説明

電気デバイス集合体

【課題】電気デバイス集合体の安全性をより一層向上させる。
【解決手段】ベース部材2上に配置された電気モジュール6A、6Bがカバー25によって覆われた電池パック1であって、ベース部材2に設けられたヒューズ装着部21と、ヒューズ装着部21に設けられた一対の端子22、23と、カバー25に設けられ、ヒューズ装着部21に連通する開口部27と、ヒューズ装着部21に着脱可能なヒューズホルダ30によって保持され、該ヒューズホルダ30がヒューズ装着部21に装着されると、一対の端子22、23間を電気接続させるヒューズ20と、ヒューズ装着部21に装着されたヒューズホルダ30を固定する螺子42とを有し、螺子42はカバー25を貫通してベース部材2に形成されている螺子孔41に螺合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能なデバイス要素がフィルムによって被覆されたフィルム外装電気デバイスに関するものであり、特に、複数のフィルム外装電気デバイスからなる電気デバイス集合体の安全性を向上させるための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電気デバイスを備えた機器や装置の分野では、電気回路や電気配線の途中にヒューズを配置して安全性の向上を図ることが常套手段となっている。例えば、特許文献1には、充放電可能な電気デバイスの一つである自動車用バッテリを所定の電気回路に接続させるためのバッテリ接続部材であって、ヒューズを備えたものが開示されている。このバッテリ接続部材は、ヒューズが収容されたヒューズボックスを着脱可能なベース部と、このベース部を受入可能なケース部と、ケース部に受入られたベース部を覆うカバー部とを有する。ケース部には、ベース部に装着されているヒューズボックスを収容するボックス収容部が設けられ、このボックス収容部には、ヒューズボックスを取り外す方向に作業空間閉止部が設けられている。そして、ケース部とベース部との組み付けを解離しなければ、作業空間閉止部によるボックス収容部の閉止を解除することができない。さらに、ケース部とベース部との組み付けを解離するためには、予めバッテリ接続部材をバッテリから取り外さなければならない。
【特許文献1】特開2004−185965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されているバッテリ接続部材によれば、ヒューズ交換に先立ってバッテリ接続部材をバッテリから取り外す必要がある。従って、ヒューズ交換時における感電等の危険性は低減され、その点では安全性が向上している。
【0004】
しかし、バッテリ接続部材をバッテリから取り外すためには、まずカバー部を取り外さなければならず、カバー部を取り外した時点で、ベース部に設けられているバスバーやバッテリターミナルなどが露出する。この時点では、ヒューズボックス(ヒューズ)は未だ取り外されておらず、上記バスバーやバッテリターミナルなどには電気が導通している。従って、カバー部を取り外してからヒューズを取り外すまでの間の作業中に感電などの事故が発生する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、ヒューズを取り外してからでなければ、導電部材を覆っているカバーを取り外すことができない構造とすることによって、電気デバイス集合体の安全性をより一層向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気デバイス集合体の一つは、充放電可能なデバイス要素がフィルムによって被覆されたフィルム外装電気デバイスがベース部材の上に複数配列され、それらフィルム外装電気デバイスがカバーによって被覆された電気デバイス集合体であって、複数のフィルム外装電気デバイスを電気接続させている電気回路の途中に設けられたヒューズと、ヒューズを所定位置に固定すると共に、カバーをベース部材に固定する固定部材とを有し、固定部材によるヒューズの固定を解除しない限り、カバーとベース部材とを分離することが不可能なことを特徴する。
【0007】
本発明の電気デバイス集合体の他の一つは、充放電可能なデバイス要素がフィルムによって被覆されたフィルム外装電気デバイスがベース部材の上に複数配列され、それらフィルム外装電気デバイスがカバーによって被覆された電気デバイス集合体であって、ベース部材に設けられたヒューズ装着部と、ヒューズ装着部に設けられた一対の端子と、カバーに設けられ、ヒューズ装着部に連通する開口部と、ヒューズ装着部に着脱可能なヒューズホルダによって保持され、該ヒューズホルダがヒューズ装着部に装着されると、上記一対の端子間を電気接続させるヒューズと、ヒューズ装着部に装着されたヒューズホルダを固定する固定部材とを有し、固定部材がカバーを貫通してベース部材に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明よれば、ヒューズを取り外してからでなれば、フィルム外装電気デバイスを覆っているカバーを取り外すことができないので、電気デバイス集合体を取り扱う上での安全性がより一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電気デバイス集合体の実施形態の一例について説明する。本例の電気デバイス集合体は、フィルム外装電池デバイスとしてのフィルム外装電池がベース部材とカバーとからなるケース内に複数個収容された電池パックである。以下、図面を参照しながら本例の電池パックの詳細について説明する。
【0010】
図1に示すように、本例の電池パック1を構成しているベース部材2は、全体として略長方形の形態を有し、その表面は隔壁3によってモジュールセット空間5を含む複数の空間に仕切られている。モジュールセット空間5には、2つの電池モジュール6A、6Bがベース部材2の長手方向に沿って並べられている。各電池モジュール6A、6Bは、図2に示すフィルム外装電池10をその厚み方向に12個積層し、積層された12個のフィルム外装電池10を図1に示すモジュールケース8内に収容して一体化(モジュール化)したものである。
【0011】
図2に示すフィルム外装電池10は、不図示の正極側活電極、負極側活電極、及び電解液を有する発電要素11を2枚のラミネートフィルム12によって気密に包装したものであり、出力電圧は約3.6[V]である。ラミネートフィルム12は、アルミニウムなどの金属フィルムと熱融着性の樹脂フィルムとを重ね合わせてなるフィルムであって、発電要素11を包囲している上下2枚のラミネートフィルム12の対向する4辺は熱融着によって気密に封止されている。
【0012】
ここで、フィルム外装電池の発電要素には、セパレータを介して積層された正極側活電極と負極側活電極とからなる積層型と、帯状の正極側活電極と負極側活電極とをセパレータを介して重ねこれを捲回した後、扁平状に圧縮することによって正極側活電極と負極側活電極とを交互に積層させた捲回型とがあり、図2に示すフィルム外装電池10の発電要素11は、上記積層型及び捲回型のいずれであってもよい。さらに、上記正極側活電極及び負極側活電極には、一般的なリチウムイオン二次電池において用いられている正極板及び負極板を用いることができる。すなわち、リチウム・マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム等の正極活物質をアルミニウム箔などの両面に塗布した正極板と、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を銅箔などの両面に塗布した負極板とを、セパレータを介して対向させ、それにリチウム塩を含む電解液を含浸させることによって発電要素11を得ることができる。もっとも、発電要素11は、正極、負極および電解質を含むものであればよく、通常の電池に用いられる任意の発電要素をそのまま、或いは適宜設計変更して適用可能である。
【0013】
各電池モジュール6A、6B内に積層状態で収容されているフィルム外装電池10は直列に電気接続されており、電池モジュール6A、6Bも直列に電気接続されている。すなわち、各電池モジュール6A、6Bの出力電圧は、約43.2(3.6×12)[V]、電池パック1としての出力電圧は約86.4(43.2×2)[V]である。
【0014】
再び図1を参照すると、フィルム外装電池10を上記のように電気接続させている不図示の電気回路の途中にはヒューズ20が設けられている。より詳細には、ベース部材2に設けられている隔壁3の所定位置には、凹状に窪んだヒューズ装着部21が形成され、該ヒューズ装着部21には上記電気回路の途中に設けられた一対の端子22、23が露出しており、ヒューズ装着部21にヒューズ20がセットされると、一対の端子22、23間がヒューズ20を介して導通するようになっている。本例の電池パック1は、ヒューズ20の取り付け構造を次のようにすることによって、該ヒューズ20を取り外さない限りカバー25を開けられない(カバー25とベース部材2とを分離することができない)ようにしたことを特徴とする。
【0015】
すなわち、カバー25の側面26には、矩形の開口部27が形成されており、ベース部材2にカバー25を被せると、開口部27がヒューズ装着部21と連通する。一方、ヒューズ20は図3に示す状態でヒューズホルダ30によって保持されている。このヒューズホルダ30は、長手方向両側に貫通孔31が形成された長方形のベースプレート32と、ベースプレート32の裏面に一体成形されたブロック状のヒューズ保持部33とを有する。ヒューズ保持部33には、ヒューズ20の本体35の径方向略半分を嵌め込み可能な凹部36が形成されており、該凹部36に本体35を嵌め込むと、本体35の両端から延在している板状電極37がヒューズ保持部33の表面に宛がわれるようになっている。さらに、ヒューズ保持部33は、図1に示す開口部27からヒューズ装着部21に嵌め込み可能な外形及び寸法を有し、ヒューズ保持部33がヒューズ装着部21に嵌め込まれると、ヒューズ保持部33によって保持されているヒューズ20の各板状電極37が端子22、23にそれぞれ接触し、一対の端子22、23間がヒューズ20を介して導通する(図4参照)。このとき、ヒューズホルダ30のベースプレート32に形成されている貫通孔31がカバー25に形成されている通孔40を介してヒューズ装着部21の長手方向両側に形成されている螺子孔41に連通する(図1)。従って、図4に示すように、貫通孔31から挿入され、通孔40を貫通した螺子42を螺子孔41に螺合させることによって、ヒューズホルダ30をベース部材2に固定することができる。換言すれば、ヒューズホルダ30とカバー25とが螺子42によってベース部材2に共締めされ、カバー25を開けるためには、螺子42を緩めてヒューズホルダ30(ヒューズ20)を予め取り外す必要がある。よって、カバー25が開けられる前に、上記電気回路の導通が必ず遮断される。
【0016】
尚、図1に示すように、ベース部材2の長辺部43には、その長手方向に沿って複数の螺子孔45が形成され、カバー25の側面26の下端には、ベース部材2に被せられたときに、螺子孔45に連通する連通孔46が形成されており、ベース部材2に被せられたカバー25は、連通孔46を介して螺子孔45に螺合された複数の螺子47によっても固定されている。
【0017】
ベース部材2にカバー25が被せられている状態では、電池モジュール6A、6Bは勿論こと、ベース部材2上に設けられているあらゆる部材がカバー25によって覆われ、外部に露出しないことは図1から明らかであるが、念のため、カバー25が被せられた状態の電池パック1の外観を図5に示す。また、図1及び図5において符号50によって示されている部材は、電池パック1を不図示の搭載面に固定するためのブラケットである。また、符号51によって示されている部材は、前記搭載面の振動が電池パック1に直に伝わることを防止するためのゴムブッシュである。
【0018】
尚、図2に示すフィルム外装電池10は、そのまま図1に示すモジュールケース8内に収容することができる他、専用のケースに個別に収容した上でモジュールケース8に収容することもできる。また、本例では、2つの電池モジュール6A、6Bを備えた電池パック1について説明したが、ベース部材2やカバー25など拡大して電池モジュールを増設することもできる。さらに、図2に示すフィルム外装電池10をモジュール化することなくベース部材2上にそのまま配置することもできる。また、図6に示すように、端子22、23と板状電極37との間にスプリング52を介在させ、該スプリング52の弾性によって端子22、23と板状電極37との接触をより確実なものとすることもできる。
【0019】
これまでは、フィルム外装電気デバイスがフィルム外装電池である場合を例にとって、本発明の実施形態を説明してきた。しかし、本発明の電気デバイス集合体を構成するフィルム外装電気デバイスは、フィルム外装電池に限られない。例えば、電気二重層キャパシタなどのキャパシタや電解コンデンサなどに代表されるキャパシタ要素のような、電気エネルギを内部に蓄積し化学反応または物理反応でガスが発生しうる電気デバイス要素を外装用のフィルムで封止したフィルム外装電気デバイスも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の電気デバイス集合体の実施形態の一例を示す分解斜視図である。
【図2】フィルム外装電気デバイスの一例であるフィルム外装電池の斜視図である。
【図3】図1に示すヒューズホルダの拡大斜視図である。
【図4】図1に示すヒューズ装着部にヒューズが装着された状態の拡大断面図である。
【図5】図1に示すベース部材にカバーが被せられた状態の斜視図である。
【図6】図1に示す電気デバイス集合体の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 電池パック
2 ベース部材
3 隔壁
5 モジュールセット空間
6A、6B 電池モジュール
8 モジュールケース
10 フィルム外装電池
20 ヒューズ
21 ヒューズ装着部
22、23 端子
25 カバー
26 側面
27 開口部
30 ヒューズホルダ
31 貫通孔
32 ベースプレート
33 ヒューズ保持部
35 本体
36 凹部
37 板状電極
38 孔
40 通孔
41 螺子孔
42 螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能なデバイス要素がフィルムによって被覆されたフィルム外装電気デバイスがベース部材の上に複数配列され、それらフィルム外装電気デバイスがカバーによって被覆された電気デバイス集合体であって、
前記複数のフィルム外装電気デバイスを電気接続させている電気回路の途中に設けられたヒューズと、前記ヒューズを所定位置に固定すると共に、前記カバーを前記ベース部材に固定する固定部材とを有し、
前記固定部材による前記ヒューズの固定を解除しない限り、前記カバーと前記ベース部材とを分離することが不可能な電気デバイス集合体。
【請求項2】
前記固定部材が前記ヒューズと前記カバーとを前記ベース部材に共締めする螺子である請求項1記載の電気デバイス集合体。
【請求項3】
充放電可能なデバイス要素がフィルムによって被覆されたフィルム外装電気デバイスがベース部材の上に複数配列され、それらフィルム外装電気デバイスがカバーによって被覆された電気デバイス集合体であって、
前記ベース部材に設けられたヒューズ装着部と、
前記ヒューズ装着部に設けられた一対の端子と、
前記カバーに設けられ、前記ヒューズ装着部に連通する開口部と、
前記ヒューズ装着部に着脱可能なヒューズホルダによって保持され、該ヒューズホルダが前記ヒューズ装着部に装着されると、前記一対の端子間を電気接続させるヒューズと、
前記ヒューズ装着部に装着された前記ヒューズホルダを固定する固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記カバーを貫通して前記ベース部材に固定されている電気デバイス集合体。
【請求項4】
前記固定部材が前記ヒューズホルダ及び前記カバーを貫通して前記ベース部材に螺合された螺子である請求項3記載の電気デバイス集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−190529(P2006−190529A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−590(P2005−590)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(302036862)NECラミリオンエナジー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】