説明

電子機器

【構成】携帯電話機10は、筐体Cに設けられた雌型コネクタ20に、モールド(30)から突出したプラグ(32)を含む雄型コネクタ22が接続される。また、雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が接続された状態では、筐体Cとモールド(30)とに隙が生じる。そして、生じた隙において、雌型コネクタ20の周囲には、モールド30と接触する突起物(T)が設けられる。
【効果】雄型コネクタ22がこじられることで稼働する可能性がある範囲が突起物(T)によって抑制されるため、雄型コネクタ22のこじりによる雌型コネクタ20の破壊を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器に関し、特に雌型コネクタに雄型コネクタが接続される、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタを接続することが可能な、電子機器の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1のデジタルカメラは、USBコネクタが設けられており、USBケーブルを介してPCと接続される。また、モジュラーコネクタやカールコードプラグが、過大な引張り力やねじり力による曲げモーメントにより破損することがないハンドセットとカールコードとの接続構造が特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2005−286654号公報[H04N 5/225, H04H 101:00]
【特許文献2】特開2006−197493号公報[H04M 1/03, H04M 1/15]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1のデジタルカメラに設けられた雌型のUSBコネクタに、USBケーブルに含まれる雄型のUSBコネクタが接続されると、デジタルカメラの筐体と雄型のUSBコネクタに含まれるモールドとの間に隙が生じる。そして、2つのUSBコネクタが接続された状態で、雌型のUSBコネクタに力がかかる(こじる)と、雌型のUSBコネクタが壊れてしまう可能性がある。
【0004】
また、特許文献2に開示された技術では、モジュラーコネクタやカールコードプラグをハンドセット本体に対して相対移動可能としているため、構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電子機器を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、こじりによるコネクタ破壊を防止できる、電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、筐体、モールドから突出したプラグを含む雄型コネクタが接続される、筐体に設けられた雌型コネクタ、および筐体に設けられ、モールドに接触する第1突起物を備える、電子機器である。
【0009】
第1の発明では、電子機器(10:実施例において対応する部分を例示する参照符号。以下、同じ。)の筐体には、たとえばマイクロUSBの雌型コネクタ(20)が設けられる。また、モールド(30)から突出したプラグ(32)を含む、マイクロUSBの雄型コネクタ(20)が雌型コネクタに接続される。さらに、雌型コネクタに雄型コネクタが接続された状態では、筐体とモールドとに隙が生じる。そして、第1突起物(T)は筐体に設けられ、生じた隙において、モールドに接触するよう設けられる。
【0010】
第1の発明によれば、雄型コネクタがこじられることで稼働する可能性がある範囲(こじり範囲)が突起物によって抑制されるため、雄型コネクタのこじりによる雌型コネクタの破壊を防止することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、雌型コネクタおよび雄型コネクタは、USB規格のコネクタを含む。
【0012】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に従属し、モールドに、筐体と接触する第2突起物(MT)が設けられている。
【0013】
第3の発明でも、第1の発明と同様、雄型コネクタのこじり範囲が突起物によって抑制されるため、雄型コネクタのこじりによる雌型コネクタの破壊を防止することができる。
【0014】
第4の発明は、筐体の雌型コネクタが設けられる面が曲面である。
【0015】
第4の発明でも、第1の発明と同様、雄型コネクタのこじり範囲が突起物によって抑制されるため、雄型コネクタのこじりによる雌型コネクタの破壊を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、雄型コネクタのこじり範囲が突起物によって抑制されるため、雄型コネクタのこじりによる雌型コネクタの破壊を防止することができる。
【0017】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はこの発明の一実施例の携帯電話機の外観の一例を示す図解図である。
【図2】図2は図1に示す雄型コネクタの構成の一例を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示す雄型コネクタが周辺に突起物が設けられた雌型コネクタと接続された状態の一例を示す図解図である。
【図4】図4は図1に示す雄型コネクタが周辺に突起物が設けられた雌型コネクタと接続された状態の他の一例を示す図解図である。
【図5】図5は図1に示す雄型コネクタが周辺に突起物が設けられた雌型コネクタと接続された状態のその他の一例を示す図解図である。
【図6】図6は図1に示す雄型コネクタが周辺に突起物が設けられた雌型コネクタと接続された状態のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図7】図7は図1に示す雌型コネクタの周辺の一例を示す図解図である。
【図8】図8は図1に示す雌型コネクタにモールド突起物が設けられた雄型コネクタが接続された状態を示す図解図である。
【図9】図9は図1に示す雌型コネクタにモールド突起物が設けられた雄型コネクタが接続された状態の他の一例を示す図解図である。
【図10】図10は図1に示す雌型コネクタにモールド突起物が設けられた雄型コネクタが接続された状態のその他の一例を示す図解図である。
【図11】図11は図1に示す雌型コネクタにモールド突起物が設けられた雄型コネクタが接続された状態のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図12】図12は図1に示す雌型コネクタに雄型コネクタが接続された状態の一例を示す図解図である。
【図13】図13は図1に示す雌型コネクタにモールド突起物が一体形成された雄型コネクタが接続された状態の一例を示す図解図である。
【図14】図14は図1に示す雄型コネクタが周辺に突起物が設けられた雌型コネクタと接続された状態の他の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本実施例の携帯電話機10は、ストレート型の形状をしており、平面矩形の筐体Cを有する。また、携帯電話機10の筐体Cにはプロセッサが内蔵されており、電子機器と呼ばれることもある。
【0020】
筐体Cの縦方向一方の表面には、スピーカに通じる開口OP1が設けられる。筐体Cの縦方向他方の表面は、マイクに通じる開口OP2が設けられる。キー入力装置12に含まれる各キーは筐体Cの表面に設けられる。ディスプレイ14は、表示面(モニタ画面)が筐体Cの表面から見えるように取り付けられる。また、ディスプレイ14の表示面の上にはタッチパネル16が設けられる。さらに、筐体Cの左側面には、雌型コネクタ20が設けられる。
【0021】
キー入力装置12は、メニューキー、通話キーおよび終話キーなどを含む。そして、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサに入力される。また、キー入力装置12に含まれる各キーが操作されると、クリック音が鳴る。したがって、使用者は、クリック音を聞くことで、キー操作に対する操作感を得ることができる。
【0022】
ディスプレイ14は、筐体Cに内蔵された表示ドライバによって表示が制御される。また、ディスプレイ14には、LEDを光源とするバックライトが設けられており、画像などを表示する際にLEDによって照明される。
【0023】
タッチパネル16は、指などの物体が表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式で、たとえば1本または複数本の指がタッチパネル16に触れたことを検出する。また、タッチパネル16は、ディスプレイ14の上に設けられ、その画面内で、任意の位置を指示するためのポインティングデバイスである。
【0024】
また、筐体Cに内蔵されるタッチパネル制御回路は、タッチパネル16のタッチ有効範囲内で、押したり、撫でたり、触られたりするタッチ操作を検出する。そして、タッチパネル制御回路は、そのタッチ操作の位置を示す座標のデータをプロセッサに出力する。つまり、使用者は、タッチパネル16の表面を指で、押したり、撫でたり、触れたりすることによって、操作の方向や図形などを携帯電話機10に入力することができる。
【0025】
なお、タッチ操作は指だけに限らず、導電体が先端に取り付けられたタッチペンなどによって行われてもよい。また、タッチパネル16の検出方式には、表面型の静電容量方式が採用される。もっとも、タッチパネル16の検出方式は、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式および電磁誘導方式などであってもよい。
【0026】
また、筐体Cには電源回路および二次電池が内蔵されており、雌型コネクタ20は電源回路と接続される。そして、図1(B)に示すように、雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が接続されると、電源回路と外部電源とがケーブル24を介して繋がり、電源回路は二次電池の充電制御を開始する。なお、本実施例では、雌型コネクタ20は雌型のマイクロUSBコネクタであり、雄型コネクタ22は雄型のマイクロUSBコネクタである。そして、ケーブル24はUSBケーブルである。
【0027】
たとえば、使用者は、ディスプレイ14に表示されたダイヤルキーに対して、タッチ操作を行うことで電話番号を入力し、通話キーによって音声発信操作を行う。そして、使用者は、通話が終了すると、終話キーによって通話終了操作を行う。
【0028】
また、使用者は、メニューキーを操作することで、ディスプレイ14にメニュー画面を表示する。さらに、使用者は、ディスプレイ14に表示されたソフトキーおよびメニューに対してタッチ操作を行うことで、メニューの選択や確定を行う。そして、使用者は、二次電池を充電する場合、雌型コネクタ20に対して、USBケーブルを介して外部電源と繋がる雄型コネクタ22を接続する。
【0029】
なお、筐体Cには、アンテナ、無線通信回路、A/D変換機、D/A変換機、フラッシュメモリおよびRAMなども内蔵されており、これらは先述したプロセッサと接続される。
【0030】
図2を参照して、雄型コネクタ22はモールド30および突出したプラグ32を含み、モールド30にケーブル24が繋がっている。ここで、マイクロUSB規格において、雄型コネクタ22のプラグ32の奥行は、雌型コネクタ20の奥行よりも長く設定されている。そのため、雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が接続された場合、筐体Cとモールド60との間に約1.0〜2.0mmの隙が生じる。その結果、雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が接続された状態では、雌型コネクタ20が雄型コネクタ22によってこじられやすくなってしまう。特に、本実施例で採用されるマイクロUSBコネクタは、上下方向(短辺方向)に対するこじり強度が高くないため、上下方向のこじりによって雌型コネクタが破壊されてしまうことがある。
【0031】
そこで、本実施例では、筐体Cとモールド30との少なくとも一方に、相手に接触する突起物Tを設けて、雄型コネクタ22がこじられることで稼働する可能性がある範囲(こじり範囲)を抑制する。
【0032】
図3(A)は雌型コネクタ20の周囲の拡大図であり、図3(B)は雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が接続された状態の一例を示す図解図である。図3(A)を参照して、雌型コネクタ20の上下の筐体Cには、突起物T1および突起物T2が設けられる。そして、図3(B)に示すように、雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が挿入されると、筐体Cに設けられた突起物T1および突起物T2のそれぞれがモールド30に接触する。つまり、雄型コネクタ22のこじり範囲が突起物によって抑制されるため、雄型コネクタ22のこじりによる雌型コネクタ20の破壊を防止することができる。
【0033】
また、図4(A),(B)に示すように、他の実施例では、突起物T1および突起物T2に加えて、雌型コネクタ20の左右に、突起物T3および突起物T4を設けることで、左右のこじり範囲を抑制するようにしてもよい。また、図5(A),(B)に示すように、その他の実施例では、雌型コネクタ20を囲うように、突起物T5が設けられてもよい。つまり、突起物Tを1つにすることで、製造工程における突起物Tの形成を容易にすることができる。そして、さらにその他の実施例では、図6(A),(B)に示すように、直方体の突起物T6および突起物T7が設けられてもよい。つまり、突起物Tの形状は山形などに限定されるものではなく、任意の形状にすることができる。
【0034】
次に、図7を参照して、筐体Cには突起物Tを設けずに、モールド30にモールド突起物MTを設けることで、雄型コネクタ22のこじり範囲を抑制してもよい。
【0035】
図8(A)はモールド突起物MTが設けられた雄型コネクタ22を正面から見た図解図であり、図8(B)は雌型コネクタ20に上記雄型コネクタ22が接続された状態を示す図解図である。図8(A)を参照して、プラグ32の上下には、モールド突起物MT1およびモールド突起物MT2が設けられる。そして、図8(B)に示すように、モールド突起物MTが設けられた雄型コネクタ22が、図7に示す雌型コネクタ20に接続されると、モールド突起物MT1およびモールド突起物MT2のそれぞれが筐体Cと接触する。つまり、雄型コネクタ22のこじり範囲がモールド突起物MTによって抑制される。
【0036】
また、上述した先の実施例と同様、図9(A),(B)に示すように、他の実施例では、モールド突起物MT1,MT2に加えて、プラグ32の左右にモールド突起物MT3およびモールド突起物MT4が設けられてもよい。さらに、その他の実施例では、図10(A),(B)に示すように、プラグ32を囲うように、モールド突起物MT5が設けられてもよい。そして、図11(A),(B)に示すように、さらにその他の実施例では、直方体のモールド突起物MT6およびモールド突起物MT7がプラグ32の上下に設けられてもよい。
【0037】
次に、突起物Tおよびモールド突起物MTが同時に設けられてもよい。たとえば、図12(A)に示すように、雌型コネクタ20の上側に突起物T1が設けられ、図12(B)に示すように、プラグ32の下側にモールド突起物MT2が設けられる。この場合、図12(C)に示すように、突起物T1がモールド30と接触し、モールド突起物MT2が筐体Cと接触するため、雄型コネクタ22のこじり範囲が突起物によって抑制される。そして、使用者がマイクロUSBコネクタの差し込み方向を誤って接続しようとした場合は、突起物T1およびモールド突起物MT2が接触するため、使用者は差し込み方向を間違っていることに気づくことができる。
【0038】
次に、図13を参照して、モールド突起物MTとモールド30とは一体形成されてもよい。この場合でも、モールド30において突出した部位が筐体Cと接触するため、雄型コネクタ22のこじり範囲が抑制される。また、モールド突起物MTとモールド30とを一体形成することで、雄型コネクタの製造工程を単純にすることができる。
【0039】
なお、曲面に設けられた雌型コネクタ20に雄型コネクタ22が接続された場合、平面に設けられた場合に比べて、雄型コネクタ22のこじり範囲は広くなる。ところが、本実施例では、図14に示すように曲面であっても、突起物Tを設けることができる。つまり、筐体Cの形状に関係なく、雄型コネクタ22のこじり範囲を抑制することができる。
【0040】
また、上記実施例は、組み合わせることが可能であり、その組み合わせについては容易に想像できるため、詳細な記述は省略する。
【0041】
また、本実施例では、マイクロUSB規格の雌型コネクタ20および雄型コネクタ22について説明したが、ミニUSB規格および通常のUSB規格のコネクタであってもよい。また、USB規格以外にも、HDMI規格、IEEE1394規格および携帯電話機の専用規格などのコネクタであってもよい。
【0042】
さらに、本実施例は、携帯電話機10のみに限らず、いわゆるスマートフォンや、タブレット型PCおよびPDAなどに適用されてもよい。また、本実施例は、雌型コネクタが設けられる、電子ブック(電子書籍端末)、音楽プレーヤ、テレビ、ビデオデッキ、ディスプレイ、デスクトップ型PCなど、その他の適宜な電子機器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 … 携帯電話機
20 … 雌型コネクタ
22 … 雄型コネクタ
24 … ケーブル
30 … モールド
32 … プラグ
C … 筐体
T1−T9 … 突起物
MT1−MT9 … モールド突起物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、
モールドから突出したプラグを含む雄型コネクタが接続される、前記筐体に設けられた雌型コネクタ、および
前記筐体に設けられ、前記モールドに接触する第1突起物を備える、電子機器。
【請求項2】
前記雌型コネクタおよび前記雄型コネクタは、USB規格のコネクタを含む、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記モールドに、前記筐体と接触する第2突起物が設けられている、請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体の前記雌型コネクタが設けられる面が曲面である、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−45612(P2013−45612A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182299(P2011−182299)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】