電気化学的及び/又は電気的に測定する生物センサ、及びダイヤモンド電極、及び電子集積回路
【課題】ダイヤモンドベースの電極を用いるバイオセンサの長所を有しながら、バイオセンサの停止によって測定電子機器がオフセットされ、バイオセンサの欠点を有しない新規な生物学的センサを提示する。
【解決手段】電気化学的、及び/又は電気的な測定が可能あり、不純物を添加されたダイヤモンド層104と半導体物質層108との間に配置される誘電層106を少なくとも1つ含む積層からなる基板の、前記不純物を添加されたダイヤモンド層104の少なくとも一部を含む測定電極112と、半導体物質層108の一部に形成され、前記測定電極112と電気的に接続し、前記測定電極112から出される、少なくとも1つの電気信号を、増幅、及び/又は処理するための電子回路114と、を少なくとも含む電気化学的、及び/又は電気測定のための生物学的センサ100。
【解決手段】電気化学的、及び/又は電気的な測定が可能あり、不純物を添加されたダイヤモンド層104と半導体物質層108との間に配置される誘電層106を少なくとも1つ含む積層からなる基板の、前記不純物を添加されたダイヤモンド層104の少なくとも一部を含む測定電極112と、半導体物質層108の一部に形成され、前記測定電極112と電気的に接続し、前記測定電極112から出される、少なくとも1つの電気信号を、増幅、及び/又は処理するための電子回路114と、を少なくとも含む電気化学的、及び/又は電気測定のための生物学的センサ100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気検出、特に携帯型PoC(Point of Care)型の生物学的検出アプリケーションに用いることが可能であり、生体内及び/又は生体外の、分子の電気化学的及び/又は電気的な検出のために、これらの分子の測定及び/又は検出を行うことができる、バイオセンサとも呼ばれる生物センサに関する。
【0002】
本発明は、例えば、医療、栄養補給、産業的な治療、及び環境モニタリングの分野において、汚染物質、微生物、タンパク質、電気信号、その他を検出するために用いられる。
【背景技術】
【0003】
バイオセンサは、生化学現象を、光学的又は電気的な信号のような測定可能な信号に変換する測定装置である。これらのバイオセンサのいつくかは、キーロック(key-lock)と呼ばれる原理を利用している。このタイプのバイオセンサにおいて、バイオセンサの機能表面とは、検出しようとする分子に適合する生物学的受容体が接合された表面を意味し、バイオセンサの機能表面は分析される溶液に浸されている。検出しようとするこれらの生体分子であって、接合される受容体と相補的な分子を意味する生体分子が溶液中にある場合、分子と受容体との相互作用及び結合が生じる。バイオセンサは、そして、事前に接合された受容体と相補的であるこれらの分子の存在を検出する。
【0004】
これらの分子は、例えば蛍光発光によって光学的に検出されてもよい。この場合、検出される分子はもともと蛍光性であってもよく、又は、これらにマーカーを接合させることによって蛍光性としてもよい。そして、受容体に接合された分子の存在は、レーザーでバイオセンサの機能表面を照らすことによって検出され、各マーカーは特異的な反応を示す。そして、蛍光発光反応が空間的に検出され、それによって、検出する分子の有無を推測することができる。蛍光発光ではないさまざまな光物性(吸収スペクトル、バイオルミネセンス、その他)を、分子の検出のために用いてもよい。
【0005】
例えばバイオセンサーがDNAチップである場合、分子の光検出は、特に、二重検出(目標受容体と目標マーカーとの)のための良好な選択性を提供し、異なるタイプの分子の同時検出(バイオセンサの表面の異なる機能による、同じ溶液中に存在するいくつかの目標/分子の検出)を可能にするという長所を有する。
【0006】
しかしながら、そのような分子の光検出にも、以下のようにいくつかの欠点がある。
【0007】
表面を機能化するためには、必要な準備が要求され、検出されるべき分子をマーキングするために必要な操作が加わり、マーキング効果をもたらすために要する時間のため反応性の問題が生じる。
【0008】
必要な検出測定器が要求され、それは携帯型バイオセンサ製品との互換性がない。
【0009】
代わりに、分子の検出は、ファラデー方式(例えばインピーダンス等の測定によるインタフェースを超えた電荷移動)又は非ファラデー方式(変位電流又は静電気効果の使用)によって電気的に行われてもよい。
【0010】
「電気化学的バイオセンサ」と呼ばれる他のバイオセンサは、検出される分子のリドックス(酸化還元)反応(redox(oxidation−reduction)reactions)に基づく。この電気化学的方法は、検出される分子に電気化学的に反応することを目的とする分子が、バイオセンサの分析電極に接合し、当該分子の電気的反応が検出されるという純粋に電気的な方法である。これらの電気化学的バイオセンサは、分子の電流測定又は電位差測定の検出に基づいている。
【0011】
電流測定は、バイオセンサの2つの電極の間に印加されるポテンシャルで、電気化学的セルを横断する電流の強度の測定に基づく技術である。この電流強度は、測定電極又は計測電極と呼ばれ、第2電極を参照電極として用いる2つの電極のうちの1つの上で酸化又は還元する電気活性物の濃度の関数で表される。
【0012】
電位差測定の検出は、測定電極と参照電極との間の電位差を測定することに基づく電気化学的方法である。2種類の電位差測定の検出が用いられてもよい。1つは、生体レセプタ(bioreceptor)に接続された測定電極(ISE、すなわち「Ion Selective Electrode」)と第2参照電極とが用いられ、検体(検出される分子)が測定電極に用いられた生体レセプタと反応するとき、測定電極のポテンシャルが変化する。2つめは、トランジスタグリッドの表面上の電荷に感応する。ISEの上のグリッドを置き換えることによって、ISFET、すなわち、イオン感応性電界効果トランジスタを得る。
【0013】
電気化学的インピーダンス分光(EIS)によって測定を行う電気化学的センサも存在する。このために、弱い正弦波励振は、同じ周波数の電流のバリエーションを含む安定した励振に重畳される。(複素)電圧/電流比はシステムの(複素)インピーダンスを与える。
【0014】
このように、分子の光検出を行うバイオセンサと比較すると、電気化学的バイオセンサは分子のマーキングを必要としない。さらに、これらのバイオセンサは、標準的なマイクロエレクトロニクスの工程により低コストで製造され、コンパクトであり、柔軟に使用され、検出を多重化して行うことを可能にし、リアルタイムでの測定を可能にする。
【0015】
しかしながら、先行技術における電気化学的バイオセンサにも、以下のような様々な欠点がある。
【0016】
それらは変換において小さなゲインを有し、検出限界を低下させる。
【0017】
それらは電極表面の準備を必要とし、電気化学的な干渉要素(活発なイオン種)を用いる。
【0018】
それらは分析される媒体の近くに、電子的な原因による熱源をもたらし、これは温度に非常に影響されやすい生物学的な媒体にとって決定的となり得る。
【0019】
米国特許第5,777,372号には、センサの金属電極に取って代わるダイヤモンドに基づく構造の使用が記載されている。ダイヤモンドは、特に大部分の化合物に対して高い耐久性があるという長所を有し、耐腐食性を有し、例えば、プラチナよりも優れた活性ウィンドウを提供する。ある物質の活性ウィンドウは、液体媒体に使用可能な電圧幅の範囲である。このウィンドウを越えたポテンシャルにより、リドックス反応が電極上の水(媒体)から生じ、他の反応の検出を妨げる。ダイヤモンドを含む様々な物質の活性ウィンドウの比較は、C.E. Nebel et al.による文書"Diamond and biology", Journal of the Royal Society Interface, 4, 439−461頁, 2007に記載されている。
【0020】
そのようなバイオセンサには、さらに、バイオセンサによる電子測定がバイオセンサに接続する外部アナライザによって形成されるという欠点がある。測定に必要な遮蔽物によって、非常に小さな電流レベル(ピコアンペアの範囲)において、使用中のファラデーゲイジにバイオセンサを挿入することが必要になるという問題が生じる。さらに、信号はアナライザに達した後に増幅されるため、ケーブルと接続部との品質に重大な制約が課される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,777,372号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】C.E. Nebel et al."Diamond and biology", Journal of the Royal Society Interface, 4, 439−461頁, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、ダイヤモンドベースの電極を用いるバイオセンサの長所を有しながら、バイオセンサの停止によって測定電子機器がオフセットされ、バイオセンサの欠点を有しない新規な生物学的センサを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このため、本発明は、少なくとも
電気化学的及び/又は電気測定をすることが可能であり、不純物を添加されたダイヤモンド層と半導体物質層との間に配置される少なくとも1つの誘電層を含む積層からなる基板の、不純物を添加されたダイヤモンド層の少なくとも一部を含む、測定電極又は計測電極のような電極と、
半導体物質層の一部に形成され、測定電極に電気的に接続し、測定電極から出る、少なくとも1つの電気信号を増幅及び/又は処理するための電子回路と、
を含む電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ、すなわち、バイオセンサを提示する。
【0025】
本発明に係るセンサには、測定電極がそこに接合される生物学的受容体を含む場合に、直接相互作用(酸化還元対、ポテンシャルの測定)又はキーロック型(key−lock type)干渉によって、生物学的に適用され得る電気化学的及び/又は電気的な測定(電位差測定(potentiomtery)、環式電解電量測定(cyclic voltametry)、電流測定(amperometry)等)に基づく検出原理が適用される。
【0026】
本発明に係るセンサは、(生物学的及び/又は化学的に)分析される媒体と増幅との間の電気的及び化学的インターフェースとして、及び/又は電子回路を処理する測定電極として用いられる、不純物を添加されたダイヤモンド層の少なくとも一部を使用する。この電子回路は、このように残りのセンサ、特にセンサ電極と統合される。用語「処理」は、読み出し、スキャニングなど、電極から出る電気信号に関して行われる、いかなるタイプの動作も表す。
【0027】
不純物を添加されたダイヤモンドを生物学的インターフェイスとして使用することは、この物質において、生体適合性、非毒性、大きな電気化学的ウインドウ、低ノイズ、その他様々な利点がある。センサを外部の雑音源から容易に分離することができるので、ダイヤモンドと電子回路とをカップリングし一体化することにより、センサの寸法を縮減し、感度を増加させることができる。さらに、このセンサにおいて、電子回路は、測定電極の測定結果に近い、統合された増幅を可能にする。さらに、このようなセンサは、携帯利用のための(電子回路による)コンピュータインターフェースの製造を可能にする。
【0028】
また、このバイオセンサにおいて、配線と環境とに起因するノイズの効果を制限する信号が「ソースにおいて」増幅及び/又は処理される。
【0029】
基板はSOD(semiconductor on diamond)型であってもよい。この場合、同一SOD基板の一部である半導体物質層とダイヤモンド層とにより、センサは、電子回路が設置された半導体層に物理的に接続し、不純物を添加されたダイヤモンド層により形成される少なくとも1つの電極を有し、このように、これらの2層は1つのブロックを形成する。
【0030】
ダイヤモンドは高温における酸素の存在に非常に影響されやすいため(それはO2の存在下で600°Cで酸化する)、ダイヤモンド層と半導体層との間に配置される誘電層は、特に電子回路の形成に用いられる、高温における酸素フローからダイヤモンドを保護することができる。さらに、この誘電層も、半導体層と比較して、バイオセンサから電極を電気的に絶縁することを可能にし、そして、このように、電極と電子回路との間の電気相互作用を予防する。
【0031】
半導体物質層は、約1μm以下の厚みを有してもよい。電子回路は、1つ又は複数のPD−SOI(partially depleted semiconductor on insulation)又はFD−SOI(fully depleted semiconductor on insulation)トランジスタを有してもよい。このようなトランジスタは、特に、低消費、低ノイズ容量及び低内因的ノイズという長所を有する。
【0032】
測定電極は、少なくとも1つの誘電物質で充填され、少なくともダイヤモンド層を貫通又は横断するトレンチによって、残りのダイヤモンド層から区切られてもよい。これらのトレンチは、測定電極を残りのダイヤモンド層から分離するが、また、電子回路を形成する間、酸素フローから電極を形成するダイヤモンドを保護するものでもよい。
【0033】
電子回路は、貫通ビアを通して測定電極に電気的に接続し、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層の中に形成される少なくとも1つの導電体からなる、少なくとも1つの電気配線層から形成されてもよく、半導体物質層はダイヤモンド層とパッシベーション層との間に配置されてもよい。
【0034】
パッシベーション層は、いくつかの多層構造のパッシベーション層からなる多層であってもよく、センサの機械的支持を形成することができるマッシブ層と半導体層との間に配置されてもよい。このように、ダイヤモンド層は、分析される媒体にされされるセンサの表面のほぼ全体に形成されてもよい。
【0035】
一変形例において、パッシベーション層、半導体層、及び誘電層を貫通して形成される少なくとも1つの孔により、測定電極にアクセスが確保されてもよい。
【0036】
電子回路は、貫通ビアを通して測定電極に電気的に接続し、半導体物質に対向するように配置された少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層内に形成される少なくとも1つの導電体からなる、少なくとも1つの電気配線層から形成されてもよく、その中に、測定電極へのアクセスを確保する、少なくともパッシベーション層を貫通する、少なくとも1つの孔が形成されてもよい。ここで、再び、パッシベーション層は、相互に多層化されたいくつかのパッシベーション層から形成される多層であってもよい。
【0037】
測定電極は、少なくとも半導体層に形成される凹所に設置されてもよい。
【0038】
センサによって検出される分子と相補的な生物学的受容体は、測定電極に接合されてもよい。このように、センサは検出の「キーロック」原則を利用するものでもよい。さらにまた、キーロック工程の選択性を強化するために、目標分子のマーカーを使用し、間違った目標の検出に関する寄生効果を制限してもよい。
【0039】
センサは、また、参照電極を形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極と対電極とを形成する第2及び第3電極を含むものでもよく、センサの各電極は、少なくともダイヤモンド層の一部を含むことが可能である。このように、センサは、残りのセンサ、特に電子回路と統合されたこれらの不純物を添加されたダイヤモンドベースの電極の全てを含むものでもよい。センサが2つの電極を有する場合、測定電極と参照電極との間の電位差の測定は、検体の濃度の直接測定が行われることを許す。センサが3つの電極を有する場合、その上で関心の反応が生じる作用電極と対電極との間の電圧は、作用電極と参照電極との間の望ましいセルから入力電圧を定めることによって調整されてもよい。2つ又は3つの電極を備えるこのようなセンサは、他の用途を有することも可能である。さらに、センサは3つ以上の電極を備えてることも可能である。
【0040】
本発明は、少なくとも以下の工程を有する電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサの製造方法に関する。
【0041】
電気化学的及び/又は電気的な測定をすることが可能な、不純物を添加されたダイヤモンド層と半導体物質層との間に配置される少なくとも1つの誘電層を含む積層からなる基板の不純物を添加されたダイヤモンド層の少なくとも一部を含む、測定電極のような電極を形成すること、
【0042】
半導体物質層の一部に、測定電極から出る電気信号を増幅及び/又は処理するための電子回路を形成すること、
【0043】
少なくとも測定電極と電子回路との間の電気接続を形成すること。
【0044】
測定電極を形成することは、少なくとも以下の工程を行うことによって実現されてもよい。
【0045】
少なくとも、ダイヤモンド層、半導体層、及び、誘電層を貫通し、測定電極を形成するためのダイヤモンド層の一部を区切ることが可能なトレンチをエッチングすること、
【0046】
少なくとも誘電物質によってトレンチを充填すること。
【0047】
半導体層とダイヤモンド層との間に配置される誘電層は、トレンチの中に配置される誘電物質と同様に、電子回路の形成中に使用され得る高温酸素フローから、測定電極を形成する不純物を添加されたダイヤモンド層の一部を保護するものでもよい。
【0048】
測定電極と電子回路との間の電気接続を行うことは、少なくとも以下の工程を行うことによって実現されてもよい。
【0049】
電子回路を被覆することが可能な、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層を半導体物質層の上のに堆積させること、
【0050】
少なくともパッシベーション層を貫通する、
少なくとも特に測定電極と電子回路とに電気的に接続する、導電体からなる貫通ビアを形成すること、
【0051】
少なくとも電気接続層の一部と貫通ビアとが測定電極と電子回路とに電気的に接続するように、パッシベーション層の上に、少なくとも1つの導電体からなる電気接続層を形成すること。
【0052】
前記方法は、さらに、測定電極と電子回路との間の電気接続を行った後に、少なくとも電気接続層を被覆する第2パッシベーション層を少なくとも堆積させる工程を含み、そして、センサの機械的支持を形成するマッシブ層で第2パッシベーション層を固定する工程を含むものでもよい。
【0053】
一変形例において、前記方法は、測定電極と電子回路との間の電気接続を行った後に、測定電極へのアクセスを確保する、少なくともパッシベーション層、半導体物質層、及び、誘電層を貫通する、少なくとも1つの孔をエッチングすることも含んでもよい。
【0054】
測定電極を形成することは、少なくともダイヤモンド層をエッチングする工程を行うことによって実現されてもよい。
【0055】
測定電極を製造することは、誘電層の上にダイヤモンド層を堆積させ、ダイヤモンド層と誘電層の少なくとも一部とを、少なくとも半導体物質層に形成された凹所に配置することを可能にする工程を行うことによって実現されてもよい。
【0056】
前記方法は、さらに、測定電極を形成する工程と電気回路を形成する工程との間に、少なくとも誘電層の残りの部分が測定電極と半導体層との間に配置され、そして、少なくとも測定電極を被覆することが可能な誘電物質を堆積させるように、誘電層をエッチングする工程を含むものでもよい。
【0057】
測定電極と電子回路との間の電気接続を行うことは、少なくとも以下の工程を行うことによって実現されてもよい。
【0058】
電子回路と測定電極とを被覆することができるように、半導体物質層の上に、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層を堆積すること、
【0059】
少なくともパッシベーション層を貫通して測定電極と電子回路とに電気的に接続する、少なくとも1つの導電体からなる貫通ビアを形成すること、
【0060】
電気接続層の少なくとも一部と貫通ビアとが測定電極と電子回路とに電気的に接続することが可能とするように、パッシベーション層の上に少なくとも1つの導電体からなる電気接続層を形成すること。
【0061】
前記方法は、測定電極と電子回路との間の電気接続を行った後に、測定電極へのアクセスを確保する、少なくともパッシベーション層を貫通する少なくとも1つの孔をエッチングする工程をさらに含むものでもよい。
【0062】
測定電極の形成を実現する工程は、参照電極として機能し、又はこれを形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極及び対電極として機能し、又はこれらを形成する第2及び第3電極であって、センサの各電極はダイヤモンド層の少なくとも一部を含むことが可能である電極を形成してもよい。
【0063】
前記方法は、さらに、測定電極の上でセンサに、検出される分子と相補的な生物学的受容体を融合させるための工程を含むものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1B】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1C】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1D】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1E】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1F】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1G】本発明の第1の実施形態の変形例にかかる生物学的センサを示す。
【図2A】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図2B】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図2C】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図2D】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3A】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3B】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3C】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3D】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、説明のためのみに添付され、何ら制限するものではない図面を参照しつつ、構造例の記載を読むことによってよりよく理解される。
【0066】
下記の相互に異なる図中において、同一の、類似の、又は同等な部分に対しては、1つの図から他の図への移行を容易にするために同じ参照番号を付している。
【0067】
図をより見やすくするため、図示されている相互に異なる部分は、必ずしも一定の比率で一様に図示されているわけではない。
【0068】
さまざまな可能性(変形例と実施形態)は、互いに排他的ではなく、組み合わせが可能であると理解されなければならない。
【0069】
まず、電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ100、すなわちバイオセンサの第1の実施形態に係るの製造方法の工程を示す図1Aから図1Fに言及する。これらの図1Aから図1Fには、バイオセンサ100の部分の製造のみが示される。
【0070】
図1Aに示すように、バイオセンサ100は、機械的支持として用いられるバッキング層102と、不純物が添加されたダイヤモンド層104と、バリア層6と、半導体(本件ではシリコン)からなる表面層108とを含む、ダイヤモンド型基板上の半導体を意味するSOD基板からなる。
【0071】
ダイヤモンド層104はバッキング層102とバリア層106との間に配置され、バリア層106はダイヤモンド層104と表面層108との間に配置される。
【0072】
表面層108は、望ましくは約1μm以下の厚みの薄層である。バリア層106は、例えば半導体(例えばSiO2又はSiN)の酸化物又は半導体の窒化物からなり、例えば約50nmから1μmの間の厚みを有する誘電物質からなる。バリア層106の材料と厚みとは、共に、半導体層108からダイヤモンド層104を電気的に絶縁する目的のみならず、表面層108の電子回路を製造する後工程において用いられる高温の酸素フローから不純物が添加されたダイヤモンド層104を保護する目的からも選択される。実際に、ダイヤモンドは約600°Cで酸化する。しかし、例えばトランジスタ格子を熱酸化によって形成する際など、電子回路の製造工程で行われる加熱工程では、約600℃以上の温度で酸素が使用される。
【0073】
不純物を添加されたダイヤモンドは、CVD(chemical vapor deposited)多結晶型、HOD(highly oriented diamond)、あるいは固有単結晶型であってもよく、例えば、望ましくはホウ酸(p型)、あるいはリン(n型)によって不純物を添加してもよい。ダイヤモンド層104の厚みは約100nmから1μmの間であってもよい。
【0074】
図1Aに図示していないが、ダイヤモンド層104は粒状構造を有する。実際に、合成ダイヤモンドは、通常、ダイヤモンド以外の物質(本件ではシリコン)からなる基板を意味するヘテロ基板上に形成され、このことは、ダイヤモンドを形成するために用いられる成長工程において、ダイヤモンドは物質の厚み方向に粒子が発達する(縦型ダイヤモンド層を形成する)粒状構造を有することを示す。しかしながら、ダイヤモンドの成長の初期に形成される、ダイヤモンド層の一部である粒子のベースは、「核形成部」と呼ばれ、基板に反しており、かなりの数の粒子、グラファイトその他の結合部が存在するため、通常、電気的に不完全であることを意味する。この核形成部は、望ましくは、バッキング層102、又は、バリア層106の横に配置されてもよい。
【0075】
最終的に、バッキング層102は、ここで、10μm以上の厚みを有するシリコンベースのようなマッシブ状の半導体層である。
【0076】
そのようなSOD基板の製造工程は、当該技術水準において既に知られており(層遷移、分子結合等)、そのため、ここでは詳述しない。
【0077】
そして、表面層108、バリア層106、及び、不純物を添加されたダイヤモンド層104を貫通し、不純物を添加されたダイヤモンド層104においてバイオセンサ100の活性電極の範囲を定めるトレンチ110を形成する。これらのトレンチ110は、バッキング層102の一部にも形成される。
バイオセンサー100は、例えば、2つまたは3つの電極(測定電極、参照電極、対電極)を含んでもよい。図1Aから図1Fに示す例には、バイオセンサー100の測定電極である参照番号112のみを示す。これらのトレンチ110は、例えば、層108、106、104の厚み全体、及び、バッキング層102の厚みの一部を貫通させるようにエッチングし、そして、これらのエッチングされたトレンチ110に、生体適合性誘電体、例えば半導体酸化物又は半導体窒化物(例えばSiO2またはSiN)、又は固有ダイヤモンドからなる物質を充填することによって製造してもよい。図1Bに、測定電極112のものと実質的に類似のダイヤモンドからなる、バリア層106の一部113は、表面層108に電子回路を製作する際に使用される高温酸素フローから測定電極112を保護することができる。トレンチ110に充填する物質も、表面層108に電子回路を形成する際に高温酸素の拡散から測定電極112を保護するために用いる目的から選択されてもよい。
【0078】
不純物を添加されたダイヤモンド層104に形成される電極の寸法の選択は、ダイヤモンド層104の厚みの関数で表される。図1Bに記載されている(X、Y)平面における電極の最小寸法は、それが実質的に長方形の形状であるとき、例えば電極の一方の長さに対応しており、ダイヤモンド層の厚みに非常に等しくなるように選択されてもよい。しかしながら、バイオセンサ100の電極の寸法を選択する場合には、例えば電極に与えられる信号の最小限の信号量、小さな電極を形成することに関する技術的な実現可能性、その他の考慮事項の検討が必要となる。そして、通常は、バイオセンサ100の電極1つにつき、不純物を添加されたダイヤモンド層104の粒子が約100個存在するように電極の寸法が選択されてもよい。図1Bに示されている(X、Y)平面における電極の寸法は、例えば、約10μmから100μmの間である。
【0079】
そして、標準的なマイクロエレクトロニクスの工程によってバイオセンサ100の電子回路を表面層108に形成する。図1Cに、電子回路114の1つのMOSトランジスタを示す。この電子回路114は、バイオセンサ100の電極の端末で発生する電気信号のアンプとして用いられる。この本件実施形態において、電子回路114の出力は、他のバイオセンサにおいて一般的である読み出し及びデジタル化回線の入力に接続されている。1変形例において、電子回路114は、アンプの機能を果たすことに加えて、信号の読み取り及び/またはデジタル/アナログ変換の機能を有してもよい。表面層108が、約1μm以下の厚みを有する薄層である場合、電子回路114は、部分的な空乏を有するPD−SOI型トランジスタ、または完全な空乏を有するFD−SOI型トランジスタのような素子を含むものでもよい。
【0080】
表面層108の半導体の酸化工程のような、電子回路114を製造する間に、高温酸素が表面層108に対して流れる。そして、バリア層106とトレンチ110の誘電物質とは、バリア層106及び/またはトレンチ110がない場合に、ダイヤモンドの燃焼とダイヤモンド層104の不可逆的な劣化とを引き起こすこれらの酸素フローから、ダイヤモンド層104とバッキング層102とを保護する。
【0081】
そして、不純物を添加されたバイオセンサ100のダイヤモンド電極を電子回路114に電気的に接続するため、いくつかの層を電気的に接続する。図1Dの実施形態において、まず、表面層108と電子回路114とを被覆する第1パッシベーション層116(誘電物質からなる)を堆積させることから始める。それから、貫通ビア118(導電体からなる)は、パッシベーション層116、表面層108、及び、バリア層106を貫通し、また、電子回路114と測定電極112とを電気的に接続するために、測定電極112をある程度貫通して形成される。そして、例えばアルミニウム、及び/または他の適切な導電体からなる第1電気接続層120は、パッシベーション層116の上に形成され、ビア118を通して測定電極112を電子回路114に電気的に接続する。そして、電気接続層120は、第2パッシベーション層122に被覆される。図1Dの実施形態では、電子回路114に電気的に接続するために、2つのパッシベーション層116、122を貫通する他の貫通ビア124が形成されている。図示していないが、バイオセンサ100の他の電極のような他の素子と電気的に接続するため、パッシベーション層116、122を貫通する、少なくとも1つの他のビアが形成される。そして、電子回路114をバイオセンサ100の前記他の素子に電気的に接続するため、第2電気接続層126が第2のパッシベーション層122の上に形成される。第2電気接続層126は、第3パッシベーション層128によって最終的に被覆される。パッシベーション層116、122、及び128は、例えば、それぞれの厚みが約400nmに等しい。
【0082】
上記の例において、バイオセンサ100は2つのレベルの電気接続を有する。しかしながら、バイオセンサ100は、バイオセンサ100が3つの電極を有する場合のように、より多くの数の相互接続レベルを有してもよい。さらに、パッシベーション層は、さまざまなレベルの電気接続が形成される多層として形成されてもよい。
【0083】
不純物を添加されたダイヤモンドの活性電極を備える電気化学的測定を行うために、これらの電極を被覆しているバッキング層102の一部を取り除いてそれらを解放してもよい。これは、深いトレンチを伴うバッキング層102の部分的なエッチングによって行われてもよい。
図1Dの実施形態において、このエッチングは測定電極112のレベルまで行われてもよい。
【0084】
一変形例において、図1E及び図1Fに示すように、バッキング層102を完全に取り除くことは可能である。そして、装置100のダイヤモンドベース部分のほとんどを平面とし、分析される媒体におけるバイオセンサ100の生体適合性を向上させることができる。このため、機械式ハンドル130にパッシベーション層128を固定することによって、例えばガラスまたは半導体からなる機械式ハンドル130に、事前に形成された素子を移動する(図1E)。このハンドル130は、測定情報を抽出するために電子回路114の出力に電気的に接続されてもよい。この場合、事前に形成された電気接続層に接続する電気接続部は、パッシベーション層128が取り付けられている側と対向する側のハンドルの側部から、これらの接続部にアクセスすることができるようにするため、ハンドル130にクロス(cross)する。
【0085】
最後に、図1Fに示すように、一度パッシベーション層128がハンドル130に取り付けられると、研磨または化学的腐食などによってバッキング層102が取り除かれ、ダイヤモンド層104が現れる。
【0086】
一変形例において、例えば電極の上にフィットするマスキング(例えば、当該マスクはアルミニウムからなる)を伴って行われる酸素プラズマを使用する工程によって、活性の、不純物を添加されたダイヤモンドベースの電極をポイント状に形成することは可能である。そのような電極は、例えば、ニューラルネットワーク(この場合、フォームファクタが重要である。)を精査するためにポイント状のマトリクスを形成するために用いられる。そのような電極は、例えば、数ダース・ミクロン(たとえば約20μm以上)に等しい厚みのダイヤモンド層から形成されてもよい。
【0087】
図1Aから図1Fで前述した実施形態に代わるものとして、図1Gに示すような生物学的センサ100を形成してもよい。そのために、図1Cから図1Aに関して前述した過程が実施される。すなわち、図1Dにおいて前述した過程による、貫通ビア118、124と、パッシベーション層116、122及び128と、電気接続層120及び126である。しかしながら、測定電極112に接続するための貫通ビア118は、その周辺に配置されるため、パッシベーション層116、122、128、半導体層108、誘電層106を貫通し、測定電極との接続を確保する孔132の後の製造は、これらの相互接続にダメージを与えない。図1Gに示していないが、ダイヤモンド電極112の下で、バッキング層102の中に、絶縁領域が形成されてもよい。
【0088】
図1Fに関して前述したセンサ100のもう1つの変形例において、電子回路114は、図1Fの場合のように、測定電極112の隣に形成されるのではなく、やや重畳して形成されてもよい。この場合、(X、Y)平面(X軸とY軸とは図1Fに表れている)における第1電極112の一部の突起は、同じ平面において、電子回路114の一部の突起に重畳される。この場合、電子回路114は、誘電物質で充填されたトレンチ110で囲まれる。電極112の望ましい寸法が、電気接続及び電子回路の大きさが許す限りにおいて、そのような代替例が可能である。
【0089】
ここで、第2の実施形態に係る電気化学的測定生物学的センサ200の製造方法の過程を示す図2Aから図2Dを参照する。これらの図2Aから図2Dには、バイオセンサ200部分の製造のみが示されている。
【0090】
この第2の実施形態において、装置200は、例えば、バイオセンサ100において前述したバッキング層102に類似するバッキング層202、誘電層204、及び、不純物を添加されたダイヤモンド層を含む基板から形成される。誘電層204は、不純物を添加されたダイヤモンド層とバッキング層102との間に配置される。バッキング層202は、例えば、約700μmの厚みを有する。一変形例において、バッキング層202は、SOI(semiconductor on insulator)基板層に置き換えられてもよく、そのため、70nmから1μmの間の厚みを有する誘電層204は、不純物を添加されたダイヤモンド層とSOI基板の表面の半導体層との間に配置される。
【0091】
図2Aに示すように、不純物を添加されたダイヤモンド層をエッチングすることによって、不純物を添加されたダイヤモンド電極が誘電層204の上に形成される。図2Aにおいて、バイオセンサ200の測定電極に対応する単極208を示す。
【0092】
誘電層204は、信号が測定電極208に印加されるとき、バッキング層102と測定電極208との間に生じ得るカップリングであって、バイオセンサ200による測定の寄生ノイズの原因であるカップリングを可能な限り減らすことを目的とする。そこで、誘電層204の厚みは、約50nm以上に選択されてもよい。
【0093】
そして、バイオセンサ200の電極の下に位置する誘電層204の一部を保持するために誘電層204をエッチングし、電極の側部に位置するバッキング層102の半導体の表面を露出する。図2Bの実施例において、誘電層204の残りの部分210は測定電極208の下に配置される。バイオセンサ200の電子回路を形成する間におけるダイヤモンド電極への高温酸素の拡散の予防を可能とするバリア物質は、例えば、バイオセンサ100のバリア層106の物質に類似する自然物質であってもよく(誘電物質、固有ダイヤモンド、その他)、不純物を添加されたバイオセンサ200のダイヤモンド電極上に配置され、図2Bにおいて、測定電極208と誘電部分210とを被覆するバリア物質の層212を形成する。バリア物質の層212は、例えば、約1μmの厚みを有する。そして、標準的なマイクロエレクトロニクスの工程を行うことにより、電極の側部に位置するバッキング層202の一部に、バイオセンサ200の電子回路が形成される。図2Bに、電子回路214による1つのMOSトランジスタを示す。
【0094】
そして、バイオセンサ100と同様に、バイオセンサ200の電極を電子回路214に電気的に接続するために、いくつかのレベルにおいて電気接続を行う。図2Cの実施例において、これらの相互接続は、例えば、バイオセンサ100の素子と類似の方法により形成されたパッシベーション層216、222、228、貫通ビア218、224、及び、相互接続層220、226によって実現される。
【0095】
最後に、バイオセンサ200の不純物を添加されたダイヤモンド電極は、例えば、局所的なエッチングによって、パッシベーション層228、222、216とバリア物質層212とを穿設して孔230を形成し、測定電極208(図2D)の上面を露出させることによって解放される。
【0096】
ここで、第3実施形態に係る電気化学的測定生物学的センサ300の製造方法の過程のうち、バイオセンサ300部分の製造のみを示す図3Aから図3Dを参照する。
【0097】
図3Aに示すように、バイオセンサ300は、SOI(semiconductor on insulator)基板層上に配置される誘電層204を含み、例えば、半導体物質、誘電層304、及び、マッシブ状の層304からなり、半導体を形成する表面層302を含む基板から形成される。誘電層204と不純物を添加されたダイヤモンド層とが配置される凹部は、SOI基板の層302、304、及び306からなる。これらの凹部に位置するダイヤモンド層の一部は、バイオセンサ300の電極を形成する。図3Aに、1つの測定電極208のみを示す。図3Aに示す平面(X、Y)に対して平行な、半導体表面層302の上面211に位置する面と同じ平面上に、測定電極208上の上面209が配置されてもよい。
【0098】
前述のバイオセンサ200の製造方法と同じように、電極の下に位置しない誘電層204の一部をエッチングする。そして、特に測定電極208を被覆するため、バリア物質215を堆積させる。そして、半導体層302の表面で、バイオセンサ300の上に電子回路を形成する(半導体層302の表面上の、図3Bの電子回路214のトランジスタに象徴される)。
そして、電極をバイオセンサ300の電子回路214に電気的に接続する電気接続部は、バイオセンサ200(図3C)において前述したものと同じように形成される。最後に、孔230が、パッシベーション層216、222、226、及び、バリア層215を貫通して形成され、測定電極208へのアクセスを確保する。
【0099】
バイオセンサ200に比較して、電極が凹部に形成される300のようなバイオセンサは、バイオセンサ電極が半導体層302の上に形成される場合に生じる可能性のある表面のトポロジーの問題を防ぐことを可能にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気検出、特に携帯型PoC(Point of Care)型の生物学的検出アプリケーションに用いることが可能であり、生体内及び/又は生体外の、分子の電気化学的及び/又は電気的な検出のために、これらの分子の測定及び/又は検出を行うことができる、バイオセンサとも呼ばれる生物センサに関する。
【0002】
本発明は、例えば、医療、栄養補給、産業的な治療、及び環境モニタリングの分野において、汚染物質、微生物、タンパク質、電気信号、その他を検出するために用いられる。
【背景技術】
【0003】
バイオセンサは、生化学現象を、光学的又は電気的な信号のような測定可能な信号に変換する測定装置である。これらのバイオセンサのいつくかは、キーロック(key-lock)と呼ばれる原理を利用している。このタイプのバイオセンサにおいて、バイオセンサの機能表面とは、検出しようとする分子に適合する生物学的受容体が接合された表面を意味し、バイオセンサの機能表面は分析される溶液に浸されている。検出しようとするこれらの生体分子であって、接合される受容体と相補的な分子を意味する生体分子が溶液中にある場合、分子と受容体との相互作用及び結合が生じる。バイオセンサは、そして、事前に接合された受容体と相補的であるこれらの分子の存在を検出する。
【0004】
これらの分子は、例えば蛍光発光によって光学的に検出されてもよい。この場合、検出される分子はもともと蛍光性であってもよく、又は、これらにマーカーを接合させることによって蛍光性としてもよい。そして、受容体に接合された分子の存在は、レーザーでバイオセンサの機能表面を照らすことによって検出され、各マーカーは特異的な反応を示す。そして、蛍光発光反応が空間的に検出され、それによって、検出する分子の有無を推測することができる。蛍光発光ではないさまざまな光物性(吸収スペクトル、バイオルミネセンス、その他)を、分子の検出のために用いてもよい。
【0005】
例えばバイオセンサーがDNAチップである場合、分子の光検出は、特に、二重検出(目標受容体と目標マーカーとの)のための良好な選択性を提供し、異なるタイプの分子の同時検出(バイオセンサの表面の異なる機能による、同じ溶液中に存在するいくつかの目標/分子の検出)を可能にするという長所を有する。
【0006】
しかしながら、そのような分子の光検出にも、以下のようにいくつかの欠点がある。
【0007】
表面を機能化するためには、必要な準備が要求され、検出されるべき分子をマーキングするために必要な操作が加わり、マーキング効果をもたらすために要する時間のため反応性の問題が生じる。
【0008】
必要な検出測定器が要求され、それは携帯型バイオセンサ製品との互換性がない。
【0009】
代わりに、分子の検出は、ファラデー方式(例えばインピーダンス等の測定によるインタフェースを超えた電荷移動)又は非ファラデー方式(変位電流又は静電気効果の使用)によって電気的に行われてもよい。
【0010】
「電気化学的バイオセンサ」と呼ばれる他のバイオセンサは、検出される分子のリドックス(酸化還元)反応(redox(oxidation−reduction)reactions)に基づく。この電気化学的方法は、検出される分子に電気化学的に反応することを目的とする分子が、バイオセンサの分析電極に接合し、当該分子の電気的反応が検出されるという純粋に電気的な方法である。これらの電気化学的バイオセンサは、分子の電流測定又は電位差測定の検出に基づいている。
【0011】
電流測定は、バイオセンサの2つの電極の間に印加されるポテンシャルで、電気化学的セルを横断する電流の強度の測定に基づく技術である。この電流強度は、測定電極又は計測電極と呼ばれ、第2電極を参照電極として用いる2つの電極のうちの1つの上で酸化又は還元する電気活性物の濃度の関数で表される。
【0012】
電位差測定の検出は、測定電極と参照電極との間の電位差を測定することに基づく電気化学的方法である。2種類の電位差測定の検出が用いられてもよい。1つは、生体レセプタ(bioreceptor)に接続された測定電極(ISE、すなわち「Ion Selective Electrode」)と第2参照電極とが用いられ、検体(検出される分子)が測定電極に用いられた生体レセプタと反応するとき、測定電極のポテンシャルが変化する。2つめは、トランジスタグリッドの表面上の電荷に感応する。ISEの上のグリッドを置き換えることによって、ISFET、すなわち、イオン感応性電界効果トランジスタを得る。
【0013】
電気化学的インピーダンス分光(EIS)によって測定を行う電気化学的センサも存在する。このために、弱い正弦波励振は、同じ周波数の電流のバリエーションを含む安定した励振に重畳される。(複素)電圧/電流比はシステムの(複素)インピーダンスを与える。
【0014】
このように、分子の光検出を行うバイオセンサと比較すると、電気化学的バイオセンサは分子のマーキングを必要としない。さらに、これらのバイオセンサは、標準的なマイクロエレクトロニクスの工程により低コストで製造され、コンパクトであり、柔軟に使用され、検出を多重化して行うことを可能にし、リアルタイムでの測定を可能にする。
【0015】
しかしながら、先行技術における電気化学的バイオセンサにも、以下のような様々な欠点がある。
【0016】
それらは変換において小さなゲインを有し、検出限界を低下させる。
【0017】
それらは電極表面の準備を必要とし、電気化学的な干渉要素(活発なイオン種)を用いる。
【0018】
それらは分析される媒体の近くに、電子的な原因による熱源をもたらし、これは温度に非常に影響されやすい生物学的な媒体にとって決定的となり得る。
【0019】
米国特許第5,777,372号には、センサの金属電極に取って代わるダイヤモンドに基づく構造の使用が記載されている。ダイヤモンドは、特に大部分の化合物に対して高い耐久性があるという長所を有し、耐腐食性を有し、例えば、プラチナよりも優れた活性ウィンドウを提供する。ある物質の活性ウィンドウは、液体媒体に使用可能な電圧幅の範囲である。このウィンドウを越えたポテンシャルにより、リドックス反応が電極上の水(媒体)から生じ、他の反応の検出を妨げる。ダイヤモンドを含む様々な物質の活性ウィンドウの比較は、C.E. Nebel et al.による文書"Diamond and biology", Journal of the Royal Society Interface, 4, 439−461頁, 2007に記載されている。
【0020】
そのようなバイオセンサには、さらに、バイオセンサによる電子測定がバイオセンサに接続する外部アナライザによって形成されるという欠点がある。測定に必要な遮蔽物によって、非常に小さな電流レベル(ピコアンペアの範囲)において、使用中のファラデーゲイジにバイオセンサを挿入することが必要になるという問題が生じる。さらに、信号はアナライザに達した後に増幅されるため、ケーブルと接続部との品質に重大な制約が課される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,777,372号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】C.E. Nebel et al."Diamond and biology", Journal of the Royal Society Interface, 4, 439−461頁, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、ダイヤモンドベースの電極を用いるバイオセンサの長所を有しながら、バイオセンサの停止によって測定電子機器がオフセットされ、バイオセンサの欠点を有しない新規な生物学的センサを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このため、本発明は、少なくとも
電気化学的及び/又は電気測定をすることが可能であり、不純物を添加されたダイヤモンド層と半導体物質層との間に配置される少なくとも1つの誘電層を含む積層からなる基板の、不純物を添加されたダイヤモンド層の少なくとも一部を含む、測定電極又は計測電極のような電極と、
半導体物質層の一部に形成され、測定電極に電気的に接続し、測定電極から出る、少なくとも1つの電気信号を増幅及び/又は処理するための電子回路と、
を含む電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ、すなわち、バイオセンサを提示する。
【0025】
本発明に係るセンサには、測定電極がそこに接合される生物学的受容体を含む場合に、直接相互作用(酸化還元対、ポテンシャルの測定)又はキーロック型(key−lock type)干渉によって、生物学的に適用され得る電気化学的及び/又は電気的な測定(電位差測定(potentiomtery)、環式電解電量測定(cyclic voltametry)、電流測定(amperometry)等)に基づく検出原理が適用される。
【0026】
本発明に係るセンサは、(生物学的及び/又は化学的に)分析される媒体と増幅との間の電気的及び化学的インターフェースとして、及び/又は電子回路を処理する測定電極として用いられる、不純物を添加されたダイヤモンド層の少なくとも一部を使用する。この電子回路は、このように残りのセンサ、特にセンサ電極と統合される。用語「処理」は、読み出し、スキャニングなど、電極から出る電気信号に関して行われる、いかなるタイプの動作も表す。
【0027】
不純物を添加されたダイヤモンドを生物学的インターフェイスとして使用することは、この物質において、生体適合性、非毒性、大きな電気化学的ウインドウ、低ノイズ、その他様々な利点がある。センサを外部の雑音源から容易に分離することができるので、ダイヤモンドと電子回路とをカップリングし一体化することにより、センサの寸法を縮減し、感度を増加させることができる。さらに、このセンサにおいて、電子回路は、測定電極の測定結果に近い、統合された増幅を可能にする。さらに、このようなセンサは、携帯利用のための(電子回路による)コンピュータインターフェースの製造を可能にする。
【0028】
また、このバイオセンサにおいて、配線と環境とに起因するノイズの効果を制限する信号が「ソースにおいて」増幅及び/又は処理される。
【0029】
基板はSOD(semiconductor on diamond)型であってもよい。この場合、同一SOD基板の一部である半導体物質層とダイヤモンド層とにより、センサは、電子回路が設置された半導体層に物理的に接続し、不純物を添加されたダイヤモンド層により形成される少なくとも1つの電極を有し、このように、これらの2層は1つのブロックを形成する。
【0030】
ダイヤモンドは高温における酸素の存在に非常に影響されやすいため(それはO2の存在下で600°Cで酸化する)、ダイヤモンド層と半導体層との間に配置される誘電層は、特に電子回路の形成に用いられる、高温における酸素フローからダイヤモンドを保護することができる。さらに、この誘電層も、半導体層と比較して、バイオセンサから電極を電気的に絶縁することを可能にし、そして、このように、電極と電子回路との間の電気相互作用を予防する。
【0031】
半導体物質層は、約1μm以下の厚みを有してもよい。電子回路は、1つ又は複数のPD−SOI(partially depleted semiconductor on insulation)又はFD−SOI(fully depleted semiconductor on insulation)トランジスタを有してもよい。このようなトランジスタは、特に、低消費、低ノイズ容量及び低内因的ノイズという長所を有する。
【0032】
測定電極は、少なくとも1つの誘電物質で充填され、少なくともダイヤモンド層を貫通又は横断するトレンチによって、残りのダイヤモンド層から区切られてもよい。これらのトレンチは、測定電極を残りのダイヤモンド層から分離するが、また、電子回路を形成する間、酸素フローから電極を形成するダイヤモンドを保護するものでもよい。
【0033】
電子回路は、貫通ビアを通して測定電極に電気的に接続し、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層の中に形成される少なくとも1つの導電体からなる、少なくとも1つの電気配線層から形成されてもよく、半導体物質層はダイヤモンド層とパッシベーション層との間に配置されてもよい。
【0034】
パッシベーション層は、いくつかの多層構造のパッシベーション層からなる多層であってもよく、センサの機械的支持を形成することができるマッシブ層と半導体層との間に配置されてもよい。このように、ダイヤモンド層は、分析される媒体にされされるセンサの表面のほぼ全体に形成されてもよい。
【0035】
一変形例において、パッシベーション層、半導体層、及び誘電層を貫通して形成される少なくとも1つの孔により、測定電極にアクセスが確保されてもよい。
【0036】
電子回路は、貫通ビアを通して測定電極に電気的に接続し、半導体物質に対向するように配置された少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層内に形成される少なくとも1つの導電体からなる、少なくとも1つの電気配線層から形成されてもよく、その中に、測定電極へのアクセスを確保する、少なくともパッシベーション層を貫通する、少なくとも1つの孔が形成されてもよい。ここで、再び、パッシベーション層は、相互に多層化されたいくつかのパッシベーション層から形成される多層であってもよい。
【0037】
測定電極は、少なくとも半導体層に形成される凹所に設置されてもよい。
【0038】
センサによって検出される分子と相補的な生物学的受容体は、測定電極に接合されてもよい。このように、センサは検出の「キーロック」原則を利用するものでもよい。さらにまた、キーロック工程の選択性を強化するために、目標分子のマーカーを使用し、間違った目標の検出に関する寄生効果を制限してもよい。
【0039】
センサは、また、参照電極を形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極と対電極とを形成する第2及び第3電極を含むものでもよく、センサの各電極は、少なくともダイヤモンド層の一部を含むことが可能である。このように、センサは、残りのセンサ、特に電子回路と統合されたこれらの不純物を添加されたダイヤモンドベースの電極の全てを含むものでもよい。センサが2つの電極を有する場合、測定電極と参照電極との間の電位差の測定は、検体の濃度の直接測定が行われることを許す。センサが3つの電極を有する場合、その上で関心の反応が生じる作用電極と対電極との間の電圧は、作用電極と参照電極との間の望ましいセルから入力電圧を定めることによって調整されてもよい。2つ又は3つの電極を備えるこのようなセンサは、他の用途を有することも可能である。さらに、センサは3つ以上の電極を備えてることも可能である。
【0040】
本発明は、少なくとも以下の工程を有する電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサの製造方法に関する。
【0041】
電気化学的及び/又は電気的な測定をすることが可能な、不純物を添加されたダイヤモンド層と半導体物質層との間に配置される少なくとも1つの誘電層を含む積層からなる基板の不純物を添加されたダイヤモンド層の少なくとも一部を含む、測定電極のような電極を形成すること、
【0042】
半導体物質層の一部に、測定電極から出る電気信号を増幅及び/又は処理するための電子回路を形成すること、
【0043】
少なくとも測定電極と電子回路との間の電気接続を形成すること。
【0044】
測定電極を形成することは、少なくとも以下の工程を行うことによって実現されてもよい。
【0045】
少なくとも、ダイヤモンド層、半導体層、及び、誘電層を貫通し、測定電極を形成するためのダイヤモンド層の一部を区切ることが可能なトレンチをエッチングすること、
【0046】
少なくとも誘電物質によってトレンチを充填すること。
【0047】
半導体層とダイヤモンド層との間に配置される誘電層は、トレンチの中に配置される誘電物質と同様に、電子回路の形成中に使用され得る高温酸素フローから、測定電極を形成する不純物を添加されたダイヤモンド層の一部を保護するものでもよい。
【0048】
測定電極と電子回路との間の電気接続を行うことは、少なくとも以下の工程を行うことによって実現されてもよい。
【0049】
電子回路を被覆することが可能な、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層を半導体物質層の上のに堆積させること、
【0050】
少なくともパッシベーション層を貫通する、
少なくとも特に測定電極と電子回路とに電気的に接続する、導電体からなる貫通ビアを形成すること、
【0051】
少なくとも電気接続層の一部と貫通ビアとが測定電極と電子回路とに電気的に接続するように、パッシベーション層の上に、少なくとも1つの導電体からなる電気接続層を形成すること。
【0052】
前記方法は、さらに、測定電極と電子回路との間の電気接続を行った後に、少なくとも電気接続層を被覆する第2パッシベーション層を少なくとも堆積させる工程を含み、そして、センサの機械的支持を形成するマッシブ層で第2パッシベーション層を固定する工程を含むものでもよい。
【0053】
一変形例において、前記方法は、測定電極と電子回路との間の電気接続を行った後に、測定電極へのアクセスを確保する、少なくともパッシベーション層、半導体物質層、及び、誘電層を貫通する、少なくとも1つの孔をエッチングすることも含んでもよい。
【0054】
測定電極を形成することは、少なくともダイヤモンド層をエッチングする工程を行うことによって実現されてもよい。
【0055】
測定電極を製造することは、誘電層の上にダイヤモンド層を堆積させ、ダイヤモンド層と誘電層の少なくとも一部とを、少なくとも半導体物質層に形成された凹所に配置することを可能にする工程を行うことによって実現されてもよい。
【0056】
前記方法は、さらに、測定電極を形成する工程と電気回路を形成する工程との間に、少なくとも誘電層の残りの部分が測定電極と半導体層との間に配置され、そして、少なくとも測定電極を被覆することが可能な誘電物質を堆積させるように、誘電層をエッチングする工程を含むものでもよい。
【0057】
測定電極と電子回路との間の電気接続を行うことは、少なくとも以下の工程を行うことによって実現されてもよい。
【0058】
電子回路と測定電極とを被覆することができるように、半導体物質層の上に、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層を堆積すること、
【0059】
少なくともパッシベーション層を貫通して測定電極と電子回路とに電気的に接続する、少なくとも1つの導電体からなる貫通ビアを形成すること、
【0060】
電気接続層の少なくとも一部と貫通ビアとが測定電極と電子回路とに電気的に接続することが可能とするように、パッシベーション層の上に少なくとも1つの導電体からなる電気接続層を形成すること。
【0061】
前記方法は、測定電極と電子回路との間の電気接続を行った後に、測定電極へのアクセスを確保する、少なくともパッシベーション層を貫通する少なくとも1つの孔をエッチングする工程をさらに含むものでもよい。
【0062】
測定電極の形成を実現する工程は、参照電極として機能し、又はこれを形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極及び対電極として機能し、又はこれらを形成する第2及び第3電極であって、センサの各電極はダイヤモンド層の少なくとも一部を含むことが可能である電極を形成してもよい。
【0063】
前記方法は、さらに、測定電極の上でセンサに、検出される分子と相補的な生物学的受容体を融合させるための工程を含むものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1B】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1C】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1D】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1E】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1F】本発明の第1の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図1G】本発明の第1の実施形態の変形例にかかる生物学的センサを示す。
【図2A】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図2B】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図2C】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図2D】本発明の第2の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3A】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3B】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3C】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【図3D】本発明の第3の実施形態にかかる生物学的センサの製造方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、説明のためのみに添付され、何ら制限するものではない図面を参照しつつ、構造例の記載を読むことによってよりよく理解される。
【0066】
下記の相互に異なる図中において、同一の、類似の、又は同等な部分に対しては、1つの図から他の図への移行を容易にするために同じ参照番号を付している。
【0067】
図をより見やすくするため、図示されている相互に異なる部分は、必ずしも一定の比率で一様に図示されているわけではない。
【0068】
さまざまな可能性(変形例と実施形態)は、互いに排他的ではなく、組み合わせが可能であると理解されなければならない。
【0069】
まず、電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ100、すなわちバイオセンサの第1の実施形態に係るの製造方法の工程を示す図1Aから図1Fに言及する。これらの図1Aから図1Fには、バイオセンサ100の部分の製造のみが示される。
【0070】
図1Aに示すように、バイオセンサ100は、機械的支持として用いられるバッキング層102と、不純物が添加されたダイヤモンド層104と、バリア層6と、半導体(本件ではシリコン)からなる表面層108とを含む、ダイヤモンド型基板上の半導体を意味するSOD基板からなる。
【0071】
ダイヤモンド層104はバッキング層102とバリア層106との間に配置され、バリア層106はダイヤモンド層104と表面層108との間に配置される。
【0072】
表面層108は、望ましくは約1μm以下の厚みの薄層である。バリア層106は、例えば半導体(例えばSiO2又はSiN)の酸化物又は半導体の窒化物からなり、例えば約50nmから1μmの間の厚みを有する誘電物質からなる。バリア層106の材料と厚みとは、共に、半導体層108からダイヤモンド層104を電気的に絶縁する目的のみならず、表面層108の電子回路を製造する後工程において用いられる高温の酸素フローから不純物が添加されたダイヤモンド層104を保護する目的からも選択される。実際に、ダイヤモンドは約600°Cで酸化する。しかし、例えばトランジスタ格子を熱酸化によって形成する際など、電子回路の製造工程で行われる加熱工程では、約600℃以上の温度で酸素が使用される。
【0073】
不純物を添加されたダイヤモンドは、CVD(chemical vapor deposited)多結晶型、HOD(highly oriented diamond)、あるいは固有単結晶型であってもよく、例えば、望ましくはホウ酸(p型)、あるいはリン(n型)によって不純物を添加してもよい。ダイヤモンド層104の厚みは約100nmから1μmの間であってもよい。
【0074】
図1Aに図示していないが、ダイヤモンド層104は粒状構造を有する。実際に、合成ダイヤモンドは、通常、ダイヤモンド以外の物質(本件ではシリコン)からなる基板を意味するヘテロ基板上に形成され、このことは、ダイヤモンドを形成するために用いられる成長工程において、ダイヤモンドは物質の厚み方向に粒子が発達する(縦型ダイヤモンド層を形成する)粒状構造を有することを示す。しかしながら、ダイヤモンドの成長の初期に形成される、ダイヤモンド層の一部である粒子のベースは、「核形成部」と呼ばれ、基板に反しており、かなりの数の粒子、グラファイトその他の結合部が存在するため、通常、電気的に不完全であることを意味する。この核形成部は、望ましくは、バッキング層102、又は、バリア層106の横に配置されてもよい。
【0075】
最終的に、バッキング層102は、ここで、10μm以上の厚みを有するシリコンベースのようなマッシブ状の半導体層である。
【0076】
そのようなSOD基板の製造工程は、当該技術水準において既に知られており(層遷移、分子結合等)、そのため、ここでは詳述しない。
【0077】
そして、表面層108、バリア層106、及び、不純物を添加されたダイヤモンド層104を貫通し、不純物を添加されたダイヤモンド層104においてバイオセンサ100の活性電極の範囲を定めるトレンチ110を形成する。これらのトレンチ110は、バッキング層102の一部にも形成される。
バイオセンサー100は、例えば、2つまたは3つの電極(測定電極、参照電極、対電極)を含んでもよい。図1Aから図1Fに示す例には、バイオセンサー100の測定電極である参照番号112のみを示す。これらのトレンチ110は、例えば、層108、106、104の厚み全体、及び、バッキング層102の厚みの一部を貫通させるようにエッチングし、そして、これらのエッチングされたトレンチ110に、生体適合性誘電体、例えば半導体酸化物又は半導体窒化物(例えばSiO2またはSiN)、又は固有ダイヤモンドからなる物質を充填することによって製造してもよい。図1Bに、測定電極112のものと実質的に類似のダイヤモンドからなる、バリア層106の一部113は、表面層108に電子回路を製作する際に使用される高温酸素フローから測定電極112を保護することができる。トレンチ110に充填する物質も、表面層108に電子回路を形成する際に高温酸素の拡散から測定電極112を保護するために用いる目的から選択されてもよい。
【0078】
不純物を添加されたダイヤモンド層104に形成される電極の寸法の選択は、ダイヤモンド層104の厚みの関数で表される。図1Bに記載されている(X、Y)平面における電極の最小寸法は、それが実質的に長方形の形状であるとき、例えば電極の一方の長さに対応しており、ダイヤモンド層の厚みに非常に等しくなるように選択されてもよい。しかしながら、バイオセンサ100の電極の寸法を選択する場合には、例えば電極に与えられる信号の最小限の信号量、小さな電極を形成することに関する技術的な実現可能性、その他の考慮事項の検討が必要となる。そして、通常は、バイオセンサ100の電極1つにつき、不純物を添加されたダイヤモンド層104の粒子が約100個存在するように電極の寸法が選択されてもよい。図1Bに示されている(X、Y)平面における電極の寸法は、例えば、約10μmから100μmの間である。
【0079】
そして、標準的なマイクロエレクトロニクスの工程によってバイオセンサ100の電子回路を表面層108に形成する。図1Cに、電子回路114の1つのMOSトランジスタを示す。この電子回路114は、バイオセンサ100の電極の端末で発生する電気信号のアンプとして用いられる。この本件実施形態において、電子回路114の出力は、他のバイオセンサにおいて一般的である読み出し及びデジタル化回線の入力に接続されている。1変形例において、電子回路114は、アンプの機能を果たすことに加えて、信号の読み取り及び/またはデジタル/アナログ変換の機能を有してもよい。表面層108が、約1μm以下の厚みを有する薄層である場合、電子回路114は、部分的な空乏を有するPD−SOI型トランジスタ、または完全な空乏を有するFD−SOI型トランジスタのような素子を含むものでもよい。
【0080】
表面層108の半導体の酸化工程のような、電子回路114を製造する間に、高温酸素が表面層108に対して流れる。そして、バリア層106とトレンチ110の誘電物質とは、バリア層106及び/またはトレンチ110がない場合に、ダイヤモンドの燃焼とダイヤモンド層104の不可逆的な劣化とを引き起こすこれらの酸素フローから、ダイヤモンド層104とバッキング層102とを保護する。
【0081】
そして、不純物を添加されたバイオセンサ100のダイヤモンド電極を電子回路114に電気的に接続するため、いくつかの層を電気的に接続する。図1Dの実施形態において、まず、表面層108と電子回路114とを被覆する第1パッシベーション層116(誘電物質からなる)を堆積させることから始める。それから、貫通ビア118(導電体からなる)は、パッシベーション層116、表面層108、及び、バリア層106を貫通し、また、電子回路114と測定電極112とを電気的に接続するために、測定電極112をある程度貫通して形成される。そして、例えばアルミニウム、及び/または他の適切な導電体からなる第1電気接続層120は、パッシベーション層116の上に形成され、ビア118を通して測定電極112を電子回路114に電気的に接続する。そして、電気接続層120は、第2パッシベーション層122に被覆される。図1Dの実施形態では、電子回路114に電気的に接続するために、2つのパッシベーション層116、122を貫通する他の貫通ビア124が形成されている。図示していないが、バイオセンサ100の他の電極のような他の素子と電気的に接続するため、パッシベーション層116、122を貫通する、少なくとも1つの他のビアが形成される。そして、電子回路114をバイオセンサ100の前記他の素子に電気的に接続するため、第2電気接続層126が第2のパッシベーション層122の上に形成される。第2電気接続層126は、第3パッシベーション層128によって最終的に被覆される。パッシベーション層116、122、及び128は、例えば、それぞれの厚みが約400nmに等しい。
【0082】
上記の例において、バイオセンサ100は2つのレベルの電気接続を有する。しかしながら、バイオセンサ100は、バイオセンサ100が3つの電極を有する場合のように、より多くの数の相互接続レベルを有してもよい。さらに、パッシベーション層は、さまざまなレベルの電気接続が形成される多層として形成されてもよい。
【0083】
不純物を添加されたダイヤモンドの活性電極を備える電気化学的測定を行うために、これらの電極を被覆しているバッキング層102の一部を取り除いてそれらを解放してもよい。これは、深いトレンチを伴うバッキング層102の部分的なエッチングによって行われてもよい。
図1Dの実施形態において、このエッチングは測定電極112のレベルまで行われてもよい。
【0084】
一変形例において、図1E及び図1Fに示すように、バッキング層102を完全に取り除くことは可能である。そして、装置100のダイヤモンドベース部分のほとんどを平面とし、分析される媒体におけるバイオセンサ100の生体適合性を向上させることができる。このため、機械式ハンドル130にパッシベーション層128を固定することによって、例えばガラスまたは半導体からなる機械式ハンドル130に、事前に形成された素子を移動する(図1E)。このハンドル130は、測定情報を抽出するために電子回路114の出力に電気的に接続されてもよい。この場合、事前に形成された電気接続層に接続する電気接続部は、パッシベーション層128が取り付けられている側と対向する側のハンドルの側部から、これらの接続部にアクセスすることができるようにするため、ハンドル130にクロス(cross)する。
【0085】
最後に、図1Fに示すように、一度パッシベーション層128がハンドル130に取り付けられると、研磨または化学的腐食などによってバッキング層102が取り除かれ、ダイヤモンド層104が現れる。
【0086】
一変形例において、例えば電極の上にフィットするマスキング(例えば、当該マスクはアルミニウムからなる)を伴って行われる酸素プラズマを使用する工程によって、活性の、不純物を添加されたダイヤモンドベースの電極をポイント状に形成することは可能である。そのような電極は、例えば、ニューラルネットワーク(この場合、フォームファクタが重要である。)を精査するためにポイント状のマトリクスを形成するために用いられる。そのような電極は、例えば、数ダース・ミクロン(たとえば約20μm以上)に等しい厚みのダイヤモンド層から形成されてもよい。
【0087】
図1Aから図1Fで前述した実施形態に代わるものとして、図1Gに示すような生物学的センサ100を形成してもよい。そのために、図1Cから図1Aに関して前述した過程が実施される。すなわち、図1Dにおいて前述した過程による、貫通ビア118、124と、パッシベーション層116、122及び128と、電気接続層120及び126である。しかしながら、測定電極112に接続するための貫通ビア118は、その周辺に配置されるため、パッシベーション層116、122、128、半導体層108、誘電層106を貫通し、測定電極との接続を確保する孔132の後の製造は、これらの相互接続にダメージを与えない。図1Gに示していないが、ダイヤモンド電極112の下で、バッキング層102の中に、絶縁領域が形成されてもよい。
【0088】
図1Fに関して前述したセンサ100のもう1つの変形例において、電子回路114は、図1Fの場合のように、測定電極112の隣に形成されるのではなく、やや重畳して形成されてもよい。この場合、(X、Y)平面(X軸とY軸とは図1Fに表れている)における第1電極112の一部の突起は、同じ平面において、電子回路114の一部の突起に重畳される。この場合、電子回路114は、誘電物質で充填されたトレンチ110で囲まれる。電極112の望ましい寸法が、電気接続及び電子回路の大きさが許す限りにおいて、そのような代替例が可能である。
【0089】
ここで、第2の実施形態に係る電気化学的測定生物学的センサ200の製造方法の過程を示す図2Aから図2Dを参照する。これらの図2Aから図2Dには、バイオセンサ200部分の製造のみが示されている。
【0090】
この第2の実施形態において、装置200は、例えば、バイオセンサ100において前述したバッキング層102に類似するバッキング層202、誘電層204、及び、不純物を添加されたダイヤモンド層を含む基板から形成される。誘電層204は、不純物を添加されたダイヤモンド層とバッキング層102との間に配置される。バッキング層202は、例えば、約700μmの厚みを有する。一変形例において、バッキング層202は、SOI(semiconductor on insulator)基板層に置き換えられてもよく、そのため、70nmから1μmの間の厚みを有する誘電層204は、不純物を添加されたダイヤモンド層とSOI基板の表面の半導体層との間に配置される。
【0091】
図2Aに示すように、不純物を添加されたダイヤモンド層をエッチングすることによって、不純物を添加されたダイヤモンド電極が誘電層204の上に形成される。図2Aにおいて、バイオセンサ200の測定電極に対応する単極208を示す。
【0092】
誘電層204は、信号が測定電極208に印加されるとき、バッキング層102と測定電極208との間に生じ得るカップリングであって、バイオセンサ200による測定の寄生ノイズの原因であるカップリングを可能な限り減らすことを目的とする。そこで、誘電層204の厚みは、約50nm以上に選択されてもよい。
【0093】
そして、バイオセンサ200の電極の下に位置する誘電層204の一部を保持するために誘電層204をエッチングし、電極の側部に位置するバッキング層102の半導体の表面を露出する。図2Bの実施例において、誘電層204の残りの部分210は測定電極208の下に配置される。バイオセンサ200の電子回路を形成する間におけるダイヤモンド電極への高温酸素の拡散の予防を可能とするバリア物質は、例えば、バイオセンサ100のバリア層106の物質に類似する自然物質であってもよく(誘電物質、固有ダイヤモンド、その他)、不純物を添加されたバイオセンサ200のダイヤモンド電極上に配置され、図2Bにおいて、測定電極208と誘電部分210とを被覆するバリア物質の層212を形成する。バリア物質の層212は、例えば、約1μmの厚みを有する。そして、標準的なマイクロエレクトロニクスの工程を行うことにより、電極の側部に位置するバッキング層202の一部に、バイオセンサ200の電子回路が形成される。図2Bに、電子回路214による1つのMOSトランジスタを示す。
【0094】
そして、バイオセンサ100と同様に、バイオセンサ200の電極を電子回路214に電気的に接続するために、いくつかのレベルにおいて電気接続を行う。図2Cの実施例において、これらの相互接続は、例えば、バイオセンサ100の素子と類似の方法により形成されたパッシベーション層216、222、228、貫通ビア218、224、及び、相互接続層220、226によって実現される。
【0095】
最後に、バイオセンサ200の不純物を添加されたダイヤモンド電極は、例えば、局所的なエッチングによって、パッシベーション層228、222、216とバリア物質層212とを穿設して孔230を形成し、測定電極208(図2D)の上面を露出させることによって解放される。
【0096】
ここで、第3実施形態に係る電気化学的測定生物学的センサ300の製造方法の過程のうち、バイオセンサ300部分の製造のみを示す図3Aから図3Dを参照する。
【0097】
図3Aに示すように、バイオセンサ300は、SOI(semiconductor on insulator)基板層上に配置される誘電層204を含み、例えば、半導体物質、誘電層304、及び、マッシブ状の層304からなり、半導体を形成する表面層302を含む基板から形成される。誘電層204と不純物を添加されたダイヤモンド層とが配置される凹部は、SOI基板の層302、304、及び306からなる。これらの凹部に位置するダイヤモンド層の一部は、バイオセンサ300の電極を形成する。図3Aに、1つの測定電極208のみを示す。図3Aに示す平面(X、Y)に対して平行な、半導体表面層302の上面211に位置する面と同じ平面上に、測定電極208上の上面209が配置されてもよい。
【0098】
前述のバイオセンサ200の製造方法と同じように、電極の下に位置しない誘電層204の一部をエッチングする。そして、特に測定電極208を被覆するため、バリア物質215を堆積させる。そして、半導体層302の表面で、バイオセンサ300の上に電子回路を形成する(半導体層302の表面上の、図3Bの電子回路214のトランジスタに象徴される)。
そして、電極をバイオセンサ300の電子回路214に電気的に接続する電気接続部は、バイオセンサ200(図3C)において前述したものと同じように形成される。最後に、孔230が、パッシベーション層216、222、226、及び、バリア層215を貫通して形成され、測定電極208へのアクセスを確保する。
【0099】
バイオセンサ200に比較して、電極が凹部に形成される300のようなバイオセンサは、バイオセンサ電極が半導体層302の上に形成される場合に生じる可能性のある表面のトポロジーの問題を防ぐことを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
電気化学的及び/又は電気的な測定が可能であり、不純物を添加されたダイヤモンド層(104)と半導体物質層(108、202、302)との間に配置される少なくとも1つの誘電層(106、204)を含む積層からなる基板の、前記不純物を添加されたダイヤモンド層(104)の少なくとも一部を含む測定電極(112、208)と、
前記半導体物質層(108、202、302)の一部に形成され、前記測定電極(112、208)と電気的に接続し、前記測定電極(112、208)から出る少なくとも1つの電気信号を増幅及び/又は処理するための電子回路(114、214)と、
を含むことを特徴とする電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ(100、200、300)。
【請求項2】
前記基板は、SODタイプであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ(100)。
【請求項3】
前記半導体物質層(108)は1μm以下の厚みを有し、前記電子回路(114)は、PD−SOI又はFD−SOIタイプの1つ以上のトランジスタを含むことを特徴とする請求項2に記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記測定電極(112)は、少なくとも1つの誘電物質で充填され、少なくとも前記ダイヤモンド層(104)をクロスするトレンチ(110)によって、前記ダイヤモンド層(104)の残りの部分から区切られることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記電子回路(114)は、貫通ビア(118)によって前記測定電極(112)に電気的に接続され、少なくとも1つの電気接続層(120)は、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層(116、122、128)の中に形成される導電物質からなり、前記半導体物質層(108)は、前記ダイヤモンド層(104)と前記パッシベーション層(116、122、128)との間に配置されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載のセンサ(100)。
【請求項6】
前記パッシベーション層(116、122、128)が前記センサ(100)の機械的支持を形成するマッシブ層(130)と前記半導体層(108)との間に配置されることを特徴とする請求項5に記載のセンサ(100)。
【請求項7】
前記測定電極(112)に接続する、少なくとも前記パッシベーション層(116、122、128)、前記半導体物質層(108)、及び、前記誘電層(106)を貫通して形成された少なくとも1つの孔(132)が形成されることを特徴とする請求項5に記載のセンサ(100)。
【請求項8】
前記電子回路(214)は、貫通ビア(218)によって前記測定電極(208)に電気的に接続され、そして、前記半導体物質層(202、302)に対向して配置される少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層(216、222、228)に形成される少なくとも1つの導電物質からなる少なくとも1つの電気接続層(220)に接続され、そして、測定電極(208)へのアクセスを確保する、少なくとも前記パッシベーション層(216、222、228)を貫通する少なくとも1つの孔(230)が形成されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ(200、300)。
【請求項9】
前記測定電極(208)は、少なくとも前記半導体層(202、302)に形成される凹部に配置されることを特徴とする請求項1又は8に記載のセンサ(300)。
【請求項10】
前記センサ(100、200、300)により検出される分子と相補的な生物学的受容体が測定電極(112、208)上に接合されることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載のセンサ(100、200、300)。
【請求項11】
参照電極を形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極と対電極とを形成する第2及び第3電極をさらに含み、前記センサ(100、200、300)の前記各電極は、前記ダイヤモンド層(104)の少なくとも一部をさらに含むことを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載のセンサ(100、200、300)。
【請求項12】
少なくとも、
電気化学的及び/又は電気測定をすることが可能であって、不純物を添加されたダイヤモンド層(104)と半導体物質層(108、202、302)との間に配置される少なくとも1つの誘電層(106、204)を含む積層からなる基板の不純物を添加されたダイヤモンド層(104)の少なくとも一部(112、208)を含む測定電極(112、208)を形成し、
前記半導体物質層(108、202、302)の一部に、前記測定電極から出る電気信号を増幅及び/または処理するための電子回路(114、214)を形成し、
少なくとも前記測定電極(112、208)と前記電子回路(114、214)との間に電気接続部(118、120、218、220)を形成すること、
を含むことを特徴とする電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ(100、200、300)の製造方法。
【請求項13】
前記測定電極(112)を形成することは、少なくとも、
前記ダイヤモンド層(104)、前記半導体層(108)、及び、前記誘電層(106)を少なくとも貫通し、前記測定電極(112)を形成するための前記ダイヤモンド層(104)の一部(112)を区切るトレンチ(110)をエッチングし、
少なくとも誘電物質によって前記トレンチ(110)を充填すること
によって実現されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定電極(112)と前記電子回路(114)と間の電気接続部(118、120)を形成することは、少なくとも、
前記電子回路(114)を被覆する、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層(116)を前記半導体物質層(108)の上に堆積させ、
少なくとも前記パッシベーション層(116)を貫通して、前記測定電極(112)と前記電子回路(114)とに電気的に接続する少なくとも1つの導電体からなる貫通ビア(118)を形成し、
前記電気接続層(120)の少なくとも一部と貫通電極(118)とが前記測定電極(112)と前記電子回路(110)とに接続するように、前記パッシベーション層(116)の少なくとも1つの導電体からなる電気接続層(120)を形成すること
を行うことによって実現されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記測定電極(112)と前記電子回路(114)との間の前記電気接続部(118、120)を形成した後に、少なくとも前記電気接続層(120)を被覆する第2パッシベーション層(122、128)を少なくとも堆積させ、そして、前記センサ(100)の機械的支持を形成する固体層(130)によって前記第2パッシベーション層(128)を固定すること
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定電極(112)と前記電子回路(114)との間の前記電気接続部(118、120)を形成した後に、前記測定電極(112)へのアクセスを確保するため、少なくとも前記パッシベーション層(116、122、128)、前記半導体物質層(108)、及び、前記誘電層(106)を貫通する、少なくとも1つの孔をエッチングすること
を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記測定電極(208)を形成することは、少なくとも前記ダイヤモンド層にエッチングする少なくとも一工程を行うことによって実現されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記測定電極(208)を形成することは、少なくとも、
前記誘電層(204)の上に前記ダイヤモンド層を堆積し、前記ダイヤモンド層及び前記誘電層(204)の少なくとも一部(213)は、少なくとも前記半導体物質層(202、 302)の上に形成される凹部に配置されることを行うことによって実現されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記測定電極(208)を形成することと、前記電子回路を形成することとの間に、
少なくとも前記誘電層(204)の残りの部分(210、213)を前記測定電極(208)と前記半導体層(202、302)との間に配置するように前記誘電層(204)をエッチングして、そして、前記誘電物質(212、215)を堆積させて、少なくとも前記測定電極(208)を被覆することをさらに含むことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の方法。.
【請求項20】
前記測定電極(208)と電気回路(214)との電気接続部(218、220)を形成することは、少なくとも、
前記半導体物質層(202、302)の上に、少なくとも1つの誘電物質からなり、前記電気回路(214)と前記測定電極(208)とを被覆する、少なくとも1つのパッシベーション層(216)を堆積させ、
少なくとも前記パッシベーション層(216)を貫通して、前記測定電極(208)と前記電気回路(214)とに電気的に接続する、少なくとも1つの導電体からなる貫通ビア(218)を形成し、
電気接続層(220)の少なくとも一部と貫通ビア(218)とを、前記測定電極(208)と前記電気回路(214)とに電気的に接続するように、パッシベーション層(216)の上の少なくとも1つの導電体からなる電気接続層(220)を形成すること
を行うことによって達成されることを特徴とする請求項17から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記測定電極(208)と前記電気回路(214)との前記電気接続部(218、 220)を形成した後に、
前記測定電極(208)へのアクセスを確保する、前記パッシベーション層(216)を少なくとも貫通する、少なくとも1つの孔(230)をエッチングすることをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定電極(112、208)を形成することは、参照電極を形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極と対電極とを形成する第2及び第3電極をも形成し、前記センサ(100、200、300)の各電極は、少なくとも前記ダイヤモンド層(104)の一部を含むことを特徴とする請求項12から21に記載の方法。
【請求項23】
前記センサ(100、200、300)によって検出される分子と相補的な生物学的受容体を前記測定電極(112、208)の上に接合させることをさらに含むことを特徴とする請求項12から22に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも、
電気化学的及び/又は電気的な測定が可能であり、不純物を添加されたダイヤモンド層(104)と半導体物質層(108、202、302)との間に配置される少なくとも1つの誘電層(106、204)を含む積層からなる基板の、前記不純物を添加されたダイヤモンド層(104)の少なくとも一部を含む測定電極(112、208)と、
前記半導体物質層(108、202、302)の一部に形成され、前記測定電極(112、208)と電気的に接続し、前記測定電極(112、208)から出る少なくとも1つの電気信号を増幅及び/又は処理するための電子回路(114、214)と、
を含むことを特徴とする電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ(100、200、300)。
【請求項2】
前記基板は、SODタイプであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ(100)。
【請求項3】
前記半導体物質層(108)は1μm以下の厚みを有し、前記電子回路(114)は、PD−SOI又はFD−SOIタイプの1つ以上のトランジスタを含むことを特徴とする請求項2に記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記測定電極(112)は、少なくとも1つの誘電物質で充填され、少なくとも前記ダイヤモンド層(104)をクロスするトレンチ(110)によって、前記ダイヤモンド層(104)の残りの部分から区切られることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記電子回路(114)は、貫通ビア(118)によって前記測定電極(112)に電気的に接続され、少なくとも1つの電気接続層(120)は、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層(116、122、128)の中に形成される導電物質からなり、前記半導体物質層(108)は、前記ダイヤモンド層(104)と前記パッシベーション層(116、122、128)との間に配置されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載のセンサ(100)。
【請求項6】
前記パッシベーション層(116、122、128)が前記センサ(100)の機械的支持を形成するマッシブ層(130)と前記半導体層(108)との間に配置されることを特徴とする請求項5に記載のセンサ(100)。
【請求項7】
前記測定電極(112)に接続する、少なくとも前記パッシベーション層(116、122、128)、前記半導体物質層(108)、及び、前記誘電層(106)を貫通して形成された少なくとも1つの孔(132)が形成されることを特徴とする請求項5に記載のセンサ(100)。
【請求項8】
前記電子回路(214)は、貫通ビア(218)によって前記測定電極(208)に電気的に接続され、そして、前記半導体物質層(202、302)に対向して配置される少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層(216、222、228)に形成される少なくとも1つの導電物質からなる少なくとも1つの電気接続層(220)に接続され、そして、測定電極(208)へのアクセスを確保する、少なくとも前記パッシベーション層(216、222、228)を貫通する少なくとも1つの孔(230)が形成されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ(200、300)。
【請求項9】
前記測定電極(208)は、少なくとも前記半導体層(202、302)に形成される凹部に配置されることを特徴とする請求項1又は8に記載のセンサ(300)。
【請求項10】
前記センサ(100、200、300)により検出される分子と相補的な生物学的受容体が測定電極(112、208)上に接合されることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載のセンサ(100、200、300)。
【請求項11】
参照電極を形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極と対電極とを形成する第2及び第3電極をさらに含み、前記センサ(100、200、300)の前記各電極は、前記ダイヤモンド層(104)の少なくとも一部をさらに含むことを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載のセンサ(100、200、300)。
【請求項12】
少なくとも、
電気化学的及び/又は電気測定をすることが可能であって、不純物を添加されたダイヤモンド層(104)と半導体物質層(108、202、302)との間に配置される少なくとも1つの誘電層(106、204)を含む積層からなる基板の不純物を添加されたダイヤモンド層(104)の少なくとも一部(112、208)を含む測定電極(112、208)を形成し、
前記半導体物質層(108、202、302)の一部に、前記測定電極から出る電気信号を増幅及び/または処理するための電子回路(114、214)を形成し、
少なくとも前記測定電極(112、208)と前記電子回路(114、214)との間に電気接続部(118、120、218、220)を形成すること、
を含むことを特徴とする電気化学的及び/又は電気測定のための生物学的センサ(100、200、300)の製造方法。
【請求項13】
前記測定電極(112)を形成することは、少なくとも、
前記ダイヤモンド層(104)、前記半導体層(108)、及び、前記誘電層(106)を少なくとも貫通し、前記測定電極(112)を形成するための前記ダイヤモンド層(104)の一部(112)を区切るトレンチ(110)をエッチングし、
少なくとも誘電物質によって前記トレンチ(110)を充填すること
によって実現されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定電極(112)と前記電子回路(114)と間の電気接続部(118、120)を形成することは、少なくとも、
前記電子回路(114)を被覆する、少なくとも1つの誘電物質からなる少なくとも1つのパッシベーション層(116)を前記半導体物質層(108)の上に堆積させ、
少なくとも前記パッシベーション層(116)を貫通して、前記測定電極(112)と前記電子回路(114)とに電気的に接続する少なくとも1つの導電体からなる貫通ビア(118)を形成し、
前記電気接続層(120)の少なくとも一部と貫通電極(118)とが前記測定電極(112)と前記電子回路(110)とに接続するように、前記パッシベーション層(116)の少なくとも1つの導電体からなる電気接続層(120)を形成すること
を行うことによって実現されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記測定電極(112)と前記電子回路(114)との間の前記電気接続部(118、120)を形成した後に、少なくとも前記電気接続層(120)を被覆する第2パッシベーション層(122、128)を少なくとも堆積させ、そして、前記センサ(100)の機械的支持を形成する固体層(130)によって前記第2パッシベーション層(128)を固定すること
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定電極(112)と前記電子回路(114)との間の前記電気接続部(118、120)を形成した後に、前記測定電極(112)へのアクセスを確保するため、少なくとも前記パッシベーション層(116、122、128)、前記半導体物質層(108)、及び、前記誘電層(106)を貫通する、少なくとも1つの孔をエッチングすること
を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記測定電極(208)を形成することは、少なくとも前記ダイヤモンド層にエッチングする少なくとも一工程を行うことによって実現されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記測定電極(208)を形成することは、少なくとも、
前記誘電層(204)の上に前記ダイヤモンド層を堆積し、前記ダイヤモンド層及び前記誘電層(204)の少なくとも一部(213)は、少なくとも前記半導体物質層(202、 302)の上に形成される凹部に配置されることを行うことによって実現されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記測定電極(208)を形成することと、前記電子回路を形成することとの間に、
少なくとも前記誘電層(204)の残りの部分(210、213)を前記測定電極(208)と前記半導体層(202、302)との間に配置するように前記誘電層(204)をエッチングして、そして、前記誘電物質(212、215)を堆積させて、少なくとも前記測定電極(208)を被覆することをさらに含むことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の方法。.
【請求項20】
前記測定電極(208)と電気回路(214)との電気接続部(218、220)を形成することは、少なくとも、
前記半導体物質層(202、302)の上に、少なくとも1つの誘電物質からなり、前記電気回路(214)と前記測定電極(208)とを被覆する、少なくとも1つのパッシベーション層(216)を堆積させ、
少なくとも前記パッシベーション層(216)を貫通して、前記測定電極(208)と前記電気回路(214)とに電気的に接続する、少なくとも1つの導電体からなる貫通ビア(218)を形成し、
電気接続層(220)の少なくとも一部と貫通ビア(218)とを、前記測定電極(208)と前記電気回路(214)とに電気的に接続するように、パッシベーション層(216)の上の少なくとも1つの導電体からなる電気接続層(220)を形成すること
を行うことによって達成されることを特徴とする請求項17から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記測定電極(208)と前記電気回路(214)との前記電気接続部(218、 220)を形成した後に、
前記測定電極(208)へのアクセスを確保する、前記パッシベーション層(216)を少なくとも貫通する、少なくとも1つの孔(230)をエッチングすることをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定電極(112、208)を形成することは、参照電極を形成する第2電極、又は、それぞれ参照電極と対電極とを形成する第2及び第3電極をも形成し、前記センサ(100、200、300)の各電極は、少なくとも前記ダイヤモンド層(104)の一部を含むことを特徴とする請求項12から21に記載の方法。
【請求項23】
前記センサ(100、200、300)によって検出される分子と相補的な生物学的受容体を前記測定電極(112、208)の上に接合させることをさらに含むことを特徴とする請求項12から22に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【公開番号】特開2011−137820(P2011−137820A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−290522(P2010−290522)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(506423291)コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ (85)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290522(P2010−290522)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(506423291)コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ (85)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
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