電子機器
【課題】アンテナ部分の見栄えを損なわずに製造コストを抑制すること。
【解決手段】非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、を備える、電子機器が提供される。
【解決手段】非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、を備える、電子機器が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、筐体外面に平面アンテナやモノポールアンテナなどの小型アンテナを搭載した電子機器が実用化されている。筐体外面に小型アンテナを搭載する技術に関し、例えば、下記の特許文献1には、筐体外面にアルミ蒸着した金属層を設け、この金属層をアンテナ素子として利用する技術が開示されている。このようにアンテナ素子を筐体外面に形成した場合、筐体内部に配置される電源からアンテナ素子への給電経路を確保する必要がある。同文献には、筐体を貫通するインサートナットを設け、このインサートナットを通じて筐体内部に配置された電源からアンテナ素子へと給電する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−135586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インサートナットを設けると、インサートナットの設置部分に対応する筐体表面の加飾が難しくなってしまう。また、給電経路を確保するためにインサートナットを設けるのは、部品点数の増加や製造工程の煩雑さを招き、製造コストの増大をもたらす。また、板金やボルトなどを利用してアンテナ素子への給電経路を構築する場合においても、体裁を良く見せるために、これらの接続部材が筐体の外側から見えないように隠す構造が必要になる。そこで、本技術は、上記のような事情を受けて考案されたものであり、アンテナ部分の見栄えを損なわずに製造コストを抑制することが可能な、新規かつ改良された電子機器を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術のある観点によれば、非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、を備える、電子機器が提供される。
【0006】
また、本技術の別の観点によれば、非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記筐体の穴に露出し、当該導体部分がアンテナ素子となるロゴマークと、前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、を備える、電子機器が提供される。
【0007】
また、本技術の別の観点によれば、非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、前記筐体の内側から前記筐体の穴を通じて配線され、前記アンテナ素子に給電するために設けられた給電線と、非導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置されたロゴマークと、を備える、電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本技術によれば、アンテナ部分の見栄えを損なわずに製造コストを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る電子機器の一構成例を示した説明図である。
【図2】本実施形態に係る電子機器の一構成例を示した説明図である。
【図3】本実施形態に係る電子機器のアンテナ構成例及び給電線の配線例を示した説明図である。
【図4】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図5】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図6】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図7】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図8】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【図9】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【図10】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【図11】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本技術に係る好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する説明の流れについて簡単に述べる。
【0012】
まず、図8〜図11を参照しながら、アンテナ素子に給電線を接続する仕組みについて検討した内容を説明する。次いで、図1及び図2を参照しながら、検討結果を踏まえて考案された本実施形態に係る仕組みを適用可能な電子機器1の構成例について説明する。次いで、図3〜図5を参照しながら、ロゴMが金属材料で形成されている場合における本実施形態に係るアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。次いで、図6及び図7を参照しながら、ロゴMが非金属材料で形成されている場合における本実施形態に係るアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。
【0013】
最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0014】
(説明項目)
1:はじめに
2:実施形態
2−1:電子機器1の構成例
2−2:アンテナ設置部分の構造#1(金属ロゴ)
2−2−1:構成例A(ロゴ≠アンテナ)
2−2−2:構成例B(ロゴ=アンテナ)
2−3:アンテナ設置部分の構造#2(非金属ロゴ)
2−3−1:構成例C(直接配線)
2−3−2:構成例D(金属層)
3:まとめ
【0015】
<1:はじめに>
はじめに、筐体内部に配置された電源からアンテナ素子へと給電するための給電経路について考えうる構成及び各構成の有用性や課題について検討した結果について述べる。
【0016】
図8に示すように、合成樹脂などの非導体で形成された筐体91の外面には、塗装層92、アンテナ93、着色層94、トップコート層95などが積層形成される。このようにして筐体91の外側にアンテナ93を設置する構成は、筐体91の小型化やアンテナ性能の向上に寄与する。アンテナ93は、メッキやアンテナパターンを内蔵したフィルムのインサート成形などにより形成される。また、塗装層92、着色層94、トップコート層95で構成される加飾層は、塗装や熱転写により形成される。なお、フィルムインサートの場合は、アンテナ93の形成と加飾層の形成とが同時に実施される。
【0017】
ここで、アンテナ93への給電経路について考えてみよう。図8に示すように、アンテナ93へと電流を供給するための電源(非図示)及び給電経路を成す給電線96は、筐体91の内部に設置される。そのため、電源から引き出された給電線96をアンテナ93に対して電気的に接続する必要がある。その方法として、例えば、図9に示すように、筐体91に穴を設け、アンテナ93の一部を筐体91の内部に引き込む構成が考えられる。この構成を適用すると、筐体91の内部にアンテナ93の一部が引き込まれているため、給電線96をアンテナ93に対して容易に接続することが可能になる。しかし、筐体91に穴を設けるため、この穴を隠すための蓋97を設置する必要がある。また、アンテナ93を筐体91の内部まで引き込むため、設計及び製造工程が煩雑化してしまう。
【0018】
また、図10に示すように、筐体91に穴を設け、その穴を塞ぐようにIML(In−mold Label)などのアンテナ内蔵インサートフィルム98を配置する構成も考えられる。特に、アンテナ部分が筐体91の穴に露出するように配置することで、筐体91の穴から給電線96を挿入してアンテナ部分に給電線96を容易に接続することが可能になる。しかし、筐体91に形成された穴の部分でアンテナ内蔵インサートフィルム98に撓みが生じ、体裁に凹凸が生じてしまう可能性がある。また、アンテナ部分と給電線96との接続部分がアンテナ内蔵インサートフィルム98だけで支持されることとなり、強度不足となることが否めない。
【0019】
また、図11に示すように、アンテナ93を筐体91Aの外周に回り込ませ、筐体91A、91Bで囲まれる筐体内部に引き込む構成も考えられる。この構成を適用すると、筐体91Aに穴を設ける必要がなくなり、体裁良く仕上げることが可能になる。しかし、筐体91Aと筐体91Bとの接続部分にアンテナ93の一部を挟み込むことになるため、アンテナ93の一部が磨耗して断線する恐れがある。また、アンテナ93の一部を延伸させる必要があるため、設計及び製造工程が煩雑化してしまう。さらに、アンテナ93を延伸させる分だけ材料コストも増加してしまう。その他にも、穴の形状を工夫したり、電磁誘導を利用してアンテナ93に電力を供給する方法なども考えられるが、いずれも設計の煩雑さや製造コストの増加などが懸念される。
【0020】
上記のように、様々な構成について検討した結果、本件発明者は、筐体外面に形成されるロゴを利用し、体裁を損なわずに製造コストを抑制することが可能な構成に想到した。以下で説明する実施形態の構成を適用すると、体裁に影響を与えずに、使用部品の低減、配線隠蔽の簡単化、加飾の容易化などが実現される。もちろん、図11に示した構成のような磨耗による断線の危険性などもなく、信頼性の向上にも寄与する。
【0021】
<2:実施形態>
以下、本技術の一実施形態について説明する。
【0022】
[2−1:電子機器1の構成例]
まず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の構成例について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る電子機器1の構成例について説明するための説明図である。なお、図1及び図2には、電子機器1の一構成例として、ノート型パーソナルコンピュータの外観が記載されているが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、携帯電話、ゲーム機、情報端末、情報家電、無線基地局、無線通信端末、テレビジョン受像機、セットトップボックス、録画再生装置、撮像装置、カーナビゲーションシステムなどにも適用可能である。但し、説明の都合上、以下では図1及び図2に例示した外観を想定して説明を進める。
【0023】
図1に示すように、電子機器1は、本体ユニット2と、ディスプレイユニット3と、ヒンジ部4とにより構成される。ヒンジ部4は、本体ユニット2とディスプレイユニット3とを接続する。また、ヒンジ部4の回動により、ディスプレイユニット3の開閉が可能になる。また、本体ユニット2には、キーボード5やタッチパッド6などの入力デバイスが設けられている。さらに、本体ユニット2は、本体カバー10、11、12により覆われている。また、ディスプレイユニット3は、ディスプレイ8と、ディスプレイキャビネット9とにより構成される。ディスプレイ8としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどが用いられる。また、ディスプレイキャビネット9は、例えば、合成樹脂などにより形成される。
【0024】
また、ディスプレイキャビネット9の内部には、後述するアンテナ23などの部材が形成される。アンテナ23は、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線WAN、WiMAX、UWB、GPSなどの通信方式、或いは、携帯電話方式に基づく無線通信を行う際に利用される。なお、LANはLocal Area Networkの略である。また、WANはWide Area Networkの略である。また、WiMAXはWorldwide Interoperability for Microwave Accessの略である。また、UWBはUltra Wide Bandの略である。また、GPSはGlobal Positioning Systemの略である。また、こうした通信規格に対応するため、電子機器1には、対応する通信規格に準拠した無線通信モジュール(非図示)が搭載される。
【0025】
また、図2に示すように、ディスプレイキャビネット9の外面には、ロゴMが形成される。図2の例では、ディスプレイキャビネット9の外面に2つのロゴMが形成されているが、ロゴMの個数は2つに限定されない。例えば、ロゴMの個数は1つでもよいし、3個以上のロゴMがディスプレイキャビネット9の外面に形成されていてもよい。なお、ロゴMは、図1に示すように、本体ユニットを覆う本体カバー11の上面に形成されていてもよい。つまり、ロゴMが形成される位置は、ディスプレイキャビネット9の外面に限定されない。但し、説明の都合上、以下では、ディスプレイキャビネット9の外面に形成されたロゴM(特に、図2に示した領域Aに形成されたロゴM)に注目して説明を進める。
【0026】
以上、本実施形態に係る技術を適用可能な電子機器1の構成例について説明した。本実施形態は、アンテナ23が形成された領域の構造に特徴がある。そこで、以下では、この特徴的な構造について詳細に説明する。但し、説明の都合上、図2に示した領域Aにアンテナ23が形成されているものとし、この領域Aに形成されたアンテナ23及びロゴMに注目して説明を進めることにする。もちろん、アンテナ23の設置場所やロゴMの形状などは、図2に例示した構成に限定されないことは言うまでもない。
【0027】
[2−2:アンテナ設置部分の構造#1(金属ロゴ)]
まず、注目するロゴMが金属材料で形成されている場合におけるアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。なお、ロゴMの一部だけが金属材料で形成されていてもよいが、ここではロゴM全体が金属材料で形成されているものとして説明を進める。
【0028】
(2−2−1:構成例A(ロゴ≠アンテナ))
図3を参照する。図3は、図2に示した領域Aにおけるアンテナ23、給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例A)を模式的に示したものである。図3に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、アンテナ23及び給電線26はロゴMに接続される。ロゴMが金属材料で形成されているため、給電線26とアンテナ23とが直接接続されていなくても、給電線26を通じて供給された電流は、ロゴMを通じてアンテナ23に供給される。このような構成にすることで、アンテナ23と給電線26とを電気的に接続する経路をシンプルにしたり、給電線26の接続工程を簡略化したりすることが可能になる。以下、アンテナ23、ロゴM、及び給電線26の設置部分における構造的特徴について、図4を参照しながら、より詳細に説明する。
【0029】
図4は、アンテナ23及びロゴMが配置された領域をX−Z面で切断した断面図である。図4に示すように、電子機器1の筐体21上には、塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25、及びロゴMが積層形成されている。また、筐体21の一部には穴が形成され、この穴を塞ぐようにロゴMが形成されている。そのため、ロゴMの一部が穴を通じて筐体21の内部に露出している。
【0030】
また、筐体21の内部から配線される給電線26は、筐体21に形成された穴を通じてロゴMに接続されている。このように、筐体21の穴を通じて筐体21の内部にロゴMの一部が露出していることにより、給電線26の配線が容易になる。また、図4に示すように、ロゴMの一部がアンテナ23に接触しており、ロゴMとアンテナ23とが電気的に接続されている。従って、給電線26に電流を流すと、ロゴMを介してアンテナ23に給電される。
【0031】
ここで、各層の構成について、より詳細に説明する。
【0032】
筐体21は、合成樹脂などの非導体材料により形成される。また、筐体21の外面上には、アンテナ23が形成される。アンテナ23は、例えば、アルミニウム、金、銀、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、アンテナ23は、例えば、真空蒸着、スクリーン印刷、スプレー塗装、スパッタリング、メッキなどの方法により筐体21の外面に薄膜状に形成される。また、筐体21の外面には、筐体21の穴を塞がないように、アンテナ23と略同じ厚みを有する塗装層22が形成される。
【0033】
また、アンテナ23及び塗装層22で形成されたベース層の上面には、筐体21の穴を塞ぐようにロゴMが配置される。ロゴMは、一部がアンテナ23に接触し、一部が筐体21の穴に露出するように配置される。ロゴMは、例えば、アルミニウム、金、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、ロゴMが載置されていないベース層の上面には、着色層24が形成される。さらに、着色層24の表面には、トップコート層25が形成される。トップコート層25は、各層を保護するためのものであり、例えば、アクリルやポリウレタンなどの素材で形成される。なお、塗装層22、着色層24、トップコート層25は、例えば、スクリーン印刷、IMD(In Mold Design)、IMF(In−Mould Forming)などの方法で形成される。
【0034】
塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25の厚みは、それぞれ10μm〜30μm程度である。一方、ロゴMの厚みは、50μm〜300μm程度である。また、ロゴMの厚みは、塗装層22、着色層24、トップコート層25で構成される加飾層の厚みよりも大きい。従って、ロゴMの強度は、加飾層の強度よりも高くなる。そのため、筐体21の穴をロゴMで覆うことにより、筐体21の穴が形成された部分で撓みが生じることがない。また、ロゴMが十分な厚みを持つことで、給電線26とロゴMとの接続部分が外部から隠れ、当該接続部分を隠すための特別な仕組みを設けずとも良好な体裁が実現される。このように、他の層よりも厚みのあるロゴMを給電線路に利用することで、給電線26の接続容易性、十分な強度の確保、良好な体裁が実現される。
【0035】
以上、構成例Aについて説明した。ここではロゴMを給電経路の一部として利用する構成について説明したが、ロゴMが金属材料で形成されている場合、ロゴM自体をアンテナ素子として利用する構成も考えられる。以下では、このような構成について説明する。
【0036】
(2−2−2:構成例B(ロゴ=アンテナ))
図5を参照する。図5は、図2に示した領域Aにおける給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例B)を模式的に示したものである。図5に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、給電線26は金属材料で形成されたロゴMに接続される。そして、給電線26を通じて供給された電流は、ロゴMに供給される。構成例Bの場合、ロゴMがアンテナ素子として機能する。そのため、別途アンテナ素子を設ける必要がない。また、給電経路がシンプルになる点、及び給電線26の接続工程を簡略化できる点などは、上記の構成例Aと同様である。なお、塗装層22、着色層24、トップコート層25の構成、ロゴMの配置なども上記の構成例Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
以上、構成例Bについて説明した。構成例BのようにロゴMをアンテナ素子として利用することにより、塗装層22を形成する工程などが簡略化される。また、アンテナ素子を別途設ける必要がなくなり、部品点数を低減することができる。その結果、上記の構成例Aに比べ、製造コストを抑制することが可能になる。但し、アンテナ性能や指向性の制御などを考慮した場合、上記の構成例Aを採用する方が有用なケースもあるため、実施の態様に応じて構成例A又はBの中で好適な構成を選択することが好ましい。
【0038】
[2−3:アンテナ設置部分の構造#2(非金属ロゴ)]
次に、注目するロゴMが非金属材料で形成されている場合におけるアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。
【0039】
(2−3−1:構成例C(直接配線))
図6を参照する。図6は、図2に示した領域Aにおけるアンテナ23、給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例C)を模式的に示したものである。なお、構成例Cにおいて、ロゴMは合成樹脂などの非金属材料で形成されている。図6に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、ロゴMの下部には、給電線26を配線可能な間隙が設けられている。この間隙にはアンテナ23の一部が露出しており、筐体21の穴を通じて挿入された給電線26は、間隙に露出したアンテナ23の一部に接続される。
【0040】
ここで、各層の構成について、より詳細に説明する。
【0041】
筐体21は、合成樹脂などの非導体材料により形成される。また、筐体21の外面上には、アンテナ23が形成される。アンテナ23は、例えば、アルミニウム、金、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、アンテナ23は、例えば、真空蒸着、スクリーン印刷、スプレー塗装、スパッタリング、メッキなどの方法により筐体21の外面に薄膜状に形成される。また、筐体21の外面には、筐体21の穴を塞がないように、アンテナ23と略同じ厚みを有する塗装層22が形成される。但し、ロゴMの下部に位置する塗装層22のうち、アンテナ23に接する部分は、アンテナ23よりも薄く形成されるか、省略される。このような構成にすることで、ロゴMの下部に給電線26が配線可能な間隙が形成される。
【0042】
また、ロゴMは、アンテナ23及び塗装層22で構成されるベース層の一部で支持され、筐体21の穴を塞ぐように配置される。また、ロゴMが載置されていないベース層の上面には、着色層24が形成される。さらに、着色層24の表面には、トップコート層25が形成される。トップコート層25は、各層を保護するためのものであり、例えば、アクリルやポリウレタンなどの素材で形成される。なお、塗装層22、着色層24、トップコート層25は、例えば、スクリーン印刷、IMD、IMRなどの方法で形成される。
【0043】
塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25の厚みは、それぞれ10μm〜30μm程度である。一方、ロゴMの厚みは、50μm〜300μm程度である。また、ロゴMの厚みは、塗装層22、着色層24、トップコート層25で構成される加飾層の厚みよりも大きい。そのため、筐体21の穴をロゴMで覆うことにより、筐体21の穴が形成された部分で撓みが生じることがない。また、ロゴMが十分な厚みを持つことで、給電線26の配線部分が外部から隠れ、当該配線部分を隠すための特別な仕組みを設けずとも良好な体裁が実現される。このように、他の層よりも厚みのあるロゴMで筐体21の穴を被覆することで、十分な強度の確保、良好な体裁が実現される。
【0044】
以上、構成例Cについて説明した。ここではロゴMの下部に給電線26を配線する構成について説明したが、給電経路の構成方法はこれに限らない。以下では、給電経路の構成方法の一例として、ロゴMの下面に金属層を設け、この金属層を給電経路に利用する構成方法を紹介する。
【0045】
(2−3−2:構成例D(金属層))
図7を参照する。図7は、図2に示した領域Aにおけるアンテナ23、給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例D)を模式的に示したものである。なお、構成例Dにおいて、ロゴMは合成樹脂などの非金属材料で形成されている。図7に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、ロゴMの下面には、金属層27が形成されている。この金属層27は、例えば、アルミニウム、金、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、金属層27は、例えば、真空蒸着、スクリーン印刷、スプレー塗装、スパッタリング、メッキなどの方法によりロゴMの下面に薄膜状に形成される。
【0046】
また、金属層27には、給電線26が接続されている。さらに、金属層27は、アンテナ23と接触するように配置されている。そのため、給電線26とアンテナ23とが直接接続されていなくても、給電線26を通じて供給された電流は、金属層27を通じてアンテナ23に供給される。このような構成にすることで、アンテナ23と給電線26とを電気的に接続する経路をシンプルにしたり、給電線26の接続工程を簡略化したりすることが可能になる。以下、アンテナ23、金属層27、ロゴM、及び給電線26の設置部分における構造的特徴について、図7を参照しながら、より詳細に説明する。
【0047】
図7は、アンテナ23及びロゴMが配置された領域をX−Z面で切断した断面図である。図7に示すように、電子機器1の筐体21上には、塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25、金属層27、及びロゴMが積層形成されている。また、筐体21の一部には穴が形成され、この穴を塞ぐようにロゴMが形成されている。また、ロゴMの下面には金属層27が形成されている。そのため、金属層27の一部が穴を通じて筐体21の内部に露出している。
【0048】
また、筐体21の内部から配線される給電線26は、筐体21に形成された穴を通じて金属層27に接続されている。このように、筐体21の穴を通じて筐体21の内部にロゴM下面の金属層27が一部露出していることにより、給電線26の配線が容易になる。また、図7に示すように、ロゴM下面の金属層27の一部がアンテナ23に接触しており、金属層27とアンテナ23とが電気的に接続されている。従って、給電線26に電流を流すと、金属層27を介してアンテナ23に給電される。
【0049】
なお、塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25の構成については上記の構成例Aと同様である。但し、構成例Dの場合、ロゴMと金属層27とを合わせた厚みが、加飾層の厚みよりも十分に大きくなるように形成されていればよい。例えば、ロゴMと金属層27とを合わせた厚みは、50μm〜300μm程度に設定される。構成例Dの場合も、筐体21の穴を十分に厚みのあるロゴMで覆うため、筐体21の穴が形成された部分で撓みが生じることがない。また、給電線26の配線部分が外部から隠れ、当該配線部分を隠すための特別な仕組みを設けずとも良好な体裁が実現される。このように、給電線26の接続容易性、十分な強度の確保、良好な体裁が実現される。
【0050】
以上、構成例Dについて説明した。ここではロゴM下面の金属層27を給電経路の一部として利用する構成について説明したが、例えば、ロゴM下面の金属層27をアンテナ素子として利用する構成も考えられる。金属層27をアンテナ素子として利用する場合、ロゴMよりも形状設計の自由度が高いため、よりアンテナ性能の高いパターンに金属層27を形成することで、より高い通信性能を実現することが可能になることがある。
【0051】
以上、本技術の一実施形態について説明した。
【0052】
<3:まとめ>
最後に、本実施形態の技術的思想について簡単に纏める。以下に記載する技術的思想は、例えば、PC、携帯電話、ゲーム機、情報端末、情報家電、無線基地局、無線通信端末、テレビジョン受像機、セットトップボックス、録画再生装置、撮像装置、カーナビゲーションシステムなど、種々の電子機器のアンテナ設置部分に適用可能である。
【0053】
本実施形態に係る電子機器の構成は次のように表現することができる。例えば、下記(1)に記載の電子機器は、ロゴマークの導体部分を導電経路に利用している。また、当該電子機器は、ロゴマークの導体部分を筐体の穴に露出させ、その露出部分に給電線を接続することが可能な構造になっている。そのため、給電線の接続が容易である。また、アンテナ素子を外部に引き出すなど、アンテナ素子を給電線に接続するための複雑な機構を用意する必要がない。その結果、製造コストを低減することが可能になる。
【0054】
また、筐体の穴がロゴマークにより被覆されるため、給電線の接続部分が綺麗に隠れ、体裁良く仕上がるという功を奏する。さらに、加飾層に比べて強度の高いロゴマークにより筐体の穴が塞がれるため、筐体の穴が形成された部分に撓みが生じることを防げる。こうした理由から、下記(1)に記載の構成を適用すると、アンテナ設置箇所の見栄えを損なわず、製造コストを低減することが可能になる。なお、下記(2)及び(3)に記載の電子機器についても、給電線の接続容易性を実現するための工夫や体裁を損なわないための工夫が含まれており、下記(1)に記載の構成と同様に、アンテナ設置箇所の見栄えを損なわず、製造コストを低減することが可能になる。
【0055】
(1)
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【0056】
(2)
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記筐体の穴に露出し、当該導体部分がアンテナ素子となるロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【0057】
(3)
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
前記筐体の内側から前記筐体の穴を通じて配線され、前記アンテナ素子に給電するために設けられた給電線と、
非導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置されたロゴマークと、
を備える、
電子機器。
【0058】
(4)
前記給電線は、前記筐体の外面と前記ロゴマークの一面との間に形成された間隙を通じて配線され、当該間隙に露出する前記アンテナ素子の一部に接続される、
上記(3)に記載の電子機器。
【0059】
(5)
導体で形成され、一部が前記アンテナ素子に接触し、他の一部が前記筐体の穴に露出するように前記ロゴマークの下部に形成された導体層をさらに備え、
前記給電線は、前記導体層に接続される、
上記(3)に記載の電子機器。
【0060】
(6)
前記アンテナ素子及び前記筐体の外面を被覆する加飾層をさらに備え、
前記ロゴマークの厚みは、前記加色層の厚みよりも大きい、
上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子機器。
【0061】
(7)
前記ロゴマークの強度は、前記加飾層の強度よりも高い、
上記(6)に記載の電子機器。
【0062】
(8)
送信信号に応じて前記給電線への給電パターンを制御し、外部機器との間で無線通信することが可能な無線通信モジュールをさらに備える、
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電子機器。
【0063】
(備考)
上記のアンテナ23は、アンテナ素子の一例である。また、上記の塗装層22、着色層24、トップコート層25は、加色層の一例である。また、上記のロゴMは、ロゴマークの一例である。また、上記の金属層27は、導体層の一例である。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本技術に係る好適な実施形態について説明したが、本技術はここで開示した構成例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本技術の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
1 電子機器
2 本体ユニット
2a 機器接続ポート
2b 光学ドライブ
3 ディスプレイユニット
4 ヒンジ部
5 キーボード
6 タッチパッド
8 ディスプレイ
9 ディスプレイキャビネット
10、11、12 本体カバー
21、91、91A、91B 筐体
22、92 塗装層
23、93 アンテナ
24、94 着色層
25、95 トップコート層
26、96 給電線
27 金属層
97 蓋
98 アンテナ内蔵インサートフィルム
M ロゴ
【技術分野】
【0001】
本技術は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、筐体外面に平面アンテナやモノポールアンテナなどの小型アンテナを搭載した電子機器が実用化されている。筐体外面に小型アンテナを搭載する技術に関し、例えば、下記の特許文献1には、筐体外面にアルミ蒸着した金属層を設け、この金属層をアンテナ素子として利用する技術が開示されている。このようにアンテナ素子を筐体外面に形成した場合、筐体内部に配置される電源からアンテナ素子への給電経路を確保する必要がある。同文献には、筐体を貫通するインサートナットを設け、このインサートナットを通じて筐体内部に配置された電源からアンテナ素子へと給電する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−135586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インサートナットを設けると、インサートナットの設置部分に対応する筐体表面の加飾が難しくなってしまう。また、給電経路を確保するためにインサートナットを設けるのは、部品点数の増加や製造工程の煩雑さを招き、製造コストの増大をもたらす。また、板金やボルトなどを利用してアンテナ素子への給電経路を構築する場合においても、体裁を良く見せるために、これらの接続部材が筐体の外側から見えないように隠す構造が必要になる。そこで、本技術は、上記のような事情を受けて考案されたものであり、アンテナ部分の見栄えを損なわずに製造コストを抑制することが可能な、新規かつ改良された電子機器を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術のある観点によれば、非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、を備える、電子機器が提供される。
【0006】
また、本技術の別の観点によれば、非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記筐体の穴に露出し、当該導体部分がアンテナ素子となるロゴマークと、前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、を備える、電子機器が提供される。
【0007】
また、本技術の別の観点によれば、非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、前記筐体の内側から前記筐体の穴を通じて配線され、前記アンテナ素子に給電するために設けられた給電線と、非導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置されたロゴマークと、を備える、電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本技術によれば、アンテナ部分の見栄えを損なわずに製造コストを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る電子機器の一構成例を示した説明図である。
【図2】本実施形態に係る電子機器の一構成例を示した説明図である。
【図3】本実施形態に係る電子機器のアンテナ構成例及び給電線の配線例を示した説明図である。
【図4】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図5】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図6】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図7】本実施形態に係る電子機器のアンテナ設置部分に関する構造の一例を示した説明図である。
【図8】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【図9】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【図10】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【図11】給電線の接続構成に関する検討内容を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本技術に係る好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する説明の流れについて簡単に述べる。
【0012】
まず、図8〜図11を参照しながら、アンテナ素子に給電線を接続する仕組みについて検討した内容を説明する。次いで、図1及び図2を参照しながら、検討結果を踏まえて考案された本実施形態に係る仕組みを適用可能な電子機器1の構成例について説明する。次いで、図3〜図5を参照しながら、ロゴMが金属材料で形成されている場合における本実施形態に係るアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。次いで、図6及び図7を参照しながら、ロゴMが非金属材料で形成されている場合における本実施形態に係るアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。
【0013】
最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0014】
(説明項目)
1:はじめに
2:実施形態
2−1:電子機器1の構成例
2−2:アンテナ設置部分の構造#1(金属ロゴ)
2−2−1:構成例A(ロゴ≠アンテナ)
2−2−2:構成例B(ロゴ=アンテナ)
2−3:アンテナ設置部分の構造#2(非金属ロゴ)
2−3−1:構成例C(直接配線)
2−3−2:構成例D(金属層)
3:まとめ
【0015】
<1:はじめに>
はじめに、筐体内部に配置された電源からアンテナ素子へと給電するための給電経路について考えうる構成及び各構成の有用性や課題について検討した結果について述べる。
【0016】
図8に示すように、合成樹脂などの非導体で形成された筐体91の外面には、塗装層92、アンテナ93、着色層94、トップコート層95などが積層形成される。このようにして筐体91の外側にアンテナ93を設置する構成は、筐体91の小型化やアンテナ性能の向上に寄与する。アンテナ93は、メッキやアンテナパターンを内蔵したフィルムのインサート成形などにより形成される。また、塗装層92、着色層94、トップコート層95で構成される加飾層は、塗装や熱転写により形成される。なお、フィルムインサートの場合は、アンテナ93の形成と加飾層の形成とが同時に実施される。
【0017】
ここで、アンテナ93への給電経路について考えてみよう。図8に示すように、アンテナ93へと電流を供給するための電源(非図示)及び給電経路を成す給電線96は、筐体91の内部に設置される。そのため、電源から引き出された給電線96をアンテナ93に対して電気的に接続する必要がある。その方法として、例えば、図9に示すように、筐体91に穴を設け、アンテナ93の一部を筐体91の内部に引き込む構成が考えられる。この構成を適用すると、筐体91の内部にアンテナ93の一部が引き込まれているため、給電線96をアンテナ93に対して容易に接続することが可能になる。しかし、筐体91に穴を設けるため、この穴を隠すための蓋97を設置する必要がある。また、アンテナ93を筐体91の内部まで引き込むため、設計及び製造工程が煩雑化してしまう。
【0018】
また、図10に示すように、筐体91に穴を設け、その穴を塞ぐようにIML(In−mold Label)などのアンテナ内蔵インサートフィルム98を配置する構成も考えられる。特に、アンテナ部分が筐体91の穴に露出するように配置することで、筐体91の穴から給電線96を挿入してアンテナ部分に給電線96を容易に接続することが可能になる。しかし、筐体91に形成された穴の部分でアンテナ内蔵インサートフィルム98に撓みが生じ、体裁に凹凸が生じてしまう可能性がある。また、アンテナ部分と給電線96との接続部分がアンテナ内蔵インサートフィルム98だけで支持されることとなり、強度不足となることが否めない。
【0019】
また、図11に示すように、アンテナ93を筐体91Aの外周に回り込ませ、筐体91A、91Bで囲まれる筐体内部に引き込む構成も考えられる。この構成を適用すると、筐体91Aに穴を設ける必要がなくなり、体裁良く仕上げることが可能になる。しかし、筐体91Aと筐体91Bとの接続部分にアンテナ93の一部を挟み込むことになるため、アンテナ93の一部が磨耗して断線する恐れがある。また、アンテナ93の一部を延伸させる必要があるため、設計及び製造工程が煩雑化してしまう。さらに、アンテナ93を延伸させる分だけ材料コストも増加してしまう。その他にも、穴の形状を工夫したり、電磁誘導を利用してアンテナ93に電力を供給する方法なども考えられるが、いずれも設計の煩雑さや製造コストの増加などが懸念される。
【0020】
上記のように、様々な構成について検討した結果、本件発明者は、筐体外面に形成されるロゴを利用し、体裁を損なわずに製造コストを抑制することが可能な構成に想到した。以下で説明する実施形態の構成を適用すると、体裁に影響を与えずに、使用部品の低減、配線隠蔽の簡単化、加飾の容易化などが実現される。もちろん、図11に示した構成のような磨耗による断線の危険性などもなく、信頼性の向上にも寄与する。
【0021】
<2:実施形態>
以下、本技術の一実施形態について説明する。
【0022】
[2−1:電子機器1の構成例]
まず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の構成例について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る電子機器1の構成例について説明するための説明図である。なお、図1及び図2には、電子機器1の一構成例として、ノート型パーソナルコンピュータの外観が記載されているが、本実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、携帯電話、ゲーム機、情報端末、情報家電、無線基地局、無線通信端末、テレビジョン受像機、セットトップボックス、録画再生装置、撮像装置、カーナビゲーションシステムなどにも適用可能である。但し、説明の都合上、以下では図1及び図2に例示した外観を想定して説明を進める。
【0023】
図1に示すように、電子機器1は、本体ユニット2と、ディスプレイユニット3と、ヒンジ部4とにより構成される。ヒンジ部4は、本体ユニット2とディスプレイユニット3とを接続する。また、ヒンジ部4の回動により、ディスプレイユニット3の開閉が可能になる。また、本体ユニット2には、キーボード5やタッチパッド6などの入力デバイスが設けられている。さらに、本体ユニット2は、本体カバー10、11、12により覆われている。また、ディスプレイユニット3は、ディスプレイ8と、ディスプレイキャビネット9とにより構成される。ディスプレイ8としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどが用いられる。また、ディスプレイキャビネット9は、例えば、合成樹脂などにより形成される。
【0024】
また、ディスプレイキャビネット9の内部には、後述するアンテナ23などの部材が形成される。アンテナ23は、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、無線WAN、WiMAX、UWB、GPSなどの通信方式、或いは、携帯電話方式に基づく無線通信を行う際に利用される。なお、LANはLocal Area Networkの略である。また、WANはWide Area Networkの略である。また、WiMAXはWorldwide Interoperability for Microwave Accessの略である。また、UWBはUltra Wide Bandの略である。また、GPSはGlobal Positioning Systemの略である。また、こうした通信規格に対応するため、電子機器1には、対応する通信規格に準拠した無線通信モジュール(非図示)が搭載される。
【0025】
また、図2に示すように、ディスプレイキャビネット9の外面には、ロゴMが形成される。図2の例では、ディスプレイキャビネット9の外面に2つのロゴMが形成されているが、ロゴMの個数は2つに限定されない。例えば、ロゴMの個数は1つでもよいし、3個以上のロゴMがディスプレイキャビネット9の外面に形成されていてもよい。なお、ロゴMは、図1に示すように、本体ユニットを覆う本体カバー11の上面に形成されていてもよい。つまり、ロゴMが形成される位置は、ディスプレイキャビネット9の外面に限定されない。但し、説明の都合上、以下では、ディスプレイキャビネット9の外面に形成されたロゴM(特に、図2に示した領域Aに形成されたロゴM)に注目して説明を進める。
【0026】
以上、本実施形態に係る技術を適用可能な電子機器1の構成例について説明した。本実施形態は、アンテナ23が形成された領域の構造に特徴がある。そこで、以下では、この特徴的な構造について詳細に説明する。但し、説明の都合上、図2に示した領域Aにアンテナ23が形成されているものとし、この領域Aに形成されたアンテナ23及びロゴMに注目して説明を進めることにする。もちろん、アンテナ23の設置場所やロゴMの形状などは、図2に例示した構成に限定されないことは言うまでもない。
【0027】
[2−2:アンテナ設置部分の構造#1(金属ロゴ)]
まず、注目するロゴMが金属材料で形成されている場合におけるアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。なお、ロゴMの一部だけが金属材料で形成されていてもよいが、ここではロゴM全体が金属材料で形成されているものとして説明を進める。
【0028】
(2−2−1:構成例A(ロゴ≠アンテナ))
図3を参照する。図3は、図2に示した領域Aにおけるアンテナ23、給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例A)を模式的に示したものである。図3に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、アンテナ23及び給電線26はロゴMに接続される。ロゴMが金属材料で形成されているため、給電線26とアンテナ23とが直接接続されていなくても、給電線26を通じて供給された電流は、ロゴMを通じてアンテナ23に供給される。このような構成にすることで、アンテナ23と給電線26とを電気的に接続する経路をシンプルにしたり、給電線26の接続工程を簡略化したりすることが可能になる。以下、アンテナ23、ロゴM、及び給電線26の設置部分における構造的特徴について、図4を参照しながら、より詳細に説明する。
【0029】
図4は、アンテナ23及びロゴMが配置された領域をX−Z面で切断した断面図である。図4に示すように、電子機器1の筐体21上には、塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25、及びロゴMが積層形成されている。また、筐体21の一部には穴が形成され、この穴を塞ぐようにロゴMが形成されている。そのため、ロゴMの一部が穴を通じて筐体21の内部に露出している。
【0030】
また、筐体21の内部から配線される給電線26は、筐体21に形成された穴を通じてロゴMに接続されている。このように、筐体21の穴を通じて筐体21の内部にロゴMの一部が露出していることにより、給電線26の配線が容易になる。また、図4に示すように、ロゴMの一部がアンテナ23に接触しており、ロゴMとアンテナ23とが電気的に接続されている。従って、給電線26に電流を流すと、ロゴMを介してアンテナ23に給電される。
【0031】
ここで、各層の構成について、より詳細に説明する。
【0032】
筐体21は、合成樹脂などの非導体材料により形成される。また、筐体21の外面上には、アンテナ23が形成される。アンテナ23は、例えば、アルミニウム、金、銀、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、アンテナ23は、例えば、真空蒸着、スクリーン印刷、スプレー塗装、スパッタリング、メッキなどの方法により筐体21の外面に薄膜状に形成される。また、筐体21の外面には、筐体21の穴を塞がないように、アンテナ23と略同じ厚みを有する塗装層22が形成される。
【0033】
また、アンテナ23及び塗装層22で形成されたベース層の上面には、筐体21の穴を塞ぐようにロゴMが配置される。ロゴMは、一部がアンテナ23に接触し、一部が筐体21の穴に露出するように配置される。ロゴMは、例えば、アルミニウム、金、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、ロゴMが載置されていないベース層の上面には、着色層24が形成される。さらに、着色層24の表面には、トップコート層25が形成される。トップコート層25は、各層を保護するためのものであり、例えば、アクリルやポリウレタンなどの素材で形成される。なお、塗装層22、着色層24、トップコート層25は、例えば、スクリーン印刷、IMD(In Mold Design)、IMF(In−Mould Forming)などの方法で形成される。
【0034】
塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25の厚みは、それぞれ10μm〜30μm程度である。一方、ロゴMの厚みは、50μm〜300μm程度である。また、ロゴMの厚みは、塗装層22、着色層24、トップコート層25で構成される加飾層の厚みよりも大きい。従って、ロゴMの強度は、加飾層の強度よりも高くなる。そのため、筐体21の穴をロゴMで覆うことにより、筐体21の穴が形成された部分で撓みが生じることがない。また、ロゴMが十分な厚みを持つことで、給電線26とロゴMとの接続部分が外部から隠れ、当該接続部分を隠すための特別な仕組みを設けずとも良好な体裁が実現される。このように、他の層よりも厚みのあるロゴMを給電線路に利用することで、給電線26の接続容易性、十分な強度の確保、良好な体裁が実現される。
【0035】
以上、構成例Aについて説明した。ここではロゴMを給電経路の一部として利用する構成について説明したが、ロゴMが金属材料で形成されている場合、ロゴM自体をアンテナ素子として利用する構成も考えられる。以下では、このような構成について説明する。
【0036】
(2−2−2:構成例B(ロゴ=アンテナ))
図5を参照する。図5は、図2に示した領域Aにおける給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例B)を模式的に示したものである。図5に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、給電線26は金属材料で形成されたロゴMに接続される。そして、給電線26を通じて供給された電流は、ロゴMに供給される。構成例Bの場合、ロゴMがアンテナ素子として機能する。そのため、別途アンテナ素子を設ける必要がない。また、給電経路がシンプルになる点、及び給電線26の接続工程を簡略化できる点などは、上記の構成例Aと同様である。なお、塗装層22、着色層24、トップコート層25の構成、ロゴMの配置なども上記の構成例Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
以上、構成例Bについて説明した。構成例BのようにロゴMをアンテナ素子として利用することにより、塗装層22を形成する工程などが簡略化される。また、アンテナ素子を別途設ける必要がなくなり、部品点数を低減することができる。その結果、上記の構成例Aに比べ、製造コストを抑制することが可能になる。但し、アンテナ性能や指向性の制御などを考慮した場合、上記の構成例Aを採用する方が有用なケースもあるため、実施の態様に応じて構成例A又はBの中で好適な構成を選択することが好ましい。
【0038】
[2−3:アンテナ設置部分の構造#2(非金属ロゴ)]
次に、注目するロゴMが非金属材料で形成されている場合におけるアンテナ設置部分の構造について詳細に説明する。
【0039】
(2−3−1:構成例C(直接配線))
図6を参照する。図6は、図2に示した領域Aにおけるアンテナ23、給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例C)を模式的に示したものである。なお、構成例Cにおいて、ロゴMは合成樹脂などの非金属材料で形成されている。図6に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、ロゴMの下部には、給電線26を配線可能な間隙が設けられている。この間隙にはアンテナ23の一部が露出しており、筐体21の穴を通じて挿入された給電線26は、間隙に露出したアンテナ23の一部に接続される。
【0040】
ここで、各層の構成について、より詳細に説明する。
【0041】
筐体21は、合成樹脂などの非導体材料により形成される。また、筐体21の外面上には、アンテナ23が形成される。アンテナ23は、例えば、アルミニウム、金、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、アンテナ23は、例えば、真空蒸着、スクリーン印刷、スプレー塗装、スパッタリング、メッキなどの方法により筐体21の外面に薄膜状に形成される。また、筐体21の外面には、筐体21の穴を塞がないように、アンテナ23と略同じ厚みを有する塗装層22が形成される。但し、ロゴMの下部に位置する塗装層22のうち、アンテナ23に接する部分は、アンテナ23よりも薄く形成されるか、省略される。このような構成にすることで、ロゴMの下部に給電線26が配線可能な間隙が形成される。
【0042】
また、ロゴMは、アンテナ23及び塗装層22で構成されるベース層の一部で支持され、筐体21の穴を塞ぐように配置される。また、ロゴMが載置されていないベース層の上面には、着色層24が形成される。さらに、着色層24の表面には、トップコート層25が形成される。トップコート層25は、各層を保護するためのものであり、例えば、アクリルやポリウレタンなどの素材で形成される。なお、塗装層22、着色層24、トップコート層25は、例えば、スクリーン印刷、IMD、IMRなどの方法で形成される。
【0043】
塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25の厚みは、それぞれ10μm〜30μm程度である。一方、ロゴMの厚みは、50μm〜300μm程度である。また、ロゴMの厚みは、塗装層22、着色層24、トップコート層25で構成される加飾層の厚みよりも大きい。そのため、筐体21の穴をロゴMで覆うことにより、筐体21の穴が形成された部分で撓みが生じることがない。また、ロゴMが十分な厚みを持つことで、給電線26の配線部分が外部から隠れ、当該配線部分を隠すための特別な仕組みを設けずとも良好な体裁が実現される。このように、他の層よりも厚みのあるロゴMで筐体21の穴を被覆することで、十分な強度の確保、良好な体裁が実現される。
【0044】
以上、構成例Cについて説明した。ここではロゴMの下部に給電線26を配線する構成について説明したが、給電経路の構成方法はこれに限らない。以下では、給電経路の構成方法の一例として、ロゴMの下面に金属層を設け、この金属層を給電経路に利用する構成方法を紹介する。
【0045】
(2−3−2:構成例D(金属層))
図7を参照する。図7は、図2に示した領域Aにおけるアンテナ23、給電線26、及びロゴMの配置構成(以下、構成例D)を模式的に示したものである。なお、構成例Dにおいて、ロゴMは合成樹脂などの非金属材料で形成されている。図7に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、ロゴMの下面には、金属層27が形成されている。この金属層27は、例えば、アルミニウム、金、鉄、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材料により形成される。また、金属層27は、例えば、真空蒸着、スクリーン印刷、スプレー塗装、スパッタリング、メッキなどの方法によりロゴMの下面に薄膜状に形成される。
【0046】
また、金属層27には、給電線26が接続されている。さらに、金属層27は、アンテナ23と接触するように配置されている。そのため、給電線26とアンテナ23とが直接接続されていなくても、給電線26を通じて供給された電流は、金属層27を通じてアンテナ23に供給される。このような構成にすることで、アンテナ23と給電線26とを電気的に接続する経路をシンプルにしたり、給電線26の接続工程を簡略化したりすることが可能になる。以下、アンテナ23、金属層27、ロゴM、及び給電線26の設置部分における構造的特徴について、図7を参照しながら、より詳細に説明する。
【0047】
図7は、アンテナ23及びロゴMが配置された領域をX−Z面で切断した断面図である。図7に示すように、電子機器1の筐体21上には、塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25、金属層27、及びロゴMが積層形成されている。また、筐体21の一部には穴が形成され、この穴を塞ぐようにロゴMが形成されている。また、ロゴMの下面には金属層27が形成されている。そのため、金属層27の一部が穴を通じて筐体21の内部に露出している。
【0048】
また、筐体21の内部から配線される給電線26は、筐体21に形成された穴を通じて金属層27に接続されている。このように、筐体21の穴を通じて筐体21の内部にロゴM下面の金属層27が一部露出していることにより、給電線26の配線が容易になる。また、図7に示すように、ロゴM下面の金属層27の一部がアンテナ23に接触しており、金属層27とアンテナ23とが電気的に接続されている。従って、給電線26に電流を流すと、金属層27を介してアンテナ23に給電される。
【0049】
なお、塗装層22、アンテナ23、着色層24、トップコート層25の構成については上記の構成例Aと同様である。但し、構成例Dの場合、ロゴMと金属層27とを合わせた厚みが、加飾層の厚みよりも十分に大きくなるように形成されていればよい。例えば、ロゴMと金属層27とを合わせた厚みは、50μm〜300μm程度に設定される。構成例Dの場合も、筐体21の穴を十分に厚みのあるロゴMで覆うため、筐体21の穴が形成された部分で撓みが生じることがない。また、給電線26の配線部分が外部から隠れ、当該配線部分を隠すための特別な仕組みを設けずとも良好な体裁が実現される。このように、給電線26の接続容易性、十分な強度の確保、良好な体裁が実現される。
【0050】
以上、構成例Dについて説明した。ここではロゴM下面の金属層27を給電経路の一部として利用する構成について説明したが、例えば、ロゴM下面の金属層27をアンテナ素子として利用する構成も考えられる。金属層27をアンテナ素子として利用する場合、ロゴMよりも形状設計の自由度が高いため、よりアンテナ性能の高いパターンに金属層27を形成することで、より高い通信性能を実現することが可能になることがある。
【0051】
以上、本技術の一実施形態について説明した。
【0052】
<3:まとめ>
最後に、本実施形態の技術的思想について簡単に纏める。以下に記載する技術的思想は、例えば、PC、携帯電話、ゲーム機、情報端末、情報家電、無線基地局、無線通信端末、テレビジョン受像機、セットトップボックス、録画再生装置、撮像装置、カーナビゲーションシステムなど、種々の電子機器のアンテナ設置部分に適用可能である。
【0053】
本実施形態に係る電子機器の構成は次のように表現することができる。例えば、下記(1)に記載の電子機器は、ロゴマークの導体部分を導電経路に利用している。また、当該電子機器は、ロゴマークの導体部分を筐体の穴に露出させ、その露出部分に給電線を接続することが可能な構造になっている。そのため、給電線の接続が容易である。また、アンテナ素子を外部に引き出すなど、アンテナ素子を給電線に接続するための複雑な機構を用意する必要がない。その結果、製造コストを低減することが可能になる。
【0054】
また、筐体の穴がロゴマークにより被覆されるため、給電線の接続部分が綺麗に隠れ、体裁良く仕上がるという功を奏する。さらに、加飾層に比べて強度の高いロゴマークにより筐体の穴が塞がれるため、筐体の穴が形成された部分に撓みが生じることを防げる。こうした理由から、下記(1)に記載の構成を適用すると、アンテナ設置箇所の見栄えを損なわず、製造コストを低減することが可能になる。なお、下記(2)及び(3)に記載の電子機器についても、給電線の接続容易性を実現するための工夫や体裁を損なわないための工夫が含まれており、下記(1)に記載の構成と同様に、アンテナ設置箇所の見栄えを損なわず、製造コストを低減することが可能になる。
【0055】
(1)
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【0056】
(2)
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記筐体の穴に露出し、当該導体部分がアンテナ素子となるロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【0057】
(3)
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
前記筐体の内側から前記筐体の穴を通じて配線され、前記アンテナ素子に給電するために設けられた給電線と、
非導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置されたロゴマークと、
を備える、
電子機器。
【0058】
(4)
前記給電線は、前記筐体の外面と前記ロゴマークの一面との間に形成された間隙を通じて配線され、当該間隙に露出する前記アンテナ素子の一部に接続される、
上記(3)に記載の電子機器。
【0059】
(5)
導体で形成され、一部が前記アンテナ素子に接触し、他の一部が前記筐体の穴に露出するように前記ロゴマークの下部に形成された導体層をさらに備え、
前記給電線は、前記導体層に接続される、
上記(3)に記載の電子機器。
【0060】
(6)
前記アンテナ素子及び前記筐体の外面を被覆する加飾層をさらに備え、
前記ロゴマークの厚みは、前記加色層の厚みよりも大きい、
上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子機器。
【0061】
(7)
前記ロゴマークの強度は、前記加飾層の強度よりも高い、
上記(6)に記載の電子機器。
【0062】
(8)
送信信号に応じて前記給電線への給電パターンを制御し、外部機器との間で無線通信することが可能な無線通信モジュールをさらに備える、
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電子機器。
【0063】
(備考)
上記のアンテナ23は、アンテナ素子の一例である。また、上記の塗装層22、着色層24、トップコート層25は、加色層の一例である。また、上記のロゴMは、ロゴマークの一例である。また、上記の金属層27は、導体層の一例である。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本技術に係る好適な実施形態について説明したが、本技術はここで開示した構成例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本技術の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
1 電子機器
2 本体ユニット
2a 機器接続ポート
2b 光学ドライブ
3 ディスプレイユニット
4 ヒンジ部
5 キーボード
6 タッチパッド
8 ディスプレイ
9 ディスプレイキャビネット
10、11、12 本体カバー
21、91、91A、91B 筐体
22、92 塗装層
23、93 アンテナ
24、94 着色層
25、95 トップコート層
26、96 給電線
27 金属層
97 蓋
98 アンテナ内蔵インサートフィルム
M ロゴ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【請求項2】
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記筐体の穴に露出し、当該導体部分がアンテナ素子となるロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【請求項3】
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
前記筐体の内側から前記筐体の穴を通じて配線され、前記アンテナ素子に給電するために設けられた給電線と、
非導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置されたロゴマークと、
を備える、
電子機器。
【請求項4】
前記給電線は、前記筐体の外面と前記ロゴマークの一面との間に形成された間隙を通じて配線され、当該間隙に露出する前記アンテナ素子の一部に接続される、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
導体で形成され、一部が前記アンテナ素子に接触し、他の一部が前記筐体の穴に露出するように前記ロゴマークの下部に形成された導体層をさらに備え、
前記給電線は、前記導体層に接続される、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記アンテナ素子及び前記筐体の外面を被覆する加飾層をさらに備え、
前記ロゴマークの厚みは、前記加色層の厚みよりも大きい、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ロゴマークの強度は、前記加飾層の強度よりも高い、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
送信信号に応じて前記給電線への給電パターンを制御し、外部機器との間で無線通信することが可能な無線通信モジュールをさらに備える、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項1】
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記アンテナ素子に接触し、当該導体部分の他の一部が前記筐体の穴に露出するロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【請求項2】
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
少なくとも一部が導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置され、導体部分の一部が前記筐体の穴に露出し、当該導体部分がアンテナ素子となるロゴマークと、
前記筐体に形成された穴を通じて前記ロゴマークに接続された給電線と、
を備える、
電子機器。
【請求項3】
非導体材料から成り、一部に穴が形成された筐体と、
前記筐体の外面上に形成されたアンテナ素子と、
前記筐体の内側から前記筐体の穴を通じて配線され、前記アンテナ素子に給電するために設けられた給電線と、
非導体で形成され、前記筐体の穴を塞ぐように配置されたロゴマークと、
を備える、
電子機器。
【請求項4】
前記給電線は、前記筐体の外面と前記ロゴマークの一面との間に形成された間隙を通じて配線され、当該間隙に露出する前記アンテナ素子の一部に接続される、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
導体で形成され、一部が前記アンテナ素子に接触し、他の一部が前記筐体の穴に露出するように前記ロゴマークの下部に形成された導体層をさらに備え、
前記給電線は、前記導体層に接続される、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記アンテナ素子及び前記筐体の外面を被覆する加飾層をさらに備え、
前記ロゴマークの厚みは、前記加色層の厚みよりも大きい、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ロゴマークの強度は、前記加飾層の強度よりも高い、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
送信信号に応じて前記給電線への給電パターンを制御し、外部機器との間で無線通信することが可能な無線通信モジュールをさらに備える、
請求項1に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−98764(P2013−98764A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240120(P2011−240120)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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