説明

電子機器

【課題】 従来の電子機器は、外部マイク入力端子へのプラグの誤挿入が、撮影した動画を再生した際にユーザーが初めて気付くことがあった。
【解決手段】 外部マイク入力端子8に接続端子部が挿入されたことが検出された場合、エンジン11により、内蔵スピーカ5から出力された音が外部マイク入力端子8に入力されたことを判別することで、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7であると識別される。このため、デジタルカメラ1の外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かを識別することができる。従って、外部マイク6でない接続端子部が挿入された場合には、デジタルカメラ1の誤使用が直ちに判明するため、接続端子部の誤挿入によって生じるミスをデジタルカメラ1の使用前に事前に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の音を入力する外部マイクの接続端子部が挿入される端子を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような電子機器としては、例えば、特許文献1の背景技術に開示されたビデオカメラがある。このビデオカメラには、外部マイク入力端子接続検出部が設けられている。外部マイク入力端子接続検出部によって外部マイクがビデオカメラ本体に接続されていることが検出されると、その検出情報がシステムコントロール部に伝達される。システムコントロール部は、伝達された検出情報に基づいてビデオカメラ本体に外部マイクが接続されていることを認識すると、音声確認モード切換入力部からの入力を受け付ける状態となる。この状態においてユーザーがビデオカメラ本体の音声確認モードに移行させる操作を行うと、システムコントロール部は、スピーカボリュームを最大にして外部マイクで拾われた音を増幅してスピーカから出力させ、ユーザーに外部マイクからの音声信号が正常に記録系に伝達されているか否かを確認させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−109136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のビデオカメラのような電子機器に設けられた外部マイク入力端子は、一般的に、リーフスイッチのような構造をしており、外部マイク以外の例えばスピーカやビデオ出力ケーブル、イヤホン等のプラグも挿入可能な形状をしている。また、プラグが挿入されると、マイク用の回路が内蔵マイク用のものから外部マイク用のものに切り換わる。このため、外部マイク以外のプラグが外部マイク入力端子に挿入され、マイク用の回路が内蔵マイク用のものから外部マイク用のものに切り換わった状態で動画の撮影が行われると、外部の音が録音されないで動画が撮影されることになる。このような外部マイク入力端子へのプラグの誤挿入は、撮影した動画を再生した際にユーザーが初めて気付き、電子機器の誤使用が判明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
外部の音を入力する外部マイクの接続端子部が挿入される端子と、
外部に音を出力する出音手段と、
端子に接続端子部が挿入されたことを検出した場合、出音手段から出力された音が端子に入力されたことを判別して、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものであると識別する識別手段と
を備えて、電子機器を構成した。
【0006】
この構成によれば、端子に接続端子部が挿入されたことが検出された場合、識別手段により、出音手段から出力された音が端子に入力されたことが判別されることで、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものであると識別される。このため、電子機器の端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かを識別することができる。従って、外部マイクでない接続端子部が挿入された場合には、電子機器の誤使用が直ちに判明するため、接続端子部の誤挿入によって生じるミスを電子機器の使用前に事前に防止することができる。
【0007】
また、本発明は、出音手段が内蔵スピーカであり、
端子に接続端子部が挿入されたことを検出すると内蔵スピーカから出音させる出音制御手段を備え、
識別手段が、端子から入力された音の音圧レベルを内蔵スピーカから出音された音の音圧レベルと比較して、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かを識別することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、端子から入力された音の音圧レベルが内蔵スピーカから出音された音の音圧レベルと比較されて、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かが識別手段によって識別される。このため、端子から入力された音の音圧レベルが内蔵スピーカから出音された音の音圧レベルよりも小さい場合、識別手段により、例えば、壊れかけている外部マイクや拾った外部の音を弱い音で出力するイヤホンなどが端子に接続されたことを識別することができる。
【0009】
また、本発明は、識別手段が、端子から入力された音の特定周波数帯における音圧レベルを内蔵スピーカから出音された音の特定周波数帯における音圧レベルと比較して、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かを識別することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、端子から入力された音の特定周波数帯における音圧レベルが内蔵スピーカから出音された音の特定周波数帯における音圧レベルと比較されて、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かが識別手段によって識別される。このため、単に各音の音圧レベルが比較される場合に比べ、周波数帯が考慮されることで周囲の特定周波数帯以外の騒音の影響を排除できるので、識別手段の識別精度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明は、識別手段が、端子から入力された音の音圧レベルが所定の閾値範囲内にあるか否かを判別することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、端子から入力された音の音圧レベルが所定の閾値範囲内にあるか否かが識別手段によって判別され、この判別結果が、端子から入力された音の音圧レベルが所定の閾値範囲内に有る場合、端子に接続された外部マイクが電子機器に推奨されているものであることを識別することができる。
【0013】
また、本発明は、出音手段が電子機器内に設けられた動的機構であり、
外部の音を入力する内蔵マイクを備え、
識別手段が、端子から入力された音と内蔵マイクから入力された音との差分を検出して、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かを識別することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、端子から入力された音と内蔵マイクから入力された音との差分が識別手段によって検出される。各音の差分が無いことが検出された場合、端子から入力された音が動的機構によって出音されて内蔵マイクから入力された音であることが判別されて、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものであることが識別される。このため、電子機器内に既に備わっている動的機構が発する音を用いることで、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かが識別され、出音手段として別途内蔵スピーカを備える必要がなくなる。この結果、端子に挿入された接続端子部が外部マイクのものか否かを識別することができる電子機器を少ない機器構成要素で提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、外部マイクでない接続端子部が挿入された場合には、電子機器の誤使用が直ちに判明するため、接続端子部の誤挿入によって生じるミスを電子機器の使用前に事前に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態によるデジタルカメラの外観を示す正面図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの電気回路構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すエンジンによる外部マイクの接続識別処理を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すデジタルカメラにおける録音データの周波数分析の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明による電子機器をデジタルカメラに適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0018】
図1は、この一実施の形態によるデジタルカメラ1の外観を示す正面図である。
【0019】
デジタルカメラ1は、装置本体を構成するカメラボディ2の正面中央部に、被写体からの光を撮像素子に導く交換可能な撮影レンズ3が設けられている。撮影レンズ3の右上方には、外部の音をデジタルカメラ1内に入力する内蔵マイク4が設けられており、左下方には、外部に音を出力する出音手段として内蔵スピーカ5が設けられている。また、カメラボディ2の左側面部には、外部の音を入力する外部マイク6の接続端子部(プラグ)7が挿入される外部マイク入力端子8が設けられている。
【0020】
図2は、図1に示すデジタルカメラ1の電気回路構成を示すブロック図である。
【0021】
デジタルカメラ1は、その動作を制御するCPU(Central Processing Unit)から構成されるエンジン11を備えており、電源12から電力供給を受けて動作する。エンジン11は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などからなる不揮発性メモリ、およびRAM(Random Access Memory)などからなるバッファメモリを備えている。エンジン11は、不揮発性メモリに格納されている制御プログラムに従い、バッファメモリを一時記憶作業領域として、CPUによりデジタルカメラ1内部の各回路について種々の制御処理を行う。
【0022】
撮影レンズ3から導かれた被写体光は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなる撮像素子13に導かれ、撮像素子13の撮像面上に被写体像を投影する。撮像素子13は、撮影レンズ3によってカメラボディ2の内部に被写体光を取り込んで被写体像を撮像する撮像部を構成している。この撮像素子13の撮像面上に投影される被写体像は、撮影する被写体像の拡大・縮小表示を行う操作に応じて撮影レンズ3を構成するズームレンズが光軸上を前後に移動することにより、拡大または縮小されて光学ズームの拡大倍率が調節される。また、図示しないシャッターボタンの半押し操作に応じて撮影レンズ3を構成するフォーカスレンズが光軸上を前後に移動することにより、ピントが調節される。フォーカスレンズの移動は、エンジン11の制御により撮影レンズ制御回路14が図示しないモータを駆動させることにより、行われる。
【0023】
シャッターボタンの全押し操作に応じて、撮像素子13の撮像面上に結像した被写体像は、アナログの撮像信号に変換されて撮像回路15に出力される。撮像回路15は、撮像素子13の出力を増幅し、アナログの撮像信号をデジタル化する。デジタル化された撮像信号はエンジン11に取得され、エンジン11は、取得した撮像信号に対して、ホワイトバランス処理やガンマ補正などの画像処理を行い、圧縮処理を行って撮像された画像の画像データを生成する。動画像を撮像する場合には、エンジン11は、撮像された画像の画像データについて、フレーム間予測、動き補償等のアルゴリズムを組合せた圧縮処理を行い、動画データを生成する。生成された画像データは、エンジン11の制御により、エンジン11内のバッファメモリに一旦格納され、不揮発性メモリからなる内蔵メモリ16や、カードスロット17に着脱されるメモリカード18に保存される。また、バッファメモリに格納された画像データは、エンジン11の制御により表示回路19によって読み出され、撮像素子13によって撮像される被写体像の構図を確認するためのスルー画像として、デジタルカメラ1の背面に設けられたTFT(Thin Film Transistor)液晶からなる背面モニタ20に再生表示される。
【0024】
また、エンジン11には音声処理回路22が接続されている。音声処理回路22は、エンジン11の制御に基づいて出音信号を生成する。音声処理回路22で生成された出音信号は、スピーカアンプ23によって増幅され、出音信号に基づいた音が内蔵スピーカ5からデジタルカメラ1の外部に出音される。また、エンジン11には、内蔵マイク4からの入力と、外部マイク入力端子8を介する外部マイク6からの入力とを切り換えるマイク入力切り換え部24が接続されている。このマイク入力切り換え部24と音声処理回路22との間には、内蔵マイク4または外部マイク6から入力された音信号を増幅するマイクアンプ25が設けられている。また、エンジン11には、マイクアンプ25に入力された音信号の音圧レベルを検出するマイク入力音圧レベル検出部26が接続されている。内蔵マイク4または外部マイク6から入力されたアナログの音信号は音声処理回路22によってデジタル化され、エンジン11に取得される。エンジン11は、取得した音信号に対して圧縮処理を行い、撮像した動画データと共に内蔵メモリ16やメモリカード18に記録する。
【0025】
エンジン11は、出音制御手段を構成しており、マイク入力切り換え部24を介して外部マイク入力端子8に接続端子部が挿入されたことを検出すると、音声処理回路22に識別音信号を生成させて特定の周波数帯fの識別音、例えば、外部マイク6のマイク特性がでる可聴周波数帯の識別音を内蔵スピーカ5からデジタルカメラ1の外部に出音させる。また、エンジン11は、識別手段を構成しており、マイク入力切り換え部24を介して外部マイク入力端子8に接続端子部が挿入されたことを検出した場合、内蔵スピーカ5から外部に出音された識別音が外部マイク入力端子8に入力されたことを判別して、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7であると識別する。本実施形態における識別手段による接続端子部7の識別は、外部マイク入力端子8から入力された音の特定周波数帯fにおける音圧レベルを内蔵スピーカ5から出音された識別音の特定周波数帯fにおける音圧レベルと比較し、さらに、外部マイク入力端子8から入力された音の音圧レベルが所定の閾値範囲内にあるか否かによって行う。
【0026】
また、エンジン11には各種操作部材21が接続されている。この各種操作部材21は、図示しない電源ボタン、メニューボタン、および再生ボタン、ならびに、上述したシャッターボタンなどからなる。電源ボタンは、デジタルカメラ1の電源のON/OFFを操作する際に、操作される。メニューボタンは、デジタルカメラ1の種々の設定を行うためのメニュー画面を背面モニタ20に表示させる際に、操作される。再生ボタンは、内蔵メモリ16やメモリカード18に保存された撮影画像を背面モニタ20に再生表示させ、記録音を内蔵スピーカ5から出音させる際に、操作される。
【0027】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、本実施形態によるエンジン11による外部マイク6の接続識別処理について説明する。
【0028】
エンジン11は、S1において、マイク入力切り換え部24を外部マイク6側へ切り換え、マイク入力音圧レベル検出部26の出力に基づいて、外部マイク入力端子8に何らかの接続端子部が挿入されたか否かを検出する。外部マイク入力端子8に接続端子部が挿入されたことが検出されず、S1の判定結果が“No”であった場合、エンジン11は外部マイク6の接続識別処理を終了する。
【0029】
一方、外部マイク入力端子8に接続端子部が挿入されたことが検出されて、S1の判別結果が“Yes”であった場合、エンジン11は、S2において、音声処理回路22に識別音信号を生成させて特定の周波数帯fの識別音を内蔵スピーカ5から外部に出音させる。次に、エンジン11は、S3において、外部マイク入力端子8から入力された音信号を音声処理回路22でデジタル化し、エンジン11内のバッファメモリに録音する。続くS4において、エンジン11は、エンジン11内のバッファメモリに録音した録音データの周波数分析を行い、図4に示すようなグラフを作成する。同グラフの横軸は入力音の周波数[Hz]、縦軸は入力音の音圧レベル[dB]を表す。次に、エンジン11は、周波数分析した同グラフに表される録音データの中で、周波数帯が音声処理回路22に生成させた識別音信号の特定周波数帯fと一致し、かつ、音圧レベルが閾値β以上で閾値α以下の予め設定された所定閾値範囲内の入力音データがあるか否かを判別する。特定周波数帯fに音圧レベルが所定の閾値範囲内の入力音データが同グラフに示されるようにあり、S5の判別結果が“Yes”であった場合、エンジン11は、続くS6において、推奨されている外部マイク6の接続端子部7が外部マイク入力端子8に挿入されていると判断し、外部マイク6の接続識別処理を終了する。
【0030】
一方、特定周波数帯fに音圧レベルが所定の閾値範囲内の入力音データがなく、S5の判別結果が“No”であった場合、エンジン11は、S7において、背面モニタ20に“外部マイク以外の機器が接続されたか、外部マイクの電源が入っていません”との警告文を表示させ、外部マイク6の接続識別処理を終了する。この際、エンジン11は、マイク入力切り換え部24を、外部マイク6側から内蔵マイク4側へ切り換える。
【0031】
このような本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、図3,S1において、外部マイク入力端子8に接続端子部が挿入されたことが検出された場合、エンジン11により、内蔵スピーカ5から出力された音が外部マイク入力端子8に入力されたことが判別されることで、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7であると識別される。このため、デジタルカメラ1の外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かを識別することができる。従って、外部マイク6でない接続端子部が挿入された場合には、デジタルカメラ1の誤使用が直ちに判明するため、接続端子部の誤挿入によって生じるミスをデジタルカメラ1の使用前に事前に防止することができる。
【0032】
また、本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、図3,S5において、外部マイク入力端子8から入力された音の特定周波数帯fにおける音圧レベルが内蔵スピーカ5から出音された識別音の特定周波数帯fにおける音圧レベルと比較されて、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かがエンジン11によって識別される。このため、単に各音の音圧レベルが比較される場合に比べ、周波数帯が考慮されることで周囲の特定周波数帯f以外の騒音の影響を排除できるので、エンジン11の識別精度を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、図3,S5において、外部マイク入力端子8から入力された音の音圧レベルが、図4のグラフに示す閾値β以上で閾値α以下の所定の閾値範囲内にあるか否かが、エンジン11によって判別される。この判別結果が“Yes”で、外部マイク入力端子8から入力された音の音圧レベルが所定の閾値範囲内に有る場合、外部マイク入力端子8に接続された外部マイク6がデジタルカメラ1に推奨されているものであることをS6で識別することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、図3,5において、周波数分析した録音データの中で、周波数帯が音声処理回路22に生成させた識別音信号の特定周波数帯fと一致し、かつ、音圧レベルが所定の閾値範囲内の入力音データがあるか否かを判別する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、エンジン11が、入力音データの周波数帯や音圧レベルの閾値を考慮せず、入力音の音圧レベルを内蔵スピーカ5から出音された識別音の音圧レベルと単に比較して、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かを識別するようにしてもよい。
【0035】
この構成によれば、外部マイク入力端子8から入力された音の音圧レベルが内蔵スピーカ5から出音された識別音の音圧レベルと比較されて、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かがエンジン11によって識別される。このため、外部マイク入力端子8から入力された音の音圧レベルが内蔵スピーカ5から出音された識別音の音圧レベルよりも小さい場合、エンジン11により、例えば、壊れかけている外部マイクや、拾った外部の音を弱い音で出力するイヤホンなどが外部マイク入力端子8に接続されたことを識別することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、図3,S3において、外部マイク入力端子8から入力された音信号を音声処理回路22でデジタル化し、エンジン11内のバッファメモリに録音する構成について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、エンジン11内のバッファメモリに録音することなく、外部マイク入力端子8から逐次入力される音信号を逐次分析し、内蔵スピーカ5から出音された識別音の音圧レベル等と比較して、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7であるか否かを識別する構成にしてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0037】
また、上記実施形態では、図3,S5において、入力音の音圧レベルが図4に示す所定の閾値範囲内にあるか否かを単に判別する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、閾値αおよび閾値βに加え、閾値βよりも小さい閾値γを設定し、閾値β以上で閾値α以下の所定の閾値範囲を外部マイク6として使用できる推奨範囲、閾値β未満で閾値γ以上の範囲を音圧レベルが低く外部マイク6として使用に適さない非推奨範囲、閾値αを超える範囲および閾値γ未満の範囲を外部マイク6として使用できない範囲として、外部マイク入力端子8から入力された音の音圧レベルがどの閾値の範囲内にあるかを判別するようにしてもよい。この構成によれば、外部マイク入力端子8に接続された外部マイク6が、デジタルカメラ1に推奨されているものであるのか、デジタルカメラ1に推奨されていないものであるのか、あるいは、壊れかけている外部マイクやイヤホンなどの外部マイク以外のものが接続されたのかなどを識別することができる。この場合、推奨されていない外部マイク6が判別された場合には、エンジン11によって背面モニタ20に、“推奨されていない外部マイクが接続されました”などとの警告文を表示するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、音声処理回路22に特定周波数帯fの識別音信号を生成させて内蔵スピーカ5から外部に識別音を出音させる構成について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、特定周波数帯fの音が周囲で発生している可能性も考えられるため、内蔵スピーカ5から外部に識別音を出音させる前に、周囲で発生している音を内蔵マイク4で拾い、この拾った音の周波数帯を避けた識別音信号を音声処理回路22で生成し、内蔵スピーカ5から外部に出音する構成にしてもよい。この構成によれば、判別に用いる識別音の周波数帯がデジタルカメラ1の周囲で発生している周波数帯から外れるため、エンジン11の識別精度を向上させることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、内蔵スピーカ5から出力される識別音を可聴周波数帯のものとして説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、内蔵スピーカ5から出力される識別音を人間の耳では聴えない領域の周波数帯(低周波や高周波)のものにしてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0040】
また、上記本実施形態によるデジタルカメラ1は、外部に音を出力する出音手段として内蔵スピーカ5を用いた構成について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、外部に音を出力する出音手段として、デジタルカメラ1内に設けられた動的機構を用いてもよい。例えば、撮像素子13によって逐次電気信号に変換される被写体像を背面モニタ20にライブビュー表示させる為に、反射ミラーをミラーアップさせる動的機構によって生じる音を、識別音として用いてもよい。また、撮影時に行われる一連の、ミラーアップ、シャッタ先幕走行、シャッタ後幕走行、シャッタ幕チャージ、ミラーダウンのシーケンスを実行させる動的機構によって生じる駆動音を、識別音として用いてもよい。
【0041】
このようなデジタルカメラ1内に設けられた動的機構を出音手段として用いた場合、エンジン11は、内蔵マイク4から入力される音信号と外部マイク入力端子8から入力される音信号とをマイク入力切り換え部24によって時分割して取り込み、音声処理回路22でデジタル化してエンジン11内のバッファメモリに録音する。エンジン11は、これら各録音データを解析し、外部マイク入力端子8を介して入力された音と内蔵マイク4から入力された音との差分を検出して、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かを識別する。
【0042】
この構成によれば、外部マイク入力端子8から入力された音と内蔵マイク4から入力された音との差分がエンジン11によって検出され、各音の差分が無いことが検出された場合、外部マイク入力端子8から入力された音が動的機構によって出音されて内蔵マイク4から入力された音であることが判別されて、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7であることが識別される。このため、デジタルカメラ1内に既に備わっている動的機構が発する音を用いることで、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かが識別され、出音手段として別途内蔵スピーカ5を備える必要がなくなる。この結果、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7か否かを識別することができるデジタルカメラ1を少ない機器構成要素で提供することができる。
【0043】
また、上記変形例では、回路の関係上、内蔵マイク4から入力される音信号と外部マイク入力端子8から入力される音信号とを時分割して取り込む場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、内蔵マイク4からの入力を録音する回路と外部マイク6からの入力を録音する回路とが別個に設けられていた場合、内蔵マイク4から入力された音信号と外部マイク6から入力された音信号とを同時に録音して、差分を検出する構成にしてもよい。
【0044】
また、上記変形例では、内蔵マイク4および外部マイク入力端子8から入力された各音信号を録音する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、エンジン11内のバッファメモリに録音することなく、外部マイク入力端子8から逐次入力される音を内蔵マイク4から逐次入力される音と比較して差分を検出し、外部マイク入力端子8に挿入された接続端子部が外部マイク6の接続端子部7であるか否かを識別する構成にしてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上記の実施形態においては、本発明による電子機器をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、外部の音を入力する外部マイクの接続端子部が挿入される端子を備えたICレコーダなどの電子機器に本発明を適用することも可能である。このような電子機器に本発明を適用した場合においても、上記の実施形態と同様の作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0046】
1…デジタルカメラ
2…カメラボディ
4…内蔵マイク
5…内蔵スピーカ
6…外部マイク
7…接続端子部
8…外部マイク入力端子
11…エンジン
22…音声処理回路
23…スピーカアンプ
24…マイク入力切り換え部
25…マイクアンプ
26…マイク入力音圧レベル検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の音を入力する外部マイクの接続端子部が挿入される端子と、
外部に音を出力する出音手段と、
前記端子に接続端子部が挿入されたことを検出した場合、前記出音手段から出力された音が前記端子に入力されたことを判別して、前記端子に挿入された接続端子部が前記外部マイクのものであると識別する識別手段と
を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記出音手段は内蔵スピーカであり、
前記端子に接続端子部が挿入されたことを検出すると前記内蔵スピーカから出音させる出音制御手段を備え、
前記識別手段は、前記端子から入力された音の音圧レベルを前記内蔵スピーカから出音された音の音圧レベルと比較して、前記端子に挿入された接続端子部が前記外部マイクのものか否かを識別することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記識別手段は、前記端子から入力された音の特定周波数帯における音圧レベルを前記内蔵スピーカから出音された音の特定周波数帯における音圧レベルと比較して、前記端子に挿入された接続端子部が前記外部マイクのものか否かを識別することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電子機器において、
前記識別手段は、前記端子から入力された音の音圧レベルが所定の閾値範囲内にあるか否かを判別することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記出音手段は電子機器内に設けられた動的機構であり、
外部の音を入力する内蔵マイクを備え、
前記識別手段は、前記端子から入力された音と前記内蔵マイクから入力された音との差分を検出して、前記端子に挿入された接続端子部が前記外部マイクのものか否かを識別することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−176731(P2011−176731A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40534(P2010−40534)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】