電子部品
【課題】コンデンサを内蔵した小型の電子部品を提供することである。
【解決手段】積層体14は、複数の絶縁体層が積層されて構成されている。コイルは、積層体14に内蔵されている。外部電極22a,22cは、コイルに接続されていると共に、積層体14の表面に設けられている。絶縁体24は、外部電極22a,22c上に設けられている。外部電極20a,20cは、外部電極22a,22cと共に絶縁体24を挟むことにより容量を形成している。
【解決手段】積層体14は、複数の絶縁体層が積層されて構成されている。コイルは、積層体14に内蔵されている。外部電極22a,22cは、コイルに接続されていると共に、積層体14の表面に設けられている。絶縁体24は、外部電極22a,22c上に設けられている。外部電極20a,20cは、外部電極22a,22cと共に絶縁体24を挟むことにより容量を形成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関し、より特定的には、絶縁体層が積層されてなる積層体を備えた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層型バルントランスが知られている。該積層型バルントランスは、アンバランス信号をバランス信号に変換して出力する素子であり、2枚の磁性体基板、積層体及び外部電極を備えている。積層体は、2枚の磁性体基板により挟まれており、ポリイミドなどの絶縁体からなる層が積層されて構成されている。また、積層体は、2つのトランスを内蔵している。各トランスは、2つのコイルが磁気的に結合することにより構成されている。外部電極は、磁性体基板及び積層体の側面に形成されており、前記トランスに接続されている。
【0003】
前記積層型バルントランスは、例えば、携帯電話のチューナに用いられる。具体的には、携帯電話のチューナにおいて、積層型バルントランスは、アンテナが受信したアンバランス信号をバランス信号に変換して後段のRF(Radio Frequency)トランシーバIC(以下、RF ICと称す)に出力する。
【0004】
ところで、携帯電話のチューナでは、積層型バルントランスの前段にローノイズアンプが設けられている。該ローノイズアンプには、駆動のためのバイアス電圧が印加されている。故に、ローノイズアンプから出力されるアンバランス信号には、直流電流が重畳されている。そのため、積層型バルントランスから出力されるバランス信号にも、直流電流が重畳されている。このように、直流電流が重畳されたバランス信号が、RF ICに入力すると、RF ICに不具合が発生する。そこで、積層型バルントランスとRF ICとの間には、通常、バランス信号の直流成分を除去するためのコンデンサが設けられている。
【0005】
しかしながら、積層型バルントランスとは別にコンデンサを設けた場合には、素子数が増加するため、携帯電話のチューナが大型化する問題がある。
【特許文献1】国際公開第2006/123485号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、直流成分を除去するコンデンサを内蔵した小型の電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る電子部品は、絶縁性物質からなる基体と、前記基体に内蔵されている内部電極と、前記内部電極に接続されていると共に、前記基体の表面に設けられている第1の外部電極と、前記第1の外部電極上に設けられている絶縁体と、前記第1の外部電極と共に前記絶縁体を挟むことにより容量を形成している第2の外部電極と、を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンデンサを内蔵した小型の電子部品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子部品は、1対1のインピーダンス比を有するバルントランスである。バルントランスは、携帯電話のチューナにおいて、アンテナが受信したアンバランス信号をバランス信号に変換して後段のRF ICに出力する素子である。図1(a)は、第1の実施形態に係る電子部品10aの外観斜視図である。図1(b)は、該電子部品10aの分解斜視図である。図2は、電子部品10aの本体12の分解斜視図である。図3は、図1の電子部品10aの等価回路図である。以下、電子部品10aの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10aの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10aの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0011】
図1(a)及び図1(b)に示すように、電子部品10aは、本体12、外部電極20a〜20d,22a,22c及び絶縁体24を備えている。本体12は、直方体状をなしており、磁性体基板16、積層体14及び磁性体基板18がz軸方向の正方向側からこの順に並ぶように積み重ねられて構成されている。外部電極22a,22cは、図1(b)に示すように、本体12のy軸方向の負方向側に位置する側面(表面)において、z軸方向に延在するように設けられている。外部電極22a,22cは、側面からはみ出さないように形成されている。よって、外部電極22a,22cとz軸方向の両端に位置している稜線との間には、隙間が設けられている。
【0012】
絶縁体24は、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側に位置する側面全体を覆うように外部電極22a,22b上に形成された樹脂層である。外部電極22a,22cは、側面からはみ出さないように形成されているので、絶縁体24により覆い隠されるようになる。
【0013】
外部電極20a,20cはそれぞれ、本体12のy軸方向の負方向側に位置する側面において、絶縁体24を挟んで外部電極22a,22cと対向するように設けられている。外部電極22a,22cは、絶縁体24により覆い隠されているので、外部電極20a,20cとは絶縁状態にある。これにより、外部電極20aと外部電極22aとの間において、容量が形成され、外部電極20a,22a及び絶縁体24によりコンデンサC1が構成される。また、外部電極20cと外部電極22cとの間において、容量が形成され、外部電極20c,22c及び絶縁体24によりコンデンサC2が構成される。
【0014】
外部電極20b,20dはそれぞれ、本体12のy軸方向の正方向側に位置する側面において、z軸方向に延在するように設けられている。
【0015】
磁性体基板16,18は、図2に示すように、直方体状をなしており、z軸方向の正方向側及び負方向側から積層体14を挟んでいる。該磁性体基板16,18は、フェライト等の磁性体材料により構成されている。
【0016】
積層体14は、図2に示すように、トランスTを内蔵しており、絶縁体層14a〜14dがz軸方向の正方向側からこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層14a〜14dは、長方形状をなしている樹脂層である。トランスTは、互いに磁気的に結合しているコイルL1,L2により構成されている。以下に、コイルL1,L2について説明する。
【0017】
コイルL1は、図2に示すように、コイル電極26a,26b及びビアホール導体28a〜28dにより構成されている。コイル電極26aは、コイル部30a、引出し部32a,34a及び配線部36aを備え、絶縁体層14a上に設けられている。引出し部32aは、コイル部30aと外部電極22aとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の正方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32aは、外部電極22aと接続されている。引出し部34aは、コイル部30aと外部電極20bとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の正方向側の側面の中央よりもx軸方向の正方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部34aは、外部電極20bと接続されている。
【0018】
コイル部30aは、その一端が引出し部32aに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14aの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。配線部36aは、コイル部30aの他端及び引出し部34aに接続されており、y軸方向に延在している。コイル部30aは、配線部36aと短絡しないように、配線部36aが通過する領域において、切断されている。そのため、コイル部30aは、配線部36aのx軸方向の両側方において、端部38a〜38dを有している。
【0019】
ビアホール導体28a〜28dはそれぞれ、絶縁体層14aを貫通するように設けられており、z軸方向から平面視したときに、端部38a〜38dと重なるように設けられている。該ビアホール導体28a〜28dは、絶縁体層14aに形成されたビアホールにコイル電極26aと同じ導電性材料が埋め込まれることにより形成されている。なお、ビアホール導体28a〜28dは、コイル電極26aの形成と同時に形成されるものであるので、実際には、図2に示すように、コイル電極26aと分離されているのではなく、コイル電極26aと一体となっている。ただし、ここでは、説明を容易にするために、ビアホール導体28a〜28dとコイル電極26aとを分離して記載した。
【0020】
コイル電極26bは、コイル部30b及び引出し部32b,34bを備え、絶縁体層14b上に設けられている。引出し部32bは、コイル部30bと外部電極22aとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の正方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32bは、外部電極22aと接続されている。引出し部34bは、ダミー電極であり、コイル部30bとは接続されていない。
【0021】
コイル部30bは、その一端が引出し部32bに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14bの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。該コイル部30bは、z軸方向から平面視したときに、コイル部30aと重なるように該コイル部30bと同じ形状を有している。ただし、コイル電極26bは、配線部を有していないので、コイル電極26aのような端部38a〜38dを有していない。すなわち、コイル部30bは、z軸方向から平面視したときに、配線部36aと重なる位置においても配線が設けられており、途中で断線していない。
【0022】
更に、コイル部30a,30bは、同じ形状を有し、互いに重なるように設けられているので、ビアホール導体28a〜28dによりコイル部30aとコイル部30bとが接続されるようになる。これにより、端部38aと端部38bとの間は、ビアホール導体28a,28b及びコイル電極30bにより接続されるようになる。また、端部38cと端部38dとの間は、ビアホール導体28c,28d及びコイル部30bにより接続されるようになる。したがって、引出し部34aから入力した信号は、配線部36a、コイル部30a、ビアホール導体28d、コイル部30b、ビアホール導体28c、コイル部30a、ビアホール導体28b、コイル部30b、ビアホール導体28a、コイル部30aの順に通過して、引出し部32aへと到達することができる。
【0023】
また、ビアホール導体28a〜28dによりコイル部30aとコイル部30bとが接続されている。故に、コイル部30bは、外部電極22aとビアホール導体28aとの間、及び、ビアホール導体28bとビアホール導体28cとの間において、コイル部30aに対して並列接続されていることになる。したがって、引出し部34aから入力した信号は、配線部36a、コイル部30a、ビアホール導体28d、コイル部30bの順に通過して、引出し部32bへと到達することもできる。ここで、引出し部32a,32bは、図1(b)に示すように、外部電極22aに接続されているので、コイル電極26a,26b及びビアホール導体28a〜28dは、一つのコイルL1を構成している。
【0024】
コイルL2は、図2に示すように、コイル電極26c,26d及びビアホール導体28e〜28hにより構成されている。コイル電極26cは、コイル部30c、引出し部32c,34c及び配線部36bを備え、絶縁体層14c上に設けられている。引出し部32cは、コイル部30cと外部電極22cとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の負方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32cは、外部電極22cと接続されている。引出し部34cは、コイル部30cと外部電極20dとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の正方向側の側面の中央よりもx軸方向の負方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部34cは、外部電極20dと接続されている。
【0025】
コイル部30cは、その一端が引出し部32cに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14aの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。該コイル部30cは、コイル部30a,30bと磁気的に結合するために、コイル部30a,30bとz軸方向に重なっていると共に、コイル部30a,30bと同じ方向に旋廻している。配線部36bは、コイル部30cの他端及び引出し部34cに接続されており、y軸方向に延在している。コイル部30cは、配線部36bと短絡しないように、配線部36bが通過する領域において、切断されている。そのため、コイル部30cは、配線部36bのx軸方向の両側方において、端部38e〜38hを有している。
【0026】
ビアホール導体28e〜28hはそれぞれ、絶縁体層14cを貫通するように設けられており、z軸方向から平面視したときに、端部38e〜38hと重なるように設けられている。該ビアホール導体28e〜28hは、絶縁体層14cに形成されたビアホールにコイル電極26cと同じ導電体材料が埋め込まれることにより形成されている。なお、ビアホール導体28e〜28hは、コイル電極26cの形成と同時に形成されるものであるので、実際には、図2に示すように、コイル電極26cと分離されているのではなく、コイル電極26cと一体となっている。ただし、ここでは、説明を容易にするために、ビアホール導体28e〜28hとコイル電極26cとを分離して記載した。
【0027】
コイル電極26dは、コイル部30d及び引出し部32d,34dを備え、絶縁体層14d上に設けられている。引出し部32dは、コイル部30dと外部電極22cとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の負方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32dは、外部電極22cと接続されている。引出し部34dは、ダミー電極であり、コイル部30dとは接続されていない。
【0028】
コイル部30dは、その一端が引出し部32dに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14dの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。該コイル部30dは、コイル部30a,30bと磁気的に結合するために、コイル部30a,30bとz軸方向に重なっていると共に、コイル部30a,30bと同じ方向に旋廻している。ただし、コイル電極26dは、配線部を有していないので、コイル電極26cのような端部38e〜38hを有していない。すなわち、コイル部30dは、z軸方向から平面視したときに、配線部36bと重なる位置においても配線が設けられており、途中で断線していない。
【0029】
更に、コイル部30c,30dは、同じ形状を有し、互いに重なるように設けられているので、ビアホール導体28e〜28hによりコイル部30cとコイル部30dとが接続されるようになる。これにより、端部38eと端部38fとの間及び端部38gと端部38hとの間は、ビアホール導体28e〜28h及びコイル部30dにより接続されるようになる。したがって、引出し部34cから入力した信号は、配線部36b、コイル部30c、ビアホール導体28h、コイル部30d、ビアホール導体28g、コイル部30c、ビアホール導体28f、コイル部30d、ビアホール導体28e、コイル部30cの順に通過して、引出し部32cへと到達することができる。
【0030】
また、ビアホール導体28e〜28hによりコイル部30cとコイル部30dとが接続されている。故に、コイル部30dは、外部電極22cとビアホール導体28eとの間、及び、ビアホール導体28fとビアホール導体28gとの間において、コイル部30cに対して並列接続されていることになる。したがって、引出し部34cから入力した信号は、配線部36b、コイル部30c、ビアホール導体28h、コイル部30dの順に通過して、引出し部32dへと到達することもできる。ここで、引出し部32c,32dは、図1(b)に示すように、外部電極22cに接続されているので、コイル電極26c,26d及びビアホール導体28e〜28hは、一つのコイルL2を構成している。
【0031】
以上のように構成された電子部品10aでは、図3に示すように、外部電極20aと外部電極20bとの間に、コンデンサC1及びコイルL1が直列接続されている。また、外部電極20cと外部電極20dとの間に、コンデンサC2及びコイルL2が直列接続されている。また、コイル部30a〜30dは、z軸方向に重なった状態で並んでいると共に、同じ方向に旋廻しているので、コイルL1とコイルL2とは、磁気的に結合するようになる。その結果、コイルL1,L2は、トランスTを構成するようになる。
【0032】
また、電子部品10aでは、コイルL1とコイルL2が同じ構造を有していると共に、コンデンサC1とコンデンサC2が同じ構造を有している。そのため、外部電極20bと外部電極20dとの間のインピーダンスと、外部電極20aと外部電極20cとの間のインピーダンスとが等しくなる。よって、電子部品10aは、1対1のインピーダンス比を有している。
【0033】
以上のように構成された電子部品10aでは、図3に示すように、外部電極20dを接地し、外部電極20bを入力端子(アンバランス端子)、外部電極20a,20cを出力端子(バランス端子)とすることにより、バルントランスとして用いることができる。外部電極20bを介してアンバランス信号が入力すると、コイルL1とコイルL2との間の電磁誘導によりバランス信号が生成される。該バランス信号は、外部電極20a,20cから出力する。
【0034】
(効果)
前記電子部品10aによれば、コンデンサC1,C2を有する小型のバルントランスを得ることができる。より詳細には、電子部品10aでは、外部電極20a〜20d,22a,22c及び絶縁体24は、コンデンサC1,C2を構成している。故に、コンデンサC1,C2は、電子部品10aに内蔵されていることになる。その結果、電子部品10aは、電子部品とコンデンサとが別々に設けられた場合に比べて、小型化を図ることができる。
【0035】
また、電子部品10aによれば、トランスTの特性を殆ど変化させることなく、コンデンサC1,C2を内蔵させることができる。例えば、電子部品10aにおいて、コンデンサC1,C2を該電子部品10a内に設けたい場合には、コンデンサC1,C2を積層体14内に設けることが考えられる。この場合、トランスTの特性が以下に説明するように大きく変化してしまう。より詳細には、トランスTにおいて高い変換効率を得るために、積層体14は、磁性体基板16,18により挟まれている。これにより、コイルL1,L2により発生した磁束は、積層体14及び磁性体基板16,18を通過するようになる。磁性体基板16,18は、比較的高い透磁率を有しているので、コイルL1,L2のインダクタンス値も比較的高いものとなる。そのため、トランスTの変換効率も、比較的高いものとなる。
【0036】
しかしながら、積層体14内にコンデンサC1,C2の電極が設けられた場合には、コンデンサC1,C2の電極により、磁性体基板16,18へと向かう磁束が遮られてしまう。その結果、コイルL1,L2により発生した磁束は、磁性体基板16,18を殆ど通過することなく、積層体14内を通過することになる。積層体14の透磁率は、磁性体基板16,18の透磁率に比べて低いので、コイルL1,L2のインダクタンス値も、比較的低くなる。そのため、トランスTの変換効率も、比較的低くなる。よって、積層体14内にコンデンサC1,C2を設けた場合には、トランスTの特性が所望の特性から大きくずれてしまうという問題があった。
【0037】
一方、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2を構成する外部電極20a〜20d,22a,22cは、本体12の側面に設けられている。したがって、外部電極20a〜20d,22a,22cは、積層体14と磁性体基板16,18との間に位置しなくなるので、磁性体基板16,18へと向かう磁束を遮ることがなくなる。そのため、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2が積層体14内に設けられた場合に比べて、コンデンサC1,C2の存在によるトランスTの特性のずれが小さくなる。よって、電子部品10aによれば、トランスTの特性を殆ど変化させることなく、コンデンサC1,C2を内蔵させることができる。
【0038】
また、電子部品10aは、携帯電話等のチューナのバルントランスとして好適に用いることができる。より詳細には、バルントランスの後段に接続されるRF ICに入力するバランス信号は、直流成分が除去された状態でなければならない。故に、特許文献1に記載の積層型バルントランスでは、該積層型バルントランスとRF ICとの間に、バランス信号の直流成分を除去するためのコンデンサを設ける必要があった。
【0039】
一方、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2は、コイルL1,L2と外部電極20a,20cとの間に直列に接続されている。コンデンサC1,C2は、直列接続された場合には、バランス信号の交流成分のみを通過させ、バランス信号の直流成分を通過させない。故に、トランスTを通過したバランス信号は、コンデンサC1,C2を通過する際に、直流成分のみが除去されるようになる。その結果、直流成分が除去されたバランス信号が、RF ICに入力するようになる。すなわち、電子部品10aは、携帯電話等のチューナのバルントランスに用いる場合において、新たにコンデンサを設ける必要がないので、携帯電話等のチューナのバルントランスに適している。
【0040】
なお、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2は、外部電極20aとコイルL1との間、及び、外部電極20cとコイルL2との間のそれぞれに設けられている。これにより、コンデンサC1,C2を構成している外部電極20a,20cは、電子部品10aの出力端子を構成している。このように、出力端子(外部電極20a,20c)側にのみコンデンサC1,C2を設けた場合、接地される外部電極20d側にコンデンサが設けられた場合に比べて、電子部品10aの変換効率が高くなる。ただし、コンデンサC1,C2が設けられる場所は、これに限らない。コンデンサは、外部電極20bとコイルL1との間、及び、外部電極20dとコイルL2との間のそれぞれにも設けられていてもよい。このように、4つのコンデンサを設けることにより、電子部品10aの方向性をなくすことができる。より詳細には、電子部品10aのようにコンデンサC1,C2しか設けられていない場合には、外部電極20a,20cは、必ず出力端子として用いられる必要がある。すなわち、電子部品10aでは、実装時に電子部品10aの方向を意識して実装する必要がある。
【0041】
これに対して、4つのコンデンサを備える電子部品では、コンデンサは、外部電極20aとコイルL1との間、外部電極20bとコイルL1との間、外部電極20cとコイルL2との間、及び、外部電極20dとコイルL2との間のそれぞれに設けられている。そのため、外部電極20a〜20dのいずれも出力端子として用いることができる。その結果、4つの電子部品では、実装時に電子部品の方向性を意識する必要がなくなる。
【0042】
(シミュレーション)
本願発明者は、電子部品10aが奏する前記効果をより明確なものとするために、以下に図面を参照しながら説明するコンピュータシミュレーションを行った。より詳細には、図1及び図2に示す電子部品10aのモデル(以下、第1のモデル)、及び、図1及び図2に示す電子部品10aにおいて外部電極22a,22c及び絶縁体24が設けられていないモデル(以下、第2のモデル)を作製した。そして、第1のモデル及び第2のモデルの挿入損失特性及び同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)特性を調べた。図4は、該シミュレーション結果を示したグラフである。図4(a)は、周波数と挿入損失との関係を示したグラフである。縦軸は、挿入損失を示し、横軸は、周波数を示している。図4(b)は、周波数と同相信号除去比との関係を示したグラフである。縦軸は、同相信号除去比を示し、横軸は、周波数を示している。
【0043】
図4(a)及び図4(b)によれば、第1のサンプルの特性と第2のサンプルの特性とが近しいことが分かる。故に、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2が設けられたとしても、トランスTの特性が変化しにくいことがわかる。なお、電子部品10aが携帯電話のチューナ又は地上波デジタルチューナのバルントランスとして用いられる場合には、信号の周波数は、470MHz〜780MHz又は470MHz〜870MHzである。図4(a)及び図4(b)では、これらの周波数において、第1のサンプルの特性と第2のサンプルの特性とは、殆ど同じである。故に、電子部品10aを携帯電話のチューナのバルントランスとして好適に用いることが可能であることが分かる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子部品は、1対4のインピーダンス比を有するバルントランスである。図5(a)は、第2の実施形態に係る電子部品10bの外観斜視図である。図5(b)は、該電子部品10bの分解斜視図である。図6は、電子部品10bの本体112の分解斜視図である。図7は、図5の電子部品10bの等価回路図である。以下、電子部品10bの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10bの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10bの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0045】
電子部品10bと電子部品10aとの相違点は、インピーダンス比が異なる点である。そこで、以下では、かかる相違点を中心に電子部品10bについて説明を行う。なお、電子部品10bの構成において、電子部品10aの構成と同じものについては、電子部品10aに用いた参照符号の最初に「1」を付した。
【0046】
電子部品10bは、特許文献1に記載の積層型バルントランスに、コンデンサC11,C13を設けたものである。より詳細には、電子部品10bは、図5(a)及び図5(b)に示すように、本体112及び外部電極120a〜120f,122a,122e及び絶縁体124を備えている。なお、本体112及び外部電極120a〜120f,122a,122e及び絶縁体124については、基本的には、本体12及び外部電極20a〜20d,22a,22c及び絶縁体24と同じであるので、詳細な説明を省略する。外部電極120a,122a及び絶縁体124は、コンデンサC11を構成している。外部電極120e,122e及び絶縁体124は、コンデンサC13を構成している。
【0047】
電子部品10bは、図7に示すように、コイルL11〜L14及びコンデンサC11,C13を備えている。コイルL11は、図6に示すように、コイル電極126a,126b及びビアホール導体128により構成されている。コイルL12は、コイル電極126c,126d及びビアホール導体128により構成されている。コイルL13は、コイル電極126e,126f及びビアホール導体128により構成されている。コイルL14は、コイル電極126g,126h及びビアホール導体128により構成されている。
【0048】
コイルL11は、外部電極120cと外部電極120fとの間に接続されている。コイルL12は、外部電極122aと外部電極120bとの間に接続されている。コイルL13は、外部電極122eと外部電極120fとの間に接続されている。コイルL14は、外部電極120cと外部電極120bとの間に接続されている。
【0049】
また、コイルL11とコイルL12とは磁気的に結合して、トランスT1を構成している。コイルL13とコイルL14とは磁気的に結合してトランスT2を構成している。
【0050】
以上のような構成を有する電子部品10bは、外部電極120c,120fを接地し、外部電極120bを入力端子(アンバランス端子)、外部電極120a,120eを出力端子(バランス端子)とすることにより、図7に示すようなバルントランスとして用いることができる。外部電極120bを介してアンバランス信号が入力すると、コイルL12とコイルL11との間の電磁誘導及びコイルL13とコイルL14との間の電磁誘導によりバランス信号が生成される。該バランス信号は、外部電極120a,120eから出力する。
【0051】
また、電子部品10bでは、コイルL11〜L14が同じ構造を有している。そのため、外部電極120bと外部電極120fとの間のインピーダンスと、外部電極120aと外部電極120eとの間のインピーダンスとが1対4になる。よって、電子部品10bは、1対4のインピーダンス比を有するバルントランスを構成している。
【0052】
電子部品10bによれば、電子部品10aと同様に、素子の小型化を図ることができる。また、電子部品10bは、電子部品10aと同様に、トランスTの特性を大きく変化させることなく、コンデンサC11,C13を内蔵することができる。また、電子部品10bは、電子部品10aと同様に、バルントランスに好適に用いることができる。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態に係る電子部品10a,10bは、バルントランスであるとしたが、バルントランスに限らず、例えば、コモンモードチョークコイルであってもよい。図8(a)は、その他の実施形態に係る電子部品10cの外観斜視図である。図8(b)は、該電子部品10cの分解斜視図である。図9は、電子部品10cの積層体212の分解斜視図である。以下、電子部品10cの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10cの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10cの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。なお、電子部品10cの構成において、電子部品10aの構成と同じものについては、電子部品10aに用いた参照符号の最初に「2」を付した。
【0054】
図8に示すように、電子部品10cでは、外部電極220a,222a及び絶縁体224がコンデンサC21を構成している。また、外部電極220c,222c及び絶縁体224がコンデンサC22を構成している。
【0055】
図9に示すように、コイルL21は、コイル電極226a、引出し電極232a及びビアホール導体228a,228bにより構成され、外部電極222aと外部電極220bとの間に接続されている。コイルL22は、コイル電極226b、引出し電極232b及びビアホール導体228cにより構成され、外部電極222cと外部電極220dとの間に接続されている。更に、コイルL21とコイルL22とが磁気的に結合してトランスT3を構成している。以上のような構成により、電子部品10cは、コモンモードチョークコイルを構成している。なお、コモンモードチョークコイルの回路構成は、図3を用いて説明を行ったバルントランスと同じであるので説明を省略する。
【0056】
このような電子部品10cにおいても、電子部品10a,10bと同様に、素子の小型化を図ることができる。また、電子部品10cは、電子部品10aと同様に、トランスTの特性を大きく変化させることなく、コンデンサC21,C22を内蔵することができる。
【0057】
また、電子部品10a〜10cは、バルントランス及びコモンモードチョークコイル以外に、例えば、図10に示すような回路構成を有する方向性結合器(電子部品10d)や図11に示すような回路構成を有する分配器(電子部品10e)に対して適用することも可能である。
【0058】
更に、電子部品10a〜10eは、複数のコイルが磁気結合したトランスを内蔵しているが、必ずしも、トランスを内蔵している必要はない。電子部品10a〜10eにおいて、磁気結合していないコイルが設けられていてもよい。この場合、電子部品10a〜10eは、コイルとコンデンサとからなるノイズフィルタを内蔵していることになる。
【0059】
また、電子部品10b〜10eにおいても、出力端子側に加えて入力端子側にもコンデンサが設けられていてもよい。
【0060】
また、電子部品10a〜10eでは、1対の外部電極とその間に設けられた絶縁体によりコンデンサが構成されているが、コンデンサの構成はこれに限らない。例えば、1対のコンデンサの間に、更なる外部電極が挿入されていてもよい。
【0061】
なお、電子部品10a〜10eでは、絶縁体の厚みを調整したり外部電極の形状を調整したりして、コンデンサを通過する信号の周波数成分を調整しておくことが好ましい。
【0062】
なお、積層体14,114,214は、絶縁体層が積層されて構成されている。しかしながら、積層体14,114,214の代わりに、絶縁性物質からなる基体が用いられてもよい。
【0063】
(電子部品の製造方法)
以上のように構成された電子部品10a〜10eの製造方法について、以下に図面を参照しながら説明する。以下では、電子部品10a〜10eの製造方法の一例として、電子部品10aの製造方法について説明を行う。また、電子部品10b〜10eは、電子部品10aと同様の製造方法により作製できるので、その説明を省略する。なお、以下では電子部品10aを単品で製造する場合について説明するが、量産の際には複数個の電子部品10aを備えたマザー基板を使用して効率良く生産する。図12ないし図18は、電子部品10aの製造手順を示す外観斜視図である。
【0064】
まず、強磁性体のフェライトからなる磁性体基板18を用意する。次に、図12に示すように、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の樹脂あるいはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス等からなる層絶縁体層14dを磁性体基板18上に薄膜形成手段により形成する。薄膜形成手段としては、例えばフォトリソグラフィや印刷等の方法が採用される。フォトリソグラフィでは、例えばスピン法、ディップ法、スプレー法、転写法等によって感光性樹脂膜を磁性体基板18の表面全面に形成した後、露光、現像して所定の絶縁体層14dを得る。また、その他のフォトリソグラフィでは、前記スピン法等によって絶縁性樹脂膜を磁性体基板18の表面全面に形成した後、感光性レジスト膜を絶縁性樹脂膜の表面に塗布し、露光、現像する。次に、感光性レジスト膜から露出した絶縁性樹脂膜の部分をエッチングして不要な部分の絶縁性樹脂膜を除去した後、感光性レジスト膜を剥離する。あるいは、前記スピン法等により得た絶縁体膜を、レーザビームによって穴明け、切断を行う。こうして磁性体基板18の表面に絶縁体層14dを形成する。
【0065】
次に、図12に示すように、絶縁体層14d上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、Ag,Pd,Cu,Alあるいはこれらの合金等からなるコイル電極26dを形成する。より詳細には、めっき、蒸着、スパッタリング等によって金属膜を絶縁体層14dの表面全面に形成した後、感光性レジスト膜を金属膜の表面に塗布し、露光、現像する。次に、感光性レジスト膜から露出した金属膜の部分をエッチングして不要な部分の金属膜を除去した後、感光性レジスト膜を剥離する。こうして、絶縁体層14d上にコイル電極26dを形成する。
【0066】
次に、図13に示すように、薄膜形成手段にて絶縁体層14cを形成する。この際、ビアホール導体28e〜28hを形成すべき位置に、絶縁体層14cを貫通するビアホール28'e〜28'hを形成する。次に、図14に示すように、絶縁体層14c上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、コイル電極26c及びビアホール導体28e〜28hを形成する。これにより、コイル電極26cとコイル電極26dとがビアホール導体28e〜28hにより接続される。
【0067】
次に、図15に示すように、薄膜形成手段にて絶縁体層14bを形成する。次に、図16に示すように、絶縁体層14b上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、コイル電極26bを形成する。
【0068】
次に、図17に示すように、薄膜形成手段にて絶縁体層14aを形成する。この際、ビアホール導体28a〜28dを形成すべき位置に、絶縁体層14aを貫通するビアホール28'a〜28'dを形成する。次に、図18に示すように、絶縁体層14a上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、コイル電極26a及びビアホール導体28a〜28dを形成する。これにより、コイル電極26aとコイル電極26bとがビアホール導体28a〜28dにより接続される。
【0069】
次に、図2に示すように、磁性体基板16を絶縁体層14a上に載置した後、真空ホットプレス機にセットして真空中にて熱圧着する。これにより、磁性体基板16,18と絶縁体層14a〜14dが一体化された本体12が得られる。
【0070】
次に、外部電極22a,22cが形成されるべき部分に開口を有する箱の中に本体12を入れる。そして、本体12に対して、例えば、蒸着、スパッタリング、無電解めっき等を施して、Ag,Pd,Cu,Alあるいはこれらの合金等からなる外部電極22a,22cを形成する。更に、前記箱から本体12を取り出し、本体12のy軸方向の負方向側の側面に、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の樹脂あるいはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス等からなる絶縁体24を貼り付ける。
【0071】
次に、外部電極20a〜20dが形成されるべき部分に開口を有する箱の中に本体12を入れる。そして、本体12に対して、例えば、蒸着、スパッタリング、無電解めっき等を施して、Ag,Pd,Cu,Alあるいはこれらの合金等からなる外部電極22a,22cを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1(a)は、第1の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図1(b)は、該電子部品の分解斜視図である。
【図2】図1の電子部品の本体の分解斜視図である。
【図3】図1の電子部品の等価回路図である。
【図4】図4(a)は、周波数と挿入損失との関係を示したグラフである。図4(b)は、周波数と同相信号除去比との関係を示したグラフである。
【図5】図5(a)は、第2の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図5(b)は、該電子部品の分解斜視図である。
【図6】図5の電子部品の本体の分解斜視図である。
【図7】図5の電子部品の等価回路図である。
【図8】図8(a)は、その他の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図8(b)は、該電子部品の分解斜視図である。
【図9】図8の電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図10】電子部品の等価回路図である。
【図11】電子部品の等価回路図である。
【図12】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図13】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図14】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図15】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図16】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図17】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図18】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
C1,C2,C11,C13,C21,C22,C41,C42 コンデンサ
L1,L2,L11〜L14,L21,L22,L32,L33,L41,L42 コイル
T,T1,T2 トランス
10a〜10e 電子部品
12,112,212 本体
14,114,214 積層体
14a〜14d 絶縁体層
16,18 磁性体基板
20a〜20d,22a,22c,120a〜120f,122a,122e,220a〜220d,222a,222c 外部電極
24,124,224 絶縁体
26a〜26d,126a〜126h,226a,226b コイル電極
28a〜28h,128,228a〜228c ビアホール導体
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関し、より特定的には、絶縁体層が積層されてなる積層体を備えた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層型バルントランスが知られている。該積層型バルントランスは、アンバランス信号をバランス信号に変換して出力する素子であり、2枚の磁性体基板、積層体及び外部電極を備えている。積層体は、2枚の磁性体基板により挟まれており、ポリイミドなどの絶縁体からなる層が積層されて構成されている。また、積層体は、2つのトランスを内蔵している。各トランスは、2つのコイルが磁気的に結合することにより構成されている。外部電極は、磁性体基板及び積層体の側面に形成されており、前記トランスに接続されている。
【0003】
前記積層型バルントランスは、例えば、携帯電話のチューナに用いられる。具体的には、携帯電話のチューナにおいて、積層型バルントランスは、アンテナが受信したアンバランス信号をバランス信号に変換して後段のRF(Radio Frequency)トランシーバIC(以下、RF ICと称す)に出力する。
【0004】
ところで、携帯電話のチューナでは、積層型バルントランスの前段にローノイズアンプが設けられている。該ローノイズアンプには、駆動のためのバイアス電圧が印加されている。故に、ローノイズアンプから出力されるアンバランス信号には、直流電流が重畳されている。そのため、積層型バルントランスから出力されるバランス信号にも、直流電流が重畳されている。このように、直流電流が重畳されたバランス信号が、RF ICに入力すると、RF ICに不具合が発生する。そこで、積層型バルントランスとRF ICとの間には、通常、バランス信号の直流成分を除去するためのコンデンサが設けられている。
【0005】
しかしながら、積層型バルントランスとは別にコンデンサを設けた場合には、素子数が増加するため、携帯電話のチューナが大型化する問題がある。
【特許文献1】国際公開第2006/123485号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、直流成分を除去するコンデンサを内蔵した小型の電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る電子部品は、絶縁性物質からなる基体と、前記基体に内蔵されている内部電極と、前記内部電極に接続されていると共に、前記基体の表面に設けられている第1の外部電極と、前記第1の外部電極上に設けられている絶縁体と、前記第1の外部電極と共に前記絶縁体を挟むことにより容量を形成している第2の外部電極と、を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンデンサを内蔵した小型の電子部品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子部品は、1対1のインピーダンス比を有するバルントランスである。バルントランスは、携帯電話のチューナにおいて、アンテナが受信したアンバランス信号をバランス信号に変換して後段のRF ICに出力する素子である。図1(a)は、第1の実施形態に係る電子部品10aの外観斜視図である。図1(b)は、該電子部品10aの分解斜視図である。図2は、電子部品10aの本体12の分解斜視図である。図3は、図1の電子部品10aの等価回路図である。以下、電子部品10aの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10aの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10aの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0011】
図1(a)及び図1(b)に示すように、電子部品10aは、本体12、外部電極20a〜20d,22a,22c及び絶縁体24を備えている。本体12は、直方体状をなしており、磁性体基板16、積層体14及び磁性体基板18がz軸方向の正方向側からこの順に並ぶように積み重ねられて構成されている。外部電極22a,22cは、図1(b)に示すように、本体12のy軸方向の負方向側に位置する側面(表面)において、z軸方向に延在するように設けられている。外部電極22a,22cは、側面からはみ出さないように形成されている。よって、外部電極22a,22cとz軸方向の両端に位置している稜線との間には、隙間が設けられている。
【0012】
絶縁体24は、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側に位置する側面全体を覆うように外部電極22a,22b上に形成された樹脂層である。外部電極22a,22cは、側面からはみ出さないように形成されているので、絶縁体24により覆い隠されるようになる。
【0013】
外部電極20a,20cはそれぞれ、本体12のy軸方向の負方向側に位置する側面において、絶縁体24を挟んで外部電極22a,22cと対向するように設けられている。外部電極22a,22cは、絶縁体24により覆い隠されているので、外部電極20a,20cとは絶縁状態にある。これにより、外部電極20aと外部電極22aとの間において、容量が形成され、外部電極20a,22a及び絶縁体24によりコンデンサC1が構成される。また、外部電極20cと外部電極22cとの間において、容量が形成され、外部電極20c,22c及び絶縁体24によりコンデンサC2が構成される。
【0014】
外部電極20b,20dはそれぞれ、本体12のy軸方向の正方向側に位置する側面において、z軸方向に延在するように設けられている。
【0015】
磁性体基板16,18は、図2に示すように、直方体状をなしており、z軸方向の正方向側及び負方向側から積層体14を挟んでいる。該磁性体基板16,18は、フェライト等の磁性体材料により構成されている。
【0016】
積層体14は、図2に示すように、トランスTを内蔵しており、絶縁体層14a〜14dがz軸方向の正方向側からこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層14a〜14dは、長方形状をなしている樹脂層である。トランスTは、互いに磁気的に結合しているコイルL1,L2により構成されている。以下に、コイルL1,L2について説明する。
【0017】
コイルL1は、図2に示すように、コイル電極26a,26b及びビアホール導体28a〜28dにより構成されている。コイル電極26aは、コイル部30a、引出し部32a,34a及び配線部36aを備え、絶縁体層14a上に設けられている。引出し部32aは、コイル部30aと外部電極22aとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の正方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32aは、外部電極22aと接続されている。引出し部34aは、コイル部30aと外部電極20bとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の正方向側の側面の中央よりもx軸方向の正方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部34aは、外部電極20bと接続されている。
【0018】
コイル部30aは、その一端が引出し部32aに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14aの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。配線部36aは、コイル部30aの他端及び引出し部34aに接続されており、y軸方向に延在している。コイル部30aは、配線部36aと短絡しないように、配線部36aが通過する領域において、切断されている。そのため、コイル部30aは、配線部36aのx軸方向の両側方において、端部38a〜38dを有している。
【0019】
ビアホール導体28a〜28dはそれぞれ、絶縁体層14aを貫通するように設けられており、z軸方向から平面視したときに、端部38a〜38dと重なるように設けられている。該ビアホール導体28a〜28dは、絶縁体層14aに形成されたビアホールにコイル電極26aと同じ導電性材料が埋め込まれることにより形成されている。なお、ビアホール導体28a〜28dは、コイル電極26aの形成と同時に形成されるものであるので、実際には、図2に示すように、コイル電極26aと分離されているのではなく、コイル電極26aと一体となっている。ただし、ここでは、説明を容易にするために、ビアホール導体28a〜28dとコイル電極26aとを分離して記載した。
【0020】
コイル電極26bは、コイル部30b及び引出し部32b,34bを備え、絶縁体層14b上に設けられている。引出し部32bは、コイル部30bと外部電極22aとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の正方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32bは、外部電極22aと接続されている。引出し部34bは、ダミー電極であり、コイル部30bとは接続されていない。
【0021】
コイル部30bは、その一端が引出し部32bに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14bの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。該コイル部30bは、z軸方向から平面視したときに、コイル部30aと重なるように該コイル部30bと同じ形状を有している。ただし、コイル電極26bは、配線部を有していないので、コイル電極26aのような端部38a〜38dを有していない。すなわち、コイル部30bは、z軸方向から平面視したときに、配線部36aと重なる位置においても配線が設けられており、途中で断線していない。
【0022】
更に、コイル部30a,30bは、同じ形状を有し、互いに重なるように設けられているので、ビアホール導体28a〜28dによりコイル部30aとコイル部30bとが接続されるようになる。これにより、端部38aと端部38bとの間は、ビアホール導体28a,28b及びコイル電極30bにより接続されるようになる。また、端部38cと端部38dとの間は、ビアホール導体28c,28d及びコイル部30bにより接続されるようになる。したがって、引出し部34aから入力した信号は、配線部36a、コイル部30a、ビアホール導体28d、コイル部30b、ビアホール導体28c、コイル部30a、ビアホール導体28b、コイル部30b、ビアホール導体28a、コイル部30aの順に通過して、引出し部32aへと到達することができる。
【0023】
また、ビアホール導体28a〜28dによりコイル部30aとコイル部30bとが接続されている。故に、コイル部30bは、外部電極22aとビアホール導体28aとの間、及び、ビアホール導体28bとビアホール導体28cとの間において、コイル部30aに対して並列接続されていることになる。したがって、引出し部34aから入力した信号は、配線部36a、コイル部30a、ビアホール導体28d、コイル部30bの順に通過して、引出し部32bへと到達することもできる。ここで、引出し部32a,32bは、図1(b)に示すように、外部電極22aに接続されているので、コイル電極26a,26b及びビアホール導体28a〜28dは、一つのコイルL1を構成している。
【0024】
コイルL2は、図2に示すように、コイル電極26c,26d及びビアホール導体28e〜28hにより構成されている。コイル電極26cは、コイル部30c、引出し部32c,34c及び配線部36bを備え、絶縁体層14c上に設けられている。引出し部32cは、コイル部30cと外部電極22cとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の負方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32cは、外部電極22cと接続されている。引出し部34cは、コイル部30cと外部電極20dとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の正方向側の側面の中央よりもx軸方向の負方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部34cは、外部電極20dと接続されている。
【0025】
コイル部30cは、その一端が引出し部32cに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14aの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。該コイル部30cは、コイル部30a,30bと磁気的に結合するために、コイル部30a,30bとz軸方向に重なっていると共に、コイル部30a,30bと同じ方向に旋廻している。配線部36bは、コイル部30cの他端及び引出し部34cに接続されており、y軸方向に延在している。コイル部30cは、配線部36bと短絡しないように、配線部36bが通過する領域において、切断されている。そのため、コイル部30cは、配線部36bのx軸方向の両側方において、端部38e〜38hを有している。
【0026】
ビアホール導体28e〜28hはそれぞれ、絶縁体層14cを貫通するように設けられており、z軸方向から平面視したときに、端部38e〜38hと重なるように設けられている。該ビアホール導体28e〜28hは、絶縁体層14cに形成されたビアホールにコイル電極26cと同じ導電体材料が埋め込まれることにより形成されている。なお、ビアホール導体28e〜28hは、コイル電極26cの形成と同時に形成されるものであるので、実際には、図2に示すように、コイル電極26cと分離されているのではなく、コイル電極26cと一体となっている。ただし、ここでは、説明を容易にするために、ビアホール導体28e〜28hとコイル電極26cとを分離して記載した。
【0027】
コイル電極26dは、コイル部30d及び引出し部32d,34dを備え、絶縁体層14d上に設けられている。引出し部32dは、コイル部30dと外部電極22cとを接続する部分であり、図1(b)に示すように、y軸方向の負方向側の側面の中央よりもx軸方向の負方向側において、積層体14から露出している。これにより、引出し部32dは、外部電極22cと接続されている。引出し部34dは、ダミー電極であり、コイル部30dとは接続されていない。
【0028】
コイル部30dは、その一端が引出し部32dに接続され、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層14dの中心(対角線の交点)に向かって時計回りに旋廻する螺旋状の線状電極である。該コイル部30dは、コイル部30a,30bと磁気的に結合するために、コイル部30a,30bとz軸方向に重なっていると共に、コイル部30a,30bと同じ方向に旋廻している。ただし、コイル電極26dは、配線部を有していないので、コイル電極26cのような端部38e〜38hを有していない。すなわち、コイル部30dは、z軸方向から平面視したときに、配線部36bと重なる位置においても配線が設けられており、途中で断線していない。
【0029】
更に、コイル部30c,30dは、同じ形状を有し、互いに重なるように設けられているので、ビアホール導体28e〜28hによりコイル部30cとコイル部30dとが接続されるようになる。これにより、端部38eと端部38fとの間及び端部38gと端部38hとの間は、ビアホール導体28e〜28h及びコイル部30dにより接続されるようになる。したがって、引出し部34cから入力した信号は、配線部36b、コイル部30c、ビアホール導体28h、コイル部30d、ビアホール導体28g、コイル部30c、ビアホール導体28f、コイル部30d、ビアホール導体28e、コイル部30cの順に通過して、引出し部32cへと到達することができる。
【0030】
また、ビアホール導体28e〜28hによりコイル部30cとコイル部30dとが接続されている。故に、コイル部30dは、外部電極22cとビアホール導体28eとの間、及び、ビアホール導体28fとビアホール導体28gとの間において、コイル部30cに対して並列接続されていることになる。したがって、引出し部34cから入力した信号は、配線部36b、コイル部30c、ビアホール導体28h、コイル部30dの順に通過して、引出し部32dへと到達することもできる。ここで、引出し部32c,32dは、図1(b)に示すように、外部電極22cに接続されているので、コイル電極26c,26d及びビアホール導体28e〜28hは、一つのコイルL2を構成している。
【0031】
以上のように構成された電子部品10aでは、図3に示すように、外部電極20aと外部電極20bとの間に、コンデンサC1及びコイルL1が直列接続されている。また、外部電極20cと外部電極20dとの間に、コンデンサC2及びコイルL2が直列接続されている。また、コイル部30a〜30dは、z軸方向に重なった状態で並んでいると共に、同じ方向に旋廻しているので、コイルL1とコイルL2とは、磁気的に結合するようになる。その結果、コイルL1,L2は、トランスTを構成するようになる。
【0032】
また、電子部品10aでは、コイルL1とコイルL2が同じ構造を有していると共に、コンデンサC1とコンデンサC2が同じ構造を有している。そのため、外部電極20bと外部電極20dとの間のインピーダンスと、外部電極20aと外部電極20cとの間のインピーダンスとが等しくなる。よって、電子部品10aは、1対1のインピーダンス比を有している。
【0033】
以上のように構成された電子部品10aでは、図3に示すように、外部電極20dを接地し、外部電極20bを入力端子(アンバランス端子)、外部電極20a,20cを出力端子(バランス端子)とすることにより、バルントランスとして用いることができる。外部電極20bを介してアンバランス信号が入力すると、コイルL1とコイルL2との間の電磁誘導によりバランス信号が生成される。該バランス信号は、外部電極20a,20cから出力する。
【0034】
(効果)
前記電子部品10aによれば、コンデンサC1,C2を有する小型のバルントランスを得ることができる。より詳細には、電子部品10aでは、外部電極20a〜20d,22a,22c及び絶縁体24は、コンデンサC1,C2を構成している。故に、コンデンサC1,C2は、電子部品10aに内蔵されていることになる。その結果、電子部品10aは、電子部品とコンデンサとが別々に設けられた場合に比べて、小型化を図ることができる。
【0035】
また、電子部品10aによれば、トランスTの特性を殆ど変化させることなく、コンデンサC1,C2を内蔵させることができる。例えば、電子部品10aにおいて、コンデンサC1,C2を該電子部品10a内に設けたい場合には、コンデンサC1,C2を積層体14内に設けることが考えられる。この場合、トランスTの特性が以下に説明するように大きく変化してしまう。より詳細には、トランスTにおいて高い変換効率を得るために、積層体14は、磁性体基板16,18により挟まれている。これにより、コイルL1,L2により発生した磁束は、積層体14及び磁性体基板16,18を通過するようになる。磁性体基板16,18は、比較的高い透磁率を有しているので、コイルL1,L2のインダクタンス値も比較的高いものとなる。そのため、トランスTの変換効率も、比較的高いものとなる。
【0036】
しかしながら、積層体14内にコンデンサC1,C2の電極が設けられた場合には、コンデンサC1,C2の電極により、磁性体基板16,18へと向かう磁束が遮られてしまう。その結果、コイルL1,L2により発生した磁束は、磁性体基板16,18を殆ど通過することなく、積層体14内を通過することになる。積層体14の透磁率は、磁性体基板16,18の透磁率に比べて低いので、コイルL1,L2のインダクタンス値も、比較的低くなる。そのため、トランスTの変換効率も、比較的低くなる。よって、積層体14内にコンデンサC1,C2を設けた場合には、トランスTの特性が所望の特性から大きくずれてしまうという問題があった。
【0037】
一方、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2を構成する外部電極20a〜20d,22a,22cは、本体12の側面に設けられている。したがって、外部電極20a〜20d,22a,22cは、積層体14と磁性体基板16,18との間に位置しなくなるので、磁性体基板16,18へと向かう磁束を遮ることがなくなる。そのため、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2が積層体14内に設けられた場合に比べて、コンデンサC1,C2の存在によるトランスTの特性のずれが小さくなる。よって、電子部品10aによれば、トランスTの特性を殆ど変化させることなく、コンデンサC1,C2を内蔵させることができる。
【0038】
また、電子部品10aは、携帯電話等のチューナのバルントランスとして好適に用いることができる。より詳細には、バルントランスの後段に接続されるRF ICに入力するバランス信号は、直流成分が除去された状態でなければならない。故に、特許文献1に記載の積層型バルントランスでは、該積層型バルントランスとRF ICとの間に、バランス信号の直流成分を除去するためのコンデンサを設ける必要があった。
【0039】
一方、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2は、コイルL1,L2と外部電極20a,20cとの間に直列に接続されている。コンデンサC1,C2は、直列接続された場合には、バランス信号の交流成分のみを通過させ、バランス信号の直流成分を通過させない。故に、トランスTを通過したバランス信号は、コンデンサC1,C2を通過する際に、直流成分のみが除去されるようになる。その結果、直流成分が除去されたバランス信号が、RF ICに入力するようになる。すなわち、電子部品10aは、携帯電話等のチューナのバルントランスに用いる場合において、新たにコンデンサを設ける必要がないので、携帯電話等のチューナのバルントランスに適している。
【0040】
なお、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2は、外部電極20aとコイルL1との間、及び、外部電極20cとコイルL2との間のそれぞれに設けられている。これにより、コンデンサC1,C2を構成している外部電極20a,20cは、電子部品10aの出力端子を構成している。このように、出力端子(外部電極20a,20c)側にのみコンデンサC1,C2を設けた場合、接地される外部電極20d側にコンデンサが設けられた場合に比べて、電子部品10aの変換効率が高くなる。ただし、コンデンサC1,C2が設けられる場所は、これに限らない。コンデンサは、外部電極20bとコイルL1との間、及び、外部電極20dとコイルL2との間のそれぞれにも設けられていてもよい。このように、4つのコンデンサを設けることにより、電子部品10aの方向性をなくすことができる。より詳細には、電子部品10aのようにコンデンサC1,C2しか設けられていない場合には、外部電極20a,20cは、必ず出力端子として用いられる必要がある。すなわち、電子部品10aでは、実装時に電子部品10aの方向を意識して実装する必要がある。
【0041】
これに対して、4つのコンデンサを備える電子部品では、コンデンサは、外部電極20aとコイルL1との間、外部電極20bとコイルL1との間、外部電極20cとコイルL2との間、及び、外部電極20dとコイルL2との間のそれぞれに設けられている。そのため、外部電極20a〜20dのいずれも出力端子として用いることができる。その結果、4つの電子部品では、実装時に電子部品の方向性を意識する必要がなくなる。
【0042】
(シミュレーション)
本願発明者は、電子部品10aが奏する前記効果をより明確なものとするために、以下に図面を参照しながら説明するコンピュータシミュレーションを行った。より詳細には、図1及び図2に示す電子部品10aのモデル(以下、第1のモデル)、及び、図1及び図2に示す電子部品10aにおいて外部電極22a,22c及び絶縁体24が設けられていないモデル(以下、第2のモデル)を作製した。そして、第1のモデル及び第2のモデルの挿入損失特性及び同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)特性を調べた。図4は、該シミュレーション結果を示したグラフである。図4(a)は、周波数と挿入損失との関係を示したグラフである。縦軸は、挿入損失を示し、横軸は、周波数を示している。図4(b)は、周波数と同相信号除去比との関係を示したグラフである。縦軸は、同相信号除去比を示し、横軸は、周波数を示している。
【0043】
図4(a)及び図4(b)によれば、第1のサンプルの特性と第2のサンプルの特性とが近しいことが分かる。故に、電子部品10aでは、コンデンサC1,C2が設けられたとしても、トランスTの特性が変化しにくいことがわかる。なお、電子部品10aが携帯電話のチューナ又は地上波デジタルチューナのバルントランスとして用いられる場合には、信号の周波数は、470MHz〜780MHz又は470MHz〜870MHzである。図4(a)及び図4(b)では、これらの周波数において、第1のサンプルの特性と第2のサンプルの特性とは、殆ど同じである。故に、電子部品10aを携帯電話のチューナのバルントランスとして好適に用いることが可能であることが分かる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子部品は、1対4のインピーダンス比を有するバルントランスである。図5(a)は、第2の実施形態に係る電子部品10bの外観斜視図である。図5(b)は、該電子部品10bの分解斜視図である。図6は、電子部品10bの本体112の分解斜視図である。図7は、図5の電子部品10bの等価回路図である。以下、電子部品10bの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10bの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10bの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
【0045】
電子部品10bと電子部品10aとの相違点は、インピーダンス比が異なる点である。そこで、以下では、かかる相違点を中心に電子部品10bについて説明を行う。なお、電子部品10bの構成において、電子部品10aの構成と同じものについては、電子部品10aに用いた参照符号の最初に「1」を付した。
【0046】
電子部品10bは、特許文献1に記載の積層型バルントランスに、コンデンサC11,C13を設けたものである。より詳細には、電子部品10bは、図5(a)及び図5(b)に示すように、本体112及び外部電極120a〜120f,122a,122e及び絶縁体124を備えている。なお、本体112及び外部電極120a〜120f,122a,122e及び絶縁体124については、基本的には、本体12及び外部電極20a〜20d,22a,22c及び絶縁体24と同じであるので、詳細な説明を省略する。外部電極120a,122a及び絶縁体124は、コンデンサC11を構成している。外部電極120e,122e及び絶縁体124は、コンデンサC13を構成している。
【0047】
電子部品10bは、図7に示すように、コイルL11〜L14及びコンデンサC11,C13を備えている。コイルL11は、図6に示すように、コイル電極126a,126b及びビアホール導体128により構成されている。コイルL12は、コイル電極126c,126d及びビアホール導体128により構成されている。コイルL13は、コイル電極126e,126f及びビアホール導体128により構成されている。コイルL14は、コイル電極126g,126h及びビアホール導体128により構成されている。
【0048】
コイルL11は、外部電極120cと外部電極120fとの間に接続されている。コイルL12は、外部電極122aと外部電極120bとの間に接続されている。コイルL13は、外部電極122eと外部電極120fとの間に接続されている。コイルL14は、外部電極120cと外部電極120bとの間に接続されている。
【0049】
また、コイルL11とコイルL12とは磁気的に結合して、トランスT1を構成している。コイルL13とコイルL14とは磁気的に結合してトランスT2を構成している。
【0050】
以上のような構成を有する電子部品10bは、外部電極120c,120fを接地し、外部電極120bを入力端子(アンバランス端子)、外部電極120a,120eを出力端子(バランス端子)とすることにより、図7に示すようなバルントランスとして用いることができる。外部電極120bを介してアンバランス信号が入力すると、コイルL12とコイルL11との間の電磁誘導及びコイルL13とコイルL14との間の電磁誘導によりバランス信号が生成される。該バランス信号は、外部電極120a,120eから出力する。
【0051】
また、電子部品10bでは、コイルL11〜L14が同じ構造を有している。そのため、外部電極120bと外部電極120fとの間のインピーダンスと、外部電極120aと外部電極120eとの間のインピーダンスとが1対4になる。よって、電子部品10bは、1対4のインピーダンス比を有するバルントランスを構成している。
【0052】
電子部品10bによれば、電子部品10aと同様に、素子の小型化を図ることができる。また、電子部品10bは、電子部品10aと同様に、トランスTの特性を大きく変化させることなく、コンデンサC11,C13を内蔵することができる。また、電子部品10bは、電子部品10aと同様に、バルントランスに好適に用いることができる。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態に係る電子部品10a,10bは、バルントランスであるとしたが、バルントランスに限らず、例えば、コモンモードチョークコイルであってもよい。図8(a)は、その他の実施形態に係る電子部品10cの外観斜視図である。図8(b)は、該電子部品10cの分解斜視図である。図9は、電子部品10cの積層体212の分解斜視図である。以下、電子部品10cの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10cの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10cの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。なお、電子部品10cの構成において、電子部品10aの構成と同じものについては、電子部品10aに用いた参照符号の最初に「2」を付した。
【0054】
図8に示すように、電子部品10cでは、外部電極220a,222a及び絶縁体224がコンデンサC21を構成している。また、外部電極220c,222c及び絶縁体224がコンデンサC22を構成している。
【0055】
図9に示すように、コイルL21は、コイル電極226a、引出し電極232a及びビアホール導体228a,228bにより構成され、外部電極222aと外部電極220bとの間に接続されている。コイルL22は、コイル電極226b、引出し電極232b及びビアホール導体228cにより構成され、外部電極222cと外部電極220dとの間に接続されている。更に、コイルL21とコイルL22とが磁気的に結合してトランスT3を構成している。以上のような構成により、電子部品10cは、コモンモードチョークコイルを構成している。なお、コモンモードチョークコイルの回路構成は、図3を用いて説明を行ったバルントランスと同じであるので説明を省略する。
【0056】
このような電子部品10cにおいても、電子部品10a,10bと同様に、素子の小型化を図ることができる。また、電子部品10cは、電子部品10aと同様に、トランスTの特性を大きく変化させることなく、コンデンサC21,C22を内蔵することができる。
【0057】
また、電子部品10a〜10cは、バルントランス及びコモンモードチョークコイル以外に、例えば、図10に示すような回路構成を有する方向性結合器(電子部品10d)や図11に示すような回路構成を有する分配器(電子部品10e)に対して適用することも可能である。
【0058】
更に、電子部品10a〜10eは、複数のコイルが磁気結合したトランスを内蔵しているが、必ずしも、トランスを内蔵している必要はない。電子部品10a〜10eにおいて、磁気結合していないコイルが設けられていてもよい。この場合、電子部品10a〜10eは、コイルとコンデンサとからなるノイズフィルタを内蔵していることになる。
【0059】
また、電子部品10b〜10eにおいても、出力端子側に加えて入力端子側にもコンデンサが設けられていてもよい。
【0060】
また、電子部品10a〜10eでは、1対の外部電極とその間に設けられた絶縁体によりコンデンサが構成されているが、コンデンサの構成はこれに限らない。例えば、1対のコンデンサの間に、更なる外部電極が挿入されていてもよい。
【0061】
なお、電子部品10a〜10eでは、絶縁体の厚みを調整したり外部電極の形状を調整したりして、コンデンサを通過する信号の周波数成分を調整しておくことが好ましい。
【0062】
なお、積層体14,114,214は、絶縁体層が積層されて構成されている。しかしながら、積層体14,114,214の代わりに、絶縁性物質からなる基体が用いられてもよい。
【0063】
(電子部品の製造方法)
以上のように構成された電子部品10a〜10eの製造方法について、以下に図面を参照しながら説明する。以下では、電子部品10a〜10eの製造方法の一例として、電子部品10aの製造方法について説明を行う。また、電子部品10b〜10eは、電子部品10aと同様の製造方法により作製できるので、その説明を省略する。なお、以下では電子部品10aを単品で製造する場合について説明するが、量産の際には複数個の電子部品10aを備えたマザー基板を使用して効率良く生産する。図12ないし図18は、電子部品10aの製造手順を示す外観斜視図である。
【0064】
まず、強磁性体のフェライトからなる磁性体基板18を用意する。次に、図12に示すように、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の樹脂あるいはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス等からなる層絶縁体層14dを磁性体基板18上に薄膜形成手段により形成する。薄膜形成手段としては、例えばフォトリソグラフィや印刷等の方法が採用される。フォトリソグラフィでは、例えばスピン法、ディップ法、スプレー法、転写法等によって感光性樹脂膜を磁性体基板18の表面全面に形成した後、露光、現像して所定の絶縁体層14dを得る。また、その他のフォトリソグラフィでは、前記スピン法等によって絶縁性樹脂膜を磁性体基板18の表面全面に形成した後、感光性レジスト膜を絶縁性樹脂膜の表面に塗布し、露光、現像する。次に、感光性レジスト膜から露出した絶縁性樹脂膜の部分をエッチングして不要な部分の絶縁性樹脂膜を除去した後、感光性レジスト膜を剥離する。あるいは、前記スピン法等により得た絶縁体膜を、レーザビームによって穴明け、切断を行う。こうして磁性体基板18の表面に絶縁体層14dを形成する。
【0065】
次に、図12に示すように、絶縁体層14d上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、Ag,Pd,Cu,Alあるいはこれらの合金等からなるコイル電極26dを形成する。より詳細には、めっき、蒸着、スパッタリング等によって金属膜を絶縁体層14dの表面全面に形成した後、感光性レジスト膜を金属膜の表面に塗布し、露光、現像する。次に、感光性レジスト膜から露出した金属膜の部分をエッチングして不要な部分の金属膜を除去した後、感光性レジスト膜を剥離する。こうして、絶縁体層14d上にコイル電極26dを形成する。
【0066】
次に、図13に示すように、薄膜形成手段にて絶縁体層14cを形成する。この際、ビアホール導体28e〜28hを形成すべき位置に、絶縁体層14cを貫通するビアホール28'e〜28'hを形成する。次に、図14に示すように、絶縁体層14c上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、コイル電極26c及びビアホール導体28e〜28hを形成する。これにより、コイル電極26cとコイル電極26dとがビアホール導体28e〜28hにより接続される。
【0067】
次に、図15に示すように、薄膜形成手段にて絶縁体層14bを形成する。次に、図16に示すように、絶縁体層14b上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、コイル電極26bを形成する。
【0068】
次に、図17に示すように、薄膜形成手段にて絶縁体層14aを形成する。この際、ビアホール導体28a〜28dを形成すべき位置に、絶縁体層14aを貫通するビアホール28'a〜28'dを形成する。次に、図18に示すように、絶縁体層14a上にフォトリソグラフィ等の薄膜形成手段により、コイル電極26a及びビアホール導体28a〜28dを形成する。これにより、コイル電極26aとコイル電極26bとがビアホール導体28a〜28dにより接続される。
【0069】
次に、図2に示すように、磁性体基板16を絶縁体層14a上に載置した後、真空ホットプレス機にセットして真空中にて熱圧着する。これにより、磁性体基板16,18と絶縁体層14a〜14dが一体化された本体12が得られる。
【0070】
次に、外部電極22a,22cが形成されるべき部分に開口を有する箱の中に本体12を入れる。そして、本体12に対して、例えば、蒸着、スパッタリング、無電解めっき等を施して、Ag,Pd,Cu,Alあるいはこれらの合金等からなる外部電極22a,22cを形成する。更に、前記箱から本体12を取り出し、本体12のy軸方向の負方向側の側面に、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の樹脂あるいはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス等からなる絶縁体24を貼り付ける。
【0071】
次に、外部電極20a〜20dが形成されるべき部分に開口を有する箱の中に本体12を入れる。そして、本体12に対して、例えば、蒸着、スパッタリング、無電解めっき等を施して、Ag,Pd,Cu,Alあるいはこれらの合金等からなる外部電極22a,22cを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1(a)は、第1の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図1(b)は、該電子部品の分解斜視図である。
【図2】図1の電子部品の本体の分解斜視図である。
【図3】図1の電子部品の等価回路図である。
【図4】図4(a)は、周波数と挿入損失との関係を示したグラフである。図4(b)は、周波数と同相信号除去比との関係を示したグラフである。
【図5】図5(a)は、第2の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図5(b)は、該電子部品の分解斜視図である。
【図6】図5の電子部品の本体の分解斜視図である。
【図7】図5の電子部品の等価回路図である。
【図8】図8(a)は、その他の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図8(b)は、該電子部品の分解斜視図である。
【図9】図8の電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図10】電子部品の等価回路図である。
【図11】電子部品の等価回路図である。
【図12】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図13】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図14】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図15】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図16】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図17】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【図18】電子部品の製造手順を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
C1,C2,C11,C13,C21,C22,C41,C42 コンデンサ
L1,L2,L11〜L14,L21,L22,L32,L33,L41,L42 コイル
T,T1,T2 トランス
10a〜10e 電子部品
12,112,212 本体
14,114,214 積層体
14a〜14d 絶縁体層
16,18 磁性体基板
20a〜20d,22a,22c,120a〜120f,122a,122e,220a〜220d,222a,222c 外部電極
24,124,224 絶縁体
26a〜26d,126a〜126h,226a,226b コイル電極
28a〜28h,128,228a〜228c ビアホール導体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性物質からなる基体と、
前記基体に内蔵されている内部電極と、
前記内部電極に接続されていると共に、前記基体の表面に設けられている第1の外部電極と、
前記第1の外部電極上に設けられている絶縁体と、
前記第1の外部電極と共に前記絶縁体を挟むことにより容量を形成している第2の外部電極と、
を備えること、
を特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記内部電極は、コイルを構成していること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記内部電極は、複数設けられていると共に、磁気的に結合している複数の前記コイルからなるトランスを構成していること、
を特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記トランスは、バルントランスであること、
を特徴とする請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極は、前記バルントランスの出力端子を構成していること、
を特徴とする請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記基体は、複数の絶縁体層が積層されて構成されている積層体であり、
前記基体を積層方向の上下方向から挟むことにより、該基体と共に本体を構成している2つの磁性体基板を、
更に備え、
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極は、前記本体の表面に設けられていること、
を特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の電子部品。
【請求項1】
絶縁性物質からなる基体と、
前記基体に内蔵されている内部電極と、
前記内部電極に接続されていると共に、前記基体の表面に設けられている第1の外部電極と、
前記第1の外部電極上に設けられている絶縁体と、
前記第1の外部電極と共に前記絶縁体を挟むことにより容量を形成している第2の外部電極と、
を備えること、
を特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記内部電極は、コイルを構成していること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記内部電極は、複数設けられていると共に、磁気的に結合している複数の前記コイルからなるトランスを構成していること、
を特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記トランスは、バルントランスであること、
を特徴とする請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極は、前記バルントランスの出力端子を構成していること、
を特徴とする請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記基体は、複数の絶縁体層が積層されて構成されている積層体であり、
前記基体を積層方向の上下方向から挟むことにより、該基体と共に本体を構成している2つの磁性体基板を、
更に備え、
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極は、前記本体の表面に設けられていること、
を特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の電子部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−40882(P2010−40882A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203688(P2008−203688)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]