電気加熱調理器
【目的】 初期加熱時の立上がりを速くし、調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換えることができる陶磁器製内容器を用いた電気加熱調理器を得ることを目的としている。
【構成】 陶磁器製の内容器8の底面を貫通して熱良導体の受熱体11を設け、受熱体11に熱伝的に接続自在な温度制御手段17を配設し、加熱容器5の側面に高速加熱用,高温加熱用,低温加熱用の発熱体4を配設した構成により、温度制御手段17は受熱体11を介して調理物の温度を検出して高速加熱用発熱体から高温または低温加熱用発熱体に切り換えるので、初期加熱時の立上がりを速くし、調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換えることができる。
【構成】 陶磁器製の内容器8の底面を貫通して熱良導体の受熱体11を設け、受熱体11に熱伝的に接続自在な温度制御手段17を配設し、加熱容器5の側面に高速加熱用,高温加熱用,低温加熱用の発熱体4を配設した構成により、温度制御手段17は受熱体11を介して調理物の温度を検出して高速加熱用発熱体から高温または低温加熱用発熱体に切り換えるので、初期加熱時の立上がりを速くし、調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換えることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器製の内容器を用いて煮込み料理をする電気加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】陶磁器製の内容器を用いた電気加熱調理器は煮込み料理に適したものであるが、陶磁器は金属に比べて熱伝導性が悪く、調理器の内容器として使用した場合、調理物の温度を正確に検知して制御することが困難で、その改善が求められている。
【0003】以下、従来の電気加熱調理器について、図1010から図12を参照しながら説明する。
【0004】図に示すように、把手22と脚23を有するボディ24内には発熱体25が配設された加熱容器26がネジ27によって装着されている。加熱容器26内には小隙28を有して着脱自在に陶磁器製の内容器29が配設され、ガラス製の蓋30で開口が覆われている。
【0005】発熱体25は、第1の切り換えスイッチ31に接続された第1の発熱体33と第2の切り換えスイッチ32に接続された第2の発熱体34で形成されている。そして、第1および第2の発熱体32,34に通電することにより高温用加熱回路が形成されて高温加熱特性35(図12参照)が得られ、第2の発熱体34に通電することにより低温用加熱回路が形成されて低温加熱特性36が得られるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の電気加熱調理器では、図12に示したように初期加熱時の温度の立上がりがにぶく、調理によっては不具合が生じ、また、調理時間がかかるという問題があった。
【0007】このような問題に対して、初期加熱時の加熱電力を大きくし、調理物の温度を検知して加熱電力を切り換え、速やかに高温加熱特性35aが得られるように、あるいは加熱を緩めた低温加熱特性36aが得られるようにしようとした場合、内容器29を形成する陶磁器は熱伝導性が悪く、調理物の温度を正確に温度検知手段に伝達することができず、内容器29が陶磁器製である電気加熱調理器では調理に適した加熱がしにくいという問題があった。
【0008】また、温度検知手段を内容器内の調理物に挿入して調理物の温度を正確に検知する手段があるが、使用の都度着脱しなければならず、また、洗浄しなければならないため使い勝手が悪く不便なものであった。
【0009】本発明は上記問題を解決するもので、調理物の初期加熱時の温度の立上がりを速くすることができるとともに、内容器内の調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換え、調理物に適した加熱ができる電気加熱調理器を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、陶磁器からなる内容器と、前記内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体と、前記受熱体の温度を検知して動作する温度制御手段と、前記温度制御手段に接続された高速加熱用発熱体とを備えた構成としたものである。
【0011】また、高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続したものである。
【0012】また、高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、動作温度可変型温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続したものである。
【0013】さらに、温度制御手段をサーモスイッチまたはサーモスタットで形成したものである。
【0014】
【作用】本発明は上記したように、陶磁器からなる内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体の温度を検知してサーモスイッチまたはサーモスタットからなる温度制御手段が動作するようにしたことにより、温度制御手段は内容器内の調理物の温度を正確に検出して高速加熱用発熱体を制御することができる。
【0015】また、切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続したことにより、初期加熱時の温度の立上がりを速くして自動的に調理に適した加熱に切り換えることができる。
【0016】さらに、温度制御手段を動作温度可変型にしたことにより、初期加熱時の立上がり温度が可変となり、調理に適した立上がり温度に制御することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図1から図9R>9を参照しながら説明する。
【0018】図1に示すように、把手1と脚2を有するボディ3内には発熱体4が配設された加熱容器5がネジ6によって装着されている。加熱容器5内には小隙7を有して陶磁器製の内容器8が配設され、ガラス製の蓋9で開口が覆われている。
【0019】内容器8の底面には貫通孔10が設けられ、貫通孔10には熱良導体からなる受熱体11が受熱面12を内容器8内に、伝熱面13を内容器8外に臨ませて貫通して装着されている。なお、14はパッキング、15は螺着用のナットである。
【0020】加熱容器5の底面には受熱11の伝熱面13に熱伝的に接触する受感部16を有するサーモスイッチまたはサーモスタットからなる温度制御手段17が昇降自在に配設されている。
【0021】発熱体4は図2に示すように、温度制御手段17とこれに接続された高速加熱用発熱体18とからなる高速加熱回路19と、第1の切り換えスイッチ20とこれに接続された高温加熱用発熱体21とからなる高温加熱回路22と、第2の切り換えスイッチ23とこれに接続された低温加熱用発熱体24とからなる低温加熱回路25とで形成され、高速加熱回路19と高温加熱回路22および低温加熱回路25とは並列に接続されている。
【0022】この発熱体4において、初期加熱時の温度の立上がりを速くするための高速加熱は、図2に示すように、高速加熱回路19と高温加熱回路22と低温加熱回路25とを閉成して高速加熱用発熱体18と高温加熱用発熱体21と低温加熱用発熱体24に通電するようにしても、図4に示すように、高速加熱回路19と高温加熱回路22とを閉成して高速加熱用発熱体18と高温加熱用発熱体21に通電するようにしてもよいものである。
【0023】また、温度制御手段17の閉成後の高温加熱は高速加熱を図2に示した各加熱回路19,22,25の閉成で行った場合には、図3に示すように高温加熱回路22と低温加熱回路25とで行い、高速加熱を図4に示した加熱回路19,22の閉成で行った場合には、図5に示すように高温加熱回路22で行うものである。
【0024】また、低温加熱は、第1の切り換えスイッチ20を開成して高温加熱回路22を断ち、低温加熱回路25で行うもので、この場合の高速加熱は高速加熱回路19と低温加熱回路25とで行われる。
【0025】図6は温度制御手段17を動作温度可変型のものにした実施例で、他の構成は図2から図5に示したものと同様であるので説明を省略する。
【0026】図7は高速加熱回路19と第1の切り換えスイッチ20とを直列に接続し、高速加熱回路19と高温加熱用発熱体21とを並列に、高速加熱回路19と第1の切り換えスイッチ20との直列回路に低温加熱回路25を並列にそれぞれ接続したもので、高速加熱と温度制御手段17の開成後の高温加熱,低温加熱の動作は図2R>2から図5に示したものと同様であるが、本実施例においては、第1の切り換えスイッチ20で高温加熱と低温加熱の切り換えと、高速加熱回路19の開閉、すなわち電源の開閉ができるものである。
【0027】上記構成において、内容器8に調理物を入れ、調理に適した高温加熱または低温加熱を第1の切り換えスイッチ20および第2の切り換えスイッチ23で選択して通電する。
【0028】たとえば、図2で示した回路構成で高温加熱を選択したとすると、高速加熱回路19と高温加熱回路22と低温加熱回路25に接続されている各発熱体18,21,24が加熱容器5を加熱し、加熱容器5は小隙7を介して内容器8を加熱する。この初期加熱は、図9R>9の実線に示すように従来例のものに比べて立上がりが急速なもので、立上がり時間を短縮するほか、緩慢な調理物への加熱という不具合を解消するのに役立つものである。
【0029】このようにして急速に加熱された調理物の温度は受熱体11に伝わり、受熱体11の伝熱面13に熱伝的に接触している温度制御手段17に伝熱される。そして、温度制御手段17が所定の温度に到達すると高速加熱回路19への通電が断たれ(図9のA点)、高温加熱回路22と低温加熱回路25とにより図9の実線26で示すように一定の温度で加熱が継続される。
【0030】また、低温加熱が選択されたとすると、高温加熱回路22が開成されるので高速加熱回路19と低温加熱回路25に接続されている各発熱体18,24が加熱容器5を加熱して初期加熱する。この初期加熱は、図9の一点鎖線27で示すように高温加熱の場合よりも緩やかな加熱であるが、従来例のものに比べて立上がりが急速なものとなっている。そして、温度制御手段17が所定の温度に到達すると高速加熱回路19への通電が断たれ(図9のB点)、低温加熱回路25により図9の一点鎖線27で示すように一定の温度で加熱が継続される。
【0031】上記の動作において、図6に示したように、温度制御手段17に動作温度可変型のものを用いると、初期加熱の立上がり温度(図9のAおよびBで示した屈曲点)を変えることができるので、調理物に適した立上がり温度を選ぶことができる。
【0032】また、図8に示したように、温度制御手段17をサーモスタットで形成すると、高温加熱回路22および低温加熱回路25を用いずに高速加熱用発熱体18で高速加熱と高温加熱を行うことができる。そして、温度制御手段17を高温に調節すると図9の実線26で示した高速加熱と高温加熱ができ、低温に調節すると二点鎖線28で示した高速加熱と低温加熱ができる。
【0033】このように本発明の実施例の電気加熱調理器によれば、陶磁器製の内容器8の底面に貫通して受熱体11を設けて温度制御手段17に調理物の温度を伝熱するようにし、温度制御手段17に高速加熱用発熱体18を接続したことにより、調理物への初期加熱時の温度の立上がりを速くすることができるとともに、調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換え、調理物に適した加熱ができるという効果がある。
【0034】
【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなように、本発明によれば、陶磁器からなる内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体の温度を検知して高速加熱用発熱体が接続された温度制御手段が動作するようにしたことにより、調理物への初期加熱時の温度の立上がりを速くするとともに調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換えることができる。
【0035】また、高速加熱回路と高温加熱回路および低温加熱回路とを並列に接続したことにより、初期加熱時の温度の立上がりを速くして自動的に調理に適した加熱に切り換えることができる。
【0036】さらに、温度制御手段を動作温度可変型にしたことにより、初期加熱時の立上がりの温度が可変となり、調理に適した立上がり温度に制御することができる。
【0037】このように本発明によれば、調理物の初期加熱時の温度の立上がりを速くすることができるとともに、内容器内の調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換え、調理物に適した加熱ができる電気加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電気加熱調理器の側断面図
【図2】同発熱体の回路図
【図3】同動作を説明する回路図
【図4】同動作を説明する回路図
【図5】同動作を説明する回路図
【図6】同他の実施例の発熱体の回路図
【図7】同他の実施例の発熱体の回路図
【図8】同他の実施例の発熱体の回路図
【図9】同動作を説明する時間 ─ 温度グラフ
【図10】従来例の電気加熱調理器の側断面図
【図11】同発熱体の回路図
【図12】同動作を説明する時間 ─ 温度グラフ
【符号の説明】
4 発熱体
8 内容器
11 受熱体
17 温度制御手段
18 高速加熱用発熱体
19 高速加熱回路
20 第1の切り換えスイッチ
21 高温加熱用発熱体
22 高温加熱回路
23 第2の切り換えスイッチ
24 低温加熱用発熱体
25 低温加熱回路
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器製の内容器を用いて煮込み料理をする電気加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】陶磁器製の内容器を用いた電気加熱調理器は煮込み料理に適したものであるが、陶磁器は金属に比べて熱伝導性が悪く、調理器の内容器として使用した場合、調理物の温度を正確に検知して制御することが困難で、その改善が求められている。
【0003】以下、従来の電気加熱調理器について、図1010から図12を参照しながら説明する。
【0004】図に示すように、把手22と脚23を有するボディ24内には発熱体25が配設された加熱容器26がネジ27によって装着されている。加熱容器26内には小隙28を有して着脱自在に陶磁器製の内容器29が配設され、ガラス製の蓋30で開口が覆われている。
【0005】発熱体25は、第1の切り換えスイッチ31に接続された第1の発熱体33と第2の切り換えスイッチ32に接続された第2の発熱体34で形成されている。そして、第1および第2の発熱体32,34に通電することにより高温用加熱回路が形成されて高温加熱特性35(図12参照)が得られ、第2の発熱体34に通電することにより低温用加熱回路が形成されて低温加熱特性36が得られるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の電気加熱調理器では、図12に示したように初期加熱時の温度の立上がりがにぶく、調理によっては不具合が生じ、また、調理時間がかかるという問題があった。
【0007】このような問題に対して、初期加熱時の加熱電力を大きくし、調理物の温度を検知して加熱電力を切り換え、速やかに高温加熱特性35aが得られるように、あるいは加熱を緩めた低温加熱特性36aが得られるようにしようとした場合、内容器29を形成する陶磁器は熱伝導性が悪く、調理物の温度を正確に温度検知手段に伝達することができず、内容器29が陶磁器製である電気加熱調理器では調理に適した加熱がしにくいという問題があった。
【0008】また、温度検知手段を内容器内の調理物に挿入して調理物の温度を正確に検知する手段があるが、使用の都度着脱しなければならず、また、洗浄しなければならないため使い勝手が悪く不便なものであった。
【0009】本発明は上記問題を解決するもので、調理物の初期加熱時の温度の立上がりを速くすることができるとともに、内容器内の調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換え、調理物に適した加熱ができる電気加熱調理器を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、陶磁器からなる内容器と、前記内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体と、前記受熱体の温度を検知して動作する温度制御手段と、前記温度制御手段に接続された高速加熱用発熱体とを備えた構成としたものである。
【0011】また、高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続したものである。
【0012】また、高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、動作温度可変型温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続したものである。
【0013】さらに、温度制御手段をサーモスイッチまたはサーモスタットで形成したものである。
【0014】
【作用】本発明は上記したように、陶磁器からなる内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体の温度を検知してサーモスイッチまたはサーモスタットからなる温度制御手段が動作するようにしたことにより、温度制御手段は内容器内の調理物の温度を正確に検出して高速加熱用発熱体を制御することができる。
【0015】また、切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続したことにより、初期加熱時の温度の立上がりを速くして自動的に調理に適した加熱に切り換えることができる。
【0016】さらに、温度制御手段を動作温度可変型にしたことにより、初期加熱時の立上がり温度が可変となり、調理に適した立上がり温度に制御することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図1から図9R>9を参照しながら説明する。
【0018】図1に示すように、把手1と脚2を有するボディ3内には発熱体4が配設された加熱容器5がネジ6によって装着されている。加熱容器5内には小隙7を有して陶磁器製の内容器8が配設され、ガラス製の蓋9で開口が覆われている。
【0019】内容器8の底面には貫通孔10が設けられ、貫通孔10には熱良導体からなる受熱体11が受熱面12を内容器8内に、伝熱面13を内容器8外に臨ませて貫通して装着されている。なお、14はパッキング、15は螺着用のナットである。
【0020】加熱容器5の底面には受熱11の伝熱面13に熱伝的に接触する受感部16を有するサーモスイッチまたはサーモスタットからなる温度制御手段17が昇降自在に配設されている。
【0021】発熱体4は図2に示すように、温度制御手段17とこれに接続された高速加熱用発熱体18とからなる高速加熱回路19と、第1の切り換えスイッチ20とこれに接続された高温加熱用発熱体21とからなる高温加熱回路22と、第2の切り換えスイッチ23とこれに接続された低温加熱用発熱体24とからなる低温加熱回路25とで形成され、高速加熱回路19と高温加熱回路22および低温加熱回路25とは並列に接続されている。
【0022】この発熱体4において、初期加熱時の温度の立上がりを速くするための高速加熱は、図2に示すように、高速加熱回路19と高温加熱回路22と低温加熱回路25とを閉成して高速加熱用発熱体18と高温加熱用発熱体21と低温加熱用発熱体24に通電するようにしても、図4に示すように、高速加熱回路19と高温加熱回路22とを閉成して高速加熱用発熱体18と高温加熱用発熱体21に通電するようにしてもよいものである。
【0023】また、温度制御手段17の閉成後の高温加熱は高速加熱を図2に示した各加熱回路19,22,25の閉成で行った場合には、図3に示すように高温加熱回路22と低温加熱回路25とで行い、高速加熱を図4に示した加熱回路19,22の閉成で行った場合には、図5に示すように高温加熱回路22で行うものである。
【0024】また、低温加熱は、第1の切り換えスイッチ20を開成して高温加熱回路22を断ち、低温加熱回路25で行うもので、この場合の高速加熱は高速加熱回路19と低温加熱回路25とで行われる。
【0025】図6は温度制御手段17を動作温度可変型のものにした実施例で、他の構成は図2から図5に示したものと同様であるので説明を省略する。
【0026】図7は高速加熱回路19と第1の切り換えスイッチ20とを直列に接続し、高速加熱回路19と高温加熱用発熱体21とを並列に、高速加熱回路19と第1の切り換えスイッチ20との直列回路に低温加熱回路25を並列にそれぞれ接続したもので、高速加熱と温度制御手段17の開成後の高温加熱,低温加熱の動作は図2R>2から図5に示したものと同様であるが、本実施例においては、第1の切り換えスイッチ20で高温加熱と低温加熱の切り換えと、高速加熱回路19の開閉、すなわち電源の開閉ができるものである。
【0027】上記構成において、内容器8に調理物を入れ、調理に適した高温加熱または低温加熱を第1の切り換えスイッチ20および第2の切り換えスイッチ23で選択して通電する。
【0028】たとえば、図2で示した回路構成で高温加熱を選択したとすると、高速加熱回路19と高温加熱回路22と低温加熱回路25に接続されている各発熱体18,21,24が加熱容器5を加熱し、加熱容器5は小隙7を介して内容器8を加熱する。この初期加熱は、図9R>9の実線に示すように従来例のものに比べて立上がりが急速なもので、立上がり時間を短縮するほか、緩慢な調理物への加熱という不具合を解消するのに役立つものである。
【0029】このようにして急速に加熱された調理物の温度は受熱体11に伝わり、受熱体11の伝熱面13に熱伝的に接触している温度制御手段17に伝熱される。そして、温度制御手段17が所定の温度に到達すると高速加熱回路19への通電が断たれ(図9のA点)、高温加熱回路22と低温加熱回路25とにより図9の実線26で示すように一定の温度で加熱が継続される。
【0030】また、低温加熱が選択されたとすると、高温加熱回路22が開成されるので高速加熱回路19と低温加熱回路25に接続されている各発熱体18,24が加熱容器5を加熱して初期加熱する。この初期加熱は、図9の一点鎖線27で示すように高温加熱の場合よりも緩やかな加熱であるが、従来例のものに比べて立上がりが急速なものとなっている。そして、温度制御手段17が所定の温度に到達すると高速加熱回路19への通電が断たれ(図9のB点)、低温加熱回路25により図9の一点鎖線27で示すように一定の温度で加熱が継続される。
【0031】上記の動作において、図6に示したように、温度制御手段17に動作温度可変型のものを用いると、初期加熱の立上がり温度(図9のAおよびBで示した屈曲点)を変えることができるので、調理物に適した立上がり温度を選ぶことができる。
【0032】また、図8に示したように、温度制御手段17をサーモスタットで形成すると、高温加熱回路22および低温加熱回路25を用いずに高速加熱用発熱体18で高速加熱と高温加熱を行うことができる。そして、温度制御手段17を高温に調節すると図9の実線26で示した高速加熱と高温加熱ができ、低温に調節すると二点鎖線28で示した高速加熱と低温加熱ができる。
【0033】このように本発明の実施例の電気加熱調理器によれば、陶磁器製の内容器8の底面に貫通して受熱体11を設けて温度制御手段17に調理物の温度を伝熱するようにし、温度制御手段17に高速加熱用発熱体18を接続したことにより、調理物への初期加熱時の温度の立上がりを速くすることができるとともに、調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換え、調理物に適した加熱ができるという効果がある。
【0034】
【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなように、本発明によれば、陶磁器からなる内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体の温度を検知して高速加熱用発熱体が接続された温度制御手段が動作するようにしたことにより、調理物への初期加熱時の温度の立上がりを速くするとともに調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換えることができる。
【0035】また、高速加熱回路と高温加熱回路および低温加熱回路とを並列に接続したことにより、初期加熱時の温度の立上がりを速くして自動的に調理に適した加熱に切り換えることができる。
【0036】さらに、温度制御手段を動作温度可変型にしたことにより、初期加熱時の立上がりの温度が可変となり、調理に適した立上がり温度に制御することができる。
【0037】このように本発明によれば、調理物の初期加熱時の温度の立上がりを速くすることができるとともに、内容器内の調理物の温度を正確に検知して加熱電力を切り換え、調理物に適した加熱ができる電気加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電気加熱調理器の側断面図
【図2】同発熱体の回路図
【図3】同動作を説明する回路図
【図4】同動作を説明する回路図
【図5】同動作を説明する回路図
【図6】同他の実施例の発熱体の回路図
【図7】同他の実施例の発熱体の回路図
【図8】同他の実施例の発熱体の回路図
【図9】同動作を説明する時間 ─ 温度グラフ
【図10】従来例の電気加熱調理器の側断面図
【図11】同発熱体の回路図
【図12】同動作を説明する時間 ─ 温度グラフ
【符号の説明】
4 発熱体
8 内容器
11 受熱体
17 温度制御手段
18 高速加熱用発熱体
19 高速加熱回路
20 第1の切り換えスイッチ
21 高温加熱用発熱体
22 高温加熱回路
23 第2の切り換えスイッチ
24 低温加熱用発熱体
25 低温加熱回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】 陶磁器からなる内容器と、前記内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体と、前記受熱体の温度を検知して動作する温度制御手段と、前記温度制御手段に接続された高速加熱用発熱体とを備えてなる電気加熱調理器。
【請求項2】 高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続してなる請求項1記載の電気加熱調理器。
【請求項3】 高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、動作温度可変型温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続してなる請求項1記載の電気加熱調理器。
【請求項4】 温度制御手段はサーモスイッチまたはサーモスタットからなる請求項1記載の電気加熱調理器。
【請求項1】 陶磁器からなる内容器と、前記内容器の底面を貫通して配設された熱良導体からなる受熱体と、前記受熱体の温度を検知して動作する温度制御手段と、前記温度制御手段に接続された高速加熱用発熱体とを備えてなる電気加熱調理器。
【請求項2】 高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続してなる請求項1記載の電気加熱調理器。
【請求項3】 高温加熱回路と低温加熱回路とを選択的に切り換える切り換えスイッチに発熱体が接続された加熱回路と、動作温度可変型温度制御手段に高速加熱用発熱体が接続された高速加熱回路とを並列に接続してなる請求項1記載の電気加熱調理器。
【請求項4】 温度制御手段はサーモスイッチまたはサーモスタットからなる請求項1記載の電気加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図6】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開平5−245040
【公開日】平成5年(1993)9月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−46602
【出願日】平成4年(1992)3月4日
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【公開日】平成5年(1993)9月24日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)3月4日
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
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