説明

電子秤

【課題】通風遮蔽部材を備え且つ秤量対象物を自動的に配置する電子秤の提供。
【解決手段】少なくとも1つの荷重用アクセス穴14を開閉する機能を果たす少なくとも1つの開閉部材13,213を含んでおり、秤量対象物の大きさに適合された秤量室15,115を包囲している通風遮蔽部材16と、開閉部材13,213を作動させる機能を果たす駆動機構とを含んでいる電子秤であり、前記駆動機構が、位置設定部材12,33,212を更に含み、位置決め部材12,33,212を備えた前記駆動機構と変位伝達部材18,30とが、荷重担持部材3,203に対する搬送装置6,206の持ち上げ及び下げ降ろし動作をもたらし、前記位置設定部材12,33,212は、搬送装置6,206及び/又は荷重担持部材3,203を幾つかの規定された位置に設定する構造とされていることを特徴とする電子秤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通風遮蔽部材を備えた電子秤に関し、更に特定すると、秤の荷重担持部材上に秤量対象物を配置するための自動化された装置に関し且つ閉塞部材によって閉塞することができる挿入部材及び荷重用アクセス穴を含んでいる電子秤の秤量室にも関する。
【背景技術】
【0002】
通風遮蔽部材は特に、例えば、マイクログラム範囲又は更にマイクログラム未満の範囲の最も微少な荷重を秤量するように設計されている秤において重要な部材である。なぜならば、これらの荷重範囲においては、例えば、空気の流れ、浮力又は温度変化及び/又は衝撃による最も小さな変動が、秤量結果に重大な影響を有し得るからである。これらの影響を最少にするためには、通常、秤量対象物が秤上に配置された後に、ある時間遅れによって実際の秤量が行われ、秤量室内に封入された空気が主として静止していること及び全ての他の外部パラメータが出来るだけ一定であることが確保できるようにすることが必要である。このことにより、測定精度は改良されるが測定時間間隔は著しく延ばされ、その結果、特に同じ種類の秤量荷重又は秤量対象物の多数測定又は確認測定が過度に長い時間を要することになる。
【0003】
更に、荷重担持部材が秤量機構に結合されており、秤量機構は、過度に強い及び/又は制御されない力がかかることによって損傷を受けるか破壊されさえもするので、秤量対象物が秤上に配置されたときに如何なる付加的な圧力又は力も荷重担持部材にかからないようにするために、秤量対象物が秤上に配置されるときに注意が払われるべきである。なぜならば、適用されるか又は発生される機械的な力は、荷重が荷重担持部材上に配置される度に異なるので、例えば、荷重がピンセットによって高精度の秤上に手動で配置される場合には、測定の繰り返し精度が影響され得るからである。
【0004】
当該技術において公知の電子秤、例えば、研究室用秤、分析用秤又は微小天秤には、ほぼ角度が付けられると共に丸い形状の適用領域に応じた異なる形態を有し且つ通常は荷重が秤上に載置されるときに通り且つ殆どの場合に閉塞される少なくとも1つのアクセス穴を有している通風遮蔽部材が備えられている。
【0005】
とりわけ、高精度の秤、いわゆる微小天秤のための一つの用途は、例えば、血管手術用途のためのステントのような小さなチューブ又はロッド形状の秤量対象物を重量選別する用途である。この種の用途においては、できるだけ多くの同じタイプの対象物が可能な最も短い時間で1つずつ秤量される必要がある。他の用途としては、例えば、品質保証において、ある時間に亘ってある種の対象物の重量選別又は1以上の秤量対象物の荷重の変動の監視もあり得る。
【特許文献1】無し
【非特許文献1】無し
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高精度の秤は、最早、研究室で独占的に使用されるものではなく、ステント、フィルタ、インプラント、コンピュータチップ等のような極めて小さい物品の連続的な生産においてもまた益々使用されている。特に、製造においては、秤は、一方では必要とされる測定精度を保証し且つ再現可能な結果を迅速に伝えるという要件を満たさなければならず、他方では頑丈で且つ動作が簡単でなければならない。秤の設計及び特に秤量対象物と接触状態とされ得る部品に課される要件は、特に、例えば、薬剤、生化学又は製薬のような厳しい法律上の制約を受ける適用領域においては常により厳格となりつつある。これらの要件のうちの一つは、例えば、秤量対象物と接触状態となる秤の部品、特に、秤量室が清掃し易いことである。
【0007】
秤量室又は秤量室の内部をも開閉する機能を果たす開閉部材は、例えば、秤量対象物が荷重受け取り装置から落ちるとき又は秤量室内へ入れられる過程において閉塞部材と接触状態となる場合に、秤量対象物と接触状態となることが起こり得る。
【0008】
従って、これらの部品もまた物理的及び/又は化学的方法によって残留物を容易に清掃し且つ片付けるばかりでなく、必要ならば殺菌して、これらの部品が手術の適用分野において少なくとも清浄度及び/又は衛生度のための法律要件を満たすようにするのが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、電子秤は、秤上に秤量荷重を配置するときに秤量機構の付加的な保護のために秤のユーザーの使用し易さを増すためだけでなく、特に、同種類の多数の秤量対象物を測定するか若しくは同じ対象物を多数回秤量するときに、測定時間を短くし且つ測定の再現性及び繰り返し性を改良するために、電子秤、特に微小天秤には、秤量対象物の寸法に適合する設計とされた秤量室を包囲し且つ秤量荷重を装入したり取り出したりするための少なくとも1つのアクセス穴を開き且つ/又は閉じるように機能する少なくとも1つの閉塞部材を含んでいる通風遮蔽部材を備えることができる。本発明による秤は更に、荷重担持部材、当該荷重担持部材と協働する搬送装置、及び閉塞部材を作動させるための駆動機構を含んでいる。当該駆動機構は更に、位置設定部材を含んでおり且つ当該位置設定部材及び搬送装置内に配置されるのが好ましい変位伝達部材を介して作用することによって、荷重担持部材に対する搬送装置の垂直方向の動きをもたらす。位置設定部材は、搬送装置及び/又は荷重担持部材を、幾つかの規定された位置に位置決めする機能によって設計されている。
【0010】
秤量室及び通風遮蔽部材の寸法は、秤量室の全体積が秤量対象物が占める体積よりも若干大きいだけであるような形態で秤量されるべきである対象物に適合される。秤量対象物に応じて、秤量室の形状は、基本的には、多角形好ましくは矩形又はほぼ丸く若しくは楕円形ともすることができる。これによってまた、秤量室内に含まれる空気の体積の減少がもたらされ、結果として、とりわけ、大気圧、大気乱流及び大気水分を含む外部パラメータに対する時間が一定レベルに落ち着くように減じられる。秤量室を秤量対象物の大きさに適合させるという概念は、再現性を改良し且つ同じ対象物の複数回の秤量又は同じ種類の多数の対象物の秤量に対する測定時間を短くする手段として特に有利である。
【0011】
秤量機構を保護すると共に秤量対象物を荷重担持部材上に装荷するか又は対象物を荷重担持部材から持ち上げるための制御された動きを確保するために、秤は、荷重担持部材に対して可動であり且つ秤量荷重を荷重担持部材とやりとりすることが可能でありながら、荷重担持部材との直接的な力伝達接触を有しない搬送装置を含んでいる。
【0012】
荷重担持部材に対する搬送装置の動きばかりでなく荷重を装入し或いは取り出すためのアクセス穴の制御された開放及び/又は閉塞は起動機構によって駆動され、搬送装置の動き及び閉塞部材の開放及び/又は閉塞は相互に結合されている。
【0013】
秤量荷重のためのアクセス穴には、開き且つ/又は閉じることができる適切な閉塞部材を装備することができる。閉塞部材は、例えば、軸若しくは点を中心に旋回するように拘束することができ又は摺動するようにガイドすることができる。特に、点を中心とする摺動拘束又は旋回運動は有利である。なぜならば、例えば、ヒンジ結合されたゲートを閉じるときに惹き起こされ且つ秤量対象物に影響を及ぼし得る種類の空気の一吹きが著しく避けられる。閉塞部材の動きは、荷重担持部材に対する搬送装置の動きに結合され、秤量室が秤量対象物を室内へ又は室外へ動かすときにのみ開くのを確保している。
【0014】
位置設定部材の設計に基づいて、搬送装置は、荷重担持部材に対して規定された異なる位置、特に、3つの位置に設定することができる。位置設定部材の可能な形状としては、異なる種類のカム板、偏心器のみならず直線摺動部材がある。
【0015】
位置設定部材の形状に応じて、変位伝達部材は、位置設定部材の動きを荷重担持部材に関する搬送装置の直線垂直動作に変換する機能を果たす。変位伝達部材は、搬送装置に結合されるか搬送装置上に配置されるのが好ましい。
【0016】
測定中及び荷重担持部材に装荷されつつある間にも、秤量室、特に、秤量対象物を装荷するためのアクセス穴は、閉じられているべきである。計量対象物の他に、搬送装置の少なくとも一部分のみならず荷重担持部材の一部分が、測定中に秤量室の内側に配置されるであろう。
【0017】
荷重担持部材は第一の荷重受け部材を含んでおり、搬送装置は第二の荷重受け部材を含んでいる。荷重受け部材は、荷重担持部材が搬送装置に対して動くと、秤量されるべき荷重を搬送している間に2つの荷重受け部材間の相互接触無しで一つの荷重受け部材が他の荷重受け部材内及び荷重受け部材の中を動くような構造とされている。
【0018】
好ましい実施形態においては、第一及び第二の荷重受け部材が相対的に通過することができ又はより特別には相対的に通過できるような形態で配置されたフォーク又は尖った歯の形状の突出部を有している。秤量対象物が2つの荷重受け部材のうちの一つの上に配置されるとすぐに、各々、一方の荷重受け部材は他方の荷重受け部材の中を移動するか又は他方の荷重受け部材内を突き抜けて対象物を掴み上げるので、当該秤量対象物を、一方の荷重受け部材から他方の荷重受け部材へと運ぶことができる。更に、荷重受け部材の実施形態は、とりわけ、針又はピン状の着座部材を備えた板状構造を含むことができ且つ/又はこれらもまた当該技術の解決方法に基づくこともできる。
【0019】
特定の種類の秤量対象物に適合されている荷重担持部材に対する対象物のみならず秤量室の装荷及び/又は取り出しの自動化モードは、マイクログラム又はマイクログラム未満の範囲の物品の秤量にとって特に有利であり、従って、当該自動化モードは、それ自体が所謂微小天秤に装備されることを示唆されている。
【0020】
公知の微小天秤、例えば、Mettler−ToledoのUX2モデルには、部分的に、交換可能な通風遮蔽部材が備えられている。結局、本発明に従って、現存の秤との組み合わせが簡単であり且つ標準的な通風遮蔽部材と置換することができる通風遮蔽部材を形成することは、秤を使用する際にユーザーに高度の自由度を付与するので有利である。
【0021】
電子秤は更に、閉塞部材によって閉止することができる挿入部材及び装荷用アクセス穴を備えた秤量室を含むことができる。秤量がなされる間、すなわち、秤量過程中に、第一の荷重受け部材と第二の荷重受け部材とは、秤量室内、特に、挿入部材内に配置される。挿入部材及び/又は閉塞部材は、手動により又は自動化モードで交換することができる。
【0022】
従って、秤量対象物と接触状態となる秤の部品の所望の容易な洗浄は、これらの部品が取り出し及び取り付けするのが容易且つ問題がなく、測定結果の質に妥協することなく且つ個々の部品又は秤量機構に影響を及ぼすか又は損傷を与えることなく交換を行うことも勿論可能であるべきである。適用分野及び秤の感度に応じて、秤量対象物が恐らく接触状態となり得る部品の交換が手動によってなすことができ且つ/又は自動的になすことができる場合には有利である。
【0023】
当該閉塞部材は、閉塞部材を秤及び特に通風遮蔽部材に結合する機能を果たす少なくとも1つの結合部品を含んでいる。結合部品に相当するものとして、当該秤は、結合部品を収容するように設計された少なくとも1つの凹部を含んでいる。当該秤は、2つの結合部品を収容するために2つの凹部を含んでいるのが好ましい。例えば、秤のハウジング又は通風遮蔽部材上に1以上の凹部を配置することができる。結合部品は、ラッチ装置によって、前記少なくとも1つの凹部内に固定して、閉塞部材が秤に対する解除可能な結合部を含むようにすることができる。
【0024】
閉塞部材の交換に関して、特にユーザーが使い易い種類の閉塞部材は、特に、閉塞部材が固定され又は取り外され且つ再設置できるように前記凹部を開くか又は閉じることができる回転可能に結合される棒又はラッチ部材を備えたラッチ装置と組み合わせられた2つの結合部品を含んでいる。
【0025】
単一の例えばロッド形状の結合部材を備えた閉塞部材を、摺動部材として形成されたラッチ部材によって固定することができ、この場合には、好ましくは摺動部材の動く方向は、結合部材の長手軸線に直角であるべきである。
【0026】
挿入部材の簡単な挿入又は取り外しのためには、秤量室は、秤量室の壁とピンセット又は自動化されたグリッパ部材のような把持部材との間に隙間が残され、その隙間において、ピンセット又は自動化されたグリッパ部材のような把持部材が挿入部材上に保持し且つそれを秤量室から取り出したり秤量室内に挿入して設置したりする形態で秤量室内に配置されている少なくとも1つの切り返し領域を有することができる。
【0027】
更に別の実施形態は、挿入部材内又は挿入部材上に配置される把持部材を含むことができる。当該把持部材の形状は、交換のために使用することを意図されている器具、例えば、フック又はピンセットによって把持することができる鳩目形状に適合させることができる。更に別の実施形態は、例えば、磁気グリップ又は特別な形状の鳩目若しくはフックを含むことができる。
【0028】
挿入部材及び/又は閉塞部材は、容易に清掃でき且つ化学物質に対して耐性を有する材料によって作られるのが好ましい。適用領域に応じて、これらには更に、表面コーティングを設けることができる。適切な材料としては、ハイグレードのステンレス鋼、貴金属、アルミニウム、チタン又はこれらの金属の組み合わせがある。
【0029】
荷重受け部材、閉塞部材及び挿入部材は、それらの設計により、交換及び洗浄が容易であり、このことは、医療、医薬品及び生化学用途に対して特に興味深い。実際の状況に応じて、ユーザーは、例えば、各測定後又は所定の時間間隔で、部品を交換することができる。
【0030】
秤量対象物に適合されている秤量室を包囲し且つ荷重のための少なくとも1つの閉塞可能なアクセス穴を含んでいる通風遮蔽部材を備え、閉塞部材を作動させ且つ位置設定部材を更に含んでいる駆動機構を備え、荷重担持部材と協働すると共に、変位伝達部材を介して位置設定部材と協働する伝達部材を備えた電子秤の荷重担持部材の好ましくは自動化された装荷は、幾つかのステップを含むことができる。
【0031】
最初に、荷重のためのアクセス穴が閉塞部材を作動させることによって開かれ、一方、これと同時に、荷重担持部材と搬送装置との間に、これらの間の相対的な動きによって第一の位置が設定される。この第一の位置においては、秤量されるべき対象物が、搬送装置上に又はより特別には搬送装置に結合された荷重受け部材上に設置することができる。
【0032】
次に、荷重用アクセス穴が閉じられ、これと同時に、第二の位置及びゼロ位置が、荷重担持部材と搬送装置との間にこれらの相対的な動きによって設定される。この位置においては、秤内でゼロ調整ステップが行われるか又はゼロ基準値が秤に入力される。ゼロ設定の前及び/又は後に、秤の適正な機能及び秤量パラメータの評価を行うことができる。この評価には、例えば、組み込まれた校正用錘による秤の校正、容器重量の差し引き、調整、大気圧試験又は秤量室内の他のパラメータ及び/又はユーザーによる種々のパラメータの設定が含まれる。
【0033】
この試験が終了した後に、秤量対象物は、搬送装置に向かう荷重担持部材の更なる相対的な移動によって、搬送装置から荷重担持部材へ移すことができる。このステップにおいて、荷重受け部材は、相互に接触せずに通過して対象物の重量が測定される。荷重担持部材と搬送装置とは、この時点で第三の位置すなわち秤量位置にある。
【0034】
測定が完了した後に、秤量対象物は、搬送装置へと搬送されて戻され、荷重担持部材の搬送装置に対する逆順序の動きをたどる。
【0035】
秤量パラメータの点検、荷重担持部材上への秤量対象物の装荷、秤量対象物の秤量のみならず持ち上げは、指示された数の秤量が行われるまで繰り返すことができる。続いて、荷重用のアクセス穴が再び開かれ、荷重担持部材と搬送装置との間の第一の位置がこれらの2つの部材の相対的な変位によって設定され、秤量対象物が搬送装置から取り外される。搬送装置上への秤量対象物の配置及び/又は秤量対象物の搬送装置からの取り外しは、手動によるばかりでなく、例えば、適当なロボット又は別の公知の装置によって自動化モードで行うこともできる。
【0036】
閉塞部材による荷重用アクセス穴の開放及び閉塞は、位置設定部材及び変位伝達部材と協働して荷重担持部材と搬送装置との間の少なくとも第一、第二及び第三の位置の設定をもたらす駆動機構によって、直接的に且つ/又は間接的に作動せしめられる。閉塞部材と位置設定部材との設計に応じて、位置設定部材と閉塞部材とに対する調整制御下で種々の駆動機構を使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、通風遮蔽部材を備えた電子秤の種々の実施形態を、図面を参照して説明する。図面の各図においては、同一の部材に対して同じ参照符号が使用されている。
【0038】
図1は、電子秤1の一部分を断面図で示している。秤1は、とりわけ、荷重担持部材3に結合されている秤量機構を含んでいるハウジング2を備えている。荷重担持部材3は、その自由端に、秤量対象物5のための第一の荷重受け部材4を備えている。秤1のハウジング2は、円形断面の筒形状を有している位置設定部材12が配置されている突出している床部材31と、中心に配置された荷重担持部材3のための通路と、カム板として形成された端縁17とを備えている基部プレートとを有している。位置設定部材12は、床部材31内に配置された歯車機構と、ハウジング2内に配置されたモーターとを更に含んでいる駆動機構の一部分の役目を果たしている。当該位置設定部材は、床部材31上で回転する機能を有するように再配置されている。
【0039】
汚れに対する保護措置として、位置設定部材12は、床部材31と通風遮蔽部材16との間に締結されている壁部材28によって遮蔽されている。
【0040】
円筒形の位置決め部材12の内側には、支持構造が配置されている(図5参照)。この支持構造は、荷重担持部材3用の通路を備えた床プレート23を含んでいる。床プレート23には、2つの隔置されたガイドロッド19が取り付けられており、ガイドロッド19の自由端は、通常は、位置決め部材12の端縁17の上方に達している。ガイドロッド19は、搬送装置6のための垂直方向ガイドとして機能する。
【0041】
床プレート23上には、更に別の壁部材11が配置されており、当該壁部材は、通風遮蔽部材16のための付加的な支持部材として機能する。壁部材11は、ハウジング2に対向している切り込みを備えたほぼ筒形状をしており、内部にガイドロッド19が配置されており、位置決め部材12が壁部材11に沿って動かされる。
【0042】
搬送装置6は、ガイドロッド19同士の間に配置されたガイドブロック20、水平支持部材9及び当該水平支持部材9に結合された垂直支持部材8によって構成されている。垂直支持部材8の自由端は、秤量対象物5のための第二の荷重受け部材7を担持している。
【0043】
ガイドブロック20の2つの対向する側部の各々の上には、ローラーとピンの形態のガイド手段が配置されており、これらの間には、ガイドロッド19が延びている。滑動手段21は、搬送装置のガイドロッド19に沿った極めて摩擦の少ない垂直方向の動きを可能にしている。
【0044】
更に、変位伝達部材18がガイドブロック20に取り付けられている。この実施形態における変位伝達部材18は、位置設定部材12が搬送装置6を通り過ぎたときに位置設定部材12の端縁に沿って回転するローラーホイールである。
【0045】
壁部材11,28の上方には、秤量室15を包囲している通風遮蔽部材16が伸長している。秤量室15の床は、荷重担持部材3のみならず搬送装置6の垂直支持部材8のための少なくとも1つの通路を有している。秤量室15は更に、ヒンジ結合されたカバーの形態の可動の閉塞部材13によって閉塞することができる荷重アクセス穴14を有している。閉塞部材13は、ハウジング2の近くの側において軸を中心に上下に旋回又は傾けることができる。
【0046】
図1は、第一の位置すなわち荷重担持部材3と搬送装置6との間の装荷位置であり、荷重受け部材4と7とが相対的に最大垂直方向距離にあり、位置設定部材12が変位伝達部材18が端縁17の一部分内でその最も高い垂直方向高さを有している部分に配置されるように配向されている第一の位置を示している。
【0047】
この位置においては、秤量室15が開放されており、秤量対象物5は、付加的な力を荷重担持部材3内に導入させることなく搬送装置6の荷重受け部材7に載置し又は荷重受け部材7から取り外すことができる。閉塞部材13は、水平支持部材9に締結されているロッド10によって上方へ開かれ且つ開放状態に保持される。駆動機構は、搬送装置6の垂直方向の動きばかりでなくロッド10の垂直方向の動きをも生じさせて、ロッドが荷重方向と反対方向に動くとき、ロッドが閉塞部材13に抗して下方へ押され、それによって、閉塞部材13すなわち荷重用のアクセス穴が上方へ開かれる。閉塞部材13に対する荷重方向と反対方向に作用する力が除去されると、荷重用のアクセス穴が再び閉じられる。
【0048】
図2は、図1の一部分を示しており、荷重担持部材3の荷重受け部材4及び7と搬送装置6との間の第二の位置すなわちゼロ位置を示している。秤量室15は、閉塞部材13によって閉止される。
【0049】
第一の位置から第二の位置への変更は、搬送装置6に沿った位置設定部材12の回転運動によってもたらされる。位置設定部材12は、回転されて搬送装置6及びガイドロッド19を素通りする。この動きにおいて、変位伝達部材18は端縁17のカーブした輪郭に従い、それによって、搬送装置6が荷重方向に下げられ且つ荷重担持部材3に近づく。位置設定部材12は、変位伝達部材18を流体のような且つ実質的に揺れのない動きをするようにガイドして、搬送装置6の流体のような実質的に揺れのない垂直方向の動きをもたらすような構造とされている。搬送装置6の垂直方向の動きは同時にロッド10の垂直方向の動きを生じさせるので、第一の位置から第二の位置への移動中に、同時に、秤量室15が閉塞部材13によって閉止される。搬送装置6とロッド10とが荷重方向へ下げられると、閉塞部材13とロッド10との間の接触は解放され、秤量室15は閉塞部材13によって閉じられる。
【0050】
図2に示されている第二の位置においては、搬送装置6は荷重方向に下げられる。秤量室15内には、2つの荷重受け部材4,7と共に秤量対象物5が配置されている。秤量対象物5は、搬送装置6の荷重受け部材7上に完全に載置されている。この位置においてゼロ調整動作が行われ、更に、秤及び秤量パラメータの適正な機能の評価を行うことができる。
【0051】
図3は、第三の位置すなわち秤量位置を示している。秤量室15は依然として閉止されている。位置設定部材12は、更にある量だけ動かされて、変位伝達部材18と搬送装置6とが、荷重担持部材に対して最大可能な量だけ下げられている。搬送装置6の荷重受け部材7は、下方へ動かされ、2つの荷重受け部材が相互に接触することなく荷重担持部材3の荷重受け部材4を通り過ぎ、それによって、秤量対象物5は、荷重担持部材3の荷重受け部材4へと移され、秤量対象物5の重さが判定できる。
【0052】
図1乃至3に示されている3つの位置は、荷重受け部材4と7との間の異なる距離によって及び秤量室15が開かれているか閉じられているかという事実によっても相互に区別される。秤量室の開放及び/又は閉塞のみならず荷重受け部材4,7の相対的な距離は、位置設定部材12の回転運動によって制御される。位置設定部材12は、実質的には、カーブした遷移部分によって頂部が斜角によって切り取られている筒形状を有しており、前記カーブした遷移部分上で、変位伝達部材18がガイドされ、駆動機構によってもたらされる位置設定部材12の回転運動が搬送装置6のみならずロッド10の直線垂直運動に変換される。
【0053】
秤量室15のみならず荷重受け部材4及び7は、秤量対象物5の大きさに適合されて、秤、特に、秤量室15が可能な最も短い時間で外界環境に対して順応することができる。
【0054】
図1乃至3の文脈において既に説明した種々の位置、すなわち、荷重担持部材に結合されている荷重受け部材4と搬送装置に結合されている荷重受け部材7とが、搬送装置の動きを介して荷重担持部材に対して位置決めすることができる種々の位置が図4において極めて概略的に示されている。
【0055】
図4のAは、第一の位置を示しており、この位置においては、2つの荷重受け部材4,7が相対的に最大距離に位置しており、閉塞部材13が開放されていて、秤量対象物5を荷重受け部材7上に配置することができる。
【0056】
図4のBは第二の位置を示しており、この位置においては、荷重受け部材4,7間の垂直方向の距離が荷重担持部材に対する搬送装置の動きによって短くなっており、これと同時に、秤量室5が、閉塞部材13によって閉じられている。この位置においては、秤の荷重がない状態で秤のゼロ設定を行うことが可能である。
【0057】
図4のCは、第三の位置すなわち秤量位置を示しており、この位置では、2つの荷重受け部材が互いの中を通過し、それによって、秤量対象物5が、荷重受け部材7から荷重受け部材4へ移されている。第二の位置と第三の位置との間の相違は、閉じられた秤量室15による。
【0058】
原理的には、荷重担持部材のみを動かすか又は搬送装置のみを動かすか又は荷重担持部材だけでなく搬送装置をも動かすことも可能であり、搬送装置のガイドされた垂直方向の動きが好ましい可能状態である。
【0059】
図1乃至3に示されている秤は、小さな秤量対象物用に設計されている通風遮蔽部材16を備えている。図5は、大きな秤量室115を備えている更に別の通風遮蔽部材を示している。ここに示されている通風遮蔽部材は、秤量室部品36が挿入され、秤量室115を規定し、閉塞部材113によって閉塞することができる保持構造37を備えている。当該秤は更に、秤量対象物の大きさに適合せしめられた荷重受け部材104,107を更に備えている。
【0060】
より大きな物品105を秤量する必要がある場合には、図5に示されているような交換可能な秤量室部品36及び保持構造37を備えた2部分からなる通風遮蔽部材を使用することが示唆される。秤量室部品36は、箱形状をしており且つ可動の閉塞部材113によって閉塞することができる。荷重受け部材104,107は、同様に、秤量する必要がある対象物105の大きさに適合するようにすることができる。この実施形態は、特に、種々の長さの対象物の計量に好適である。なぜならば、秤量されるべき対象物に応じて、秤量室部品36のみならず荷重受け部材104,107は、長さが適合する部品と交換することができるからである。広い形状又は異なる形状の対象物の秤量のためには、通風遮蔽部材、特に、保持構造37、秤量室部コーン36のみならず閉塞部材113を、必要ならば交換することができる。
【0061】
図面に示されているほぼ矩形の秤量室に加えて、秤量室のみならず荷重受け部材を任意の種類の秤量対象物に適合させることも可能である。秤量室は、例えば、ほぼ三角形、正方形、多角形、円及び/又は楕円形状で構成することができ、公知の技術状況の多くの異なる荷重受け部材を含む種々の荷重受け部材を使用することが可能である。
【0062】
図6は、代替的な変位伝達部材30及び代替的な位置設定部材212を備えた更に別の実施形態の一部を分解図で示している。図示された実施形態は、図1乃至5に示されている設計態様と組み合わせることができる。支持構造38、ハウジング2のみならず床部材31は、図1に示された実施形態とほぼ類似している。
【0063】
荷重担持部材3は、床部材31から上昇し、組み立てられた状態で、位置設定部材212のみならず支持構造38の床プレート23を通過し且つ荷重受け部材204に結合される。従って、両方の床プレート32,23は、それらの中心に通過穴を有している。支持構造38は、位置設定部材が支持構造及び床部材31とは独立して動かすことができるような形態で、荷重担持部材3用のガイドスリーブ35によって結合されている。
【0064】
位置設定部材212の床プレート32は、回転可能に拘束され且つ駆動機構と協働する。適切な駆動源は、例えば、ハウジング内に配置され且つ1以上の駆動ホイール又は歯車によって位置設定部材212に結合されているモーターである。駆動ホイールは、例えば、床部材31内に配置され且つハウジング2内に収容されている駆動モーターに結合されている。この駆動源は、特にその機構部分に、丸い通風遮蔽部材を備えた微小天秤に対して使用される公知の駆動機構とほぼ類似している。
【0065】
2つのガイドロッド19は、床プレート23上で互いにある距離を隔てて締結されている。ガイドロッド19同士の間には、搬送装置206の一部を示している垂直方向に可動のガイドブロック220が配置されている。ガイドブロック220には、協働するローラー及びピンの形態の滑動手段21が設けられており、このローラー及びピンは、2つのロッド19に対向しているガイドブロックの両側面に配置されており且つガイドブロック220及び搬送ユニット206の垂直方向の動きをガイドする。更に、ガイドブロック220には、位置設定部材212上の溝と相互作用することができる外方を向いた変位伝達部材30と、内側を向いた水平支持部材209とが取り付けられており、水平支持部材209には、荷重受け部材207のための垂直支持部材208のみならず閉塞部材213を作動させるように機能するロッド210が締結されている。
【0066】
床プレート32には、波状の自由端縁を有するほぼ回転対称の筒状部分である位置設定部材212が取り付けられている。この図は、主として荷重方向における垂直高さが異なる位置設定部材の3つの異なる区分A,B,Cの明確な図を提供している。
【0067】
この例における位置設定部材212は、端縁に対して平行に延びている溝29を備えており、ピン形状の変位伝達部材30が溝と係合して、位置設定部材212が搬送装置206に対して回転するときに搬送装置206の直線垂直運動をもたらすであろう。変位伝達部材30が区分Aにある場合には、搬送装置の荷重受け部材207と荷重担持部材3の荷重受け部材とは、相対的に可能な最大距離にある第一の位置に位置している。この位置においては、秤量対象物のアクセス用穴は開いており、秤量対象物は搬送装置上に載置することができる。
【0068】
位置設定部材212が回転されると、変位伝達部材30は、区分Aから区分Bへと移動し、これによって搬送装置206の(図面に関して)下方向垂直な動きがもたらされる。搬送装置206の荷重受け部材207は、荷重担持部材3の荷重受け部材204の近くへ移動するが、荷重担持部材の上方の高さにとどまっている。これと同時に、アクセス穴は閉塞部材によって閉止される(再度、図4のBを参照)。位置設定部材212が更に移動することによって、この下方向への垂直動作は続き、2つの荷重受け部材204,207は、相互に櫛のように交差し、荷重受け部材207が荷重受け部材204の下方に配置される第三の位置に達するまで相対的に移動せしめられる。第二の位置から第三の位置までの動きの際に、搬送装置上に載せられている秤量対象物は、荷重担持部材の荷重受け部材へと移すことができる(再度図4のCを参照)。位置設定部材212の同じ方向又は反対方向への連続的な動きによって、位置は再び変わることができ、位置変更部材は、第三の位置から第二の位置を通って第一の位置まで戻ることができる。
【0069】
荷重受け部材207のみならず荷重受け部材204は、相互に隔置された幾つかのフックを備えており、これらのフック上に秤量対象物を配置することができる。荷重受け部材204,207は、荷重受け部材204,207のうちの一方のフックが他方の荷重受け部材のフック間の隙間と中心が合わされた整合状態とされる構造とされ、その結果、荷重担持部材3に対する搬送装置206の垂直方向の動きによって、荷重受け部材は相互に櫛状に交差することができ、秤量対象物を一方の荷重受け部材から他方の荷重受け部材へと移すことができる。
【0070】
図7は、同様に、図6の搬送装置206のみならず、当該搬送装置の支持構造38(この場合には、角度が付けられた形状である)に対する配置及び搬送装置206の変位伝達部材30をガイドすることができる案内溝34を備えた直線スライド部材の形態である位置設定部材33の代替的な形態をも示している。図7に示された構造においては、搬送装置206の垂直方向の動きは、スライド部材33の直線水平移動によって駆動される。この構造は、とりわけ、角度付きの秤量室を備えた秤に改造するのに適している。
【0071】
位置設定部材の更に別の実施形態はまた、例えば、荷重方向に平行な面内に配向されている偏心器又はカム板を含むことができる。
【0072】
図8は、特に図1乃至3に示された秤に類似しているが、秤量室15に対する代替的な閉塞部材313を備えている電子秤の詳細を断面図で示している。閉塞部材313は、直線摺動運動となるように規制されており且つ秤量室15のアクセス穴14の上方を摺動することができる。図示された形態は、閉塞部材313が、通風遮蔽部材内へ摺動することによって開くが、もちろん、他の開放方向も同様に実現できる。同様に、位置設定部材を含んでいる駆動機構によって惹き起こされる閉塞部材313の摺動動作は、駆動源の動きとして、適当な手段によって引っ張り作用又は押込作用に変換される。
【0073】
特に、円板形状の対象物の秤量用に設計された秤量室415、荷重受け部材404,407及び閉塞部材413の更に別の構造が図9及び10に示されている。図9は、ほぼ円形の秤量室部品436によって包囲されている秤量室415を示している。秤量室415は、締結手段39を中心に回転する自由度を有して通風遮蔽部材(ここでは図示されていない)上に締結されている閉塞部材413によって開き且つ/又は閉じることができる。閉塞部材の開放及び/又は閉塞は、位置設定部材及び当該位置設定部材に結合されている駆動機構の動きに結合されている。この結合は、例えば、閉塞部材413の回転中心に結合され且つ適当な作動部材を介して駆動源に結合されている回転可能な駆動軸によって実現することができる。作動部材は、例えば、位置設定部材上の適切なガイド構造と係合する歯車とすることができる。
【0074】
秤量室415の内側には、搬送装置の荷重受け部材407及び荷重担持部材403の荷重受け部材404が配置されている。荷重受け部材407は、少なくとも3つの離隔着座部材41だけでなく、少なくとも3つの通過穴42を備え、荷重受け部材404,407の着座部材40がその中を動くことができる。
【0075】
荷重受け部材404,407は、図10において三次元表示で示されている。荷重担持部材403には荷重受け部材404が結合されており、荷重受け部材407は、垂直支持部材408を介して搬送装置に結合されている。荷重受け部材404はプロペラ形状の基部プレート43を備え、基部プレート43上には3つの着座部材40が取り付けられている。荷重受け部材407は、荷重受け部材404に類似した形状とすることができ且つ荷重受け部材404に対して角度的にずれて配置することができ又はここに示されているように着座部材40のための通過穴42を備え且つ任意に少なくとも3つの着座部材41を備えたプレート44のような構造とすることができる。もちろん、荷重受け部材404,407の両方をプレート形状の構造とすることも可能である。着座部材41は、着座部材40よりも短くして、荷重受け部材404,407のうちの一方が他方の中を貫通し、秤量対象物が、荷重担持部材403に結合されている荷重受け部材404上に降ろされるか又は持ち上げられるようになされている。秤量対象物は、着座部材40,41上のほぼ基準点形状の接触位置上に支持されている。
【0076】
図11は、通風遮蔽部材16を備えた電子秤1を分解図で示しており、この通風遮蔽部材16には、交換可能な閉塞部材513、交換可能な挿入部材50のみならず交換可能な第一の荷重受け部材4及び交換可能な第二の荷重受け部材7が備えられている。図11は、特に、容易に清掃できるように交換可能である秤1の部品を示している。典型的な電子秤の構造及び機能のより詳細な説明のためには、図1乃至3の説明が参照されるべきである。
【0077】
通風遮蔽部材16は、荷重用アクセス穴14を有している秤量室515を包囲している。荷重担持部材3と搬送装置(この図では見ることができない)とは、少なくとも部分的に、秤量室515(同じく図1を参照)内に配置されている。
【0078】
この例においては、秤量室515は、少なくとも1つのコーナー(この例では4つのコーナー全て)が更に丸い凹部51を有しているほぼ矩形形状である。
【0079】
挿入部材50は、コーナー58がほぼ直角である以外は、秤量室515の形状及び大きさに適合するようになされていて、挿入部材50が秤量室515内に設置されたときに、凹部51が挿入部材50によって膨らまないでピンセットのような把持手段又は適当な形状の自動化されたユニットが挿入又は取り外しのために挿入部材50の壁上に把持することができるようになされている意味で秤量室515の形状及び大きさに適合している。
【0080】
挿入部材50は更に、2つの通過穴59(図面においては、1つだけが見ることができる)を備えており、挿入部材50が秤量室515内に着座したときに、荷重担持部材3及び搬送ユニットがこれらの通過穴を介して秤量室515内に到達することができる。
【0081】
閉塞部材513は、秤1のハウジング2に対向している端部に、2つの結合部材52,52’を備えている。結合部材52,52’は、閉塞部材513の輪郭に対して内方へ尖っており且つ閉塞部材513が2つの結合部材52,52’の間に延びている軸が回転軸を形成している旋回運動を行うことができるような形状とされている。
【0082】
少なくとも1つの凹部53,53’が、閉塞部材513を、秤1、特にハウジング2に結合する役目を果たしており、図示した実施形態においては相対的に鏡像対象に配置されている2つの凹部53,53’が表されている。
【0083】
2つの凹部53,53’の間にはラッチ部材54が配置されており、当該ラッチ部材は、凹部53を部分的に覆って閉塞部材513より特別には凹部53,53’内の結合部材52,52’を固定する役目を果たしている。ラッチ部材54は、回転基準55を中心に旋回できるように拘束されているほぼ棒の形状を有している。ラッチ部材54は更に、少なくとも1つのハンドル57と載置接点56とを有しており、載置接点56は、閉塞位置(図12)においては通風遮蔽部材16の面に当接している。
【0084】
ラッチ部材54及び当該ラッチ部材が少なくとも1つの凹部53,53’と共に作動する形態が図12a及び12bに示されている。図12aは、ラッチ部材54を開放位置で示しており、図12bは閉塞位置を示している。開放位置においては、閉塞部材は定位置に設定するか又は取り除くことができ、一方、ラッチ部材54は閉塞位置において閉塞部材を固定するか又は係止する。
【0085】
開放位置においては、ラッチ部材54の長手軸線は、通風遮蔽部材16の面60に対してある角度で傾斜しており、載置接点56は、面60から離れている。ラッチ部材54は、凹部53,53’の前方に配置されており、これらの凹部の各々は、2つの凹部61,61’,62,62’からなり、これらの凹部の長手軸線は互いに90°で配向されている。開放位置においては、結合部材52,52’(図1参照)は、凹部53,53’内に設定して、凹部62,62’が結合部材52,52’の自由端に対する担持部材として作用し、閉塞部材が、その設置状態において2つの結合部材52,52’の結合軸線を中心に旋回できるようにすることができる。
【0086】
ラッチ部材54の開放位置(図12Aに示されている)から閉塞位置(図12Bに示されている)への切換は、棒形状のラッチ部材を回転基準55を中心に回転させることによってなされる。この回転動作は、載置接点56が面60に対して当接するようになったときに停止される。
【0087】
ラッチ部材54は、手動によって回転させることができ、又はラッチ部材54のハンドル57と係合するか若しくは機構54を回転させる適当な把持手段によって自動的に回転させることができる。
【0088】
閉塞位置においては、ラッチ部材54は凹部62”を覆っている。凹部62”は、図12のBにおいては、2つの凹部61,61’の間の連続結合の形状を有し、閉塞部材が定位置に設定された場合には固定される。
【0089】
閉塞部材513は、図13において斜視図で示されている。閉塞部材513は、秤量室の荷重用アクセス穴を閉じることができるプレート63と、ある角度で上方へ曲がっており且つその上に結合部材52,52’が配置されているコネクタストリップ64とを含んでいる。結合部材52,52’は、凹部62,62’の直径よりも若干小さい直径を有するピン形状に構成されている(図12参照)。図13には更に、2つの結合部材52,52’間の結合軸線によって示されている閉塞部材513の回転軸線AA(既に説明した)が示されている。
【産業上の利用可能性】
【0090】
電子秤が一般的な通風遮蔽部材か又は本発明による通風遮蔽部材かを使用するか選択できる場合が特に有利である。特に、一般的な通風遮蔽部材と本発明による通風遮蔽部材とが同じ大きさであり且つ同じ種類の駆動機構で作動できる場合に、この相互に置換可能であるという概念が思い浮かぶ。
【0091】
秤量室を秤量される特別な対象物に適合させるために適当な通風遮蔽部材を選択できるだけでなく、搬送装置及び荷重担持部材の荷重受け部材の大きさ及び形状を特別な秤量対象物に適合させることができることが更に有利である。秤量室に更に別のアクセス穴を設けること又は荷重用アクセス穴を別の位置例えば横方向に配置することも考えられる。
【0092】
図面に示した秤量室に加えて、秤量室、閉塞部材、挿入部材のみならず荷重受け部材を任意の種類の秤量対象物に適合させることも勿論可能である。秤量室は、例えば、実質的に、三角形、四角形、多角形、円形及び/又は楕円形に構成することができ、且つ、当該技術分野において知られている多くの異なる荷重受け部材を含む種々の荷重受け部材を使用することが可能である。
【0093】
これらのタイプの秤量室のための閉塞部材にも同様に、秤に相互に交換可能に結合することができるような結合部材を備えることができる。
【0094】
秤量室に更に別の荷重用アクセス穴を設けること又は荷重用アクセス穴を別の位置例えば横方向に配置することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、断面図で示されている第一の通風遮蔽部材と、開放状態の荷重用アクセス穴と、相対的に第一の位置を占めている搬送装置及び荷重担持部材を備えている電子秤の部分図である。
【図2】図2は、断面図で示されている第一の通風遮蔽部材と、閉塞状態の荷重用アクセス穴と、相対的に第二の位置を占めている搬送装置及び荷重担持部材を備えている電子秤の部分図である。
【図3】図3は、断面図で示されている第一の通風遮蔽部材と、閉塞状態の荷重用アクセス穴と、相対的に第三の位置を占めている搬送装置及び荷重担持部材を備えている電子秤の部分図である。
【図4】図4は、相対的に第一、第二及び第三の位置を占めている荷重担持部材の荷重受け部材と搬送装置との極めて簡素化された側面図である。
【図5】図5は、断面図で示されている第二の通風遮蔽部材と、開放状態の荷重用アクセス穴と、相対的に第一の位置を占めている搬送装置及び荷重担持部材を備えている電子秤の部分図である。
【図6】図6は、搬送装置、荷重担持部材並びにホイール及び案内溝を備えた位置設定部材を備えた駆動機構を有する電子秤の簡素化された分解形態の部分図である。
【図7】図7は、搬送装置、荷重担持部材、案内溝を備えた摺動部材として形成されている位置設定部材及び変位伝達部材を示している。
【図8】図8は、摺動閉塞部材によって閉塞することができる秤量室を含んでいる電子秤の断面図で示した部分図である。
【図9】図9は、回転可能に束縛された閉塞部材によって閉止することができ且つ着座部材を備えた荷重受け部材が配置されているほぼ丸い秤量室を上方から見た図である。
【図10】図10は、図9の荷重受け部材の簡素化された斜視図である。
【図11】図11は、通風遮蔽部材を備えた電子秤の分解図であり、交換可能な閉塞部材、交換可能な挿入部材のみならず交換可能な荷重受け部材を含んでいる電子秤の分解図である。
【図12A】図12Aは、閉塞部材を電子秤に結合するためのラッチ機構の詳細図であり、2つの凹部が開放状態にある状態を示している。
【図12B】図12Bは、閉塞部材を電子秤に結合するためのラッチ機構の詳細図であり、1つの凹部が閉塞状態にある状態を示している。
【図13】図13は、2つの結合領域を有する閉塞部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0096】
1 秤
2 ハウジング
3,203,403 荷重担持部材
4,104,404 第一の荷重担持部材
5,105 秤量対象物
6,206 搬送装置
7,207,407 第二の荷重受け部材
8,208,408 垂直支持部材
9,209 水平支持部材
10,210 ロッド
11 壁部材
12,212 位置設定部材
13,113,413,513 閉塞部材
14 荷重用アクセス穴
15,115,415,515 秤量室
16 通風遮蔽部材
17,117 端縁
18 変位伝達部材
19 ガイドロッド
20,220 ガイドブロック
21 滑動手段
23 床プレート
24 通路
25 カバー
28 壁部材
29 溝
30 変位伝達部材
31 床部材
32 床プレート
33 位置設定部材
34 溝
35 ガイドスリーブ
36,436 秤量室部材
37 保持構造
38 支持構造
39 締結手段
40 着座部材
41 着座部材
42 通過穴
43 基部プレート
50 挿入部材
51 凹部
52,52’ 結合部材
53,53’ 凹部
54 ラッチ部材
55 回転の点
56 載置接点
57 ハンドル
58 コーナー
59 通路穴
60 表面
61,61’ 凹部
62,62’ 凹部
62” 凹部
63 プレート
64 コネクタストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重担持部材(3,203)と、荷重担持部材(3,203)と協働する搬送装置(6,206)と、秤量対象物の大きさに適合された秤量室(15,115)を包囲している通風遮蔽部材(16)であって、少なくとも1つの荷重用アクセス穴(14)を開閉する機能を果たす少なくとも1つの開閉部材(13,213)を含んでいる通風遮蔽部材(16)と、開閉部材(13,213)を作動させる機能を果たす駆動機構とを含んでいる電子秤であり、
前記駆動機構が、位置設定部材(12,33,212)を更に含み且つ位置決め部材(12,33,212)及び変位伝達部材(18,30)と共に、荷重担持部材(3,203)に対する搬送装置(6,206)の持ち上げ及び下げ降ろし動作をもたらし、前記位置設定部材(12,33,212)は、搬送装置(6,206)及び/又は荷重担持部材(3,203)を幾つかの規定された位置に設定する構造とされていることを特徴とする電子秤。
【請求項2】
請求項1に記載の電子秤であり、
変位伝達部材(18,30)が搬送装置(6,206)に締結されていることを特徴とする電子秤。
【請求項3】
請求項1に記載の電子秤であり、
位置設定部材(12,212)がカム板として構成されていることを特徴とする電子秤。
【請求項4】
請求項1に記載の電子秤であり、
位置設定部材(33)が直線変位摺動部材として構成されていることを特徴とする電子秤。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
位置設定部材(12,33,212)が変位伝達部材(18,30)のための案内経路(17,29,34)を含んでいることを特徴とする電子秤。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
荷重担持部材(3,203)が第一の荷重受け部材(4,104)を含んでおり、搬送装置(6,206)が第二の荷重受け部材(7,207)を含んでおり、これらの荷重受け部材(4,104,7,207)は、荷重担持部材(3,203)が搬送装置(6,206)に対して移動するときに、第一の荷重受け部材(4,104)と第二の荷重受け部材(7,207)とが、秤量荷重(5,105)を搬送するために、相互に接触することなく互いに交差するのを可能にする構造とされていることを特徴とする電子秤。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
秤量室(15,115)が、ほぼ、三角形、矩形、多角形、円形又は楕円形の形状を有していることを特徴とする電子秤。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
閉塞部材(13,213,313,413)が、軸又は回転中心に対して旋回するか又は摺動することができるように支持されていることを特徴とする電子秤。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
マイクログラム範囲及び/又はマイクログラム未満の範囲の荷重を秤量できる構造とされていることを特徴とする電子秤。
【請求項10】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
秤量室(515)が挿入部材(50)を含んでおり、秤量室(515)の荷重用アクセス穴(14)が閉塞部材(513)によって閉塞することができ、秤量過程中に、第一の荷重受け部材(4)及び第二の荷重受け部材(7)が、秤量室(515)特に挿入部材(50)内に配置され、挿入部材(50)及び/又は閉塞部材(513)が手動によって又は自動化されたモードで交換できることを特徴とする電子秤。
【請求項11】
請求項10に記載の電子秤であり、
閉塞部材(513)が少なくとも1つの結合部品(52,52’)を含んでおり、当該電子秤は、少なくとも1つの結合部品(52,52’)を収容するための少なくとも1つの凹部(53,53’)を含んでいることを特徴とする電子秤。
【請求項12】
請求項11に記載の電子秤であり、
結合部品(52,52’)が、凹部(53,53’)内に、ラッチ部材(54)によって固定することができることを特徴とする電子秤。
【請求項13】
請求項10乃至12のうちのいずれか一項に記載の電子秤であり、
秤量室(515)が、挿入部材(50)を挿入し又は取り外す機能を果たす少なくとも1つの切り込み領域(51)を含んでいることを特徴とする電子秤。
【請求項14】
特別な秤量対象物に適合された秤量室(15,115)を包囲し且つ閉塞部材(13,213)によって閉塞できる少なくとも1つの荷重用アクセス穴を含む通風遮蔽部材(16)を備え、更に、閉塞部材(13,213)を作動させる駆動機構をも備え、荷重担持部材(3,203)と協働し且つ変位伝達部材(18,30)を介して位置設定部材(12,33,212)とも協働する搬送装置(2,206)をも更に備えた電子秤上に、秤量対象物を配置する方法であり、
a.閉塞部材(13,213)を作動させることにより荷重用アクセス穴(14)を開き、これと同時に、荷重担持部材(13,203)と搬送装置(6,206)とを、前記駆動機構によって相対的に動かすことによって、荷重担持部材(13,203)と搬送装置(6,206)との間に第一の位置を設定するステップと、
b.荷重(5,105)を搬送装置(6,206)上に配置するステップと、
c.荷重用アクセス穴(14)を閉じ、これと同時に、荷重担持部材(3,203)と搬送装置(6,206)とを相対的に動かすことによって、これらの荷重担持部材(3,203)と搬送装置(6,206)との間に第二の位置を設定するステップと、
d.前記電子秤のゼロ点調整を行うステップと、
e.荷重担持部材(3,203)と搬送装置(6,206)とを相対的に第三の位置へと移動させることによって、荷重を、搬送装置(6,206)の荷重受け部材(7,207)から荷重担持部材(3,203)の荷重受け部材(4,104)へと移すステップと、
f.荷重(5,105)を秤量するステップと、
g.搬送装置(6,206)と荷重担持部材(3,203)とを相対的に第二の位置へと動かすことにより、荷重(5,105)を、荷重担持部材(3,203)から搬送装置(6,206)へと移すステップと、
h.荷重用アクセス穴(14)を開き、これと同時に、荷重担持部材(3,203)と搬送装置(6,206)とを相対的に動かすことによって、これら荷重担持部材(3,203)と搬送装置(6,206)との間に第一の位置を設定するステップと、
i.荷重(5,105)を搬送装置(6,206)から取り外すステップと、を含み、
閉塞部材(13,213)の作動並びに荷重担持部材(3,203)と搬送装置(6,206)との間の少なくとも第一、第二及び第三の位置の設定が、駆動機構、位置設定部材(12,33,212)及び変位伝達部材(18,30)の協働によってもたらされるようになされている方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であり、
所定数の繰り返しの秤量が完了するまで、前記ステップd乃至gを繰り返すことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法であり、
秤のゼロ設定前及び/又は後に、正しく機能するための秤の校正を確認し且つ/又は秤量パラメータを確認し且つ/又は調整することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14乃至16のうちのいずれか一項に記載の方法であり、
搬送装置(6,206)上への荷重(5,105)の配置及び/又は取り外しが自動化された方法で行われることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−96438(P2008−96438A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265060(P2007−265060)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland