説明

電極材料製造装置

【課題】電池の電極材料に含まれる、活物質の粉末と、導電材の粉末とを均一に混合する。
【解決手段】分級器31内には、混合空間35と、その上の分級空間36と、さらにその上の混合物搬送空間37が形成されている。混合空間35の最下部には、混合空間35内に活物質AMを存在させておくためのメッシュ23が設けられている。導電材ABの粉末を含むガスをメッシュ23の下方から上方へ向けて供給し、メッシュ23上の活物質AMを浮上させ、浮上した活物質AMの粒子に導電材ABの粒子を衝突させ、混合物の粒子を生成する。混合物の粒子のうち、目的の粒径範囲以下の粒子は、混合空間35から、分級空間36を経て、混合物搬送空間37まで上昇するものの、比較的粒径の大きい粒子は、混合物搬送空間37に至らない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の電極材料の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池の正極板は、一般的に、特許文献1に記載のとおり、活物質としてのリチウム-金属複合酸化物の粉末と、アセチレンブラックの粉末を含む導電材の粉末とを混合し、この混合物に、結着剤と溶剤とを加えて、混練してスラリーを作り、このスラリーを電極芯剤に塗布することで、製造される。
【0003】
また、特許文献2に記載のとおり、活物質としてのリチウム-金属複合酸化物の粉末と、アセチレンブラックの粉末と、結着剤とを攪拌・混合して合剤を作成し、これを所定の型に入れてプレスすることでシートを作成し、さらにこれをアルミニウムなどの芯材の両面に配して正極を作成する製造方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2750077号公報
【特許文献2】特許第4219705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法では、電極の性能を十分に引き出すことができない。この理由は、攪拌・混合の際に活物質、導電材、および結着剤を入れているので、結着剤が活物質にも付着し、活物質の周囲の一部にしか導電材を付着させることができない、言い換えれば、活物質の周囲に均一にほぼ満遍なく導電材を付着させることができないからである。
一方、結着剤を入れず、活物質と導電材とを容器に入れて攪拌翼を回転させる乾式混合では、粉末の活物質の重さと粉末の導電材の重さとが異なるために、容器内で攪拌翼を長時間回転させても、容器内に活物質と導電材とがそれぞれ均一に分散しないため、やはり、活物質の周囲に均一にほぼ満遍なく導電材を付着させること(以下、均一混合という)が困難である。
このため、結果として、電池の性能向上が図れないという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、粉末の活物質と粉末の導電材とを均一混合し、電池性能の向上を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するための電池の電極材料製造装置に係る発明は、
導電材粉末を第1のガス中に混入させた第1混入ガスを所定の圧力で送風する第1混入ガス送風部と、活物質粉末を浮上させる活物質粉末浮上部と、前記浮上させた活物質粉末に前記第1混入ガスを吹き付け、前記活物質粉末に前記導電材粉末が付着した混合物を生成する混合部と、粒径による沈降速度の差を用いて前記混合物の中から所定粒径の混合物を抽出する抽出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、活物質粉末を浮上させた状態でガス中に混入させた導電材粉末と混合が行われるので、活物質粉末と導電材粉末との均一混合を図ることができる。さらに沈降速度の差を用いて所定粒径の混合物を効率良く得ることができる。従って、電池性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第一実施形態における製造装置の系統図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における混合及び分級原理を示す説明図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における製造装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】本発明に係る第二実施形態における製造装置の系統図である。
【図5】本発明に係る第二実施形態における製造装置の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明に係る第二実施形態における分級器の変形例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る第二実施形態における混合部の変形例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る一実施形態におけるリチウムイオン電池の正極材料の製造過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
まず、図8を用いて、以下で説明するリチウムイオン電池の正極材料の基本的な製造方法について説明する。なお、以下では、リチウムイオン電池の正極材料の製造について説明しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の電池の電極材料の製造に本発明を提供してもよい。
【0011】
まず、粉末の導電材と粉末の活物質とを乾式紛体混合し、活物質の粒子に導電材の粒子が付着した混合物を生成する。ここで、導電材としては、例えば、アセチレンブラックを用いる。なお、導電材には、このアセチレンブラック(粒径約0.1μm)と共に、黒鉛(粒径約4μm)を用いる場合もある。また、活物質としては、例えば、LiCoOやLiFePO等(粒径約10μm)を用いる。
【0012】
次に、結着剤を溶剤中に入れて、結着剤と溶剤とを混合する。ここで、結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等を用い、溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ビロリジノン等を用いる。なお、以上では、便宜上、導電材と活物質との混合後に、結着剤と溶剤との混合を行うように説明しているが、いずれの混合を先に行っても一向に構わない。
【0013】
次に、結着剤が混入されている溶剤中に、導電材(以下、ABとする)と活物質AMとの混合物Cを入れて、これらを混合して、スラリーを生成する。このスラリーを正極芯材に塗布したものが、リチウムイオン電池の正極材料となる。
【0014】
以下、前述のABと活物質AMとの混合物Cの生成工程、及びこの工程で用いる製造装置に関する各種実施形態について説明する。
【0015】
「第一実施形態」
まず、図1〜図3を用いて、本発明の第一実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態の製造装置は、図1に示すように、内部でABと活物質AMとの混合が行われると共に、この混合で得られた混合物Cの分級が行われる分級器31と、この分級器31内に導電材としてのAB粉末を供給する導電材供給系10と、分級器31内に活物質AMの粉末を供給すると共に、この活物質AMを一時的にこの分級器31内に滞在させる活物質供給系20と、分級器31からの混合物Cを粉砕する粉砕系50と、分級器31内の混合物Cを粉砕系50に搬送する混合物搬送系40と、これらを制御する制御装置70と、粉砕系50を通過した混合物Cを貯める混合物容器61と、を備えている。
【0017】
導電材供給系10は、ABを分級器31内に供給するABライン11と、AB粉末を貯めておくABポット12と、ABポット12内のAB粉末をABライン11へ定量供給するAB定量供給機R1と、ABライン11にガスを送り込むAB用送風機B1と、ABライン11を流れるガス流量を調節するAB用ガス流量調節器V1と、を有している。
AB定量供給機R1、AB用送風機B1及びAB用ガス流量調節器V1は、いずれもその駆動量が制御装置70により制御される。
【0018】
ABライン11は、一方の端部がAB用送風機B1に接続され、他方の端部が分級器31の下部に接続されている。AB用送風機B1からのガスは、AB用ガス流量調節器V1により流量調節され、このガス中に、AB定量供給機R1からのAB粉末が定量供給される。このAB粉末は、ABライン11内をガス搬送され、分級器31の下部から分級器31内に送られる。
【0019】
活物質供給系20は、活物質AMの粉末を分級器31の中胴部分の側方から供給する活物質供給ライン21と、活物質供給ライン21から供給された活物質の粉末が載るメッシュ23と、を有している。
【0020】
活物質供給ライン21の一方の端部には、活物質(AM)の粉末が投入される活物質投入口が形成されている。また、この活物質供給ライン21の他方の端部には、活物質投入口側から分級器31内への流入を受け入れ、分級器31内から活物質投入口への流出を拒む逆止弁的役割を果たすバタフライ弁等22が設けられている。
【0021】
メッシュ23は、分級器31内であって、活物質供給ライン21の分級器31への接続部よりも下部の位置に、水平方向に広がるように配置されている。メッシュ23の穴径は、少なくとも目的の粒径範囲以下のAB粉末が通過できる一方で、目的の粒径範囲以上の活物質粉末が上面に載ることができるサイズである。なお、AB粉末の目的の粒径範囲は、活物質粉末の目的の粒径範囲より1桁ほど小さい。
【0022】
分級器31は、下部から鉛直上方へのいずれの位置でも断面積が同じ直胴空間32が内部に形成されている。この直胴空間32の真下に、ABライン11が接続されている。この直胴空間32の最上部は、混合物搬送空間37を成し、その下が分級空間36を成し、さらにその下が混合空間35を成している。この混合空間35の最下部に、前述のメッシュ23が配置されている。
【0023】
分級空間36よりも下方の下部空間33は、鉛直方向に伸びる仕切り部材により、鉛直方向に伸びる複数のガス流路34,34,…が形成されている。この際、仕切り部材として複数の板材を用いて、下部空間33を仕切っても、仕切り部材として複数の配管を用いて、下部空間33を仕切ってもよい。各ガス流路34,34,…には、各ガス流路34,34,…相互間での流速の均一化を図る流路流速調節器V3が設けられている。この流路流速調節器V3の弁開度は、制御装置70からの指示により調節されてもよいが、ここでは、手動調節される。この手動調節では、予め、各ガス流路34,34,…の流速を計測し、この計測結果に基づいて調節する。また、複数のガス流路34,34,…には、それぞれ、前述のメッシュ23が配置されていると共に、活物質供給ライン21が接続されている。
【0024】
なお、ここでは、分級空間36よりも下方であって、混合空間35を含む下部空間33を複数のガス流路34,34,…に仕切っているが、混合空間35から下方の空間を複数のガス流路に仕切ってもよいし、さらに、分級空間36を複数のガス流路に仕切ってもよい。
【0025】
分級空間36と混合物搬送空間37との境目、又は沈降分級空間36内の上部には、直胴空間32を上下に仕切る空間シャッターS1が設けられている。この空間シャッターS1は、制御装置70からの指示に応じて駆動する。空間シャッターS1の上空間と下空間とは、均圧管38により連結されている。この均圧管38には、混合物Cを捕捉するフィルタ38a,38bが設けられている。この均圧菅38は、空間シャッターS1が閉状態から開状態に移行する際に、空間シャッターS1の上部空間と下部空間との間の圧力差をなくしておき、上部空間と下部空間との間で、ガス及び粒子の急激な移動を防ぐために設けられている。
【0026】
分級空間36と混合物搬送空間37との境目には、混合物Cの粒径分布を検知する粒径検知器75が設けられている。この粒径検知器75は、分級器31内にレーザ光を出力するレーザ発振部75aと、レーザ発振部75aからのレーザ光を受信する受光部75bとを有している。制御装置70は、受光部75bでの受光データから、分級器31内で発生したミー散乱強度を得て、このミー散乱強度から混合物Cの粒径分布を求める。そして、制御装置70は、この粒径分布に関して、粒径を大きくすべきときには、分級器31内のガス流速が増加するよう、分級空間流量調節手段としてのAB用ガス流量調節器V1へ弁開度を大きくする旨の指令を出力し、粒径を小さくすべきときには、分級器31内のガス流速が減少するよう、分級空間流量調節手段としてのAB用ガス流量調節器V1へ弁開度を小さくする旨の指令を出力する。
【0027】
混合物搬送系40は、搬送ガスを分級器31内に送り込むためのガス送込みライン41と、分級器31からのガス及びこのガスに含まれている混合物Cを粉砕系50へ搬送する搬送ライン42と、ガス送込みライン41にガスを送り込む搬送用送風機B4と、ガス送込みライン41を流れるガス流量を調節する搬送用ガス流量調節器V4と、分級器31内の混合物Cがガス送込みライン41に流れ込むのを防ぐ送込みラインシャッターS4と、を有している。搬送用送風機B4、搬送用ガス流量調節器V4、送込みラインシャッターS4は、いずれもその駆動量が制御装置70により制御される。
【0028】
なお、搬送用送風機B4及び前述のAB用送風機B1がそれぞれラインに送り込むガスは、例えば、窒素ガス等の不活性ガスである。
【0029】
ガス送込みライン41の分級器31との接続口と、搬送ライン42の分級器31との接続口は、いずれも、分級器31の混合物搬送空間37に臨み、互いに対向している。これは、直線的な流路を形成するためである。
【0030】
粉砕系50は、粉砕容器51と、粉砕翼を有する粉砕機52とを有している。粉砕機52の粉砕翼は、粉砕容器51内の下部に配置されている。粉砕容器51の上部は、混合物容器61と接続されている。また、粉砕容器51の上部には、混合物搬送ライン42の端部が下向き接続されている。この下向きに接続された混合物搬送ライン42の端部の内径は、混合物搬送ライン42の分級器31との接続口の内径よりも小さい。
【0031】
混合物容器61には、混合物入口61iと、混合物出口61oと、排気口61eとが設けられている。混合物入口61iには、粉砕容器51が接続されている。また、排気口61eには、排気ライン62が接続されている。この排気ライン62には、混合物の流出を防ぐフィルタ63が設けられている。
【0032】
次に、以上で説明した製造装置の動作について、図3に示すタイムチャートに従って説明する。
【0033】
まず、活物質供給ライン21の活物質投入口から活物質AMの粉末を投入して、各ガス流路34,34,…内に設けられているメッシュ23上に、活物質AMの粉末を載せる(T)。なお、ここでは、活物質AMの粉末投入を人手で行うことにしているが、各活物質供給ライン21に定量供給機を設けて、制御装置70から指示で、各活物質供給ライン21の定量供給機を駆動させ、これにより活物質AMの粉末投入を実現するようにしてもよい。
【0034】
続いて、制御装置70からの指示に従って、AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が駆動する(T)。この際(T)、分級器31内の各ガス流路34,34,…に設けられている流路流速調節器V3は、その弁開度が、各ガス流路34,34,…相互間で流速が均一になるよう予め設定されている。また、空間シャッターS1は開状態で、ラインシャッターS4は閉状態である。さらに、搬送用送風機B4及び粉砕機52は駆動していない。
【0035】
AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が駆動すると、AB定量供給機R1からのAB粉末がABライン11内に投入されると共に、AB用送風機B1からのABライン11へガスが送り込まれる。この結果、AB粉末を含むガスがABライン11から分級器31内に流入する。
【0036】
分級器31内に流入したAB粉末を含むガスは、分級器31内を上昇して、分級器31内のメッシュ23を通過し、さらに上昇する。
【0037】
ここで、図2を用いて、分級器31内のメッシュ23より上方の混合空間35、分級空間36、混合物搬送空間37での現象について説明する。
【0038】
図2(a)に示すように、混合空間35の最下部に位置しているメッシュ23上には、活物質AMの粉末が載せられている。この混合空間35にメッシュ23を介して下方からガスが流れてくると、同図(b)に示すように、メッシュ23上に載っていた活物質AMの粉末が浮上し、この浮上した活物質AMの粉末中に、下方からのガスに含まれているAB粉末(混合空間35内ではすでに均一にAB粉末がガス中に存在する)が吹き込まれて、両者が混合し、活物質AMの粒子にAB粒子が付着して、混合物Cの粒子が生成される。原料の活物質の粒が浮上中(回転運動あり)に、ガスに混合されたAB粒子が接触することで、この粒の全周囲に均一に満遍なくAB粒子を付着させることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態では、活物質AMの粉末及びAB粉末がガス中で分散している状態で、両粉末の混合が行われるので、活物質AMの粉末とAB粉末との均一混合を図ることができる。すなわち、本実施形態では、活物質AMの粒子のうちで、AB粒子が付着していない粒子の量を極めて少なくすることができる。
【0040】
混合空間35内で生成された混合物Cの粒子は、分級空間36を上昇していく。この過程で、粒径が大きい混合物Cの粒子、例えば、活物質の上記粒同士が多数付着して粒径が大きくなった塊などは、ガスから受ける上昇力よりも、重力が優って下降する。一方、粒径が小さい混合物Cの粒子は、重力より、ガスから受ける上昇力が優って、そのままガスと共に上昇し続け、混合物搬送空間37を経て、搬送ライン42から粉砕容器51内に入る(粒径による沈降速度の差を用いて分級される)。粉砕容器51内に入った混合物Cの粒子のうち、比較的粒径の小さいものの一部は、この粉砕容器51から混合物容器61内に流入し、残りの一部は、粉砕容器51内に留まる。
【0041】
以上のように、本実施形態では、AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が駆動すると(T)、AB粉末の供給工程、活物質AMの粉末とAB粉末との混合工程、混合により生成された混合物Cの粒子の分級工程、分級後の混合物Cの粒子の搬送工程が実施される。
【0042】
ところで、混合物Cの粒子の分級工程では、分級空間36と混合物搬送空間37との境目に設置された粒径検知器75により、前述したように、混合物Cの粒子の粒径分布が検知される。
【0043】
制御装置70は、この粒径分布が、混合物Cの目的の粒径範囲より大きい粒径の多い分布を示している場合には、分級器3131内のガス流速が減少するよう、分級空間流量調節手段としてのAB用ガス流量調節器V1へ弁開度を小さくする旨の指令を出力する。また、制御装置70は、検知された粒径分布が、混合物Cの目的の粒径範囲(例えば、粒径約30μm〜50μm)より小さい粒径の多い分布を示している場合には、分級器31内のガス流速が増加するよう、分級空間流量調節手段としてのAB用ガス流量調節器V1へ弁開度を大きくする旨の指令を出力する。この結果、分級空間36を経て混合物搬送空間37に入ってきた混合物Cの粒子には、目的の粒径範囲内の粒子が多くなり、目的の粒径範囲より大きな粒子は少なくなる。特に、目的の粒径範囲内の最大粒径よりも1桁以上大きな粒径の粒子は極めて少なくなる。
なお、目的の粒径が約50μmである場合には、原料の活物質の粒径が約10μmであるとすると、およそ100個以上の粒が付着して1つの塊になっていることを意味する。この塊の周囲に均一に満遍なくABが付着した状態のものもあれば、周囲に均一に満遍なくABが付着した状態の1つの粒が、およそ100個以上付着して塊になっているものも含まれる。いずれにしても目的の粒径の塊の周囲に均一に満遍なくABが付着した状態の混合物Cを抽出できるので、後に混合物Cを用いてスラリーを生成する際に、目的の粒径の活物質の周囲の一部にしか導電材を付着させることができなかったという上記問題点を解決することができる。
【0044】
また、分級の際、分級空間36内の流路断面での流速分布が分級精度を高める上で重要なパラメータとなる。一般的に、ある流路中に流体を流すと、流路を形成している壁面近傍の流速が低下し、壁面からの抵抗を受けない流路中心近傍の流速が高まる。このため、分級器31の内部空間のように流路断面積が比較的広い場合、流路断面内で流速分布の幅が広がる。このように、流路断面内で流速分布の幅が広がると、分級サイズのバラツキが大きくなり、結果として、分級精度が低下する。
【0045】
そこで、本実施形態では、分級空間36より下方の下部空間33に複数のガス流路34,34,…を形成し、各ガス流路34,34,…内に設けた流路流速調節器V3により、ガス流路34,34,…相互間での流速の均一化を図っている。このため、本実施形態では、分級空間36の流路断面での流速分布、言い換えると水平方向の流速分布の幅が狭まるので、分級精度を高めることができる。
【0046】
制御装置70は、AB定量供給機R1及びAB用送風機B1を駆動させてから(T)、活物質AMの粉末とAB粉末との混合が一応終了したと想定される予め定められた時間が経過すると、これらAB定量供給機R1及びAB用送風機B1を停止させると共に、搬送用送風機B4及び粉砕機52を駆動させる。さらに、空間シャッターS1を閉状態、ラインシャッターS4を開状態にする(T2)。
【0047】
AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が停止し、且つ空間シャッターS1が閉状態になると、空間シャッターS1より下方に位置している混合物Cの粒子は直ちに下降し、メッシュ23上に載る。このメッシュ23上に載った混合物Cの粒子は、分級工程で、混合物搬送空間37へ上昇することができなかった粒子であるため、目的の粒径範囲より大きな粒径の粒子である。そこで、メッシュ23上に残った混合物Cの粒子を、活物質供給ライン21から吸引等して、メッシュ23上から除去する。
【0048】
また、空間シャッターS1が閉状態になり、ラインシャッターS4が開状態になり、且つ搬送用送風機B4が駆動すると、分級器31の混合物搬送空間37及び搬送ライン42に存在していた混合物Cの粒子は、粉砕容器51内に流入する。この粉砕容器51内では、粉砕機52が駆動しているため、この粉砕機52の粉砕翼に衝突した混合物Cの粒子は粉砕されて、その粒径がより小さくなる。この場合の粉砕は、例えば上記原料の活物質であっておよそ100個以上の粒からなる塊が搬送ライン42を通過する際に複数の塊同士で凝集することもありうるので、この凝集した塊を個別の塊に分解する処理を含む。上述のように1つの塊の周囲には満遍なくABが付着しており、この分解によっても個々の塊にいったん付着したABが剥がれ落ちることの極力ないよう粉砕翼の回転速度等が調整される。
【0049】
この粉砕容器51内では、搬送ライン42が接続されている中心部では、搬送ライン42からのガスにより下方への流れとなり、粉砕容器51の内壁側では、搬送ライン42からのガスの排気及び粉砕翼による風力のため、上方への流れとなる。このため、搬送ライン42からガスと共に送られてきた混合物Cの粒子のうち、比較的粒径の大きい粒子は、粉砕容器51の下部に設けられている粉砕機52により粉砕されて、その粒径が小さくなった後、粉砕容器51の内壁側を上昇して、混合物容器61内に流入する。また、混合物Cの粒子のうち、比較的粒径の小さい粒子は、粉砕容器51の下部に設けられている粉砕機52に至らずに、粉砕容器51の内壁側を上昇して、混合物容器61内に流入する。
【0050】
なお、本実施形態において、一旦、粉砕容器51内に流入した混合物Cの粒子は、粉砕翼による風力のために逆流して、搬送ライン42へ基本的に戻らない。これは、粉砕機52が駆動している間、搬送用送風機B4も駆動しており、粉砕容器51内の圧力よりも搬送ライン42内の圧力の方が高いからである。さらに、搬送ライン42の粉砕容器51接続部分では、その内径が小さくなっており、搬送ライン42から粉砕容器51内に流入するガス速度が高められているからでもある。但し、粉砕容器51内に流入した混合物Cの粒子が搬送ライン42内に逆流する恐れがある場合には、図1に示すように、この搬送ライン42にラインシャッターS5等を設けてもよい。
【0051】
前述したように、活物質AMの粒にABが付着し且つ目的の粒径範囲と同等または小さな粒子を分級器31で抽出し、この抽出された粒子が凝集したとしても粉砕機52により再度分解するので目的の粒径範囲の混合物Cを得ることができる。
【0052】
以上のように、搬送用送風機B4及び粉砕機52が駆動すると(T2)、混合物Cの混合物容器61への搬送工程、混合物Cの粉砕工程が実施される。
【0053】
制御装置70は、搬送用送風機B4及び粉砕機52を駆動させてから(T2)、混合物搬送空間37内、搬送ライン42内及び粉砕容器51内の混合物Cの粒子が全て混合物容器61へ搬送されたと想定される予め定められた時間が経過すると、これら搬送用送風機B4及び粉砕機52を停止させると共に、空間シャッターS1を開状態、ラインシャッターS4を閉状態にする(T3)。
【0054】
以上で、混合物生成工程が終了し、再度、混合物生成工程を実施する場合には、再び、AMの供給処理(T0)から始める。
【0055】
以上、本実施形態では、活物質AMの粉末及びAB粉末がガス中で分散している状態で、両粉末の混合が行われるので、活物質AMの粉末とAB粉末との均一混合を図ることができる。
【0056】
「第二実施形態」
次に、図4及び図5を用いて、本発明の第二実施形態について説明する。
【0057】
本実施形態は、図4に示すように、導電材供給系10と同様に、ガス流で活物質AMの粉末を搬送する活物質供給系20aを設け、導電材供給系10からのAB粉末と活物質供給系20aからの活物質AMの粉末とを、分級器31a内に入る前に混合し、この混合で得られた混合物Cの粉末を分級器31a内に流入するようにしたものである。このため、第一実施形態における活物質供給系20のメッシュ等21,22,23は、本実施形態では設けられていない。なお、本実施形態の製造装置は、以上の点を除き、第一実施形態の製造装置と基本的に同一構成である。
【0058】
本実施形態の活物質供給系20aは、活物質AMを分級器31a内へ供給するための活物質ライン21aと、活物質AMの粉末を貯めておく活物質ポット22aと、活物質ポット22a内の活物質AMの粉末を活物質ライン21aへ定量供給する活物質定量供給機R2と、活物質ライン21aに窒素等の不活性ガスを送り込む活物質用送風機B2と、活物質ライン21aを流れるガス流量を調節する活物質用ガス流量調節器V2とを有している。
【0059】
活物質定量供給機R2、活物質用送風機B2及び活物質用ガス流量調節器V2は、いずれもその駆動量が制御装置70により制御される。
【0060】
活物質ライン21aは、一方の端部が活物質用送風機B2に接続され、他方の端部がABライン11に接続されている。この接続部が混合部25を成し、内部に混合空間35aを形成している。この混合部25は、分級器31aの下部に接続されている。活物質用送風機B2からのガスは、活物質用ガス流量調節器V2により流量調節され、このガス中に、活物質定量供給機R2からの活物質AMの粉末が供給される。
【0061】
本実施形態の分級器31a内は、その最上部に第一実施形態と同様の混合物搬送空間37が形成されているものの、分級器31a外に混合部25が存在しているため、混合物搬送空間37よりも下方の空間は、すべて分級空間36aを成している。
【0062】
次に、以上で説明した製造装置の動作について、図5に示すタイムチャートに従って説明する。
【0063】
まず、制御装置70からの指示に従って、AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が駆動すると共に、活物質定量供給機R2及び活物質用送風機B2が駆動する(T)。この際(T)、空間シャッターS1は開状態で、ラインシャッターS4は閉状態である。さらに、搬送用送風機B4及び粉砕機52は駆動していない。
【0064】
AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が駆動すると、ABライン11中にAB粉末を含むガスが流れる。また、活物質定量供給機R2及び活物質用送風機B2が駆動すると、活物質ライン21a中に活物質AMの粉末を含むガスが流れる。ABライン11と活物質ライン21aとは、混合部25で接続されているため、混合部25内の混合空間35aで、両粉末が混合し、活物質AMの粒子にAB粒子が付着して、混合物Cの粒子が生成される。
【0065】
以上のように、本実施形態でも、活物質AMの粉末及びAB粉末がガス中で浮上している状態で、両粉末の混合が行われるので、活物質AMの粉末とAB粉末との均一混合を図ることができる。
【0066】
混合空間35aで生成された混合物Cの粒子は、分級器31aの分級空間36a内に入り、そこで、第一実施形態と同様に、分級作用を受ける。すなわち、比較的粒径の小さい混合物Cの粒子は、分級器31a内の混合物搬送空間37まで上昇し、比較的粒径の大きい混合物Cの粒子は、この混合物搬送空間37まで達し得ない。比較的粒径が小さく、混合物搬送ライン42まで上昇した混合物Cの粒子は、第一実施形態と同様に、搬送ライン42から粉砕容器51内に入る。粉砕容器51内に入った混合物Cの粒子のうち、比較的粒径の小さいものの一部は、この粉砕容器51から混合物容器61内に流入し、残りの一部は、粉砕容器51内に留まる。
【0067】
以上のように、本実施形態では、AB定量供給機R1及びAB用送風機B1が駆動すると共に、活物質定量供給機及び活物質用送風機が駆動すると(T)、AB粉末の供給工程、活物質AMの供給工程、活物質AMの粉末とAB粉末との混合工程、混合により生成された混合物Cの粒子の分級工程、分級後の混合物Cの粒子の搬送工程が実施される。
【0068】
なお、本実施形態において、制御装置70は、粒径検知器75による検知結果に基づいて、分級空間流量調節手段としてのAB用ガス流量調節器V1及び活物質用流量調節器の弁開度を制御する。
【0069】
制御装置70は、AB定量供給機R1、AB用送風機B1、活物質定量供給機R2、及び活物質用送風機B2を駆動させてから(T)、活物質AMの粉末とAB粉末とをそれぞれ一定以上供給し、一定以上の混合物Cが生成されたと想定される予め定められた時間が経過すると、これらAB定量供給機R1、AB用送風機B1、活物質定量供給機R2、及び活物質用送風機B2を停止させると共に、搬送用送風機B4及び粉砕機52を駆動させる。さらに、空間シャッターS1を閉状態、ラインシャッターS4を開状態にする(T2)。
【0070】
AB定量供給機R1、AB用送風機B1、活物質定量供給機R2、及び活物質用送風機B2が停止し、且つ空間シャッターS1が閉状態になると、空間シャッターS1より下方に位置している混合物Cの粒子は直ちに下降し、分級器31a外の混合空間35a内に溜まる。この混合空間35a内に溜まった混合物Cの粒子は、分級工程で、混合物搬送空間37へ上昇することができなかった粒子であるため、目的の粒径範囲より大きな粒径の粒子である。そこで、混合部25の排出口の蓋29を開けて、混合空間35a内に溜まった混合物Cの粒子を、混合空間35aから取り出す。
【0071】
また、空間シャッターS1が閉状態になり、ラインシャッターS4が開状態になり、且つ搬送用送風機B4が駆動すると、第一実施形態と同様に、分級器31aの混合物搬送空間37及び搬送ライン42に存在していた混合物Cの粒子は、粉砕容器51内に流入する。この粉砕容器51内では、粉砕機52が駆動しているため、この粉砕機52の粉砕翼に衝突した混合物Cの粒子は粉砕されて、その粒径が小さくなる。その後、粉砕容器51内に流入した混合物Cの粒子は、粉砕機52の粉砕翼による風力等により、混合物容器61内に流入する。
【0072】
以上のように、搬送用送風機B4及び粉砕機52が駆動すると(T2)、混合物Cの混合物容器61への搬送工程、混合物Cの粉砕工程が実施される。
【0073】
制御装置70は、第一実施形態と同様に、搬送用送風機B4及び粉砕機52を駆動させてから(T2)、混合物搬送空間37内、搬送ライン42内及び粉砕容器51内の混合物Cの粒子が全て混合物容器61へ搬送されたと想定される予め定められた時間が経過すると、これら搬送用送風機B4及び粉砕機52を停止させると共に、空間シャッターS1を開状態、ラインシャッターS4を閉状態にする(T3)。
【0074】
以上で、混合物生成工程が終了し、再度、混合物生成工程を実施する場合には、再び、前述のT1での処理が実行される。
【0075】
以上、本実施形態でも、活物質AMの粉末及びAB粉末がガス中で分散している状態で、両粉末の混合が行われるので、活物質AMの粉末とAB粉末との均一混合を図ることができる。さらに、本実施形態でも、分級、及び粉砕により目的の粒径範囲内に収まる混合物Cの粒子を効率良く得ることができる。また、本実施形態では、活物質AMのガス流路への投入とABのガス流路への投入とを同時に行えるので、第一実施形態よりも、混合物生成工程の実施時間を短くすることができる。
【0076】
「変形例」
次に、図6及び図7を用いて、第二実施形態における分級器31a及び混合部25の変形例について説明する。
【0077】
変形例の分級器31bには、図6に示すように、混合物Cの粒子を水平方向に流入させる混合物ライン26がその一方の側部に接続され、混合物Cの粒子を水平方向に流出させる搬送ライン42bがその他方の側部に接続されている。混合物ライン26の他端は第二実施形態の混合部25に接続されている。分級器31bに対する混合物ライン26の接続部と搬送ライン42bの接続部とは、互いに向かい合っているものの、搬送ライン42の接続部は、混合物ライン26の接続部よりも下方に位置している。
【0078】
混合物ライン26には、分級器31bへの混合物Cの流入を絶つための混合物ラインシャッターS7が設けられている。この混合物ライン26には、さらに、混合物ラインシャッターS7が設けられている位置よりも分級器31b側に、搬送用のガスを分級器31b内に送り込むためのガス送込みライン41bが接続されている。このガス送込みライン41bには、このガス送り込みライン41b内への混合物Cの流入を絶つための送込みラインシャッターS4が設けられている。
【0079】
分級器31b内には、水平方向であって、混合物ライン26の接続部から搬送ライン42bの接続部の方向へ広がっていると共に、混合物ライン26の接続部から鉛直下方に広がっている分級空間36bが形成されている。
【0080】
この分級空間36bの下部には、この空間36bの底面に粉砕翼が沿うように、粉砕機55が設けられている。また、この粉砕機55のわずかに上には、この空間36bを上下に仕切る空間シャッターS6が設けられている。さらに、この分級器31bの底には、混合物Cの粉末を排出する排出口39bが形成されている。
【0081】
次に、この分級器31b回りの動作機器の動作と共に、混合物Cの分級工程及び搬送工程での動きについて説明する。
【0082】
まず、混合物ラインシャッターS7を開状態、送込みラインシャッターS4を閉状態、空間シャッターS6を開状態、粉砕機55を停止状態にしておく。この状態では、混合物ライン26中の混合物の粉末は、この混合物ライン26からガスと共に分級器31aの分級空間36b内に流入する。
【0083】
混合物Cの粉末の流れ方向は、混合物ライン26内では、ほぼ水平方向である。しかしながら、混合物Cの粉末は、分級空間36bに流入すると、流路拡大のために流速が低下し、重力の影響を強く受けて、その流れ方向には鉛直下方への成分が加わる。
【0084】
沈降速度は、混合物Cの粒子のうちで、粒径の大きいもの(又は重いもの)が大きく受けるため、粒径の比較的大きな混合物Cの粒子は、搬送ライン42bへ至らずに、分級空間36bの底に落下する。一方、粒径の比較的小さな混合物Cの粒子は、粒径の比較的大きな混合物Cの粒子よりも落下量が少ないため、この分級空間36bから搬送ライン42bに流入する。
【0085】
以上のように、混合物ラインシャッターS7が開状態の際には、混合物Cの分級工程及び搬送工程が実施される。
【0086】
制御装置70は、混合物ラインシャッターS7を開状態にしてから、混合物Cの粒子が分級器31b内に所定量送り込まれたと想定される予め定められた時間が経過すると、この混合物ラインシャッターS7を閉状態、送込みラインシャッターS4を開状態、空間シャッターS6を閉状態にすると共に、粉砕機55を駆動する。
【0087】
空間シャッターS6が閉状態で、粉砕機55が駆動すると、分級空間36bの底面に溜まっていた比較的粒径の大きな混合物の粒子は、粉砕されつつ排出口39bへ導かれ、排出口39bから排出される。
【0088】
また、空間シャッターS6が閉状態で、送込みラインシャッターS4が開状態になると、分級空間36b内で空間シャッターS6よりも上部の空間に存在していた比較的粒径の小さな混合物Cの粒子は、ガス送込みライン41bからのガスにより、この空間36bから搬送ライン42bに流入する。
【0089】
以上のように、空間シャッターS6が閉状態で、送込みラインシャッターS4が開状態の際には、混合物Cの搬送工程が実施される。
【0090】
なお、この変形例においても、混合物Cの粒径分布を目的の粒径範囲に近づけるために、以上の実施形態と同様に、分級器31b内の搬送ガスライン42bの接続部近傍、又は搬送ガスライン42b中に、粒径検知器を設け、この粒径検知器による検知結果に基づいて、混合物ライン26中の流速を制御することが好ましい。
【0091】
次に、第二実施形態における混合部25の二つの変形例について、図7を用いて説明する。
【0092】
まず、混合部の第一変形例について、図7(a)を用いて説明する。
この第一変形例では、第二実施形態で1つ設けていたABラインを複数のABライン11b,11b,…に分岐している。これらの分岐ABライン11b,11b,…は、これらのラインからのガスが活物質ライン21bの外周側から中心部へ向かうよう、この活物質ライン21bの外周に接続している。
【0093】
この変形例において、混合部25bは、活物質AMが通るラインのうちで、複数の分岐ABライン11bが接続している位置よりも下流側の部分である。
以上、本変形例では、活物質ABの粉末が流れている空間の各種方向からAB粉末を噴出させるので、活物質ABの粉末とAB粉末とをより均一に混合することができる。
【0094】
次に、混合部の第二変形例について、図7(b)を用いて説明する。
この変形例では、内径を絞ったABライン11cが活物質ライン21b内に挿入され、このABライン11cの先端部が活物質ライン21b内の中心部に配置されている。ABライン11cの先端部には、放射方向にガスを噴出する複数のノズル11d,11d,11dが設けられている。
【0095】
この変形例において、混合部25cは、活物質AMが通るラインのうちで、ABライン11cの先端部に設けられているノズル11dの位置よりも下流側の部分である。
以上、本変形例でも、第一変形例と同様に、活物質AMの粉末が流れている空間の各種方向からAB粉末を噴出させるので、活物質AMの粉末とAB粉末とをより均一に混合することができる。
【0096】
なお、以上の変形例は、いずれも、活物質AMの粉末が流れている空間の各種方向からAB粉末を噴出させるものであるが、逆に、AB粉末が流れている空間の各種方向から活物質AMの粉末を噴出させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10:導電材供給系、11:ABライン、20,20a:活物質供給系、21:活物質供給ライン、23:メッシュ、25,25b,25c:混合部、31,31a,31b:分級器、32:直胴空間、33:下部空間、34:ガス流路、35,35a,35b,35c:混合空間、36,36a,36b:分級空間、37:混合物搬送空間、40:混合物搬送系、41,41b:ガス送込みライン、42,42b:搬送ライン、50:粉砕系、51:粉砕容器、52,55:粉砕機、61:混合物容器、70:制御装置、75:粒径検知器、R1:AB定量供給機、B1:AB用送風機、B2:活物質用送風機、B4:搬送用送風機、V1:AB用ガス流量調節器、V2:活物質用ガス流量調節器、V4:搬送用ガス流量調節器、S1,S6:空間シャッター、S4:送込みラインシャッター、AM:活物質、AB:導電材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材粉末を第1のガス中に混入させた第1混入ガスを所定の圧力で送風する第1混入ガス送風部と、
活物質粉末を浮上させる活物質粉末浮上部と、
前記浮上させた活物質粉末に前記第1混入ガスを吹き付け、前記活物質粉末に前記導電材粉末が付着した混合物を生成する混合部と、
粒径による沈降速度の差を用いて前記混合物の中から所定粒径の混合物を抽出する抽出部と、
を有することを特徴とする電極材料製造装置。
【請求項2】
前記活物質粉末浮上部は、前記活物質粉末を第2のガス中に混入させた第2混入ガスを所定の圧力で送風する送風部を備え、前記吹き付けが前記第2混入ガスに対して行われることで前記混合物が生成されることを特徴とする請求項1に記載の電極材料製造装置。
【請求項3】
前記混合部は、前記第1混入ガスが通過する複数のガス流路を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極材料製造装置。
【請求項4】
前記第1および第2のガスは同一の不活性ガスであることを特徴とする請求項3に記載の電極材料製造装置。
【請求項5】
前記抽出部に接続され、前記抽出された混合物の少なくとも一部を分解する粉砕部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の電極材料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−165476(P2011−165476A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26739(P2010−26739)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】