説明

電気器具の配線構造

【目的】 電気器具の組立工程において、リード線を接続する作業を無くし、組立作業を簡略化することである。
【構成】 複数に分かれた部品ブロックごとに制御基板14、中継配線基板19等のサブ配線基板を設け、予め内部配線を完了した各サブ配線基板のコネクタ端子15、25を予め内部配線を完了したメイン配線基板17のコネクタ18、26に接続するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば炊飯ジャーのごとき電気器具における配線構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炊飯ジャーの主要な電気部品であるヒーター、センサー、制御基板、コードリール等は、それぞれ予めリード線が取付けられ、そのリード線を電気部品相互間に配線して相互に接続するようにしている。このような配線構造は、その他の電気器具においても同様である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の電気器具においては、各電気部品ごとのリード線を個別に引き廻して配線していたので、その配線作業は煩雑であり、専ら手作業に頼るほかなく、自動化が困難であった。
【0004】そこで、この発明は配線基板を用いることにより、作業の自動化が可能となる配線構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、この発明は複数に分かれた部品ブロックを有する電気器具の配線構造において、上記部品ブロックごとのサブ配線基板及び各サブ配線基板に対応したメイン配線基板を設け、上記各サブ配線基板は部品ブロックごとの電気部品を所要の配線によって電気的に接続されたコネクタ端子を有し、上記メイン配線基板は、上記サブ配線基板のコネクタ端子と接続された複数のコネクタと、その各コネクタと電源供給端子とを接続する所要の配線を有する構成としたものである。
【0006】上記のサブ配線基板としては、外装体前部に設けられた制御基板と、外装体後部に設けられた中継配線基板と、釜を加熱する加熱板と、加熱板上部に設けた内胴配線基板などがある。
【0007】
【作用】上記の配線構造をもった電気器具を組立てる際は、各部品ブロックごとの電気部品とサブ配線基板との間の配線、サブ配線基板及びメイン配線基板の各内部配線は予め他の工程で完了しておき、組立工程においてはサブ配線基板及びメイン配線基板を取付けると共に、各サブ配線基板のコネクタ端子とメイン配線基板のコネクタとを接続し、更に、メイン配線基板のコネクタと電源供給端子を接続する。
【0008】
【実施例】図1は実施例として炊飯ジャーの場合を示す。この炊飯ジャーは外装体1の内部に釜2を出し入れ自在に収納し、その外装体1にヒンジピン3により外蓋4を開閉自在に取付け、また外装体1の下面に底体5を取付けている。
【0009】上記の外装体1の内部において、底遮熱板6上に加熱板7が取付けられ、その加熱板7の内部にヒーター8を鋳込んでいる。
【0010】加熱板7の外周縁上に内胴9が取付けられ、その内胴9の上端に、そのまわりを囲む側遮熱板11が取付けられる。
【0011】上記外装体1の前部には制御基板ケース12の収納室13が設けられ、その制御基板ケース12は図2に示すように、収納室13の上端開口部から内部に挿入される。制御基板ケース12はその内部に制御基板14が設けられる。この制御基板14はマイコンその他の制御用部品ブロックと各部品を相互に電気的に接続するプリント配線回路とから成るものであり、「特許請求の範囲」においていうところのサブ配線基板を構成する。
【0012】上記制御基板14はコネクタ端子15を有し、そのコネクタ端子15は外装体1の底部にビス16により取付けられたメイン配線基板17のコネクタ18に差込まれる。
【0013】外装体1の後部には、中継配線基板19の収納室21が設けられる。この中継配線基板19は、図3に示すように、外蓋4とヒンジピン3により回動自在に連結されており、外蓋4の蓋ヒーター22、センサーなどの部品ブロックを構成する各部品と接続されたリード線23が、ヒンジ部分を経て中継配線基板19のコネクタ端子25に接続されている。この中継配線基板19も一つのサブ配線基板を構成するものであって、そのコネクタ端子25はメイン配線基板17のコネクタ26に接続される。なお、この中継配線基板19は、ビス27により外装体1と固定される。
【0014】また、前記の内胴9のまわりには、胴ヒーター28、サイドセンサー29、温度ヒューズ31等の部品ブロックを構成する各部品と接続されたリード線32が内胴9に固定した内胴配線基板33に接続される。この内胴配線基板33も一つのサブ配線基板を構成するものであって、そのコネクタ端子34は、メイン配線基板17のコネクタ35に接続される。
【0015】また、加熱板7に鋳込まれたヒーター8の両端は直接コネクタ端子36に接続され、そのコネクタ端子36がメイン配線基板17のコネクタ37に接続される。この場合は加熱板7自体が一つのサブ配線基板を構成する。
【0016】更に、底体5の下面の凹所38にビス39によりコードリール41が取付けられる(図4参照)。コードリール41はその内部のコードと接続された2本のコネクタ端子42が設けられ、そのコネクタ端子42をメイン配線基板17のコネクタ43にその下面から上向きに差込み、接続を行なう。
【0017】実施例の炊飯ジャーは以上のごときものであり、前述の各サブ配線基板は予め組付けを完了した状態で組立工程に供給される。即ち、制御基板14はそれ自体予め製作され、かつ制御基板ケース12に組付けられる。また、中継配線基板19も外蓋4に組付けられ、かつそのリード線23の配線も完了した状態にある。内胴9及び加熱板7、コードリール41についても同様である。
【0018】また、メイン配線基板17もリード線44により各コネクタ18、26、35、37、43間に予めプリント配線又はリード線等による内部配線を行い配線し、電源供給端子であるコードリール41のコネクタ端子42と接続される。
【0019】組立工程においては、外装体1を逆向きにして、側遮熱板11、内胴9、加熱板7、底遮熱板6を組付けたのち、メイン配線基板17をビス16で固定する。このとき、内胴配線基板33のコネクタ端子34及び加熱板7のコネクタ端子36がそれぞれメイン配線基板17の各コネクタ35、37に接続される。
【0020】また、外装体1に底体5を取付け、その際にコードリール41のコネクタ端子42をメイン配線基板17のコネクタ43に接続する。
【0021】次に、外装体1を反転して正立させたのち、制御基板ケース12を外装体1の前部の収納室13に差込み、制御基板14のコネクタ端子15をメイン配線基板17のコネクタ18に接続する。また、外蓋4と一体の中継配線基板19を後部の収納室21に差込み、そのコネクタ端子25をメイン配線基板17のコネクタ26に接続する。このとき、外蓋4が外装体1の上面に被せられる。また、中継配線基板19をビス27により外装体1に固定して組立てを完了する。
【0022】
【発明の効果】以上のように、この発明は幾つかの部品ブロックごとにサブ配線基板を設けているので、各部品とサブ配線基板との内部配線を組立工程以外の別工程で完了させておくことができる。
【0023】また、各サブ配線基板はコネクタ端子を有するので、組立工程においては各コネクタ端子をメイン配線基板のコネクタに接続するだけでよいので、従来のごとき煩雑なリード線の接続を組立工程で行う必要がない。従って、組立工程の作業が著しく簡略化され、ロボット化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の断面図
【図2】同上の一部分解斜視図
【図3】同上の一部分解斜視図
【図4】同上の一部分解斜視図
【符号の説明】
1 外装体
2 釜
3 ヒンジピン
4 外蓋
5 底体
6 底遮蔽板
7 加熱板
8 ヒーター
9 内胴
11 側遮熱板
12 制御基板ケース
13 収納室
14 制御基板
15 コネクタ端子
16 ビス
17 メイン配線基板
18 コネクタ
19 中継配線基板
21 収納室
22 蓋ヒーター
23 リード線
25 コネクタ端子
26 コネクタ
27 ビス
28 胴ヒーター
29 サイドセンサー
31 温度ヒューズ
32 リード線
33 内胴配線基板
34 コネクタ端子
35 コネクタ
36 コネクタ端子
37 コネクタ
38 凹所
39 ビス
41 コードリール
42 コネクタ端子
43 コネクタ
44 内部配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数に分かれた部品ブロックを有する電気器具の配線構造において、上記部品ブロックごとのサブ配線基板及び各サブ配線基板に対応したメイン配線基板を設け、上記各サブ配線基板は部品ブロックごとの電気部品を所要の内部配線によって電気的に接続されたコネクタ端子を有し、上記メイン配線基板は、上記サブ配線基板のコネクタ端子と接続された複数のコネクタと、その各コネクタと電源供給端子とを接続する所要の内部配線を有することを特徴とする電気器具の配線構造。
【請求項2】 上記サブ配線基板は、外装体前部に設けられた制御基板と、外装体後部に設けられた中継配線基板と、釜を加熱する加熱板と、加熱板上部に設けた内胴配線基板とからなることを特徴とする請求項1に記載の電気器具の配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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