説明

電子的にアドレス指定可能なマイクロカプセル化されたインクおよびそのディスプレイ

【課題】印刷可能な論理、ディスプレイおよび作動の分野における従来技術の限界を克服すること。
【解決手段】電子的にアドレシング可能なコントラストメディア、導電体、絶縁体、抵抗器、半導体材料、磁性材料またはスピン材料を含み得る、電子的に活性なインクのシステムを記載する。さらに、前記材料を規定されたパターンで敷設することが可能な印刷システムを記載する。このようなシステムは例えば、駆動論理を搭載したフラットパネルディスプレイを印刷するため、あるいは広範な分類の基材のうち任意のものの上に作動論理回路を印刷するために用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、1996年7月19日に出願された米国仮出願シリアルNo.60/022,222に対する優先権を主張する。この出願の内容全体を、本明細書中で参考として援用する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
現在、導体およびレジスタの印刷は、回路板製造の技術分野においてよく知られている。論理素子を組み込むための標準的な方法は、半導体チップを回路板表面上に実装することである。今のところ、任意の基材上に論理素子を直接印刷するシステムは存在しない。
【0003】
フラットパネルディスプレイドライバの分野には、シリコンまたは他の半導電性材料の真空蒸着により、ガラス上に論理素子を形成し、その後回路および論理素子をエッチングする技術が存在する。このような技術では、真空の必要性およびエッチング工程があるために、任意の表面上に論理素子を形成することができない。
【0004】
フラットパネルディスプレイをもたらすために使用され得る、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディア(contrast media)の分野において、エレクトロルミネセントフィルムおよびエレクトロクロミックフィルム等の発光性および反射性の電子的に活性なフィルム、ポリマーが分散された液晶フィルムおよび二色性微粒子(bichromal microsphere)エラストマースラブ(elastomeric slab)が知られている。しかし、このような直接、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアでは、任意の表面上に印刷を施すことができない。
【0005】
最後に、表面アクチュエータの分野において、エッチングされ得るまたはエッチングされ得ない静電気モータが当該分野において知られている。最初の静電気モータの場合、このようなエッチングされたデバイスは任意の表面上に製造できないという欠点がある。2番目の静電気モータの場合、エッチングされないデバイスは、駆動論理および電子制御を直接、作動表面上に組み込むことができないという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、印刷可能な論理、ディスプレイおよび作動の分野における従来技術の限界を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
概して本発明は、電子的に活性なインクのシステムと、標準的な真空処理またはエッチングを必要とせずに、様々な基材上に任意のパターンでインクを印刷する手段とを提供する。インクは、機械的特性、電気的特性または他の特性を組み込み得、且つ以下の機能を提供し得るが、それらに限定されない:その機能とは、導電性、絶縁性、抵抗性、磁性、半導電性、光変調特性、圧電性、スピン特性、光電子特性または熱電性である。
【0008】
ある実施形態において、本発明は、上部および下部の電極あるいは下部の電極のみによってアドレシングするのに適した、マイクロカプセル化電界動作コントラストインクシステム(microencapsulated electric field actuated contrast ink system)を提供する。このシステムは、二色性双極微粒子電気泳動染料システム(dye system)、液晶エレクトロルミネセント染料システムまたは誘電泳動効果によって動作する。このようなインクシステムは、様々な基材材料のいずれかの上に、電気的にアドレス指定可能なディスプレイを製造するのに有用であり得る。この材料は、薄く、可撓性があり得、且つ安価なディスプレイとなり得る。
【0009】
別の実施形態において、本発明は半導電性インクシステムを提供する。このシステムでは、半導電性材料が結合剤内に分散され、結合剤を固化(cured)すると半導電性を有する濾過構造(percolated structure)が得られる。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、塩の光還元、塩の電子ビーム還元、ジェット電気メッキ、二重ジェット(dual jet)無電界メッキ、不活性ガススパッタリングまたは局部真空熱スパッタリング(local vacuum thermal sputtering)あるいは電子ビーム堆積法によって、金属または半導電性材料を任意のパターンに印刷することが可能なシステムを提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、半導体論理素子および電気光学素子を提供する。これらの素子は、ダイオード素子、トランジスタ素子、発光素子、光検知素子、または太陽電池素子を含み得る。これらは、前述の実施形態で説明したように、印刷プロセスによって製造されるか、または電子的に活性なインクシステムを利用する。更に、上記素子は、多層化され得、ビアおよび3次元相互接続を含む、多層論理を形成し得る。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、電子的にアドレス指定可能なディスプレイを提供する。このディスプレイにおいて、いくつかのまたは全てのアドレスライン、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディア、論理または電源は、前述の実施形態において説明したように、印刷プロセスによって製造されるか、または電子的に活性なインクシステムを利用する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、クロックまたはウォッチの形態をとり得る、静電気アクチュエータまたはモータを提供する。ここで、いくつかのまたは全てのアドレスライン、論理または電源は、前述の実施形態において説明したように、印刷プロセスによって製造されるか、または電子的に活性なインクシステムを利用する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、電子的にアドレス指定可能なディスプレイを含む腕時計バンドを提供する。ここで、いくつかのまたは全てのアドレスライン、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディア、論理または電源は、前述の実施形態において説明したように、印刷プロセスによって製造されるか、または電子的に活性なインクシステムを利用する。
【0015】
別の実施形態において、本発明はスピンコンピュータを提供する。ここで、いくつかのまたは全てのアドレスライン、電子的にアドレス指定可能なスピンメディア、論理または電源は、前述の実施形態において説明したように、印刷プロセスによって製造されるか、または電子的に活性なインクシステムを利用する。
【0016】
更なる特徴および局面が、以下の説明および請求の範囲から明らかになる。
【0017】
添付の図面に示すように、本発明の好適な実施形態の以下のより詳細な説明から、本発明の、前述および他の目的、特徴および利点が明らかになる。図中、同じ参照符号は同様の部分を示す。図面は必ずしも縮尺通りでなく、本発明の原理を説明する箇所を強調して示している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】図1Aは、永久双極子モーメントを有する粒子の製造手段の模式図である。
【図1B】図1Bは、永久双極子モーメントを有する粒子の製造手段の模式図である。
【図1C】図1Cは、永久双極子モーメントを有する粒子の製造手段の模式図である。
【図1D】図1Dは、永久双極子モーメントを有する粒子の製造手段の模式図である。
【図1E】図1Eは、永久双極子モーメントを有する粒子の製造手段の模式図である。
【図1F】図1Fは、永久双極子モーメントを有する粒子の製造手段の模式図である。
【図2A】図2Aは、マイクロカプセル化の手段の模式図である。
【図2B】図2Bは、マイクロカプセル化の手段の模式図である。
【図2C】図2Cは、マイクロカプセル化の手段の模式図である。
【図3A】図3Aは、上部から下部へのアドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図3B】図3Bは、上部から下部へのアドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図3C】図3Cは、上部から下部へのアドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図3D】図3Dは、上部から下部へのアドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図3E】図3Eは、上部から下部へのアドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4A】図4Aは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4B】図4Bは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4C】図4Cは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4D】図4Dは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4E】図4Eは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4F】図4Fは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4G】図4Gは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4H】図4Hは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4I】図4Iは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4J】図4Jは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4K】図4Kは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4L】図4Lは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図4M】図4Mは、下部アドレシングに適した、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図5A】図5Aは、誘電泳動効果に基づく、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図5B】図5Bは、誘電泳動効果に基づく、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図5C】図5Cは、誘電泳動効果に基づく、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図5D】図5Dは、誘電泳動効果に基づく、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図6A】図6Aは、周波数依存の誘電泳動効果に基づく、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図6B】図6Bは、周波数依存の誘電泳動効果に基づく、マイクロカプセル化された、電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムの模式図である。
【図6C】図6Cは、種々の物理的システムのための周波数の関数としての、誘電パラメータのプロットである。
【図6D】図6Dは、種々の物理的システムのための周波数の関数としての、誘電パラメータのプロットである。
【図6E】図6Eは、種々の物理的システムのための周波数の関数としての、誘電パラメータのプロットである。
【図7A】図7Aは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図7B】図7Bは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図7C】図7Cは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図7D】図7Dは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図8】図8は、レーザ還元金属塩インクシステムの模式図である。
【図9A】図9Aは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図9B】図9Bは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図9C】図9Cは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図9D】図9Dは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図9E】図9Eは、電子インクシステムおよびそれを印刷する手段の模式図である。
【図10A】図10Aは、印刷されたトランジスタ構造体の模式図である。
【図10B】図10Bは、印刷されたトランジスタ構造体の模式図である。
【図10C】図10Cは、印刷されたトランジスタ構造体の模式図である。
【図10D】図10Dは、印刷されたトランジスタ構造体の模式図である。
【図11】図11は、印刷された素子を使用する、電子ディスプレイの模式図である。
【図12】図12は、静電気素子が印刷されたウォッチまたはクロックの形状であり得る静電気モータの模式図である。
【図13】図13は、ウォッチのリストバンドが、印刷された素子を有する電子的にアドレス指定可能なディスプレイを組み込んでいるウォッチの模式図である。
【図14】図14は、スピンコンピュータ(spin computer)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(好適な実施形態の詳細な説明)
従来技術において、電子ディスプレイに使用する二色性粒子または微粒子を製造する手段が知られている。このような技術は、移入された(implanted)双極子モーメントを持たず、通常、材料のゼータ電位に依存して永久双極子を生成する粒子を製造する。このような機構は、材料特性を電子特性と結び付けるため、形成され得る双極子モーメントの大きさを制限するという欠点を有する。図1は、移入された双極子モーメントを有する粒子であって、静電気ディスプレイに使用され得る二色性粒子、または誘電泳動ディスプレイ(dielectrophoretic display)に使用され得る単色粒子の、いずれかの粒子を製造する手段を詳細に示す。
【0020】
図1Aを参照すると、噴霧ノズル1に、異なる色に着色され得る材料12および13が充填されている。第1の噴霧ノズルが正電位3に保持され得、第2のノズルが負電位4に保持され得る。このような電位は、噴霧を助け、ノズルから形成される液滴に電荷を与え、正に帯電した液滴5および負に帯電した液滴6を生成する。このような逆極性に帯電した液滴は相互に誘導し合い、全体的に中性の対を静電気的に形成する。中性粒子が形成されると、静電誘導(electrostatic attraction)は起こらず、更なる液滴が中性の対へと誘導されることはない。材料12および13が、ノズルからの出ていく時に液体であり、冷却され固体を形成するか、または更なる硬化剤を含み得る化学反応を経て固体を形成するかのいずれかの場合、電荷は中性対の各側に捕らえられ得、移入された双極子16を有する二色性固体粒子を形成する。エレクトレットの技術分野で公知のように、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデンまたは他の材料等の材料の適切な選択によって、このような準安定双極子は、長期間持続し得る。加熱素子7が対を再加熱する役割を果たし得、それにより表面張力エネルギーを最小化し、対を更に完全な球体状へと再形成する役割を果たす。最後に、同じまたは反対の電圧にバイアスされた電極8の組が、全体の電荷が中性でない粒子を捕らえるために使用され得る。
【0021】
図1Bを参照すると、移入された双極子を有する単色粒子の形成に、同様の装置が使用され得る。この構成において、同色の材料12を含むノズルが、移入された双極子を有する単色粒子21を形成するのに前と同様使用される。
【0022】
図1Cおよび図1Dを参照すると、回転ディスク11上またはダブルバレルノズル19で2つの異なる色の材料12および13を合わせることによって、移入された双極子を有する二色性粒子を製造する別の手段が示される。材料は、正電極14および負電極15によって帯電され、ディスクのリムまたはダブルバレルノズルの出口において静電気的な誘導により合わされ、移入された双極子モーメントを有する二色性粒子16を形成する。この手段は、表面特性および2材料間の相互作用に依存するのではなく、静電気的な誘導により、2つの異なる材料12および13を合体するという点で、当該分野で公知の手段とは異なる。更に、本機構は、自然発生のゼータ電位から可能となる双極子モーメントよりも大きな双極子モーメントを生成する役割を果たし得る、移入された双極子モーメントを有する粒子16を形成する。
【0023】
図1Eおよび図1Fを参照すると、移入された双極子を有する単色粒子の形成に同様の装置が使用され得る。この構成において、同色の材料12を含むノズルが、移入された双極子を有する単色粒子21を形成するのに前と同様利用される。
【0024】
ある1つの材料を他の材料の内側にマイクロカプセル化するための技術が、文献により数多く知られている。このような技術は、概して製紙工業または製薬工業において使用され、通常、視覚的明瞭性(optical clarity)の特性、高い誘電力、不浸透性および耐圧性を同時に含んだマイクロカプセルを製造するものではない。しかし、適切な改変によって、これらの技術は、電子特性を用いたマイクロカプセル化システムに適用され得る。
【0025】
図2Aを参照すると、内部相25は液体または固体であり得、更なる結合された表面層27を有する。液体である場合の内部相または結合された表面層は、シリコーンオイル内のアジビン酸クロリド等のポリマー成分(polymer building block)を含み得る。液体の場合には結合された境界層を有する内部相は、連続相液体(continuous phase liquid)30内に分散され得る。連続相液体は、内部相または結合された表面層と混合できない水溶液であり得る。最後に、連続相液体30に、別のポリマー成分を含む溶液40が付加され得るか、または架橋剤が付加され得る。溶液40は、内部相または結合された表面層と連続相液体30との界面において固体層を形成し、それにより内部相をマイクロカプセル化する効果を有する。
【0026】
図2Bを参照すると、固体または液体であり得る内部相25は、ポリマー成分、架橋剤および被覆材料を含み得る、一連の液体フィルム50、60、70を通過し得、その結果、内部相25、結合された表面層27および外殻80から形成された、最終的なマイクロカプセル120が得られる。
【0027】
別のマイクロカプセル手段を、図2Cに示す。この機構においては、UV光源であり得る光源82が、いくつかの領域においてフォトマスク84を通過し、セル構造86を形成し得る架橋可能なポリマーを露光する。その後、セル構造の個々のセルには、内部相25が充填され得る。
【0028】
図2Aから図2Cに示したシステムを用いて、電子的に活性な特性、詳細には電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアを有するシステムのマイクロカプセル化が可能である。図3は、このような電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアシステムを詳細に示す。このシステムは、上部透明電極100および下部電極110によってアドレシングするのに適する。図3Aを参照すると、マイクロカプセル120は、正に帯電した半球体142および負に帯電した半球体140ならびに結合された表面層材料130を有する微粒子を含み得る。半球体が異なる色を着色される場合、電極に付与された電界が球体の向きを変える役割を果たし得、それにより知覚される色変化を引き起こしうる。
【0029】
図3Bを参照すると、マイクロカプセル120は、ある色の正に帯電した粒子210および別の色の負に帯電した粒子220を含み得、電極への電界の付与により、場の極性に応じて、一方の色または他方の色が、マイクロカプセルの表面の方向に移動し、それにより、知覚される色変化をもたらす。このようなシステムが、マイクロカプセル化電気泳動システムを構築する。
【0030】
図3Cから図3Dを参照すると、マイクロカプセル120は、所定の電荷極性の染料、染料前駆物質または染料インジケータ材料230、もしくは、他の電荷極性の粒子に付着された適切な表面基と、還元剤、酸化剤、プロトン供与剤、プロトン吸収剤または溶媒とを有する微粒子等の、所定の電荷極性の粒子に付着された、染料、染料前駆物質または染料インジケータ材料を含み得る。電界が付与された状態では、染料物質230が、還元剤、酸化剤、プロトン供与剤、プロトン吸収剤または溶解剤240に対して遠位に維持され、従って、図3Cに示すある色の状態をもたらす。電界の付与を停止すると、染料物質と還元剤、酸化剤、プロトン供与剤、プロトン吸収剤または溶解剤とが結合し、第2の色の状態の複合体245を形成する。このシステムにおいて使用する適切な材料は、還元剤、酸化剤または溶解剤の付与時にある色の状態から第2の色の状態に変化し得る、ロイコ(leuco)およびラクトン(lactone)の染料システムならびに他のリング構造体、もしくは、当業界で公知のプロトン供与剤またはプロトン吸収剤の付与時にある色の状態から第2の色の状態に変化し得る、染料インジケータシステムである。システムの双安定(bistability)をもたらして、成分が、電界の付与時以外に比較的不動性となるように、更なるゲルまたはポリマー材料が、マイクロカプセルの内容物に付加されてもよい。
【0031】
図3Eを参照すると、マイクロカプセル120は、蛍光粒子255、光伝導性半導体粒子および染料インジケータ粒子260を、適切な結合剤250内に含み得る。AC電界を電極100および110に付与すると、ACエレクトロルミネセンスが起こる。ACエレクトロルミネセンスは、自由電荷を半導電性材料内に発生させ、更に染料インジケータの色の状態を変化させる。
【0032】
図4Aから図4Mを参照して、デバイスの光学特性を悪化させ得る上部透明電極100を用いない使用に適したインクシステムを開発することが望ましいであろう。図4Aおよび図4Bを参照して、面内電極とともに、図3Cおよび図3Dを参照して説明された化学現象(chemistry)が用いられ得、面内電極270および280に電界を付与すると、この化学現象により、1つの色状態から第2の色状態への色切り換えが生じる。そのようなシステムは、上から見られるため、これらの電極は、不透明であり得、ディスプレイの光学特性に影響を与えることなはい。
【0033】
別のシステムとして、面内切り換え(in−plane switching)技術が、従来から、透過型LCDディスプレイにおいて、別の目的のために、即ち、そのようなディスプレイの視野角を増加するために使用されている。図4Cおよび図4Dを参照して、ミノルタ社のHatanoらによって示されたタイプの双安定液晶システムが、面内電極によってもたらされ、液晶混合物が第1の透明な平面構造290から第2の散乱焦点円錐構造(scattering focal conic structure)292に変化するように改変されている。
【0034】
図4Eを参照して、図3Eのシステムは、面内電極270および280を使用することにより、切り換えられ得る。
【0035】
AC電界を付与することによって第1の色変化を引き起こし、DC電界または別の周波数のAC電界のいずれかを付与することによって第2の色変化を引き起こす、他のシステムも作製され得る。図4Fから図4Gを参照して、閉状態のヘアピン型の分子またはばね284は、この分子またはばね自体に、正に帯電したヘッド282または負に帯電したヘッド283を付着させ得る。ヘッド282およびヘッド283は、移入された双極子を有する微粒子であり得る。さらに、ヘアピン型の分子またはばねの一方側には、ロイコ染料286を付着させ、ヘアピン型の分子またはばねの他方側には、還元剤285を付着させている。この分子またはばねが閉状態284であるとき、ロイコ染料286および還元剤285が互いに近接され、結合287が形成され、ロイコ染料は効果的に還元され、それにより、第1の色状態をもたらす。ヘアピン型の分子またはばねの上で片持ちにされた(cantilevered)帯電したヘッドの振動モードに共鳴する周波数のAC電界を付与すると、結合287が断たれ得、これにより、開状態288をもたらし得る。この開状態では、ロイコ染料および還元剤は近位にはなく、非還元状態であるロイコ染料が、第2の色状態をもたらす。システムは、ロイコ染料および還元剤の基を再び近接させる(reproximate)役割を果たすDC電界を付与することによって反転され得る。多くの分子またはミクロ製造された構造は、通常開いているヘアピン型の分子またはばねとしての役割を果たし得る。これらは、オレイン酸状の分子289を含み得る。還元剤は、亜ジチオン酸ナトリウムを含み得る。尚、ここで説明するシステムは、双安定であることに注目されたい。また、ヘアピン型の分子またはばねにはエネルギーが蓄積され得るため、システムはまた、電池として機能し得ることに注目されたい。
【0036】
図4Iから図4Kを参照して、別のロイコ染料−還元剤システムは、図4Iに示される、自然状態293のポリマーを使用し得る。DC電界が付与されると、ポリマーは、線形の形状294となり、ロイコ基286および還元剤基285は、互いに遠位となる。逆のDC電界またはAC電界のいずれかが付与されると、ポリマーは、コイル状になってランダムに収縮し、ロイコ基および還元基が、結合287を形成し、それに対応する色変化が起こる。ポリマーは、システムを双安定にする役割を果たす。
【0037】
図4Lおよび図4Mを参照して、類似のシステムが可能であるが、この場合には、ロイコ基および還元基は、架橋286によって、直接、逆極性に帯電した微粒子に付着され得る。架橋286は、ビオチン−ストレプトアビジン架橋、ポリマー架橋、または他の任意の適切な架橋であり得る。以前と同様に、DC電界を付与すると、ロイコ基および還元基は互いに遠位となり、逆のDC電界またはAC電界を付与すると、ロイコおよび還元基はランダムに接する。酸化状態の安定性を助けるために、ポリマーが添加され得る。
【0038】
図5Aから図5D、ならびに図6Aおよび図6Bを参照して、電気的にアドレス指定可能なコントラストメディアインクにおいて、完全に異なる原理が使用され得る。これらのシステムでは、より高い誘電率の種が高電界強度の領域に移動され得る、誘電泳動効果が使用される。
【0039】
図5Aおよび図5Bを参照して、電極対150に電界が付与されていない場合に安定する非着色の染料−溶媒複合体315は、電極対150によって与えられる、染料複合体および溶媒複合体の誘電率に差動的に作用する電界170によって、着色された染料成分300と、溶媒成分310とに解離され得る。図3Cおよび図3Dのシステムにおいて説明した化学現象が、ここで容易に使用され得ること、ならびに、染料複合体および溶媒複合体は、それ自体は、実質的に異なる誘電率を有していなくてもよく、実質的に異なる誘電率を有する、微粒子などの他の分子または粒子と結合され得ることが理解される。最後に、双安定をもたらすために、マイクロカプセルの内容物に、ゲルまたはポリマー複合体が添加され得ることが理解される。
【0040】
図5Cおよび図5Dを参照して、より高い平面170またはより低い平面180において高電界領域をもたらし、それにより、二色性微粒子(bichromal microsphere)の一方の半球体141、または、着色された種の混合物のうちの1つの種147、などのより高い誘電率の材料を、それぞれより高いまたはより低い平面に移動させて、異なる色状態の効果を与えるために、スタックされた電極対150および160が使用され得る。そのような機構では、電界を整形するために、材料165が使用され得る。材料165は、誘電性材料であっても、導電性材料であってもよい。
【0041】
図6Aおよび図6Bを参照して、周波数に依存する誘電泳動効果に基づくシステムを説明する。そのようなシステムは、所定の色を生成するために、ある周波数の電界を付与し、別の色を生成するために、異なる周波数の電界を付与することによってアドレシングされる。そのような機能は、リアアドレシング(rear addressed)ディスプレイを可能にする。
【0042】
図6Aを参照して、マイクロカプセル120は、内部相184を囲む。内部相184は、図6Cのプロットの曲線(Plot 6C, curve)320に示されるような、周波数依存性の誘電率を有する材料であって、第1の色Bを有し得る材料と、周波数依存性の誘電率を有し、第2の色Wを有する材料182とであり得る。周波数依存性材料はさらに、図6Cの322で示されるように、低周波数では高誘電率を有し、より高い周波数ではより小さい誘電率を有し得る。電極270および280によって低周波数のAC電界を付与すると、材料182が、これらの電極の近位の高電界領域に引き寄せられ、それにより、マイクロカプセルは、上から見ると、色Bに見える。逆に、電極270および280により高周波数のAC電界を付与すると、材料184が、これらの電極の近位の高電界領域に引き寄せられて、材料182と置き換わり、それにより、マイクロカプセルは、上から見ると、色Wに見える。BおよびWが黒および白に対応する場合、白黒表示がもたらされ得る。電界が無い状態(field off condition)でシステムを双安定にするために、内部相184にはポリマー材料が添加され得る。あるいは、カプセルの内部側壁への付着(stiction)が、双安定を引き起こし得る。
【0043】
図6Aの材料182、および図6Cを参照して、本願は、操作された周波数依存性誘電率(engineered frequency dependent dielectric constant)を有する粒子の製造を教示する。この粒子を製造する手段は、図1B、図1Eおよび図1Fに示される。低周波数では、そのような双極性粒子は十分に小さい質量を有するため、これらの双極性粒子は、AC電界と同位相で回転し、それによりこの電界を効果的に相殺し、高誘電率材料として作用し得る。しかし、高周波数では、粒子は、粒子がAC電界と同位相を維持できず、従って、この電界を相殺することができないため、効果的に小さい誘電率を有することができないような慣性を有する。
【0044】
あるいは、材料182は、天然に存在する周波数依存性誘電材料からなっていてもよい。上記の人工的に作製された双極性材料と同様の周波数依存機能に従う材料であって、図6Cの曲線322と同様の曲線をたどる材料は、f=10HzでK=36、f=10HzでK=9の誘電率を有するヘベア(Hevea)ゴム化合物などの材料、T. B. JonesによるElectromechanics of Particlesにおいて知られているような、抵抗損失を有する材料、および、永久双極子モーメントを有する巨大分子を含む。本明細書において、上記文献を参考として援用する。
【0045】
さらに、材料182は、本明細書において参考として援用されるT. B. JonesによるElectromechanics of Particlesにおいて説明されているような、図6Dの曲線330に示されるような誘電率の周波数依存性を有する、天然または人工のセル材料であり得る。そのような粒子はさらに、電子的にアドレス指定可能なコントラストインクの製造に適している。
【0046】
図6Bを参照して、カラー表示をもたらすことができるシステムが示される。マイクロカプセル120は、第1の誘電率、導電性、および色をもつ粒子186と、第2の誘電率、導電性、および色をもつ粒子と、第3の誘電率、導電性、および色を有する内部相190とを含む。図6Eのプロットを参照して、粒子の電気機械技術の分野では、抵抗損失(即ち、有限の導電性)を有する粒子の場合、低周波数では、DC導電性が誘電率を左右し、高周波数では、誘電分極が誘電率を左右することが知られている。従って、有限の導電性を有する粒子は、図6Eのプロットの曲線338に示されるような、周波数fの関数としての誘電率Kを有する。第2の色をもつ第2の粒子は、図6Eの曲線340で示されるような、周波数fの関数としての誘電率Kを有する。最後に、導電性を持たない内部相は、曲線336の、周波数に依存しない誘電率Kを有する。電極270および280によって周波数f1のAC電界が付与されると、色Mの材料186が、これらの電極の近位の高電界領域に引き寄せられ、これにより、マイクロカプセルは、上から見ると、それぞれ他方の粒子および内部相のため、色CおよびYの混合色に見える。電極270および280によって周波数f2のAC電界が付与されると、色Yの材料188が、これらの電極の近位の高電界領域に引き寄せられ、これにより、マイクロカプセルは、上から見ると、色CおよびMの混合色に見える。最後に、電極270および280によって周波数f3のAC電界が付与されると、色Cの内部相190が、これらの電極の近位の高電界領域に引き寄せられ、これにより、マイクロカプセルは、上から見ると、色MおよびYの混合色に見える。C、MおよびYが、シアン、マゼンタおよび黄色に対応する場合、カラー表示がもたらされ得る。
【0047】
電子的にアドレス指定可能な周波数依存性の表示をもたらすために、上記の物理的プロセスから生じる、周波数依存性の誘電率を有する粒子の、他の多くの組み合わせが使用され得ることが理解される。
【0048】
さらに、図3から図6において説明される、マイクロカプセル化された電子的にアドレス指定可能なコントラストメディアインクに加えて、図7から図9は、他のタイプの電気的に活性なインクシステムを示す。従来技術では、後に硬化されて導電性または抵抗性トレース(traces)を形成し得る結合媒体に、金属または抵抗性材料を堆積させるための手段が知られている。以下の説明では、ある場合には種々の基材材料上に、結合剤中の半導電材料を堆積させ、別の場合には、エッチング工程を必要とせずに、種々の基材材料上に、真空外の、金属、抵抗性材料、または半導電性材料を、任意のパターンで堆積させるための新規な手段が示される。
【0049】
あるシステムでは、半導体インク350は、適切な結合剤356中に半導体粉末355を分散させることによって製造され得る。この半導体粉末は、Si、ゲルマニウムもしくはGaAs、または、他の適切な半導体であり得、リン、アンチモンもしくはヒ素などのn型不純物、または、ホウ素、ガリウム、インジウムもしくはアルミニウムなどのp型不純物、または、半導体製造の技術分野において公知の他の適切なn型もしくはp型ドーパントをさらに有し得る。結合剤356は、熱硬化性もしくはUV硬化性のビニルプラスチック材料、または、導電性インクの技術分野において公知の他の適切な結合剤であり得る。半導電性インク350は、印刷技術によって付与され得、スイッチまたは論理構造を形成し得る。この印刷技術は、1つ以上のインク372、374が基材上に所望のパターンで印刷され得る流体送達システム370を含み得る。あるいは、インクシステム350は、パターニングされた開口マスク378を介してインク380が基材379上に向けられて所望のパターンを形成する、スクリーンプロセス377によって印刷され得る。インクパターン360は、硬化されると、半導電性粉末粒子355を近接させ、半導電性の、連続する浸透(percolated)構造365を作り出す。
【0050】
図8を参照して、光ビーム操向装置(steerer)384によって操向され得る照射光源382に対応して、基材388上に、導電性または半導電性トレース390を形成させるシステムが示される。このシステムの動作は、溶液中に金属または半導電性の塩を含むマイクロカプセル386に基づく。UV光であり得る光382に露光されると、金属または半導電性の塩は、金属または半導体に還元され、それと同時に、マイクロカプセルが破裂して、導電性または半導電性トレースの堆積を引き起こす。
【0051】
図9Aを参照して、金属性または半導電性トレース410を堆積させるためのインクジェットシステムが示される。このシステムでは、金属または半導電性の塩を含む噴射(jet)420が、還元剤を含む噴射430とともに、基材400にぶつかる。
【0052】
一例として、金属性トレースを形成するためには、噴射420には、硝酸銀(AgNO)が使用され得、還元用噴射430には、適切なアルデヒドが使用され得る。本発明に適した化学現象の他の多くの例が、無電解メッキの技術分野において公知である。そのような例のすべてにおいて、噴射は、任意のトレースが印刷され得るように、移動可能で、且つ、制御可能であることが理解される。
【0053】
図9Bを参照して、図9Aのシステムと類似したシステムが示される。この場合、噴射460から出される金属または半導電性の塩の還元を引き起こすために、還元用噴射の代わりに、電子ビーム470が使用され得る。電子ビームの接地のために、接地面450が使用され得る。
【0054】
図9Cを参照して、電気メッキに基づいて、金属性または半導電性トレースを堆積させるためのシステムが示される。このシステムでは、電位Vに保持された噴射480中の金属または半導電性の塩が、基材410上に電気メッキされ、それにより、金属性または半導電性トレースを形成する。
【0055】
図9Dを参照して、インクジェットヘッドからの金属塩をUV還元するための手段が、従来技術において公知である。このシステムでは、金属または半導電性の塩を含む噴射490は、照射された光ビーム495とともに、基材400上に当たり得、この金属または半導電性の塩が還元されて、導電性または半導電性トレース410になる。あるいは、噴射490は、光導電性材料と、光導電電気メッキの分野において公知のように光源495を付与することによって、表面400上に光導電的に電気メッキされ得る金属塩とを含み得る。
【0056】
図9Eを参照して、入口510を介して不活性ガスが充填され得るチャンバ520を含み、熱堆積、スパッタリング堆積、電子ビーム堆積、または他の堆積手段530をさらに含む移動式堆積ヘッド500のためのシステムが示される。この移動式堆積ヘッド500は、様々な基材540上に、金属、半導体、絶縁体、スピン材料、または他の材料を、任意のパターンで印刷し得る。そのような基材540を冷却または急冷(chilled)して、高温であり得るこれらの材料からの損傷を防ぐ場合もある。
【0057】
図10を参照して、上で説明した電子的に活性なインクシステムおよび印刷手段は、スイッチまたは論理構造を形成するために適用され得る。図10Aおよび図10Bに示されるように、n型エミッタ950、p型ベース954およびn型コレクタ952からなるNPN接合トランジスタが製造され得る。
【0058】
あるいは、金属酸化物半導体などの電界効果トランジスタが、印刷され得る。そのようなトランジスタは、p型材料970、n型材料966、n型反転層968、ゲートとして作用する酸化物層962、ソースリード960、およびドレインリード964からなる。論理層間に適切な絶縁層を用いることによって、多数の論理層が印刷され得る。さらに、異なる論理層間の3次元的相互接続は、絶縁層のビアによって達成され得る。
【0059】
図10Dを参照して、印刷された太陽電池は、金属コンタクト層972、p型層974、n型層976、および絶縁層978のうちの幾つかまたはすべてを印刷することによって製造され得る。太陽電池の技術分野において公知のように、基材に入射する光979は、電流を発生させる。そのような印刷された太陽電池は、電力が必要とされる非常に薄型でコンパクトおよび/または安価な構造において有用であり得る。
【0060】
上記記載で説明したインクシステムおよび印刷手段は、広範な分類の電子的に機能する構造の製造に有用であり得る。図11〜14に、製造し得るそのような可能な構造のいくつかを示している。
【0061】
図11を参照して、Jacobsonの同時係属中の特許出願に記載されたものと同様な電子ディスプレイは、電子的にアドレシング可能なコントラストメディア640、アドレス線610および620ならびに論理要素670からなっている。これらのうち全部または一部を、上記記載で説明したインクシステムおよび印刷手段によって製造し得る。
【0062】
図12を参照して、基材700上に印刷されている印刷導電性要素720、730、740および760からなる、アナログ時計または腕時計を形成し得る静電モータを示している。これらの要素は、論理制御回路710により正負またはニュートラル(neutral)状態の間を交互に切り替えられるとき要素750を平行移動させ得、従ってモータまたはアクチュエータを形成する。図12の装置において、導電性要素のうちの一部または全部および/または論理制御要素は、上記記載で説明したインクシステムおよび印刷手段を用いて製造し得る。
【0063】
図13を参照して、バンド820が電子的にアドレシング可能なディスプレイ830を含む、腕時計800を示している。ディスプレイの要素のうち、電子的にアドレシング可能なコントラストメディア、アドレス線および/または論理を含む一部または全部が、上記記載で説明したインクシステムおよび印刷手段によって製造される。このような製造は、安価で容易に製造可能かつ薄型のディスプレイ機能の創出において有用であり得る。制御ボタン810は、ディスプレイ830の局面を制御する機能を有し得る。
【0064】
図14を参照して、双極子モーメント914を有する双極子912が行920および列930のアドレス線のノードに位置している、スピンコンピュータを示している。このようなコンピュータは、まず双極子をアドレス線により初期状態にアドレシングした後、双極子を相互作用させることにより、全体としてのシステムの最終状態を創出することにより、Spin Isingモデルおよびセルラーオートマトン(cellular automata)の分野において公知の計算を行う。双極子は、マイクロカプセル910にマイクロカプセル化された双極子微球体912からなっていてもよく、あるいは、別の形態の双極子および/または別の封入手段からなっていてもよい。
【0065】
本発明をその好適な実施形態について特に示したが、付属の請求項に定義する発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その形態および詳細を様々に変更し得ることが、当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載のインクシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−224576(P2010−224576A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131126(P2010−131126)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【分割の表示】特願2006−71825(P2006−71825)の分割
【原出願日】平成8年8月20日(1996.8.20)
【出願人】(500080214)イー インク コーポレイション (148)
【Fターム(参考)】