説明

電子機器

【課題】 混入した異物による様々な故障を防止することのできる車載用の電子機器を提供すること。
【解決手段】 前面パネル3および本体ケース7を有する電子機器1であって、本体ケース7に、記録媒体12に保持されたデータを再生する再生部10が収納され、前面パネル3は、記録媒体12を再生部10へ挿入する挿脱口11を有し、挿脱口11の本体ケース7側に挿脱口11から侵入した所定の大きさの異物Aが通過可能な開口部を有する収納部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤挿入された硬貨またはクリップなどによる故障を防止することが可能な車載用の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けられ、光ディスク再生装置を内蔵する電子機器において、子供などが誤ってディスクの挿入口に硬貨などの異物を誤挿入することがある。その際、誤挿入された異物がシャーシ内部の回路基板などの導電部に接触し、電子機器が故障に至る問題が市場で発生している。
【0003】
そこで、図4に示すように、誤挿入された異物がシャーシ内部の回路基板、導電部に接触しないように、シャーシ45の内方へ突出するリブ状の凸部48a、48bを側壁45aに一体で形成し、回路基板42の周辺端部42aと凸部48a、48bとの最小隙間46b、46cおよび側壁45aとの隙間46aを、異物412の幅寸法Bよりも狭く設定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成により下部空間411側への異物412の侵入を防止することができ、シャーシ内部の回路基板などの導電部に接触することによる、電子機器の故障を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−80900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構造では、下部空間411への異物412の侵入を防止することはできるが、異物412が侵入すれば詰まりを引き起こすディスク再生デッキなど、電子機器の機能に影響を及ぼし、場合によっては故障に至る他の部分への侵入を防ぐことができないとの問題がある。特に、車載用の電子機器は、走行による振動や衝撃などにより、混入した異物が電子機器内の様々な場所に移動する可能性がある。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、誤挿入などにより混入した異物による様々な故障を防止することのできる車載用の電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前面パネルおよび本体ケースを有する電子機器であって、本体ケースに、記録媒体に保持されたデータを再生する再生部が収納され、前面パネルは、記録媒体を再生部へ挿入する挿脱口を有し、挿脱口の本体ケース側に挿脱口から侵入した所定の大きさの異物が通過可能な開口部を有する収納部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するために、電子機器に誤挿入された所定の大きさの異物が通過可能な開口部を有する収納部を設けることにより、異物が誤挿入されたことによる様々な故障を防止することが可能な車載用の電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態にかかる電子機器を示す斜視図
【図2】同電子機器の断面図
【図3】同電子機器の前面パネルの裏側を示す斜視図
【図4】従来の電子機器の一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の電子機器1について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、車両のコンソールボックスなどに取り付けられた電子機器1の全体斜視図を示している。電子機器1は、記録媒体に保持された音楽データなどを再生する再生部10を内蔵している。再生部10は、光ディスク12に保持された音楽データなどを再生する図2に示す光ディスク装置10aが代表であるが、カセットテープを再生するカセットデッキである場合もある。その他にも電子機器1は、ラジオ2等を本体ケース7に内蔵している。なお、本発明の実施形態では、再生部10が光ディスク装置10aであるとして説明する。
【0012】
また、電子機器1は前面パネル3を有し、前面パネル3には、機能を切り替える釦4aや電源/ボリュームつまみ4bに加えて、光ディスク装置10aにおける挿脱口11、ラジオ用のチューニングつまみ2a等が設けられている。また、内部には、ラジオ2、光ディスク装置10a等を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0013】
図2は、電子機器1に設けられた本発明の実施形態である前面パネル3の、図1中II−II位置における断面図である。
【0014】
図2に示すように、光ディスク装置10aは、情報が記録された光ディスク12を内部に収納可能な本体13と、この本体13の内部に対して光ディスク12を挿脱可能な開口11aと、本体13の内部に設けられ、光ディスク12を挟持した状態で回転することにより搬送可能な一対のローラである挿脱ローラ14とを備えている。
【0015】
本体13の内部には、挿脱口11から挿入された光ディスク12の再生を行う図示省略の再生機構が設けられている。なお、この場合、前面パネル3に設けられている収納開始操作手段であるボタン6を押して、光ディスク12を挿入する。
【0016】
図3は、電子機器1に設けられた本発明の実施形態である前面パネル3を裏側から見た図を示している。
【0017】
前面パネル3の裏側には、釦6やつまみ4bを実装したプリント基板16が取り付けられ、このプリント基板16には、図1の釦4aによる機能切り替えや、図1のつまみ4bによるボリューム操作などを行う回路が実装されている。
【0018】
また、プリント基板16には、挿脱口11と勘合する孔が設けられ、挿脱口11に挿入された光ディスク12は、光ディスク装置10aへと搬送可能となっている。そして挿脱口11の本体ケース7側に、前面パネル3と本体ケース7の間に挿脱口11から侵入した所定の大きさの異物Aが通過可能な開口部を有する収納部15が設置されている。
【0019】
この収納部15は、本体7と前面パネル3の間に設置されており、異物Aが誤挿入されたとき、異物Aは光ディスク装置10aに入ることなく、異物Aを一時収納可能な収納部15の下部のポケット15aへ落ちる。そして、ポケット15aは、前面パネル3の側面19に設けたスリット17に接続する構造となっている。なお、スリット17は、誤挿入された異物Aを前面パネル3および本体ケース7の外部へ取り出すことのできる開口部であればよく、形状は縦長の四角形に限らない。また、スリット17は、本体ケース7など
別の箇所に設けられてもよい。
【0020】
また、収納部15に傾斜を設け、誤挿入された異物がポケット15aに集まる構造とすれば、より異物Aの排出が容易となる。
【0021】
また、サービス工場などでの電子機器1を車両から外し、本体ケース7を車両に取り付けた状態から略90度傾けることによりスリット19が下向きとなるようにすれば、電子機器1の本体ケース7や前面パネル3などを取り外して分解することなく、混入した異物Aを容易に取り出すことが可能となる。
【0022】
なお、収納部15は、前面パネル3の前方に設けたスリット17と接続され、異物Aを一時収納するのではなく、異物Aが誤挿入されるとそのままスリット17を通じて外部へ異物Aを排出する構造でもよい。この場合、スリット17に蓋を設ければ、収納部15に異物Aを一時収納する構造を特別に設けなくとも、一時収納可能となる。
【0023】
一方、光ディスク12のように直径が図2に示すRより大きければ、ディスクガイド18により光ディスク12は光ディスク装置10a内部へ誘導される。このように、直径がR以下のコイン等の異物Aが誤挿入された際、光ディスク装置10aの内部に入ることがない。
【0024】
ここで、車両に取り付けられた電子機器1は、車両のサービス工場などでは、取り外すことはできても製品保証の問題などにより本体ケース7や前面パネル3などの筺体を分解することができない場合が多い。そうすると、取り外した電子機器を製造したメーカーに送らなければ修理ができないなど、非常に多くの手間や時間が必要になる。
【0025】
しかし、本発明の実施形態のように、混入した異物を電子機器1の機能に影響しない箇所へ誘導し、スリット19により容易に取り出すことのできる構造とすることにより、車両のサービス工場などでも異物Aを容易に取り出すことができる。
【0026】
以上説明したように、本発明の実施形態による電子機器1は、前面パネル3と本体ケース7の間に、挿脱口11から誤挿入された小型の異物Aを誘導する収納部15を設置している。そうすることにより、光ディスク再生装置10aの内部やプリント基板16の近くに異物Aが入ることを防止することのみならず、異物Aによる光ディスク再生装置10aの詰まりなど、様々な不具合を防止することができる。特に、サービス工場などでは、電子機器1を取り外すことはできても製品保証の問題から分解することができない場合が多い。そのような場合でも、本発明の実施形態のようにスリット19を設ければ、取り外した電子機器1を製造したメーカーに送り修理をするなどの手間を省くことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、異物が誤挿入されたことによる故障を防止することに加え、電子機器を分解することなく異物を排出可能であり、車両に搭載される音響機器などとして有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 電子機器
2 ラジオ
3 前面パネル
4a 釦
4b 電源/ボリュームつまみ
6 ボタン
7 本体ケース
10 再生部
10a 光ディスク装置
11 挿脱口
11a 開口
12 光ディスク
14 挿脱ローラ
15 収納部
15a ポケット
16 プリント基板
17 スリット
18 ディスクガイド
19 側面
A 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面パネルおよび本体ケースを有する電子機器であって、
前記本体ケースに、記録媒体に保持されたデータを再生する再生部が収納され、
前記前面パネルは、前記記録媒体を前記再生部へ挿入する挿脱口を有してなり、
前記挿脱口の前記本体ケース側に前記挿脱口から侵入した所定の大きさの異物が通過可能な開口部を有する収納部を備える電子機器。
【請求項2】
前記収納部は、前記異物を前記前面パネルおよび前記本体ケースの外側に取り出し可能なスリットに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記スリットは、前記前面パネルまたは前記本体ケースに有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スリットに蓋を設けたことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記収納部は、前記スリット手前に前記異物を一時収納するポケットを有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記本体ケースを車両に取り付けた状態から略90度傾けることにより、前記スリットが下向きとなることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−9649(P2012−9649A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144645(P2010−144645)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】