説明

電子機器

【課題】日除け板の機能を損なうことなく、日除け板と機器本体との間の通気性を確保できる電子機器を得ることにある。
【解決手段】電子機器は、機器本体と、機器本体の上面および周面を機器本体の外側から覆うように構成され、上面および周面から離れた日除け板とを備えている。機器本体の周面を覆う日除け板は、当該日除け板の外に通じる開口と、当該開口を機器本体の周面の方向から覆うように構成された突出部と、を含んでいる。突出部は、開口の周囲で日除け板から機器本体の周面に向けて突出されているとともに、当該突出部に開口よりも上側で機器本体と日除け板との間に通じる換気口が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、日除け板を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば屋外に設置された通信機器のような電子機器は、日射による機器本体の温度上昇を防止する日除け板を備えている。日除け板は、日射に耐え得るような薄い金属板で構成され、機器本体の少なくとも上面、前面および側面を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−106882号公報
【特許文献2】特開2004−319539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日除け板が風に煽られて変形したり、がたつくのを防ぐためには、日除け板と機器本体との間の隙間に風が入り難い構造とすることが望まれる。
【0005】
しかしながら、隙間を密閉すると、機器本体から放出された熱が隙間に滞留する。そのため、機器本体の放熱性が悪くなり、機器本体の温度上昇を招く要因となる。
【0006】
一方、日除け板に孔を開けて隙間の通気性を確保した場合、太陽の光が日除け板の孔から隙間に射し込むのを否めない。この結果、日除け板の本来の機能が損なわれてしまい、日射による機器本体の温度上昇を防ぐことができなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、電子機器は、機器本体と、前記機器本体の上面および周面を前記機器本体の外側から覆うように構成され、前記上面および前記周面から離れた日除け板と、を備えている。
【0008】
前記機器本体の前記周面を覆う前記日除け板は、当該日除け板の外に通じる開口と、当該開口を前記機器本体の前記周面の方向から覆うように構成された突出部とを含んでいる。前記突出部は、前記開口の周囲で前記日除け板から前記機器本体の前記周面に向けて突出されているとともに、前記突出部に前記開口よりも上側で前記機器本体と前記日除け板との間の隙間に連じる換気口が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る電子機器の断面図。
【図2】第1の実施形態に係る電子機器の斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る電子機器の平面図。
【図4】図3のF4−F4線に沿う断面図。
【図5】第2の実施形態に係る電子機器の断面図。
【図6】第2の実施形態に係る電子機器の斜視図。
【図7】図6のF7−F7線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。
【0011】
図1ないし図3は、屋外で使用する通信機器1を示している。通信機器1は、電子機器の一例であって、例えば地面2の上に台座3を介して据え付けられている。通信機器1は、機器本体4、上部日除け板5、一対の側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9を備えている。
【0012】
機器本体4は、筐体11と前扉12とで構成されている。筐体11は、上面13、左右の側面14a,14b、背面15および底面16を有する四角い箱形であり、背面15と向かい合う前端が筐体11の前方に向けて開口されている。筐体11は、地面2から垂直に起立された姿勢で台座3の上に支持されている。
【0013】
複数のボス部17が筐体11の上面13、側面14a,14bおよび背面15に一体に形成されている。上面13に形成されたボス部17は、上面13の四つの角部の付近から筐体11の上方に突出されている。側面14a,14bに形成されたボス部17は、夫々側面14a,14bの四つの角部の付近から筐体11の側方に突出されている。背面15に形成されたボス部17は、背面15の四つの角部の付近から筐体11の後方に突出されている。
【0014】
さらに、筐体11は、例えば電源モジュールおよび通信用の回路モジュールを収容している。電源モジュールおよび回路モジュールは、動作中に発熱する複数の回路部品を含んでいる。
【0015】
前扉12は、例えば筐体11に取り外し可能に支持されて、筐体11の前端を密閉している。そのため、第1の実施形態では、筐体11の側面14a,14b、背面15および前扉12が機器本体4の周方向に連続されて、機器本体4の周面を構成している。
【0016】
さらに、複数のボス部18が前扉12の前面に一体に形成されている。ボス部18は、前扉12の前面の四つの角部の付近から前扉12の前方に向けて突出されている。
【0017】
図1に示すように、第1の日除け板としての上部日除け板5は、例えば板金材で構成された四角い板であり、機器本体4を上方から覆っている。フランジ部19が上部日除け板5の外周縁に一体に形成されている。フランジ部19は、上部日除け板5の周方向に連続するとともに、上部日除け板5の外周縁から下向きに直角に折り曲げられている。
【0018】
側部日除け板6,7は、例えば板金材で構成された縦長の四角い板であり、夫々機器本体4を左側方および右側方から覆っている。
【0019】
左側の側部日除け板6は、一対のフランジ部6a,6bを有している。フランジ部6a,6bは、側部日除け板6の前縁および後縁から側部日除け板6の右側に向けて直角に折り曲げられている。同様に、右側の側部日除け板7は、一対のフランジ部7a,7bを有している。フランジ部7a,7bは、側部日除け板7の前縁および後縁から側部日除け板7の左側に向けて直角に折り曲げられている。
【0020】
後部日除け板8は、例えば板金材で構成された縦長の四角い板であり、機器本体4の筐体11を後方から覆っている。
【0021】
さらに、前部日除け板9は、例えば板金材で構成された縦長の四角い板であり、機器本体4の前扉12を前方から覆っている。前部日除け板9は、側部日除け板6のフランジ部6a,6bと、側部日除け板7のフランジ部7a,7bとの間に位置されている。
【0022】
したがって、第1の実施形態では、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9が第2の日除け板を構成するとともに、互いに協働して機器本体4を外側から取り囲んでいる。
【0023】
図1ないし図3に示すように、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9は、夫々一対のスリット状の開口22a,22bを有している。側部日除け板6,7に設けられたスリット22a,22bは、夫々機器本体4の奥行き方向に延びているとともに、機器本体4の高さ方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0024】
後部日除け板8および前部日除け板9に設けられた開口22a,22bは、夫々機器本体4の幅方向に延びているとともに、機器本体4の高さ方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0025】
図1ないし図3に示すように、上部日除け板5、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9は、夫々一対のブラケット23を介して機器本体4に支持されている。ブラケット23は、互いに同一の構成を有する共通の要素であって、例えば板金材を折り曲げることで構成されている。
【0026】
具体的には、ブラケット23は、本体24と一対の支持部25a,25bとを備えている。本体24は、第1ないし第3の壁部26a,26b,26cを有している。第1ないし第3の壁部26a,26b,26cは、夫々細長い板状である。第1の壁部26aおよび第2の壁部26bは、互いに対向し合うように間隔を存して平行に配置されている。第3の壁部26cは、第1の壁部26aの長手方向に沿う一側縁と第2の壁部26bの長手方向に沿う一側縁との間に跨っている。
【0027】
言い換えると、第3の壁部26cは、第1の壁部26aと第2の壁部26bとの間を結んでいるとともに、第1および第2の壁部26a,26bと略直交する方向に延びている。
【0028】
さらに、複数の換気口27がブラケット23の第1の壁部26aに設けられている。換気口27は、第1の壁部26aを厚さ方向に貫通するとともに、第1の壁部26aの長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。
【0029】
一方の支持部25aは、第1の壁部26aの長手方向に沿う他側縁から略直角に折り曲げられて、本体24の外にフランジ状に張り出している。他方のフランジ部25bは、第2の壁部26bの長手方向に沿う他側縁から略直角に折り曲げられて、本体24の外にフランジ状に張り出している。
【0030】
図1および図3に示すように、上部日除け板5に対応するブラケット23の支持部25a,25bは、夫々一対のねじ28を介して上部日除け板5の内面に固定されている。ブラケット23は、筐体11の幅方向に延びているとともに、筐体11の奥行き方向に間隔を存して平行に並んでいる。
【0031】
ブラケット23の本体24は、上部日除け板5の内面から筐体11の上面13に向けて突出されている。ブラケット23の第3の壁部26cは、上面13の上のボス部17の先端面にねじ29で固定されている。このことにより、上部日除け板5が本体11の上面13に保持されて、フランジ部19を有する日除け板5の外周部が機器本体4の周囲に張り出している。
【0032】
さらに、ブラケット23の存在により、上部日除け板5は、本体11の上面13から離れている。このため、上部日除け板5が日射を受けて加熱された場合でも、上部日除け板5の熱が筐体11に直に伝わらないようになっている。
【0033】
図2および図3に示すように、側部日除け板6,7に対応するブラケット23の支持部25a,25bは、夫々一対のねじ28を介して側部日除け板6,7の内面に固定されている。ブラケット23は、側部日除け板6,7の開口22a,22bに対応した位置で筐体11の奥行き方向に延びているとともに、筐体11の高さ方向に間隔を存して平行に並んでいる。
【0034】
ブラケット23の本体24は、側部日除け板6,7の内面から筐体11の側面14a,14bに向けて突出されている。本体24は、側部日除け板4a,4bから筐体11の側面14a,14bに向けて突出する突出部と言い換えることができる。
【0035】
ブラケット23の第3の壁部26cは、側面14a,14bの上のボス部17の先端面にねじ29で固定されている。このことにより、側部日除け板4a,4bが筐体11の側面14a,14bに保持されている。
【0036】
さらに、ブラケット23の存在により、側部日除け板6,7は、筐体11の側面14a,14bから離れている。このため、側部日除け板6,7と筐体11の側面14a,14bとの間に隙間30が形成されている。隙間30は、側部日除け板6,7の下縁と地面2との間に開放されている。
【0037】
図1ないし図4に示すように、側部日除け板6,7の内面に固定されたブラケット23の第1の壁部26aは、開口22a,22bの上縁に沿って機器本体4の奥行き方向に延びているとともに、開口22a,22bの上縁から筐体11の側面14a,14bに向けて突出されている。
【0038】
ブラケット23の第2の壁部26bは、開口22a,22bの下縁に沿って機器本体4の奥行き方向に延びているとともに、開口22a,22bの下縁から筐体11の側面14a,14bに向けて突出されている。
【0039】
ブラケット23の第3の壁部26cは、隙間30内で開口22a,22bと向かい合っている。そのため、ブラケット23は、筐体11の側面14a,14bの方向から開口22a,22bを覆っている。
【0040】
図1、図3および図4に示すように、ブラケット23の換気口27は、開口22a,22bの上側で側部日除け板6,7と筐体11の側面14a,14bとの間の隙間30に通じているとともに、機器本体4の高さ方向に沿って上向きに開口されている。さらに、換気口27は、第1の壁部26aと第2の壁部26bとの間から開口22a,22bに通じている。
【0041】
したがって、側部日除け板6,7と筐体11の側面14a,14bとの間の隙間30は、換気口27および開口22a,22bを介して通信機器1の外に連通されている。
【0042】
第1の実施形態によると、ブラケット23の長手方向に沿う両端は、閉塞されることなく隙間30に開口されている。このため、側部日除け板6,7と筐体11の側面14a,14bとの間の隙間30は、ブラケット23の長手方向に沿う両端からも開口22a,22bに通じている。
【0043】
図1および図3に示すように、後部日除け板8に対応するブラケット23は、前記側部日除け板6,7に対応するブラケット23と同様の構成で筐体11の背面15のボス部17に固定されている。
【0044】
前扉12に対応するブラケット23は、前記側部日除け板6,7に対応するブラケット23と同様の構成で前扉12筐体11の前面のボス部18に固定されている。
【0045】
この結果、後部日除け板8と筐体11の背面15との間、および前部日除け板9と前扉12との間にも夫々隙間30が形成されている。後部日除け板8と筐体11の背面15との間の隙間30は、ブラケット23の換気口27および後部日除け板8の開口22a,22bから通信機器1の外に通じているとともに、後部日除け板8の下縁と地面2との間に開放されている。
【0046】
同様に、前部日除け板9と前扉12との間の隙間30は、ブラケット23の換気口27および前部日除け板9の開口22a,22bから通信機器1の外に通じているとともに、前部日除け板9の下縁と地面2との間に開放されている。
【0047】
図1ないし図3に示すように、上部日除け板5、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9を機器本体4に固定した状態では、上部日除け板5のフランジ部19の下縁と側部日除け板6,7の上縁、後部日除け板8の上縁および前部日除け板9の上縁との間にスリット状の排気口32が形成されている。排気口32は、上部日除け板5、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9に個々に設けられた開口22a,22bよりも機器本体4の高さ方向に沿う上側に位置されている。
【0048】
第1の実施形態によると、屋外に設置された通信機器1は、風雨に直に晒される。このため、通信機器1に向かう風は、側部日除け板6,7の下縁、後部日除け板8の下縁および前部日除け板9の下縁と地面2との間から機器本体4を取り囲む隙間30の下端に流れ込む。
【0049】
この際、機器本体4の筐体11および前扉12は、筐体11に収容された回路部品の熱影響を受けるので、回路部品の熱が筐体11および前扉12から隙間30に放出される。そのため、隙間30に対流が生じ、隙間30の下端に流れ込んだ外気が隙間30を伝わって上向きに流れる。
【0050】
さらに、第1の実施形態では、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9にスリット状の開口22a,22bが形成され、開口22a,22bは、ブラケット23の換気口27から隙間30に通じている。これにより、通信機器1の周囲の外気が開口22a,22bから換気口27を通って隙間30に流れ込むとともに、隙間30内の対流に乗じて上向きに流れる。
【0051】
隙間30の上部に導かれた外気は、排気口32を通じて通信機器1の外に排出される。この結果、隙間30の通気性が確保され、機器本体4から隙間30に放出された回路部品の熱が隙間30に滞留し難くなる。
【0052】
よって、機器本体4の過熱を防止することができ、通信機器1の動作環境を良好に維持することができる。
【0053】
一方、屋外に設置された通信機器1は、例えば図1に矢印Sで示すように日射を受ける。通信機器1の機器本体4に向かう日射は、上部日除け板5、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9によって遮られるので、日射による機器本体4の温度上昇を防止することができる。
【0054】
第1の実施形態では、隙間30に外気を取り入れる開口22a,22bが側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9に設けられている。開口22a,22bは、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9を機器本体4に保持するブラケット23により機器本体4の方向から覆われている。
【0055】
このため、例えば前部日除け板9の開口22a,22bに太陽の光が射し込んだとしても、この光はブラケット23の第2の壁26bおよび第3の壁26cによって遮られる。
【0056】
よって、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9に通気用の開口22a,22bを設けたにも拘らず、太陽の光が開口22a,22bから隙間30に射し込むのを回避することができる。したがって、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9の本来の機能が損なわれずに済み、日射による機器本体4の温度上昇を防止することができる。
【0057】
加えて、開口22a,22bに射し込む太陽の光をブラケット23で遮ることができるので、屋外に通信機器1を設置するに当たって、季節毎の太陽の位置や日が射す方向を考慮する必要はない。よって、通信機器1を屋外に設置する上での自由度が増大する。
【0058】
さらに、第1の実施形態によると、上部日除け板5、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9は、共通のブラケット23で機器本体4に保持されている。そのため、上部日除け板5、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9に個々に対応する専用のブラケットを準備する必要はない。よって、通信機器1を構成する部品の種類を少なくすることができ、通信機器1のコストを低減できる。
【0059】
それとともに、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9を機器本体4に固定するブラケット23は、夫々換気口27を上向きにした姿勢で側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9にねじ止めすればよい。
【0060】
これにより、ブラケット23を側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9に固定する際のブラケット23の向きが定まり、ブラケット23を側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9に固定する作業を容易に行うことができる。
【0061】
第1の実施形態では、通信機器を地面の上に設置したが、例えば電柱や建物の外側面に据え付けるようにしてもよい。通信機器を建物の外側面に据え付ける場合は、筐体の背面が建物の外側面に面するので、筐体の背面を覆う後部日除け板を省略することが可能である。
【0062】
さらに、第1の実施形態では、ブラケットの支持部をねじで日除け板に固定したが、ねじの代わりにリベットを用いてもよいし、あるいはスポット溶接で日除け板に固定してもよい。
【0063】
加えて、各日除け板に設ける通気用の開口の数は第1の実施形態に特定されるものではなく、例えば3個以上の開口を各日除け板に設けてもよい。同様に、換気口の数にしても第1の実施形態に特定されないことは勿論である。
【0064】
[第2の実施形態]
図5ないし図7は、第2の実施形態を開示している。第2の実施形態は、側部日除け板、後部日除け板および前部日除け板を機器本体に保持する構成が第1の実施形態と相違しており、これ以外の通信機器の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
図5ないし図7に示すように、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9の開口22a,22bは、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9を機器本体4に向けて部分的に切り起こすことで構成されている。このため、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9は、夫々隙間30に向けて一体的に張り出す一対の曲げ部40を備えている。
【0066】
曲げ部40は、第1の壁部41と第2の壁部42とで構成されている。第1の壁部41は、開口20a,20bの下縁から隙間30に向けて水平に延びている。第2の壁部42は、第1の壁部41の突出端から上向きに略垂直に折り曲げられて、隙間30内で開口20a,20bと向かい合っている。
【0067】
側部日除け板6,7に対応する曲げ部40の第2の壁部42は、筐体11の側面14a,14bから突出されたボス部17の先端面にねじ29で固定されている。このことにより、側部日除け板6,7が筐体11の側面14a,14bに保持されている。
【0068】
後部日除け板8に対応する曲げ部40の第2の壁部42は、筐体11の背面15から突出されたボス部17の先端面にねじ29で固定されている。このことにより、後部日除け板8が筐体11の背面15に保持されている。
【0069】
同様に、前部日除け板9に対応する曲げ部40の第2の壁部42は、前扉12の前面から突出されたボス部18の先端面にねじ29で固定されている。このことにより、前部日除け板9が前扉12に保持されている。
【0070】
したがって、曲げ部40は、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9から機器本体4に向けて突出する突出部と言い換えることができる。
【0071】
さらに、曲げ部40の存在により、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9は、夫々機器本体4から離れているとともに、機器本体4と側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9との間に隙間30が形成されている。
【0072】
図5および図7に示すように、曲げ部40の第2の壁部42の上縁は、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9との間に換気口44を規定している。換気口44は、隙間30内で機器本体4の高さ方向に沿って上向きに開口されているとともに、曲げ部40の第1の壁部41と向かい合っている。さらに、換気口44は、開口22a,22bに通じている。
【0073】
この結果、機器本体4の周囲に位置された隙間30は、開口22a,22bおよび換気口44を介して通信機器1の外に連通されている。
【0074】
第2の実施形態によると、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9から一体に切り起こされた曲げ部40は、通気用の開口20a,20bの下縁から隙間30に向かう第1の壁部41と、第1の壁部41の突出端から上向きに略直角に折り曲げられた第2の壁部42とを備えている。第1の壁部41および第2の壁部42は、機器本体4の方向から通気用の開口22a,22bを覆っている。
【0075】
このため、図5に矢印Sで示すように、例えば前部日除け板9の開口22a,22bに太陽の光が射し込んだとしても、この光は曲げ部40によって遮られる。よって、第1の実施形態と同様に、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9の本来の機能が損なわれずに済み、隙間30の通気性を確保しつつ、日射による機器本体4の温度上昇を防止することができる。
【0076】
加えて、第2の実施形態によれば、側部日除け板6,7、後部日除け板8および前部日除け板9を機器本体4に固定する専用のブラケットやねじ類が不要となる。したがって、通信機器1の部品点数を減らすことができ、通信機器1のコストの低減に寄与するといった利点がある。
【0077】
第1および第2の実施形態では、左右の側部日除け板がフランジ部を有しているが、通信機器(電子機器)の具体的な構成は、前記第1および第2の実施形態に限定されるものではない。
【0078】
例えば、側部日除け板からフランジ部を省略するとともに、前部日除け板の左右の側縁に夫々前部日除け板の後方に向けて直角に折り曲げられたフランジ部を形成し、これらフランジ部の間に前扉を介在させるようにしてもよい。
【0079】
この構成によれば、側部日除け板の前縁が前扉よりも後退するので、例えば前扉を前部日除け板と一緒に筐体から取り外す必要が生じた時に、側部日除け板が邪魔となることはない。このため、前扉を筐体から取り外したり、筐体に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
4…機器本体、5…第1の日除け板(上部日除け板)、第2の日除け板(側部日除け板、後部日除け板、前部日除け板)、12,14a,14b,15…周面(前扉、側面、背面)、22a,22b…開口、23…突出部(ブラケット)、27,44…換気口、30…隙間、40…曲げ部、41…第1の壁部、42…第2の壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
前記機器本体の上面および周面を前記機器本体の外側から覆うように構成され、前記上面および前記周面から離れた日除け板と、を備え、
前記機器本体の前記周面を覆う前記日除け板は、
当該日除け板の外に通じる開口と、
前記日除け板の前記開口を前記機器本体の前記周面の方向から覆うように構成され、前記開口の周囲で前記日除け板から前記機器本体の前記周面に向けて突出された突出部と、を含み、
前記突出部に、前記開口よりも上側で前記機器本体と前記日除け板との間の隙間に通じる換気口が設けられた電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記突出部は、前記日除け板の前記開口と向かい合う端壁を有し、当該端壁が前記機器本体の前記周面に固定された電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の記載において、前記換気口は、前記機器本体の前記周面と前記日除け板との間で前記機器本体の高さ方向に沿って上向きに開口された電子機器。
【請求項4】
請求項1の記載において、前記機器本体の前記周面を覆う前記日除け板と、前記機器本体の前記上面を覆う前記日除け板との間に排気口が形成され、前記排気口は、前記換気口よりも前記機器本体の高さ方向に沿う上側に位置された電子機器。
【請求項5】
機器本体と、
前記機器本体の上面を前記機器本体の外側から覆うように構成された第1の日除け板と、
前記機器本体の周面を前記機器本体の外側から覆うように構成され、少なくとも一つの開口が設けられた第2の日除け板と、
前記第2の日除け板の前記開口を前記機器本体の前記周面の方向から覆うように前記周面と前記第2の日除け板との間に介在され、前記第2の日除け板を前記機器本体に保持するとともに、前記開口よりも上側で前記機器本体の前記周面と前記第2の日除け板との間に通じる換気口が設けられた少なくとも一つのブラケットと、
を具備する電子機器。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記ブラケットは、前記開口の上側で前記第2の日除け板から前記機器本体の前記周面に向けて突出された第1の壁部と、前記開口の下側で前記第2の日除け板から前記機器本体の前記周面に向けて突出された第2の壁部と、前記第1の壁部の突出端と前記第2の壁部の突出端との間に跨るとともに前記開口と向かい合う第3の壁部と、を含み、前記換気口が前記第1の壁部に設けられた電子機器。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記ブラケットの前記第3の壁部が前記機器本体の前記周面に固定された電子機器。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記換気口は、前記機器本体の前記周面と前記第2の日除け板との間で前記機器本体の高さ方向に沿って上向きに開口された電子機器。
【請求項9】
請求項6の記載において、前記機器本体の前記上面を覆う前記第1の日除け板と前記機器本体の前記周面を覆う前記第2の日除け板との間に排気口が形成され、前記排気口は、前記換気口よりも前記機器本体の高さ方向に沿う上側に位置された電子機器。
【請求項10】
機器本体と、
前記機器本体の上面を前記機器本体の外側から覆うように構成された第1の日除け板と、
前記機器本体の周面を前記機器本体の外側から覆うように構成された第2の日除け板と、
前記第2の日除け板の一部を前記機器本体の前記周面に向けて切り起こすことにより構成され、前記第2の日除け板に開口を規定する曲げ部と、を備え、
前記曲げ部は、前記開口の下縁から前記前記機器本体の前記周面に向かう第1の壁部と、前記第1の壁部の突出端から上向きに曲げられて前記開口と向かい合う第2の壁部と、を含み、
前記第2の壁部の上縁と前記第2の日除け板との間に前記開口に通じる換気口が設けられるとともに、前記換気口は、前記機器本体と前記第2の日除け板との間で前記機器本体の高さ方向に沿って上向きに開口された電子機器。
【請求項11】
請求項10の記載において、前記曲げ部の前記第2の壁部が前記機器本体の前記周面に固定された電子機器。
【請求項12】
請求項10の記載において、前記機器本体の前記上面を覆う前記第1の日除け板と前記機器本体の前記周面を覆う前記第2の日除け板との間に排気口が形成され、前記排気口は、前記換気口よりも前記機器本体の高さ方向に沿う上側に位置された電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−65635(P2013−65635A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202383(P2011−202383)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】