説明

電子機器

【課題】電子部品カバーの基板への固定に接着剤を必要とせず、組立作業性の効率化を図ることが可能となる電子機器を提供する。
【解決手段】プリント基板と、前記プリント基板に実装される電子部品と、前記電子部品の表面を覆う電子部品カバーと、前記電子部品カバーと前記プリント基板とを挟み込むことで、前記電子部品カバーを前記プリント基板に固定するクリップバネとを有し、前記プリント基板の前記クリップバネが当接する部分に凹凸部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路部品が実装された基板の実装面に、電子部品を保持する電子部品カバーを固定するようにした基板モジュールを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ストロボ発光部の光を導光装置により発光量制御手段に導き、発光量を制御するようにしたストロボ発光装置を備えたカメラが知られている。
また、ストロボ未使用時にはカメラ内にストロボ発光部が内蔵され、ストロボ使用時には上記ストロボ発光部がポップアップするカメラにおいて、本出願人からつぎのようなストロボ発光装置が提案されている(特許文献1参照)。
ストロボ発光部と、装置本体内にある発光量制御手段である調光センサーの間に可撓性のあるファイバーと、光路変更手段と、前記ファイバー射出部からの光を集光し調光センサーに対して前記光を拡散射出するためのレンズ手段と、を備えた導光装置を設ける。
これにより、ストロボ発光部と調光センサ間の位置関係が変化しても、ストロボ発光部の光を調光センサーに導き、常に適正なストロボ発光を確保しつつ組付け作業性を安易にすることが可能とされる。
【0003】
一方、前記ストロボ発光装置からレンズ手段を廃止すると共に、該ストロボ発光装置を基板モジュール化することで、更なるコストダウンを図ったカメラが知られている。
以下に、このような基板モジュール化を図った構成について、簡単に説明する。図6を用いて、従来例におけるセンサーカバーの基板への固定を接着剤で行なっている基板モジュールの構成を説明する。
図6(a)は前記基板モジュールの正面図、図6(b)は該正面図のa−a断面図である。
図6において、100はカメラを制御するための各回路パターン形成及び回路部品が実装されたプリント配線板(以下基板と記す)、101は予め設定された光量でストロボの発光停止信号を出力するようストロボ発光制御を行なうための調光センサーである。この調光センサー101は基板100に実装されている。
102は不図示のストロボ発光部からの光を調光センサー101へ導くための導光装置である光ファイバー103を備えたセンサーカバーである。
このセンサーカバー102は、光ファイバー103及びストロボ光の中の赤外成分を取り除き、撮影に使用される可視光線のみ調光センサー101へ入光させるための赤外カットフィルター104が取り付けられている。
ストロボ発光部からの光は、光ファイバー103を通してセンサーカバー102に形成されている反射面102aに反射し、調光センサー101のセンサーチップ101aに導かれ、ストロボ発光光量が適正光量となるよう制御される。
センサーカバー102の取り付け基準は、調光センサー101の表面及び外形側面2辺への突き当てによるものとされており、これによりストロボ発光部からの光とセンサーチップ101aの相対位置を保証している。
そのため、センサーカバー102は調光センサー101に強固に保持する必要があり、センサーカバー102を基板100に対し接着剤105により固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−3081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したストロボ発光装置を基板モジュール化した従来例のものにおいては、簡単な構成でストロボ閃光装置の発光部から調光センサーに導くとともに、組立て作業性の簡略化が図られている。
しかしながら、上記従来技術では、基板モジュール化するに際して、センサーカバー等の電子部品カバーの基板への固定を接着剤で行なっているため、つぎのような課題を有している。
すなわち、接着剤が乾燥するまで次工程へ進めないために組立作業工数がかかり、また、例えば調光センサーの不具合により調光センサーの交換等の手直しの際には、接着剤を取り除かなければならない等の手間が必要となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、電子部品カバーの基板への固定に接着剤を必要とせず、組立作業性の効率化を図ることが可能となる基板モジュールを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、プリント基板と、前記プリント基板に実装される電子部品と、前記電子部品の表面を覆う電子部品カバーと、前記電子部品カバーと前記プリント基板とを挟み込むことで、前記電子部品カバーを前記プリント基板に固定するクリップバネとを有し、前記プリント基板の前記クリップバネが当接する部分に凹凸部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品カバーの基板への固定に接着剤を必要とせず、組立作業性の効率化を図ることが可能となる基板モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるデジタルカメラの要部構成を説明するブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデジタルカメラの要部構成を説明する断面図。
【図3】本発明の実施形態におけるストロボ発光部の構成を説明する組立図。
【図4】本発明の実施形態における調光センサーユニットの構成を説明する図。
【図5】本発明の実施形態におけるプリント配線板に形成された凹凸部の構成を説明する図。
【図6】従来例におけるセンサーカバーの基板への固定を接着剤で行なっている基板モジュールの構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を用いて、本発明の回路部品が実装された基板の実装面に、電子部品を保持する電子部品カバーを固定するようにした基板モジュールを備えた電子機器の構成を、デジタルカメラに適用した実施形態の構成例について説明する。
図1は、本実施形態のデジタルカメラの要部構成を説明するブロック図である。図1において、1は電子カメラ全体を制御するCPU、2は撮影レンズ、3はレンズ駆動装置であり、18は周知の位相差方式の焦点検出装置で、該装置の出力結果に基づき撮影レンズ2を動かし焦点調節を行う。
4はシャッタ、5はシャッタチャージ及びミラー駆動機構であり、シャッタ4をチャージするとともにミラー6を待避位置と観察位置の間でアップダウンさせる。
7はCCD等からなる光電変換素子であり、撮影レンズ2で結像された被写体像を画像信号に変換する。
8は画像処理手段であり、光電変換素子7の画像信号に様々な処理を行い画像データに変換する。
9は記録手段であり、画像データをカメラ内蔵あるいは脱着可能な磁気記録装置や半導体メモリ等からなる記録媒体10に記録する。
11は電源、12は撮影準備動作を開始するSW1及び撮影動作を開始するSW2機能を有するレリーズスイッチ、13は液晶ディスプレイ等からなる表示手段であり、撮影画像およびカメラの様々な情報を表示する。
14はストロボ閃光装置であるストロボ発光部で、15はストロボ発光部14からの発光量を検出し適正光量制御を行なうための光センサーである調光センサー、16はこれらストロボ発光制御を行なうためのストロボ回路である。17は被写体の輝度を測定する測光センサである。
【0011】
図2は、本発明のデジタルカメラの要部構成の断面図であり、ストロボ発光部14が発光位置にある状態を示している。
尚、図2には図1に示した構成と同様の構成には同一の符号が付されており、重複する箇所についての説明は割愛する。
図2において、30は上カバーであり、ストロボ発光ユニット14を保持する。ストロボ発光ユニット14は、ストロボケース31、ストロボカバー32、キセノン管33、キセノン管33のストロボ光を効率よく被写体側へ照射するための反射笠34を備える。
また、更にストロボ光を均一にムラ無く被写体に照明するためのストロボパネル35、キセノン管33の放電を開始させるための不示図のトリガコイル、調光センサー15へストロボ光を導くための可撓性を有する光ファイバー36(導光部材)を備える。
光ファイバー36は、一端はストロボパネル35に固着され、他端は後述説明する調光センサーユニット51に取り付けられている。
50はカメラを制御するための各回路パターンが形成され、回路部品が実装されたプリント配線基板(プリント基板)で、電子部品としての調光センサーユニット51が取り付けられている。
40はファインダスクリーン、41はペンタプリズム、42は接眼レンズである。
【0012】
図3は、カメラ上部から見た時の前記ストロボ発光ユニット14のキセノン管33、ストロボパネル35、反射笠34、光ファイバー36の関係を示した組立図である。
図3において、ストロボパネル35はキセノン管33から発せられたストロボ光を均一に照射するためのフレネルレンズ35aが形成されている。
フレネルレンズ35aの側面にはファイバー挿入穴35bが設けられている。
ファイバー挿入穴35bに光ファイバー36が挿入され、フレネルレンズ35aに入射したストロボ光の一部が、ストロボパネル35に形成された反射面35cで反射してファイバー挿入穴35bに挿入されている光ファイバー36へと導かれる。
【0013】
つぎに、図4を用いて、上記した調光センサーユニット51の詳細について説明する。
図4(a)はプリント配線基板50に調光センサー51が取り付けられた状態を示す正面図、(b)は調光センサーユニット51の詳細正面図、(c)は背面図、(d)は断面図を示す。
図4に示されるように、回路部品が実装されたプリント配線基板50の実装面には、前述の調光センサー(電子部品)15が実装されるように構成されている。52はキセノン管33からの光を調光センサー15へ導くための導光部材である光ファイバー36を備えたセンサーカバー(電子部品カバー)である。センサーカバー52は遮光性を有し、光ファイバー36から導かれる光以外の光が調光センサー15に入らない。
センサーカバー52はZ方向は調光センサー表面突き当て、X及びY方向はセンサーカバー52に形成されたバネ部52a及び52bにより調光センサー15の各側面をそれぞれ付勢することにより調光センサー15に対し位置決めされている。
53はストロボ光の中の赤外成分を取り除き、撮影に使用される可視光線のみ調光センサー15へ入光させるための赤外カットフィルタである。赤外カットフィルタ53はセンサーカバー52によって、調光センサー15の表面に固定されている。
センサーカバー52には光ファイバー36を挿入するためのガイド部52c及びファイバー挿入穴52d及び光路変更のための反射面52eが形成されている。キセノン管33からの光は光ファイバー36を通して反射面52eに反射し調光センサーのセンサーチップ15aに導かれ、ストロボ発光光量が適正光量となるよう制御される。
【0014】
尚、センサーカバー52が調光センサー15に対し浮いてしまったり外れてしまったりすると、キセノン管33からの光が正しくセンサーチップ15aに入射されなくなり、適正光量でのストロボ発光制御が出来なくなってしまう。
そこで、センサーカバー52の固定は、クリップバネを構成する略コの字形状を有するセンサーカバースプリング54によって、センサーカバー52とプリント配線基板50とを挟み込むことで固定している。センサーカバースプリング54は導電性を有する材料で形成されている。
センサーカバースプリング54は、調光センサー15にセンサーカバー52が取り付けられた状態で図上部から矢印方向へスライドさせて取り付けられる。
取り付けの際には引っ掛りなくスムーズに取り付けられるように54a及び54bの曲げ部が形成されており、また取り付け完後の外れ防止として曲げ部54aはセンサーカバーに形成された段部52fに落ち込む形状となっている。
更に、上記した基板の調光センサー15が実装される面の裏面に凹凸部が形成され、この凹凸部にセンサーカバースプリング54の曲げ部54bを係合させ抜け止めを図るように構成されている。したがって、センサーカバースプリング54の曲げ部54bがセンサーカバースプリング54の凹凸部に当接する部分となる。
具体的には、プリント配線基板50に対する曲げ部54bとの当接部近傍のセンサーカバースプリング当接部領域50aには、後述説明する凹凸部50cが形成されており、曲げ部54bに凹凸部50cが引っ掛り、係合することで抜け止めを図るようにする。
尚、センサーカバースプリング54は曲げ部54bによってプリント配線基板50の表面を擦りながら取り付けられる。
そのため、プリント配線基板50の表面が削れてパターンが露出したりまたはパターンを切断してしまう可能性がある。
そのため、プリント配線基板50の曲げ部54bのセンサーカバースプリングの可動領域(クリップバネ可動領域)50bはグランドパターンとすることが望ましい。こうすることで、パターンが露出したりまたはパターンを切断したとしても、回路になんら影響を与えない。
【0015】
つぎに、図5を用いて、プリント配線基板50に形成された凹凸部の構成について更に説明する。
図5(a)はセンサーカバースプリング当接部領域50aにレジストパターンによる凹凸部50cを形成した図、図5(b)は同図断面図である。
プリント配線基板50の表面にはパターン絶縁のためにレジスト50dが塗布されている。
曲げ部54bとの当接部近傍はレジストを抜くことにより凹部50eが形成されており、これによりプリント配線板表面にレジストパターンによる凹凸部50cが形成される。
また、前記センサーカバースプリングの可動領域50bにはグランドパターン50fが形成されており、凹部50eに該パターンが露出している。
センサーカバースプリング54が取り付けられるとこの露出しているグランドパターン50fに曲げ部54bの稜線が当接し、電気的に接続することが可能に構成されている。
これにより、センサースプリング54が浮遊金属でなくなるのでノイズ・静電気の観点からも好ましくなる。
また、凹凸部50cはシルク印刷によって形成しても良い。
【0016】
図5(c)はセンサーカバースプリング当接部領域50aにシルク印刷で凹凸部50cを形成した図であり、図5(d)は同図断面図である。
プリント配線基板50の表面には同基板に実装された回路素子の1ピンマークや名称表示等のためにシルク印刷50gが施されている。
曲げ部54bとの当接部近傍にシルク印刷50gを施すことにより凸部が形成され、曲げ部54bが引っ掛り、係合することで抜け止め効果が得られる。
また、凹凸部50cはプリント配線板の銅箔パターンによって形成しても良い。また、図5(e)はセンサーカバースプリング当接部領域50aに銅箔パターンで凹凸部50cを形成した図であり、図5(f)は同図断面図である。
プリント配線基板50のグランドパターン50fの曲げ部54bとの当接部近傍の一部をパターンカットすることにより凹部50hが形成され、曲げ部54bが引っ掛り、係合することで抜け止め効果が得られる。
また、凹凸部50cはスルーホールによって形成しても良い。
また、図5(g)はセンサーカバースプリング当接部領域50aにスルーホールで凹凸部50cを形成した図であり、図5(h)は同図断面図である。
プリント配線基板50のグランドパターン50fの曲げ部54bとの当接部近傍にはスルーホール50iが設けられている。
スルーホールを形成する場合にはスルーホール径と同等以上のレジスト開口が基板製造上必要となるため、これによって出来たレジスト開口端面50jにより曲げ部54bが引っ掛り、係合することで抜け止め効果が得られる。
尚、スルーホール50iの配列は図(g)のように整列配置に限定するものではなく、ランダムに配置しても良い。
【0017】
以上、本発明の実施形態の構成について説明したが、本発明はこれらの構成に限られるものではなく、例えば、実施形態の構成の一部を適宜組み合わせてもよい。
このような本実施形態の構成によれば、センサーカバーの固定をクリップ形状を有するカバースプリングにて基板と挟み込むことにより、組立作業工数の削減及び手直し時の作業性を容易にすることができる。
また、カバースプリングとの当接部近傍の基板表面に凹凸を付けることにより、振動、落下時のカバースプリングのズレや脱落を防止することができる。
これらにより、優れた導光性能を確保し、常に適正なストロボ発光を保証しつつ、組立作業性の効率化を図ることが可能となる基板モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0018】
36:ファイバー
50:プリント配線基板
50a:センサーカバースプリング当接部領域
50b:センサーカバースプリングの可動領域(クリップバネ可動領域)
50c:凹凸部
52:センサーカバー
54:センサーカバースプリング(クリップバネ)
54b:曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、
前記プリント基板に実装される電子部品と、
前記電子部品の表面を覆う電子部品カバーと、
前記電子部品カバーと前記プリント基板とを挟み込むことで、前記電子部品カバーを前記プリント基板に固定するクリップバネとを有し、
前記プリント基板の前記クリップバネが当接する部分に凹凸部を形成することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記クリップバネの前記凹凸部に当接する部分には、前記凹凸部と係合する曲げ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記凹凸部は、レジストパターン、またはシルク印刷、または銅箔パターン、またはスルーホールによって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記クリップバネを前記プリント基板に取り付ける際に、前記プリント基板の前記クリップバネが擦る領域にグランドパターンを形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記クリップバネは導電性を有し、前記グランドパターンは露出しており、前記クリップバネと電気的に接続されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子部品は光センサであって、前記電子部品カバーは遮光性を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子部品カバーは導光部材を保持することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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