説明

電気スタンド

【課題】 環状蛍光灯の着脱が行いやすく、電気コードが剥き出しとならない電気スタンドを提供すること。
【解決手段】 腕部5の先端側に設けられた灯具7を、ソケット12を収容する収容部9と、この収容部9と一体的に設けられた下セード体10と、前記収容部9及び下セード体10の上方に着脱自在に取り付けられる上セード体11とを有して構成し、前記ソケット12に光源としての環状蛍光灯13を接続し、この環状蛍光灯13を前記収容部9、下セード体10及び上セード体11によって形成された環状の空間内に収容することで、前記環状蛍光灯13から放射された光によって、使用者の手元に生ずる暗い影の範囲を狭くすることができると共に、前記灯具7の上方から前記環状蛍光灯13を簡単に着脱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気スタンドに関するものであり、特に、蛍光灯を用いた電気スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気スタンドとしては、支柱の上端に灯具を設け、この灯具のソケットに対して蛍光管(本発明の光源に該当する)を着脱自在に取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このような電気スタンドでは、蛍光管として、一般的に、FPL型と呼ばれる二平行管型蛍光灯が用いられている。また、FL型と呼ばれる直管型蛍光灯やFML型と呼ばれる四平行管型蛍光灯を用いる電気スタンドも知られている。そして、これらの電気スタンドでは、前記蛍光管を前記灯具に取り付ける場合、この灯具を構成するセードの下方から前記蛍光管を取り付けるように構成されている。
【特許文献1】特開2000−243115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような電気スタンドにおいては、FPL型やFL型の蛍光灯を用いる場合、これらの蛍光灯が線光源に近いので、図7に示すように、使用者の手元に暗い影が生じやすいという問題があった。一方、FML型の蛍光灯を用いる場合、この蛍光灯が面光源に近いので、図7に示すように、同ワット数のFL型やFPL型等に比べて、使用者の手元に暗い影が生じにくいものの、同ワット数のFL型やFPL型と比較して管長が短くなる分、方向によっては使用者の手元に暗い影が生じやすいという問題があった。なお、図7においては、説明の簡略化のため、光源からの直接光によって生ずる影のみを対象とした。更に、これらの蛍光灯では、直下の照度が極めて高いものの、その周囲との照度差が比較的大きいので、目が疲れやすいという問題があった。
【0004】
一方、一般的な蛍光灯として、FCL型と呼ばれる環状蛍光灯がある。このような環状蛍光灯は、一般的には、天井に取り付けて使用される照明器具等で用いられ、机上等で使用される電気スタンド等では用いられなかった。これは、このようなFCL型蛍光灯を電気スタンドに用いた場合、灯具部分が大きくなってしまうためである。ところで、FHC型と呼ばれる高周波点灯専用の環状蛍光灯がある。このFHC型蛍光灯は、同ワット数のFCL型に比べて管径が細く形成されているので、FHC型蛍光灯を用いることで、従来では困難であった環状蛍光灯を用いた机上用の電気スタンドを容易に実現させることができるようになる。そして、環状蛍光灯を机上用の電気スタンドに用いることで、図7に示すように、あらゆる方向で使用者の手元に暗い影が生じにくくすることができる。また、上記各種蛍光灯と比較して、広い範囲を照射できる分、相対的に直下とその周囲との照度差が小さくなり、比較的目に優しい電気スタンドを実現することが期待できる。
【0005】
しかしながら、このような環状蛍光灯を電気スタンドに用いる場合、従来の電気スタンドのように、前記灯具を構成するセードの下方から環状蛍光灯を取り付けるように構成すると、FPL型やFML型等に比べて、蛍光灯の管を保持する個所が多くならざるを得ないばかりでなく、蛍光灯の口金ピンが環の内側に傾いて突設しているので、セードの下方から操作したのでは蛍光灯の着脱が煩雑であるばかりでなく、前記ソケットに接続された電気コードが剥き出しになって見苦しくなってしまう虞があった。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決し、環状蛍光灯の着脱が行いやすく、電気コードが剥き出しとならない電気スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の電気スタンドは、腕部と、この腕部の先端側に設けられた灯具と、この灯具に設けられたソケットに対して着脱自在に取り付けられた光源とを有する電気スタンドにおいて、前記灯具が、前記ソケットを収容する収容部と、この収容部と一体的に設けられた下セード体と、前記収容部及び下セード体の上方に着脱自在に取り付けられる上セード体とを有して構成されていると共に、前記光源が環状蛍光灯であることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の電気スタンドは、請求項1において、前記収容部が上方開口の開口部を有していると共に、この開口部から前記ソケットが出没自在に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
更に、本発明の請求項3に記載の電気スタンドは、請求項1乃至2において、前記上セード体及び下セード体が略環状に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の電気スタンドは、以上のように構成することにより、前記灯具から上セード体を取り外し、前記収容部に設けられたソケットに前記環状蛍光灯の内側に傾いて突設した口金ピンを接続し、前記環状蛍光灯を前記下セード体に取り付け、この下セード体に前記上セード体を再び取り付けることで、前記灯具に前記光源としての環状蛍光灯を簡単に取り付けることができる。そして、前記光源を環状蛍光灯とすることで、使用者の手元に生ずる暗い影の範囲を狭くすることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の電気スタンドは、以上のように構成することにより、前記収容部から前記ソケットを引き出すことで、このソケットに前記環状蛍光灯の口金ピンを容易に接続することができるばかりでなく、前記環状蛍光灯の口金ピンが接続された前記ソケットを前記収容部に収容することで、前記ソケットが露出せず、外観を良好にすることができる。
【0012】
更に、本発明の請求項3に記載の電気スタンドは、以上のように構成することにより、前記環状蛍光灯から内側に向けて放射された光を、環状の上セード体及び下セード体によって下方に導くことで、前記環状蛍光灯から放射された光を有効に利用して机上等を良好に照明することができる。また、前記灯具が略環状である、即ち前記灯具の中央に大きな穴が形成されていることで、前記灯具全体の重量を軽くすることができる。また、前記灯具を動かす際に、この灯具を掴み易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図6に基づいて説明する。なお、図2において、図面の右側が前である。1は電気スタンドである。この電気スタンド1は、平坦な形状の基部2と、この基部2の後方に立設された支柱部3と、この支柱部3の上部に設けられた関節部4と、この関節部4によって前記支柱部3に対して基端が揺動自在に取り付けられた腕部5と、この腕部5の先端に取り付けられた関節部6と、この関節部によって前記腕部5に対して基端が揺動自在に取り付けられた灯具7とで構成されている。そして、前記支柱部3の内部には、後述する光源としての蛍光灯13を点灯させるための図示しない点灯回路が収容されていると共に、前記支柱部3の前方には、前記点灯回路のためのスイッチ8が設けられている。
【0014】
前記灯具7について詳述する。この灯具7は、収容部9と、この収容部9と一体に設けられた下セード体10と、これら収容部9及び下セード体10を上方から覆う上セード体11と、前記収容部9内に設けられたソケット12と、このソケット12に対して着脱自在に取り付けられる光源たる環状蛍光灯13とを有して構成されている。前記収容部9は、その下端部が前記関節部6を介して前記腕部5の先端に接続されている。また、前記収容部9は上方に開口部9Aが形成されており、この開口部9Aから前記ソケット12が出没自在に設けられている。なお、前記ソケット12は、取付体14によって、前記環状蛍光灯13の口金ピンを接続する接続部位12Aが後斜め上を向いた姿勢で保持されると共に、この姿勢を保ったまま、前記収容部9に形成されたガイド溝9Bに沿って上下方向に摺動可能に取り付けられている。即ち、前記取付体14によって前記ソケット12が上下方向に摺動することで、前記ソケット12が前記収容部9に対して出没する。なお、図4及び5では記載を一部省略したが、前記点灯回路とソケット12の間には、前記支柱部3から前記関節部4、前記腕部5、前記関節部6を経て前記収容部9に至る電気コード12Bが設けられている。また、前記したセード体10は略環状に形成されており、前記収容部9と同様に上方が開口していると共に、下方に前記環状蛍光灯13から放射された光が通過する透光部15が形成されている。更に、前記下セード体10には、前記環状蛍光灯13を保持するための複数の保持体16が設けられている。また、前記上セード体11は、前記下セード体10と同様に、略環状に形成されており、下方が開口していると共に、内周側に放熱用のスリット17が形成されている。更に、前記上セード体11には、前記環状蛍光灯13から放射された光を反射するための反射板18が取り付けられている。そして、上方が開口した前記収容部9と下セード体10に、下方が開口した前記上セード体11を取り付けることで形成された環状の空間S内に、前記環状蛍光灯13が収容されることになる。なお、前記環状蛍光灯13は、FHC型と呼ばれる高周波点灯専用のものである。
【0015】
次に、本発明の作用について説明する。まず、使用者は前記灯具7に環状蛍光灯13を取り付ける。この際、まず使用者は、前記灯具7から環状の前記上セード体11を取り外す。そして、前記収容部9内に収容された前記取付体14を前記ガイド溝9Bに沿って引き上げることで、前記ソケット12に保持された前記取付体14を前記収容部9の開口部9Aから引き出す。そして、前記収容部9の開口部9Aから引き出された前記ソケット12の接続部位12Aに、前記環状蛍光灯13の環の内側に傾いて突設された図示しない口金ピンを接続する。そして、この口金ピンが接続された前記環状蛍光灯13は、前記ソケット12を前記取付体14ごと前記収容部9内に戻すことで、口金の周囲が前記収容部9の上部開口位置に配置されると共に、発光する管部分が前記保持体16によって複数個所で保持されることで、発光する管部分が前記下セード体10の上部開口位置に配置されることになる。更に、前記環状蛍光灯13を上方から覆うように、前記上セード体11を前記収容部9及び下セード体10に対して取り付け、前記環状空間S内に前記環状蛍光灯13を配置させる。なお、前記環状蛍光灯13を取り外す場合は、前述した取り付け手順を逆に行えばよいので、説明を省略する。このように、前記環状蛍光灯13を、前記上セード体11を外して前記灯具7の上方から着脱することで、前記環状蛍光灯13の着脱が容易となる。また、前記取付体14ごと前記収容部9から引き出された前記ソケット12に対して前記環状蛍光灯13の口金ピンを接続した後、前記環状蛍光灯13を前記灯具7の収容部9と下セード体10に保持させるようにしたり、逆に前記ソケット12に接続された環状蛍光灯13を前記灯具7の収容部9と下セード体10から取り外して、前記取付体14ごと前記収容部9から引き出された前記ソケット12から前記環状蛍光灯13の口金ピンを取り外したりすることで、前記環状蛍光灯13の着脱が更に容易となる。更に、前記環状蛍光灯13の口金ピンが接続された前記ソケット12が前記収容部9に収容されることで、前記ソケット12、ひいてはこのソケット12に接続された給電用の電気コードが露出せず、外観を良好にすることができる。
【0016】
このようにして前記環状蛍光灯13が前記灯具7に取り付けられた前記電気スタンド1を、机上等の任意の位置に設置し、図示しない電源コードを図示しない家庭用AC電源等に接続した後、前記スイッチ8を操作することで、前記点灯回路によって前記環状蛍光灯13が点灯される。そして、このように前記環状蛍光灯13が点灯することで、図7に示したように、使用者の手の周り等に生ずる暗い影の範囲を狭くすることができる。また、前記上セード体11及び下セード体10が略環状に構成されていることで、環の内側に向けて放射された光を、略環状上セード体11及び下セード体10、並びに前記上セード体11に取り付けられた略環状の前記反射板18によって下方に反射させることができるので、前記環状蛍光灯13から放射された光を有効に利用して机上等を良好に照明することができる。また、前記上セード体11及び下セード体10が略環状に形成されていることで、前記灯具7が全体として略環状に形成され、中央に大きな穴状の空間が生じるので、光源が比較的大きいにも拘わらず前記灯具7の重量を比較的軽くすることができるばかりでなく、使用者が前記灯具7を掴み易いので、この灯具7を容易に任意の位置に動かすことができる。更に、使用者が細かい作業をする場合など、前記灯具7の中央の穴を通して作業中の手元等を見ることで、手元を明るく照らすことができるばかりでなく、前記環状蛍光灯13からの直接光が目に入らないようにして眩しさを抑えることができる。なお、前記上セード体11の内周側には、放熱用の前記スリット17が形成されているが、このスリット17を前記上セード体11の内側から覆うように前記反射板18が設けられているので、前記環状蛍光灯13から放射された光が前記スリット17から漏れないようにすることができる。
【0017】
以上のように本発明は、腕部5の先端側に設けられた灯具7を、ソケット12を収容する収容部9と、この収容部9と一体的に設けられた下セード体10と、前記収容部9及び下セード体10の上方に着脱自在に取り付けられる上セード体11とを有して構成し、前記ソケット12に光源としての環状蛍光灯13を接続し、この環状蛍光灯13を前記収容部9、下セード体10及び上セード体11によって形成された環状の空間S内に収容することで、前記環状蛍光灯13から放射された光によって、使用者の手元に生ずる暗い影の範囲を狭くすることができると共に、前記灯具7の上方から前記環状蛍光灯13を簡単に着脱することができるものである。
【0018】
また本発明は、前記収容部9が上方開口の開口部を有していると共に、この開口部から前記ソケット12が出没自在に設けられていることで、前記収容部9の開口部9Aから前記ソケット12を引き出して、このソケット12に前記環状蛍光灯13の口金ピンを容易に接続することができるばかりでなく、前記環状蛍光灯13の口金ピンが接続された前記ソケット12を前記収容部9に収容することで、前記ソケット12が露出せず、外観を良好にすることができるものである。
【0019】
更に本発明は、前記上セード体11及び下セード体10を略環状に形成したことで、前記環状蛍光灯13から内側に向けて放射された光を、略環状の上セード体11及び下セード体10によって下方に導くことで、前記環状蛍光灯13から放射された光を有効に利用して机上等を良好に照明することができ、また、前記灯具7が略環状となる、即ち前記灯具7の中央に大きな穴が形成されることで、前記灯具7全体の重量を軽くすることができ、また、前記灯具7を動かす際に、この灯具7を掴み易くすることができるものである。
【0020】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、光源としてFHC型の環状蛍光灯を用いたが、これ以外のもの、例えば、高周波点灯専用の二重環状蛍光灯(FHD型)を用いてもよく、また、灯具が若干大型化するという欠点を許容するなら、FCL型を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の電気スタンドの構造は、机上に載置して使用するタイプの電気スタンドに適用できる他に、机等に固定して使用するタイプの電気スタンドにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す電気スタンドの正面図である。
【図2】同上、側面図である。
【図3】同上、平面図である。
【図4】同上、灯具の拡大断面図である。
【図5】同上、上セード体を取り外してソケットを引き出した状態の灯具の拡大断面図である。
【図6】同上、上セード体を取り外した状態の灯具の拡大平面図である。
【図7】各種蛍光灯を用いた場合の影の生じ方を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 電気スタンド
5 腕部
7 灯具
9 収容部
9A 開口部
9B ガイド溝
10 下セード体
11 上セード体
12 ソケット
13 環状蛍光灯(光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕部と、この腕部の先端側に設けられた灯具と、この灯具に設けられたソケットに対して着脱自在に取り付けられた光源とを有する電気スタンドにおいて、
前記灯具が、前記ソケットを収容する収容部と、この収容部と一体的に設けられた下セード体と、前記収容部及び下セード体の上方に着脱自在に取り付けられる上セード体とを有して構成されていると共に、前記光源が環状蛍光灯であることを特徴とする電気スタンド。
【請求項2】
前記収容部が上方開口の開口部を有していると共に、この開口部から前記ソケットが出没自在に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気スタンド。
【請求項3】
前記上セード体及び下セード体が略環状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至2記載の電気スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−269132(P2006−269132A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82618(P2005−82618)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】