説明

電気化学センサー用電極の製造方法

【課題】従来の検出感度を維持しつつ、検出対象物の検出を簡便、
かつ正確に行うことができる電気化学的検出装置に使用する電気化学センサー用電極を提供する。
【解決手段】絶縁膜に円筒状かつ真直であり、均一な孔径の孔道を形成してろ過膜を、トラックエッチング法、フォトリソグラフィ法、パンチング法、レプリカ法及びレーザー法の少なくとも一つを用いて形成する。次いで、前記ろ過膜の表面にスパッタリング法、蒸着法、メッキ法及び印刷法の少なくとも一つを用いて導電膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学センサー用電極の製造方法に関し、特に、表面が平滑で、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するろ過膜と、その表面に導電膜を形成してなる電極とを有する電気化学センサー用電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電極を多重化した分析手法は、電極反応生成物や反応中間体の検出、さらには反応速度に関する情報を得るための有用な手段である。例えば、回転リング・ディスク電極法では、電極を回転させることで電解液の対流を引き起こし、ディスク電極での反応生成物はただちにリング電極に輸送され、リングとディスクの電位をそれぞれ独立して設定することによって、ディスク電極での生成物をリング電極で検出することができる(非特許文献1)。
【0003】
一方、チャンネルフロー二重電極は、フローセルにチャンネルを設けて電解液を流し、下流に複数の電極(作用極と対極)が配置された構造となっており、作用極での反応生成物や反応中間体を対極で検出するというものである(非特許文献2)。
【0004】
これらいずれの手法においても、電解セルを満たすだけの試料溶液が必要であり、また反応物質を検出する感度は、電極の表面積の他に、前者においては電極の回転速度の1/2乗(非特許文献3)、後者ではセル内での電解液のみかけの流速の1/3乗(非特許文献4)に依存する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Frumkin, L. Nekrasov, B. Levich, Ju. Ivanov, “Die anwendung der rotierenden scheibenelektrode mit einem ringe zur untersuchung von zwischenprodukten elektrochemischer reaktionen”, Journal of Electroanalytical Chemistry, 1, August 1959, Vol.1, p84−90
【非特許文献2】Heinz Gerischer, Ingeborg Mattes, Rainer Brau, “Elektrolyse im str▲o▼mungskanal Ein verfahren zur untersuchung von reaktions und zwischenprodukten”, Journal of Electroanalytical Chemistry, 5−6, November−December 1965, Vol.10, p553−567(▲o▼はoウムラウトを表す。)
【非特許文献3】藤嶋昭ほか,「電気化学測定法(下)」,技報堂出版,1984年,p.247−269
【非特許文献4】Noriaki Wakabayashi, Masayuki Takeichi, Masayuki Itagaki, Hiroyuki Uchida, Masahiro Watanabe, “Temperature−dependence of oxygen reduction activity at a platinum electrode in an acidic electrolyte solution investigated with a channel flow double electrode”, Journal of Electroanalytical Chemistry, 2, 1 January 2005, Vol.574, p339−346
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、化学的に不安定な反応中間体を検出するためには、作用極と対極の距離を小さくする必要があるが、検出感度を維持しつつ、すなわち電極の表面積の大きさを保ったまま高機能化を行うには構造的に限界があった。
【0007】
そこで、本発明においては、従来の検出感度を維持しつつ、検出対象物の検出を簡便、かつ正確に行うことができる電気化学的検出装置に使用する電気化学センサー用電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、絶縁膜に円筒状かつ真直であり、均一な孔径の孔道を形成してろ過膜を形成する工程と、前記ろ過膜の表面に導電膜を形成する工程と、を具えることを特徴とする、電気化学センサー用電極の製造方法に関する。
【0009】
上記本発明の製造方法によれば、所定の絶縁膜から円筒状かつ真直であり、均一な孔径の孔道を形成してろ過膜を形成することができる。したがって、このようにして形成したろ過膜を電気化学センサー用電極のろ過膜として用いることにより、前記電気化学センサー用電極を電気化学的検出装置に適用した場合に、検出対象溶液中の検出対象物がそのろ過膜の孔道に強制的に流されるようになるので、簡便かつ正確な検出操作を行うことができる。
【0010】
また、このような孔道を有するろ過膜の表面に導電膜を形成するようにしているので、この導電膜はろ過膜の表面のみならず、ろ過膜の孔道の内側面にも形成されるようになる。したがって、検出対象物はろ過膜の表面に形成された導電膜のみならず、ろ過膜の孔道の内側面に形成された導電膜にも接触するようになるので、検出対象物の検出感度が向上し、検出対象物の有無を効果的に同定することができるようになる。
【0011】
なお、本発明の一態様において、前記孔道の形成は、トラックエッチング法、フォトリソグラフィ法、パンチング法、レプリカ法及びレーザー法の少なくとも一つを用いて実施する。これによって、上述した所定の絶縁膜から円筒状かつ真直であり、均一な孔径の孔道を形成してろ過膜を簡易かつ正確に形成することができる。特には、孔径分布をその設計値に対して−20%〜0%の極く狭い範囲に抑えることができ、設計どおりの孔径の孔道を有するろ過膜を形成するでき、当初設計したとおりの電気化学センサー用電極、さらには電気化学的検出装置を得ることができる。
【0012】
また、本発明の一態様において、前記導電膜の形成は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法及び印刷法の少なくとも一つを用いて行うことができる。これらの方法によれば、上述したような要件を満足する導電膜を簡易に形成することができる。
【0013】
さらに、本発明の一態様において、前記導電膜は、金属膜及び有機導電膜の少なくとも一方とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、従来の検出感度を維持しつつ、検出対象物の検出を簡便、かつ正確に行うことができる電気化学的検出装置に使用する電気化学センサー用電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電気化学センサー用電極の構成を示した概略断面図
【図2】本発明の一実施形態における電気化学的検出装置の概略構成図
【図3】本発明の他の実施形態における電気化学的検出装置の概略構成図
【図4】実施例1における電解溶液の濃度と電流値との関係を示した図
【図5】実施例3における第1の作用極についての電流−電位曲線を示した図
【図6】実施例3における電流の時間変化曲線を示した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
本発明の電気化学センサー用電極は、例えば、図1に示したような構造を有するものであり、図1は電気化学センサー用電極の構成を示した概略断面図である。
【0018】
すなわち、この電気化学センサー用電極1は、基材となっている孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するろ過膜2の表面に、導電膜3を形成して構成されたものである。
【0019】
本発明に用いるろ過膜2は、その形成された孔に特徴を有するものであり、その孔構造について、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するという物理的な特徴を有している。
【0020】
上述のような孔構造を有するろ過膜2は、絶縁膜、例えば、ポリカーボネートやポリエステル等のポリマー製のフィルムに対し、トラックエッチング法、フォトリソグラフィ法、パンチング法、及びレーザー法の少なくとも一つを用いて形成することができる。
【0021】
トラックエッチング法は、高エネルギーの重イオンでトラッキング(軌跡付け)するプロセスと、円筒状の孔構造を作るエッチングのプロセスとからなる。
【0022】
トラッキングプロセスでは、絶縁膜に対してアクセラレーターで加速した高エネルギーの重イオンを貫通させてトラック(軌跡)を形成し、重イオンの数量とフィルムの巻き取りスピードにより単位面積当たりのトラック数(孔密度)をコントロールする。次いで、エッチングプロセスでは、トラックしたフィルムをエッチング液へ浸漬し、トラック部分を優先的に溶解して孔を形成する。このとき、エッチング条件により孔径をコントロールする。ろ過膜の孔径は均一なものとして得られ、その孔道はフィルムの厚さ方向(フィルムの表面に対して垂直又は略垂直)に形成される。
【0023】
フォトリソグラフィ法は、例えば、光硬化性樹脂組成物を絶縁膜上に塗布して光硬化性樹脂組成物層を形成し、この光硬化性樹脂組成物層上に形成すべき孔道に対応した画像が形成されたマスクを設置し、マスクの上から光硬化性樹脂組成物層に紫外線等の光線を照射して光硬化性樹脂組成物層を硬化する。次いで、マスクを除去し、現像液で未硬化の光硬化性樹脂組成物を溶解除去することにより現像を行い、前記マスクの画像が転写されてなる、光硬化性樹脂組成物からなるマスクパターンを形成する。
【0024】
また、光を照射することにより照射された部位が所定の溶媒への溶解性を生じるような材料を用いてもよく、この場合にも上記と同様にマスクを用いて紫外線等の光線を所定位置に照射し、現像液で光が照射された部分を除去することにより、前記材料からなるマスクパターンを形成する。
【0025】
上述のようにして形成したマスクパターンは、孔道に対応する部分に開口が形成されているので、このマスクパターンを介してエッチング処理を行うことによって、上記絶縁膜に対して孔道を形成することができる。この場合においても、孔道の孔径は均一なものとして得られ、絶縁膜の厚さ方向(絶縁膜の表面に対して垂直又は略垂直)に形成される。
【0026】
なお、上記エッチング処理はエッチング液を用いた湿式のエッチング処理であってもよいし、RIEのような乾式のエッチング処理であってもよい。
【0027】
また、上記光硬化性樹脂組成物としては、従来公知の任意の光硬化性樹脂組成物が使用でき、例えば、光重合性オリゴマー、光重合性モノマー(反応性希釈剤)、光重合開始剤、光重合開始助剤、熱重合禁止剤、充填剤、接着付与剤、チクソ付与剤、可塑剤、着色剤等からなる光硬化性樹脂組成物が挙げられる。
【0028】
上記光重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシ樹脂;イミド系オリゴマー;ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系オリゴマー;不飽和ポリエステル;ビニルエーテルオリゴマー;ポリエン・チオール系オリゴマー等が挙げられる。
【0029】
上記光重合性モノマー(反応性希釈剤)としては、例えば、単官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートモノマー、エポキシモノマー、ビニルエーテル、スチレン等が挙げられる。
【0030】
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、パーオキサイド系、オニウム塩系等の光重合開始剤が挙げられ、光重合開始助剤としては、例えば、アミン系、キノン系等の光重合開始助剤が挙げられる。
【0031】
パンチング法は、パンチを穴開け工具として用い、例えばX方向に上記絶縁膜を移動させ、Y軸方向にパンチを移動させて、孔道を形成すべき箇所にパンチングを行って孔を形成する方法である。また、上記絶縁膜を固定し、パンチをX方向及びY方向に移動させ、孔道を形成すべき箇所にパンチングを行って孔を容易に形成することもできる。
【0032】
レプリカ法は、凸凹状の鋳型に樹脂等を流し込み、硬化させることで得られる方法である。凸凹の形状や大きさ、密度によって、素材に転写させる孔の形状や大きさ、孔の密度を調整することができる。また、本発明のようなろ過膜を得るためには、微小な凸凹を有する鋳型の作製が必要であり、陽極酸化法等によって得られるポーラスアルミナ膜やメソポーラスシリカ膜等を鋳型として使用することができる。
【0033】
レーザー法は、上記絶縁層にレーザー光を照射してアブレーションにより孔道を形成する方法である。このようなレーザー光源としては、例えばエキシマレーザーやYAGレーザーを用いることができるが、これら以外の光源であってもよい。これらレーザー光源から発せられたレーザー光は、コリメータレンズを介して平行光とした後、形成すべき孔道の孔径に合わせて対物レンズでビーム径が絞られた後、上記絶縁膜上に照射される。この結果、絶縁膜の、レーザー光ビームが照射された箇所がアブレーションされ、上述のような孔道が形成されることになる。
【0034】
なお、上記絶縁膜には、レーザー光の吸収効率を高め、貫通孔の形成をより正確に且つ容易にするために、紫外線吸収剤や色素を添加してもよい。例えば、300〜400nmに吸収領域を有し、346nmに最大吸収波長を有する、2−〔2−ヒドロキシ−3,5 −ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ジベンゾトリアゾールを用いれば、355nm波長を有するND−YAG3倍波レーザー、あるいは352nm波長を有するエキシマXe−F レーザーの吸収効率をより高め、貫通孔をより正確、かつ容易に形成することが出来る。
【0035】
上記紫外線吸収剤は、一般に高分子樹脂用紫外線吸収剤として使用されている任意の紫外線吸収剤が使用でき、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’―テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル(ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3―テトラメチルブチル)―6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール等が挙げられる。
【0036】
また、使用するレーザーの波長が可視光領域の場合には、色素を添加することで、レーザー光の吸収効率をより高めることが出来る。添加する色素は、使用するレーザー光波長の吸収率が大きいものが好ましく、ポルフィリン系色素,クマリン系色素,ピラゾールアゾ系色素,ポルフィセン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素、スピロピラン系色素、フルオラン系色素、キノン系色素、置換ベンゼン系色素等が用いられる。
【0037】
上記紫外線吸収剤及び色素の添加量は、少なすぎると吸収効率が悪く、添加量が多すぎると吸収効率が良すぎて吸収部位が局在化してしまうため、絶縁層を構成する材料の100重量部に対して0.01重量部〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1重量部〜3重量部である。
【0038】
以上のような方法に基づいて絶縁膜に孔道を形成した場合、従来良く用いられているろ過膜と比較して説明すると、例えば、両ろ過膜とも公称孔径が1μmである場合でも、従来のろ過膜の孔径分布が0.1〜10μmに広がっているのに対し、本発明のろ過膜のように、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な特徴を有するものは孔径分布が0.8〜1μm(−20%〜0%)と非常にシャープなものとなる。
【0039】
また、本発明で用いるろ過膜2と従来のろ過膜の開孔率を比較すると、従来のろ過膜の開孔率が50%以上、あるいは70〜90%に対し、本発明のろ過膜の開孔率が15%未満と小さい。
【0040】
本発明で用いるろ過膜2としては、その厚みが6〜11μm、開孔率が15%未満、孔密度が1×10〜6×10個/cmであり、孔径が0.015〜12.0μmのものが知られ、これらを適宜用いることができ、その目的に応じて使用することが好ましい。開孔率の下限は特に限定されるものではないが、ろ過膜として機能させるには少なくとも数%の開口率を有することが好ましい。
【0041】
また、このろ過膜2は、上記したように例えばポリマー製のフィルムで形成することができるので、その表面が平滑度、すなわち表面粗さRa=1μm以下とすることができる。なお、ここでのRaは、算術平均高さを示すものであり、JIS B 0601−2001に準拠するものである。
【0042】
このろ過膜2の表面に、導電膜3を形成して電気化学センサー用電極とするが、このとき導電膜3は、白金、金等の金属膜や、グラファイトカーボン、ボロンドープダイヤモンド等の膜、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーによる高分子膜とすることができる。
【0043】
このような導電膜3をろ過膜2上に形成するには、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法及び印刷法などによって形成することができる。
【0044】
スパッタリング法は、上述した白金等のターゲットを準備し、減圧雰囲気下、ターゲットを負電位とすることによって生じるグロー放電を利用し、この放電中に含まれるアルゴンイオンなどのスパッタイオンがターゲットに衝突することによって、ターゲットから離脱したターゲット材を付着させて目的とする膜、本実施形態では導電膜3を形成するものである。
【0045】
蒸着法は、上述した白金等の蒸着源を準備し、この蒸着源に例えば電子ビームを照射することによって前記蒸着源を気化させ、この気化した蒸着源を付着させて目的とする膜、本実施形態では導電膜3を形成するものである。
【0046】
メッキ法は、上記白金等を含む化合物(PtCl等)をメッキ浴中で電解あるいは無電界で分解して白金(Pt)等を析出させ、目的とする膜、本実施形態では導電膜3を形成するものである。
【0047】
印刷法は、導電膜3を構成する上記材料をバインダーや溶媒等と混合して塗布液を作製し、この塗布液を塗布した後、加熱してバインダーを分解消失させるとともに、溶媒等を気化させることによって、目的とする膜、本実施形態では導電膜3を形成するものである。
【0048】
印刷法の代表としてはスピンコート法を挙げることができるが、その他、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、昇華型印刷、オフセット印刷、レーザープリンタ印刷(トナー印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)、コンタクト印刷、マイクロコンタクト印刷等を挙げることができる。
【0049】
なお、導電膜3が金属膜であれば、上述したいずれの方法も使用可能であるが、導電性高分子の場合、メッキ法によって導電膜3を形成するのは困難である。代わりに、化学修飾等により形成することができる。
【0050】
また、この電気化学センサー用電極における、ろ過膜の厚さは1〜500μmであることが好ましく、1〜100μmであることが特に好ましい。また、導電膜の厚さは0.001〜0.5μmであることが好ましいが、安定的に導電性を保つことができれば特に限定されるものではない。
【0051】
また、このろ過膜は、その構造が検出対象物を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、通常の平膜状であってもよいし、ろ過面積を稼ぐためにプリーツ状に加工したフィルターカートリッジとしてもよいが、平膜状であることが好ましい。
【0052】
次に、この電気化学センサー用電極を用いた電気化学センサー、その電気化学センサーを用いた電気化学的検出装置及び検出方法について説明する。
【0053】
電気化学センサーは、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するろ過膜の表面に導電膜を形成した作用極となる電気化学センサー用電極と、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するろ過膜の表面に導電膜を形成した対極となる電気化学センサー用電極と、を有し、これらの電気化学センサー用電極を短絡しないように重ねてなるものである。
【0054】
すなわち、この電気化学センサーは、本発明の電気化学センサー用電極を複数枚重ねて構成されるものであり、その際に電極が短絡しないようにしたものである。例えば、図2及び3には、電気化学的検出装置の概略構成図を示しているが、電気化学センサーはそのうち、図2における11、図3における12で表されるものである。
【0055】
例えば、図2に示した電気化学センサー11は、作用極となる電気化学センサー用電極11Aと、対極となる電気化学センサー用電極11Bと、から構成されるものである。
【0056】
このとき、電気化学センサー用電極11Aと11Bは、互いの電極が短絡しないように、上から電気化学センサー用電極11Aを上向き(導電膜が検出対象溶液供給部25側)に、電気化学センサー用電極11Bを下向き(導電膜が吸引部26側)にして重ねることが好ましい。その他にも電極の孔道を塞ぐことなく、電極同士が短絡しないようにするものであれば特に限定されずに適用することができ、例えば、電気化学センサー用電極11Aと11Bの間に孔の空いた絶縁膜などをスペーサーとして挿入する方法等が挙げられる。
【0057】
そして、図3に示した電気化学センサー12は、第1の作用極となる電気化学センサー用電極12Aと、第2の作用極となる電気化学センサー用電極12Bと、対極となる電気化学センサー用電極12Cと、から構成されるものである。
【0058】
このとき、電気化学センサー用電極12A、12B及び12Cは、互いの電極が短絡しないように、上から電気化学センサー用電極12Aを上向き(導電膜が検出対象溶液供給部35側)に、電気化学センサー用電極12Bを上向き(導電膜が検出対象溶液供給部35側)に、電気化学センサー用電極12Cを下向き(導電膜が吸引部36側)に、して重ね、さらに、電気化学センサー12Aと12Bとの間にスペーサー12Dを挟んで重ねるようにすることで、短絡を防止するようにしている。このスペーサー12Dとしては、本発明の電気化学センサー用電極で基材として用いるろ過膜を用いることが好ましい。
【0059】
次に、電気化学的検出装置及び方法について説明する。
【0060】
電気化学的検出装置は、上記したように、例えば、図2及び図3に示した構成のものが挙げられる。
【0061】
まず、図2に示した電気化学的検出装置21について説明する。この電気化学的検出装置21は、電気化学センサー11と、電位制御手段22と、電流測定手段23と、参照電極24と、検出対象溶液供給部25と、吸引部26と、から構成されるものである。
【0062】
電気化学センサー11は、上記説明したとおりのものである。そして、この電気化学センサー11は、11A及び11Bの各電極が電位制御手段22に接続されている。電位制御手段22は、このように接続した電極に電位を与えるものであり、さらにこの電位差を一定にする機能を有するものであり、例えば、ポテンショスタットが挙げられる。ポテンショスタットには、ファンクションジェネレーターを用いるようにしてもよい。また、このようにポテンショスタットからなるような電位制御手段22には、電流測定手段23が接続され、作用極上における検出対象物の酸化又は還元による電流値の変化を測定し、記録することができるようになっている。また、電位制御手段22には参照極24が接続され、参照極24は、作用極の電位を決定する際の基準となる電極として働き、飽和カロメル(水銀)電極や銀電極等が用いられる。
【0063】
そして、この電気化学的検出装置21は、検出対象溶液を電気化学センサー11に供給しながら電気化学センサー11を通過させることができるように、作用極側に検出対象溶液供給部25が、対極側に吸引部26が電気化学センサー11を挟むようにして設けられている。
【0064】
この電気化学的検出装置21を用いた電気化学的検出方法は、電気化学センサー11に検出対象溶液を通水しながら、作用極となる電気化学センサー用電極11A及び対極となる電気化学センサー用電極11B間に電位制御手段22により所定の電圧を印加し、電位差を設けるようにする。このとき、参照電極24の電位を参照しながら所定の電位に設定するようにする。
【0065】
このように所定の電位が設けられた状態で、検出対象物を含む検出対象溶液においては、検出対象物が、作用極となる電気化学センサー用電極11Aの導電膜の表面や孔道の側面に接近して電子の授受を行うことで酸化又は還元反応が起こり、そのときの電流値の変化を測定して検出対象物の有無の判断や存在量の算出等を行うことができるものである。そして、この作用極となる電気化学センサー用電極11Aは電気化学センサー用電極1で構成されており、その基材となっているろ過膜2の表面が平滑で孔道が円筒状かつ真直であり、孔径が均一であるという特徴を有しているため、検出対象溶液中の検出対象物がそのろ過膜の孔道に強制的に流されるようになり、簡便かつ正確に検出操作を行うことができるものである。
【0066】
また、その表面に形成された導電膜3は、ろ過膜2の表面に加え、その孔道4の側面にも導電膜3が形成されるものと考えられる(図1参照)。このことも、作用極となる電気化学センサー用電極11Aを用いてろ過操作を行った場合に、検出対象物は孔道4を通過する際に、ろ過膜の表面又は孔道の側面に形成された導電膜3に必ず接近することとなるため効果的に検出対象物の有無を検出することができると考えられる。
【0067】
また、このように微小な孔道を通過させるようにして検出を行うため、溶液中の検出対象物の電極表面までの拡散距離が小さくなり、効果的に酸化還元反応が進行することから、特にストリッピング・ボルタンメトリーにおいて、従来法よりも前電解に要する時間を抑制して迅速に検出結果を得ることができる。
【0068】
なお、ここで、検出対象物は、電気化学的測定であるストリッピング・ボルタンメトリーにより測定することが可能な電気活物質であって、酸化還元反応によって電極表面に析出するものであればよく、例えば、金属イオン等が挙げられる。
【0069】
また、検出対象溶液の溶媒も電気化学的測定であるストリッピング・ボルタンメトリーにより測定することが可能なものであればよく、通常は電解質を用いるものであり、例えば、塩化カリウム水溶液等が挙げられる。
【0070】
検出操作を行う際にかける作用極と対極の電位差は検出対象物により固有のものであるため、それに合わせて調整する必要がある。すなわち、検出対象物は作用極上での酸化又は還元反応が生じるが、それ以外の物質は含まれていても検出されること無く、検出対象物を正確に測定することができるものである。
【0071】
次に、図3に示した電気化学的検出装置31について説明する。この電気化学的検出装置31は、電気化学センサー12と、電位制御手段32と、電流測定手段33と、参照電極34と、検出対象溶液供給部35と、吸引部36と、から構成されるものである。
【0072】
電気化学センサー12は、上記説明したとおりのものである。そして、この電気化学センサー12は、12A、12B及び12Cの各電極が電位制御手段32に接続されている。電位制御手段32は、このように接続した電極に電位を与えるものであり、さらにこの電位差を一定にする機能を有するものであり、例えば、バイポテンスタットが挙げられる。バイポテンショスタットには、ファンクションジェネレーターを用いるようにしてもよい。また、このようにバイポテンショスタットからなるような電位制御手段32には、電流測定手段33が接続され、作用極上における検出対象物の酸化又は還元による電流値の変化を測定し、記録することができるようになっている。また、電位制御手段32には参照電極34が接続され、参照極34は、作用極の電位を決定する際の基準となる電極として働き、飽和カロメル(水銀)電極や銀電極等が用いられる。
【0073】
そして、この電気化学的検出装置31は、検出対象溶液を電気化学センサー12に供給しながら電気化学センサー12を通過させることができるように、作用極側に検出対象溶液供給部35が、対極側に吸引部36が電気化学センサー12を挟むようにして設けられている。このとき、第1の作用極となる電気化学センサー用電極12Aと検出対象溶液供給部35との間に目詰まり等による電極劣化の防止のためカバー37、またはガードカラム等を設けてもよい。
【0074】
この電気化学的検出装置31を用いた電気化学的検出方法は、電気化学センサー12に検出対象溶液を通水しながら、第1の作用極となる電気化学センサー用電極12A及び対極となる電気化学センサー用電極12C、第2の作用極12Bとなる電気化学センサー用電極及び対極となる電気化学センサー用電極12C間に電位制御手段32により所定の電位差を設けるようにする。このとき、参照電極34の電位を参照しながら所定の電位に設定するようにする。
【0075】
ここでも基本的には電気化学的検出装置21と同様の操作により検出操作を行うものであり、異なるのは作用極を2つ設けている点である。このように複数の作用極を設けることにより、異なる電位差を有する作用極を作ることができる。そして、異なる電位差の作用極を利用することで、同一溶液中の複数の検出対象物を一度の操作で検出することを可能とし、化学的に不安定である物質の検出・観察もすることができる。
【0076】
また、従来の測定では検出速度の限界により、2段階の反応が極めて速い場合に確認できなかった中間体物質の存在を確認することを可能とすることもできる。これは、本発明で使用しているろ過膜が非常に薄いため、第1の作用極と第2の作用極との間隔を短くできるためであり、本発明の電気化学的検出装置は極めて優れたものである。
【0077】
以上で説明したように、本発明の電気化学センサー用電極は、数十ナノメートル〜マイクロメートルオーダーの均一な円筒型直孔を持ち、表面が平滑で、かつ厚さが数ミクロン〜十ミクロン前後と極めて薄いという特徴を持つものであり、これを複数枚重ねてモジュール化して電気化学センサーとし、これを用いて検出対象物を測定することで従来の構造的限界を超えた新しい電気化学的検出装置及び方法を提供することができる。
【0078】
そして、作用極となる電気化学センサー用電極を複数枚重ねて用い、それぞれ独立して電位を設定することによって、極めて高い検出感度を有する多重電極が実現する。この電極の間に必要に応じて適当なスペーサーを挿入し、さらに電解液の流速をコントロールして、作用極から対極への反応物質の輸送時間を制御しながら電気活物質を検出する。
【0079】
平膜型マイクロチャンネル白金電極は、ろ過膜の細孔内部まで白金でコーティングされているため電極としての表面積が大きく、さらにろ過膜細孔への電解液の強制流によって反応物質の電極表面への輸送が促されるため優れた反応効率を示し、高感度に電気活物質を検出することができる。またこの電極は極めて薄いという特長を持つことから、複数枚重ねて作製した多重電極では、作用極で生成した物質が瞬時に対極に到達することができる(数マイクロ秒〜数十マイクロ秒)。従って、優れた感度を維持しつつ高機能化を図ることが容易となる。
【実施例】
【0080】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0081】
(実施例1)電気化学センサーの検出感度の確認
孔径が0.4μm、1.0μm、3.0μm及び5.0μmと異なる、直径47mmのニュークリポアメンブレンフィルター(ワットマン社製)4種類それぞれの表面に、オートファインコータ(日本電子株式会社製、商品名:JFC−1600)を用いて、スパッタリング電流40mAの条件で白金を300秒間真空蒸着して、白金の厚さ0.1μmの電気化学センサー用電極を作製した。
【0082】
得られた電気化学センサー用電極を、作用極として使用するものは蒸着面を上に、対極として用いるものは蒸着面を下にして2枚重ねにし、減圧濾過用フィルターホルダー(ADVANTEC社製、商品名:KG−25型、160mL容量のファンネル使用)に挟み、それぞれの電極をポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工製、商品名:HA1010mM2B型)に接続した。参照電極には銀/塩化銀を用い、塩橋の先を作用極の上部、約1mmの位置にセットした(図2参照)。なお、作用極を孔径5.0μmのろ過膜を用いて製造した場合は孔径5.0μmのろ過膜を、作用極を孔径0.4μmのろ過膜を用いて製造した場合は孔径0.4μmのろ過膜を、それぞれ対極のろ過膜として使用するように、作用極及び対極で同じ孔径のろ過膜を用いるようにした。
【0083】
電解液は、1.0×10−9〜1.0×10−4mol・dm−3のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液(支持電解質として0.1M濃度のKClを含む)として、流速を15mL・min−1、作用極の電位を+0.6Vに固定してヘキサシアノ鉄(II)酸イオンの濃度と電流値の関係を調べた。
【0084】
その結果、図4に示すように、ヘキサシアノ鉄(II)酸イオンの濃度と電流値のとの間には良好な相関関係があり、作用極の孔径が小さいほど電流感度が大きくなることを確認した。また、作用極として孔径0.4μmのものを使用したときヘキサシアノ鉄(II)酸イオンの濃度が1.0×10−7mol・dm−3以上において安定した電流値が得られた。このときの1.0×10−7mol・dm−3に対する電流値は2.6±0.7μAであった。
【0085】
この値は、通常の回転Ptディスク電極(2000rpm)における限界電流値が0.05μA前後であることと比較して、約50倍の検出シグナルに相当する。
【0086】
(実施例2)電気化学センサーにおける電気活物質の検出率(捕捉率)の確認
孔径が0.4μm、直径47mmのニュークリポアメンブレンフィルター(ワットマン社製)の表面に、オートファインコータ(日本電子株式会社製、商品名:JFC−1600)を用いて、スパッタリング電流40mAの条件で白金を300秒間真空蒸着して、白金の厚さ0.1μmの電気化学センサー用電極を作製した。
【0087】
得られた電気化学センサーを、作用極として使用するものは蒸着面を上に、対極として用いるものは蒸着面を下にして2枚重ねにし、減圧濾過用フィルターホルダー(ADVANTEC社製、商品名:KG−25型、160mL容量のファンネル使用)に挟み、それぞれの電極をポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工製、商品名:HA1010mM2B型)に接続した。参照電極には銀/塩化銀を用い、塩橋の先を作用極の上部、約1mmの位置にセットした(図2参照)。
【0088】
電解液は、1.0×10−5mol・dm−3のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液100mL(支持電解質として0.1M濃度のKClを含む)として、流速を7.1及び18mL・min−1の2段階において、作用極の電位を+0.6Vに固定してヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの酸化電流から電気量を計算し、電極表面での捕捉率を求めた。
【0089】
その結果、流速7.1及び18mL・min−1において、それぞれの捕捉率は63及び44%であった。これは、ストリッピング・ボルタンメトリーでの高感度分析を可能とする十分な値である。
【0090】
水銀滴電極を用いる通常のストリッピング法では、例えば金属イオンの濃度が10−7〜10−9mol・dm−3である場合、数分〜60分間の前電解が必要となるが、本法は、ろ過に要する時間そのものが前電解の時間に相当するため、流速10mL・min−1で100mLの試料を処理するとすれば10分間で終了し、従来の手法に比べ1サンプルあたりに要する時間が大きく短縮されることになる。
【0091】
(実施例3)電気化学センサー二重電極におけるレドックスサイクルの確認
孔径5.0μm、直径47mmのニュークリポアメンブレンフィルター(ワットマン社製)に、オートファインコータ(日本電子株式会社製、商品名:JFC−1600)を用いて、スパッタリング電流40mAの条件で白金を300秒間真空蒸着して、白金の厚さ0.1μm電気化学センサー用電極を作製した。
【0092】
上から順に、カバー(未修飾のろ過膜)、白金電極(第1の作用極(WE1))、スペーサー(未修飾のろ過膜)、白金電極(第2の作用極(WE2))、白金電極(対極)となるように重ねて減圧濾過用フィルターホルダー(ADVANTEC社製、KG−25型、160mL容量のファンネル使用)に挟み、それぞれの電極をバイポテンショスタット(北斗電工製、商品名:HA1010mM2B型)に接続した。参照電極には銀/塩化銀を用い、塩橋の先を作用極の上部、約1mmの位置にセットした(図3参照)。ファンクションジェネレーターは、北斗電工株式会社製、商品名:HB−111型を使用した。
【0093】
電解液は、1.0×10−4mol・dm−3のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液(支持電解質として0.1M濃度のKClを含む)として、流速を8.6mL・min−1、WE1の電位を0〜+0.7Vの範囲で50mV・s−1で掃引して、電流−電位曲線を得た。なお、このときのWE2の電位は+0.1Vに固定した。結果を図5に示す。横軸はWE1の電位である。WE1の電位が0.3V vs. Ag/AgCl以上においてヘキサシアノ鉄(II)酸イオンの酸化によるアノード電流が観測され、それに伴ってWE2ではカソード電流が観測されている。すなわち、WE1で生成したヘキサシアノ鉄(II)酸イオンがWE2において還元されていることを示している。この時間変化の曲線を図6に示す。WE1のアノード電流の変化に、WE2でのカソード電流が対応しており、二重電極におけるレドックスサイクルが観測できた。
【0094】
以上の結果から、本発明の電気化学的検出装置及び方法によれば、検出対象物を簡便かつ正確に測定することができ、作用極を複数設けることにより、一度の検出操作により複数の反応の検出が可能であることがわかる。
【符号の説明】
【0095】
1…電気化学センサー用電極、2…ろ過膜、3…導電膜、11,12…電気化学センサー、11A…作用極となる電気化学センサー用電極、11B…対極となる電気化学センサー用電極、12A…第1の作用極となる電気化学センサー用電極、12B…第2の作用極となる電気化学センサー用電極、12C…対極となる電気化学センサー用電極、12D…スペーサー、21…電気化学的検出装置、22…電位制御手段、23…電流測定手段、24…参照電極、25…検出対象溶液供給部、26…吸引部、31…電気化学的検出装置、32…電位制御手段、33…電流測定手段、34…参照電極、35…検出対象溶液供給部、36…吸引部、37…カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜に円筒状かつ真直であり、均一な孔径の孔道を形成してろ過膜を形成する工程と、
前記ろ過膜の表面に導電膜を形成する工程と、
を具えることを特徴とする、電気化学センサー用電極の製造方法。
【請求項2】
前記孔道の形成は、トラックエッチング法、フォトリソグラフィ法、パンチング法、レプリカ法及びレーザー法の少なくとも一つを用いて実施することを特徴とする、請求項1に記載の電気化学センサー用電極の製造方法。
【請求項3】
前記導電膜の形成は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法及び印刷法の少なくとも一つを用いて行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気化学センサー用電極の製造方法。
【請求項4】
前記導電膜は、金属膜及び有機導電膜の少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の電気化学センサー用電極の製造方法。
【請求項5】
前記ろ過膜の孔径の分布が、設計値に対して−20%〜0%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の電気化学センサー用電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−80773(P2011−80773A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230917(P2009−230917)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)