説明

電子部品ケースの結露防止構造

【目的】 人体検出センサー等の電子部品を収納したケース内では、その密閉時の水分量が維持されているが、環境温度が低下すると内部で結露し易くなって、内部回路が短絡するので、これを防止して結露しにくい構造を提供する。
【構成】 小便器の使用者を検出して便器の自動洗浄を行うシステムにおいて、人体検出センサー7等の電子部品とその処理回路を収納した電子部品ケース1内に、乾燥剤10を収納する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、赤外線センサー等の人体検出センサー又は手検出センサー、及びその処理回路等の電子部品を収納した電子部品ケース内の結露を防止する構造に関し、小便器の自動洗浄用や手洗水等の自動吐出用コントーラの電子部品ケースに利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、多数の小便器が並設されるシステムトイレ等では、洗浄水が無駄に使用されるのを防止するために赤外線センサー等の人体検出センサーを配置して、便器使用者を検出した後の一定のタイミングで自動洗浄するように制御したシステムが利用されている。
そして、人体検出センサー及びその処理回路等の電子部品は、小便器の設置位置のやや上部壁面に取り付けたケース内に収納されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、従来のこの種の人体検出センサー等の電子部品を収納した電子部品ケースは、製造時に一旦密閉されると、その密閉時の水分量が維持されて結露しないのが通常であるが、環境温度が低下すると相対湿度が上昇するため結露し易くなって、内部回路が短絡して故障するという問題があった。また、電子部品の修理、交換等のメンテナンスでこの電子部品ケースを開ける場合には、比較的高い湿度の便所内の湿度が影響して、さらに結露し易くなるという問題もあった。
そして、このような問題は手洗器に設置した手洗水、温風の自動吐出用コントローラの電子部品ケースについても同様に発生していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案に係わる請求項1記戟の電子部品ケースの結露防止構造は、人体検出センサー又は手検出センサー、及びその処理回路等の電子部品を収納した電子部品ケース内に、乾燥剤を収納した構造である。
【0005】
本考案に係わる請求項2記載の電子部品ケースの結露防止構造は、請求項1記載の装置における乾燥剤が、高湿度における吸水率が急上昇する特性を有するものである。
【0006】
【作用】
人体検出センサー又は手検出センサー、及びその処理回路等を収納した電子部品ケース内に、乾燥剤を収納しているので、相対湿度が上昇して環境温度が低下して結露がし易い環境になっても、乾燥剤が作用して結露しない。これにより、内部回路の短絡故障を防止できる。
【0007】
さらに、乾燥剤として、高湿度における吸水率が比較的高いものを使用すると、メンテナンス等の際にケースを開けたときでも結露を完全に防止することができる。
【0008】
【実施例】
以下、本考案に係る電子部品ケースの結露防止構造の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本考案に係る電子部品ケースの結露防止構造を備えたケースを一部破断して示す側面図である。
この電子部品ケース1は、例えば小便器が設置されている壁面2の上部位置の凹部3内に埋め込んで配置されている小便器の自動洗浄装置のコントローラのケースである。
ケース1の背面側に設けられたゴムブッシュ(図示省略)からは、外部電源をこのケース1内に導入するためのAC100Vの電源コード、及び小便器の洗浄用の電磁弁等を駆動制御するための制御信号を出力するための制御コードが配線されている。
【0009】
前記電源コードは、ケース1内の背面側に立設して配置されている電源基板4に配線されている。この電源基板4には、AC電圧を電子回路駆動用のDC電圧に変換するための電源回路素子等がマウントされている。この電源基板4からは配線5を介してセンサー基板6にDC電源の供給がなされている。
【0010】
センサー基板6には、人体検出センサー7及びその信号処理回路がマウントされている。すなわち、このセンサー基板6には、例えば赤外線の反射光量の大きさによって人体を検出するための赤外線センサーを構成する投光器、受光器、該受光器で検出される反射光量の変化を検出して、人体の検出結果を出力するための処理回路等を構成する電子部品がマウントされている。このセンサー基板6は、斜め位置に配置され、前記投光器からは矢印8で示すように、斜め下方に向けて投光され、これにより小便器の手前当たりの人体を検出することができるようになされている。
【0011】
ケース1内の背面側の上部位置には、断面「コ」形の枠体9がケース1内面に接合して取り付けられている。そして、この枠体9内に乾燥剤10が収納されている。
この乾燥剤10としては、例えばシリカゲルの袋詰めのものであり、その量はケース1内を密閉型とした場合に、仮に湿度が100パーセント、温度40゜Cとした場合に存在するそのケース1内の水蒸気量を十分に吸水できるだけのシリカゲルを用いればよい。
【0012】
例えば、乾燥剤10としては、富士株式会社製のシリカゲルA型及び、B型のものが用いられる。
ここでシリカゲルA型とは、低湿度での吸水力に優れており、一方B型は高湿度での水分吸着力が特に優れているものであり、特にB型は粒子が粗に連ながっているために、細孔容積が大きく、毛細管現象によって水を吸い上げるものである。このためB型は低湿度の時にはA型よりも吸水率が低いが、相対湿度が約60パーセン以上になるとその吸水率はA型のものに比べて大きくなり、70パーセント以上の環境からはこの吸水率が急激に上昇する特性を有している。
【0013】
そして、前記ケース1は、通常は密閉型であるが、赤外線センサー等の電子部品の調整、修理等のためにケース1を開閉する必要がある場合については、周囲の環境湿度の影響を受けて高湿度になっても上記シリカゲルB型では、吸水率が高湿度で急上昇するので、乾燥剤10の量をそれほど多くしなくても十分吸水することができるので、この場合にはシリカゲルA型よりもより好ましくなる。
【0014】
しかして、ケース1内には、電源基板4及びセンサー基板5上に多数の電子回路素子が配置されているが、乾燥剤10が収納されているので、仮に環境温度が低下して、結露がし易い状態になったとしても結露することがない。
また、乾燥剤10として、上記シリカゲルB型のように、高湿度における吸水率が急上昇する特性を有するものを用いると、メンテナンス等の時にケース1を開けたときに内部の湿度が高くなるとそれだけその吸着量も大きくなるので、結露を完全に防止することができる。
【0015】
なお、上記した実施例は、小便器の自動洗浄用コントローラのケースについて述べたが、他に手検出センサー及びその処理回路を収納している手洗器の手洗水の自動吐出用又は温風の自動吹出用コントローラの電子部品ケースについても同様に適用される。
【0016】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案によれば、人体検出センサー又は手検出センサー、及びその処理回路等の電子部品を収納した電子部品ケース内の結露を防止することができる。よって、小便器の自動洗浄用コントローラ、手洗器の自動吐出用コントローラのケース構造に好適であり、内部回路の短絡故障を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る電子部品ケースの結露防止構造を示す一部破断側面図である。
【符号の説明】
1…ケース(電子部品ケース)
4…電源基板
6…センサー基板
7…人体検出センサー
9…枠体
10…乾燥剤

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 人体検出センサー又は手検出センサー、及びその処理回路等の電子部品を収納した電子部品ケース内に、乾燥剤を収納したことを特徴とする電子部品ケースの結露防止構造。
【請求項2】 前記乾燥剤は、高湿度における吸水率が急上昇する特性を有するものであることを特徴とする請求項1記載の電子部品ケースの結露防止構造。

【図1】
image rotate


【公開番号】実開平7−8471
【公開日】平成7年(1995)2月7日
【考案の名称】電子部品ケースの結露防止構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平5−47682
【出願日】平成5年(1993)6月30日
【出願人】(000000479)株式会社イナックス (1,429)