説明

電気刺激装置、並びにこの電気刺激装置を有するフェイスマスク

電気刺激装置は、内室(21)を形成し開口部(22)を有する少なくとも1つのシェル(2)と、少なくとも一部分が開口部(22)の所で対応したシェル(2)の外側に配置されている少なくとも1つの電極(3)とを有している。この装置は、前記電極(3)が、枢支ジョイント(4)に接続されていることを特徴としている。この枢支ジョイント(4)は、少なくとも一部分がシェル(2)内にあり、枢支ジョイントの座部(41)内で可動である。前記電極(3)は、処置ゾーン(8)の解剖学的形状並びに構造に応じて枢支ジョイント(4)が座部(41)内で自由に動く結果として、シェル(2)に対して傾斜並びに移動されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉の電気刺激装置、並びにこの電気刺激装置を有するフェイスマスクに関する。
【0002】
この筋肉の電気刺激装置は、人体の多くのエリアの筋肉を受動的に運動させ得るのに通常使用される。特に、本発明は、筋緊張を回復させて老化の兆候を抑制するように、顔の筋肉を効果的に処置するのに使用される。
【背景技術】
【0003】
特許文献EP0603451に記載されているタイプの筋肉の電気刺激装置が、知られている。このような装置は、1対の電極と1つのハンドグリップとを備えた外側ケースを有している。この外側ケースは、これら電極の各々のために開口部を備えた座部を有している。ホーム位置では、前記開口部は、つる巻きばねにより所定の位置に保持された電極により閉塞され、また、前記座部は、導電性の液体を含んでいる。圧力が、処置される患者のエリアにより電極に加えられた後、ばねの抵抗は、克服される。この結果、電極は移動し、座部内に元々あった液体は流れ出し、肌を湿らせ、導電性を改善する。
【0004】
上述された筋肉の電気刺激装置は、様々な欠点を有している。
【0005】
特に、上述された1対の電極は、顔の凹凸部分で、処置されるボディの面の外形に正確に従うことができない。電極と処置される面との間の電気接触が乏しいと、使用者は不快な痛みを感じ、極端な場合には、皮膚火傷が生じる。
【0006】
一度位置されたら移動されることができないために不便で高価な接着ジェルと電極とを使用した装置が、また、知られている。このようなジェルは、また、高価であり、処置されるゾーンを汚してしまう。
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、患者が、痛み、不快感、並びに火傷を回避し得る筋肉の電気刺激装置を提供することにより、上述した欠点を克服することである。
【0008】
本発明の他の目的は、複数の電極が、人体の凹凸部分のような決定的なゾーンでさえも、処置される面の外形に従う電気刺激装置を提供することである。
【0009】
本発明の更なる他の目的は、前記電気刺激装置を有し特に使用が便利なフェイスマスクを提供することである。
【0010】
以下の説明でより明らかになるこれら並びに他の目的は、従属請求項に記載されている構造並びに機能的な特徴を有する電気刺激装置により、本発明に従って達成される。このような装置の別の実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明は、本発明の好ましい非限定的な実施形態を示している添付図面を参照して、以下により詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明は、一例として与えられ、非限定的である。
【0013】
添付図面を参照すると、符号1は、少なくとも1つのシェル2を有するタイプの筋肉の電気刺激装置を示している。前記シェル2は、内室21を有している。シェル2は、また、少なくとも1つの開口部22を有している。前記内室21は、開口部22の所に比較的小さな断面を有する傾向にある円筒形のチャンバ210の形状を有することが好ましい。また、開口部22は、シェル2の一端部に位置されることが好ましい。特に、開口部22は、円筒形のチャンバ210の基部に位置されている。電気刺激装置1は、また、少なくとも1つの電極3を有している。前記電極3は、少なくとも一部が開口部22の所でシェル2の外側に配置されている。
【0014】
この装置は、電極3が枢支ジョイント(articulated joint)4に接続されていることを特徴としている。この枢支ジョイント4は、電極3とシェル2とが、結合機能を失うことなく互いに移動し得るように、電極3とシェル2との間に枢支接続を構成している。この枢支ジョイント4は、少なくとも一部がシェル2内に配置されている。この枢支ジョイント4は、また、枢支ジョイント自体の座部41内で可動である。前記電極3は、処置ゾーン(treatment zone)8の解剖学的(anatomical)形状並びに構造に応じて枢支ジョイント4が座部41内で自由に動く結果として、シェル2に対して傾斜並びに移動されることができる。特に、好ましい非限定的な構成によれば、電気刺激装置1は、少なくとも1対の電極3と、これらに対応した複数のシェル2とを有している。このことは、例えば図2,4,5,並びに6に示されている。この構成では、ケース10が、種々の電極3のシェル2を接続している。患者の処置ゾーン8と接触する種々の電極3は、電気回路を形成するのを可能にしている。この電気回路は、電圧若しくは電流発生器に接続される。効果的には、発生される電流は、交流の脈流電流(alternating pulsing current)である。図9に示されているように、下顎、上顎、眉のアーチ部分、額のようなフェイスの凹凸部分近くでさえ、電気刺激装置1は、各電極3と処置ゾーン8との間の接触を容易にし得る。しかし、筋肉の電気刺激装置1は、また、フェイス以外のボディの部分にも使用されることができる。
【0015】
前記電極3は、使用時に処置ゾーン8近くに位置される第1の部分31を有している。この電極3は、また、第1の部分31を前記枢支ジョイント4に接続している第2の部分32を有している。
【0016】
電極3は、マッシュルームのような形状であることが効果的である。前記第1の部分31は、マッシュルームの傘部分に対応している。添付図面に示されているように、第1の部分31は、プレート状のヘッド部分311を有している。
【0017】
前記第1の部分31は、使用時に処置ゾーン8に対面する第1の面310を有している。この第1の面310は、ドーム形状であることが効果的である。代わって、第1の面310は、平らであっても良い。
【0018】
図示されている実施形態では、電極3は、前記枢支ジョイント4と一緒になって単一本体の一部を形成することができる。
【0019】
別の構成では、電極3は、例えばねじ接続により、枢支ジョイント4に取外し可能に接続されている。このため、電極3は、取り外されて、フェイス若しくはボディの特定のゾーンの処置を可能にするように特別に成形された別の電極3と取り替えられることができる。
【0020】
前記枢支ジョイント4と電極3とは、電気を伝導する材料で形成されている。電極3は、ステンレス鋼もしくはニッケルめっきされた真鍮で形成されることが効果的である。
【0021】
前記第1の面310は、良好な導電性が与えられるように各処置の前に濡らされるスポンジ部材5によりカバーされている。効果的にも、このスポンジ部材5は、水、若しくは電気を通す他の液体で濡らされる。このスポンジ部材5は、純粋なセルロース、即ち、いずれのタイプの肌アレルギーを生じさせることのない水を保持するための理想的な材料で形成されることが好ましい。
【0022】
水の使用は、安価であるため、また、処置ゾーン8を汚染しないための両方において、特に効果的である。
【0023】
前記スポンジ部材5は、電極3の前記第1の部分31に取外し可能に接続されている。
【0024】
このスポンジ部材5は、電極3の第1の部分31への接続のための支持体51に取外し不可能に接続されることが好ましい。この支持体51は、PVCの発泡体で形成されることが好ましい。スポンジ部材5と支持体51とは、産業上の接着技術により適切にカップリングされている。
【0025】
前記支持体51は、図2並びに3に示されているように、電極3の第1の部分31を囲むように、適切に打ち抜き加工により形成されている。
【0026】
前記スポンジ部材5は、汚染若しくは磨耗されたときに、定期的に取り替えられる。
【0027】
前記支持体51により、このスポンジ部材5は、容易かつ迅速に取り替えられることができる。このスポンジ部材5は、また、肌との大きな接触面を得るように成形され、かくして処置の快適さを改善している。
【0028】
電気刺激装置1全体に対する前記スポンジ部材5と支持体51とのコストが比較的低いと、これらスポンジ部材と支持体との取り替えが、電気刺激装置1が新たな患者により使用されるたびに可能である。このため、電気刺激装置は、衛生的である。
【0029】
この電気刺激装置1は、前記枢支ジョイント4を弾性的に支持する(suspend)弾性手段6を前記内室21内に有している。
【0030】
この弾性手段6は、つる巻きばね61を有している。このつる巻きばね61は、電気を伝導する材料、好ましくは金属で形成されている。このつる巻きばね61は、長手方向軸線611を有している。処置ゾーン8の肌が容易に押されたとき、前記枢支ジョイント4は、内室21内に摺動して、弾性手段6、特につる巻きばね61を圧縮する。各電極3において、電気刺激装置1は、つる巻きばね61と接触して配置された導電部材62を有している。このつる巻きばね61は、枢支ジョイント4により、電極3と電気的に接触している。前記導電部材62は、リング63を有し、このリングに、リード64が接続され、このリードは、電力供給部65に接続されている。
【0031】
前記座部41は、少なくとも一部が、前記開口部22近くのシェル2の内面23により形成されている。
【0032】
前記枢支ジョイント4は、前記つる巻きばね61の長手方向軸線611を中心として360°自由に回転することができる。このため、電極3も、また、つる巻きばね61の長手方向軸線611を中心として360°自由に回転することができる。
【0033】
図1,4,5,並びに6に示されているように、前記枢支ジョイント4は、ボールジョイントであることが効果的である。
【0034】
開口部22近くのシェル2の前記内面23は、枢支ジョイント4のための接触面230を形成している。この枢支ジョイント4は、つる巻きばね61により、前記接触面230に効果的に当接されている。この接触面230は、枢支ジョイント4に適合するように成形された面からなり、ばね61の長手方向軸線611に対して収束している。枢支ジョイント4は、ボールジョイントであることが好ましく、また、開口部22は、円形である。このような場合、開口部22の直径は、枢支ジョイント4のボールの直径よりも小さい。
【0035】
効果的には、前記電極3は、対称軸線に従って形成されている。この電極3は、動作コーンで(in an operating cone)移動されることができる。このコーンの頂点は、枢支ジョイント4の回転の中心に一致している。前記コーンの開きの最大角度は、電極3の前記第2の部分32とシェル2の前記接触面230との間の接触により決定される。
【0036】
図7に示されているように、電気刺激装置1は、処置ゾーン8に適用され得る上述されたタイプの複数の電極3を有している。特に図7では、電気刺激装置1が、同じケース10に接続された4つの電極3を有している。
【0037】
図10並びに11は、上述されたタイプの複数の電気刺激装置1を有したフェイスマスク7を示している。このように、各電極3は、顔の特定のエリアの筋肉に位置される。効果的には、マスク7は、透明である。このように、複数の電極3は、外部の操作者により、患者により要求された適用ポイントにそれぞれ正確に位置されることができる。この動作を容易にするために、効果的には、マスク7は、各電極3の所にハンドグリップ(図10並びに11に示されず)を有している。また、このマスク7では、電極3は、対をなして配置されることができる。他の構成では、シーケンスで動作し、電気パルスを送る複数の電極3がある。これら電極3をシーケンスで次ぎ次に動作させることにより、マスク7は、顔の半分に応じた各部分で、電気回路を形成する機能を有した1つだけの共有の電極3を効果的に有する。
【0038】
本発明は、重要な利点をもたらしている。
【0039】
第1に、この装置は、患者が不快な痛み若しくは壊死を回避することを可能にしている。
【0040】
第2に、この装置は、凹凸があるゾーンでさえも、ボディの種々のゾーンを均一に処置することができる。電極3のあらゆる方向への十分な移動により、電極は、処置されるエリアの形状に適合されることができる。
【0041】
他の重要な利点は、患者の肌に接触するスポンジ部材の交換に関連して、最大限衛生的な点である。
【0042】
説明された本発明は、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、変更並びに適用されることができる。
【0043】
さらに、本発明の細部の全ては、技術的に同等の他の部材により、代替されることができる。
【0044】
実際に、使用される全ての材料並びにディメンションは、必要に応じて、いずれの材料並びにディメンションであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に従った装置の断面図である。
【図2】本発明に従った装置の斜視図である。
【図3】図2に示されている構造体の細部の斜視図である。
【図4】図2に示されている装置の長手方向の断面図である。
【図5】図2に示されている装置の断面図である。
【図6】図2に示されている装置の分解図である。
【図7】本発明に従った装置の他の構成の斜視図である。
【図8】図2に示されている本発明に従った装置の適用例の図である。
【図9】図2に示されている本発明に従った装置の適用例の図である。
【図10】本発明に従った装置の更なる構成を示している。
【図11】本発明に従った装置の更なる構成を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内室(21)を形成し、少なくとも1つの開口部(22)を有している少なくとも1つのシェル(2)と、
前記開口部(22)の所で対応した前記シェルの外側に少なくとも一部分が配置されている少なくとも1つの電極(3)とを具備するタイプの電気刺激装置において、
前記電極(3)は、枢支ジョイント(4)に接続され、この枢支ジョイント(4)は、少なくとも一部分が前記シェル(2)内にあり、枢支ジョイントの座部内で可動であり、処置ゾーン(8)の解剖学的形状並びに構造に応じて枢支ジョイント(4)がこれの座部(41)内で自由に動く結果として、前記電極(3)を前記シェル(2)に対して傾斜並びに移動させ得ることを特徴とする電気刺激装置。
【請求項2】
前記電極(3)は、使用時に処置される面近くに位置される第1の部分(31)と、前記第1の部分(31)を前記枢支ジョイント(4)に接続している第2の部分(32)とを有していることを特徴とする請求項1の電気刺激装置。
【請求項3】
前記電極(3)は、マッシュルーム状に成形され、前記第1の部分(31)は、マッシュルームの傘部分に対応し、また、前記第2の部分(32)は、マッシュルームの茎部分に対応していることを特徴とする請求項2の電気刺激装置。
【請求項4】
前記第1の部分(31)は、使用時に前記処置ゾーン(8)に対面する第1の面(310)を有し、この第1の面(310)は、ドーム形状であることを特徴とする請求項2又は3の電気刺激装置。
【請求項5】
前記第1の面(310)は、良好な導電性を与えるように各処置の前に濡らされるスポンジ部材(5)によりカバーされていることを特徴とする請求項4の電気刺激装置。
【請求項6】
前記スポンジ部材(5)は、電極(3)の前記第1の部分(31)に取外し可能に接続されることを特徴とする請求項5の電気刺激装置。
【請求項7】
前記スポンジ部材(5)は、電極(3)の前記第1の部分(31)への接続のための支持体(51)に取外し不可能に接続されていることを特徴とする請求項5又は6の電気刺激装置。
【請求項8】
前記支持体(51)は、電極(3)の前記第1の部分(31)を囲むように打ち抜き加工により形成されていることを特徴とする請求項7の電気刺激装置。
【請求項9】
前記電極(3)は、前記枢支ジョイント(4)に取外し可能に接続されていることを特徴とする前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項10】
前記枢支ジョイント(4)と前記電極(3)とは、電気を伝導する材料で形成されていることを特徴とする前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項11】
前記枢支ジョイント(4)を弾性的に支持する弾性手段(6)を前記内室(21)内に具備している前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項12】
前記弾性手段(6)は、つる巻きばね(61)を含んでいることを特徴とする請求項11の電気刺激装置。
【請求項13】
前記座部(41)は、少なくとも一部分が、前記開口部(22)に近いシェル(2)の内面(23)により形成されていることを特徴とする前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項14】
前記座部(41)は、少なくとも一部分が、前記開口部(22)に最も近いコイルばね(61)により形成されていることを特徴とする前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項15】
前記枢支ジョイント(4)は、ボールジョイントであることを特徴とする前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項16】
少なくとも1対の電極(3)と、これらに夫々対応したシェル(2)とを有することを特徴とする前記全ての請求項のいずれか1の電気刺激装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1の電気刺激装置(1)を具備しているフェイスマスク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2009−515641(P2009−515641A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540793(P2008−540793)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/IT2005/000669
【国際公開番号】WO2007/057930
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508147658)ブピエッセ・イタリア・エス.アール.エル. (1)
【氏名又は名称原語表記】VUPIESSE ITALIA S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Della Lontra, 49, 47900 RIMINI, ITALY
【Fターム(参考)】