説明

電子部品の基板接続構造

【課題】電子機器に搭載される接続基板にカメラモジュール等の電子部品を容易且つ確実に接続でき、しかも小型化を図ることができる電子部品の基板接続構造の提供。
【解決手段】電子部品50は、両側面下縁より突出した張り出し部53,53を備え、電子部品取付用ソケット51は、上面側に電子部品50の底部が嵌り込む凹溝状の部品嵌合部2を有するハウジング3は、張り出し部53の上面部と互いに係合する浮き上がり防止片36,36と、張り出し部53のソケット奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部31と、弾性抜け止め部材20とを備え、弾性抜け止め部材20は、部品嵌合部2内に出入り可能に突出し、張り出し部53のソケット奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片23を有し、弾性係止片23は、底板側に押圧されることにより部品嵌合部2より退避する方向に移動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール等の電子部品を携帯電話機等の電子機器に搭載される接続基板に取り付ける為の電子部品の基板接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の電子機器は、その内部にプリント配線基板を備え、そのプリント配線基板に、カメラモジュール等の電子部品を取り付けるようになっており、熱に弱い電子部品は、直接半田付けによって取り付けることができないので、図9に示す如き電子部品取付用ソケット100を用いてプリント配線基板101に接続するようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種の電子部品取付用ソケット100は、方形状の底版103の四辺より立ち上げた形状の周壁104に囲まれた電子部品収容部105 を有する上面部が開口した中空箱状のソケットハウジング と、底版103より突出した弾性接触部107を各々有する複数のコンタクト108,108...とを備え、カメラモジュール等の電子部品106を電子部品収容部105内に保持させることによって、電子部品106の底面に露出した信号端子がコンタクトの弾性接触部107と接触し、電子部品106がコンタクト108,108...を介してプリント配線基板101に電気的に接続されるようになっている。
【0004】
また、この電子部品取付用ソケット100は、ソケットハウジングの周壁104に、電子部品収容部105内に突出して電子部品106の側部と互いに係合する電子部品固定金具109,109を備え、この電子部品固定金具109により電子部品106を電子部品収容部105内に保持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−100189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、携帯電話機等の電子機器の小型軽量化に伴い、電子機器に搭載されるプリント配線基板上に占める各部品の占有スペースの縮小も望まれているところ、上述の如き従来の技術では、カメラモジュール等の電子部品が収容されるソケットハウジングが方形状の底版の四辺より立ち上げた形状の周壁を有し、且つ周壁の内側に電子部品固定金具を配した構造であるので、電子部品を取り付けるにはプリント配線基板上に一定の占有体積を確保せざるを得ず、小型化を阻害するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、電子機器に搭載される基板にカメラモジュール等の電子部品を容易且つ確実に接続でき、しかも電子部品が基板に占めるスペースの縮小を図ることができる電子部品の基板接続構造の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、基板に接続された電子部品取付用ソケットを介して電子部品を前記基板に電気的に接続させるようにしてなる電子部品の基板接続構造において、前記電子部品は、両側面下縁より各々水平方向外向きに突出した一対の張り出し部を備え、前記電子部品取付用ソケットは、上面側に前記電子部品の底部が嵌り込む凹溝状の部品嵌合部を有するハウジングと、前記部品嵌合部の内底面より突出した弾性接触部を各々有する複数のコンタクトとを備え、前記ハウジングは、前記張り出し部の上面部と互いに係合し、前記電子部品の浮き上がり方向の移動を規制する浮き上がり防止片と、該浮き上がり防止片のソケット奥行き方向奥側に配置され、前記張り出し部のソケット奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部と、前記浮き上がり防止片のソケット奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材とを備え、該弾性抜け止め部材は、前記部品嵌合部内に出入り可能に突出し、前記張り出し部のソケット奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片を有し、前記弾性係止片は、底板側に押圧されることにより前記部品嵌合部より退避する方向に移動するようにしたことにある。
【0009】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記弾性係止片は、一端を前記ハウジングに支持させたガイド片と、該ガイド片の他端側に配置され、前記張り出し部のソケット奥行き方向手前側縁と互いに係合する係止部とを備え、前記ガイド片は、前記係止部側をソケット幅方向内向き下側に向けて傾斜させた形状に形成されたことにある。
【0010】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記弾性抜け止め部材又は前記ハウジングは、前記弾性係止片のソケット奥行き方向手前側に前記弾性係止片の側縁と対向する配置に変形防止用ガイド片を備えたことにある。
【0011】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1、2又は3の構成に加え、前記弾性抜け止め部材は、前記弾性係止片と互いに平行な二股状に形成された弾性押上片を備え、該弾性押上片は、前記弾性係止片のソケット奥行き方向奥側に配置されたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電子部品の基板接続構造は、上述したように、基板に接続された電子部品取付用ソケットを介して電子部品を前記基板に電気的に接続させるようにしてなる電子部品の基板接続構造において、前記電子部品は、両側面下縁より各々水平方向外向きに突出した一対の張り出し部を備え、前記電子部品取付用ソケットは、上面側に前記電子部品の底部が嵌り込む凹溝状の部品嵌合部を有するハウジングと、前記部品嵌合部の内底面より突出した弾性接触部を各々有する複数のコンタクトとを備え、前記ハウジングは、前記張り出し部の上面部と互いに係合し、前記電子部品の浮き上がり方向の移動を規制する浮き上がり防止片と、該浮き上がり防止片のソケット奥行き方向奥側に配置され、前記張り出し部のソケット奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部と、前記浮き上がり防止片のソケット奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材とを備え、該弾性抜け止め部材は、前記部品嵌合部内に出入り可能に突出し、前記張り出し部のソケット奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片を有し、前記弾性係止片は、底板側に押圧されることにより前記部品嵌合部より退避する方向に移動するようにしたことにより、電子部品をプリント配線基板等の基板に容易且つ確実に固定することができるとともに、当該電子部品が基板に占めるスペースの縮小を図ることができる。
【0013】
また、本発明において、前記弾性係止片は、一端を前記ハウジングに支持させたガイド片と、該ガイド片の他端側に配置され、前記張り出し部のソケット奥行き方向手前側縁と互いに係合する係止部とを備え、前記ガイド片は、前記係止部側をソケット幅方向内向き下側に向けて傾斜させた形状に形成されたことにより、電子部品を上側から押し込んだ際に電子部品の底部をコネクタ幅方向の正しい位置に誘導し、容易に接続できる。
【0014】
更に本発明において、前記弾性抜け止め部材又は前記ハウジングは、前記弾性係止片のソケット奥行き方向手前側に前記弾性係止片の側縁と対向する配置に変形防止用ガイド片を備えたことにより、弾性係止片の変形を防止することができる。
【0015】
前記弾性抜け止め部材は、前記弾性係止片と互いに平行な二股状に形成された弾性押上片を備えたことにより、弾性接触部とともに電子部品底面を上向きに押圧し、電子部品を接続基板に対し水平に保つことができる。また、弾性押上片電子部品底面に露出させた端子と弾性的に接触させることで弾性抜け止め部材を介して電子部品を基板と電気的に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電子部品の基板接続構造の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】(a)は図1中の電子部品取付用ソケットを示す上側から見た斜視図、(b)は同下側から見た斜視図である。
【図5】(a)は図4中の弾性抜け止め部材の一例を示す平面図、(b)は同正面図、(c)は同底面図である。
【図6】(a)は図4中のホールドダウン部材を示す斜視図、(b)は同底面側から見た斜視図である。
【図7】本発明に係る電子部品の基板接続構造の他の一例を示す平面図である。
【図8】図7中の電子部品取付用ソケットを示す斜視図である。
【図9】従来の電子部品の基板接続構造の一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る電子部品の基板接続構造の実施の態様を図1〜図6に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号50はカメラモジュール等の電子部品、符号51は電子部品取付用ソケット、Bは接続基板である。
【0018】
この電子部品の基板接続構造では、接続基板Bに接続された電子部品取付用ソケット51を備え、この電子部品取付用ソケット51に電子部品50を装着することによりカメラモジュール等の電子部品50を接続基板Bに電気的に接続させるようになっている。
【0019】
カメラモジュール等の電子部品50は、上下方向に一定の厚みを有する本体部52と、本体部52の両側面下縁より水平方向外向きに突出した張り出し部53,53とを備え、且つ本体部52の底面に複数の信号端子を露出させている。
【0020】
尚、電子部品50は、ソケット奥行き方向に間隔を置いて別個の張り出し部54,54を設けてもよく、電子部品50の向きを変えて張り出し部54,54側の底部を部品嵌合部2に嵌め込むようにしてもよい。
【0021】
一方、電子部品取付用ソケット51は、凹溝状の部品嵌合部2を上面側に配したハウジング3と、ハウジング3の底面部より部品嵌合部2内に弾性的に突出させた弾性接触部4を各々有する複数のコンタクト5、5...とを備え、電子部品50の底部を部品嵌合部2に嵌め込むことにより、電子部品本体部52の底面に露出させた各信号端子が弾性接触部4と弾性的に接触するとともに、電子部品本体52が電子部品取付用ソケット51の上面より上向きに突出するように装着されるようになっている。
【0022】
ハウジング3は、図4に示すように、絶縁樹脂製のモールド部材10と、導電性金属材からなるホールドダウン部材11とをもって一体的に形成され、上面側にソケット奥行き方向に貫通した凹溝状の部品嵌合部2を有し、この部品嵌合部2に電子部品50の底部が嵌め込まれるようになっている。
【0023】
モールド部材10は、平板状の底板部12と、底板部12のソケット幅方向両側縁より上向きに立ち上げた形状の側壁部13,13とを備え、両側壁部13,13間に部品嵌合部2が形成されている。
【0024】
底板部12は、ソケット幅方向に長い矩形状に形成され、その中央部に厚み方向に貫通した中央開口部14が形成されている。
【0025】
また、底板部12には、中央開口部14のソケット奥行き方向手前側部にインサート成形により各コンタクト5,5...の一部が埋設され、弾性接触部4側をソケット奥行き方向奥側に向けて各コンタクト5,5...がソケット幅方向に間隔を置いた平行配置に組み込まれている。
【0026】
各コンタクト5,5...は、導電性金属材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより形成され、細長板状の基部15と、基部15の一方の端部より上向きに傾けて折り曲げた形状の弾性接触部4と、基部15の他方の端部より下向きに傾斜した連結部16と、連結部16より水平方向に向けて折り曲げた形状の基板接続部17とを備えている。
【0027】
コンタクト5は、基部15の一部及び連結部16がモールド部材10に埋設され、弾性接触部4が基部15に支持されて上下方向に弾性変形できるようになっている。尚、各弾性接触部4,4...は、下側に中央開口部14が配置されており、弾性変形時に底板部12と干渉しないようになっている。
【0028】
一方、基板接続部17は、連結部16の一端よりソケット奥行き方向手前側に向けて延出され、ハウジング3底面に形成された露出溝部より、ハウジング3底面に露出し、接続基板Bに形成された端子パターンP,P...に半田付けされるようになっている。
【0029】
また、モールド部材10の底板部12には、ソケット奥行き方向手前側両側部に切欠き部18,18が形成され、この切欠き部18に弾性抜け止め部材20がインサート成型により一体的に組み込まれている。
【0030】
弾性抜け止め部材20は、図5に示すように、導電性金属板材を打ち抜き、折り曲げ加工することにより一体に形成され、平板状の固定板部21と、固定板部21の側縁より垂直上向きに折り曲げた形状の支持部22と、支持部22の上縁に支持された弾性係止片23とを備えている。
【0031】
固定板部21は、矩形状の本体21aと、本体21aの一方の隅部に配置された固定用突片21bとをもって形成され、本体21a及び固定用突片21bには、モールド部材10側の縁部に沿って底面側に段差部24,24...が形成されている。
【0032】
このように本体21a及び固定用突片21bに各々段差部24を設けたことにより、インサート成型時に絶縁性樹脂が段差部24,24に入り込み、それにより弾性抜け止め部材20が固定板部21をハウジング3底面に露出させた状態でモールド部材10に固定できるようになっている。
【0033】
また、固定板部本体21aには、支持部22と直交する配置に変形防止ガイド片部25が形成されている。
【0034】
この変形防止ガイド片部25は、固定板部本体21a縁部より上向きに折り曲げた形状に形成され、弾性係止片23のソケット奥行き方向手前側且つ弾性係止片23の側縁と互いに対向する配置に形成されている。
【0035】
一方、支持部22は、モールド部材10に組み込まれた際にハウジング3側面に露出する位置になるように形成されている。
【0036】
また、弾性係止片23は、支持部22の上縁よりソケット幅方向内側下方に向けて傾斜した形状のガイド片部26と、ガイド片部26のソケット幅方向内側に配置された係止部27とを備え、支持部22側端部を基軸に上下方向で弾性変形できるようになっている。
【0037】
両ガイド片部26、26は、先端がソケット幅方向で部品嵌合部2の内側面と略同じ位置且つ内底面と略同じ高さとなるように形成され、電子部品50を電子部品取付用ソケット51に装着する際の位置決め用ガイドとして機能するようになっている。
【0038】
係止部27は、ガイド片26先端部より上方に膨出した円弧状に折り曲げた形状に形成され、部品嵌合部2側部の浮き上がり防止片36よりソケット奥行き方向手前側部に出入り可能に突出し、この係止部27を上方より押圧することにより弾性係止片23が弾性変形して部品嵌合部2内より退避する方向に移動し、押圧力が解除されると弾性復帰して部品嵌合部2内に突出するようになっている。
【0039】
ホールドダウン部材11は、図6に示すように、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、ソケット幅方向に長い細長板状のフレーム部30と、フレーム部30の両側部より上向きに折り曲げた形状の当て止め部片31,31と、当て止め部片31より水平方向外向きに折り曲げた配置の上板片32と、上板片32の側縁より下向きに折り曲げた形状の側板片33と、側板片33の下縁より内向きに折り曲げた形状の基板接続片34とを備えている。
【0040】
また、ホールドダウン部材11には、上板片32、側板片33及び基板接続片34をもって断面コ字状の固定部35が形成され、この固定部35が側壁部13の外側面部に嵌め込まれ、モールド部材10とホールドダウン部材11とを一体化させるようになっている。
【0041】
フレーム部30は、ソケット奥行き方向奥側縁部にモールド部材10の底面部縁部と互いに係合される凹部30aが形成され、この凹部30aがモールド部材10の底面縁部12aと係合することによりモールド部材10に対するホールドダウン部材11のソケット奥行き方向の移動が規制されるようになっている。
【0042】
当て止め部片31は、ホールドダウン部材11とモールド部材10とを組み込むことにより部品嵌合部2の内側部且つソケット奥行き方向奥側に配置されて当て止め部を構成し、電子部品50の底部を部品嵌合部2に嵌め込んだ際に、当て止め部31,31に張り出し部53,53のソケット奥行き方向奥側縁が当て止めされるようになっている。
【0043】
上板片32は、ソケット幅方向の幅が側壁部13の壁厚より長く、且つ当て止め部片31よりソケット奥行き方向手前側に向けて延長された矩形状に形成され、ホールドダウン部材11とモールド部材10とを一体化させることにより内側縁部が側壁部13の上縁より内側に張り出し、部品嵌合部2内側面上縁部よりソケット幅方向内向きに張り出した薄板状の浮き上がり防止片36が形成されるようになっている。
【0044】
この浮き上がり防止片36,36と張り出し部53,53の上面部とが互いに係合し、電子部品50の浮き上がり方向の移動を規制するようになっている。
【0045】
基板接続片34は、ハウジング3底面に露出し、接続基板Bに形成された固定用パターンに半田付けにより固定され、それによりハウジング3全体が接続基板Bに接続されるようになっている。
【0046】
このように構成された電子部品の基板接続構造では、図2に示すように、電子部品50の底部を部品嵌合部2の奥行方向手前側でハウジング3上面側より底板側に向けて押し込み、更に、その状態でソケット奥行き方向奥側に向けて電子部品50の底部をスライド移動させて部品嵌合部2内に嵌め込むことにより、各コンタクト5,5...の弾性接触部4とカメラモジュール等の電子部品50の信号端子とを弾性的に接触させるようになっている。
【0047】
この電子部品50の底部をハウジング3上面側より底板側に向けて押し込む際には、ガイド片部26,26が互いにソケット幅方向内側に向けて傾斜しているので電子部品50の底部のソケット幅方向位置が部品嵌合部2の位置から逸脱していてもガイド片部26によってソケット幅方向中央側に誘導されるようになっている。
【0048】
また、弾性係止片23は、張り出し部53,53の下面により底板側に押圧されて部品嵌合部2より退避する方向に弾性変形し、電子部品50の底部を部品嵌合部2に向けて水平スライド移動させる際にその移動を阻害しないようになっている。
【0049】
一方、電子部品50の底部をスライド移動させると張り出し部53,53が浮き上がり防止片36,36下に挿入されるとともに、張り出し部53,53のソケット奥行き方向奥側縁が当て止め部31,31に当て止めされて電子部品50底部が部品嵌合部2内に嵌り込み、電子部品50底部の水平スライド移動に伴い張り出し部53,53の位置が弾性係止片23,23上より移動すると、弾性係止片23,23が押圧された状態から解除されて弾性復帰し、張り出し部53,53のソケット奥行き方向手前側に向けた移動を規制するようになっている。
【0050】
このように電子部品の基板接続構造では、容易に電子部品底部を部品嵌合部2内に嵌め込むことができ、また、浮き上がり防止片36,36により電子部品50の浮き上がり方向の移動が規制されるとともに、張り出し部53,53が当て止め部31と弾性係止片23との間に挟持されてソケット奥行き方向の移動が規制されるので、確実に装着がなされ、振動や落下により電子部品50が電子部品取付用ソケット51より離脱することを防止することができる。
【0051】
一方、電子部品取付用ソケット51は、図9に示す従来例の如く底版103の四辺より立ち上げた周壁104に囲まれた部品嵌合部105を有する場合に比べ、周壁104を必要としない分小型化が可能となる。
【0052】
尚、本発明に係る電子部品の基板接続構造では、上述の実施例で説明した弾性抜け止め部材20に換えて図7、図8に示すように弾性抜け止め部材40,40を使用したものであってもよい。尚、図中符号41は弾性抜け止め部材40を使用した電子部品取付用ソケットであり、また、上述の実施例と同様の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
弾性抜け止め部材40は、導電性金属板材を打ち抜き、折り曲げ加工することにより一体に形成され、上述の実施例と同様に、平板状の固定板部21と、固定板部21の側縁より垂直上向きに折り曲げた形状の支持部22を備えている。尚、固定板部21は、接続基板Bに形成されたグランドパターンに半田付けされるようになっている。
【0054】
また、この弾性抜け止め部材40は、支持部22の上縁部に支持された互いに平行な二股状に形成され弾性係止片42と弾性押上片43とを備え、弾性押上片43は、弾性係止片42のソケット奥行き方向奥側に配置されている。
【0055】
この弾性係止片42及び弾性押上片43は、同形状に形成され、支持部22の上縁よりコネクタ幅方向内側下方に向けて傾斜した形状のガイド片部42a,43aを備えるとともに、ガイド片部42a,43aのコネクタ幅方向内側にそれぞれ係止部42b、接触部43bを備え、支持部22側端部を基軸に上下方向で弾性変形できるようになっている。
【0056】
両ガイド片部42a,43aは、先端がソケット幅方向で部品嵌合部2の内側面と略同じ位置且つ内底面と略同じ高さとなるように形成され、電子部品50を装着する際の位置決め用ガイドとして機能するようになっている。
【0057】
係止部42b及び接触部43bは、ガイド片先端部より上方に膨出した円弧状に折り曲げた形状に形成され、ケーブル嵌合部2側部のコネクタ奥行き方向手前側部に出入り可能に突出し、この係止部42b及び接触部43bを上方より押圧することにより弾性係止片42及び弾性押上片43が弾性変形してケーブル嵌合部2内より退避する方向に移動し、押圧力が解除されると弾性復帰してケーブル嵌合部2内に突出するようになっている。
【0058】
この電子部品取付用ソケット41を使用した電子部品の基板接続構造では、電子部品50を部品嵌合部2に嵌め込む際に、弾性係止片42及び弾性押上片43が張り出し部53,53下面により底板側に押圧されて部品嵌合部2より退避する方向に弾性変形し、電子部品50底部を部品嵌合部2に向けて水平スライド移動させる際にその移動を阻害しないようになっている。
【0059】
一方、電子部品50をスライド移動させると張り出し部53,53が浮き上がり防止片36,36下に挿入されるとともに、張り出し部53,53のコネクタ奥行き方向奥側縁が当て止め部31,31に当て止めされて電子部品50の底部がケーブル嵌合部2内に嵌り込み、電子部品50の移動に伴い張り出し部53,53の位置が弾性係止片42,42上より移動すると、弾性係止片42,42が押圧された状態から解除されて弾性復帰し、図7に示すように、弾性係止片42,42が被係合部7,7のコネクタ奥行き方向手前側に突出して電子部品50の移動を規制する。
【0060】
一方、弾性押上片43,43は、張り出し部53,53下面に当接したままの状態にあり、弾性接触部4,4...とともに電子部品50の底面を上向きに押圧し、電子部品50の水平度を保つようになっている。
【0061】
また、弾性押上片43を電子部品50の底部に露出させた端子、例えば、グランド接続用端子と弾性的に接触するようにしておけば、弾性抜け止め部材40を介してグランド接続されるようになっている。
【符号の説明】
【0062】
B 接続基板
2 部品嵌合部
3 ハウジング
4 弾性接触部
5 コンタクト
6 嵌め込み部
7 張り出し部
8 補強板
10 モールド部材
11 ホールドダウン部材
12 底板部
13 側壁部
14 中央開口部
15 基部
16 連結部
17 基板接続部
18 切欠き部
20 弾性抜け止め部材
21 固定板部
22 支持部
23 弾性係止片
24 段差部
25 変形防止ガイド片部
26 ガイド片部
27 係止部
30 フレーム部
31 当て止め部片
32 上板片
33 側板片
34 基板接続片
35 固定部
36 浮き上がり防止片
40 弾性抜け止め部材
41 電子部品取付用ソケット
42 弾性係止片
43 弾性押上片
50 電子部品(カメラモジュール)
51 電子部品取付用ソケット
52 電子部品本体
53,54 張り出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に接続された電子部品取付用ソケットを介して電子部品を前記基板に電気的に接続させるようにしてなる電子部品の基板接続構造において、
前記電子部品は、両側面下縁より各々水平方向外向きに突出した一対の張り出し部を備え、
前記電子部品取付用ソケットは、上面側に前記電子部品の底部が嵌り込む凹溝状の部品嵌合部を有するハウジングと、前記部品嵌合部の内底面より突出した弾性接触部を各々有する複数のコンタクトとを備え、
前記ハウジングは、前記張り出し部の上面部と互いに係合し、前記電子部品の浮き上がり方向の移動を規制する浮き上がり防止片と、該浮き上がり防止片のソケット奥行き方向奥側に配置され、前記張り出し部のソケット奥行き方向奥側縁が当て止めされる当て止め部と、前記浮き上がり防止片のソケット奥行き方向手前側に配置された弾性抜け止め部材とを備え、
該弾性抜け止め部材は、前記部品嵌合部内に出入り可能に突出し、前記張り出し部のソケット奥行き方向手前側に向けた移動を規制する弾性係止片を有し、前記弾性係止片は、底板側に押圧されることにより前記部品嵌合部より退避する方向に移動するようにしたことを特徴としてなる電子部品の基板接続構造。
【請求項2】
前記弾性係止片は、一端を前記ハウジングに支持させたガイド片と、該ガイド片の他端側に配置され、前記張り出し部のソケット奥行き方向手前側縁と互いに係合する係止部とを備え、前記ガイド片は、前記係止部側をソケット幅方向内向き下側に向けて傾斜させた形状に形成された請求項1に記載の電子部品の基板接続構造。
【請求項3】
前記弾性抜け止め部材又は前記ハウジングは、前記弾性係止片のソケット奥行き方向手前側に前記弾性係止片の側縁と対向する配置に変形防止用ガイド片を備えた請求項1又は2に記載の電子部品の基板接続構造。
【請求項4】
前記弾性抜け止め部材は、前記弾性係止片と互いに平行な二股状に形成された弾性押上片を備えた請求項1、2又は3に記載の電子部品の基板接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−101799(P2013−101799A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244147(P2011−244147)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】