説明

電気チェーンブロック

【課題】チェーンの摩耗状態を容易に検査が行える電気チェーンブロックを提供する。
【解決手段】ロードチェーンの新規な状態で所定の長さを、任意の回転軸へ取り付け可能なロータリエンコーダによりパルス数として把握し、このパルス数よりチェーンの使用限界値を算出して求め、使用中のチェーンの所定の長さのパルス数を計測し、該パルス数と使用限界値とを比較し、使用限界値に近くなるか又は超えたらチェーンを交換するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気チェーンブロックに関し、リンクチェーンからなるロードチェーンの摩耗等による寿命を判断する機能を備えた電気チェーンブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気チェーンブロックは、モータに通電されるとブレーキにも同時に通電されブレーキが開放し、モータが回転を開始する。モータの回転は、減速機で所定の回転速度に減速され、最終減速段と連結されたスプロケットによりロードチェーンへ回転を伝達し、ロードチェーンを介してロードブロックの巻き上げ、巻下げを行い、ロードチェーンの一端に取り付けられたフックに吊り下げられた荷物を上昇したり、下降したりする装置である。
【0003】
ロードチェーンは、電気チェーン本体に取り付けられたチェーンバケットにロードブロックと反対側のロードチェーンが収納される。
【0004】
電気チェーンブロックは、重荷重の荷物を巻上げるため、ロードチェーンはリンク同士およびチェーンを巻き取るスプロケットとの接触で摩耗し、所定の摩耗が進行するとチェーンの破断に繋がる。そのため、摩耗を抑制するために、特許文献1(特開2010−064829)のように、チェーンに対して潤滑のためのグリースまたはオイル等の潤滑剤を塗布する必要がある。
【0005】
チェーンの破断原因の多くは、チェーンが摩耗することによってチェーン内側の長手方向寸法(以下、ピッチという)が長くなり、これによりスプロケットとの噛み合わせにずれが生じ、最終的にはスプロケットの所定の位置にチェーンが納まることができずにスプロケットがチェーンを巻き取ることができず、本体内部でチェーンが絡まったロック状態になり、これによりモータの最大トルクによりチェーンが強制的に破断させられることである。チェーンの破断を避けるため、定期自主検査においてノギスなどの測定器具を用いチェーンのピッチを測定する必要があるが、簡易的に検査を行なうため専用のチェーンゲージを用いて判断することが一般的である。例えば、特許文献2(特開2000−074604号)参照。
【0006】
電気チェーンブロックにおいて、ロードチェーンは最重要部品であるため、クレーン構造規格によりチェーンのピッチは初期状態の5%以内であることが定められており、定期自主検査において測定管理することでチェーンの予防保全を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−064829号公報
【特許文献2】特開2000−074604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、チェーンの摩耗を抑制するため潤滑剤を塗布することが記載されているが、ロードチェーンを頻繁に使用するとチェーン内側の摩耗は避けられない。
【0009】
また、特許文献2の場合、チェーンのチェーンゲージによる検査ではチェーンの摩耗状態が規定内か、規定の範囲を超えているかの二通りの判断しかできない。つまり、超重荷重を揚荷している電気チェーンブロックの場合、摩耗測定時は摩耗が規定内であったとしても、摩耗の進行が軽荷重を揚荷している場合に比べ早い為、チェーンのリンクの検査の頻度を増さなければならない。また、チェーンゲージを使用しての検査では作業者によってバラツキができてしまう場合がある為、一律した安全管理が行ないにくい。そしてまた、電気チェーンブロックは一般的に高所に設置される場合が多く、作業者がチェーンの全
長を全て検査することは作業者にとって大変負担となる。
【0010】
本発明の目的は、チェーンの摩耗状態を容易に検査が行なえるチェーンの寿命判断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、回転するモータと、該モータにより駆動回転するスプロケットと、前記モータ及び該スプロケットを備えた本体部と、前記スプロケットに係合されたロードチェーンに連結されたロードブロックと、前記ロードチェーンを駆動制御する押ボタンを具備した電気チェーンブロックにおいて、任意の回転軸へ取り付け可能な回転数を検出する回転検出手段を設け、新規のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段で検出し、記録し、使用中のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段で検出し、前記新規のロードチェーンの回転検出した値と、前記使用中のロードチェーンの回転検出した値とを比較し、前記ロードチェーンの使用限界を判断することを特徴とする。
【0012】
また、上記の電気チェーンブロックにおいて、前記新規のロードチェーンの所定に長さを回転検出して計測した値を基に、摩耗によるロードチェーンの使用限界値を求め、該使用限界値を基準としたことを特徴とする。
また、上記の電気チェーンブロックにおいて、前記使用中のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段で計測した値と、前記新規のロードチェーンの場合の使用限界値とを比較し、前記使用中のロードチェーンの場合が5%近傍に達したら、前記ロードチェーンを交換することを特徴とする。
さらに、上記の電気チェーンブロックにおいて、前記新規の場合及び使用中の場合のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段にて検出する際、検出した日時及び検出した値を記憶装置に記憶することを特徴とする。
【0013】
また、上記の電気チェーンブロックにおいて、前記新規のロードチェーンの所定に長さを回転検出して計測した値を基に、摩耗によるロードチェーンの使用限界値を求め、該使用限界値を基準と、前記使用中のロードチェーンの所定に長さを前記回転検出手段で検出した値とを比較し、該比較した結果を前記押ボタンスイッチに表示することを特徴とする。
また、上記の電気チェーンブロックにおいて、前記押ボタンには、前記ロードチェーンの摩耗寿命を計測するボタンを設置したことを特徴とする。
さらに、上記の電気チェーンブロックにおいて、前記ロードチェーンの所定の長さを計測する回転検知手段は、ロータリエンコーダであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業者が特別な器具を用いることなくチェーン寿命の点検が容易に行なえるチェーン寿命判断装置が実現することができ、さらには、作業者の検査のバラツキをなくし一律したチェーンの安全管理が行なえる。また、高所での危険な作業も不要となり、安全にチェーンの寿命判断が可能となる。また、定期的に検査を行なうことで使用状況によってのチェーンの摩耗による使用限界の時期を予測しチェーンを安全に交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電気チェーンブロックの全体を示す正面図及び側面図である。
【図2】本発明の電気チェーンブロックのロードチェーンとスプロケットの箇所の部分図を示す。
【図3】ロードチェーンの部分図を示す。
【図4】本発明のロードチェーンの寿命を判断するハードウエアを示す図である。
【図5】本発明のロードチェーンの寿命を判断するソフトウエアで、チェーンの使用限界値を算出するフローチャートである。
【図6】本発明のロードチェーンの寿命を判断するソフトウエアで、使用中のチェーンの寿命を判断するフローチャートである。
【図7】ロードチェーンの寿命判断の結果を表示する表示部を設けた押ボタンスイッチを示す図である。
【図8】ロードチェーンの寿命判断の結果で、パルス数を表示する表示部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の電気チェーンブロックの全体を示す図で、図1(a)は正面図で、図1(b)は側面図である。図1において、1はモータ、2はブレーキ、3は減速機、4はロードチェーン、5はスプロケット、6はフック、7はチェーンバケット、8は押ボタンスイッチ、9は横行装置である。モータ1は、高性能モータを採用し、ブレーキ2は制動力に優れた直流式電磁ブレーキなどを採用している。減速機3は、モータ1の回転をギアを用いて所定の回転速度に減速するものである。ロードチェーン4は、表面が硬く、靭性、耐摩耗性に優れた材質のものを使用している。スプロケット5は、高精度の機械加工、
高い熱処理技術を施し、ロードチェーン4と円滑な巻き取りを実現している。フック6は、玉掛けワイヤの外れ止めを設け、ボールベアリングの支持によって容易に回転でき、ロードチェーン4のねじれを防止していている。チェーンバケット7は、強化プラスチック製や鋼板製で、チェーンオイルのしみ出しを防止している。押ボタンスイッチ8は、プラスチック製全閉型を採用し、ボタン操作によりフック6を上昇、下降したり、チェーンブロック本体を横行させることができる。また、後で説明するが、ロードチェーンの寿命判断の結果について表示する表示器や寿命判断ボタンなどを配置している。横行装置9は、
電気チェーンブロックを横行移動できる装置で、例えば、電気トロリ式などがあり、トロリモータによりトロリを横行レール上を走行させ、移動する構成となっている。
【0018】
電気チェーンブロックは、押しボタンスイッチ8の操作ボタンの押込みにより、モータ1に通電されると同時に、ブレーキ2にも通電されてブレーキ2が開放し、モータ1が回転を開始する。このブレーキ2は押しバネの押圧力をレバーによるテコの原理で拡大しブレーキディスクの押圧力を得て電磁石に通電することでレバーを引き戻してブレーキ2を開放する電磁ブレーキである。次に、このモータ1の回転は、減速機3のギヤ比によって所定の回転速度に減速され、最終減速段と連結されたスプロケット5により回転をチェーン4に伝達し、ロードチェーン4を介して、フック6の巻上げ、あるいは巻下げを行い、
吊荷を巻上げ、あるいは巻下げするものである。巻上、巻下により使用していない部分のロードチェーン4はチェーンバケット7に格納される。また、押しボタンスイッチ8の操作ボタンの押込みにより、横行装置9で電気チェーンブロックを横行移動させることができる。
【0019】
次に、電気チェーンブロックのロードチェーンとスプロケットの関係について説明する。図2は、電気チェーンブロックのロードチェーンとスプロケットの関係を示した図である。
【0020】
ロードチェーン4は、一般に外形が長円形状をしており、スプロケット5はこのロードチェーン4の長円形状の部分が嵌るように凹み形状を円周に形成している。このような構成によりスプロケット5が回転すると、ロードチェーン4の個々のチェーンはスプロケット5の凹みに嵌りスムーズに回転し、フックを上昇したり下降したりする。しかし、ロードチェーン4が摩耗し伸びたりすると、スプロケット5の凹みに嵌らなくなり、チェーンが絡まったりしてロックすることが生じ、作業に支障をきたすことになる。
【0021】
図3は、ロードチェーンの部分を示す図で、図3(a)はロードチェーン1個の線形、ピッチ、全長等を表し、図3(b)はチェーンの摩耗した状態を示している。ロードチェーン4は、基本的にJIS B 8812規格に準拠したチェーンを採用し、例えばチェーンの線径(d)が10mmであれば、ピッチ(p)は30mm、内面幅(a)は12.5mm以上、外面幅(b)は35.0mm以下である。また、電気チェーンブロックのロードチェーンの揚程は、3m、6m、10m、28m、外それ以上のものがある。
【0022】
図3(b)において、点線10はロードチェーンが新規の状態の場合の内側を示し、実線11はチェーンブロックを使用して内側が摩耗した状態を示している。ロードチェーン4は、頻繁に使用すると、隣り合うチェーンの摩擦などで内側の円弧状の部分が摩耗して、ピッチ(p)が大きくなりチェーンの全体の長さが伸びる。また、上記の通り、伸びが5%以上になると廃棄する基準になっている。従って、本発明は、ロードチェーンの伸びが5%に近くなったのを検出し、新規なチェーンに取り換えることである。
【0023】
次に、ロードチェーンの寿命について説明する。
【0024】
図4は、本発明のロードチェーンの寿命を判断するハードウエアである。
図4において、12は三相電源、8は押ボタンスイッチ、13はインバータ、14はインバータ出力部、15はインバータ制御部、17は制御演算部でCPUで構成され、18は記憶部、19は表示部である。1はモータで、20は任意の回転軸へ取り付け可能なロータリエンコーダである。21はロードチェーンの摩耗による寿命を判断する寿命判断装置である。寿命判断装置21は、CPU22,記憶部23,及び表示部24より構成する。
【0025】
モータ1は、インバータ13に格納されインバータ制御部15により制御される。即ち作業者が操作入力装置からの所定の指示を入力すると、インバータ制御部15はインバータ出力部14を制御し、インバータ制御部15から制御に必要な周波数、電圧、電流をモータ1に加え、同時にブレーキ2を制御することで電気チェーンブロックの動作を開始する。
また、インバータ制御部15は、制御演算部17、記憶部18、および表示部19を有する。エンコーダ20は、任意の回転軸の回転量に応じてパルスを生成する。寿命判断装置21の記憶部23は、ロードチェーン4の寿命判断の際に計測したパルス数を記憶しておく部分である。
【0026】
また記憶部23には基準となるロードチェーン4の初期状態におけるパルス数より計算にて求めたロードチェーン4の摩耗限界値におけるパルス数を記憶させておき、チェーン4の寿命判断の際の判断基準としている。
寿命判断装置21の表示部24は、ロードチェーン4の使用状況、寿命判断の結果、過去測定しているパルス数などを表示する。
【0027】
ここで、ロードチェーンの長さとロータリエンコーダのパルス数について説明する。
【0028】
ロードチェーンの一例として、揚程6m、線径(d)が10mmのロードチェーンの場合、JIS B 8812規格により、ピッチ(p)は30mm、チェーン1個の全長は50mmとなります。従って、ロードチェーンの繰り返し長さは30mmとなり、揚程6mであればチェーン数は199個になる。
また、線径(d)が10mmの場合、電気チェーンブロックは電源周波数60Hzで、巻上げ速度が0.137m/secであるとすると6mを巻上るために43.8sec掛かる。また、この43.8secをモータの仕様を1800rpm/minとすると約1314回転する。
従って、任意の回転軸へ取付可能なロータリエンコーダをモータ軸へ取り付けた場合、軸一回転で12パルス出力するものを採用すると、パルス数約15768個が揚程6mの新規のロードチェーンのパルス数となる。また、減速機で1/20へ減速された歯車軸へロータリエンコーダを取り付けた場合は、788個が揚程6mの新規のロードチェーンのパルス数となる。よってこのパルス数の5%の数値が使用限界値となる。
【0029】
次に、ロードチェーンの寿命判断について説明する。図5は、本発明のロードチェーンの寿命を判断するソフトウエアで、ロードチェーンの使用限界値を算出し、記憶するフローチャートを示す。
図5において、先ず、ロードチェーンは新規かどうかを判断する(ステップS10)。新規でなければ終了する。ロードチェーンが新規であれば、ロードチェーン基準設定モードに設定する(ステップS11)。このロードチェーン基準設定モードでは新規のロードチェーンの基準となる所定の長さを計測し、その長さよりロードチェーンの使用限界値(A)を算出し、求めるモードである。また、このロードチェーン基準設定モードに入るには、押ボタンスイッチ8には図示していないが、押ボタンスイッチ8にロードチェーン基準設定モードボタンを配置し、新規のロードチェーンに交換したときなどにこのボタンを押
して使用限界値を求め、後述する寿命判断時に判断基準にする。
【0030】
また、本発明は、新規のロードチェーンの基準となる長さを、任意の回転軸へ取付けたロータリエンコーダのパルス数を計測することで検出する構成としている。従って、次に、ロードチェーン駆動の開始信号か、すなわち計測開始かを判断する(ステップS12)。開始信号でなければ、開始信号がくるまで待つ。開始信号でれば、ロータリエンコーダからのパルスをカウント(インクメント)する(ステップS13)。次に、ロードチェーン駆動の終了信号か、すなわち計測終了かを判断する(ステップS14)。終了信号でなければ、ステップ13に戻り、ロータリエンコーダのパルスをカウント(インクリメント)する。ロードチェーン駆動の終了信号があれば、ロータリエンコーダのパルスのカウントを終了し、ロードチェーンの長さの基準となるパルス数を記憶部に記憶し、格納する。また、その計測した日付けも併せて記憶部記憶し格納する(ステップS15)。次に、上記のロードチェーンの長さの基準となるパルス数よりロードチェーンの使用限界値(A)を算出し、記憶部へ記憶し格納する(ステップS16)。ここで、計測開始から計測終了までの時間は常に一定である。以上が、新規のロードチェーンの使用限界値を求めるフローチャートの説明である。
【0031】
次に、図6を用いてロードチェーンの寿命を判断するフローチャートについて説明する。先ず、ロードチェーンの寿命モードのボタンが押されたかを判断する(ステップS20)。ボタンが押されていなければ通常運転モード(ステップS29)へいく。寿命モードのボタンが押されたらロードチェーン寿命モードに設定する(ステップS21)。ロードチェーン寿命モードに設定されると、使用中のロードチェーンの長さを、図5のステップS12、ステップS13、ステップS14と同じ方法で、押ボタンを操作してロードチェーンのフック上限位置から下限位置まで運転し(ステップS22)、ロードチェーンの所定の長さをロータリエンコーダでパスル数(B)を計測する(ステップS23)。ここで、使用中とは、ユーザが新規に電気チェーンブロックを購入したあと及びロードチェーンを交換したあとの以外を指していて、荷物の昇降を行っている時を指している。そして、計測中は荷物は吊り下げていないが、チェーンの弛みをなくすために重りを吊り下げても良い。使用中のロードチェーンの所定の長さをロータリエンコーダで計測したパルス数(B)と、図5で計測し求めた使用限界値(A)とを比較する(ステップS24)。そして、使用中のロードチェーンの計測パルス数が使用限界値より小であれば、計測した日付と計測パルス数を記憶部に記憶し、計測パルス数は表示したりする(ステップS25)。使用中のロードチェーンの計測パルス数が、使用限界値より大であれば、電気チェーンブロックの運転を停止してロードチェーンを新規なものと交換する警報を出す(ステップS26)。そして、ユーザは、ロードチェーンを新規なものと交換する(ステップS27)。交換した新規のロードチェーンは、基準パルス数を計測し、使用限界値を算出して求める図5に示すフローチャートへジャンプして、使用限界値を算出して求め、使用限界値を記憶部へ記憶し、格納する(ステップS28)。新規のロードチェーンで、使用限界値を求めたら通常の運転モードに戻る(ステップS29)。
【0032】
図7は、押ボタンスイッチ8にロードチェーンの寿命の判断の結果を表示する表示を設置した一例を示している。図7において、30はロードチェーンの寿命判断モードボタンで、31はロードチェーンの寿命判断モードの結果を示す表示ランプを示す。表示ランプ31は、例えば、図6の計測パルス数が、図5で求めた使用限界値より余裕を持って小さい場合は「青」、余裕があまりなく5〜10%であれば「黄」、余裕がない(0〜5%)場合「赤」に点灯し、使用限界値をオーバしていたら「赤色」が点滅し警告を発するようにする。また、同時に小さいスピーカを設けて警報を発して、ロードチェーンの取り換えを知らせることも可能である。
【0033】
外に、押ボタンスイッチ8に、図8に示すような表示器40を配置して、パルス数を表示しても良い。表示器40は、7セグメントLED表示部41、ボタン43から構成されており、7セグメントLED表示部41は、4つの7セグメントLEDを有し、4桁の数字を表示することができる。ボタン42は、7セグメントLED表示部への表示内容を操作するためのボタンスイッチである。32は、通常運転モード時に使用する押ボタンで、ロードチェーンの上昇、下降のための上昇ボタン、下降ボタンを配置し、電気チェーンブロック本体を横行移動するための右移動ボタン、及び左移動ボタンを配置している。
【0034】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたチェーン寿命判断装置の実施例に限定されるものではなく、他のチェーン寿命判断装置にも適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1‥モータ 2‥ブレーキ 3‥減速機
4‥ロードチェーン 5‥スプロケット 6‥フック
7‥チェーンバケット 8‥押ボタンスイッチ 9‥横行装置
20‥ロータリエンコーダ 21‥寿命判断装置 22‥CPU
22‥記憶部 23‥表示部
30‥寿命判断モードボタン 31‥表示ランプ
41‥7セグメントLED表示部 42‥LED表示操作ボタンスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するモータと、該モータにより駆動回転するスプロケットと、前記モータ及び該スプロケットを備えた本体部と、前記スプロケットに係合されたロードチェーンに連結されたロードブロックと、前記ロードチェーンを駆動制御する押ボタンを具備した電気チェーンブロックにおいて、
任意の回転軸へ取り付け可能な回転数を検出する回転検出手段を設け、新規のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段で検出し、記録し、使用中のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段で検出し、前記新規のロードチェーンの回転検出した値と、前記使用中のロードチェーンの回転検出した値とを比較し、前記ロードチェーンの使用限界を判断することを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項2】
請求項1記載の電気チェーンブロックにおいて、
前記新規のロードチェーンの所定に長さを回転検出して計測した値を基に、摩耗によるロードチェーンの使用限界値を求め、該使用限界値を基準としたことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項3】
請求項2記載の電気チェーンブロックにおいて、
前記使用中のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段で計測した値と、前記新規のロードチェーンの場合の使用限界値とを比較し、前記使用中のロードチェーンの場合が5%近傍に達したら、前記ロードチェーンを交換することを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項4】
請求項1記載の電気チェーンブロックにおいて、
前記新規の場合及び使用中の場合のロードチェーンの所定の長さを前記回転検出手段にて検出する際、検出した日時及び検出した値を記憶装置に記憶することを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項5】
請求項1記載の電気チェーンブロックにおいて、
前記新規のロードチェーンの所定に長さを回転検出して計測した値を基に、摩耗によるロードチェーンの使用限界値を求め、該使用限界値を基準と、前記使用中のロードチェーンの所定に長さを前記回転検出手段で検出した値とを比較し、該比較した結果を前記押ボタンに表示することを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項6】
請求項1記載の電気チェーンブロックにおいて、
前記押ボタンには、前記ロードチェーンの摩耗寿命を計測するボタンを設置したことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項7】
請求項1記載の電気チェーンブロックにおいて、
前記ロードチェーンの所定の長さを計測する回転検知手段は、任意の回転軸へ取り付け可能なロータリエンコーダであることを特徴とする電気チェーンブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−10634(P2013−10634A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254671(P2011−254671)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)