説明

電気掃除機およびそのロータリブラシ

【課題】ブラシ束が床面に接触する領域を大きくして、良好に掃除を行うことのできる電気掃除機およびそのロータリブラシを提供すること。
【解決手段】第1傾斜列29のブラシ束26は、端部回転軸23の周面に、ロータリブラシの軸方向中心側へ向かって傾くように植立されている。第2傾斜列30のブラシ束26は、端部回転軸23の周面に、ロータリブラシの軸方向端部へ向かって傾くように植立されている。また、端部回転軸23が回転した際に、第1傾斜列29の各ブラシ束26の先端が回転する回転軌跡と、第2傾斜列30の各ブラシ束26が回転する回転軌跡とが重なり合わないように配置されている。これにより、端部回転軸23が回転したときに、端部回転軸23と対向する床面に対してブラシ束26が接触する領域が大きくなり、ブラシ束26がゴミを良好に掻き上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機およびそのロータリブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、一般的に、床面に沿うように移動することで床面上のゴミを吸い込むことのできる吸引ヘッドを備えており、近年、吸引ヘッドにロータリブラシが設けられた電気掃除機が広く利用されている。
吸引ヘッドの下面には、ゴミを吸い込むための吸込み口が形成されており、この吸込み口にロータリブラシの一部が臨んでいる。ロータリブラシには、ベルトやプーリ等を介してモータの駆動力が伝達されるようになっており、モータが駆動することによりロータリブラシが回転する。また、ロータリブラシの周面には複数のブラシ束が植立されており、ロータリブラシが回転することにより、ブラシ束が床面上のゴミを掻き上げ、そのゴミが吸込み口から吸引ヘッドに吸い込まれていく。これにより、床面上のゴミが良好に吸引ヘッド内に吸い込まれる。この種の電気掃除機が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開昭59−16773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような電気掃除機に用いられるロータリブラシとして、周面に形成されるブラシ束がロータリブラシの軸方向一方側に傾いて植立されているものがある。また、このようなロータリブラシでは、特に、ロータリブラシの両端部近傍の周面に植立されるブラシ束が、軸方向一方側に傾いて植立されている。
しかしながら、このようにしてロータリブラシの周面にブラシ束が植立されると、ブラシ束が軸方向一方側に傾いているため、ロータリブラシが回転したときに、床面に対してブラシ束の先端が接触しない部分が生じて、ゴミを掻き上げることができない部分が生じることになる。
【0004】
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、ブラシ束が床面に接触する領域を大きくして、良好に掃除を行うことのできる電気掃除機およびそのロータリブラシを提供することを目的とする。
また、この発明は、良好に掃除を行っていることを確認することのできる電気掃除機を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、長手をした回転軸(9A)と、回転軸の周面に植立され、軸方向に並ぶ列をなす多数のブラシ束(26)とを有する電気掃除機用のロータリブラシ(9)であって、上記回転軸の両端から軸方向中心に向かって所定長さまでの両側各領域に植立されたブラシ束の列は、それぞれ、上記回転軸の回転方向に対向する第1の列(29)および第2の列(30)を有し、上記第1の列は、ブラシ束が軸方向中心側へ向かって傾くように植立され、上記第2の列は、ブラシ束が軸方向端部へ向かって傾くように植立されていることを特徴とする電気掃除機用ロータリブラシである。
【0006】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素などを表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、第1の列のブラシ束は、軸方向中央側へ向かって傾くように植立され、第2の列のブラシ束は、軸方向端部へ向かって傾くように植立されているので、掃除時にロータリブラシが回転した際に、ロータリブラシの両側各領域の軸方向中心側と対向する床面のゴミを第1の列のブラシ束が掻き上げ、ロータリブラシの両側各領域の軸方向端部側と対向する床面のゴミを第2の列のブラシ束が掻き上げる。よって、床面にブラシ束が偏りなく接触する。ゆえに、ブラシ束が床面に接触する領域を大きくして、床面にゴミの吸い残しがないよう良好に掃除を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記第1の列(29)および第2の列(30)は、それぞれ、上記回転軸(9A)の軸方向に直線状に延びていて、かつ、上記回転軸の回転方向に180°隔てて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機用ロータリブラシ(9)である。
この構成によれば、第1の列および第2の列は、180°隔てて配置されているので、ロータリブラシを回転させた際にブラシ束がバランスよく床面に接触する。よって、バランスよくゴミを掻き上げることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記第1の列(29)の各ブラシ束(26)の先端が回転する回転軌跡と、上記第2の列(30)の各ブラシ束(26)の先端が回転する回転軌跡とが、重なり合わないように、各ブラシ束の植立位置および傾斜角度が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機用ロータリブラシ(9)である。
この構成によれば、第1の列の各ブラシ束の先端の回転軌跡と、第2の列の各ブラシ束の先端の回転軌跡とが重なり合わない。すなわち、第1の列の各ブラシ束先端の隙間の回転軌跡に第2の列の各ブラシ束先端の回転軌跡が重なり合い、同様に、第2の列の各ブラシ束先端の隙間の回転軌跡に第1の列の各ブラシ束先端の回転軌跡が重なり合うので、ブラシ束の先端が偏りなく床面に接触する。よって、ブラシ束が床面に接触する領域を大きくして、床面にゴミの吸い残しがないよう良好に掃除を行うことができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記回転軸(9A)の両端から軸方向中心に向かって所定の長さ入った位置に、上記回転軸を回転自在に支持する左右の軸受(22)が備えられており、上記軸受の外側の上記回転軸(23)の周面に、上記ブラシ束(26)の第1の列(29)および第2の列(30)が植立されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気掃除機用ロータリブラシ(9)である。
【0010】
この構成によれば、回転軸の両端から軸受までの領域に対向する床面のゴミを偏りなく掻き上げることができる。
請求項5に記載の発明は、上記左右の軸受(22)間の上記回転軸(21)の周面には、軸方向に並び、かつ、螺旋状に延び、上記回転軸の回転方向に対向する少なくとも2列のブラシ束の列(27)が植立されていることを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機用ロータリブラシ(9)である。
【0011】
この構成によれば、軸受間の回転軸の周面には、ブラシ束の列が螺旋状に延びるように形成されているので、軸受間の回転軸と対向する床面のゴミを良好に掻き上げることができる。
請求項6に記載の発明は、上記回転軸(23)の両端面は、軸方向中心へ向かって円錐状に凹んだ凹部(31)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機用ロータリブラシ(9)である。
【0012】
この構成によれば、凹部は、回転軸の軸方向中心へ向かって円錐状に凹んでいるので、掃除時にロータリブラシを回転させて床面のゴミを掻き上げる際に、そのゴミが凹部に進入しても、遠心力によりゴミが外方に飛散する。よって、ゴミが凹部に蓄積するのを防ぐことができ、ロータリブラシを清潔に保つことができる。また、凹部へのゴミの進入を防ぐためにキャップ等を被せる必要もないので、簡易な構成でロータリブラシを清潔に保つことができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、上記左右の軸受(22)の外側の回転軸(23)は、上記左右の軸受間の回転軸(21)とは別部材で構成されており、上記外側の回転軸の外側端面は、軸方向中心へ向かって円錐状に凹んだ凹部(31)を有し、その凹部内に、この外側の回転軸を左右の軸受間の回転軸に連結するための取付ネジ(32)が埋設されていることを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機用ロータリブラシ(9)である。
【0014】
この構成によれば、凹部は、回転軸の軸方向中心へ向かって円錐状に凹んでいるので、掃除時にロータリブラシを回転させて床面のゴミを掻き上げる際に、そのゴミが凹部に進入しても、遠心力によりゴミが外方に飛散する。よって、ゴミが凹部に蓄積するのを防ぐことができ、ロータリブラシを清潔に保つことができる。また、凹部へのゴミの進入を防ぐためにキャップ等を被せる必要もないので、簡易な構成でロータリブラシを清潔に保つことができる。
【0015】
また、凹部内に取付ネジが埋設されているので、取付ネジが回転軸の外部の露出することがなく、取付ネジが掃除の弊害になることがない。
請求項8に記載の発明は、掃除機本体(4)と、掃除機本体の下端に取付けられた吸引ヘッド(3)とを含む電気掃除機(1)において、上記吸引ヘッドは、ヘッドケース(20)と、上記ヘッドケース内に、左右方向に延びるように配置された長手のロータリブラシ(9)と、上記ロータリブラシの左右両端部に対向する上記ヘッドケースの上面に形成され、上記ロータリブラシを視認できる窓(33)と、上記窓に嵌められ、上記窓を被うと共に上記窓の枠(34)と重なり合うように固定された透明なカバー(17)と、を有することを特徴とする電気掃除機である。
【0016】
この構成によれば、カバーを介して窓からロータリブラシの両端部が床面のゴミを掻き上げていることを視認できる。また、カバーは、窓の枠と重なり合っているので、ヘッドケースの左右両端部の強度を高めることができる。
また、請求項9に記載の発明のように、上記ロータリブラシ(9)は、請求項1〜7のいずれかに記載のロータリブラシであることを特徴とする請求項8に記載の電気掃除機(1)であれば、窓を介してロータリブラシによりゴミが偏りなく掻き上げられていることを視認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態にかかる電気掃除機1の構成を示す正面図であり、図2は、電気掃除機1の左側面図である。また、図3は、電気掃除機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を左側からみた断面図である。
図1〜図3を参照して、この電気掃除機1は、床面に沿って移動される吸引ヘッド3と、この吸引ヘッド3に対して一端部(下端部)が回動可能に取付けられた長尺形状の本体4とを備え、本体4の他端部(上端部)に形成されたハンドル5を把持して、本体4を鉛直方向に対して後方に所定角度(たとえば、60°〜80°)だけ傾けた姿勢で使用することができる、いわゆるアップライト型(縦型)の掃除機である。吸引ヘッド3の下部および本体4の下部には、それぞれ左右1対の車輪2A,2Bが回転可能に取付けられており、これらの車輪2A,2Bを床面に沿って転がすことにより、電気掃除機1をスムーズに移動させることができる。この電気掃除機1は、使用しないときには、吸引ヘッド3に対して本体4を鉛直方向に起立させた姿勢(図1〜図3に示す姿勢)で保持しておくことができる。
【0018】
吸引ヘッド3の底面前側には、吸込み口6が形成されている。本体4には、吸引ヘッド3の後側に、モータと、このモータによって回転駆動されるファンとを含む電動送風機7が配置されている。この電気掃除機1を用いて掃除を行う際には、電動送風機7を駆動することにより、吸込み口6の外側の空気とともに、吸込み口6に対向する床面上のゴミが吸込み口6から吸引ヘッド3内に吸い込まれる。
【0019】
吸引ヘッド3の内部前側には、左右方向に延びる回転軸9Aを中心に回転可能なロータリブラシ9が配置されており、この回転ブラシ9の周面が吸込み口6に臨んでいる。電動送風機7のモータの回転力は、ロータリブラシ9の回転軸9Aに伝達されるようになっている。したがって、電動送風機7が駆動されると、回転ブラシ9が回転されて、床面の塵埃等のゴミが回転ブラシ9により掻き上げられ、そのゴミが吸込み口6から吸引ヘッド3内へ吸い込まれる(後述する)。
【0020】
吸引ヘッド3の両端部の上面には、透明な部材で形成されるカバー17がそれぞれ取付けられており、カバー17を介してロータリブラシ9の両端部を視認することができるようにされている(後述する)。
本体4には、吸引ヘッド3から吸い込まれた空気に含まれる塵埃等のゴミを捕獲するための集塵装置10が着脱自在に取付けられている。集塵装置10には入口12が形成されていて、吸引ヘッド3に一端部が連結されたホース13の他端部が、集塵装置10の入口12に接続されている。これにより、吸込み口6から吸引ヘッド3に吸い込まれた空気およびゴミは、ホース13内を通って集塵装置10側へと送られ、入口12から集塵装置10内に取り込まれるようになっている。集塵装置10内に空気とともに吸い込まれたゴミは、集塵装置10内を通過する過程で捕獲され、空気だけが集塵装置10の前面に形成された出口14から排出される。集塵装置10の出口14から排出された空気は、本体4内を通って、本体4の前面下部に形成された排気口15から機外に排出される。
【0021】
本体4の後面上部には、ホース13の途中部を下方から支持するためのホース支持部8が突出形成されており、ホース13が下垂しないように支持されている。また、本体4の左側面(図1においては、右側の側面)の下部には、ホース係止部16が設けられている。
吸引ヘッド3に連結されたホース13の一端部は、その連結状態を解除して吸引ヘッド3から取り外し可能とされている。これにより、ホース13の一端部を吸引ヘッド3から取り外して、ホース13を自由に動かすことができ、たとえば、机上や窓枠等のゴミを、ホース13の一端部から吸い込むことができる。このとき、ユーザは、ホース13の途中部を、図4に示すように、ホース係止部16に係止させる。
【0022】
これにより、ホース13を吸引ヘッド3から取り外して掃除を行う場合に、ホース13が煩雑に拡がるのを防ぐことができる。また、ホース係止部16は本体14の下部に設けられているので、ホース13がホース係止部16に係止された状態で引っ張られても、電気掃除機1は転倒しない。また、ホース係止部16は本体14の左側面に設けられているので、ホース13がホース係止部16に係止された状態で引っ張られても、電気掃除機1が前後に傾かない。よって、電気掃除機1が前に傾いて、回転しているロータリブラシ9により床面が傷つくようなこともない。なお、ホース係止部16は、本体2の右側面に設けられていてもよい。また、必要に応じて、ホース13の一端部に吸込みノズル等の部材を取り付けることもできる。
【0023】
図5は、吸引ヘッド3を底面側からみた状態を詳しく示す図である。なお、図5においては、一部が切り欠かれて示されている。
吸引ヘッド3は、吸引ヘッド3の外観を構成するヘッドケース20と、ヘッドケース20内に回転可能に設けられた長手のロータリブラシ9とが備えられている。
ヘッドケース20の下面には、吸込み口6が形成されている。
【0024】
ロータリブラシ9には、その周面に複数のブラシ束26が植立されている回転軸9Aが備えられている。そして、回転軸9Aには、水平方向に延びる長手の略円柱状の中央回転軸21と、中央回転軸21の両端部の周面にそれぞれ外嵌されている軸受22と、中央回転軸21の両端にそれぞれ取付けられ、中央回転軸21と同一軸線上に位置する端部回転軸23とが備えられている。
【0025】
中央回転軸21の一端部近傍には、プーリ24が形成されており、プーリ24にベルト25が巻回されている。そして、プーリ24およびベルト25を介して、前述のように電動送風機7のモータの回転力が中央回転軸21に伝達され、中央回転軸21およびそれに取付けられている端部回転軸23が一体的に回転される。
中央回転軸21周面のブラシ束26は、中央回転軸21の軸方向と直交するように植立されている。また、中央回転軸21の周面に植立された複数のブラシ束26は、軸方向に並び、かつ、螺旋状に延びており、2列の螺旋列27を構成している。また、2列の螺旋列27は、中央回転軸21の回転方向に180°隔てるように配置されている。
【0026】
軸受22は、中央回転軸21を回転自在に保持するためのものであり、略環状の部材である。そして、軸受22は、ヘッドケース20に設けられた係止部28に固定されている。これにより、中央回転軸21およびそれに取付けられた端部回転軸23は、軸受22を介して、ヘッドケース20に回転自在に保持される。
図6は、端部回転軸23の構成を詳しく示す図である。
【0027】
端部回転軸23は、略円柱状の部材であって、その径が中央回転軸21の径とほぼ同一になるようにされている。端部回転軸23の周面に植立された複数のブラシ束26は、軸方向に直線上に並ぶ第1傾斜列29および第2傾斜列30を構成している。
第1傾斜列29のブラシ束26は、端部回転軸23の周面に、中央回転軸21側へ向かって鉛直方向に対して所定角度(たとえば、15°〜45°)傾くように植立されている。すなわち、第1傾斜列29のブラシ束26は、ロータリブラシ9の軸方向中心側へ向かって傾くように植立されている。
【0028】
第2傾斜列30のブラシ束26は、端部回転軸23の周面に、端部回転軸23の端部側へ向かって鉛直方向に対して所定角度(たとえば、15°〜45°)傾くように植立されている。すなわち、第2傾斜列30のブラシ束26は、ロータリブラシ9の軸方向端部へ向かって傾くように植立されている。
これにより、端部回転軸23が回転したときに、端部回転軸23と対向する床面に対してブラシ束26が接触する領域が大きくなり、ブラシ束26がゴミを良好に掻き上げる。
【0029】
第1傾斜列29および第2傾斜列30は、端部回転軸23の回転方向に180°隔てるように配置されており、さらに、端部回転軸23が回転した際に、第1傾斜列29の各ブラシ束26の先端が回転する回転軌跡と、第2傾斜列30の各ブラシ束26が回転する回転軌跡とが重なり合わないように、各ブラシ束26の植立位置および傾斜角度が設定されている。すなわち、第1傾斜列29の各ブラシ束26先端の隙間の回転軌跡に第2傾斜列30の各ブラシ束26先端の回転軌跡が重なり合い、同様に、第2傾斜列30の各ブラシ束26先端の隙間の回転軌跡に第1傾斜列29の各ブラシ束26先端の回転軌跡が重なり合うようにされている。
【0030】
これにより、端部回転軸23が回転したときに、端部回転軸23と対向する床面に対してブラシ束26が接触する領域が大きくなり、ブラシ束26がゴミを良好に掻き上げ、ゴミの吸い残しがなくなる。
図7は、ロータリブラシ9の構成を示す図であり、端部回転軸23が断面状態で示されている。
【0031】
端部回転軸23の外側端面、すなわち、中央回転軸21側と反対側の端面には、軸方向中心に向かって凹んだ凹部31が形成されている。
凹部31は、端部回転軸23の外側端面から軸方向中心に向かって徐々に狭くなる円錐状に形成されている。そして、凹部31に取付ネジ32が埋設されている。
取付ネジ32は、端部回転軸23を中央回転軸21に取付けるためのネジであって、凹部31の先端から中央回転軸21に向かって延びている。そして、端部回転軸23および中央回転軸21に螺合しており、それらの軸線上に位置している。これにより、端部回転軸23が中央回転軸21に、軸線を同一として一体的に取付けられる。
【0032】
図8は、吸引ヘッド3を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を左側からみた断面図である。
吸引ヘッド3のヘッドケース20の上面両端部には、それぞれ窓33が形成されている(なお、図8においては、窓33は1つのみ示されている)。窓33の周囲のヘッドケース20の部分は窓枠34とされており、窓枠34にカバー17が取付けられている。
【0033】
カバー17は、透明な部材で構成されており、断面形状が緩やかに丸みを帯びている。そして、カバー17は、その端部の上面が窓枠34の下面に重ねられ、その重なった部分がネジ35によって固定されることにより、ヘッドケース20に取付けられている。これにより、窓枠34の部分は、カバー17および窓枠34の二重構造とされている。
そして、電気掃除機1を用いて掃除が行われると、電動送風機7の回転力がプーリ24およびベルト25を介して、中央回転軸21に伝わり、中央回転軸21とともに端部回転軸23が回転する。このとき、吸引ヘッド3が床面に沿うように移動することで、中央回転軸21および端部回転軸23のブラシ束26が床面に接触し、床面のゴミが掻き上げられて吸引ヘッド3内に吸い込まれる。また、ユーザは、カバー17を介して窓33から端部回転軸23のブラシ束26がゴミを掻き上げているのを視認することができる。
【0034】
以上のように、この実施形態では、第1傾斜列29のブラシ束26は、ロータリブラシ9の軸方向中央側へ向かって傾くように植立され、第2傾斜列のブラシ束26は、ロータリブラシ9の軸方向端部へ向かって傾くように植立されているので、掃除時にロータリブラシ9が回転した際に、ロータリブラシ9の両側各領域の軸方向中心側と対向する床面のゴミを第1傾斜列29のブラシ束26が掻き上げ、ロータリブラシ29の両側各領域の軸方向端部側と対向する床面のゴミを第2傾斜列30のブラシ束26が掻き上げる。よって、床面にブラシ束26が偏りなく接触する。ゆえに、ブラシ束26が床面に接触する領域を大きくして、床面にゴミの吸い残しがないよう良好に掃除を行うことができる。
【0035】
また、第1傾斜列29および第2傾斜列30は、端部回転軸23の回転方向において、180°隔てて配置されているので、端部回転軸23を回転させた際にブラシ束26がバランスよく床面に接触する。よって、バランスよくゴミを掻き上げることができる。
また、第1傾斜列29の各ブラシ束26先端の隙間の回転軌跡に第2傾斜列30の各ブラシ束26先端の回転軌跡が重なり合い、同様に、第2傾斜列30の各ブラシ束26先端の隙間の回転軌跡に第1傾斜列29の各ブラシ束26先端の回転軌跡が重なり合うので、ブラシ束26の先端が偏りなく床面に接触する。よって、ブラシ束26が床面に接触する領域を大きくして、床面にゴミの吸い残しがないよう良好に掃除を行うことができる。
【0036】
また、中央回転軸21の周面には、ブラシ束26の列である螺旋列27が形成されているので、中央回転軸21と対向する床面のゴミを良好に掻き上げることができる。
また、端部回転軸23に形成されている凹部31は、円錐状に凹んでいるので、掃除時に端部回転軸23(ロータリブラシ9)を回転させて床面のゴミを掻き上げる際に、そのゴミが凹部31に進入しても、遠心力によりゴミが外方に飛散する。よって、ゴミが凹部31に蓄積するのを防ぐことができ、端部回転軸23を清潔に保つことができる。また、凹部31へのゴミの進入を防ぐためにキャップ等を被せる必要もないので、簡易な構成で端部回転軸23を清潔に保つことができる。
【0037】
また、凹部31内に、端部回転軸23を中央回転軸21に取付けるための取付ネジ32が埋設されているので、取付ネジ32が端部回転軸23の外部の露出することがなく、取付ネジ32が掃除の弊害になることがない。
また、ヘッドケース20の上面両端部には窓33がそれぞれ形成されており、その窓に
それぞれ透明なカバー17が嵌められているので、カバー17を介して窓33から端部回転軸23のブラシ束26が床面のゴミを偏りなく掻き上げていることを視認できる。また、ヘッドケース20の上面両端部は、カバー17および窓枠34が重なり合い二重構造とされているので、ヘッドケース20の両端部の強度を高めることができる。
【0038】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、上述の説明では、端部回転軸23には、第1傾斜列29および第2傾斜列30が回転方向において180°隔てて配置される構成としたが、たとえば、90°隔てて配置されるものであってもよく、その角度間隔は180°に限られない。
【0039】
また、端部回転軸23には、ブラシ束26の列として第1傾斜列29および第2傾斜列30の2列が形成されている構成としたが、3列以上の複数列が形成される構成であってもよい。同様に、中心回転軸21に螺旋列27が3列以上形成される構成であってもよい。
また、ロータリブラシ9は、アップライト型電気掃除機である電気掃除機1に用いられる構成としたが、アップライト型電気掃除機以外の電気掃除機に用いられる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の一実施形態にかかる電気掃除機の構成を示す正面図である。
【図2】電気掃除機の左側面図である。
【図3】電気掃除機を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を左側からみた断面図である。
【図4】ホースの途中部を、ホース係止部に係止させた状態の電気掃除機の左側面図である。
【図5】吸引ヘッドを底面側からみた状態を詳しく示す図である。
【図6】端部回転軸の構成を詳しく示す図である。
【図7】ロータリブラシの構成を示す図である。
【図8】吸引ヘッドを前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を左側からみた断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 電気掃除機
3 吸引ヘッド
4 本体
9 ロータリブラシ
9A 回転軸
17 カバー
20 ヘッドケース
21 中央回転軸
22 軸受
23 端部回転軸
26 ブラシ束
27 螺旋列
29 第1傾斜列
30 第2傾斜列
31 凹部
32 取付ネジ
33 窓
34 窓枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手をした回転軸と、回転軸の周面に植立され、軸方向に並ぶ列をなす多数のブラシ束とを有する電気掃除機用のロータリブラシであって、
上記回転軸の両端から軸方向中心に向かって所定長さまでの両側各領域に植立されたブラシ束の列は、それぞれ、上記回転軸の回転方向に対向する第1の列および第2の列を有し、
上記第1の列は、ブラシ束が軸方向中心側へ向かって傾くように植立され、
上記第2の列は、ブラシ束が軸方向端部へ向かって傾くように植立されていることを特徴とする電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項2】
上記第1の列および第2の列は、それぞれ、上記回転軸の軸方向に直線状に延びていて、かつ、上記回転軸の回転方向に180°隔てて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項3】
上記第1の列の各ブラシ束の先端が回転する回転軌跡と、上記第2の列の各ブラシ束の先端が回転する回転軌跡とが、重なり合わないように、各ブラシ束の植立位置および傾斜角度が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項4】
上記回転軸の両端から軸方向中心に向かって所定の長さ入った位置に、上記回転軸を回転自在に支持する左右の軸受が備えられており、
上記軸受の外側の上記回転軸の周面に、上記ブラシ束の第1の列および第2の列が植立されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項5】
上記左右の軸受間の上記回転軸の周面には、軸方向に並び、かつ、螺旋状に延び、上記回転軸の回転方向に対向する少なくとも2列のブラシ束の列が植立されていることを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項6】
上記回転軸の両端面は、軸方向中心へ向かって円錐状に凹んだ凹部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項7】
上記左右の軸受の外側の回転軸は、上記左右の軸受間の回転軸とは別部材で構成されており、
上記外側の回転軸の外側端面は、軸方向中心へ向かって円錐状に凹んだ凹部を有し、その凹部内に、この外側の回転軸を左右の軸受間の回転軸に連結するための取付ネジが埋設されていることを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機用ロータリブラシ。
【請求項8】
掃除機本体と、掃除機本体の下端に取付けられた吸引ヘッドとを含む電気掃除機において、
上記吸引ヘッドは、
ヘッドケースと、
上記ヘッドケース内に、左右方向に延びるように配置された長手のロータリブラシと、
上記ロータリブラシの左右両端部に対向する上記ヘッドケースの上面に形成され、上記ロータリブラシを視認できる窓と、
上記窓に嵌められ、上記窓を被うと共に上記窓の枠と重なり合うように固定された透明なカバーと、を有することを特徴とする電気掃除機。
【請求項9】
上記ロータリブラシは、請求項1〜7のいずれかに記載のロータリブラシであることを特徴とする請求項8に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−174954(P2006−174954A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369809(P2004−369809)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】