電子装置
【課題】プリント基板の一面上にボールグリッドアレイを実装してなる電子装置において、プリント基板に貫通ビアが設けられていても、プリント基板の他面側に適切に防滴剤を塗布できるようにする。
【解決手段】プリント基板10の一面11にはソルダーレジスト14が設けられ、当該一面11側にて貫通ビア15はソルダーレジスト14より露出しており、さらに、プリント基板10の一面11において、ソルダーレジスト14よりも防滴剤40の濡れ性が大きい金属よりなりソルダーレジスト14より露出する金属パターン50が、貫通ビア15に接続されており、この金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21から外れた方向に延びるように設けられており、防滴剤40は、プリント基板10の一面11では、ソルダーレジスト14よりも優先的に金属パターン50上に拡がることにより、半田ボール21とは離れている。
【解決手段】プリント基板10の一面11にはソルダーレジスト14が設けられ、当該一面11側にて貫通ビア15はソルダーレジスト14より露出しており、さらに、プリント基板10の一面11において、ソルダーレジスト14よりも防滴剤40の濡れ性が大きい金属よりなりソルダーレジスト14より露出する金属パターン50が、貫通ビア15に接続されており、この金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21から外れた方向に延びるように設けられており、防滴剤40は、プリント基板10の一面11では、ソルダーレジスト14よりも優先的に金属パターン50上に拡がることにより、半田ボール21とは離れている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の一面上にボールグリッドアレイ(BGA)を実装してなる電子装置に関し、特に、当該電子装置に対して防湿用の防滴剤を塗布してなるものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の電子装置は、一面を部品実装面とするプリント基板と、半田ボールを有するボールグリッドアレイと、を備え、ボールグリッドアレイは、プリント基板の一面に搭載され、半田ボールによってプリント基板に電気的および機械的に接続されている。
【0003】
このような電子装置においては、一般にヒューミシールと呼ばれる防湿用の防滴剤を、塗布して硬化させることでプリント基板の表面等に配置することが行われている。しかし、温度変化の激しい環境で使用される車載向け電子装置においては、半田や素子に接した防滴剤は、熱膨張率の違いによって半田クラックを発生させる要因となる。
【0004】
特に、ボールグリッドアレイの半田ボールは、半田一つ一つの体積が小さく、防滴剤が接触した際には半田クラックが生じやすい。よって半田ボールと防滴剤とを接触させない事が肝要である。
【0005】
また、従来では、ボールグリッドアレイとプリント基板との間に半田による隔壁を形成する手段(特許文献1参照)が提案されており、このものによれば、当該隔壁によって、防滴剤が半田ボールに流れるのを堰き止めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−165324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の電子装置においては、上記特許文献1にも記載されているように、通常、プリント基板の一面のうちボールグリッドアレイの直下の部位またはボールグリッドアレイに隣り合う部位に、貫通ビアが、ボールグリッドアレイの半田ボールから離れて設けられている。
【0008】
この貫通ビアは、プリント基板の一面から当該一面とは反対側の他面までプリント基板を貫通する孔であり、たとえばプリント基板の一面と他面との配線間を電気的に接続したり、多層のプリント基板において層間の内部配線を電気的に接続したりするものである。
【0009】
ここで、プリント基板の他面側の配線パターン等の防湿のため、プリント基板の他面側にも防滴剤を塗布して被覆する必要があるが、貫通ビアを有する構成の場合、防滴剤が当該他面側から貫通ビアを通って、ボールグリッドアレイが位置する一面側に流れ込んでくる。
【0010】
一般に、プリント基板の一面のうちボールグリッドアレイの直下の部位もしくはボールグリッドアレイに隣り合う部位には、当該部位を被覆して上記半田ボールによる接続時における半田付着を防止するソルダーレジストが設けられ、このソルダーレジストにより当該部位の表面が構成されている。
【0011】
そして、プリント基板の一面側にて貫通ビアは、ソルダーレジストより露出しているが、このプリント基板の一面側に流れ込んだ防滴剤は、貫通ビアをはみ出して、ソルダーレジスト表面を伝って、ボールグリッドアレイの半田ボールまで流れていき、接触してしまうおそれがある。
【0012】
そのため、プリント基板の他面側には、全く防滴剤を塗布しないか、または、貫通ビアを避けて塗布することが考えられるが、この場合、プリント基板の他面のうち防滴剤を塗布しない部位において、配線パターンの結露等による短絡が懸念されるなどの問題が残ってしまう。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、プリント基板の一面上にボールグリッドアレイを実装してなる電子装置において、プリント基板に貫通ビアが設けられていても、プリント基板の他面側に適切に防滴剤を塗布できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一面(11)を部品実装面とするプリント基板(10)と、半田ボール(21)を有するボールグリッドアレイ(20)と、を備え、ボールグリッドアレイ(20)は、プリント基板(10)の一面(11)に搭載され、半田ボール(21)によってプリント基板(10)に電気的および機械的に接続されており、プリント基板(10)の一面(11)のうちボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくはボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、プリント基板(10)の一面(11)から当該一面(11)とは反対側の他面(12)までプリント基板(10)を貫通する孔としての貫通ビア(15)が、半田ボール(21)から離れて設けられている電子装置において、さらに、以下の点を特徴としている。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明では、プリント基板(10)の他面(12)は、プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
プリント基板(10)の一面(11)のうちボールグリッドアレイ(20)の直下部位およびボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
プリント基板(10)の一面(11)側にて貫通ビア(15)は、ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、プリント基板(10)の一面(11)において、ソルダーレジスト(14)よりも防滴剤(40)の濡れ性が大きい金属よりなり、ソルダーレジスト(14)より露出する金属パターン(50)が、貫通ビア(15)に接続されており、
この金属パターン(50)は、貫通ビア(15)を起点として半田ボール(21)から外れた方向に延びるように設けられており、
防滴剤(40)は、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って、プリント基板(10)の一面(11)では、ソルダーレジスト(14)よりも優先的に金属パターン(50)上に拡がることにより、半田ボール(21)とは離れていることを特徴とする。
【0016】
それによれば、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って一面(11)側に入り込んだ防滴剤(40)は、ソルダーレジスト(14)よりも濡れ性の大きい金属パターン(50)上を優先的に濡れ拡がり、半田ボール(21)から外れた方向へ誘導されるため、半田ボール(21)と接触することが防止される。
【0017】
よって、プリント基板(10)に貫通ビア(15)が設けられていても、プリント基板(10)の他面(12)側に適切に防滴剤(40)を塗布することができる。
【0018】
ここで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子装置において、金属パターン(50)は、貫通ビア(15)の中心から半田ボール(21)から外れた方向に長く半田ボール(21)に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものであることを特徴とする。
【0019】
具体的には、金属パターン(50)は、このような非対称形状のものにすることができ、それによれば、周辺パターンの制約を考慮した上で防滴剤(40)を誘導することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の電子装置において、貫通ビア(15)として、互いに同電位であり隣り合う複数個の貫通ビア(15)が設けられており、同一の金属パターン(50)が複数個の貫通ビア(15)に共通して接続されていることを特徴とする。
【0021】
このように隣り合う同電位の複数個の貫通ビア(15)が存在する場合、これら複数個の貫通ビア(15)を同一の金属パターン(50)により共通して接続すれば、スペースの有効活用が期待できる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置において、プリント基板(10)の一面(11)側にて、貫通ビア(15)には、金属パターン(50)を構成する金属よりなる金属層(17)が接続されており、金属層(17)はソルダーレジスト(14)に被覆されており、貫通ビア(15)を起点として、金属層(17)の一部をソルダーレジスト(14)より露出させることにより、当該露出した金属層(17)の部分が金属パターン(50)とされていることを特徴とする。
【0023】
このように金属層(17)が貫通ビア(15)に接続された配線となっているような一般的な基板構成に対しても、当該金属層(17)の一部をソルダーレジスト(14)から露出させるだけで、簡単に金属パターン(50)を形成することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子装置において、プリント基板(10)の一面(11)にて、ソルダーレジスト(14)の表面のうち貫通ビア(15)と半田ボール(21)との間の部位には、ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、この壁(60)によって、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通ってプリント基板(10)の一面(11)に侵入する防滴剤(40)が、半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする。
【0025】
それによれば、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って一面(11)側に入り込んだ防滴剤(40)が、半田ボール(21)に向かったとしても、この壁(60)によってせき止められ、半田ボール(21)に接触するのを防止することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明においては、プリント基板(10)の他面(12)は、プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
プリント基板(10)の一面(11)のうちボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくはボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
プリント基板(10)の一面(11)側にて貫通ビア(15)は、ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、ソルダーレジスト(14)の表面のうち貫通ビア(15)と半田ボール(21)との間の部位には、ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、
この壁(60)によって、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通ってプリント基板(10)の一面(11)に侵入する防滴剤(40)が、半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って一面(11)側に入り込んだ防滴剤(40)が、半田ボール(21)に向かったとしても、この壁(60)によってせき止められ、半田ボール(21)に接触するのを防止できるから、プリント基板(10)に貫通ビア(15)が設けられていても、プリント基板(10)の他面(12)側に適切に防滴剤(40)を塗布することができる。
【0028】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の全体概略平面図である。
【図2】図1中のA−A部分概略断面図である。
【図3】(a)は図2中のB部分の拡大図であり、(b)は(a)中のC矢視概略平面図である。
【図4】第1実施形態に係る電子装置における防滴剤の塗布方法を示す全体斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る電子装置におけるプリント基板の一面側の塗布方法を示す概略断面図である。
【図6】第1実施形態に係る電子装置におけるプリント基板の他面側の塗布方法を示す概略断面図である。
【図7】比較例としての従来の一般的な防滴剤塗布の様子を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のD矢視概略平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のE矢視概略平面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のF矢視概略平面図である。
【図13】第6実施形態の他の例としての電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の全体概略平面構成を示す図である。また、図2は、図1中の一点鎖線A−Aに沿った部分の部分概略断面図である。さらに、図3において(a)は、図2中の丸で囲まれたB部分の拡大図であり、(b)は(a)中の矢印C方向から視た概略平面図である。
【0032】
なお、図2では、図3に示されるソルダーレジスト14を省略してある。また、図3では、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位に位置する貫通ビア15およびその近傍の構成を示しているが、ボールグリッドアレイ20に隣り合う部位に位置する貫通ビア15およびその近傍についても、図3と同様の構成とされている。
【0033】
本実施形態の電子装置は、大きくは、一面11を部品実装面とするプリント基板10と、半田ボール21を有するボールグリッドアレイ20と、を備えている。
【0034】
ここで、プリント基板10は、一般的なプリント基板と同様、ガラスエポキシやエポキシ樹脂などよりなるベース10a(図2、図3参照)に、銅箔を貼り付け、これをエッチング等でパターニングすることで、ランド13(図3参照)や図示しない配線等の導体パターンを形成したものである。
【0035】
そして、これも一般の場合と同様、これらランド13および上記図示しない配線等の導体パターンは、プリント基板10の一面11および他面12に設けられており、両面配線基板が構成されている。
【0036】
そして、これらのうち上記配線は、ソルダーレジスト14(図3参照)で被覆されて保護され、ランド13はソルダーレジスト14より露出したものとされている。このソルダーレジスト14は一般と同様、フォトレジスト等よりなり、パターニングされたものである。
【0037】
なお、このプリント基板10は、その一面11に各種の電子部品20、30が実装されるものであるが、当該一面11だけでなく他面12側にも電子部品が実装されるようになっていてもよい。
【0038】
また、このプリント基板10としては、多層基板でもよいし、単層基板でもよいが、多層基板の場合は、図示しないが、基板内部の層間に内層配線が設けられているのが通常である。
【0039】
本実施形態では、図1に示されるように、プリント基板10の一面11に、電子部品としてのボールグリッドアレイ20が搭載されている。このボールグリッドアレイ20は、半田ボール21を有する一般的なものであり、図2に示されるように、半田ボール21によってプリント基板10に電気的および機械的に接続されている。
【0040】
より具体的には、図3に示されるように、ボールグリッドアレイ20は、半導体チップ22の周辺部に設けられた電極23に、半田ボール21が接続されてなるものであり、この半田ボール21は、プリント基板10の一面11にてソルダーレジスト14より露出する上記ランド13に対して電気的および機械的に接続されている。
【0041】
また、図1に示されるように、本実施形態の電子装置においては、プリント基板10の一面11には、その他の電子部品30が搭載されている。これらその他の電子部品30は、リード等の端子を有し、この端子を介して実装されるものであり、たとえばモールドIC、チップコンデンサなどである。また、プリント基板10には、基板10と外部との電気的接続を行うためのコネクタ31が設けられている。
【0042】
また、図1、図2に示されるように、本実施形態においては、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位もしくはボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100には、貫通ビア15が、半田ボール21から離れて設けられている。この貫通ビア15は一般のものと同様、プリント基板10の一面11から他面12までプリント基板10を貫通する孔として構成されている。
【0043】
具体的に、図2、図3に示されるように、貫通ビア15は、プリント基板10のベース10aに、ドリル等により貫通孔を開け、この貫通孔の内面に銅メッキ16を形成してなるものである。
【0044】
この貫通ビア15は、たとえばプリント基板10の一面11の配線パターンと他面12の配線パターンとの間を電気的に接続したり、多層のプリント基板10の場合には層間の内部配線を電気的に接続したりする一般的なものである。
【0045】
なお、ここでは、貫通ビア15は、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位およびボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100の両部位に、設けられているが、電子装置としては、当該両部位のうちのどちらか一方の部位のみに貫通ビア15が設けられているものであってもよい。
【0046】
また、図3に示されるように、上記したソルダーレジスト14は、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位およびボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100に対して、これらの部位を被覆するように設けられている。
【0047】
これは、ソルダーレジスト14によって、当該部位を被覆することで半田ボール21によるボールグリッドアレイ20の接続時において半田付着を防止するためである。そして、これら両部位では、ソルダーレジスト14により当該両部位の表面が構成されていることはいうまでもない。
【0048】
そして、図3に示されるように、プリント基板10の一面11側において、貫通ビア15は、ソルダーレジスト14より露出している。また、図2、図3に示されるように、プリント基板10の他面12は、プリント基板10の防湿を行う防滴剤40により被覆されている。
【0049】
この防滴剤40は、一般的なものと同様、塗布して乾燥、熱などにより硬化させて配置するものであり、たとえば、メタクリル酸ブチル等のポリマー樹脂をトルエン?メチルエチルケトン混合溶媒等の有機溶媒に溶かした溶液を塗布し、当該溶媒を乾燥させて形成されるものである。なお、防滴剤40の材質は、一般的なものであればよく、これに限定されるものではない。
【0050】
ここでは、一般と同様、防滴剤40は、プリント基板10の一面11側も被覆するように配置されている。ただし、プリント基板10の一面11側では、図2に示されるように、当該一面11に実装されている電子部品20、30の表面も被覆している。
【0051】
また、図2に示されるように、プリント基板10の一面11において、ボールグリッドアレイ20の半田ボール21に防滴剤40が付着しないように、上記ボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100、つまり隣接する所定の領域には、防滴剤40は塗布されない。
【0052】
しかし、本実施形態のように、このプリント基板10の一面11のうちのボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100に、貫通ビア15が設けられている場合、プリント基板10の他面12側から塗布された防滴剤40が、貫通ビア15を介して、プリント基板10の一面11に入り込み、半田ボール21に付着する恐れがある。
【0053】
その点を考慮して、本実施形態では、プリント基板10の一面11における貫通ビア15近傍の構成に対して、次に示すような工夫を加えることで、防滴剤40が半田ボール21に付着するのを防止するようにしている。
【0054】
すなわち、本実施形態においては、図2、図3に示されるように、プリント基板10の一面11において、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通って一面11側に入り込んだ防滴剤40が半田ボール21まで拡がるのを防止する金属パターン50が、貫通ビア15の銅メッキ16に接続されている。
【0055】
この金属パターン50は、ソルダーレジスト14よりも防滴剤40の濡れ性が大きい金属よりなり、ソルダーレジスト14より露出している。ここでは、プリント基板10の表面の配線パターンを構成するCuによって、金属パターン50が構成されているが、その他、金属パターン50としては、上記した濡れ特性を有するものであればよく、たとえばCu合金等であってもよい。
【0056】
そして、図3に示されるように、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21から外れた方向に延びるように設けられている。ここでは、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として最近接の半田ボール21に向かう方向よりも当該半田ボール21とは反対側の方向に大きく延びている。
【0057】
さらに言うならば、この金属パターン50は、貫通ビア15の中心から半田ボール21から外れた方向に長く半田ボール21に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものである。本実施形態では、貫通ビア15側を起点とし、上記半田ボール21とは反対側の方向に大きく延びる扇形状の金属パターン50とされている。
【0058】
このような金属パターン50は、たとえばCu箔をエッチング等によりパターニングしてプリント基板10の表面配線パターンを形成する工程において、当該パターニングによって同時に形成される。
【0059】
そして、このような金属パターン50を設け、上記した金属パターン50の防滴剤40に対する濡れ特性が発揮されることにより、図3に示されるように、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通ってプリント基板10の一面11に入り込んだ防滴剤40は、ソルダーレジスト14よりも優先的に金属パターン50上に拡がっている。そして、それにより、防滴剤40は半田ボール21には到達せずに離れたものとなっている。
【0060】
次に、本実施形態の電子装置の製造方法について述べる。まず、貫通ビア15、金属パターン50およびソルダーレジスト14が形成されたプリント基板10を用意する。そして、このプリント基板10に対して、ボールグリッドアレイ20およびその他の電子部品30、コネクタ31を実装する。このようなプリント基板10の形成および部品実装は、上述した通り、一般的な方法を準用して形成することができる。
【0061】
次に、この部品実装後のプリント基板10に対して防滴剤40を塗布する。ここで、図4、図5、図6は本実施形態の電子装置における防滴剤40の塗布方法を示す図であり、図4は全体斜視図、図5はプリント基板10の一面11側の塗布方法を示す概略断面図、図6はプリント基板10の他面12側の塗布方法を示す概略断面図である。なお、図5、図6ではソルダーレジスト14は省略してある。
【0062】
図4に示されるように、防滴剤40の塗布は一般的なものと同様であり、スプレー200によって液状の防滴剤40が吹きつけられて塗布される。通常は、スプレー200の位置は固定され、プリント基板10の方を図4中の右側に示される各矢印のように移動させる。それにより、プリント基板10の一面11側、他面12側の両面のほぼ全体に、防滴剤40が塗布される。
【0063】
プリント基板10の一面11側については、図5に示されるように、上記部位100(図2参照)を除くプリント基板10の一面11、および電子部品20、30の表面に対して、防滴剤40が塗布される。
【0064】
一方、プリント基板10の他面12側については、図6に示されるように、プリント基板10の他面12のほぼ全域に対して、防滴剤40が塗布される。その後は、防滴剤40を、加熱乾燥や自然乾燥によって硬化させることにより、本実施形態の電子装置ができあがる。
【0065】
ところで、上記製造方法において、プリント基板10の他面12側に対する防滴剤40の塗布の際、従来では、防滴剤40が、貫通ビア15を介して、プリント基板10の一面11に入り込み、当該一面11上を拡がり、半田ボール21に付着する恐れがあった。
【0066】
この従来の問題について、図7を参照して具体的に述べる。図7は、比較例としての従来の一般的なプリント基板10の他面12側に対する防滴剤40塗布の様子を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中の矢印D方向から視た概略平面図である。
【0067】
図7に示されるように、従来では、プリント基板10の他面12に塗布された防滴剤40は、貫通ビア15の壁面である銅メッキ16を伝って、プリント基板10の一面11側に浸入する。その後、防滴剤40は、貫通ビア15を中心にその周囲のソルダーレジスト14上を一様に濡れ広がるため、近接した半田ボール21に防滴剤40が付着してしまう。
【0068】
これに対して、本実施形態では、プリント基板10表面防滴剤40の濡れ広がり性の違いを利用して、防滴剤40の濡れ広がる方向を誘導し、貫通ビア15に近接した半田ボール21に防滴剤40が付着しないようにしている。具体的には、防滴剤40の濡れ広がり性がソルダーレジスト14よりも大きい金属パターン50を採用している。
【0069】
そして、上記図3等に示されるように、金属パターン50を、貫通ビア15に対して半田ボール21と反対側に拡張し、拡張した部分のソルダーレジスト14を無くした構成としている。
【0070】
これにより、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通って一面11側に入り込んだ防滴剤40は、ソルダーレジスト14よりも濡れ性の大きい金属パターン50上を優先的に濡れ拡がり、半田ボール21から外れた方向へ誘導される。そのため、防滴剤40の半田ボール21側への濡れ広がりを小さくして、防滴剤40が半田ボール21と接触することが防止される。
【0071】
よって、本実施形態によれば、プリント基板10の一面11上にボールグリッドアレイ20を実装してなる電子装置において、プリント基板10に貫通ビア15が設けられていても、プリント基板10の他面12側に適切に防滴剤40を塗布することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、金属パターン50を、貫通ビア15の中心から半田ボール21から外れた方向に長く半田ボール21に向かう方向に短い非対称な形状とすることで、周辺パターンの制約を考慮した上で防滴剤40を誘導することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、金属パターン50の平面形状が相違するものであり、この相違点を中心に述べることとする。
【0074】
上記第1実施形態では、金属パターン50は扇形状とされていた(上記図3参照)が、図8に示されるように、本実施形態における金属パターン50は長方形状とされている。それにより、本実施形態の金属パターン50も、貫通ビア15の中心から半田ボール21から外れた方向に長く半田ボール21に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものとなっている。
【0075】
このように、周辺パターンの制約を考慮した上で金属パターン50の平面形状を決めてやればよく、本実施形態によっても、半田ボール21から外れた方向に、適切に防滴剤40を誘導することができる。
【0076】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、金属パターン50の平面形状が相違するものであり、この相違点を中心に述べることとする。
【0077】
図9に示されるように、本実施形態では、貫通ビア15として、互いに同電位である2個の貫通ビア15が隣り合って設けられている。そして、この2個の貫通ビア15に対して、同一の金属パターン50が共通して接続されている。
【0078】
このように隣り合う同電位の2個の貫通ビア15が存在する場合、これら2個の貫通ビア15を同一の金属パターン50により共通して接続すれば、スペースの有効活用が期待できる。
【0079】
なお、図9では、同電位の隣り合う貫通ビア15は2個であるが、3個以上であってもよく、この場合、当該3個以上の隣り合う同電位の貫通ビア15に対して、同一の金属パターン50を共通して接続すればよい。また、図9では、金属パターン50の平面形状は長方形であるが、上記第1実施形態と同様、扇形状であってもよい。
【0080】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、図10において(a)は概略断面図であり、(b)は(a)中の矢印E方向から視た概略平面図である。この図10では、防滴剤40は省略してある。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0081】
図10に示されるように、本実施形態では、プリント基板10の一面11側にて、貫通ビア15には、金属パターン50を構成する金属よりなる金属層17が接続されている。ここでは、金属層17は銅箔により構成されている。
【0082】
また、ここでは、金属層17は、貫通ビア15から半田ボール21側および半田ボール21から外れた方向に広がるパターン、いわゆるベタパターンとされており、貫通ビア15と半田ボール21とを電気的に接続する配線として構成されている。
【0083】
そして、金属層17は、貫通ビア15と半田ボール21との間を含んでほぼ全体がソルダーレジスト14に被覆されているが、金属層17のうち半田ボール21との接合部、および、貫通ビア15を起点として半田ボール21と反対側の方向の所定領域は、ソルダーレジスト14より露出している。
【0084】
つまり、本実施形態では、貫通ビア15を起点として、金属層17の一部をソルダーレジスト14より露出させることにより、当該露出した金属層17の部分が金属パターン50として構成されている。
【0085】
このように、金属層17が貫通ビア15に接続された配線となっているような構成は一般的な基板構成であるが、本実施形態では、このような構成に対しても、当該金属層17の一部をソルダーレジスト14から露出させるだけで、金属パターン50を形成することができる。
【0086】
つまり、本実施形態では、別途金属パターン50を形成したりする等の手間をかけることなく、最小限の変更で、金属パターン50を形成することができる。そして、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40は、金属パターン50上を半田ボール21から外れた方向へ誘導されるため、半田ボール21への接触が防止される。
【0087】
なお、図10では、金属パターン50の平面形状は長方形であるが、上記第1実施形態と同様、扇形状であってもよい。また、本第4実施形態は、金属層17の一部をソルダーレジスト14より露出させるだけであるから、上記第3実施形態に対しても、適用可能であることはもちろんである。
【0088】
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0089】
図11に示されるように、本実施形態の場合、プリント基板10の一面11において、貫通ビア15に対して半田ボール21とは反対側の部位に、貫通ビア15とは異電位の配線18が、貫通ビア15に近接して設けられている。この異電位の配線18は、ソルダーレジスト14より被覆されている。
【0090】
この場合、異電位の配線18と干渉してしまうことから、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21とは反対側の方向に延ばすことはできない。そこで、本実施形態では、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21に向かう方向から約90°外れた方向に延びるものとして、異電位の配線18を避けている。
【0091】
本実施形態によれば、異電位の配線18の形状に影響を及ぼすことなく、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40を、半田ボール21から外れた方向へ誘導し、防滴剤40が半田ボール21へ接触するのを防止できる。なお、図11では、金属パターン50の平面形状は長方形であるが、この場合も、上記第1実施形態と同様、扇形状であってもよい。
【0092】
(第6実施形態)
図12は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、図12において、(a)は概略断面図であり、(b)は(a)中の矢印F方向から視た概略平面図である。
【0093】
本実施形態は、上記各実施形態に示した金属パターン50に代えて、図12に示す壁60を採用して、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40が半田ボール21へ接触するのを防止するものである。
【0094】
すなわち、本実施形態では、図12に示されるように、プリント基板10の一面11にて、ソルダーレジスト14の表面のうち貫通ビア15と半田ボール21との間の部位に、ソルダーレジスト14上に突出する壁60が設けられている。ここでは、壁60は、貫通ビア15と半田ボール21との間に真っ直ぐ延びるものとされている。
【0095】
この壁60は、シルク印刷等により形成された樹脂の壁よりなるが、その他、金属やセラミック等であってもよい。シルク印刷は、防滴剤40の塗布前にプリント基板10の一面11に品番等を印刷する工程において採用されるもので、この工程において、シルク印刷の印刷材料により、同時に壁60を形成すればよい。
【0096】
そして、この壁60によって、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通ってプリント基板10の一面11に侵入する防滴剤40が、半田ボール21に接触するのを防止している。具体的には、プリント基板10の一面11側にて、貫通ビア15から半田ボール21に向かう防滴剤40は、壁60で止まっている。
【0097】
本実施形態によれば、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40が、半田ボール21に向かったとしても、この壁60によってせき止められるから、半田ボール21に接触するのを防止することができる。そのため、プリント基板10に貫通ビア15が設けられていても、プリント基板10の他面12側に適切に防滴剤40を塗布することができる。
【0098】
図13は、本第6実施形態の他の例としての電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。上記図12の例では、壁60は、貫通ビア15と半田ボール21との間に真っ直ぐ延びるものとされていたが、図13に示されるように、貫通ビア15を取り囲む円弧状の壁でもよい。
【0099】
(第7実施形態)
図14は、本発明の第7実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第6実施形態を上記第5実施形態に組み合わせたものである。この場合、半田ボール21への防滴剤40の付着防止に対して上記金属パターン50による効果と上記壁60による効果との相乗効果が期待される。
【0100】
また、第6実施形態は、貫通ビア15と半田ボール21との間にてソルダーレジスト14上に壁60を設けるものであるから、上記第5実施形態以外に、上記第1〜第4の各実施形態に対しても、組み合わせできることはもちろんである。
【0101】
(他の実施形態)
なお、金属パターン50については、貫通ビア15を起点として半田ボール21から外れた方向に延びるように設けられたものであればよく、上記した扇形状(図3参照)、長方形状(図8参照)のもの以外にも、たとえば円形、楕円形、多角形あるいは不定形等の平面形状であってもよい。
【0102】
また、上記壁60については、上記した真っ直ぐな壁や円弧状の壁以外にも、防滴剤40をせき止めるものであれば特に形状は限定されず、たとえば折れ曲がり形状の壁等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 プリント基板
11 プリント基板の一面
12 プリント基板の他面
14 ソルダーレジスト
15 貫通ビア
17 金属層
20 ボールグリッドアレイ
21 半田ボール
40 防滴剤
50 金属パターン
60 壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の一面上にボールグリッドアレイ(BGA)を実装してなる電子装置に関し、特に、当該電子装置に対して防湿用の防滴剤を塗布してなるものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の電子装置は、一面を部品実装面とするプリント基板と、半田ボールを有するボールグリッドアレイと、を備え、ボールグリッドアレイは、プリント基板の一面に搭載され、半田ボールによってプリント基板に電気的および機械的に接続されている。
【0003】
このような電子装置においては、一般にヒューミシールと呼ばれる防湿用の防滴剤を、塗布して硬化させることでプリント基板の表面等に配置することが行われている。しかし、温度変化の激しい環境で使用される車載向け電子装置においては、半田や素子に接した防滴剤は、熱膨張率の違いによって半田クラックを発生させる要因となる。
【0004】
特に、ボールグリッドアレイの半田ボールは、半田一つ一つの体積が小さく、防滴剤が接触した際には半田クラックが生じやすい。よって半田ボールと防滴剤とを接触させない事が肝要である。
【0005】
また、従来では、ボールグリッドアレイとプリント基板との間に半田による隔壁を形成する手段(特許文献1参照)が提案されており、このものによれば、当該隔壁によって、防滴剤が半田ボールに流れるのを堰き止めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−165324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の電子装置においては、上記特許文献1にも記載されているように、通常、プリント基板の一面のうちボールグリッドアレイの直下の部位またはボールグリッドアレイに隣り合う部位に、貫通ビアが、ボールグリッドアレイの半田ボールから離れて設けられている。
【0008】
この貫通ビアは、プリント基板の一面から当該一面とは反対側の他面までプリント基板を貫通する孔であり、たとえばプリント基板の一面と他面との配線間を電気的に接続したり、多層のプリント基板において層間の内部配線を電気的に接続したりするものである。
【0009】
ここで、プリント基板の他面側の配線パターン等の防湿のため、プリント基板の他面側にも防滴剤を塗布して被覆する必要があるが、貫通ビアを有する構成の場合、防滴剤が当該他面側から貫通ビアを通って、ボールグリッドアレイが位置する一面側に流れ込んでくる。
【0010】
一般に、プリント基板の一面のうちボールグリッドアレイの直下の部位もしくはボールグリッドアレイに隣り合う部位には、当該部位を被覆して上記半田ボールによる接続時における半田付着を防止するソルダーレジストが設けられ、このソルダーレジストにより当該部位の表面が構成されている。
【0011】
そして、プリント基板の一面側にて貫通ビアは、ソルダーレジストより露出しているが、このプリント基板の一面側に流れ込んだ防滴剤は、貫通ビアをはみ出して、ソルダーレジスト表面を伝って、ボールグリッドアレイの半田ボールまで流れていき、接触してしまうおそれがある。
【0012】
そのため、プリント基板の他面側には、全く防滴剤を塗布しないか、または、貫通ビアを避けて塗布することが考えられるが、この場合、プリント基板の他面のうち防滴剤を塗布しない部位において、配線パターンの結露等による短絡が懸念されるなどの問題が残ってしまう。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、プリント基板の一面上にボールグリッドアレイを実装してなる電子装置において、プリント基板に貫通ビアが設けられていても、プリント基板の他面側に適切に防滴剤を塗布できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一面(11)を部品実装面とするプリント基板(10)と、半田ボール(21)を有するボールグリッドアレイ(20)と、を備え、ボールグリッドアレイ(20)は、プリント基板(10)の一面(11)に搭載され、半田ボール(21)によってプリント基板(10)に電気的および機械的に接続されており、プリント基板(10)の一面(11)のうちボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくはボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、プリント基板(10)の一面(11)から当該一面(11)とは反対側の他面(12)までプリント基板(10)を貫通する孔としての貫通ビア(15)が、半田ボール(21)から離れて設けられている電子装置において、さらに、以下の点を特徴としている。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明では、プリント基板(10)の他面(12)は、プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
プリント基板(10)の一面(11)のうちボールグリッドアレイ(20)の直下部位およびボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
プリント基板(10)の一面(11)側にて貫通ビア(15)は、ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、プリント基板(10)の一面(11)において、ソルダーレジスト(14)よりも防滴剤(40)の濡れ性が大きい金属よりなり、ソルダーレジスト(14)より露出する金属パターン(50)が、貫通ビア(15)に接続されており、
この金属パターン(50)は、貫通ビア(15)を起点として半田ボール(21)から外れた方向に延びるように設けられており、
防滴剤(40)は、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って、プリント基板(10)の一面(11)では、ソルダーレジスト(14)よりも優先的に金属パターン(50)上に拡がることにより、半田ボール(21)とは離れていることを特徴とする。
【0016】
それによれば、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って一面(11)側に入り込んだ防滴剤(40)は、ソルダーレジスト(14)よりも濡れ性の大きい金属パターン(50)上を優先的に濡れ拡がり、半田ボール(21)から外れた方向へ誘導されるため、半田ボール(21)と接触することが防止される。
【0017】
よって、プリント基板(10)に貫通ビア(15)が設けられていても、プリント基板(10)の他面(12)側に適切に防滴剤(40)を塗布することができる。
【0018】
ここで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子装置において、金属パターン(50)は、貫通ビア(15)の中心から半田ボール(21)から外れた方向に長く半田ボール(21)に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものであることを特徴とする。
【0019】
具体的には、金属パターン(50)は、このような非対称形状のものにすることができ、それによれば、周辺パターンの制約を考慮した上で防滴剤(40)を誘導することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の電子装置において、貫通ビア(15)として、互いに同電位であり隣り合う複数個の貫通ビア(15)が設けられており、同一の金属パターン(50)が複数個の貫通ビア(15)に共通して接続されていることを特徴とする。
【0021】
このように隣り合う同電位の複数個の貫通ビア(15)が存在する場合、これら複数個の貫通ビア(15)を同一の金属パターン(50)により共通して接続すれば、スペースの有効活用が期待できる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置において、プリント基板(10)の一面(11)側にて、貫通ビア(15)には、金属パターン(50)を構成する金属よりなる金属層(17)が接続されており、金属層(17)はソルダーレジスト(14)に被覆されており、貫通ビア(15)を起点として、金属層(17)の一部をソルダーレジスト(14)より露出させることにより、当該露出した金属層(17)の部分が金属パターン(50)とされていることを特徴とする。
【0023】
このように金属層(17)が貫通ビア(15)に接続された配線となっているような一般的な基板構成に対しても、当該金属層(17)の一部をソルダーレジスト(14)から露出させるだけで、簡単に金属パターン(50)を形成することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子装置において、プリント基板(10)の一面(11)にて、ソルダーレジスト(14)の表面のうち貫通ビア(15)と半田ボール(21)との間の部位には、ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、この壁(60)によって、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通ってプリント基板(10)の一面(11)に侵入する防滴剤(40)が、半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする。
【0025】
それによれば、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って一面(11)側に入り込んだ防滴剤(40)が、半田ボール(21)に向かったとしても、この壁(60)によってせき止められ、半田ボール(21)に接触するのを防止することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明においては、プリント基板(10)の他面(12)は、プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
プリント基板(10)の一面(11)のうちボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくはボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
プリント基板(10)の一面(11)側にて貫通ビア(15)は、ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、ソルダーレジスト(14)の表面のうち貫通ビア(15)と半田ボール(21)との間の部位には、ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、
この壁(60)によって、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通ってプリント基板(10)の一面(11)に侵入する防滴剤(40)が、半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、プリント基板(10)の他面(12)から貫通ビア(15)を通って一面(11)側に入り込んだ防滴剤(40)が、半田ボール(21)に向かったとしても、この壁(60)によってせき止められ、半田ボール(21)に接触するのを防止できるから、プリント基板(10)に貫通ビア(15)が設けられていても、プリント基板(10)の他面(12)側に適切に防滴剤(40)を塗布することができる。
【0028】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の全体概略平面図である。
【図2】図1中のA−A部分概略断面図である。
【図3】(a)は図2中のB部分の拡大図であり、(b)は(a)中のC矢視概略平面図である。
【図4】第1実施形態に係る電子装置における防滴剤の塗布方法を示す全体斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る電子装置におけるプリント基板の一面側の塗布方法を示す概略断面図である。
【図6】第1実施形態に係る電子装置におけるプリント基板の他面側の塗布方法を示す概略断面図である。
【図7】比較例としての従来の一般的な防滴剤塗布の様子を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のD矢視概略平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のE矢視概略平面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中のF矢視概略平面図である。
【図13】第6実施形態の他の例としての電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の全体概略平面構成を示す図である。また、図2は、図1中の一点鎖線A−Aに沿った部分の部分概略断面図である。さらに、図3において(a)は、図2中の丸で囲まれたB部分の拡大図であり、(b)は(a)中の矢印C方向から視た概略平面図である。
【0032】
なお、図2では、図3に示されるソルダーレジスト14を省略してある。また、図3では、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位に位置する貫通ビア15およびその近傍の構成を示しているが、ボールグリッドアレイ20に隣り合う部位に位置する貫通ビア15およびその近傍についても、図3と同様の構成とされている。
【0033】
本実施形態の電子装置は、大きくは、一面11を部品実装面とするプリント基板10と、半田ボール21を有するボールグリッドアレイ20と、を備えている。
【0034】
ここで、プリント基板10は、一般的なプリント基板と同様、ガラスエポキシやエポキシ樹脂などよりなるベース10a(図2、図3参照)に、銅箔を貼り付け、これをエッチング等でパターニングすることで、ランド13(図3参照)や図示しない配線等の導体パターンを形成したものである。
【0035】
そして、これも一般の場合と同様、これらランド13および上記図示しない配線等の導体パターンは、プリント基板10の一面11および他面12に設けられており、両面配線基板が構成されている。
【0036】
そして、これらのうち上記配線は、ソルダーレジスト14(図3参照)で被覆されて保護され、ランド13はソルダーレジスト14より露出したものとされている。このソルダーレジスト14は一般と同様、フォトレジスト等よりなり、パターニングされたものである。
【0037】
なお、このプリント基板10は、その一面11に各種の電子部品20、30が実装されるものであるが、当該一面11だけでなく他面12側にも電子部品が実装されるようになっていてもよい。
【0038】
また、このプリント基板10としては、多層基板でもよいし、単層基板でもよいが、多層基板の場合は、図示しないが、基板内部の層間に内層配線が設けられているのが通常である。
【0039】
本実施形態では、図1に示されるように、プリント基板10の一面11に、電子部品としてのボールグリッドアレイ20が搭載されている。このボールグリッドアレイ20は、半田ボール21を有する一般的なものであり、図2に示されるように、半田ボール21によってプリント基板10に電気的および機械的に接続されている。
【0040】
より具体的には、図3に示されるように、ボールグリッドアレイ20は、半導体チップ22の周辺部に設けられた電極23に、半田ボール21が接続されてなるものであり、この半田ボール21は、プリント基板10の一面11にてソルダーレジスト14より露出する上記ランド13に対して電気的および機械的に接続されている。
【0041】
また、図1に示されるように、本実施形態の電子装置においては、プリント基板10の一面11には、その他の電子部品30が搭載されている。これらその他の電子部品30は、リード等の端子を有し、この端子を介して実装されるものであり、たとえばモールドIC、チップコンデンサなどである。また、プリント基板10には、基板10と外部との電気的接続を行うためのコネクタ31が設けられている。
【0042】
また、図1、図2に示されるように、本実施形態においては、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位もしくはボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100には、貫通ビア15が、半田ボール21から離れて設けられている。この貫通ビア15は一般のものと同様、プリント基板10の一面11から他面12までプリント基板10を貫通する孔として構成されている。
【0043】
具体的に、図2、図3に示されるように、貫通ビア15は、プリント基板10のベース10aに、ドリル等により貫通孔を開け、この貫通孔の内面に銅メッキ16を形成してなるものである。
【0044】
この貫通ビア15は、たとえばプリント基板10の一面11の配線パターンと他面12の配線パターンとの間を電気的に接続したり、多層のプリント基板10の場合には層間の内部配線を電気的に接続したりする一般的なものである。
【0045】
なお、ここでは、貫通ビア15は、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位およびボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100の両部位に、設けられているが、電子装置としては、当該両部位のうちのどちらか一方の部位のみに貫通ビア15が設けられているものであってもよい。
【0046】
また、図3に示されるように、上記したソルダーレジスト14は、プリント基板10の一面11のうちボールグリッドアレイ20の直下部位およびボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100に対して、これらの部位を被覆するように設けられている。
【0047】
これは、ソルダーレジスト14によって、当該部位を被覆することで半田ボール21によるボールグリッドアレイ20の接続時において半田付着を防止するためである。そして、これら両部位では、ソルダーレジスト14により当該両部位の表面が構成されていることはいうまでもない。
【0048】
そして、図3に示されるように、プリント基板10の一面11側において、貫通ビア15は、ソルダーレジスト14より露出している。また、図2、図3に示されるように、プリント基板10の他面12は、プリント基板10の防湿を行う防滴剤40により被覆されている。
【0049】
この防滴剤40は、一般的なものと同様、塗布して乾燥、熱などにより硬化させて配置するものであり、たとえば、メタクリル酸ブチル等のポリマー樹脂をトルエン?メチルエチルケトン混合溶媒等の有機溶媒に溶かした溶液を塗布し、当該溶媒を乾燥させて形成されるものである。なお、防滴剤40の材質は、一般的なものであればよく、これに限定されるものではない。
【0050】
ここでは、一般と同様、防滴剤40は、プリント基板10の一面11側も被覆するように配置されている。ただし、プリント基板10の一面11側では、図2に示されるように、当該一面11に実装されている電子部品20、30の表面も被覆している。
【0051】
また、図2に示されるように、プリント基板10の一面11において、ボールグリッドアレイ20の半田ボール21に防滴剤40が付着しないように、上記ボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100、つまり隣接する所定の領域には、防滴剤40は塗布されない。
【0052】
しかし、本実施形態のように、このプリント基板10の一面11のうちのボールグリッドアレイ20に隣り合う部位100に、貫通ビア15が設けられている場合、プリント基板10の他面12側から塗布された防滴剤40が、貫通ビア15を介して、プリント基板10の一面11に入り込み、半田ボール21に付着する恐れがある。
【0053】
その点を考慮して、本実施形態では、プリント基板10の一面11における貫通ビア15近傍の構成に対して、次に示すような工夫を加えることで、防滴剤40が半田ボール21に付着するのを防止するようにしている。
【0054】
すなわち、本実施形態においては、図2、図3に示されるように、プリント基板10の一面11において、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通って一面11側に入り込んだ防滴剤40が半田ボール21まで拡がるのを防止する金属パターン50が、貫通ビア15の銅メッキ16に接続されている。
【0055】
この金属パターン50は、ソルダーレジスト14よりも防滴剤40の濡れ性が大きい金属よりなり、ソルダーレジスト14より露出している。ここでは、プリント基板10の表面の配線パターンを構成するCuによって、金属パターン50が構成されているが、その他、金属パターン50としては、上記した濡れ特性を有するものであればよく、たとえばCu合金等であってもよい。
【0056】
そして、図3に示されるように、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21から外れた方向に延びるように設けられている。ここでは、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として最近接の半田ボール21に向かう方向よりも当該半田ボール21とは反対側の方向に大きく延びている。
【0057】
さらに言うならば、この金属パターン50は、貫通ビア15の中心から半田ボール21から外れた方向に長く半田ボール21に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものである。本実施形態では、貫通ビア15側を起点とし、上記半田ボール21とは反対側の方向に大きく延びる扇形状の金属パターン50とされている。
【0058】
このような金属パターン50は、たとえばCu箔をエッチング等によりパターニングしてプリント基板10の表面配線パターンを形成する工程において、当該パターニングによって同時に形成される。
【0059】
そして、このような金属パターン50を設け、上記した金属パターン50の防滴剤40に対する濡れ特性が発揮されることにより、図3に示されるように、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通ってプリント基板10の一面11に入り込んだ防滴剤40は、ソルダーレジスト14よりも優先的に金属パターン50上に拡がっている。そして、それにより、防滴剤40は半田ボール21には到達せずに離れたものとなっている。
【0060】
次に、本実施形態の電子装置の製造方法について述べる。まず、貫通ビア15、金属パターン50およびソルダーレジスト14が形成されたプリント基板10を用意する。そして、このプリント基板10に対して、ボールグリッドアレイ20およびその他の電子部品30、コネクタ31を実装する。このようなプリント基板10の形成および部品実装は、上述した通り、一般的な方法を準用して形成することができる。
【0061】
次に、この部品実装後のプリント基板10に対して防滴剤40を塗布する。ここで、図4、図5、図6は本実施形態の電子装置における防滴剤40の塗布方法を示す図であり、図4は全体斜視図、図5はプリント基板10の一面11側の塗布方法を示す概略断面図、図6はプリント基板10の他面12側の塗布方法を示す概略断面図である。なお、図5、図6ではソルダーレジスト14は省略してある。
【0062】
図4に示されるように、防滴剤40の塗布は一般的なものと同様であり、スプレー200によって液状の防滴剤40が吹きつけられて塗布される。通常は、スプレー200の位置は固定され、プリント基板10の方を図4中の右側に示される各矢印のように移動させる。それにより、プリント基板10の一面11側、他面12側の両面のほぼ全体に、防滴剤40が塗布される。
【0063】
プリント基板10の一面11側については、図5に示されるように、上記部位100(図2参照)を除くプリント基板10の一面11、および電子部品20、30の表面に対して、防滴剤40が塗布される。
【0064】
一方、プリント基板10の他面12側については、図6に示されるように、プリント基板10の他面12のほぼ全域に対して、防滴剤40が塗布される。その後は、防滴剤40を、加熱乾燥や自然乾燥によって硬化させることにより、本実施形態の電子装置ができあがる。
【0065】
ところで、上記製造方法において、プリント基板10の他面12側に対する防滴剤40の塗布の際、従来では、防滴剤40が、貫通ビア15を介して、プリント基板10の一面11に入り込み、当該一面11上を拡がり、半田ボール21に付着する恐れがあった。
【0066】
この従来の問題について、図7を参照して具体的に述べる。図7は、比較例としての従来の一般的なプリント基板10の他面12側に対する防滴剤40塗布の様子を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は(a)中の矢印D方向から視た概略平面図である。
【0067】
図7に示されるように、従来では、プリント基板10の他面12に塗布された防滴剤40は、貫通ビア15の壁面である銅メッキ16を伝って、プリント基板10の一面11側に浸入する。その後、防滴剤40は、貫通ビア15を中心にその周囲のソルダーレジスト14上を一様に濡れ広がるため、近接した半田ボール21に防滴剤40が付着してしまう。
【0068】
これに対して、本実施形態では、プリント基板10表面防滴剤40の濡れ広がり性の違いを利用して、防滴剤40の濡れ広がる方向を誘導し、貫通ビア15に近接した半田ボール21に防滴剤40が付着しないようにしている。具体的には、防滴剤40の濡れ広がり性がソルダーレジスト14よりも大きい金属パターン50を採用している。
【0069】
そして、上記図3等に示されるように、金属パターン50を、貫通ビア15に対して半田ボール21と反対側に拡張し、拡張した部分のソルダーレジスト14を無くした構成としている。
【0070】
これにより、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通って一面11側に入り込んだ防滴剤40は、ソルダーレジスト14よりも濡れ性の大きい金属パターン50上を優先的に濡れ拡がり、半田ボール21から外れた方向へ誘導される。そのため、防滴剤40の半田ボール21側への濡れ広がりを小さくして、防滴剤40が半田ボール21と接触することが防止される。
【0071】
よって、本実施形態によれば、プリント基板10の一面11上にボールグリッドアレイ20を実装してなる電子装置において、プリント基板10に貫通ビア15が設けられていても、プリント基板10の他面12側に適切に防滴剤40を塗布することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、金属パターン50を、貫通ビア15の中心から半田ボール21から外れた方向に長く半田ボール21に向かう方向に短い非対称な形状とすることで、周辺パターンの制約を考慮した上で防滴剤40を誘導することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、金属パターン50の平面形状が相違するものであり、この相違点を中心に述べることとする。
【0074】
上記第1実施形態では、金属パターン50は扇形状とされていた(上記図3参照)が、図8に示されるように、本実施形態における金属パターン50は長方形状とされている。それにより、本実施形態の金属パターン50も、貫通ビア15の中心から半田ボール21から外れた方向に長く半田ボール21に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものとなっている。
【0075】
このように、周辺パターンの制約を考慮した上で金属パターン50の平面形状を決めてやればよく、本実施形態によっても、半田ボール21から外れた方向に、適切に防滴剤40を誘導することができる。
【0076】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、金属パターン50の平面形状が相違するものであり、この相違点を中心に述べることとする。
【0077】
図9に示されるように、本実施形態では、貫通ビア15として、互いに同電位である2個の貫通ビア15が隣り合って設けられている。そして、この2個の貫通ビア15に対して、同一の金属パターン50が共通して接続されている。
【0078】
このように隣り合う同電位の2個の貫通ビア15が存在する場合、これら2個の貫通ビア15を同一の金属パターン50により共通して接続すれば、スペースの有効活用が期待できる。
【0079】
なお、図9では、同電位の隣り合う貫通ビア15は2個であるが、3個以上であってもよく、この場合、当該3個以上の隣り合う同電位の貫通ビア15に対して、同一の金属パターン50を共通して接続すればよい。また、図9では、金属パターン50の平面形状は長方形であるが、上記第1実施形態と同様、扇形状であってもよい。
【0080】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、図10において(a)は概略断面図であり、(b)は(a)中の矢印E方向から視た概略平面図である。この図10では、防滴剤40は省略してある。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0081】
図10に示されるように、本実施形態では、プリント基板10の一面11側にて、貫通ビア15には、金属パターン50を構成する金属よりなる金属層17が接続されている。ここでは、金属層17は銅箔により構成されている。
【0082】
また、ここでは、金属層17は、貫通ビア15から半田ボール21側および半田ボール21から外れた方向に広がるパターン、いわゆるベタパターンとされており、貫通ビア15と半田ボール21とを電気的に接続する配線として構成されている。
【0083】
そして、金属層17は、貫通ビア15と半田ボール21との間を含んでほぼ全体がソルダーレジスト14に被覆されているが、金属層17のうち半田ボール21との接合部、および、貫通ビア15を起点として半田ボール21と反対側の方向の所定領域は、ソルダーレジスト14より露出している。
【0084】
つまり、本実施形態では、貫通ビア15を起点として、金属層17の一部をソルダーレジスト14より露出させることにより、当該露出した金属層17の部分が金属パターン50として構成されている。
【0085】
このように、金属層17が貫通ビア15に接続された配線となっているような構成は一般的な基板構成であるが、本実施形態では、このような構成に対しても、当該金属層17の一部をソルダーレジスト14から露出させるだけで、金属パターン50を形成することができる。
【0086】
つまり、本実施形態では、別途金属パターン50を形成したりする等の手間をかけることなく、最小限の変更で、金属パターン50を形成することができる。そして、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40は、金属パターン50上を半田ボール21から外れた方向へ誘導されるため、半田ボール21への接触が防止される。
【0087】
なお、図10では、金属パターン50の平面形状は長方形であるが、上記第1実施形態と同様、扇形状であってもよい。また、本第4実施形態は、金属層17の一部をソルダーレジスト14より露出させるだけであるから、上記第3実施形態に対しても、適用可能であることはもちろんである。
【0088】
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0089】
図11に示されるように、本実施形態の場合、プリント基板10の一面11において、貫通ビア15に対して半田ボール21とは反対側の部位に、貫通ビア15とは異電位の配線18が、貫通ビア15に近接して設けられている。この異電位の配線18は、ソルダーレジスト14より被覆されている。
【0090】
この場合、異電位の配線18と干渉してしまうことから、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21とは反対側の方向に延ばすことはできない。そこで、本実施形態では、金属パターン50は、貫通ビア15を起点として半田ボール21に向かう方向から約90°外れた方向に延びるものとして、異電位の配線18を避けている。
【0091】
本実施形態によれば、異電位の配線18の形状に影響を及ぼすことなく、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40を、半田ボール21から外れた方向へ誘導し、防滴剤40が半田ボール21へ接触するのを防止できる。なお、図11では、金属パターン50の平面形状は長方形であるが、この場合も、上記第1実施形態と同様、扇形状であってもよい。
【0092】
(第6実施形態)
図12は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の要部を示す図であり、図12において、(a)は概略断面図であり、(b)は(a)中の矢印F方向から視た概略平面図である。
【0093】
本実施形態は、上記各実施形態に示した金属パターン50に代えて、図12に示す壁60を採用して、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40が半田ボール21へ接触するのを防止するものである。
【0094】
すなわち、本実施形態では、図12に示されるように、プリント基板10の一面11にて、ソルダーレジスト14の表面のうち貫通ビア15と半田ボール21との間の部位に、ソルダーレジスト14上に突出する壁60が設けられている。ここでは、壁60は、貫通ビア15と半田ボール21との間に真っ直ぐ延びるものとされている。
【0095】
この壁60は、シルク印刷等により形成された樹脂の壁よりなるが、その他、金属やセラミック等であってもよい。シルク印刷は、防滴剤40の塗布前にプリント基板10の一面11に品番等を印刷する工程において採用されるもので、この工程において、シルク印刷の印刷材料により、同時に壁60を形成すればよい。
【0096】
そして、この壁60によって、プリント基板10の他面12から貫通ビア15を通ってプリント基板10の一面11に侵入する防滴剤40が、半田ボール21に接触するのを防止している。具体的には、プリント基板10の一面11側にて、貫通ビア15から半田ボール21に向かう防滴剤40は、壁60で止まっている。
【0097】
本実施形態によれば、プリント基板10の一面11側に入り込んだ防滴剤40が、半田ボール21に向かったとしても、この壁60によってせき止められるから、半田ボール21に接触するのを防止することができる。そのため、プリント基板10に貫通ビア15が設けられていても、プリント基板10の他面12側に適切に防滴剤40を塗布することができる。
【0098】
図13は、本第6実施形態の他の例としての電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。上記図12の例では、壁60は、貫通ビア15と半田ボール21との間に真っ直ぐ延びるものとされていたが、図13に示されるように、貫通ビア15を取り囲む円弧状の壁でもよい。
【0099】
(第7実施形態)
図14は、本発明の第7実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第6実施形態を上記第5実施形態に組み合わせたものである。この場合、半田ボール21への防滴剤40の付着防止に対して上記金属パターン50による効果と上記壁60による効果との相乗効果が期待される。
【0100】
また、第6実施形態は、貫通ビア15と半田ボール21との間にてソルダーレジスト14上に壁60を設けるものであるから、上記第5実施形態以外に、上記第1〜第4の各実施形態に対しても、組み合わせできることはもちろんである。
【0101】
(他の実施形態)
なお、金属パターン50については、貫通ビア15を起点として半田ボール21から外れた方向に延びるように設けられたものであればよく、上記した扇形状(図3参照)、長方形状(図8参照)のもの以外にも、たとえば円形、楕円形、多角形あるいは不定形等の平面形状であってもよい。
【0102】
また、上記壁60については、上記した真っ直ぐな壁や円弧状の壁以外にも、防滴剤40をせき止めるものであれば特に形状は限定されず、たとえば折れ曲がり形状の壁等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 プリント基板
11 プリント基板の一面
12 プリント基板の他面
14 ソルダーレジスト
15 貫通ビア
17 金属層
20 ボールグリッドアレイ
21 半田ボール
40 防滴剤
50 金属パターン
60 壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(11)を部品実装面とするプリント基板(10)と、
半田ボール(21)を有するボールグリッドアレイ(20)と、を備え、
前記ボールグリッドアレイ(20)は、前記プリント基板(10)の一面(11)に搭載され、前記半田ボール(21)によって前記プリント基板(10)に電気的および機械的に接続されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくは前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、前記プリント基板(10)の一面(11)から当該一面(11)とは反対側の他面(12)まで前記プリント基板(10)を貫通する孔としての貫通ビア(15)が、前記半田ボール(21)から離れて設けられている電子装置において、
前記プリント基板(10)の他面(12)は、前記プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位および前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して前記半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)側にて前記貫通ビア(15)は、前記ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、前記プリント基板(10)の一面(11)において、前記ソルダーレジスト(14)よりも前記防滴剤(40)の濡れ性が大きい金属よりなり前記ソルダーレジスト(14)より露出する金属パターン(50)が、前記貫通ビア(15)に接続されており、
この金属パターン(50)は、前記貫通ビア(15)を起点として前記半田ボール(21)から外れた方向に延びるように設けられており、
前記防滴剤(40)は、前記プリント基板(10)の他面(12)から前記貫通ビア(15)を通って、前記プリント基板(10)の一面(11)では、前記ソルダーレジスト(14)よりも優先的に前記金属パターン(50)上に拡がることにより、前記半田ボール(21)とは離れていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記金属パターン(50)は、前記貫通ビア(15)の中心から前記半田ボール(21)から外れた方向に長く前記半田ボール(21)に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記貫通ビア(15)として、互いに同電位であり隣り合う複数個の貫通ビア(15)が設けられており、
同一の前記金属パターン(50)が前記複数個の貫通ビア(15)に共通して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記プリント基板(10)の一面(11)側にて、前記貫通ビア(15)には、前記金属パターン(50)を構成する前記金属よりなる金属層(17)が接続されており、
前記金属層(17)は前記ソルダーレジスト(14)に被覆されており、
前記貫通ビア(15)を起点として、前記金属層(17)の一部を前記ソルダーレジスト(14)より露出させることにより、当該露出した前記金属層(17)の部分が前記金属パターン(50)とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記プリント基板(10)の一面(11)にて、前記ソルダーレジスト(14)の表面のうち前記貫通ビア(15)と前記半田ボール(21)との間の部位には、前記ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、
この壁(60)によって、前記プリント基板(10)の他面(12)から前記貫通ビア(15)を通って前記プリント基板(10)の一面(11)に侵入する前記防滴剤(40)が、前記半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
一面(11)を部品実装面とするプリント基板(10)と、
半田ボール(21)を有するボールグリッドアレイ(20)と、を備え、
前記ボールグリッドアレイ(20)は、前記プリント基板(10)の一面(11)に搭載され、前記半田ボール(21)によって前記プリント基板(10)に電気的および機械的に接続されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくは前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、前記プリント基板(10)の一面(11)から当該一面(11)とは反対側の他面(12)まで前記プリント基板(10)を貫通する孔としての貫通ビア(15)が、前記半田ボール(21)から離れて設けられている電子装置において、
前記プリント基板(10)の他面(12)は、前記プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくは前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して前記半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)側にて前記貫通ビア(15)は、前記ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、前記ソルダーレジスト(14)の表面のうち前記貫通ビア(15)と前記半田ボール(21)との間の部位には、前記ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、
この壁(60)によって、前記プリント基板(10)の他面(12)から前記貫通ビア(15)を通って前記プリント基板(10)の一面(11)に侵入する前記防滴剤(40)が、前記半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする電子装置。
【請求項1】
一面(11)を部品実装面とするプリント基板(10)と、
半田ボール(21)を有するボールグリッドアレイ(20)と、を備え、
前記ボールグリッドアレイ(20)は、前記プリント基板(10)の一面(11)に搭載され、前記半田ボール(21)によって前記プリント基板(10)に電気的および機械的に接続されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくは前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、前記プリント基板(10)の一面(11)から当該一面(11)とは反対側の他面(12)まで前記プリント基板(10)を貫通する孔としての貫通ビア(15)が、前記半田ボール(21)から離れて設けられている電子装置において、
前記プリント基板(10)の他面(12)は、前記プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位および前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して前記半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)側にて前記貫通ビア(15)は、前記ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、前記プリント基板(10)の一面(11)において、前記ソルダーレジスト(14)よりも前記防滴剤(40)の濡れ性が大きい金属よりなり前記ソルダーレジスト(14)より露出する金属パターン(50)が、前記貫通ビア(15)に接続されており、
この金属パターン(50)は、前記貫通ビア(15)を起点として前記半田ボール(21)から外れた方向に延びるように設けられており、
前記防滴剤(40)は、前記プリント基板(10)の他面(12)から前記貫通ビア(15)を通って、前記プリント基板(10)の一面(11)では、前記ソルダーレジスト(14)よりも優先的に前記金属パターン(50)上に拡がることにより、前記半田ボール(21)とは離れていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記金属パターン(50)は、前記貫通ビア(15)の中心から前記半田ボール(21)から外れた方向に長く前記半田ボール(21)に向かう方向に短い非対称な形状に拡がったものであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記貫通ビア(15)として、互いに同電位であり隣り合う複数個の貫通ビア(15)が設けられており、
同一の前記金属パターン(50)が前記複数個の貫通ビア(15)に共通して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記プリント基板(10)の一面(11)側にて、前記貫通ビア(15)には、前記金属パターン(50)を構成する前記金属よりなる金属層(17)が接続されており、
前記金属層(17)は前記ソルダーレジスト(14)に被覆されており、
前記貫通ビア(15)を起点として、前記金属層(17)の一部を前記ソルダーレジスト(14)より露出させることにより、当該露出した前記金属層(17)の部分が前記金属パターン(50)とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記プリント基板(10)の一面(11)にて、前記ソルダーレジスト(14)の表面のうち前記貫通ビア(15)と前記半田ボール(21)との間の部位には、前記ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、
この壁(60)によって、前記プリント基板(10)の他面(12)から前記貫通ビア(15)を通って前記プリント基板(10)の一面(11)に侵入する前記防滴剤(40)が、前記半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
一面(11)を部品実装面とするプリント基板(10)と、
半田ボール(21)を有するボールグリッドアレイ(20)と、を備え、
前記ボールグリッドアレイ(20)は、前記プリント基板(10)の一面(11)に搭載され、前記半田ボール(21)によって前記プリント基板(10)に電気的および機械的に接続されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくは前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、前記プリント基板(10)の一面(11)から当該一面(11)とは反対側の他面(12)まで前記プリント基板(10)を貫通する孔としての貫通ビア(15)が、前記半田ボール(21)から離れて設けられている電子装置において、
前記プリント基板(10)の他面(12)は、前記プリント基板(10)の防湿を行う防滴剤(40)により被覆されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)のうち前記ボールグリッドアレイ(20)の直下部位もしくは前記ボールグリッドアレイ(20)に隣り合う部位には、当該部位を被覆して前記半田ボール(21)による接続時における半田付着を防止するソルダーレジスト(14)が設けられ、このソルダーレジスト(14)により当該部位の表面が構成されており、
前記プリント基板(10)の一面(11)側にて前記貫通ビア(15)は、前記ソルダーレジスト(14)より露出しており、
さらに、前記ソルダーレジスト(14)の表面のうち前記貫通ビア(15)と前記半田ボール(21)との間の部位には、前記ソルダーレジスト(14)上に突出する壁(60)が設けられており、
この壁(60)によって、前記プリント基板(10)の他面(12)から前記貫通ビア(15)を通って前記プリント基板(10)の一面(11)に侵入する前記防滴剤(40)が、前記半田ボール(21)に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
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【公開番号】特開2013−89909(P2013−89909A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231977(P2011−231977)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
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