説明

電気掃除機の吸込具及びその吸込具を備えた電気掃除機

【課題】回転ブラシが不完全な装着状態のまま運転してしまうのを阻止するようにした電気掃除機の吸込具を提供する。
【解決手段】吸込具8は、ケース体10と、ケース体10に回転可能に設けられた回転ブラシと、ケース体10に着脱可能に取り付けられ、回転ブラシをケース体10に保持する軸押さえ部と、スライド可能に設けられ、軸押さえ部をケース体10に係止する係止体140と、係止体140がケース体10に装着されていない状態において回転ブラシの回転を阻止する保護装置と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース体に回転可能に設けられた回転ブラシを具備した電気掃除機の吸込具及びその吸込具を備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケース体に回転可能に設けられた回転ブラシを具備した吸込具を備えた電気掃除機が存在している。このような電気掃除機は、通常、電動送風機を収納した掃除機本体を備えている。そして、回転ブラシのケース体への装着状態によって、電動送風機の動作を制御するようにした電気掃除機が提案されている。
【0003】
そのようなものとして、「電動送風機を収容した掃除機本体と、前記電動送風機の吸込側に連通接続される吸込口体と、前記電動送風機の動作を制御可能な制御手段とを具備し、前記吸込口体は、ケース体と、このケース体に回転可能に設けられた回転清掃体(回転ブラシ)と、この回転清掃体の前記ケース体への装着状態を検知する検知手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段により前記回転清掃体が前記ケース体に装着されていないことを検知した際に前記電動送風機の駆動を許可しない、あるいは、ケース体は、回転清掃体の一部を覆って着脱可能に設けられた蓋体(お手入れカバー)と、この蓋体をロックするロック機構と、このロック機構のロック状態を検知するロック検知手段とを備え、制御手段は、前記ロック検知手段により前記ロック機構がロックされていない状態を検知した際に電動送風機の駆動を許可しない」電気掃除機が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の電気掃除機を簡単に説明する。このような電気掃除機の掃除機本体には、電動送風機の吸い込み側に連通して、ホース体、延長管、吸込具が掃除機本体側からこの順序で接続されている。吸込具は、通常、横長のケース体と、このケース体と延長管とを連通する連通管と、を有している。回転ブラシをモーターによって回転駆動させるようにした吸込具のケース体には、吸込口に設けられ、回転しながら床面や絨毯等の被清掃面を清掃する回転ブラシと、この回転ブラシを回転駆動するモーターと、モーターの動作を制御する制御手段と、これらモーター及び制御手段に電源を供給する電源部と、が設けられている。
【0005】
また、ケース体には、回転ブラシを回転可能に軸支する軸支部と、この軸支部を上方から着脱可能にする蓋体と、蓋体をケース体にロックするロック手段と、が備えられている。この軸支部及びロック手段には、それぞれスイッチが設けられ、軸支部に回転ブラシの軸受けが嵌合されたこと、あるいはロック手段が蓋体をケース体にロックしたことをそれぞれ検知可能になっている。また、蓋体には、報知手段としてのランプが設けられている。そして、2つのスイッチが閉の状態のとき、制御手段は、電動送風機への給電を許可するようになっている。一方、いずれかのスイッチが開の状態のとき、制御手段は、電動送風機への給電を許可せず、ランプへ給電し、ランプを点灯させ、回転ブラシの装着が不完全であることを操作者へ報知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−182号公報(第7、8頁等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているような電気掃除機では、回転ブラシの装着状態と、お手入れカバーのロック状態と、の両方を監視することで回転ブラシの装着を確実に検知できるとしている。しかしながら、回転ブラシが装着されていないことを検知したとしても送風電動機への給電を許可しないだけであり、回転ブラシへの給電は継続されるため、モーターあるいは回転機構を傷めてしまう等の問題点を有していた。また、回転ブラシが装着されたかをスイッチを介して制御手段で検知し、その状態によって送風電動機への給電を制御するため、制御手段のプログラムの暴走等により、確実に検知できないという可能性もあった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、回転ブラシが不完全な装着状態のまま運転してしまうのを阻止するようにした電気掃除機の吸込具及びその吸込具を備えた電気掃除機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気掃除機の吸込具は、ケース体と、前記ケース体に回転可能に設けられた回転ブラシと、前記ケース体に着脱可能に取り付けられ、前記回転ブラシを前記ケース体に保持する軸押さえ部と、スライド可能に設けられ、前記軸押さえ部を前記ケース体に係止する係止体と、前記係止体が前記ケース体に装着されていない状態において前記回転ブラシの回転を阻止する保護装置と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電気掃除機は、上記の電気掃除機の吸込具を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気掃除機の吸込具によれば、係止体がケース体に装着されていない状態において回転ブラシの回転を阻止する保護装置を備えたので、回転ブラシが不完全な装着状態で動作を継続させないようにすることができる。
また、本発明に係る電気掃除機によれば、上記の電気掃除機の吸込具を備えているので、回転ブラシが不完全な装着状態で掃除を実行させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の全体構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る吸込具を後方から見た状態の一部を示す概略背面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る吸込具を下側から見た状態を示す概略底面図である。
【図4】A−A断面を示す概略断面図である。
【図5】B−B断面を示す概略断面図である。
【図6】C−C断面を示す概略断面図である。
【図7】図6の矢印方向から見た状態を示す概略図である。
【図8】装着が不完全な状態におけるC−C断面を示す概略断面図である。
【図9】図8の矢印方向から見た状態を示す概略図である。
【図10】D−D断面を示す概略断面図である。
【図11】回転ブラシを駆動するための回路構成を示す回路図である。
【図12】負圧センサー周辺の断面構成を上部から見た状態を示す概略断面図である。
【図13】図10(図23)の矢印方向から見た状態を示す概略図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る吸込具の外観を一部透視して示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る吸込具を後方から見た状態の一部を示す概略背面図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係る吸込具を下側から見た状態を示す概略底面図である。
【図17】図15のA−A断面を示す概略断面図である。
【図18】図15のB−B断面を示す概略断面図である。
【図19】図15のC−C断面を示す概略断面図である。
【図20】図19の矢印方向から見た状態を示す概略図である。
【図21】装着が不完全な状態における図15のC−C断面を示す概略断面図である。
【図22】図21の矢印方向から見た状態を示す概略図である。
【図23】図15のD−D断面を示す概略断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3に係る吸込具を後方から見た状態の一部を示す概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気掃除機100の全体構成を示す概略側面図である。図1に基づいて、本発明の実施の形態1に係る吸込具8及び吸込具8を備えた電気掃除機100の構成について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1では、掃除機本体1の内部の一部を透視して図示している。
【0014】
実施の形態1に係る電気掃除機100は、床面や絨毯等の被清掃面に存在している塵埃を電気掃除機吸込具(以下、単に吸込具と称する)8を介して掃除機本体1内部に吸い込むものである。この電気掃除機100は、図1に示すように、掃除機本体1と、ホース体4と、手許操作部5と、延長管6と、吸込具8と、で構成されている。図1に示すように、掃除機本体1には、電動送風機2と、集塵部3と、が収容されている(掃除機本体1内に示す点線)。
【0015】
掃除機本体1は、電動送風機2や集塵部3の他、電気掃除機100の動作を統括制御する制御回路(図示省略)、吸い込んだ塵埃を捕集する集塵フィルタ(図示省略)等が収容されるものである。電動送風機2は、空気を吸い込む吸引力を発生するものである。集塵部3は、掃除機本体1に着脱可能に設けられ、電動送風機2の駆動により発生する吸気風と同時に吸引される塵埃を回収するものである。ホース体4は、柔軟性を有し、掃除機本体1の吸込口部に一端側が着脱可能に接続されるものである。
【0016】
手許操作部5は、ホース体4の他端側及び伸縮可能に形成された延長管6に接続し、ホース体4と延長管6とを連通する流路(図示省略)が形成されており、使用者が手に持って電気掃除機100を実際に操作するものである。この手許操作部5には、掃除機本体1や吸込具8を制御するための図示省略の手許スイッチが内蔵されている。また、手許操作部5には、使用者が電気掃除機100を操作するために握る把手7が延設されている。延長管6は、一端側が手許操作部5に、他端側が吸込具8に接続されるものである。
【0017】
吸込具8は、延長管6の他端側(手許操作部5の接続側ではない方の先端)に着脱可能に連通して接続され、被清掃面の塵埃を掃除機本体1内に吸い込み際の入口として機能するものである。なお、ホース体4、手許操作部5、及び、延長管6には、吸込具8に電気を供給する給電線(図示省略)が内蔵されている。また、延長管6は、パイプが伸び縮みする伸縮式又は複数のパイプを繋いでいく継ぎパイプ式のいずれでも構わない。
【0018】
図2は、吸込具8を後方から見た状態の一部を示す概略背面図である。図3は、吸込具8を下側から見た状態を示す概略底面図である。図4は、A−A断面を示す概略断面図である。図5は、B−B断面を示す概略断面図である。図6は、C−C断面を示す概略断面図である。図7は、図6の矢印方向から見た状態を示す概略図である。図8は、装着が不完全な状態におけるC−C断面を示す概略断面図である。図9は、図8の矢印方向から見た状態を示す概略図である。図10は、D−D断面を示す概略断面図である。図11は、回転ブラシ20を駆動するための回路構成を示す回路図である。図12は、負圧センサー110周辺の断面構成を上部から見た状態を示す概略断面図である。図13は、図10(図23)の矢印方向から見た状態を示す概略図である。
【0019】
図2〜図13に基づいて、実施の形態1の特徴事項を詳細に説明する。なお、図2〜図13の一部に示している破線や鎖線図は、内部の状態を透視して示したり、可動可能な部品の移動状態を示したりしている。
【0020】
図2及び図3に示すように、吸込具8は、ケース体10と、このケース体10に取り付けられた回転清掃体としての機能を有する回転ブラシ20と、回転ブラシ20をケース体10に回転可能に保持する軸押さえ部103と、回転ブラシ20を回転駆動させるモーター30と、このモーター30の駆動を制御する図示省略のモーター制御回路(制御手段)と、を有している。
【0021】
ケース体10は、横(空気の吸込方向に対して略直行する方向)長に形成され、上側が開放されるように形成された下ケース101と、この下ケース101の上側に嵌合される上ケース151と、可撓性を有し、上ケース151の前方に取り付けられたバンパー154と、延長管6に連通するように接続される連通管120と、を備えている。なお、ケース体10には、回転ブラシ20を回転駆動するための駆動機構(モーター30と図示省略のプーリー、ベルトとの組み合わせからなる軸継手手段)が組み込まれている。
【0022】
下ケース101は、横長に形成され、前部には下ケース101の形状に応じた長方形状の吸い込み口104が、後部には連通管120を軸支する下ケース突出部121が形成されている。下ケース101には、回転ブラシ20の軸受け部201を収納する軸受け収納部102が形成されている。また、下ケース101には、回転ブラシ20を軸受け部201を介してケース体10に保持する軸押さえ部103が着脱可能に取り付けられる。さらに、下ケース101の軸受け収納部102前方における後述する軸押さえ部103のフック171と相対する位置には、フック受け部109が形成されている。なお、吸い込み口104の後部には起毛布105、起毛布106、起毛布107が設けてある。
【0023】
吸い込み口104は、連通管120の上流側に開口部122を形成することで構成され、連通管120と連通している。この開口部122には、回転ブラシ20が回転可能に設置されている。この回転ブラシ20の外周面には、ブレードや植毛による清掃部材202が設けられている。回転ブラシ20は、上述したように、図示省略の駆動機構(モーター(能動軸継手部)とプーリー、ベルト(受動軸継手部)からなる軸継手手段)によって回転動力が伝達され回転駆動するようになっている。この回転ブラシ20は、開口部122に着脱可能に取り付けられるようになっている。なお、ケース体10の後部内側には、吸込具8の被清掃面への接地を検知する負圧センサー110が設けられている。
【0024】
図12に基づいて、負圧センサー110について説明する。
下ケース101の後部における負圧センサー110設置位置には、空気穴111が形成されている。負圧センサー110は、負圧センサー筐体112と、負圧センサー筐体112の中央部に設けられている仕切り113と、仕切り113によって負圧センサー筐体112内に形成される空気穴111側の空洞114及び空洞114とは反対側の空洞115と、空洞115の上部に設けられる負圧スイッチ130と、を少なくとも有している。
【0025】
また、空洞114には可撓性を有するダイアフラム116が設けられている。そして、ダイアフラム116の略中央部には、仕切り113を貫通して負圧スイッチ130のスイッチ片131を押圧する作動ピン117が配設されている。さらに、仕切り113には空気穴118が、負圧センサー筐体112の空洞115の側面には空気穴119が、形成されている。
【0026】
この負圧スイッチ130は、吸込具8が被清掃面に設置され、吸い込み口104の内部の圧力、すなわち空洞115の圧力が、掃除機本体1の運転により大気圧より低い負圧になるとダイアフラム116が大気圧で押され、作動ピン117が負圧スイッチ130のスイッチ片131を押し、負圧スイッチ130が閉になるようになっている(図12においては、この状態のダイアフラム116、作動ピン117、スイッチ片131を破線で示している)。
【0027】
図2、図4〜図10において、ケース体10の後部内側には、軸押さえ部103をケース体10に係止する係止体140が水平方向にスライド可能に設けられ、さらにケース体10の後部内側端部には、係止体140の係止位置を検知する係止スイッチ160が設けられている。この係止体140の一部には係止体140を水平方向にスライド操作するためのノブ141が(図10参照)、内側には係止スイッチ160のスイッチ片を押圧する凸部142が(図5参照)、それぞれ配設されている。なお、ノブ141は、係止体140が装着された状態においてケース体10から突出するようになっている。
【0028】
係止スイッチ160は、係止体140が閉塞されたとき(つまり、係止体140が軸押さえ部103をケース体10に係止したとき)、凸部142が係止スイッチ160のスイッチ片を押し、閉になるものである。また、図11に示すように、係止スイッチ160は、負圧スイッチ130と、回転ブラシスイッチ(手許スイッチ)と、を介してモーター30と、電源に直列に接続されている。図5に示すように、係止体140の下方内側には、凸状のリブ143が形成されている。このリブ143は、図6及び図7に示す位置において、切り欠かれている。リブ143の切りかかれた部位には、舌片144が係止体140のスライド軸方向を中心に回動可能に配設されている。この舌片144は、ねじりばね145により下方に付勢されている。
【0029】
図4、図5及び図10に示すように、下ケース101の後部には突起部(下部突起部)108が、上ケース151の後部には突起部(上部突起部)152が形成されている。突起部108は、下ケース101の一部を複数回折り曲げることで凹部を有するように形成されている。同様に、突起部152は、上ケース151の一部を複数回折り曲げることで凹部を有するように形成されている。そして、突起部108、及び、突起部152に係止体140が嵌合され、係止体140が水平方向にスライド可能となっている。
【0030】
図13に示すように、係止体140には、ストッパー147が係止体140と一体的に設けられている。ストッパー147の先端部(紙面左側)には、半円状の突起146が形成されている。ストッパー147は、断面矩形の平板で形成され、根元(突起146とは反対側の先端部)が係止体140と一体的になっている。また、係止体140を閉塞した位置に相対した突起部152の所定位置には、半円状の凹部153が形成されている。この凹部153は、係止体140を閉塞した状態において、ストッパー147の突起146と嵌合係止するようになっている。つまり、ストッパー147は、係止体140の閉塞状態を確実にするようになっている。
【0031】
軸押さえ部103の内側一端には、この軸押さえ部103をケース体10の所定部に固定するためのフック171が設けられている(図3参照)。また、軸押さえ部103の内側他端には、舌片押圧部172が(図6参照)、係止体140のリブ143が嵌合する位置に凹部を有するリブ受け部173が(図5参照)、それぞれ設けられている。
【0032】
下ケース101の後右面にはたとえば円形に穿孔した表示窓148が設けられている(図2参照)。表示窓148のスライド方向に相対する係止体140の表面であって係止体140を閉塞した状態における位置には、表示窓148より少し小さい寸法の円形マークがたとえば青色に塗装あるいは印刷されている。また、表示窓148のスライド方向に相対する係止体140の表面であって係止体140を完全に開にした状態(つまり、係止体140が軸押さえ部103をケース体10に係止しておらず、軸押さえ部103が取り外せる状態)における位置には、表示窓148より少し小さい寸法の円形マークがたとえば赤色に塗装あるいは印刷されている。
【0033】
すなわち、表示窓148は、係止体140が閉塞された状態では青色を表示し、係止体140が閉塞状態であることを報知するようになっている。また、表示窓148は、係止体140が開方向に完全にスライドさせた状態では赤色を表示し、係止体140が閉塞状態でなく、危険な状態であることを報知するようになっている。なお、表示窓148に表示する円形マークの色を例示した色に限定するものではなく、マークの形状を円形に限定するものではない。また、表示窓148に文字や記号を表示するようにしてもよい。
【0034】
ここで、電気掃除機100の動作について簡単に説明する。
電気掃除機100は、掃除機本体1に備えられている図示省略の電源コードが商用電源に接続され、手許操作部5に設けられている図示省略の電源スイッチがオンされ、操作された電源スイッチに応じた動作モードで電動送風機2が駆動されることによって掃除動作を開始する。電動送風機2が駆動されると、掃除機本体1内に塵埃を吸引するための吸引力が発生する。電動送風機2によって発生した吸引力は、ホース体4、延長管6を経由して吸込具8に到達する。これにより、被清掃面にある塵埃が空気とともに吸込具8から吸引される。吸込具8から吸引された塵埃及び空気は、延長管6、手許操作部5、及び、ホース体4を経由し、掃除機本体1に吸い込まれる。
【0035】
また、絨毯等の被清掃面を掃除するために回転ブラシ20の駆動が選択されたとき、ホース体4、延長管6に設けられた給電線を通じて吸込具8に電源が供給され、モーター制御回路(図11参照)を介してモーター30が駆動を開始する。そうすると、モーター30を含めた駆動機構で連結されている回転ブラシ20が回転駆動することになる。回転ブラシ20が回転することにより、回転ブラシ20に設けた清掃部材202で被清掃面から塵埃をかき出し、この塵埃を空気とともに吸い込み口104から吸い込むようになっている。吸い込まれた塵埃やごみは、延長管6、ホース体4を経由して集塵部3に捕集されるとともに、吸気風は電動送風機2を通過して排気風となり掃除機本体1の外に排気される。
【0036】
回転ブラシ20に取り付けられている清掃部材202は、糸くずや髪の毛等の繊維状物体が絡み付き易い。したがって、清掃部材202に塵埃が一旦絡み付いてしまうと付着した塵埃とともに締め付けられるように蓄積されてしまう。ここで、回転ブラシ20の清掃部材202に絡んだ糸くず等の繊維状物体を取り除く際のお手入れ作業方法の一例について説明する。
【0037】
回転ブラシ20のお手入れをするとき、使用者は、まず手許操作部5の手許スイッチを操作して電源を遮断し、延長管6から吸込具8を取り外す。次に、使用者は、吸込具8の吸い込み口104側を上面に向ける(図3参照)。それから、係止体140のノブ141を中央側(連通管120側)へ、表示窓148に赤色の表示が現れるまで移動させ、係止体140のリブ143と、軸押さえ部103のリブ受け部173の凹部と、の係合を解除する(図5参照)。
【0038】
こうすることによって、使用者は、軸押さえ部103をケース体10から取り外すことが可能になる(図3参照)。次に、使用者は、回転ブラシ20の軸受け部201を掴み、軸受け部201を上方に引き上げることにより、受動軸継手部が能動軸継手部から切り離され、回転ブラシ20が吸込具8から取り外される。使用者は、取り外した回転ブラシ20に絡みついた繊維状物体を、たとえばはさみやカッターを用いて除去することが可能になる。
【0039】
お手入れ作業が終了した後、使用者は、上記と逆の手順により回転ブラシ20を吸込具8に取り付ける。まず、使用者は、回転ブラシ20の受動軸継手部を能動軸継手部に挿入し、これらを係合させるとともに、回転ブラシ20の駆動機構側とは反対側にある軸受け部201を軸受け収納部102に押し込む。
【0040】
次に、使用者は、軸押さえ部103のフック171を、ケース体10のフック受け部109に嵌合させる。それから、使用者は、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せ、軸押さえ部103をケース体10に押し付けながら係止体140のノブ141を外側(軸押さえ側103)に向かってスライド操作する。使用者は、係止体140のストッパー147の突起146が、上ケース151の突起部152の凹部153に嵌合し、「カチッ」と音がするまでノブ141を外側に操作する。そして、使用者は、表示窓148に青色の表示が現れたことを確認する。つまり、使用者は、係止体140の装着状態を、表示窓148を介して表示される係止体140の一部に付されたマークによって視認できるようになっている。
【0041】
以上の作業手順において、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せ、押し付けることにより、軸押さえ部103の舌片押圧部172が、係止体140に設けられ下方に付勢された舌片144を上方に押し上げ(図6〜図8参照)、係止体140のリブ143と舌片144が同一面となり、係止体140のスライド操作が可能になる。
【0042】
ここで、図8及び図9に示すように、軸押さえ部103がケース体10に確実に取り付けられていないとき、軸押さえ部103の舌片押圧部172が、係止体140の下方に付勢された舌片144を上方に押し上げないことになる。そのため、舌片144が下ケース101の突起部108の凹部に衝突し、係止体140を閉塞する方向にスライドさせることができない。すなわち、軸押さえ部103が、ケース体10に確実に装着されない場合、舌片144が係止体140の移動を規制するため、係止体140が誤って閉塞されてしまうということを防止できる。
【0043】
この状態では、係止体140の凸部142が、係止スイッチ160のスイッチ片を押圧しないため(図5参照)、係止スイッチ160は開の状態にある。このとき、使用者が手許操作部5の手許スイッチで回転ブラシスイッチをONにしても、図11の回路図に示すように係止スイッチ160が開状態のため、回転ブラシ20を駆動するモーター30には電力が供給されず、回転ブラシ20が回転することはない。
【0044】
すなわち、吸込具8及び電気掃除機100では、舌片押圧部172、舌片144、及び、突起部108が、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置の一部として機能しているのである。
【0045】
また、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せ、押し付けることにより、舌片押圧部172が、舌片144を上方に押し上げ、係止体140をスライド移動させる操作は可能である。この状態で係止体140のスライド移動操作を止めた場合、軸押さえ部103のリブ受け部173は、係止体140のリブ143と嵌合し、係止されることになる(図5参照)。しかしながら、ストッパー147の突起146が上ケース151の突起部152の凹部153に嵌合せず、係止体140が確実に係合されない(図13参照)。
【0046】
このような状態においても、係止体140の凸部142が、係止スイッチ160のスイッチ片を押圧しないため(図5参照)、係止スイッチ160は開の状態にある。したがって、使用者が手許操作部5の手許スイッチで回転ブラシスイッチをONにしても、図11の回路図に示すように係止スイッチ160が開状態のため、回転ブラシ20を駆動するモーター30には電力が供給されず、回転ブラシ20が回転することはない。すなわち、吸込具8及び電気掃除機100では、突起146、及び、凹部153も、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置の一部として機能しているのである。
【0047】
以上のように、実施の形態1に係る吸込具8及び電気掃除機100では、回転ブラシ20がケース体10に確実に装着されない誤った状態で、回転ブラシ20を駆動するように手許スイッチが操作された場合においても、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置によって、回転ブラシ20が回転駆動してしまうことを確実に防止することができる。
【0048】
また、回転ブラシ20がケース体10に確実に装着された状態において、吸込具8が被清掃面に接地されず、持ち上げられた状態で、回転ブラシ20を駆動するように手許スイッチが操作される場合も想定できる。この場合、吸い込み口104の内部の圧力、すなわち空洞115の圧力は、掃除機本体1を運転しても大気圧とほぼ同じとなり、ダイアフラム116は大気圧で押されず、作動ピン117が負圧スイッチ130のスイッチ片131を押さないため、負圧スイッチ130は開の状態である。よって、図11の回路図に示すように負圧スイッチ130が開状態のため、回転ブラシ20を駆動するモーター30には通電されず、回転ブラシ20が回転することがない。
【0049】
図11に示すように、手許スイッチ、負圧スイッチ130、係止スイッチ160、及び、モーター30は、電源に直列に接続されており、かつAC100V電源が給電されている。これにより、それぞれのスイッチは、給電を直接ON/OFF操作することになる。このため、実施の形態1に係る吸込具8及び電気掃除機100は、それぞれのスイッチがセンサーとして動作し、制御手段で状態を判断してモーターの駆動を制御する従来の電気掃除機のような検知エラーや制御手段のマイコン暴走等による意図しない回転ブラシの誤回転を防止することができる。すなわち、吸込具8及び電気掃除機100では、負圧スイッチ130、及び、係止スイッチ160も、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置の一部として機能しているのである。
【0050】
また、表示窓148は、係止体140が閉塞された状態では青色を表示し、係止体140が閉塞状態であることを報知し、開方向にスライドさせた状態では赤色を表示し、係止体が閉塞状態でなく、危険な状態であることを報知する。そのため、使用者は、回転ブラシ20が確実に装着されているか否かを容易に確認することができる。また、回転ブラシ20の装着を表示窓148による受動的な表示で実行するために、LEDやランプ等の能動的素子を用いなくて済み、能動部品のコストや配線コストが不要となり、低コストで報知手段を実現することができる。加えて、能動部品を用いていないので、能動部品の劣化や配線不具合による安全性や信頼性が低下しない。
【0051】
実施の形態2.
図14は、本発明の実施の形態2に係る吸込具8Aの外観を一部透視して示す斜視図である。図15は、吸込具8Aを後方から見た状態の一部を示す概略背面図である。図16は、吸込具8Aを下側から見た状態を示す概略底面図である。図17は、図15のA−A断面を示す概略断面図である。図18は、図15のB−B断面を示す概略断面図である。図19は、図15のC−C断面を示す概略断面図である。図20は、図19の矢印方向から見た状態を示す概略図である。図21は、装着が不完全な状態における図15のC−C断面を示す概略断面図である。図22は、図21の矢印方向から見た状態を示す概略図である。図23は、図15のD−D断面を示す概略断面図である。
【0052】
図14〜図23に基づいて、実施の形態2の特徴事項を詳細に説明する。なお、図14〜図23の一部に示している破線や鎖線図は、内部の状態を透視して示したり、可動可能な部品の移動状態を示したりしている。この実施の形態2では上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態1では、回路構成においても回転ブラシ20の回転を阻止させるようにしたが、実施の形態2では、機械的に回転ブラシ20の回転を阻止させるようにしている。実施の形態2のそれ以外の構成及び機能については、基本的に実施の形態1と同様である。
【0053】
図14及び図16に示すように、吸込具8Aは、ケース体10と、このケース体10に回転可能に設けられた回転清掃体としての機能を有する回転ブラシ20と、この回転ブラシ20を回転駆動させるタービン50と、を有している。また、吸込具8Aの左側面(タービン50側側面)には、タービン50に空気を取り入れるための空気取り入れ口51が設けられている。この空気取り入れ口51は、タービン50を経由して吸い込み口104に連通している。なお、ケース体10には、回転ブラシ20を回転駆動するための駆動機構(タービン50と図示省略のプーリー、ベルトとの組み合わせからなる軸継手手段)が組み込まれている。
【0054】
図15に示すように、ケース体10の背面の一部(紙面右側)には、略長方形に穿孔した空気流入口60が設けられている。この空気流入口60は、吸い込み口104に連通している。ケース体10の空気流入口60の後部内側には、軸押さえ部103をケース体10に係止する係止体140が水平方向にスライド可能に設けられている。この係止体140は、軸押さえ部103を係止した位置で空気流入口60を閉塞し、軸押さえ部103を開放した位置で空気流入口60を開放するものである。
【0055】
空気流入口60の開口断面積は、吸込具8Aが被清掃面に接地された状態において、空気流入口60が開口しているとき空気流入口60を経由して空気が吸い込み口104に流入すると、タービン50が回転しなくなるまで吸い込み口104の真空度が低下する大きさに設定されている。なお、係止体140の一部には係止体140を水平方向にスライド操作するためのノブ141が配設されている(図16参照)。
【0056】
ここで、実施の形態2に係る電気掃除機の動作について簡単に説明する。
実施の形態2に係る電気掃除機は、実施の形態1に係る電気掃除機100と同様に、手許操作部5に設けられている図示省略の電源スイッチがオンされ、操作された電源スイッチに応じた動作モードで電動送風機2が駆動されることによって掃除動作を開始する。電動送風機2が駆動されると、掃除機本体1内に塵埃を吸引するための吸引力が発生する。電動送風機2によって発生した吸引力は、ホース体4、延長管6を経由して吸込具8Aに到達する。これにより、被清掃面にある塵埃が空気とともに吸込具8Aから吸引される。吸込具8Aから吸引された塵埃及び空気は、延長管6、手許操作部5、及び、ホース体4を経由し、掃除機本体1に吸い込まれる。
【0057】
また、吸込具8Aが被清掃面に接地されているとき、吸引力により吸い込み口104の圧力は大気圧より低くなっている。このため、吸込具8A周辺の外気は、空気取り入れ口51からタービン50を経由して吸い込み口104に流入する。空気取り入れ口51に流入した空気がタービン50を回転駆動させる。そうすると、タービン50を含めた駆動機構で連結されている回転ブラシ20が回転駆動することになる。回転ブラシ20が回転することにより、回転ブラシ20に設けた清掃部材202で被清掃面から塵埃をかき出し、この塵埃を空気とともに吸い込み口104から吸い込むようになっている。吸い込まれた塵埃やごみは、延長管6、ホース体4を経由して集塵部3に捕集されるとともに、吸気風は電動送風機2を通過して排気風となり掃除機本体1の外に排気される。
【0058】
実施の形態1で説明したように、回転ブラシ20に取り付けられている清掃部材202は、糸くずや髪の毛等の繊維状物体が絡み付き易い。したがって、清掃部材202に塵埃が一旦絡み付いてしまうと付着した塵埃とともに締め付けられるように蓄積されてしまう。ここで、回転ブラシ20の清掃部材202に絡んだ糸くず等の繊維状物体を取り除く際のお手入れ作業方法の一例について説明する。
【0059】
回転ブラシ20のお手入れをするとき、使用者は、まず手許操作部5の手許スイッチを操作して電源を遮断し、延長管6から吸込具8Aを取り外す。次に、使用者は、吸込具8Aの吸い込み口104側を上面に向ける(図16参照)。それから、係止体140のノブ141を中央側(連通管120側)へ、表示窓148に赤色の表示が現れるまで移動させ、係止体140のリブ143と、軸押さえ部103のリブ受け部173の凹部と、の係合を解除する(図18参照)。
【0060】
こうすることによって、使用者は、軸押さえ部103をケース体10から取り外すことが可能になる(図16参照)。次に、使用者は、回転ブラシ20の軸受け部201を掴み、軸受け部201を上方に引き上げることにより、受動軸継手部が能動軸継手部から切り離され、回転ブラシ20が吸込具8Aから取り外される。使用者は、取り外した回転ブラシ20に絡みついた繊維状物体を、たとえばはさみやカッターを用いて除去することが可能になる。
【0061】
お手入れ作業が終了した後、使用者は、上記と逆の手順により回転ブラシ20を吸込具8Aに取り付ける。まず、使用者は、回転ブラシ20の受動軸継手部を能動軸継手部に挿入し、これらを係合させるとともに、回転ブラシ20の駆動機構側とは反対側にある軸受け部201を軸受け収納部102に押し込む。
【0062】
次に、使用者は、軸押さえ部103のフック171を、ケース体10のフック受け部109に嵌合させる。それから、使用者は、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せ、軸押さえ部103をケース体10に押し付けながら係止体140のノブ141を外側に向かってスライド操作する。使用者は、係止体140のストッパー147の突起146が、上ケース151の突起部152の凹部153に嵌合し、「カチッ」と音がするまでノブ141を外側に操作する。そして、使用者は、表示窓148に青色の表示が現れたことを確認する。
【0063】
以上の作業手順において、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せ、押し付けることにより、軸押さえ部103の舌片押圧部172が、係止体140に設けられ下方に付勢された舌片144を上方に押し上げ(図19〜図21参照)、係止体140のリブ143と舌片144が同一面となり、係止体140のスライド操作が可能になる。
【0064】
ここで、図21及び図22に示すように、軸押さえ部103がケース体10に確実に取り付けられていないとき、軸押さえ部103の舌片押圧部172が、係止体140の下方に付勢された舌片144を上方に押し上げないことになる。そのため、舌片144が下ケース101の突起部108の凹部に衝突し、係止体140を閉塞する方向にスライドさせることができない。すなわち、軸押さえ部103が、ケース体10に確実に装着されない場合、舌片144が係止体140の移動を規制するため、係止体140が誤って閉塞されてしまうということを防止できる。したがって、実施の形態2に係る吸込具8A及び電気掃除機では、舌片押圧部172、舌片144、及び、突起部108が、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置の一部として機能しているのである。
【0065】
また、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せ、押し付けることにより、舌片押圧部172が、舌片144を上方に押し上げ、係止体140をスライド移動させる操作は可能である。この状態で係止体140のスライド移動操作を止めた場合、軸押さえ部103のリブ受け部173は、係止体140のリブ143と嵌合し、係止されることになる(図18参照)。しかしながら、ストッパー147の突起146が上ケース151の突起部152の凹部153に嵌合せず、係止体140が確実に係合されない(図13参照)。
【0066】
このような状態では、係止体140が空気流入口60を閉塞しないため、空気流入口60は開口しており、空気流入口60から吸い込み口104を経由して多量の空気が流入する。そのため、空気取り入れ口51からタービン50を経由して吸い込み口104へ流れる空気の流入量は、大幅に低下することになる。そうすると、タービン50が回転駆動されないことになる。すなわち、実施の形態2に係る吸込具8A及び電気掃除機では、空気流入口60も、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置の一部として機能しているのである。
【0067】
以上のように、実施の形態2に係る吸込具8A及び電気掃除機では、回転ブラシ20がケース体10に確実に装着されない誤った状態で軸押さえ部103がケース体10に係止され、回転ブラシ20を駆動するように手許スイッチが操作された場合においても、回転ブラシ20の回転を阻止する保護装置によって、回転ブラシ20が回転駆動してしまうことを確実に防止することができる。
【0068】
また、回転ブラシ20がケース体10に確実に装着された状態において、吸込具8Aが被清掃面に接地されず、持ち上げられた状態で、回転ブラシ20を駆動するように手許スイッチが操作される場合も想定できる。この場合、吸い込み口104の内部の圧力は、掃除機本体1を運転しても大気圧とほぼ同じとなる。そのため、空気取り入れ口51からタービン50を経由して吸い込み口104へは空気は流入せず、そのためにタービン50が回転駆動することはない。よって、回転ブラシ20は回転することがない。
【0069】
実施の形態3.
図24は、本発明の実施の形態3に係る吸込具8Bを後方から見た状態の一部を示す概略背面図である。図24に基づいて、実施の形態3の特徴事項を詳細に説明する。なお、図24で示している破線や鎖線図は、内部の状態を透視して示したり、可動可能な部品の移動状態を示したりしている。この実施の形態3では上述した実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0070】
実施の形態1及び実施の形態2では、回転ブラシ20の回転を阻止させる保護装置について説明したが、実施の形態3では、軸押さえ部103の着脱について説明する。つまり、実施の形態3では、実施の形態1又は実施の形態2に係る吸込具及び電気掃除機に適用可能な軸押さえ部103の着脱の仕方について説明する。実施の形態3のそれ以外の構成及び機能については、基本的に実施の形態1又は実施の形態2と同様である。
【0071】
図24に示すように、吸込具8Bのケース体10には、ばね受け70、及び、ばね71が設けられている。ばね受け70は、ケース体10の後方内部(紙面右側)であって係止体140の一方側(紙面左側)と相対する位置に設けられている。ばね71は、係止体140が軸押さえ部103を閉塞(係止)する方向に付勢するようにばね受け72に配設されている。ばね71の長さは、係止体140がケース体10の右端に到達しても付勢力が作用するような長さに設定されている。よって、係止体140を開方向にスライド操作させた後、操作力を取り除くと、係止体140は、ばね71の付勢力により軸押さえ部103を閉塞する方向にスライドし、ケース体10の右端に到達する。
【0072】
回転ブラシ20のお手入れ作業が終了した後、使用者は、回転ブラシ20の受動軸継手部を能動軸継手部に挿入し、これらを係合させるとともに、回転ブラシ20の駆動機構側とは反対側にある軸受け部201を軸受け収納部102に押し込む。次に、使用者は、軸押さえ部103のフック171を、ケース体10のフック受け部109に嵌合させる。それから、使用者は、軸押さえ部103をケース体10に覆い被せる。そうすると、ばね71の付勢力により、係止体140は、軸押さえ部103を閉塞する方向にスライドし、ケース体10の右端に到達し、軸押さえ部103と回転ブラシ20は確実にケース体10に係止される。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を分けて説明したが、本発明は、移動型の電気掃除機だけでなく、アップライト型やスティック型等の他の構造の電気掃除機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 掃除機本体、2 電動送風機、3 集塵部、4 ホース体、5 手許操作部、6 延長管、7 把手、8 吸込具、8A 吸込具、8B 吸込具、10 ケース体、20 回転ブラシ、30 モーター、50 タービン、51 空気取り入れ口、60 空気流入口、70 ばね受け、71 ばね、100 電気掃除機、101 下ケース、102 収納部、103 軸押さえ部、104 吸い込み口、105 起毛布、106 起毛布、107 起毛布、108 突起部、109 フック受け部、110 負圧センサー、111 空気穴、112 負圧センサー筐体、113 仕切り、114 空洞、115 空洞、116 ダイアフラム、117 作動ピン、118 空気穴、119 空気穴、120 連通管、121 下ケース突出部、122 開口部、130 負圧スイッチ、131 スイッチ片、140 係止体、141 ノブ、142 凸部、143 リブ、144 舌片、146 突起、147 ストッパー、148 表示窓、151 上ケース、152 突起部、153 凹部、154 バンパー、160 係止スイッチ、171 フック、172 舌片押圧部、173 リブ受け部、201 軸受け部、202 清掃部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体と、
前記ケース体に取り付けられる回転ブラシと、
前記ケース体に着脱可能に取り付けられ、前記回転ブラシを回転可能に前記ケース体に保持する軸押さえ部と、
前記ケース体にスライド可能に設けられ、前記軸押さえ部を前記ケース体に係止する係止体と、
前記係止体が前記ケース体の所定位置に装着されていない状態において前記回転ブラシの回転を阻止する保護装置と、を備えている
ことを特徴とする電気掃除機の吸込具。
【請求項2】
前記保護装置は、
前記係止体に設けられ、下方に付勢された舌片と、
前記軸押さえ部の端部に形成され、前記軸押さえ部が前記ケース体に取り付けられた状態において前記舌片を上方に押し上げる舌片押圧部と、
前記ケース体の一部に設けられ、前記軸押さえ部が前記ケース体に取り付けられていない状態において前記舌片が衝突する下部突起部と、で構成されており、
前記軸押さえ部が前記ケース体に取り付けられていない状態において前記舌片が前記下部突起部に衝突することによって前記係止体のスライド移動を規制して前記回転ブラシの回転を阻止する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の吸込具。
【請求項3】
モーターで前記回転ブラシを駆動するものにおいて、
前記保護装置は、
前記モーターと直列に接続され、前記ケース体に形成されている吸い込み口の内部の圧力が大気圧より低い負圧になると閉になる負圧スイッチと、
前記モーター及び前記負圧スイッチと直列に接続され、前記係止体が前記軸押さえ部を係止する位置にあるとき閉になる係止スイッチと、
前記係止体を閉塞した位置における前記前ケース体の一部に設けられている上部突起部に形成された凹部と、
前記係止体に設けられ、先端部に前記凹部に嵌合係止する突起が形成されているストッパーと、で構成されており、
前記ストッパーの前記突起が前記突起部の前記凹部に嵌合しない状態において前記係止スイッチを押圧させない、あるいは、前記吸い込み口の内部の圧力が負圧にならない状態において前記負圧スイッチを押圧させないようにしている
ことを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の吸込具。
【請求項4】
前記ケース体に形成されている空気取り入れ口から取り入れた空気によってタービンを回転させて前記回転ブラシを駆動するものにおいて、
前記保護装置は、
前記ケース体の一部に設けられ、前記係止体によって、前記軸押さえ部を係止した位置で閉塞され、前記軸押さえ部を開放した位置で開放され、流入した空気で前記タービンの回転を停止する空気流入口と、
前記係止体を閉塞した位置における前記前ケース体の一部に設けられている上部突起部に形成された凹部と、
前記係止体に設けられ、先端部に前記凹部に嵌合係止する突起が形成されているストッパーと、で構成されており、
前記ストッパーの前記突起が前記突起部の前記凹部に嵌合しない状態において前記空気流入口から空気を流入させ、前記空気取り入れ口から取り入れる空気の量を低下させるようにしている
ことを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の吸込具。
【請求項5】
前記空気流入口の開口断面積は、前記空気流入口を経由して空気が流入すると前記タービンの回転が停止するまで真空度が低下する大きさに設定されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機の吸込具。
【請求項6】
前記ケース体の一部であって前記係止体の一方の側と相対する位置に設けられているばね受けと、
前記ばね受けに配設され、前記係止体が前記軸押さえ部を係止する方向に付勢するばねと、を設けた
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気掃除機の吸込具。
【請求項7】
前記ケース体の一部に表示窓を設け、
前記係止体の装着状態を、前記表示窓を介して表示される前記係止体の一部に付されたマークによって視認可能にしている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気掃除機の吸込具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸込具を備えた
ことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−182965(P2011−182965A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51666(P2010−51666)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】