説明

電子血圧計

【課題】使用に際しての小型化された電子血圧計の提供。
【解決手段】カフ201を収納するカフ収納部202を備えた筐体101と、筐体101に設けられ、カフ収納部202をカフを出し入れ可能に開放する蓋部材102と、蓋部材102に設けられ、当該蓋部材102がカフ収納部202を開放する状態において入力操作を受け付ける操作部205と、蓋部材102に設けられ、当該蓋部材102がカフ収納部202を開放する状態において所定の情報を表示する液晶表示部204と、を備えた電子血圧計100において、蓋部材102が、筐体101の一部に重なった状態でカフ収納部202を開放するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
上腕などの被測定体の動脈を圧迫するカフを、カフ収納部に収容可能とした構成の電子血圧計(カフ収納型上腕血圧計)がある。電子血圧計は、各種の入力操作を受け付ける操作キーや、測定結果など所定の情報を表示する表示画面などを備えている。このような電子血圧計には、従来、カフ収納部を形成する筐体と、当該筐体に対して回動可能に設けられ、筐体に対して回動することによってカフ収納部を開放する蓋部材と、を備えたものがあった。
【0003】
上記のような従来の電子血圧計には、使用に際して操作者側に向けられる面(前面)に操作キーや表示画面が設けられるとともに、使用に際して操作キーや表示画面よりも操作者から離間する側(背面側)にカフ収納部が配置されたものがあった。また、上記のような従来の電子血圧計には、操作キーや表示画面が、カフ収納部よりも背面側に配置されたものがあった。
【0004】
また、従来、血圧計本体に取り付けられた開閉自在な蓋を備え、不使用時に蓋を閉じると、血圧計本体の上面部を覆うことができるようにした血圧計があった(たとえば、下記特許文献1、非特許文献1を参照)。このような従来の電子血圧計においては、いずれも、カフ収納部と操作キーや表示画面とが手前面側から背面側に沿って並列して配置されていた。また、このような従来の電子血圧計においては、いずれも、蓋部材が筐体に対してクラムシェル構造をなしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05−018502号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】意匠登録0901685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術の電子血圧計においては、操作キーや表示画面とカフ収納部とが手前面側から背面側に沿って並列して配置されていたため、奥行き方向における寸法が長くなり、電子血圧計が大型化してしまうという問題があった。このため、設置台上に電子血圧計を設置する際には、広い設置面積を確保する必要があり、使い勝手に劣るという問題があった。
【0008】
また、上述した従来の電子血圧計においては、蓋部材が筐体に対してクラムシェル構造をなしていたため、筐体の前面側、背面側あるいは筐体上方に、カフ収納部を開放するために蓋部材を回動させておくスペースを確保しなくてはならない。このため、電子血圧計の使用に際しては、電子血圧計がかさばり、使い勝手に劣るという問題があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、小型化を図ることができる電子血圧計を提供することを目的とする。
【0010】
また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、特に、使用に際しての小型化を図ることができる電子血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子血圧計は、カフを収納するカフ収納部を備えた筐体と、前記筐体に設けられ、前記カフ収納部からカフを出し入れ可能に開放する蓋部材と、前記蓋部材に設けられ、入力操作を受け付ける操作部と、前記蓋部材に設けられ、所定の情報を表示する表示部と、を備え、前記蓋部材が、前記筐体の一部に重なった状態で前記カフ収納部を開放するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発目において、前記蓋部材が、前記筐体の上側に設けられた支軸部を介して前記筐体に対して回動可能に連結され、前記カフ収納部を閉塞した状態における上面と下面とを反転させるように回動することによって前記カフ収納部を開放することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発目において、前記操作部および前記表示部が、前記蓋部材が前記カフ収納部を開放する位置まで回動した状態において上面となる位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発目において、前記操作部が、前記カフ収納部を開放する状態において入力操作を受け付けることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発目において、前記蓋部材が、前記カフ収納部を開放する位置において、一部が、前記筐体の設置面に当接するように設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発目において、前記蓋部材が、前記筐体に対してスライドして前記カフ収納部を開放することを特徴とする。
【0017】
この発明にかかる電子血圧計によれば、蓋部材が筐体の一部に重なった状態でカフ収納部を開放し、電子血圧計の使用を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかる電子血圧計によれば、使用に際しての電子血圧計の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その1)である。
【図2】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その2)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その3)である。
【図4】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その4)である。
【図5】蓋部材を示す説明図(その1)である。
【図6】蓋部材を示す説明図(その2)である。
【図7】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の内部構造を示す説明図である。
【図8】磁石と磁石スイッチとの位置関係を示す説明図である。
【図9】筐体に対する蓋部材の状態を示す説明図(その1)である。
【図10】筐体に対する蓋部材の状態を示す説明図(その2)である。
【図11】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の機能的構成を示すブロック図である。
【図12】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その1)である。
【図13】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その2)である。
【図14】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その3)である。
【図15】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その4)である。
【図16】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その5)である。
【図17】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その6)である。
【図18】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その7)である。
【図19】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子血圧計の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態)
まず、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の構成について説明する。図1、図2、図3および図4は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の、不使用時における外観を斜め上方から見た状態を示している。図2は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の、使用時における外観を斜め上方から見た状態を示している。図3においては、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の、不使用時における外観を側方から見た状態を示している。図4は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の、使用時における外観を側方から見た状態を示している。
【0022】
図1、図2、図3および図4において、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100は、筐体101を備えている。筐体101は、電子血圧計100の使用時において前方となる側(前方側、使用者に向けられる側)が浅く、電子血圧計100の使用時において後方となる側(後方側、使用者から離れた側)が前方側よりも深い箱形形状をなしている。
【0023】
筐体101は、内側に、カフ201を収納可能な空間をなすカフ収納部202を備えている。カフ収納部202の上側には、上方に向けて開口する開口部203が設けられている。カフ201は、カフ収納部202に対して開口部203を介して出し入れされ、電子血圧計100の不使用時にカフ収納部202内に収納される。
【0024】
カフ201は、カフリング、阻血袋(図11を参照)、カフ帯などを備えて構成されている(カフリングおよびカフ帯については図示を省略する)。カフリング、阻血袋およびカフ帯は、それぞれ、略円筒形状をなしている。カフリングは、たとえばポリエチレンなどを用いて形成され、阻血袋の内側に設けられている。カフリングの両端に設けられた開口部203には、たとえば樹脂製リングまたはコイルばね状の金属リングなど、弾性を有するリング状の支持部材が設けられる。
【0025】
阻血袋は、たとえばポリウレタンなどを用いて形成され、カフ帯の内側に設けられている。阻血袋は、吸入排気用チューブ(図示を省略する)を介して、ポンプ(図7および図11を参照)と、エアバルブ(図11を参照)と、圧力センサ(図11を参照)とに接続されている。
【0026】
カフ帯は、たとえばナイロンなどを用いて形成されている。カフ帯は、軸方向の伸張率に対して、円周方向の伸張率が極めて低くなるように形成されている。このカフ帯は、阻血袋にエアが送り込まれた際の外側への膨張を抑える。
【0027】
カフ201は、測定時において、ポンプによって阻血袋の内腔が加圧された際に、カフ帯が阻血袋の外側への膨張を制限するように構成されている。特に、カフ帯は、軸方向に比べて周方向の伸張率が低くなるように形成されているため、阻血袋の外側への膨張を、より制限するようになっている。
【0028】
筐体101には、蓋部材102が設けられている。蓋部材102は、カフ収納部からカフを出し入れ可能に開放する。蓋部材102は、筐体101に対して回動可能に連結されている。筐体101と蓋部材102とを連結するとともに蓋部材102の回動中心となる支軸部103は、筐体101の上面に設けられている。支軸部103は、筐体101の上面において、前方側から後方側に向かう途中部分に設けられている。
【0029】
これにより、蓋部材102は、電子血圧計100の使用を可能とする位置まで回動した場合に、筐体101の上面に一部重なった状態とされる。蓋部材102の一部は、電子血圧計100の使用を可能とする位置まで回動した状態において、電子血圧計100の設置面301に当接する。蓋部材102は、開口部203を閉塞する位置と開口部203を開放する位置との間において、筐体101に対して回動可能に連結されている。
【0030】
蓋部材102の表面(開口部203を閉塞する位置に位置付けられた状態における上面)には、液晶表示部(副表示部)104が設けられている。蓋部材102の裏面(開口部203を開放し、電子血圧計100の使用を可能とする状態における上面)には、液晶表示部(表示部)204および操作部205が設けられている。
【0031】
図5および図6は、蓋部材102を示す説明図である。図5および図6において、液晶表示部104は、時刻を表示する時計として機能する。時刻は、電子血圧計100が備える制御部における計時機能によって計時される時刻を表示する。液晶表示部204は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、体動マーク、脈間隔変動マークなど、電子血圧計100が測定した各種の測定結果を表示する。液晶表示部204は、電池消耗マークや各種のエラーメッセージなどを表示してもよい。
【0032】
操作部205は、各種の操作キーを備えている。操作部205における各種の操作キーは、カフ収納部202を開放する状態において入力操作を受け付ける。より具体的には、操作部205における各種の操作キーは、電子血圧計100の使用を可能とする位置まで回動した状態において、操作することが可能となる。電子血圧計100は、バッテリ(図示を省略する)を備えており、このバッテリによって液晶表示部104、液晶表示部204および操作部205への電源の供給がおこなわれる。
【0033】
図7は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の内部構造を示す説明図である。図7において、電子血圧計100は、ポンプ701、センサ基板702、バッファー703、フィルター704、電磁SL705、磁石706、カフコネクタ707、磁石スイッチ708などを備えている。ポンプ701、センサ基板702、バッファー703、フィルター704、電磁SL705、磁石706およびカフコネクタ707は、筐体101内に設けられている。磁石スイッチ708は、蓋部材102の内側に設けられている。
【0034】
磁石スイッチ708は、蓋部材102が開口部203を開放する方向へ回動し、電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置付けられた状態において磁石706の磁気を検出し、磁石706の磁気を検出したことをもって蓋部材102が電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置付けられたことを検出する。ポンプ701、センサ基板702、バッファー703、フィルター704、電磁SL705、カフコネクタ707など、電子血圧計100が備えるその他の各部については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0035】
図8は、磁石706と磁石スイッチ708との位置関係を示す説明図である。図8において、磁石706は、筐体101の上面をなす板状部材に、筐体101の内側から取り付けられている。また、磁石706は、支軸部103よりも前方側に設けられている。磁石スイッチ708は、蓋部材102が電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置付けられた状態において、板状部材を間にして磁石706に対向する位置に設けられている。
【0036】
磁石706は、当該磁石706に対して磁石スイッチ708が所定範囲内に位置する場合に、磁石スイッチ708が検出可能な大きさの磁気を発する。これにより、磁石スイッチ708は、蓋部材102が電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置および当該位置の近傍に位置付けられた状態、すなわち磁石706に対して所定範囲内まで接近した状態において、磁石706の磁気を検出することができる。
【0037】
電子血圧計100は、磁石スイッチ708が磁石706の磁力を検出した場合に、電子血圧計100の電源をON状態とする。また、電子血圧計100は、磁石スイッチ708は磁石706の磁力を検出している間、電子血圧計100の電源をON状態とし続ける。
【0038】
操作キーに対する操作は、磁石スイッチ708が磁石706の磁気を検出している状態において可能とされる。液晶表示部204は、操作キーに対する操作が可能な場合に、所定の情報を表示する。すなわち、液晶表示部204および操作部205は、蓋部材102が電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置付けられている状態に限って動作する。
【0039】
これにより、電子血圧計100の使用者(被測定者)に対して電源を投入する操作など格別な操作をおこなわせることなく、蓋部材102を開放するだけで電子血圧計100を容易に使用可能な状態とすることができる。また、蓋部材102が電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置付けられている状態に限って液晶表示部204および操作キーが動作するため、たとえば電源を切り忘れたために電池が消耗してしまうことを防止することができる。
【0040】
この実施の形態においては、磁石スイッチによって、蓋部材102が電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置および当該位置の近傍に位置付けられた状態で、電子血圧計100の電源をON状態とする例を示したが、電子血圧計100における電源のON状態とOFF状態とを切り替える構成は、これに限るものではない。具体的には、たとえば、蓋部材の位置と関係なく、電源スイッチを用いて電子血圧計100における電源のON状態とOFF状態とを切り替えるようにしてもよい。
【0041】
また、電子血圧計100における電源のON状態からOFF状態へ切り替える構成は、上記のように蓋部材や電源スイッチを用いた構成に限るものではない。具体的には、たとえば、電子血圧計100における電源のON状態において操作キーに対する操作が一定時間ない場合に、電源をOFF状態に切り替えるように構成してもよい。これによって、電源を切り忘れたために電池が消耗してしまうことを防止することができる。
【0042】
図9および図10は、筐体101に対する蓋部材102の状態を示す説明図である。図9および図10において、蓋部材102は、図3に示した状態から、図9に示した状態および図10に示した状態を経て、図4に示した状態とされる。また、蓋部材102は、図4に示した状態から、図10に示した状態および図9に示した状態を経て、図3に示した状態とされる。
【0043】
蓋部材102は、所定の大きさ以上の負荷がかけられた場合に回動するように構成されている。蓋部材102を、所定の大きさ以上の負荷がかけられた場合に回動可能とする構成は、たとえば、トルクヒンジを用いることによって実現することができる。トルクヒンジについては、公知の技術であるため説明を省略する。
【0044】
また、蓋部材102は、負荷がかけられていない場合に、筐体101に対して所定の角度をなす位置(所定位置)で固定されるように構成されている。蓋部材102を、負荷がかけられていない場合に所定位置で固定する構成は、たとえば、上記の公知のトルクヒンジを用いることによって実現することができる。
【0045】
具体的には、蓋部材102は、たとえば、図9に示した位置や図10に示した位置で固定されるように構成されている。たとえば、図9に示した位置や図10に示した位置で固定されるように構成されている蓋部材102が、図9に示した位置と図10に示した位置との間の任意の位置に位置付けられた状態において、当該蓋部材102に対してかけられていた負荷がなくなった場合は、蓋部材102の自重によって前方側あるいは後方側に回動し、図9に示した位置あるいは図10に示した位置で停止する。
【0046】
これによって、被測定者が意図しない状況で液晶表示部204や操作キーが動作したり、蓋部材102と筐体101との間に手指を挟む事故が発生したりすることを防止することができる。蓋部材102は、当該蓋部材102に対してかけられていた負荷が所定の大きさよりも小さくなった場合、および、当該蓋部材102に対してかけられていた負荷がなくなった場合に、その場で回動を停止し、固定されるように構成してもよい。
【0047】
被測定者は、電子血圧計100の使用に際し、蓋部材102に対して所定の大きさ以上の負荷をかけながら、当該蓋部材102の一部が電子血圧計100の設置面301に当接する位置まで蓋部材102を回動させる。電子血圧計100は、磁石スイッチ708の検出結果に基づいて、蓋部材102の一部が電子血圧計100の設置面301に当接する位置、すなわち電子血圧計100の使用を可能とする位置に位置付けられると同時あるいは当該位置に位置付けられる直前に、液晶表示部204および操作部205を動作させる。
【0048】
(電子血圧計100の機能的構成)
つぎに、図11を用いて、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の機能的構成について説明する。図11は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の機能的構成を示すブロック図である。電子血圧計100においては、被測定者がカフ201内に腕を挿通させた状態で、操作部205における所定の操作キー(測定ボタンなど)を押すと、自動的にカフ201にエアを送り込んで測定が開始される。
【0049】
図11において、電子血圧計100は、CPU1101と、ポンプ駆動回路1102と、エアバルブ駆動回路1103と、増幅器1104と、A/Dコンバータ1105と、メモリ1106と、液晶表示部104と、液晶表示部204と、操作部205と、ポンプ701と、エアバルブ1107と、圧力センサ1108と、阻血袋1109などを備えて構成されている。CPU1101は、電子血圧計100全体の制御を司る。
【0050】
ポンプ駆動回路1102は、CPU1101から出力された制御信号に基づいて動作し、ポンプ701を駆動制御する。ポンプ駆動回路1102は、ポンプ701を駆動制御することによって阻血袋1109の内腔に空気を送り込み、阻血袋1109の内腔に空気を送り込むことによって阻血袋1109の内腔を加圧する。具体的には、ポンプ駆動回路1102は、測定時において、阻血袋1109の内腔の圧力が所定の圧力となるように、阻血袋1109の内腔に圧縮気体を送り込む。
【0051】
エアバルブ駆動回路1103は、CPU1101から出力された制御信号に基づいて動作し、エアバルブ1107を駆動制御し、エアバルブ1107の開閉状態を制御する。エアバルブ駆動回路1103は、エアバルブ1107を駆動制御することによって、阻血袋1109の内腔の圧力を維持するとともに、阻血袋1109の内腔の圧力の減圧をおこなう。具体的には、エアバルブ駆動回路1103は、測定時においてポンプ701の動作によって高圧状態となった阻血袋1109の内腔の圧力の維持および減圧をおこなうとともに、測定終了後において阻血袋1109の内腔を大気圧に復帰させる。
【0052】
圧力センサ1108は、測定時において変化する阻血袋1109の内腔の圧力を検出し、阻血袋1109の圧力検出信号を出力する。増幅器1104は、圧力センサ1108から出力される阻血袋1109の圧力検出信号を増幅し、A/Dコンバータ1105に出力する。A/Dコンバータ1105は、増幅器1104から出力されたアナログ信号をデジタル化し、CPU1101に出力する。
【0053】
CPU1101は、タイマ機能によって時刻を計時し、計時した時刻信号を液晶表示部104に出力する。液晶表示部104は、CPU1101から出力された時刻信号に基づいて時刻を表示する。また、CPU1101は、増幅器1104から出力されたアナログ信号をデジタル化した測定値信号を液晶表示部204に出力する。液晶表示部204は、CPU1101から出力された測定値信号に基づいて、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、体動マーク、脈間隔変動マークなど、電子血圧計100が測定した各種の測定結果を表示する。
【0054】
液晶表示部204に表示された測定結果に基づき、被測定者によって所定の操作キーが操作されると、CPU1101は、測定結果をメモリ1106に出力する。メモリ1106は、測定結果を記憶する。
【0055】
この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100は、後方側から前方側に蓋部材102を回動させることによって使用が可能となるため、電子血圧計100の使用に際して、電子血圧計100の後方または上方にスペースを確保する必要がない。これによって、電子血圧計100の後方に壁などの障害物がある場合にも、電子血圧計100の前方にのみスペースを確保すればよく、さらに、筐体101に重なった状態に蓋部材102が開くために確保するスペースも小さくすることができるので、使用が可能な状態における電子血圧計1200が占有するスペースを小さくすることができる。
【0056】
また、この実施の形態の電子血圧計100は、筐体101が、電子血圧計100の使用時における前方側が浅く、後方側(が前方側よりも深い箱形形状をなしている。このため、カフ収納部202と液晶表示部204や操作部205とを、水平方向に並列に配置した場合と比較して、電子血圧計100の奥行き寸法を短くすることができる。これによって、電子血圧計100の設置スペースをより省スペース化することができる。
【0057】
(別の実施の形態)
つぎに、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計について説明する。この発明にかかる電子血圧計は、蓋部材102が、前後方向に回動するものに限らない。すなわち、蓋部材102は、カフ収納部202を閉塞する位置から筐体101の前方側へ回動することによって当該カフ収納部202を開放するように構成されているものに限らない。
【0058】
図12、図13、図14および図15は、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図である。図12、図13、図14および図15において、上述した電子血圧計100と同一部分については、同一符号で示し、説明を省略する。図12、図13、図14および図15において、蓋部材102は、本などのページを捲るように、左右方向に回動する構成とされている。
【0059】
具体的には、図12および図13に示した電子血圧計1200は、左側から右側へページを捲るように回動する(図12における矢印Aを参照)ことによってカフ収納部202を開放し、使用が可能となる構成とされている。図12および図13に示した電子血圧計1200において、支軸部103は、筐体101の上面で、左右方向において、中央部よりも右側に偏った位置に設けられている。
【0060】
これにより、電子血圧計1200の使用が可能となる状態において、蓋部材102の一部が筐体101に重なるため、支軸部103を筐体101の上面における右側端部に設けた場合よりも、使用が可能な状態における電子血圧計1200が占有するスペースを小さくすることができる。これによって、使用時における電子血圧計1200の小型化を図ることができる。
【0061】
また、具体的には、図14および図15に示した電子血圧計1400は、右側から左側へページを捲るように回動する(図14における矢印Bを参照)ことによってカフ収納部202を開放し、使用が可能となる構成とされている。図14および図15に示した電子血圧計1400において、支軸部103は、筐体101の上面で、左右方向において、中央部よりも左側に偏った位置に設けられている。
【0062】
これにより、電子血圧計1400の使用が可能となる状態において、蓋部材102の一部が筐体101に重なるため、支軸部103を筐体101の上面における左側端部に設けた場合よりも、使用が可能な状態における電子血圧計1400が占有するスペースを小さくすることができる。これによって、使用時における電子血圧計1400の小型化を図ることができる。
【0063】
図16、図17、図18および図19は、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図である。図16においては、この発明にかかる別の実施の形態の、非使用時における電子血圧計を上方から見た状態を示している。図17においては、この発明にかかる別の実施の形態の、非使用時における電子血圧計を側方から見た状態を示している。図18においては、この発明にかかる別の実施の形態の、使用時における電子血圧計を上方から見た状態を示している。図19においては、この発明にかかる別の実施の形態の、使用時における電子血圧計を側方から見た状態を示している。
【0064】
図16、図17、図18および図19において、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計1600が備える蓋部材102は、カフ収納部202を閉塞する位置から筐体101の後方側へ回動する(図17における矢印Cを参照)ことによってカフ収納部202を開放し、使用が可能となる構成とされている。
【0065】
電子血圧計1600は、蓋部材102がカフ収納部202を全開する位置まで回動した状態において、当該蓋部材102が備える液晶表示部204および操作部205が、電子血圧計1600における前方側に向くように蓋部材102を支持する支持部材1701を備えている。支持部材1701は、筐体101に固定されており、筐体101の上面において、前方側が後方側よりも低くなるような斜面1701aを構成している。これによって、簡易な構成によって、液晶表示部204の視認性を確保するとともに、操作部205に対する良好かつ安定した操作性を確保することができる。
【0066】
この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600は、蓋部材102が、前後方向あるいは左右方向に回動するものに限らず、筐体101に対してスライドする構成であってもよい。図示を省略するが、具体的には、たとえば、後方側から前方側へ引き戸のようにスライドすることによって、カフ収納部202を開閉する蓋部材102であってもよい。
【0067】
このような蓋部材102を備える電子血圧計100、1200、1400、1600においては、筐体101の上面を後方側よりも前方側の方が低くなるように傾斜させ、カフ収納部202を全開する状態において蓋部材102の先端が筐体101の設置面301に当接する構成であってもよい。これによって、操作部205に対して入力操作がおこなわれた場合における操作部205の安定性の向上を図ることができる。
【0068】
同様に、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600は、蓋部材102が、「前方側から後方側へ」、「左側から右側へ」あるいは「右側から左側へ」、引き戸のように開閉する構成であってもよい。これによって、カフ収納部202の開閉に際しての省スペース化を図ることができる。
【0069】
液晶表示部204と操作部205とは必ずしも隣り合って設けられているものに限らない。たとえば、蓋部材102に液晶表示部204を設け、操作部205を筐体101に設けるようにしてもよい。この場合にも、蓋部材102が筐体101に重なった状態で開くため、使用に際しての電子血圧計の省スペース化を図ることができる。
【0070】
以上説明したように、この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600は、カフ201を収納するカフ収納部202を備えた筐体101と、筐体101に設けられ、カフ収納部202を開放可能に閉塞する蓋部材102と、蓋部材102に設けられ、当該蓋部材102がカフ収納部202を全開する状態において入力操作を受け付ける操作部205と、蓋部材102に設けられ、当該蓋部材102がカフ収納部202を全開する状態において所定の情報を表示する液晶表示部204と、を備え、蓋部材102が、筐体101の一部に重なった状態でカフ収納部202を全開するように設けられていることを特徴としている。
【0071】
この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600によれば、蓋部材102が筐体101の一部に重なった状態でカフ収納部202を開放し、電子血圧計100、1200、1400、1600の使用を可能とすることができる。これにより、筐体101の上面全体を開放する従来の電子血圧計100、1200、1400、1600と比較して、使用が可能な状態における電子血圧計100、1200、1400、1600が占有するスペースを小さくすることができる。これによって、使用時における電子血圧計100、1200、1400、1600の小型化を図ることができる。
【0072】
また、この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600は、蓋部材102が、筐体101の上側に設けられた支軸部103を介して筐体101に対して回動可能に連結され、カフ収納部202を閉塞した状態における上面と下面とを反転させるように回動することによってカフ収納部202を全開し、操作部205および液晶表示部204は、蓋部材102がカフ収納部202を全開する位置まで回動した状態において上面となる位置に設けられていることを特徴としている。
【0073】
この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600によれば、蓋部材102がカフ収納部202を閉塞している状態、すなわち、電子血圧計100、1200、1400、1600の非使用時においては、操作部205や液晶表示部204が蓋部材102の下面に位置するため、電子血圧計100、1200、1400、1600の非使用時に操作部205や液晶表示部204が動作することを防止することができる。これによって、バッテリを無駄に消費することを抑制し、使用時に確実に動作させることができる。
【0074】
また、この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600によれば、電子血圧計100、1200、1400、1600の非使用時においては、操作部205や液晶表示部204が蓋部材102の下面に位置するため、操作部205や液晶表示部204の存在を外部からわかりにくくすることができる。これによって、電子血圧計100、1200、1400、1600の非使用時においては、電子血圧計100、1200、1400、1600であることをわかりにくくすることができる。
【0075】
また、この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600によれば、蓋部材102に設けられ、当該蓋部材102がカフ収納部202を閉塞した状態において視認可能な液晶表示部104を備えたことを特徴としている。この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600によれば、電子血圧計100、1200、1400、1600の非使用時においては、電子血圧計100、1200、1400、1600であることを、より一層わかりにくくすることができる。
【0076】
このように、電子血圧計100、1200、1400、1600であることをわかりにくくすることにより、たとえばリビングなど人目に触れる機会が多い場所においてもインテリアの美観を損ねることを回避することができる。そして、これによって、電子血圧計100、1200、1400、1600を身近に置いておくことに対する被測定者の抵抗感を抑え、電子血圧計100、1200、1400、1600の利用促進を図ることができる。
【0077】
また、この発明にかかる電子血圧計100、1200、1400、1600は、上記の発明において、蓋部材102が、カフ収納部202を全開する位置において、一部が、筐体101の設置面301に当接するように設けられていることを特徴としている。この実施の形態の電子血圧計100、1200、1400、1600によれば、カフ収納部202を全開した状態では、筐体101の設置面301と蓋部材102との当接位置において当該蓋部材102を下方から支持することができる。これによって、操作部205に対して入力操作がおこなわれた場合における操作部205の安定性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、この発明にかかる電子血圧計は、生体(被測定者)に装着して血圧を測定する電子血圧計に有用であり、特に、小型化が重要視される電子血圧計に適している。
【符号の説明】
【0079】
100 電子血圧計
101 筐体
102 蓋部材
103 支軸部
104 液晶表示部
201 カフ
202 カフ収納部
204 液晶表示部
205 操作部
1200 電子血圧計
1400 電子血圧計
1600 電子血圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフを収納するカフ収納部を備えた筐体と、
前記筐体に設けられ、前記カフ収納部からカフを出し入れ可能に開放する蓋部材と、
前記蓋部材に設けられ、入力操作を受け付ける操作部と、
前記蓋部材に設けられ、所定の情報を表示する表示部と、
を備え、
前記蓋部材は、前記筐体の一部に重なった状態で前記カフ収納部を開放するように設けられていることを特徴とする電子血圧計。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記筐体の上側に設けられた支軸部を介して前記筐体に対して回動可能に連結され、前記カフ収納部を閉塞した状態における上面と下面とを反転させるように回動することによって前記カフ収納部を開放することを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
【請求項3】
前記操作部および前記表示部は、前記蓋部材が前記カフ収納部を開放する位置まで回動した状態において上面となる位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子血圧計。
【請求項4】
前記操作部は、前記カフ収納部を開放する状態において入力操作を受け付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子血圧計。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記カフ収納部を開放する位置において、一部が、前記筐体の設置面に当接するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子血圧計。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記筐体に対してスライドして前記カフ収納部を開放することを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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