説明

電子機器

【課題】 アンテナと表示装置とが相互に影響を受けずに、表示装置の表示面積を十分に広くすることができる電子機器を提供する。
【解決手段】 電気光学的に情報を表示する平面型の表示装置14と、この表示装置14の下側に配置された回路基板10と、この回路基板10の下側に配置されたアンテナ15とを備え、回路基板10の上面に、表示装置14に駆動信号を供給するための出力端子24を形成し、この回路基板10の下面に、シールド電極26をアンテナ15に対向させて形成した。従って、回路基板10の出力端子24から表示装置14に駆動信号が供給される際に、その駆動信号によるノイズを回路基板10のシールド電極26によってシールドすることができ、これによりアンテナ15が駆動信号によるノイズの影響を受けることがない。また、表示装置14がアンテナ15によって制約を受けることもないので、表示装置14の表示面積を広くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子腕時計などの電子時計や携帯電話機などの電子機器に関し、更に詳しくは表示装置およびアンテナを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子腕時計などの電子機器においては、特許文献1に記載されているように、電気光学的に情報を表示する平面型の表示装置と、この表示装置に下側に配置されて表示装置に駆動信号を供給する回路基板と、表示装置の側方に位置した状態で回路基板の上面に配置されたアンテナとを備えた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−187504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の電子機器では、回路基板の上面に表示装置とアンテナとを平面的に配置した構成であるから、機器全体の薄型化を図ることができても、表示装置に供給される駆動信号によるノイズの影響をアンテナが受けないように、表示装置とアンテナとの間隔を十分に確保する必要があり、このため表示装置の大きさがアンテナによって制約を受け、表示領域の広さを十分に確保することができないという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、アンテナと表示装置とが相互に影響を受けずに、表示装置の表示面積を十分に広くすることができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、電気光学的に情報を表示する平面型の表示装置と、この表示装置の下側に配置された回路基板と、この回路基板の下側に配置されたアンテナとを備え、前記回路基板の上面には前記表示装置に駆動信号を供給するための出力端子が形成されており、前記回路基板の下面には前記アンテナに対向してシールド電極が形成されていることを特徴とする電子機器である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記出力端子が前記回路基板の上面における外周端部に設けられており、前記シールド電極は、前記回路基板の下面における外周端部に前記出力端子と対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記アンテナが、前記回路基板を挟んで前記表示装置に重なっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、回路基板の出力端子から表示装置に駆動信号が供給される際に、その駆動信号によるノイズを回路基板のシールド電極によってシールドすることができる。このため、アンテナが駆動信号によるノイズの影響を受けないようにすることができる。また、表示装置がアンテナによって制約を受けることがないので、表示装置の表示面積を十分に広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明を電子腕時計に適用した実施形態1における要部を示した拡大断面図である。
【図2】図1に示された電子腕時計の要部において、表示装置とアンテナとの配置関係を示した拡大平面図である。
【図3】図1に示された電子腕時計の時計モジュールにおける回路基板の上面を示した拡大平面図である。
【図4】図3に示された回路基板の下面を示した拡大裏面図である。
【図5】この発明を電子腕時計に適用した実施形態2における要部を示した拡大断面図である。
【図6】図5に示された電子腕時計の要部において、表示装置とアンテナとの配置関係を示した拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
この電子腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、ケース本体2と、このケース本体2の上部外周に設けられたベゼル3とで構成されている。
【0012】
この腕時計ケース1の上部、つまりベゼル3の上部には、図1に示すように、時計ガラス4がパッキン4aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の下部、つまりケース本体2の下部には、裏蓋5が防水リング5aを介して取り付けられている。さらに、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール6が設けられている。
【0013】
この時計モジュール6は、図1に示すように、上部ハウジング7と下部ハウジング8とを備えている。この上部ハウジング7と下部ハウジング8との間には、回路基板10が設けられている。この上部ハウジング7の上面には、文字板11が配置されており、この文字板11の上面には、ソーラーパネル12が配置されている。
【0014】
また、下部ハウジング8の下面には、押えリング13が配置されている。これにより、時計モジュール6は、ソーラーパネル12の周縁部が腕時計ケース1の内面に設けられた見切り部1aに押し付けられた状態で、下部ハウジング8が押えリング13によって押し上げられることにより、腕時計ケース1内に組み込まれている。
【0015】
また、この時計モジュール6は、図1に示すように、時刻などの情報を表示する表示装置14、および電波を送受信するアンテナ15を更に備えている。表示装置14は、表示パネル16とバックライトパネル17とを備え、上部ハウジング7内に配置されている。表示パネル16は、液晶表示素子やEL(エレクトロルミネッセンス)表示素子などの平面型の表示素子からなり、時刻などの情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0016】
この表示パネル16は、図1に示すように、インターコネクタ18によって回路基板10と電気的に接続された状態で、回路基板10の上方に保持されている。バックライドパネル17は、EL(エレクトロルミネッセンス)素子などの平面型の発光素子からなり、表示パネル16の下面に光を照射させて表示パネル16を照明するように構成されている。このバックライトパネル17は、表示パネル16の下側に位置した状態で、回路基板10上に配置されている。
【0017】
アンテナ15は、図1に示すように、コア20とコイル部21とからなり、回路基板10の下面に配置された状態で、下部ハウジング7内に設けられている。この場合、コア20は、アモルファスなどの磁性材からなり、図1に示すように、断面が縦方向(図1では上下方向)に長い長方形をなす角棒状に形成されている。
【0018】
コイル部21は、図1に示すように、コア20に導線を巻き付けたものであり、図4に示すように、回路基板10の下面に設けられた接続電極22に電気的に接続されている。これにより、アンテナ15は、図1に示すように、コア20の断面が縦方向(図1では上下方向)に長い縦向き状態で、回路基板10の下面に配置されている。
【0019】
ところで、回路基板10は、図3および図4に示すように、全体がほぼ円形状に形成されている。この回路基板10の上面には、図3に示すように、LSI(大規模集積回路)などの半導体素子やコンデンサーなどの電子部品23が設けられている。また、この回路基板10の上面における上辺側と下辺側、つまり12時側と6時側とに位置する箇所には、表示装置14の表示パネル16に駆動信号を供給するための出力端子24、25がそれぞれパターン形成されている。
【0020】
また、この回路基板10の下面には、図4に示すように、水晶振動子やコンデンサーなどの電子部品27が設けられている。この回路基板10の下面における上辺側つまり12時側に位置する箇所には、シールド電極26がアンテナ15に対応してパターン形成されている。このシールド電極26は、グランド電極であり、図3および図4に示すように、回路基板10の上面に設けられた出力端子24、25のうち、12時側に位置する出力端子24に対応して設けられている。
【0021】
これにより、アンテナ15は、図1および図2に示すように、回路基板10の下面に形成されたシールド電極26の下側に縦向き状態で配置されている。また、表示装置14の表示パネル16に駆動信号を出力する出力端子24、25のうち、12時側に位置する出力端子24は、回路基板10の上面にアンテナ15と対応して設けられ、インターコネクタ18によって表示パネル16と電気的に接続されるように構成されている。
【0022】
このような電子腕時計によれば、電気光学的に情報を表示する平面型の表示装置14と、この表示装置14の下側に配置された回路基板10と、この回路基板10の下側に配置されたアンテナ15とを備え、回路基板10の上面に、表示装置14に駆動信号を供給するための出力端子24を形成し、この回路基板10の下面に、シールド電極26をアンテナ15に対向させて形成したので、アンテナ15と表示装置14とが相互に影響を受けずに、表示装置14の表示面積を十分に広くすることができる。
【0023】
すなわち、この電子腕時計では、回路基板10の出力端子24から表示装置14に駆動信号が供給されている際に、その駆動信号によるノイズを回路基板10のシールド電極26によってシールドすることができ、これによりアンテナ15が駆動信号によるノイズの影響を受けないようにすることができる。このため、表示装置14の表示パネル16が情報を表示していても、アンテナ15によって電波を正確に且つ良好に送受信することができる。
【0024】
また、この電子腕時計では、表示装置14が回路基板10の上面に配置され、アンテナ15が回路基板10の下面に配置されているので、表示装置14がアンテナ15によって制約を受けることがない。このため、回路基板10の上面において表示装置14の大きさを自由に設定することができると共に、表示装置14の表示パネル16の表示面積を十分に広くすることができ、これにより表示パネル16の表示領域16aを広くすることができる。
【0025】
すなわち、表示装置14の表示パネル16は、図1および図2に示すように、アンテナ15が配置された箇所における回路基板10の上方に位置する12時側の箇所に、表示パネル16の端部を位置させた状態で配置することができ、これにより表示パネル16の表示領域16aをアンテナ15に対応する箇所に最も接近させることができるので、表示パネル16の表示領域16aを十分に広くすることができる。
【0026】
この場合、表示装置14に駆動信号を供給するための出力端子24は、回路基板10の上面における外周端部に設けられていることにより、出力端子24が邪魔にならずに、回路基板10の上面にLSI(大規模集積回路)などの半導体素子やコンデンサーなどの電子部品23を効率良く設けることができる。
【0027】
また、グランド電極であるシールド電極26は、回路基板10の下面における外周端部に出力端子24と対応して設けられていることにより、シールド電極26およびこれに対応するアンテナ15が邪魔にならずに、回路基板10の下面に水晶振動子やコンデンサーなどの電子部品27を効率良く設けることができる。
【0028】
この場合、アンテナ15は、12時側に位置する箇所に配置されていることにより、回路基板10の上下面に設けられた各種の電子部品23、27によるノイズの影響を受け難くすることができると共に、使用者が腕時計ケース1を腕に取り付けて使用する際に、その使用者の人体による影響を受けずに、電波を効率よく送受信することができる。
【0029】
また、この電子腕時計では、アンテナが回路基板10を挟んで表示装置14に重なっていることにより、表示装置14の表示パネル16の表示領域16aを十分に広くすることができると共に、時計モジュール6をコンパクトに構成することができ、これにより腕時計全体の小型化を図ることができる。
【0030】
(実施形態2)
次に、図5および図6を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、図5に示すように、アンテナ30が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0031】
すなわち、このアンテナ30は、図5に示すように、コア31とコイル部32とからなり、回路基板10の下面に配置された状態で、下部ハウジング7内に設けられている。この場合にも、コア31は、実施形態1と同様、アモルファスなどの磁性材からなり、図5に示すように、断面が横方向(図5では左右方向)に長い長方形をなす角棒状に形成されている。
【0032】
コイル部32は、実施形態1と同様、コア31に導線を巻き付けたものであり、図6に示すように、回路基板10の下面に設けられた接続電極22に電気的に接続されている。これにより、アンテナ30は、図5に示すように、コア31の断面が横方向(図5では左右方向)に長い横向き状態で、回路基板10の下面に配置されている。
【0033】
この場合にも、アンテナ30は、図5および図6に示すように、回路基板10の下面に形成されたシールド電極26の下側に配置されている。このシールド電極26は、実施形態1と同様、回路基板10の上面に形成された出力端子24、25のうち、12時側に位置する出力端子24に対応した状態で、回路基板10の下面に形成されている。
【0034】
このような電子腕時計によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、アンテナ30のコア31の断面が横方向に長い長方形に形成され、このアンテナ30のコア31が回路基板10の下面に横向き状態で配置されていることにより、アンテナ30の上下方向の厚みを薄くすることができ、これにより時計モジュール6の厚みを薄くすることができるので、腕時計全体の薄型化を図ることができる。
【0035】
なお、上記実施形態1、2では、電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の電子時計にも適用することができるほか、必ずしも電子時計に適用する必要はなく、例えば携帯電話機などの電子機器にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 腕時計ケース
6 時計モジュール
10 回路基板
14 表示装置
15、30 アンテナ
16 表示パネル
17 バックライトパネル
20、31 コア
21、32 コイル部
24、25 出力端子
26 シールド電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学的に情報を表示する平面型の表示装置と、この表示装置の下側に配置された回路基板と、この回路基板の下側に配置されたアンテナとを備え、
前記回路基板の上面には前記表示装置に駆動信号を供給するための出力端子が形成されており、
前記回路基板の下面には前記アンテナに対向してシールド電極が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記出力端子は前記回路基板の上面における外周端部に設けられており、前記シールド電極は、前記回路基板の下面における外周端部に前記出力端子と対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記アンテナは、前記回路基板を挟んで前記表示装置に重なっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−58161(P2012−58161A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203675(P2010−203675)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】