿入方向、矢印EはICカード130の排出方向を表す。
【0006】
【特許文献1】特開2004−319004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したICカードを挿入するスロットを備えた電子機器本体部と、この電子機器本体部のサブパネルに対して開閉可能に設けられたパネル部とを備えた電子機器においては、以下のような問題があった。すなわち、ICカードがスロットに中途半端に挿入された状態であっても、2つの検出器から発せられる電気的信号が、ICカードがスロット内に挿入されたと判定される状態となることがあった(例えば、図4(A)において、ICカード130の挿入方向側の端面が、図中の点線上に位置している状態が挙げられる)。そして、このようなICカードの誤検出が発生した場合でも、ICカードが完全に挿入されていないにも係らず、パネル部が自動的に閉じようとする。それゆえ、ICカードの端部と、パネル部とが接触して、両者のうちの少なくとも一方が破損したり傷ついたりしてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により情報を保持するカードをスロットに中途半端に挿入した状態であっても、カードの誤検出を防ぐことによって、カードの端部とパネル部とが接触して、両者のうちの少なくとも一方が破損したり傷ついたりすることを防止する電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により情報を保持するカードの挿入排出口を有するサブパネル、前記挿入排出口から挿入された前記カードに対して対面するように配置され、前記カードの存在を電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により検出する第一の検出器、および、第一の位置へ回動した状態で電気的にON状態となり、第二の位置へ回動した状態で電気的にOFF状態となるレバーを備えた第二の検出器とを具備する電子機器本体部と、前記サブパネルに対して開閉可能に設けられると共に、前記第一の検出器が前記カードの存在を検出している状態において、前記第二の検出器が電気的にOFF状態からON状態に変化した際に開閉動作指示を受付け可能となるパネル部と、を具備し、前記カードの挿入排出に際して、前記レバーが前記カードの表裏面および前記カードの挿入排出方向と平行を成す両端面と接触しない位置に前記第二の検出器が配置されたものである。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、前記挿入排出口を塞ぐために前記サブパネルに対して脱着可能に設けられると共に、前記挿入排出口側の面に突起部を有する板状の蓋部材を更に備え、前記蓋部材が前記サブパネルに取り付けられた状態において、前記レバーが前記第一の位置へ回動するように前記突起部によって押される位置に、前記第二の検出器が前記電子機器本体部内に配置されているものである。
【0011】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、前記パネル部が閉じた状態でパネル部の正面に表示部が設けられているものである。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に車載用として利用されるものである。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、前記カードが、ICカードであるというものである。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、デジタル放送を受信する受信手段を備え、前記カードがB−CASカードであるものである。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、GPS信号を受信するGPS信号受信手段と、地図情報を少なくとも保持する情報記録部と、受信されたGPS信号と前記地図情報とに基づいて位置情報を表示する機能を少なくとも有する表示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により情報を保持するカードをスロットに中途半端に挿入した状態であっても、カードの誤検出を防ぐことによって、カードの端部とパネル部とが接触して、両者のうちの少なくとも一方が破損したり傷ついたりすることを防止する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、各図に基づいて説明する。
図1は、本発明に用いられる電子機器本体部の一例を示す概略模式図であり、具体的には電子機器本体部内にカードが挿入された状態を示した図である。また、図2は、図1中の符合A1−A2間の断面図である。さらに、図3は、図1に示す電子機器本体部を有する本発明の電子機器の一例を示す概略模式図である。図3(A)は、パネル部120が開いている時にICカード130を挿入排出口70から挿入した後、さらに蓋部材12により蓋をした直後の状態を示した図である。また、図3(B)は、蓋部材12により蓋をした後にパネル部120が自動的に閉じた状態を示した図である。なお、図3中、サブパネル10やパネル部120に設けられるその他のスイッチやボタン類については記載を省略してある。
【0018】
図3に示される本実施形態の電子機器は、電子機器本体部110と、この電子機器本体部110のサブパネル10に対して、図中両矢印R方向に開閉可能に設けられたパネル部120とを備えている。このパネル部120は、電子機器本体部110のサブパネル10の下側部分に取り付けられており、回動手段(不図示)によって図中矢印R方向に回動することによって開閉することができる。また、パネル部120は、パネル部120が閉じた状態においてパネル部120のサブパネル10と対向する面(以下、「内側面」と称し、これと反対側の面を「外側面」と称す場合がある)には、必要に応じて種々の操作ボタンを設けたり、液晶ディスプレイやLEDディスプレイ等からなる表示部(図中、内側面に設けられる表示部を符合122、外側面に設けられる表示部を符合124で示す)を設けてもよい。なお、表示部122、124がタッチパネルとしての機能を備えていてもよい。
【0019】
電子機器本体部110は、図1および図2に示されるように、(1)ICカード130の挿入排出口70を有するサブパネル10、(2)挿入排出口70から挿入されたICカード130に対して対面するように配置され、ICカード130の存在を電気的に検出する第一の検出器50、および、(3)第一の位置へ回動した状態(62A)で電気的にON状態となり、第二の位置へ回動した状態(62B)で電気的にOFF状態となるレバー62を備えた第二の検出器60とを具備している。なお、この第二の検出器60は、レバー62に何等の外力が加えられない状態では、レバー62が自動的に第二の位置62Bへ回動し、この状態でレバー62が静止するようになっている(すなわち、レバー62のホームポジションは第二の位置62Bである)。そして、サブパネル10は、第一の検出器50がICカード130の存在を検出している状態において、第二の検出器60が電気的にOFF状態からON状態に変化した際に開閉動作指示を受付け可能となるようになっている。
【0020】
ここで、本発明では、ICカード130の挿入排出に際して、レバー62がICカード130の表裏面およびICカード130の挿入排出方向と平行を成す両端面と接触しない位置に第二の検出器60が配置される。このような配置条件を満たすために、図1および図2に示す実施形態では、挿入排出口70を塞ぐためにサブパネル10に対して脱着可能に設けられると共に、挿入排出口70側の面にリブ14(突起部)を有する板状の蓋部材12を更に備えている。そして、蓋部材12がサブパネル10に取り付けられた状態において、レバー62が第一の位置(62A)へ回動するようにリブ14によって押される位置に、第二の検出器60が電子機器本体部110内に配置されている。
【0021】
また、本実施形態では図1に示すように、第一の検出器50は、ICカード130が挿入排出口70から完全に挿入された状態において、ICカード130の下面側に接触するように配置される。そしてICカード130が挿入排出口70から完全に挿入された状態では、ICカード130の下面側に電磁気的接点が露出するICチップ(図中不図示)と第一の検出器50とが接触するため、第一の検出器50によりICカード130の存在が電気的に検出される。また、この状態では、第一の検出器50により、ICチップに記録された情報を読み込んだり、ICチップに情報を書きこんだりすることが可能となる。
【0022】
この第一の検出器50は、図1に示すように、例えば、挿入排出口70から完全に挿入された状態のICカード130に対して対向配置され、不図示の部材によって電子機器本体部110内に固定された基板30の上面側(ICカード130が位置する側)に取り付けることができる。
【0023】
一方、第二の検出器60は、例えば、図1および図2に示すように、サブパネル10の内側に固定された基板20上(基板20のサブパネル10と対向する側の面と反対側の面)に取り付けることができる。ここで基板20は、挿入排出口70の下側のサブパネル10の内側面に設けられたネジ穴(不図示)を有する複数の支持部22上に、サブパネル10と略平行を成すように配置される。そして、ネジ24のネジ山部分と支持部22とで基板20を挟み込むように、ネジ24を基板20に設けられた孔部(不図示)を介して支持部22のネジ穴(不図示)にねじ込むことによって、基板20が支持部22に固定される。また、基板20のサブパネル10と対向する側の面と反対側の面と、基板30の下側(ICカード130と対向する面と反対側の面)とは、ハーネス40により接続されている。
【0024】
次に、第二の検出器60と、蓋部材12のリブ14との配置関係についてより詳細に説明する。まず、図1および図2に示すように、蓋部材12が、挿入排出口70が外部に露出しないように閉塞するためにサブパネル10に嵌め込まれている。この状態において、蓋部材12を構成する板状面に垂直に設けられたリブ14は、挿入排出口70の下方側のサブパネル10に設けられたリブ14用の穴72を介して、電子機器本体部110内側に略水平方向に突出している。
【0025】
一方、挿入排出口70の下方側のサブパネル10と略並行に配置された基板20は、その一端側(図1では上端側)が、電子機器本体部110内側へ略水平方向に突出しているリブ14と接触しないように、リブ14の際に位置している。そして、この基板20の一端側で且つサブパネル10と対向する面の反対側の面に、レバー62に対して何等の外力も加わらない状態でレバー62が電気的にOFF状態である第二の位置(62B;図2中では、基板20の表裏面と平行な方向)に回動した状態となるように第二の検出器60が取り付けられている。なお、レバー62は、蓋部材12がサブパネル10に嵌め込まれた際に、電子機器本体部110内側に略水平方向に突出するように位置するリブ14と十分に接触できる長さを有している。それゆえ、蓋部材12がサブパネル10に嵌め込まれた際には、図2に示すように、レバー62が、第二の位置(62B;電気的にOFF状態)から、第一の位置(62A;電気的にON状態。図2中では、基板20の表裏面と交差する方向)へと回動した状態となる。
【0026】
<ICカード挿入時の電子機器の動作>
次に、図1〜図3に示す本実施形態の電子機器の動作について、ICカード130を挿入排出口70から電子機器本体部110内へと挿入した場合についてより詳細に説明する。
まず、図3(A)に示すように、パネル部120が開いた状態において、サブパネル10に嵌め込まれた蓋部材12を取り外し、挿入排出口70からICカード130を挿入する。ICカード130が完全に挿入されると、ICカード130の下面側のICチップ(不図示)と第一の検出器50とが接触する。これにより、第一の検出器50によってICカード130の存在が電気的に検出された状態となる。
【0027】
次に、挿入排出口70が外部に露出しないように閉塞するために、蓋部材12をサブパネル10に嵌め込む。なお、蓋部材12をサブパネル10に嵌め込むには、ICカード130が完全に挿入されている必要があるため、ICカード130の中途半端な挿入状態を確実に防ぐことができる。そして、蓋部材12をサブパネル10に嵌め込むことにより、蓋部材12のリブ14が、サブパネル10に設けられたリブ14用の穴72を通り抜けて、電子機器本体部110内側に略水平方向に突出した状態となる。この際、リブ14によって、第二の検出器60のレバー62が、第二の位置(62B)から第一の位置(62A)へと回動する。従って、第一の検出器50によってICカード130の存在が電気的に検出された状態において、第二の検出器60が電気的にOFFの状態からONの状態へと変化する。この電気信号の変化を受けてパネル部120の開閉手段(不図示)が自動的に作動して、パネル部120が閉じた状態となる(図3(B))。
【0028】
<本発明の適用による効果>
従って、図1〜図3に例示したような本発明の電子機器では、ICカード130の挿入排出に際して、レバー62がICカード130の表裏面およびICカード130の挿入排出方向と平行を成す両端面と接触しない位置に第二の検出器60が配置される。このため、挿入排出口70(スロット)からICカード130が中途半端に挿入された場合であっても、第二の検出器60(レバー式検出器)のレバー62が、従来のようにICカード130の下面と接触したり、また、ICカード130の上面や両側端面に接触して、移動することが無い。それゆえ、ICカード130が中途半端に挿入された状態であっても、パネル部120が自動的に閉まることがない。以上のことから結果として、パネル部120と中途半端に挿入された状態のICカード130の端部とが接触し、いずれか一方または双方が破損するのを防止できる。
【0029】
なお、本発明において、第二の検出器60は、ICカード130の挿入排出に際して、レバーがICカード130の表裏面と接触しない位置であれば、電子機器本体部110のいずれの位置に配置してもよい。しかしながら、第二の検出器60のレバー62の操作性や、不可抗力によるレバー62の勝手な移動を防止する等の点を考慮すれば、本発明の電子機器は、図1および図2に例示する実施形態(以下、「第一の実施形態」と称す場合がある)であることが特に好適である。
【0030】
この第一の実施形態は、挿入排出口70を塞ぐためにサブパネル10に対して脱着可能に設けられると共に、挿入排出口70側の面にリブ14(突起部)を有する板状の蓋部材12を更に備え、蓋部材12がサブパネル10に取り付けられた状態において、レバー62が第一の位置(62A)へ回動するようにリブ14によって押される位置に、第二の検出器60が電子機器本体部110内に配置されているものである。
【0031】
第一の実施形態では、ICカード130を電子機器本体110内にセットした後に、蓋部材12をサブパネル10に嵌め込むことで、挿入排出口70を外部に露出しないように閉塞する。この際、ICカード130を電子機器本体110内にセットすることによって、第一の検出器50がICカード130の存在を検出すると共に、蓋部材12のリブ14が第二の検出器60のレバー62Aを押して第二の検出器60をOFF状態からON状態に変化させる。従って、この状態となった時点で、パネル部120が自動的に閉じることになる。一方、蓋部材12により挿入排出口70が外部に露出しないように閉塞するには、ICカード130が完全に挿入された状態でなければならない。それゆえ、パネル部120が自動的に閉じたとしてもパネル部120と中途半端に挿入された状態のICカード130の端部とが接触し、パネル部120およびICカード130のいずれか一方または双方が破損するのを防止できる。
【0032】
これに加えて、第一の実施形態では、第二の検出器60として既製品が利用できる。また、さらに、電子機器100に衝撃が加わったり落下したりしても、挿入排出口70が蓋部材12で蓋をされているために、ICカード130が電子機器本体部110から飛び出すのを防止することができる。
【0033】
さらに、図4に例示したように従来技術では、第二の検出器60は、そのレバー62がICカード130と接触する位置に設けられるが、これに対して第一の実施形態では、第二の検出器60は、そのレバー62がICカード130と接触可能な位置に設けられない。一方、電子機器本体部110のICカード130が挿入配置される部位は構造が複雑である。このため、ICカード130が挿入配置される部位のガタや、当該部位を構成する周辺部品の公差を考慮した場合、従来の電子機器では、第二の検出器60として、レバー長の長いレバーを備えたものを用いることが多い。しかし、レバー長の長い第二の検出器60は、その保管や電子機器の組み立てに際して、破損が起こりやすい。
【0034】
これに対して、第一の実施形態では、第二の検出器60が配置される部位が、電子機器本体部110の筐体を構成するサブパネル10近傍であるため、ガタつきにくく、また当該部位の周囲の構造も、ICカード130が挿入配置される部位の構造と比べてシンプルである。それゆえ、第二の検出器60のレバー62のレバー長を選択する場合に、第二の検出器60が配置される部位のガタや当該部位を構成する周辺部品の公差をあまり考慮する必要がない。従って、第一の実施形態では、第二の検出器60として、その保管や電子機器の組み立てに際して、破損が起こり難い短いレバー長のものを選択することができる。また、このようなレバー長の短い第二の検出器60は、電子機器の組み立てに際して、レバー62の破損が起こり難いので工場での管理が非常に容易である。
【0035】
<変形例>
以上、図1〜図3に本発明の電気機器の一例について示したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。例えば、第一の実施形態では蓋部材12に設けられたリブ14によって第二の検出器60のレバー62の向きを電気的にOFF状態からON状態となる方向に切り替えているが、このような蓋部材12を用いずにレバー62の向きを電気的にOFF状態からON状態となる方向に切り替えられるように第二の検出器60を電子機器本体部10内に配置してもよい。このような実施形態としては、例えば、ICカード130を電子機器本体部110内に完全に挿入した際に、ICカード130の挿入排出口70側と反対側の端面によって押されることにより、レバー62が第一の位置へ回動した状態となるように、第二の検出器60が電子機器本体部110内に配置されるものが挙げられる(以下、当該実施形態を「第二の実施形態」と称す場合がある)。
【0036】
第二の実施形態では、ICカード130を電子機器本体110内にセットする際に、ICカード130が完全に挿入されない限り;すなわち挿入が中途半端な状態では、ICカードの挿入排出口70側と反対側の端面が、第二の検出器60のレバー62と接触できない。このため、仮に第一の検出器50がICカード130の存在を検出した状態となっても、第二の検出器60がOFF状態のままであるため、パネル部120が自動的に閉じてしまうことが無い。それゆえ、パネル部120が自動的に閉じたとしてもパネル部120と中途半端に挿入された状態のICカード130の端部とが接触し、パネル部120およびICカード130のいずれか一方または双方が破損するのを防止できる。
【0037】
次に、本発明の電子機器を構成する各部分の具体例についてより詳細に説明する。
既述したようにパネル部120の内側面や外側面には表示部122、124を設けることができる。なお、パネル部120の内側面に表示部122が設けられている場合でも、上述したようにパネル部120と中途半端に挿入された状態のICカード130の端部とが接触することが無いため、表示部122の表面が傷ついて表示画像が見にくくなったり、表示部122が破損するのを防ぐことができる。
【0038】
また、本発明で用いられるICカード130の片面又は両面には、刻印文字などの形成を目的として凸部が設けられていてもよい。ICカード130表面に凸部が存在する場合、従来の電子機器であれば、ICカード130の挿入排出に際して凸部がレバー62と接触することによって、レバー62の破損を招いてしまうことになる。しかし、本発明では、ICカード130の挿入排出に際してICカード130に設けられた凸部と第二の検出器60のレバー62とが接触することが無い。このため、ICカード130の挿入排出に際して、凸部とレバー62とが接触してレバー62が破損することを防止できる。
【0039】
本発明の電子機器では、ICカード130以外にも、電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により情報を保持するカードであれば如何様なカードでも利用できる。この場合、第一の検出器50としては、カードが情報を保持する方法に対応した検出手段を備える。例えば、カードが、ICカードのように電気的方法によって情報を保持する場合には、第一の検出器50としては、電気的方法によってカードの存在を検出する電気的検出手段を備える。なお、カードは、情報の読取専用タイプであってもよく、情報の読取および書込みの双方が可能なタイプのいずれであってもよい。また、磁気的方法により情報を保持するカードとしては、片面に帯状の磁気テープを貼り付けた磁気カードが一例として挙げられる(代表的な例としては、いわゆるキャッシュカードが挙げられる)。また、光学的方法により情報を保持するカードとしては、片面にホログラムシールを貼り付けたホログラムカードが一例として挙げられる。
【0040】
本発明の電子機器の用途は特に限定されるものではないが、車載用として用いられることが好ましい。この場合、本発明の電子機器が第一の実施形態であれば、車の振動によって電子機器本体110内にセットされたICカード130が勝手に動いたとしても、レバー62の向きがICカード130によって固定されていないため、ICカード130の動きに伴ってレバー62の向きが勝手に変化することがない。それゆえ、第二の検出器60がON状態からOFF状態に変化した際に、電子機器100が何らかの動作を自動的に実施するようにプログラムされている場合、振動に起因する電子機器100の誤動作を確実に防ぐことができる。
【0041】
また、室内と異なり、車内は温度の大幅な変化が起こりやすいためにICカード130が変形することがある。この場合でも、第一の実施形態では、レバーの向きがICカード130によって固定されていないため、ICカード130の変形に伴ってレバー62の向きが勝手に変化することがない。それゆえ、それゆえ、第二の検出器60がON状態からOFF状態に変化した際に、電子機器100が何らかの動作を自動的に実施するようにプログラムされている場合、温度の大幅な変化に起因する電子機器の誤動作を防ぐことができる。
【0042】
また、本発明の電子機器は、ナビゲーション機能を備えていることが好ましい。この場合、本発明の電子機器は、GPS信号を受信するGPS信号受信手段と、地図情報を少なくとも保持する情報記録部と、受信されたGPS信号と地図情報とに基づいて位置情報を表示する機能を少なくとも有する表示部とを備えていることが好ましい。また、本発明の電子機器は、デジタル放送TVとしての機能を備えていることが好ましい。また、本発明の電子機器は、デジタル放送を受信する受信手段を備え、ICカード130がB−CASカードであることが好ましい。
【0043】
なお、表示部は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの公知のディスプレイが選択でき、位置情報およびデジタル放送の表示の双方の表示機能を兼ねたものであってもよい。また、この表示部は、電子機器100の任意の位置に設けることができるが、パネル部の外側面に設けられる表示部124であることが好ましい。
【0044】
情報記録部としては、特に限定されないが、例えば、DVD装置や、ハードディスク装置を利用することができる。また、情報記録部としてDVD装置を用いる場合、サブパネル10には、ICカード130用以外にDVD用の挿入排出口を別途設けることができる。
【0045】
なお、本発明の電子機器が、車載用で、ナビゲーション機能とデジタル放送TVとしての機能を備え、ハードディスク装置を内蔵している場合は、いわゆるデジタル放送受信機能内蔵型のハードディスクナビゲーション装置として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の電子機器は、カーナビゲーション装置を始めとする各種の電子機器の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に用いられる電子機器本体部の一例を示す概略模式図である。
【図2】図1中の符合A1−A2間の断面図である。
【図3】本発明の電子機器の一例を示す概略模式図である。
【図4】従来のICカードを利用する電子機器におけるICカードの検出状態について説明する概略模式図である。
【符号の説明】
【0048】
10 サブパネル
12 蓋部材
14 リブ(突起部)
20 基板
22 支持部
24 ネジ
30 基板
40 ハーネス
50 第一の検出器
60 第二の検出器
62 レバー
62A レバー(ON状態となる方向を向いた状態)
62B レバー(OFF状態となる方向を向いた状態)
70 挿入排出口
72 穴
100 電子機器
110 電子機器本体部
120 パネル部
122、124 表示部
130 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により情報を保持するカードの挿入排出口を有するサブパネル、前記挿入排出口から挿入された前記カードに対して対面するように配置され、前記カードの存在を電気的方法、磁気的方法および光学的方法から選択されるいずれかの方法により検出する第一の検出器、および、第一の位置へ回動した状態で電気的にON状態となり、第二の位置へ回動した状態で電気的にOFF状態となるレバーを備えた第二の検出器とを具備する電子機器本体部と、
前記サブパネルに対して開閉可能に設けられると共に、前記第一の検出器が前記カードの存在を検出している状態において、前記第二の検出器が電気的にOFF状態からON状態に変化した際に開閉動作指示を受付け可能となるパネル部と、
を具備し、
前記カードの挿入排出に際して、前記レバーが前記カードの表裏面および前記カードの挿入排出方向と平行を成す両端面と接触しない位置に前記第二の検出器が配置されたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記挿入排出口を塞ぐために前記サブパネルに対して脱着可能に設けられると共に、前記挿入排出口側の面に突起部を有する板状の蓋部材を更に備え、
前記蓋部材が前記サブパネルに取り付けられた状態において、前記レバーが前記第一の位置へ回動するように前記突起部によって押される位置に、前記第二の検出器が前記電子機器本体部内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記パネル部が閉じた状態でパネル部の正面に表示部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
車載用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記カードが、ICカードであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項6】
デジタル放送を受信する受信手段を備え、
前記カードがB−CASカードであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項7】
GPS信号を受信するGPS信号受信手段と、地図情報を少なくとも保持する情報記録部と、受信されたGPS信号と前記地図情報とに基づいて位置情報を表示する機能を少なくとも有する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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