電極材料としてのビスマス金属酸化物パイロクロア
オゾンおよび過塩素酸塩の電解発生のためのアノードとしてのパイロクロア構造を有する新規ビスマス系混合金属酸化物材料について開示する。これらの材料は高い導電性および酸性電解質における優れた安定性を有する。これらの材料は二酸化鉛より環境にやさしく、白金より安価である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2009年6月19日出願の米国仮特許出願第61/218,554号「電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のための電極材料としてのビスマス金属酸化物パイロクロア」の優先権を主張し、その全開示を本明細書に参照により組み入れる。
【0002】
本発明は、オゾンおよび過塩素酸塩を発生させるためのアノード電解触媒材料として活性であることが示されているパイロクロア構造を有するBi系混合金属酸化物アノード材料に関する。本発明はさらに、水の電解分解または塩化物の酸化によってオゾンまたは過塩素酸塩を生成するためのオゾンまたは過塩素酸塩発生器に関する。
【背景技術】
【0003】
オゾン水は、医療、食品、飲料および農業(MFBA)産業において抗菌洗浄剤として、酸化剤としておよび殺虫剤として効果的に用いることができる。オゾン利用は近年、電子部品を洗浄するため半導体産業にまで拡大してきている。C.Gottschalk,A.Saupe,and J.A.Libra,“Ozonation of water and waste water:a practical guide to understanding ozone and its application,” Wiley−VCH,New York(2000)。オゾンは主として、放電によりまたは紫外線への露出により空気から生成される。しかしながら、空気は80%の窒素を含有するので、窒素の酸化も起こり、窒素酸化物も生成される。このように生成されたオゾンを水中に溶解してオゾン水を生成する場合、窒素酸化物も溶解し、これにより水は酸性になる。また、気相におけるオゾンの低分圧および水中におけるオゾンの限られた溶解性のため、この方法を用いると水中のオゾンの濃度は低くなるだろう。
【0004】
あるいは、オゾンは水から以下の反応式(1)に示すアノード反応に示されるような、およびW.G.Fischer,“Electrolytical ozone production for super−pure water disinfection,” Pharma International,2,1997に記載されるような電解により発生させることができる。
【0005】
【化1】
【0006】
このように生成されたオゾンは水中に高濃度で存在し、酸性度または溶解性に関する問題は存在しない。このプロセスの不利点は電力消費を増加させる高電圧の反応である。また、以下の反応式(2)に示すように酸素発生がオゾン生成と競合するので、プロセスの効率は低い。水素発生(反応式3)はカソード反応である。
【0007】
【化2】
【0008】
水素発生は以下の反応式(3)に従ってカソードで起こる。
【0009】
【化3】
【0010】
オゾンを生成するためのアノード材料としての二酸化鉛(PbO2)の利用については文献に記載されている。P.C.Foller and C.W.Tobias,“The anodic evolution of Ozone,”J.Electrochem.Soc.,129(3),506(1982)。PbO2に基づく電解オゾン発生器が市販されている。S.Stucki,et al.,“In Situ production of Ozone in water using a Membrel electrolyzer”,J.Electrochem.Soc.,132(2),367(1985)。
【0011】
PbO2を用いる一般的なプロセスにおいて、O3はNafion膜電解質に接触する多孔質PbO2アノードの裏面から水流中に発生する。しかしながら、二酸化鉛アノードはオゾン発生に必要な高い電流密度(>1A/cm2)で完全に安定ではない。PbO2は分解し、鉛酸イオンとしてオゾン水に入り、水を汚染し、水を多くの洗浄およびMFBA用途に直接用いることができなくする。無鉛オゾン水を生成するためには、オゾンガスをまず鉛を含有するオゾン水から回収した後、オゾンが酸素に分解する前に淡水中に再溶解しなければならない。これらの追加工程はプロセスを非実用的にする。よって、無鉛オゾン水を洗浄またはMFBA用途に直接用いられるように生成することが好ましい。
【0012】
白金は、市販のオゾン発生器における利用が検討されている、オゾンの電解発生のための数少ない他の候補アノード材料の1つである。米国特許第4,541,989号を参照されたい。鉛のような有害な重金属に代わるPtのアノードとしての使用は、MFBAおよび半導体産業用途のためのオゾン水の生成を可能にする。しかしながら、Ptは、そのコストの高さおよび長期性能の低さのため、すなわち、オゾン発生効率が二酸化鉛と比較してすぐに低下するため、市販のオゾン発生器には現在用いられていない。長期にわたるオゾン発生の際、Ptアノードは(1)触媒不活性または非導電性表面被膜の形成によるPtアノード表面の劣化および(2)PtアノードとNafion電解質との間の界面の劣化のため、その活性を失う。Ptでさえ、高アノード電流密度で溶解し、電解質に入ることが知られている。
【0013】
100,1000および5000ppmのホウ素/炭素比を有するホウ素ドープダイヤモンド(BDD)も電解オゾン発生のための潜在的なアノード材料である。米国特許第6,235,186号を参照されたい。酸素発生の過電圧は>2.0Vであることが見出されたが、これはPbO2アノードと比較して著しく大きい。ホウ素ドーピングを増加させると酸素発生過電圧は低下する。しかしながら、オゾン発生の電流効率はPbO2電極で得られるものの約3分の1であった。電解の最終段階中、3つのドープ材料すべてについて電圧の急上昇が見られるが、より高いBドープ材料がより長持ちした。不具合は、高温での膜の生成プロセス中にもたらされた応力により引き起こされる基板からの膜の剥離が原因である。N.Katsuki et al.,“Water electrolysis using Boron−doped Diamond thin film electrodes”,J.Electrochem.Soc.,145(7),2358(1998)。
【0014】
前述から、現行のオゾン発生器においてアノードとして用いられるPbO2材料はMFBAおよび半導体洗浄用途に用いることができない。Ptおよびホウ素ドープダイヤモンド(BDD)は潜在的に用いることができるが、それらは長いサイクル寿命を提供しない。オゾンの電解発生における使用に適した代替無鉛電極材料を提供することは当技術分野の進歩となるだろう。
【0015】
前述の議論はオゾンの生成に焦点を当てたが、塩化物または塩素酸塩からの過塩素酸塩の電気化学的合成は一般的にはPbO2、Ptまたは高い酸素過電圧を有する他の電極を用いる。これらはオゾンを発生させるのに用いられるものと同じタイプの電極である。塩素酸塩を電気化学セルにおいて酸化し、過塩素酸塩を生成することができる。1つの一般的な出発物質は、以下の反応に従ってアノードで酸化することができる塩素酸ナトリウムである。
【0016】
【化4】
【0017】
塩素酸ナトリウムは以下の反応に従って塩化ナトリウムから生成することができる。
【0018】
【化5】
【0019】
これらの反応器のエネルギー効率は20〜40%と低い。D.Pletcher and F.C.Walsh(1990),Industrial Electrochemistry,Chapman and Hill,New York。無鉛であり、より高い電流効率およびより長い寿命をもたらすことができる、過塩素酸塩の生成のためのアノード材料を提供することは、当技術分野の進歩となるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のための高電流密度電極として適したビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を提供する。本明細書において開示するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、オゾンおよび過塩素酸塩発生に現在用いられている二酸化鉛電極の安全かつ有効な代替物を提供する。
【発明を解決するための手段】
【0021】
本発明に関連して用いられる高電流密度電極は、一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むが、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である。本発明の範囲内の1つの非限定的な実施形態では、BはRuであり、パイロクロア材料は一般式Bi2Ru2O7−xを有し、0≦x≦1である。別の非限定的な実施形態では、電極はビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、またはPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体で製造することができる。本発明の範囲内の電解セルおよび電解方法は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。カソードは任意でビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むことができる。カソード材料はアノードと同じまたは異なる材料であってもよい。
【0022】
本発明は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを用いてオゾンを発生させる電解方法を含む。電解セルアノードはオゾンを発生させるのに十分な電流密度で作動させる。1つの実施形態では、オゾンは以下の反応に従って発生する。
【0023】
【化6】
【0024】
この反応は高い、一般的には1A/cm2より高い電流密度を必要とする。いくつかの非限定的な実施形態では、電流密度は1.2A/cm2より高い。他の非限定的な実施形態では、電流密度は約1.4A/cm2より高い。また別の非限定的な実施形態では、電解セルアノードは約1.5A/cm2の電流密度で作動させる。当業者であれば、他の反応を用いて特定の条件下でオゾンを生成することができることを理解するだろう。1つのこうした非限定的な反応としては以下を挙げることができる。
【0025】
【化7】
【0026】
本発明はオゾンを発生させるための電解セルを含む。電解セルは、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。電解セルはカソード、アノードおよびカソードに接触する電解水、ならびにアノードおよびカソードと電気的に結合し、オゾンを発生させるのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源をさらに備える。1つの実施形態では、オゾンは以下の反応に従ってアノードで発生する。
【0027】
【化8】
【0028】
電解セルは上述の電流密度で作動させることができる。アノードおよびカソードは上述のように構成することができる。当業者であれば、他の反応を用いて特定の条件下でオゾンを生成することができることを理解するだろう。1つのこうした非限定的な反応としては以下を挙げることができる。
【0029】
【化9】
【0030】
本発明は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを用いて過塩素酸塩を発生させる電解方法を含む。電解セルアノードは、以下の反応に従って塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸塩水溶液を形成するのに十分な電流密度で作動させる。
【0031】
【化10】
【0032】
1つの非限定的な実施形態では、塩素酸および過塩素酸塩は塩素酸および過塩素酸ナトリウム塩である。この反応は高い、一般的には約0.5A/cm2より高い、好適には約1.0A/cm2より高い、より好適には0.5A/cm2〜1.3A/cm2の範囲内の電流密度を必要とする。
【0033】
本発明は、過塩素酸塩を発生させるための電解セルを含む。電解セルは、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。電解セルは、カソード、アノードに接触する塩素酸塩水溶液、ならびにアノードおよびカソードと電気的に結合し、以下の反応に従ってアノードで塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸塩水溶液を形成するのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源をさらに備える。
【0034】
【化11】
【0035】
電解セルは上述の電流密度で作動させることができる。アノードおよびカソードは上述のように構成することができる。
【0036】
前述の議論はオゾンまたは過塩素酸塩の電解生成のためのアノード材料としてのビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料の使用に焦点を当てたが、当業者であれば、開示ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を高電流密度電極が必要な他の電気化学的用途に用いることができることを理解するだろう。
【発明の効果】
【0037】
本発明のこれらの特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるだろう、または以下に示すように本発明の実施により確認することができる。
【0038】
本発明の上に列挙したおよび他の特徴および利点を得る方法が容易に理解されるように、上で簡単に述べた本発明のより詳細な説明を、添付の図面に示されるその具体的な実施形態への参照により提供する。図面は本発明の一般的な実施形態を描写するのみであり、従ってその範囲を限定するものとみなすべきではないことを踏まえ、本発明について添付の図面を用いてさらに具体的かつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、合成ビスマスルテニウム酸化物のX線回析パターンである。
【図2】図2は、オゾン発生を研究するための回転リングディスク電極(RRDE)を示す。
【図3】図3は、焼結ビスマスルテニウム酸化物のX線回析パターンである。
【図4】図4は、焼結ビスマスルテニウム酸化物ディスクの走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図5】図5は、図4のビスマスルテニウム酸化物焼結ディスクのエネルギー分散型X線分光(EDS)パターンである。
【図6】図6は、大きなアノード電流を示す、5Mのリン酸中のBi2Ru2O7ディスクのサイクリックボルタモグラムである。
【図7】図7は、酸素中10mV/sでの5Mのリン酸中のPtリング上でのオゾン回収をもたらすBi2Ru2O7ディスク電解のグラフである。
【図8】図8は、電解後のビスマスルテニウム酸化物ディスクのSEM像である。
【図9】図9は、電解後のビスマスルテニウム酸化物ディスクのEDSである。
【図10】図10は、オゾン発生器実験構成の概略図である。
【図11】図11は、5MのH2SO4中のAuディスクを用いる(コロナ放電オゾン発生器から拡散された)O3の検出を示すグラフである。
【図12】図12は、Bi2Ru2O7被覆Pt電流コレクタを用いるオゾン発生器についての電圧、温度、およびオゾン電流の作動性能パラメータを示すグラフである。
【図13】Bi2Ru2O7被覆Pt電流コレクタを用いるオゾン発生器についての電圧、温度、およびオゾン電流の作動性能パラメータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書を通して「1つの実施形態」、「ある実施形態」または同様の語は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通して「1つの実施形態では」、「ある実施形態では」、および同様の句は、必ずしもそうとは限らないが、すべて同じ実施形態を指し得る。
【0041】
さらに、本発明の記載する特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態においていずれかの適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、適切なビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料の例のような多数の具体的な詳細を提供し、本発明の実施形態の完全な理解を提供する。関連技術分野の当業者であれば、しかしながら、本発明を1つ以上の具体的な詳細なしに、または他の方法、要素、材料、等を用いて実施することができることを認識するだろう。他の例では、周知の構造、材料、または作業は、本発明の態様を分かりにくくすることを避けるため、詳細には図示または記載しない。
【0042】
ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、本明細書において電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のための高電流密度電極として開示する。本明細書において開示するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、医療、食品、飲料および農業(MFBA)産業において抗菌洗浄剤として、酸化剤としておよび殺虫剤として用いられるオゾン水を生成するのに適した安全かつ有効な無鉛電極材料を提供する。こうしたオゾン水は電子部品を洗浄するために半導体産業において用いることもできる。本明細書において開示するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、過塩素酸塩の電気化学的生成のためのアノードに用いることもできる。
【0043】
本発明に関連して用いられる高電流密度電極は、一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含み、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である。電極は、ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、またはPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体で製造することができる。本発明の範囲内の電解セルおよび電解方法は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。カソードは任意でビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むことができる。カソード材料はアノードと同じまたは異なる材料であってもよい。
【0044】
ビスマスルテニウム酸化物(Bi2Ru2O7)は、オゾンおよび過塩素酸塩発生のためのアノードとして二酸化鉛および白金の代替物として用いることができる既知の導電性材料である。Bi2Ru2O7はパイロクロア構造を有する。これは酸化条件下で酸性および塩基性溶液において安定性を示すことが知られている。J.M.Zen,R.Monoharan and J.B.Goodenough,J.Appl.Electrochem.,22 140(1992)。この材料について高度な酸素および塩素発生能力、酸素還元のための高い初期電極触媒活性ならびに多数の有機化合物の電気化学的酸化が報告されている。H.S.Horowitz,J.M.Longo and H.H.Horowitz,J.Electrochem.Soc.,130,1851(1983);J.Praksah,A.K.Shukla and E.Yeager,J.Power Sources,29,413(1990);N.M.Markovic and P.N.Ross,Jr.J.Electrochem.Soc.,141 2590(1994)。
【0045】
Jacobsonら(米国特許第5,105,053号)は、炭化水素、もっとも好適にはメタンの高級炭化水素およびオレフィンへの変換のための効率的な触媒としてのパイロクロア構造を有するビスマスルテニウム酸化物触媒について開示した。
【0046】
米国特許第4,163,706号は、電極触媒作用のような電気化学的プロセスにおける用途のためのルテニウム、イリジウムおよびそれらの混合物を含有する高表面積のビスマスを豊富に含むパイロクロア型化合物の合成および特性について開示する。米国特許第4,129,525号は、触媒または電極触媒環境において有用であるルテニウムおよびイリジウムを含む鉛富化およびビスマスパイロクロア化合物について開示する。同様の開示は、米国特許第4,203,871号;第4,225,469号;第4,434,031号;および第4,440,670号に含まれる。
【0047】
米国特許第4,146,458号は、パイロクロア型材料を含有する酸素電極を有する電気化学的デバイスについて開示する。好適なパイロクロア材料は高い鉛含量および式Pb2[M2−xPbx]O7−yを有し、式中、MはRuまたはIrであり、0≦x≦1.2および0≦y≦1.0である。ビスマスルテニウム酸化物は広範な開示の範囲内である。
【0048】
出願人らは、この材料の電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のためのアノードとしての使用または性能について報告された研究を知らない。
【実施例】
【0049】
ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料についてより良く説明するため、適切な製造方法および電解用途のいくつかの代表的な実施形態について図1〜13を参照しながら説明する。記載するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を用いて他の過塩素酸塩を生成することができるが、簡潔さのため、以下の実施例は電極材料を用いてオゾンを生成する方法について議論する。
【0050】
以下の非限定的な実施例は、本発明の範囲内の各種実施形態を示すために提供する。この実施例は例示の目的でのみ提供し、以下の実施例は本発明に従って生成することができる本発明の多くのタイプの実施形態の包括体または完全体ではないことが理解されている。
【0051】
(実施例1)
Bi2Ru2O7の合成。化学量論的量のBi2O3およびRuO2・xH2O(RuO2およびH2Oの濃度は熱重量分析(TGA)によりそれぞれ76%および24%であると測定された)を、水を添加し、乳鉢および乳棒で混合することにより、スラリーに生成した。15分間の混合後、均質なスラリーが形成された。次にスラリーを乾燥オーブンにおいて乾燥させ、再度乳棒で混合した後、650℃で24時間、その後750℃で24時間加熱した。X線回析(XRD)を各段階で行い、生成物の相純度を測定した。XRD結果を図1に示す。750℃工程後のXRDデータは、Bi2Ru2O7.3での粉末回析標準に関する合同委員会(JCPDS)参照パターンと2つのピーク以外はよく一致した。これらのピークの原因を出発物質Bi2O3およびRuO2のいずれかに帰することはできない。750℃でのさらに24時間の追加の加熱は2つのピークの強度を変化させなかった。よって、これらのピークは出発物質の何らかの多形体またはビスマスおよびルテニウムの異なる(非パイロクロア)相のいずれかのためであり得ると結論づけられた。しかしながら、この第2相は比較的小さな割合(<10%)を表し、重要ではない。
【0052】
(実施例2)
オゾン分析のための回転リングディスク電極。回転リングディスク電極(RRDE)法を用い、ルテニウム酸ビスマスが電解オゾン発生器においてアノードとして確かに機能することができることを示した。一般的なRRDEデバイスの側断面図および底面図を図2に示す。オゾンのその場発生/検出のためのRRDEの用途の背景にある理論は、簡単に言うと以下のとおりである。RRDE100は、同心リング電極104により囲まれた中央ディスク電極102およびそれらを分離する薄いTeflon U−cup絶縁体106で構成される。各電極での電位または電流は、バイポテンショスタット(図示せず)を用いて独立して制御することができる。バイポテンショスタットは、電解質に浸漬した2つの作用電極で、1つの参照電極および1つの対極のみを用い、電圧を制御し、電流を測定する。図2に示すRRDEを用い、RRDEのディスクで生成されるO3を検出および測定することができる。中央ディスク電極102をアノード分極する場合、中央ディスク電極102で生成されたオゾンはオゾンが還元される電位(E°=2.07V vs.NHE)で保持されるリング電極104で定量的に検出することができる。あるいは、リング電極はオゾンを還元することができる電位領域に入れることができる。よって、ディスク電極102で発生するオゾンの量に応じて、各材料についてリング電極104での限界オゾン還元電流を測定することができる。従って、この方法は各種アノード材料のそれらのオゾン発生能力についての比較を可能にする。
【0053】
RRDEにおいて起こる関連電極反応を以下に示す。
【0054】
中央ディスク電極反応:
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
リング電極反応:
【化14】
【0057】
(実施例3)
Bi2Ru2O7RRDEディスクの製造。実施例1からの合成Bi2Ru2O7生成物をポリビニルアルコール結合剤の水性懸濁液と混合し、粒子に結合剤で塗布した。Bi2Ru2O7材料および結合剤をペレット状に圧縮し、空気中、1100℃で24時間焼成した。焼結材料のXRDパターンを図3に示す。XRDパターンは、焼結材料の結晶構造が出発物質とはかなり異なることを示す。この材料相の同定は現在知られていない。ペレットの最終直径は〜0.6mmだった。ペレットは、RRDE構成で用いるRRDEディスクのサイズおよび形状までさらに粉砕した。ディスクの表面は研磨もし、表面をさらに滑らかにした。導電性銀塗料をディスクの裏面上に塗布し、700℃で硬化した。これはRRDEの金属スプリングと混合金属酸化物ディスクとの間の良好な電気接触を確保するために行った。走査電子顕微鏡写真(SEM)およびエネルギー分散型X線分光(EDS)分析をディスクについて行った。図4に記録するSEMデータは、ディスクの表面が焼結プロセス中に形成された著しい多孔性を有することを示す。図5に記録するEDSデータは、予想されたBi、RuおよびO以外の追加の元素を示さない。
【0058】
(実施例4)
サイクリックボルタンメトリー。実施例3で製造したディスクのサイクリックボルタンメトリー(CV)を酸素雰囲気下5MのH3PO4中で行った。図6に記録するCVデータは、酸素発生が>1.5Vのアノード分極電位で開始し、PtおよびPbディスクの場合のようにより高い電位で大電流が得られることを示す。材料は、カソード分極した場合、水素発生に関してもかなり活性だった。4Vでの定電位電解は、Bi2Ru2O7が1.5A/cm2の電流密度を減衰なしに1時間まで維持したことを示した。電解質をろ過することにより取り出した残渣についてのEDS分析はBiまたはRuピークを示さなかった。化学分析のためより可溶性な種を発生させるには長期電解実験が必要である。
【0059】
(実施例5)
定電位。定電位電解実験を実施例3で製造したBi2Ru2O7ディスク電極で行った。ディスク電極を4Vで保ち(電位はディスク電流が〜1.5A/cm2となるようにあらかじめ定めた)、オゾンを生成し、その後リングで回収した。リング電位を0.5〜1.2Vのオゾン還元の電位窓に入れた。ディスク電解中のリングのCVを図7に示す。ディスクを電解した際にオゾン還元のための大きなリング電流が存在し、オゾンがディスクで発生していたことを示す。電解前後のリングのCVはオゾン還元によるこうしたカソード電流は示さなかった。電解後リング上にカソード電流は見られなかったので、電解中に発生したオゾンはBi2Ru2O7ディスクの分解により形成されたいずれかの可溶性種ではなく電流によるものであると考えられる。
【0060】
いくらかの量のディスクの物理的分解は長期にわたるガス発生の際に確認され、セルの底の少量の固形物により認識できた。電解後のディスクの走査電子顕微鏡写真(SEM)像は、図8に示すようにごく一部の電極が表面から失われたことを示した。EDS分析は、図9に示すように、表面上のAgの存在を示した。この予想外の結果は、焼結ディスクの多孔質性のためであり得る。電解質がディスクに浸透し、裏面に塗布された銀に到達したこともあり得る。これらの結果に基づき、Bi2Ru2O7ディスクはオゾン発生に適していると考えられる。RRDE実験は、ビスマスルテニウム酸化物(Bi2Ru2O7)をオゾンの電解発生のためのアノード材料として成功裏に用いることができることを確認した。
【0061】
オゾン発生器の構成
水の電解によるオゾンの発生については十分に立証されており、いくつかの実験構成の変形が知られている。本明細書において報告する試験に用いた実験構成200の概略図を図10に示す。構成は、水道水を市販の軟水装置に通すことにより生成した軟水を用いた。軟水源202は継続的に軟水204を電解セル206に供給した。水204の流速は所望に応じて変更した。30A(1.5A/cm2)の電流をセル206に印加した。酸素/オゾンを含む水208がアノード区画から出、これを気液分離器210において分離した。気液分離器から回収された給水を排出した212。次にガス状混合物214を、5Mのリン酸を含有する回転リングディスク電極(RRDE)セル216中に拡散し、オゾン水中のオゾン濃度について分析した。発生したガス状混合物の流速、セルの温度および電圧を測定した。図10に示すすべての要素はTeflonまたはチタンでできている。
【0062】
水の電解が行われるセル206を、カチオン交換膜Nafion117(商標)でアノード区画およびカソード区画に分け、2つの区画を分離する。アノードおよびカソードをイオン交換膜の両面に密接に押圧し、ゼロギャップセルを形成した。ビスマスルテニウム酸化物被覆Tiメッシュをアノードとして、1つの表面上にPtを蒸着させたNafion117を電解質として、および裸のTiメッシュをカソードとして用いた(裸のTiメッシュはNafion膜のPt蒸着表面に接触していた)。
【0063】
RRDE法を用い、発生したオゾンの濃度を測定した。オゾンの検出のためのRRDEの用途の背景ある理論は簡単に言うと以下のとおりである。RRDEは金ディスク電極で構成する。電極を超高速で回転させる。この回転運動は回転ディスク電極の表面への溶液の明確な流れを作る。流れパターンは文字通り(溶解オゾンを含有する)溶液を電極に向かって巻き込む渦のようである。ディスクの電位はポテンショスタットにより制御し、酸素および水素発生の間をゆっくり往復させる。ディスクをカソード分極する場合、溶液中に存在するオゾンはオゾンが還元される電位で保持したディスク電極で定量的に検出することができる。あるいは、ディスクを、オゾンを還元することができる電位領域に入れる。よって、電解質中に存在するオゾンの量に応じて、限界オゾン還元電流を測定することができる。従って、この方法は異なるオゾン発生器のそれらのオゾン発生能力についての比較を可能にする。
【0064】
(実施例6)
RRDE法の有効性。RRDE分析法の有効性を示すため、我々は外部のオゾン発生デバイス(コロナ放電オゾン発生器)を用いて溶液をオゾンで飽和し、オゾン化後のAuディスクのサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。図11は、オゾンが1.0V vs.SCEよりカソード的な電位について金RRDEで還元されることを示す。図11は、リングでの酸素還元が室温で約0.6V vs.SCEで開始することを示す。オゾンの存在は1.3Vよりカソード的な電位で還元電流をもたらし、0.2V〜1.0Vの限界電流領域を測定することができる。オゾンおよび酸素の同時還元は、0.2Vよりカソード的な電位で起こる。図11からの主な結論は、オゾンは0.2V〜1.0Vの電位で明らかに検出することができ、オゾン還元限界電流はこれらの範囲内で観測することができるということである。これらの結果は他のRRDE研究と一致する。限界オゾン還元電流は溶液中に存在するオゾンの量の直接的な指標である。
【0065】
(実施例7)
オゾン発生器のためのアノードの製造。これはまず実施例1に従って生成された合成Bi2Ru2O7材料でインクを製造することにより行った。等量(重量)のBi2Ru2O7材料および5重量%のNafion溶液(Aldrich)を完全に混合し、インクを形成した。インクをPtアノード電流コレクタにブラシを用いて塗布した。塗膜をオーブンにおいて1時間130℃で乾燥させ、すべての有機物をNafion溶液から除去した。複数の塗膜をこの方法で塗布し、Pt基板上にBi2Ru2O7材料の均一な塗膜を生成した。被覆アノードを蒸留水に一晩浸すことにより再水和した。
【0066】
(実施例8)
ビスマスルテニウム酸化物アノードを有するオゾン発生器の作動。実施例7に従って製造したBi2Ru2O7被覆Ptアノード電流コレクタを、PtまたはPbO2の代わりに、オゾン発生器においてアノードとして用いた。Bi2Ru2O7セルの性能を図12に示す。初期オゾン電流は(同様に構築および作動したPbO2セルで記録した80μAと比較して)70μAである。しかしながら、オゾン電流は約2時間で約30μAまで減少した。このオゾン電流の急降下の原因は(1)Bi2Ru2O7材料の損失、(2)Nafion膜の目詰まりまたは(3)被膜と電流コレクタとの間の接触の損失のためであり得る。
【0067】
白金アノード電流コレクタを、上記実験においてビスマスルテニウム酸化物被膜の基板として用いた。ビスマスルテニウム酸化物材料ではなく白金アノード電流コレクタによりオゾンが発生する可能性がある。そうではないことを証明するため、Bi2Ru2O7材料をアノードとしてPtアノード電流コレクタの上のTiメッシュ上に塗布した。まず、セルをPtアノード電流コレクタの上の裸のチタンメッシュで作成した。セルはこの構成では作動させることができなかった(30A電流を維持することができなかった)。次にセルを裸のTiメッシュの代わりにBi2Ru2O7材料被覆Tiメッシュで作成した。今回セルは作動させることができ、得られたデータを図13に示す。13μAの初期オゾン電流は約1時間の作動で23μAに達し、約4.5時間の作動で徐々に17μAまで減少することが記録された。この実験でオゾンが発生したという事実は、それにPtアノード電流コレクタではなくBi2Ru2O7材料が関与していることを示す。セル電圧および温度はそれぞれ13.5Vおよび33℃で安定した。これらの値はBi2Ru2O7材料被覆Ptアノード電流コレクタをアノードとして用いた実験について記録したものより高い。これはTiメッシュを用いた場合に界面抵抗が増加したためであり得る。
【0068】
前述の実験は、オゾン発生器においてBi2Ru2O7パイロクロアアノードによりオゾンを発生させることができることを示す。実施例は電解オゾン発生に適した1つの電極材料としてBi2Ru2O7に焦点を当てたが、本発明はBi2Ru2O7に限定されない。Ir、Sn、Rh、PtおよびTiを含む他のBi系パイロクロアも潜在的に用いることができ、開示発明の範囲内である。これらのビスマスパイロクロア材料は電解オゾンまたは過塩素酸塩発生のための魅力的な電極材料である。
【0069】
本発明の具体的の実施形態および実施例を示し、説明してきたが、本発明の精神から著しく逸脱することなく多くの変更が考えられ、保護範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2009年6月19日出願の米国仮特許出願第61/218,554号「電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のための電極材料としてのビスマス金属酸化物パイロクロア」の優先権を主張し、その全開示を本明細書に参照により組み入れる。
【0002】
本発明は、オゾンおよび過塩素酸塩を発生させるためのアノード電解触媒材料として活性であることが示されているパイロクロア構造を有するBi系混合金属酸化物アノード材料に関する。本発明はさらに、水の電解分解または塩化物の酸化によってオゾンまたは過塩素酸塩を生成するためのオゾンまたは過塩素酸塩発生器に関する。
【背景技術】
【0003】
オゾン水は、医療、食品、飲料および農業(MFBA)産業において抗菌洗浄剤として、酸化剤としておよび殺虫剤として効果的に用いることができる。オゾン利用は近年、電子部品を洗浄するため半導体産業にまで拡大してきている。C.Gottschalk,A.Saupe,and J.A.Libra,“Ozonation of water and waste water:a practical guide to understanding ozone and its application,” Wiley−VCH,New York(2000)。オゾンは主として、放電によりまたは紫外線への露出により空気から生成される。しかしながら、空気は80%の窒素を含有するので、窒素の酸化も起こり、窒素酸化物も生成される。このように生成されたオゾンを水中に溶解してオゾン水を生成する場合、窒素酸化物も溶解し、これにより水は酸性になる。また、気相におけるオゾンの低分圧および水中におけるオゾンの限られた溶解性のため、この方法を用いると水中のオゾンの濃度は低くなるだろう。
【0004】
あるいは、オゾンは水から以下の反応式(1)に示すアノード反応に示されるような、およびW.G.Fischer,“Electrolytical ozone production for super−pure water disinfection,” Pharma International,2,1997に記載されるような電解により発生させることができる。
【0005】
【化1】
【0006】
このように生成されたオゾンは水中に高濃度で存在し、酸性度または溶解性に関する問題は存在しない。このプロセスの不利点は電力消費を増加させる高電圧の反応である。また、以下の反応式(2)に示すように酸素発生がオゾン生成と競合するので、プロセスの効率は低い。水素発生(反応式3)はカソード反応である。
【0007】
【化2】
【0008】
水素発生は以下の反応式(3)に従ってカソードで起こる。
【0009】
【化3】
【0010】
オゾンを生成するためのアノード材料としての二酸化鉛(PbO2)の利用については文献に記載されている。P.C.Foller and C.W.Tobias,“The anodic evolution of Ozone,”J.Electrochem.Soc.,129(3),506(1982)。PbO2に基づく電解オゾン発生器が市販されている。S.Stucki,et al.,“In Situ production of Ozone in water using a Membrel electrolyzer”,J.Electrochem.Soc.,132(2),367(1985)。
【0011】
PbO2を用いる一般的なプロセスにおいて、O3はNafion膜電解質に接触する多孔質PbO2アノードの裏面から水流中に発生する。しかしながら、二酸化鉛アノードはオゾン発生に必要な高い電流密度(>1A/cm2)で完全に安定ではない。PbO2は分解し、鉛酸イオンとしてオゾン水に入り、水を汚染し、水を多くの洗浄およびMFBA用途に直接用いることができなくする。無鉛オゾン水を生成するためには、オゾンガスをまず鉛を含有するオゾン水から回収した後、オゾンが酸素に分解する前に淡水中に再溶解しなければならない。これらの追加工程はプロセスを非実用的にする。よって、無鉛オゾン水を洗浄またはMFBA用途に直接用いられるように生成することが好ましい。
【0012】
白金は、市販のオゾン発生器における利用が検討されている、オゾンの電解発生のための数少ない他の候補アノード材料の1つである。米国特許第4,541,989号を参照されたい。鉛のような有害な重金属に代わるPtのアノードとしての使用は、MFBAおよび半導体産業用途のためのオゾン水の生成を可能にする。しかしながら、Ptは、そのコストの高さおよび長期性能の低さのため、すなわち、オゾン発生効率が二酸化鉛と比較してすぐに低下するため、市販のオゾン発生器には現在用いられていない。長期にわたるオゾン発生の際、Ptアノードは(1)触媒不活性または非導電性表面被膜の形成によるPtアノード表面の劣化および(2)PtアノードとNafion電解質との間の界面の劣化のため、その活性を失う。Ptでさえ、高アノード電流密度で溶解し、電解質に入ることが知られている。
【0013】
100,1000および5000ppmのホウ素/炭素比を有するホウ素ドープダイヤモンド(BDD)も電解オゾン発生のための潜在的なアノード材料である。米国特許第6,235,186号を参照されたい。酸素発生の過電圧は>2.0Vであることが見出されたが、これはPbO2アノードと比較して著しく大きい。ホウ素ドーピングを増加させると酸素発生過電圧は低下する。しかしながら、オゾン発生の電流効率はPbO2電極で得られるものの約3分の1であった。電解の最終段階中、3つのドープ材料すべてについて電圧の急上昇が見られるが、より高いBドープ材料がより長持ちした。不具合は、高温での膜の生成プロセス中にもたらされた応力により引き起こされる基板からの膜の剥離が原因である。N.Katsuki et al.,“Water electrolysis using Boron−doped Diamond thin film electrodes”,J.Electrochem.Soc.,145(7),2358(1998)。
【0014】
前述から、現行のオゾン発生器においてアノードとして用いられるPbO2材料はMFBAおよび半導体洗浄用途に用いることができない。Ptおよびホウ素ドープダイヤモンド(BDD)は潜在的に用いることができるが、それらは長いサイクル寿命を提供しない。オゾンの電解発生における使用に適した代替無鉛電極材料を提供することは当技術分野の進歩となるだろう。
【0015】
前述の議論はオゾンの生成に焦点を当てたが、塩化物または塩素酸塩からの過塩素酸塩の電気化学的合成は一般的にはPbO2、Ptまたは高い酸素過電圧を有する他の電極を用いる。これらはオゾンを発生させるのに用いられるものと同じタイプの電極である。塩素酸塩を電気化学セルにおいて酸化し、過塩素酸塩を生成することができる。1つの一般的な出発物質は、以下の反応に従ってアノードで酸化することができる塩素酸ナトリウムである。
【0016】
【化4】
【0017】
塩素酸ナトリウムは以下の反応に従って塩化ナトリウムから生成することができる。
【0018】
【化5】
【0019】
これらの反応器のエネルギー効率は20〜40%と低い。D.Pletcher and F.C.Walsh(1990),Industrial Electrochemistry,Chapman and Hill,New York。無鉛であり、より高い電流効率およびより長い寿命をもたらすことができる、過塩素酸塩の生成のためのアノード材料を提供することは、当技術分野の進歩となるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のための高電流密度電極として適したビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を提供する。本明細書において開示するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、オゾンおよび過塩素酸塩発生に現在用いられている二酸化鉛電極の安全かつ有効な代替物を提供する。
【発明を解決するための手段】
【0021】
本発明に関連して用いられる高電流密度電極は、一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むが、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である。本発明の範囲内の1つの非限定的な実施形態では、BはRuであり、パイロクロア材料は一般式Bi2Ru2O7−xを有し、0≦x≦1である。別の非限定的な実施形態では、電極はビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、またはPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体で製造することができる。本発明の範囲内の電解セルおよび電解方法は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。カソードは任意でビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むことができる。カソード材料はアノードと同じまたは異なる材料であってもよい。
【0022】
本発明は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを用いてオゾンを発生させる電解方法を含む。電解セルアノードはオゾンを発生させるのに十分な電流密度で作動させる。1つの実施形態では、オゾンは以下の反応に従って発生する。
【0023】
【化6】
【0024】
この反応は高い、一般的には1A/cm2より高い電流密度を必要とする。いくつかの非限定的な実施形態では、電流密度は1.2A/cm2より高い。他の非限定的な実施形態では、電流密度は約1.4A/cm2より高い。また別の非限定的な実施形態では、電解セルアノードは約1.5A/cm2の電流密度で作動させる。当業者であれば、他の反応を用いて特定の条件下でオゾンを生成することができることを理解するだろう。1つのこうした非限定的な反応としては以下を挙げることができる。
【0025】
【化7】
【0026】
本発明はオゾンを発生させるための電解セルを含む。電解セルは、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。電解セルはカソード、アノードおよびカソードに接触する電解水、ならびにアノードおよびカソードと電気的に結合し、オゾンを発生させるのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源をさらに備える。1つの実施形態では、オゾンは以下の反応に従ってアノードで発生する。
【0027】
【化8】
【0028】
電解セルは上述の電流密度で作動させることができる。アノードおよびカソードは上述のように構成することができる。当業者であれば、他の反応を用いて特定の条件下でオゾンを生成することができることを理解するだろう。1つのこうした非限定的な反応としては以下を挙げることができる。
【0029】
【化9】
【0030】
本発明は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを用いて過塩素酸塩を発生させる電解方法を含む。電解セルアノードは、以下の反応に従って塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸塩水溶液を形成するのに十分な電流密度で作動させる。
【0031】
【化10】
【0032】
1つの非限定的な実施形態では、塩素酸および過塩素酸塩は塩素酸および過塩素酸ナトリウム塩である。この反応は高い、一般的には約0.5A/cm2より高い、好適には約1.0A/cm2より高い、より好適には0.5A/cm2〜1.3A/cm2の範囲内の電流密度を必要とする。
【0033】
本発明は、過塩素酸塩を発生させるための電解セルを含む。電解セルは、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。電解セルは、カソード、アノードに接触する塩素酸塩水溶液、ならびにアノードおよびカソードと電気的に結合し、以下の反応に従ってアノードで塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸塩水溶液を形成するのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源をさらに備える。
【0034】
【化11】
【0035】
電解セルは上述の電流密度で作動させることができる。アノードおよびカソードは上述のように構成することができる。
【0036】
前述の議論はオゾンまたは過塩素酸塩の電解生成のためのアノード材料としてのビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料の使用に焦点を当てたが、当業者であれば、開示ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を高電流密度電極が必要な他の電気化学的用途に用いることができることを理解するだろう。
【発明の効果】
【0037】
本発明のこれらの特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるだろう、または以下に示すように本発明の実施により確認することができる。
【0038】
本発明の上に列挙したおよび他の特徴および利点を得る方法が容易に理解されるように、上で簡単に述べた本発明のより詳細な説明を、添付の図面に示されるその具体的な実施形態への参照により提供する。図面は本発明の一般的な実施形態を描写するのみであり、従ってその範囲を限定するものとみなすべきではないことを踏まえ、本発明について添付の図面を用いてさらに具体的かつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、合成ビスマスルテニウム酸化物のX線回析パターンである。
【図2】図2は、オゾン発生を研究するための回転リングディスク電極(RRDE)を示す。
【図3】図3は、焼結ビスマスルテニウム酸化物のX線回析パターンである。
【図4】図4は、焼結ビスマスルテニウム酸化物ディスクの走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図5】図5は、図4のビスマスルテニウム酸化物焼結ディスクのエネルギー分散型X線分光(EDS)パターンである。
【図6】図6は、大きなアノード電流を示す、5Mのリン酸中のBi2Ru2O7ディスクのサイクリックボルタモグラムである。
【図7】図7は、酸素中10mV/sでの5Mのリン酸中のPtリング上でのオゾン回収をもたらすBi2Ru2O7ディスク電解のグラフである。
【図8】図8は、電解後のビスマスルテニウム酸化物ディスクのSEM像である。
【図9】図9は、電解後のビスマスルテニウム酸化物ディスクのEDSである。
【図10】図10は、オゾン発生器実験構成の概略図である。
【図11】図11は、5MのH2SO4中のAuディスクを用いる(コロナ放電オゾン発生器から拡散された)O3の検出を示すグラフである。
【図12】図12は、Bi2Ru2O7被覆Pt電流コレクタを用いるオゾン発生器についての電圧、温度、およびオゾン電流の作動性能パラメータを示すグラフである。
【図13】Bi2Ru2O7被覆Pt電流コレクタを用いるオゾン発生器についての電圧、温度、およびオゾン電流の作動性能パラメータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書を通して「1つの実施形態」、「ある実施形態」または同様の語は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通して「1つの実施形態では」、「ある実施形態では」、および同様の句は、必ずしもそうとは限らないが、すべて同じ実施形態を指し得る。
【0041】
さらに、本発明の記載する特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態においていずれかの適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、適切なビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料の例のような多数の具体的な詳細を提供し、本発明の実施形態の完全な理解を提供する。関連技術分野の当業者であれば、しかしながら、本発明を1つ以上の具体的な詳細なしに、または他の方法、要素、材料、等を用いて実施することができることを認識するだろう。他の例では、周知の構造、材料、または作業は、本発明の態様を分かりにくくすることを避けるため、詳細には図示または記載しない。
【0042】
ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、本明細書において電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のための高電流密度電極として開示する。本明細書において開示するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、医療、食品、飲料および農業(MFBA)産業において抗菌洗浄剤として、酸化剤としておよび殺虫剤として用いられるオゾン水を生成するのに適した安全かつ有効な無鉛電極材料を提供する。こうしたオゾン水は電子部品を洗浄するために半導体産業において用いることもできる。本明細書において開示するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料は、過塩素酸塩の電気化学的生成のためのアノードに用いることもできる。
【0043】
本発明に関連して用いられる高電流密度電極は、一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含み、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である。電極は、ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、またはPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体で製造することができる。本発明の範囲内の電解セルおよび電解方法は、上述のようなビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する。カソードは任意でビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むことができる。カソード材料はアノードと同じまたは異なる材料であってもよい。
【0044】
ビスマスルテニウム酸化物(Bi2Ru2O7)は、オゾンおよび過塩素酸塩発生のためのアノードとして二酸化鉛および白金の代替物として用いることができる既知の導電性材料である。Bi2Ru2O7はパイロクロア構造を有する。これは酸化条件下で酸性および塩基性溶液において安定性を示すことが知られている。J.M.Zen,R.Monoharan and J.B.Goodenough,J.Appl.Electrochem.,22 140(1992)。この材料について高度な酸素および塩素発生能力、酸素還元のための高い初期電極触媒活性ならびに多数の有機化合物の電気化学的酸化が報告されている。H.S.Horowitz,J.M.Longo and H.H.Horowitz,J.Electrochem.Soc.,130,1851(1983);J.Praksah,A.K.Shukla and E.Yeager,J.Power Sources,29,413(1990);N.M.Markovic and P.N.Ross,Jr.J.Electrochem.Soc.,141 2590(1994)。
【0045】
Jacobsonら(米国特許第5,105,053号)は、炭化水素、もっとも好適にはメタンの高級炭化水素およびオレフィンへの変換のための効率的な触媒としてのパイロクロア構造を有するビスマスルテニウム酸化物触媒について開示した。
【0046】
米国特許第4,163,706号は、電極触媒作用のような電気化学的プロセスにおける用途のためのルテニウム、イリジウムおよびそれらの混合物を含有する高表面積のビスマスを豊富に含むパイロクロア型化合物の合成および特性について開示する。米国特許第4,129,525号は、触媒または電極触媒環境において有用であるルテニウムおよびイリジウムを含む鉛富化およびビスマスパイロクロア化合物について開示する。同様の開示は、米国特許第4,203,871号;第4,225,469号;第4,434,031号;および第4,440,670号に含まれる。
【0047】
米国特許第4,146,458号は、パイロクロア型材料を含有する酸素電極を有する電気化学的デバイスについて開示する。好適なパイロクロア材料は高い鉛含量および式Pb2[M2−xPbx]O7−yを有し、式中、MはRuまたはIrであり、0≦x≦1.2および0≦y≦1.0である。ビスマスルテニウム酸化物は広範な開示の範囲内である。
【0048】
出願人らは、この材料の電解オゾンおよび過塩素酸塩発生のためのアノードとしての使用または性能について報告された研究を知らない。
【実施例】
【0049】
ビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料についてより良く説明するため、適切な製造方法および電解用途のいくつかの代表的な実施形態について図1〜13を参照しながら説明する。記載するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を用いて他の過塩素酸塩を生成することができるが、簡潔さのため、以下の実施例は電極材料を用いてオゾンを生成する方法について議論する。
【0050】
以下の非限定的な実施例は、本発明の範囲内の各種実施形態を示すために提供する。この実施例は例示の目的でのみ提供し、以下の実施例は本発明に従って生成することができる本発明の多くのタイプの実施形態の包括体または完全体ではないことが理解されている。
【0051】
(実施例1)
Bi2Ru2O7の合成。化学量論的量のBi2O3およびRuO2・xH2O(RuO2およびH2Oの濃度は熱重量分析(TGA)によりそれぞれ76%および24%であると測定された)を、水を添加し、乳鉢および乳棒で混合することにより、スラリーに生成した。15分間の混合後、均質なスラリーが形成された。次にスラリーを乾燥オーブンにおいて乾燥させ、再度乳棒で混合した後、650℃で24時間、その後750℃で24時間加熱した。X線回析(XRD)を各段階で行い、生成物の相純度を測定した。XRD結果を図1に示す。750℃工程後のXRDデータは、Bi2Ru2O7.3での粉末回析標準に関する合同委員会(JCPDS)参照パターンと2つのピーク以外はよく一致した。これらのピークの原因を出発物質Bi2O3およびRuO2のいずれかに帰することはできない。750℃でのさらに24時間の追加の加熱は2つのピークの強度を変化させなかった。よって、これらのピークは出発物質の何らかの多形体またはビスマスおよびルテニウムの異なる(非パイロクロア)相のいずれかのためであり得ると結論づけられた。しかしながら、この第2相は比較的小さな割合(<10%)を表し、重要ではない。
【0052】
(実施例2)
オゾン分析のための回転リングディスク電極。回転リングディスク電極(RRDE)法を用い、ルテニウム酸ビスマスが電解オゾン発生器においてアノードとして確かに機能することができることを示した。一般的なRRDEデバイスの側断面図および底面図を図2に示す。オゾンのその場発生/検出のためのRRDEの用途の背景にある理論は、簡単に言うと以下のとおりである。RRDE100は、同心リング電極104により囲まれた中央ディスク電極102およびそれらを分離する薄いTeflon U−cup絶縁体106で構成される。各電極での電位または電流は、バイポテンショスタット(図示せず)を用いて独立して制御することができる。バイポテンショスタットは、電解質に浸漬した2つの作用電極で、1つの参照電極および1つの対極のみを用い、電圧を制御し、電流を測定する。図2に示すRRDEを用い、RRDEのディスクで生成されるO3を検出および測定することができる。中央ディスク電極102をアノード分極する場合、中央ディスク電極102で生成されたオゾンはオゾンが還元される電位(E°=2.07V vs.NHE)で保持されるリング電極104で定量的に検出することができる。あるいは、リング電極はオゾンを還元することができる電位領域に入れることができる。よって、ディスク電極102で発生するオゾンの量に応じて、各材料についてリング電極104での限界オゾン還元電流を測定することができる。従って、この方法は各種アノード材料のそれらのオゾン発生能力についての比較を可能にする。
【0053】
RRDEにおいて起こる関連電極反応を以下に示す。
【0054】
中央ディスク電極反応:
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
リング電極反応:
【化14】
【0057】
(実施例3)
Bi2Ru2O7RRDEディスクの製造。実施例1からの合成Bi2Ru2O7生成物をポリビニルアルコール結合剤の水性懸濁液と混合し、粒子に結合剤で塗布した。Bi2Ru2O7材料および結合剤をペレット状に圧縮し、空気中、1100℃で24時間焼成した。焼結材料のXRDパターンを図3に示す。XRDパターンは、焼結材料の結晶構造が出発物質とはかなり異なることを示す。この材料相の同定は現在知られていない。ペレットの最終直径は〜0.6mmだった。ペレットは、RRDE構成で用いるRRDEディスクのサイズおよび形状までさらに粉砕した。ディスクの表面は研磨もし、表面をさらに滑らかにした。導電性銀塗料をディスクの裏面上に塗布し、700℃で硬化した。これはRRDEの金属スプリングと混合金属酸化物ディスクとの間の良好な電気接触を確保するために行った。走査電子顕微鏡写真(SEM)およびエネルギー分散型X線分光(EDS)分析をディスクについて行った。図4に記録するSEMデータは、ディスクの表面が焼結プロセス中に形成された著しい多孔性を有することを示す。図5に記録するEDSデータは、予想されたBi、RuおよびO以外の追加の元素を示さない。
【0058】
(実施例4)
サイクリックボルタンメトリー。実施例3で製造したディスクのサイクリックボルタンメトリー(CV)を酸素雰囲気下5MのH3PO4中で行った。図6に記録するCVデータは、酸素発生が>1.5Vのアノード分極電位で開始し、PtおよびPbディスクの場合のようにより高い電位で大電流が得られることを示す。材料は、カソード分極した場合、水素発生に関してもかなり活性だった。4Vでの定電位電解は、Bi2Ru2O7が1.5A/cm2の電流密度を減衰なしに1時間まで維持したことを示した。電解質をろ過することにより取り出した残渣についてのEDS分析はBiまたはRuピークを示さなかった。化学分析のためより可溶性な種を発生させるには長期電解実験が必要である。
【0059】
(実施例5)
定電位。定電位電解実験を実施例3で製造したBi2Ru2O7ディスク電極で行った。ディスク電極を4Vで保ち(電位はディスク電流が〜1.5A/cm2となるようにあらかじめ定めた)、オゾンを生成し、その後リングで回収した。リング電位を0.5〜1.2Vのオゾン還元の電位窓に入れた。ディスク電解中のリングのCVを図7に示す。ディスクを電解した際にオゾン還元のための大きなリング電流が存在し、オゾンがディスクで発生していたことを示す。電解前後のリングのCVはオゾン還元によるこうしたカソード電流は示さなかった。電解後リング上にカソード電流は見られなかったので、電解中に発生したオゾンはBi2Ru2O7ディスクの分解により形成されたいずれかの可溶性種ではなく電流によるものであると考えられる。
【0060】
いくらかの量のディスクの物理的分解は長期にわたるガス発生の際に確認され、セルの底の少量の固形物により認識できた。電解後のディスクの走査電子顕微鏡写真(SEM)像は、図8に示すようにごく一部の電極が表面から失われたことを示した。EDS分析は、図9に示すように、表面上のAgの存在を示した。この予想外の結果は、焼結ディスクの多孔質性のためであり得る。電解質がディスクに浸透し、裏面に塗布された銀に到達したこともあり得る。これらの結果に基づき、Bi2Ru2O7ディスクはオゾン発生に適していると考えられる。RRDE実験は、ビスマスルテニウム酸化物(Bi2Ru2O7)をオゾンの電解発生のためのアノード材料として成功裏に用いることができることを確認した。
【0061】
オゾン発生器の構成
水の電解によるオゾンの発生については十分に立証されており、いくつかの実験構成の変形が知られている。本明細書において報告する試験に用いた実験構成200の概略図を図10に示す。構成は、水道水を市販の軟水装置に通すことにより生成した軟水を用いた。軟水源202は継続的に軟水204を電解セル206に供給した。水204の流速は所望に応じて変更した。30A(1.5A/cm2)の電流をセル206に印加した。酸素/オゾンを含む水208がアノード区画から出、これを気液分離器210において分離した。気液分離器から回収された給水を排出した212。次にガス状混合物214を、5Mのリン酸を含有する回転リングディスク電極(RRDE)セル216中に拡散し、オゾン水中のオゾン濃度について分析した。発生したガス状混合物の流速、セルの温度および電圧を測定した。図10に示すすべての要素はTeflonまたはチタンでできている。
【0062】
水の電解が行われるセル206を、カチオン交換膜Nafion117(商標)でアノード区画およびカソード区画に分け、2つの区画を分離する。アノードおよびカソードをイオン交換膜の両面に密接に押圧し、ゼロギャップセルを形成した。ビスマスルテニウム酸化物被覆Tiメッシュをアノードとして、1つの表面上にPtを蒸着させたNafion117を電解質として、および裸のTiメッシュをカソードとして用いた(裸のTiメッシュはNafion膜のPt蒸着表面に接触していた)。
【0063】
RRDE法を用い、発生したオゾンの濃度を測定した。オゾンの検出のためのRRDEの用途の背景ある理論は簡単に言うと以下のとおりである。RRDEは金ディスク電極で構成する。電極を超高速で回転させる。この回転運動は回転ディスク電極の表面への溶液の明確な流れを作る。流れパターンは文字通り(溶解オゾンを含有する)溶液を電極に向かって巻き込む渦のようである。ディスクの電位はポテンショスタットにより制御し、酸素および水素発生の間をゆっくり往復させる。ディスクをカソード分極する場合、溶液中に存在するオゾンはオゾンが還元される電位で保持したディスク電極で定量的に検出することができる。あるいは、ディスクを、オゾンを還元することができる電位領域に入れる。よって、電解質中に存在するオゾンの量に応じて、限界オゾン還元電流を測定することができる。従って、この方法は異なるオゾン発生器のそれらのオゾン発生能力についての比較を可能にする。
【0064】
(実施例6)
RRDE法の有効性。RRDE分析法の有効性を示すため、我々は外部のオゾン発生デバイス(コロナ放電オゾン発生器)を用いて溶液をオゾンで飽和し、オゾン化後のAuディスクのサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。図11は、オゾンが1.0V vs.SCEよりカソード的な電位について金RRDEで還元されることを示す。図11は、リングでの酸素還元が室温で約0.6V vs.SCEで開始することを示す。オゾンの存在は1.3Vよりカソード的な電位で還元電流をもたらし、0.2V〜1.0Vの限界電流領域を測定することができる。オゾンおよび酸素の同時還元は、0.2Vよりカソード的な電位で起こる。図11からの主な結論は、オゾンは0.2V〜1.0Vの電位で明らかに検出することができ、オゾン還元限界電流はこれらの範囲内で観測することができるということである。これらの結果は他のRRDE研究と一致する。限界オゾン還元電流は溶液中に存在するオゾンの量の直接的な指標である。
【0065】
(実施例7)
オゾン発生器のためのアノードの製造。これはまず実施例1に従って生成された合成Bi2Ru2O7材料でインクを製造することにより行った。等量(重量)のBi2Ru2O7材料および5重量%のNafion溶液(Aldrich)を完全に混合し、インクを形成した。インクをPtアノード電流コレクタにブラシを用いて塗布した。塗膜をオーブンにおいて1時間130℃で乾燥させ、すべての有機物をNafion溶液から除去した。複数の塗膜をこの方法で塗布し、Pt基板上にBi2Ru2O7材料の均一な塗膜を生成した。被覆アノードを蒸留水に一晩浸すことにより再水和した。
【0066】
(実施例8)
ビスマスルテニウム酸化物アノードを有するオゾン発生器の作動。実施例7に従って製造したBi2Ru2O7被覆Ptアノード電流コレクタを、PtまたはPbO2の代わりに、オゾン発生器においてアノードとして用いた。Bi2Ru2O7セルの性能を図12に示す。初期オゾン電流は(同様に構築および作動したPbO2セルで記録した80μAと比較して)70μAである。しかしながら、オゾン電流は約2時間で約30μAまで減少した。このオゾン電流の急降下の原因は(1)Bi2Ru2O7材料の損失、(2)Nafion膜の目詰まりまたは(3)被膜と電流コレクタとの間の接触の損失のためであり得る。
【0067】
白金アノード電流コレクタを、上記実験においてビスマスルテニウム酸化物被膜の基板として用いた。ビスマスルテニウム酸化物材料ではなく白金アノード電流コレクタによりオゾンが発生する可能性がある。そうではないことを証明するため、Bi2Ru2O7材料をアノードとしてPtアノード電流コレクタの上のTiメッシュ上に塗布した。まず、セルをPtアノード電流コレクタの上の裸のチタンメッシュで作成した。セルはこの構成では作動させることができなかった(30A電流を維持することができなかった)。次にセルを裸のTiメッシュの代わりにBi2Ru2O7材料被覆Tiメッシュで作成した。今回セルは作動させることができ、得られたデータを図13に示す。13μAの初期オゾン電流は約1時間の作動で23μAに達し、約4.5時間の作動で徐々に17μAまで減少することが記録された。この実験でオゾンが発生したという事実は、それにPtアノード電流コレクタではなくBi2Ru2O7材料が関与していることを示す。セル電圧および温度はそれぞれ13.5Vおよび33℃で安定した。これらの値はBi2Ru2O7材料被覆Ptアノード電流コレクタをアノードとして用いた実験について記録したものより高い。これはTiメッシュを用いた場合に界面抵抗が増加したためであり得る。
【0068】
前述の実験は、オゾン発生器においてBi2Ru2O7パイロクロアアノードによりオゾンを発生させることができることを示す。実施例は電解オゾン発生に適した1つの電極材料としてBi2Ru2O7に焦点を当てたが、本発明はBi2Ru2O7に限定されない。Ir、Sn、Rh、PtおよびTiを含む他のBi系パイロクロアも潜在的に用いることができ、開示発明の範囲内である。これらのビスマスパイロクロア材料は電解オゾンまたは過塩素酸塩発生のための魅力的な電極材料である。
【0069】
本発明の具体的の実施形態および実施例を示し、説明してきたが、本発明の精神から著しく逸脱することなく多くの変更が考えられ、保護範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを備えるステップであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、ステップ;および
該電解セルアノードを、オゾンを発生させるのに十分な電流密度で作動させるステップ
を含む、オゾンを発生させる電解方法。
【請求項2】
前記オゾンの発生が反応:3H2O→O3+6H++6e−に従って達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電解セルアノードを約1A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電解セルアノードを約1.2A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電解セルアノードを約1.4A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電解セルアノードを約1.5A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
BがRuである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、アノード;
カソード;
該アノードおよび該カソードに接触する電解水;ならびに
該アノードおよび該カソードと電気的に結合し、該アノードでオゾンを発生させるのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源
を備える、オゾンを発生させるための電解セル。
【請求項11】
前記オゾンの発生が反応:3H2O→O3+6H++6e−に従って達成される、請求項10に記載の電解セル。
【請求項12】
前記電解セルアノードを約1A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項13】
前記電解セルアノードを約1.2A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項14】
前記電解セルアノードを約1.4A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項15】
前記電解セルアノードを約1.5A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項16】
BがRuである、請求項10に記載の電解セル。
【請求項17】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項10に記載の電解セル。
【請求項18】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項10に記載の電解セル。
【請求項19】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを備えるステップであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、ステップ;および
該電解セルアノードを、塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸塩水溶液を形成するのに十分な電流密度で作動させるステップ
を含む、過塩素酸塩を発生させる電解方法。
【請求項20】
前記電解セルアノードを約1A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
BがRuである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、アノード;
カソード;
該アノードに接触する塩素酸塩水溶液;ならびに
該アノードおよび該カソードと電気的に結合し、該アノードで塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸水溶液を形成するのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源
を備える、過塩素酸塩を発生させるための電解セル。
【請求項25】
BがRuである、請求項24に記載の電解セル。
【請求項26】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項24に記載の電解セル。
【請求項27】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項24に記載の電解セル。
【請求項1】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを備えるステップであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、ステップ;および
該電解セルアノードを、オゾンを発生させるのに十分な電流密度で作動させるステップ
を含む、オゾンを発生させる電解方法。
【請求項2】
前記オゾンの発生が反応:3H2O→O3+6H++6e−に従って達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電解セルアノードを約1A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電解セルアノードを約1.2A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電解セルアノードを約1.4A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電解セルアノードを約1.5A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
BがRuである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、アノード;
カソード;
該アノードおよび該カソードに接触する電解水;ならびに
該アノードおよび該カソードと電気的に結合し、該アノードでオゾンを発生させるのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源
を備える、オゾンを発生させるための電解セル。
【請求項11】
前記オゾンの発生が反応:3H2O→O3+6H++6e−に従って達成される、請求項10に記載の電解セル。
【請求項12】
前記電解セルアノードを約1A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項13】
前記電解セルアノードを約1.2A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項14】
前記電解セルアノードを約1.4A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項15】
前記電解セルアノードを約1.5A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項10に記載の電解セル。
【請求項16】
BがRuである、請求項10に記載の電解セル。
【請求項17】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項10に記載の電解セル。
【請求項18】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項10に記載の電解セル。
【請求項19】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードを有する電解セルを備えるステップであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、ステップ;および
該電解セルアノードを、塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸塩水溶液を形成するのに十分な電流密度で作動させるステップ
を含む、過塩素酸塩を発生させる電解方法。
【請求項20】
前記電解セルアノードを約1A/cm2より高い電流密度で作動させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
BがRuである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
一般式A2B2O7−xを有するビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むアノードであって、式中、AはBiであり、BはRu、Ir、Rh、Sn、Ti、またはPtであり、0≦x≦1である、アノード;
カソード;
該アノードに接触する塩素酸塩水溶液;ならびに
該アノードおよび該カソードと電気的に結合し、該アノードで塩素酸塩水溶液を酸化し、過塩素酸水溶液を形成するのに十分な作動電流密度を生成する電位および電流の供給源
を備える、過塩素酸塩を発生させるための電解セル。
【請求項25】
BがRuである、請求項24に記載の電解セル。
【請求項26】
前記電解セルがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料を含むカソードを有する、請求項24に記載の電解セル。
【請求項27】
前記アノードがビスマス混合金属酸化物パイロクロア材料とPt、Ag、Au、Ru、Re、およびPdから選択される1つ以上の貴金属との複合体を含む、請求項24に記載の電解セル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−530845(P2012−530845A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516269(P2012−516269)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/038850
【国際公開番号】WO2010/148107
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500318449)セラマテック インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/038850
【国際公開番号】WO2010/148107
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500318449)セラマテック インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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