説明

電気掃除機用吸込みホース及びこれを備えた電気掃除機

【課題】手元操作部の操作性を向上でき、この手元操作部に取付けられたスイッチの誤操作を防止しつつスイッチの操作性を向上可能な電気掃除機用吸込みホースを提供する。
【解決手段】電気掃除機用吸込みホースの手元操作部25は、通電手段が設けられた可撓性のホース部に接続された手元管26、この管の上方に離間されて使用者に握られる握り部35aを有し手元管26から突設されたハンドル35、及び通電手段に電気的に接続されたスイッチを備える。ハンドル35を、握り部35aと、手元管26の前部から突設されて握り部35aの前端に連続する前側ハンドル基部35bと、手元管26の後部から突設されて握り部35aの後端に連続する後側ハンドル基部35cとで形成する。握り部35aはその上面に開放された操作凹部45を有し、上側から押圧操作されるスイッチ操作部43aを有するスイッチを、操作凹部45の底部に配して握り部35aに取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端部に遠隔操作用の手元操作部を有した電気掃除機用吸込みホース及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機が備える集塵ホースは、その一端部が掃除機本体に接続され、他端に着脱可能な延長管を介して吸込み口体が接続されるようになっている。この集塵ホースの前記他端部(先端部)に、掃除機本体内の電動送風機の運転などを遠隔制御するための手元スイッチが取付けられている。
【0003】
前記集塵ホースの他端部(先端部)は手元操作パイプからなる。このパイプは、くの字形に折り曲げられたパイプ部と、吸込み口体の移動操作をするためにパイプ部の長手方向中間部位から上側でかつ後方に延びるように分岐して片持ち状態に設けられた把手部(握り部)とで形成されている。この手元操作パイプにはその把手部より前側にスイッチ部が設けられている。
【0004】
このように使用者が握る把手部ではなくそれよりも前側に配設されたスイッチ部は、第1、第2の固定接点を形成したパターン回路を設けた基板と、ドーム形状の導体からなる弾性接片と、この弾性接片及びその周囲部分に接着固定された可撓性のカバーフィルムを有して形成されている。このスイッチ部の基板は、把手部より前側で手元操作パイプの外表面部に固定されている。そのため、弾性接片のドーム形状に相当する突出形状をなしているスイッチ部は、手元操作パイプの外表面から突出されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−33434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載された従来技術では、延長管が接続される手元操作パイプの前端部に対して、スイッチ部が後側に設けられ、更に、このスイッチ部の後側に把手部(握り部)が設けられている。そのため、手元操作パイプの前端部から把手部の後端に至るまでの距離が長く、手元操作パイプが比較的大形である。それに伴い、手元操作パイプの重量が比較的重く、したがって、手元操作パイプの操作性を向上させる上では不利である。
【0007】
更に、掃除作業においては、手元操作パイプから延長管が外された状態で、この手元操作パイプの前端開口から塵埃を直接吸い込んで掃除をすることがある。この掃除態様の場合、既述のように手元操作パイプの前端部から把手部の後端に至るまでの距離が長いことに伴い、手元操作パイプの前端開口を所望とする掃除場所に指向させる上での手元操作パイプの操作性が比較的よくない。
【0008】
その上、前記特許文献1に記載された従来技術では、既述のように使用者が握る手元操作パイプの把手部よりも前側にずれた位置にスイッチ部が配設されている。そのため、使用者の手の大きさや使用者が把手部を握った位置等により、スイッチ部の中の目的とする押し釦を押圧操作する際、その押し釦に把手部を握った手の親指が届くように、使用者が把手部を前側にずらして握り直すことを余儀なくされることがあり、この点でスイッチ部の操作性がよくない。
【0009】
以上のように前記従来技術は、手元操作パイプ及びスイッチ部の操作性がよくない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気掃除機用吸込みホースは、その手元操作部が、通電手段が設けられた可撓性のホース部に接続された手元管、この管の上方に離間されて使用者に握られる握り部を有して手元管から突設されたハンドル、及び通電手段に電気的に接続されたスイッチを備え、ハンドルが、握り部と、手元管の前部から突設されて握り部の前端に連続する前側ハンドル基部と、手元管の後部から突設されて握り部の後端に連続する後側ハンドル基部とで形成され、握り部はその上面に開放された操作凹部を有しており、スイッチは上側から押圧操作されるスイッチ操作部を有し、このスイッチ操作部を握り部の上面から下がった操作凹部の底部に配してスイッチを握り部に取付けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手元操作部の握り部にスイッチを設けて、手元操作部のハンドルを前後方向に小形化しそれに伴い手元操作部が軽量化されたので、手元操作部の操作性を向上できる。これとともに、前記スイッチの配置によりスイッチを押圧操作する際に握り部を握る位置をずらす必要がないので、スイッチの操作性を向上できる。しかも、手元操作部の握り部に対してこの握り部の上面より下げてスイッチを設けたので、握り部を握った手でスイッチが不用意に押されて誤操作されることを防止できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電気掃除機を示す側面図である。
【図2】図1の電気掃除機が備える吸込みホースの手元操作部及び集塵容器を後側から見て示す斜視図である。
【図3】図2の手元操作部をその中心軸線が延びる方向に沿って集塵容器とともに示す縦断側面図である。
【図4】図2の手元操作部をその中心軸線が延びる方向に沿って集塵容器とともに示す縦断平面図である。
【図5】図2の手元操作部をその中心軸線に直交する方向に沿って集塵容器とともに示す断面図である。
【図6】図2の手元操作部及び集塵容器を分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1中符号1は例えばキャニスタ型の電気掃除機を示している。この電気掃除機1は、掃除機本体2と、吸込み風路部材21等を備えている。
【0015】
掃除機本体2の前部底壁に旋回車輪からなる前部小車輪4が取付けられ、掃除機本体2の後部底壁に後部小車輪5が取付けられている。更に、掃除機本体2の幅方向両側に大車輪6(一方のみ図示)が夫々取付けられている。これら車輪の転動により掃除機本体2は屋内の床面(被掃除面)F上を移動自在である。
【0016】
掃除機本体2は本体蓋7を有している。本体蓋7はその後端部を掃除機本体2に枢着されている。本体蓋7はその枢着部を支点に上下方向に回動されて掃除機本体2の前部上面(後述の集塵部収容空間の上面開口)を開閉可能に設けられている。掃除機本体2は吸込み口8を有している、吸込み口8は例えば本体蓋7に上向きに突設されている。この吸込み口8は掃除機本体2の前部の集塵部収容空間に連通されている。なお、図1中符号9は排気部を示している。
【0017】
掃除機本体2の後部に電動送風機11が内蔵されている。電動送風機11に吸い込まれてこの電動送風機11外に放出された排気は、排気部9を通って掃除機本体2の外部に放出されるようになっている。
【0018】
電動送風機11の吸引負圧が作用する掃除機本体2の前部の集塵部収容空間に集塵部12が収容されている。言い換えれば、集塵部12は電動送風機11の上流側でかつ吸込み口8の下流側に位置されて掃除機本体2に収容されている。この集塵部12は例えば集塵袋からなり、本体蓋7が開かれた状態で掃除機本体2の集塵部収容空間に着脱可能である。なお、集塵部12は、集塵袋に制約されるものではなく、例えば吸込み口8から電動送風機11に吸い込まれる気流中に含まれる塵を空気と分離するプリーツフィルタ等を備えて、掃除機本体2の前部に出し入れ可能に収容される塵分離ユニット、又は慣性分離例えば遠心分離により塵と空気を分離する塵分離ユニット等であってもよい。
【0019】
吸込み風路部材21は、掃除機本体2内に収容された集塵部12に吸込み気流を導くものであって、図1に示すように吸込みホース22と、延長管51と、吸込み口体55を備えている。
【0020】
吸込みホース22は、ホース部23の一端部に掃除機本体接続筒24を設けるとともに、ホース部23の他端部(先端部)に手元操作部25を設けて形成されている。ホース部23はピアノ線等からコイル状に作られた芯線(図示しない)を有して、可撓性を有する蛇腹状に作られていて、その芯線は、例えば後述する清掃体電動機に電力を送る通電手段、及び電動送風機11に対する運転制御のための指令信号を送る通電手段を兼ねている。なお、前記芯線とは別に電力及び信号供給のための専用電線(通電手段)を吸込みホースに設けることも可能である。掃除機本体接続筒24は吸込み口8に着脱可能に接続されている。
【0021】
図3等に示すように手元操作部25は、手元管26と、ハンドル35と、スイッチ41を備えている。
【0022】
手元管26は、上流側管部材27と下流側管部材28を連結して形成されている。図6等に示すように上流側管部材27は、ベース部位27aの中央部に前向きの流入管部位27bを一体に突設して形成されている。
【0023】
下流側管部材28は、フィルタ収容部29と、接続筒部30と、流出管部位31と、ガイド壁32と、合流口33等を備えている。
【0024】
フィルタ収容部29は、下流側(後側)に向かって次第に縮径するラッパ形状に作られている。接続筒部30は図3及び図4に示すようにフィルタ収容部29の縮径された下流側端部から後向きに一体に突設されている。この接続筒部30の内側にその後側から流出管部位31が嵌合して接続されている。この流出管部位31はフィルタ収容部29に対して手元管26の真っ直ぐな中心軸線(図示しない)周りに回転可能である。そして、この接続部には図示しないスリップリング機構が設けられていて、このスリップリング機構は前記図示しないリード線を介して前記通電手段と電気的に接続されている。
【0025】
ガイド壁32は、図4に示すようにフィルタ収容部29の下流側端部の内側に、L字状となるように略直角に曲がった通気路32fを形成して設けられている。通気路32fの入口(つまり、ガイド壁32の入口)は前向きに開放されている。通気路32fの出口(つまり、ガイド壁32の出口)32aは、図4及び図5に示すように手元管26の中心軸線(図示しない)に対して略直角でかつ横方向の片側(図4及び図5中右方向)に突出されている。
【0026】
ガイド壁32は、その通気路32fを入口から出口32aに向けて流通する含塵空気の進行方向を略直角に曲げる分離壁部32bを有している。この分離壁部32bの一部は、出口32aに対向する出口対向部位32cをなしている。
【0027】
このガイド壁32の存在に拘らず、フィルタ収容部29と流出管部位31とは連通されている。又、図4及び図5に示すように合流口33が出口対向部位32cを境に出口32aと反対側に形成されている。この合流口33は、図6に示すように手元管26の中心軸線に対して略直角でかつ横方向の片側(図4及び図5中左方向)に突出されている。
【0028】
合流口33と出口32aは手元管26の周方向に略180度離れていて、互に遠ざかる方向に突出されている。この合流口33は、後述する上流フィルタ62を通過して手元管26を流通する気流に、後述の集塵容器71から流出管部位31にいたる気流を合流させることができるように、フィルタ収容部29及び流出管部位31の内部に夫々連通されている。
【0029】
フィルタ収容部29の大径開口端部内にその前側からベース部位27aを嵌合した状態で、上流側管部材27と下流側管部材28を、ねじ(図示しない)で止めることにより連結して、手元管26が組立てられている。
【0030】
この手元管26の流出管部位31の外周にホース部23の他端部(先端部)が嵌合し連結されている。なお、図2〜図4及び図6中符号39はホースカバーを示している。このホースカバー39は、流出管部位31の外周に装着されてホース部23の先端部を覆っている。
【0031】
更に、手元管26の流入管部位27bの外周に略U字形状をなす手元ブラシ40が取付けられている。手元ブラシ40は、部屋の隅にたまった塵を掻き出す際に使用されるものであって、ブラシ台にブラシ毛40bを植毛して形成されている。この手元ブラシ40は、流入管部位27bにその周方向に180度隔てて形成された一対の軸受部27d(図6に一方のみ図示)に、これらに対応して手元ブラシ40の内側面に突設された一対の軸部40a(図6に一方のみ図示)を嵌合させることにより、軸受部27d及び軸部40aを支点に回転可能である。
【0032】
この回転により、手元ブラシ40は、図2中実線で示した退避位置と二点鎖線で示した使用位置とにわたって移動可能である。待避位置では、手元ブラシ40のブラシ毛40bを後側に向けて手元ブラシ40全体が上流側管部材27の流入管部位27bの外周に沿った状態に配置される。使用位置では、手元ブラシ40のブラシ毛40bを手元管26の前端開口の上部に沿わせるとともにこの前端開口より前側に突出させた状態に配置される。
【0033】
前記手元管26にこの管の軸方向(前後方向)に延びるハンドル35が上向きに突設されている。図5及び図6に示すようにハンドル35は、ハンドルベース36と、ハンドルカバー37と、外装パネル38とをねじ(図示しない)で止めて組立てることにより、図2等に示すように握り部35aと、前側ハンドル基部35bと、後側ハンドル基部35cを形成して略コの字状に形成されている。
【0034】
ハンドルベース36は略コの字状をなして下流側管部材28に一体に形成されている。ハンドルカバー37は、ハンドルベース36の両側壁間にねじ(図示しない)で止められていて、その前部はベース部位27aの上部前面及び流入管部位27bの上部を覆っている。外装パネル38はハンドル35の上部前面及び上面を覆ってハンドルカバー37にねじ(図示しない)で止められている。
【0035】
握り部35aは、使用者の手指で握られた状態で手の平が接する部分であって、手元管26の上方に離間して配設されている。この握り部35aの前後方向の長さは、標準的な手の大きさの人差し指から小指に渡る4本の指で、握り部35aをその下側から巻き付くように握ることができる過不足のない長さに設定されている。
【0036】
前側ハンドル基部35bは、手元管26の前部から上向きに突設されて握り部35aの前端に連続して設けられている。そのために、本実施形態では、前側ハンドル基部35bの根元が、図3及び図6等から分かるようにフィルタ収容部29の前端から上流側管部材27に跨るように形成されている。この前側ハンドル基部35bは手元管26の前端開口に可能な限り近付けて設けることが好ましい。
【0037】
前側ハンドル基部35bの前面は使用者の親指を掛けることが可能な指掛け面35dとして設けられている。そのために、指掛け面35dは、手元管26の中心軸線に対して略直角な面で形成されている。ここに略直角とは、前記中心軸線に直角な面及びこの面に対して前後に夫々10°傾斜する角度範囲を含んでいる。
【0038】
後側ハンドル基部35cは、手元管26の後部から上向きに突設されて握り部35aの後端に連続して設けられている。そのために、本実施形態では、後側ハンドル基部35cの根元が、図3及び図6に示すように接続筒部30から上方に突出するように形成されている。後側ハンドル基部35cは中空状であり、その根元の内側に前記図示しないスリップリング機構が臨んでいる。
【0039】
図2及び図3に示すようにハンドル35と手元管26とに囲まれた指通し空間Sが握り部35aに臨んでこの下側に形成されている。前側ハンドル基部35bの根元から握り部35aに近づくに従い指通し空間Sが前側に寄るように、前側ハンドル基部35bは、その根元から握り部35aに近づくに従い次第に細く形成されている。
【0040】
図2及び図3に示すように後側ハンドル基部35cの厚みは、前側ハンドル基部35bの上部の厚みより大きく形成されている。ここに、後側ハンドル基部35cの厚み及び前側ハンドル基部35bの上部の厚みは、いずれも前後方向つまり手元管26の中心軸線が延びる方向に沿う寸法を指している。
【0041】
電動送風機11の起動・停止及び入力調整等を手元操作部25で遠隔制御するためのスイッチ41は、図6に示すようにスイッチ基板42と、例えば複数のスイッチ部材43を備えている。
【0042】
スイッチ基板42は握り部35aに内蔵可能な長方形状をなしている。各スイッチ部材43は、他の電子部品とともにスイッチ基板42上に実装されている。図3に示すように各スイッチ部材43は、上側から押圧操作されるスイッチ操作部43aを有している。なお、スイッチ操作部43aはその上側からカバーフィルムで覆われている。このスイッチ操作部43aが押圧操作される毎に、スイッチ部材43は図示しない可動接片を図示しない固定接片に接離して電気的なオン・オフを繰り返すように形成されていて、押圧操作力が消失すると、次の押圧操作に備えてスイッチ操作部43aは押圧操作前の高さ位置に上昇復帰されるようになっている。
【0043】
スイッチ41はハンドル35の握り部35aに内蔵されている。具体的には、図3に示すようにハンドルベース36の握り部35aの一部をなす部位に形成された複数の上向きのリブ36aと、ハンドルカバー37の握り部35aの一部をなす部位との間に挟持されるように配設されている。こうして握り部35aに取付けられたスイッチ41の各スイッチ操作部43aは、スイッチ41の上面より下がって配置されている。
【0044】
これらスイッチ操作部43aの押圧操作を可能とするために、握り部35aの上面に開放する操作凹部45が握り部35aに複数設けられている。各操作凹部45は外装パネル38に形成された開口からなる。各操作凹部45は各スイッチ部材43に個別に対応した位置に設けられ、これら操作凹部45の底部にスイッチ操作部43aを配設されている。各操作凹部45の深さは、握り部35aを使用者が握った際に、手の平の肉部が操作凹部45内に入り込んだとしても、スイッチ41がオン・オフされる押込みストロークをスイッチ操作部43aに与えることがないように設定されており、前記入り込みに拘らずスイッチ操作部43aに手の平が接しないような深さとすることが好ましい。
【0045】
なお、スイッチ部材43は例えば4個用いられていて、その内で最も後側ハンドル基部35cに近いスイッチ部材43は、電動送風機11の起動・停止を担う電源スイッチとして用いられている。この電源スイッチの前側に隣接したスイッチ部材43は、電動送風機11に供給される電力を低く制限した状態で電動送風機11を運転させる「エコ自動運転」モードを選択する機能スイッチとして用いられている。更に、「エコ自動運転」用のスイッチ部材43の前側に隣接したスイッチ部材43は、電動送風機11に供給される電力を調整してこの電動送風機11の吸込み力を強くする強運転モード又は電動送風機11の吸込み力を弱くする弱くする弱運転モードを選択する機能スイッチとして用いられている。又、この強弱運転モード用のスイッチ部材43の前側に隣接しかつ前側ハンドル基部35bに最も近い位置のスイッチ部材43は、清掃体電動機で駆動される後述する回転清掃体の起動・停止を担うために設けられている。
【0046】
図6に示すようにスイッチ41のスイッチ基板42に複数本のリード線47が接続されている。これらリード線47は、絶縁被覆電線からなり、各スイッチ部材43に電気的に接続されてスイッチ基板42の後端から導出されている。各リード線47は後側ハンドル基部35cの内側を通って前記図示しないスリップリング機構に電気的に接続されている。そのため、各リード線47及び前記スリップリング機構を介してホース部23の図示しないコイル状芯線(導電手段)とスイッチ41とが電気的に接続されている。そして、既述のように後側ハンドル基部35cの厚みが前側ハンドル基部35bの上部の厚みより大きく、それにより、後側ハンドル基部35c内に十分な配線スペースが確保されているので、リード線47の前記配線が可能である。
【0047】
図1に示すように延長管51は内管52と外管53とを伸縮可能に組み合わせて形成されている。そのため、内管52は、外管53に対しその先端(上流側端)から挿入されていて、その挿入深さを可変でき、それに伴い延長管51の長さを調節可能である。
【0048】
延長管51の上流側端部をなす内管52の前端部は、延長管51が最も短く縮められた状態でも、外管53の前端部から突出状態に保持されている。延長管51の下流側端部をなす外管53の後端部は、手元管26の前端部、つまり、この手元管26の入口をなす流入管部位27bの内側に、手元管26の上流側から挿脱することにより、手元管26に着脱可能である。
【0049】
図1に示す吸込み口体55は、被掃除面である屋内の床面の掃除に適した床用である。この吸込み口体55は、横長な吸込みヘッド56と、この吸込みヘッド56の後部でかつ長手方向中央部に自在継手管部を介して接続された接続管57を備えている。吸込みヘッド56の底面には横長な吸込み開口(図示しない)が設けられている。接続管57の後端部からなる下流側端部は、延長管51の上流側端部をなした内管52の前端部の内側に挿脱することにより、延長管51に着脱可能であるとともに、手元管26の入口をなす流入管部位27bの内側に挿脱することにより、手元管26に着脱可能である。
【0050】
前記吸込み開口に臨んで吸込みヘッド56に回転清掃体58が内蔵されている。回転清掃体58は、吸込みヘッド56に内蔵された図示しない清掃体電動機の動力で回転駆動され、この電動機は、回転清掃体58の起動・停止を担う前記スイッチ部材43によりオン・オフされるようになっている。
【0051】
前記吸込み風路部材21の手元操作部25に、集塵部12の上流側に配置される塵分離部として例えば粗塵分離部61が備えられている。この粗塵分離部61は、下流側に向かって次第に縮径された上流フィルタ62と、既述した手元管26の流出管部位31と、手元管26のガイド壁32と、手元管26の合流口33とを備えて形成されている。
【0052】
図6に示すように上流フィルタ62は、下流側に向かって次第に縮径された内側フィルタホルダ62a及び外側フィルタホルダ62bと、これらの間に挟んで保持された金属薄板製のネットフィルタ62cを有している。
【0053】
上流フィルタ62は、手元管26のフィルタ収容部29より小径であり、このフィルタ収容部29に収容されている。この収容状態で、図3及び図4に示すように上流側管部材27のベース部位27aとガイド壁32の入口とで前後から挟持されている。上流フィルタ62の大径開口端部の内側に流入管部位27bの後端部が挿入されている。上流フィルタ62の小径開口端部62dはガイド壁32の入口に連続されている。そのため、既述のガイド壁32は、上流フィルタ62と既述の流出管部位31とを仕切るようにこれらの間に設けられている。上流フィルタ62の外周とフィルタ収容部29の内周とは離れており、これらの間は流出管部位31に連通されている。
【0054】
吸込み風路部材21には粗塵分離部61の近傍に位置して集塵容器71が着脱可能に取付けられている。集塵容器71は、図3及び図4等に示すように容器本体72とこれに着脱自在に嵌合された容器蓋73を備えている。
【0055】
集塵容器71は、前記ハンドル35の下方に配置されている。集塵容積をより大きく確保するために集塵容器71は、手元管26の下部半周に沿うように略U字形状に形成されている。こうした形状の集塵容器71の容器本体72の内側壁に、塵入口74(図6等参照)と、これに対向するように通気口75(図3等参照)が設けられている。
【0056】
図3に示すように容器本体72は、第1フック76と第2フック77を有している。これら第1フック776及び第2フック77はいずれも容器蓋73と反対側に開放した溝からなる。これとともに容器本体72に第2フック77の近傍に位置して容器クランプ78が取付けられている。
【0057】
手元管26の下部外面に、第1フック76に係脱可能な第1係合部79と、第2フック77に係脱可能な第2係合部80が前後に離れて一体に突設されている。これらの係合(引掛かり)により、集塵容器71がハンドル35の真下の位置に取付けられる。このように集塵容器71が配置されることは、掃除の際、使用者がハンドル35を握って手元操作部25を操作して吸込み口体55を移動操作する場合に、集塵容器71とその中に溜められた塵の重さを感じ難くなるとともに、重量バランスが良いので、吸込み口体55の移動操作性を良くする上で好ましい。
【0058】
更に、集塵容器71の取付け状態は、第1係合部79が有した溝状の係止部に容器クランプ78が係止されることで保持される。また、容器クランプ78を操作して前記係止部から外した状態で集塵容器71を後方に引くことにより、この集塵容器71を手元操作部25から外せるようになっている。
【0059】
集塵容器71の塵入口74は、以上の手順で集塵容器71が手元管26に取付けられた状態で、図5に示すように粗塵分離部61の出口32aに密接されて、これらは連通状態に保持される。集塵容器71の通気口75は、集塵容器71が手元管26に取付けられた状態で、図5に示すように粗塵分離部61の合流口33に密接されて、これらは連通状態に保持される。
【0060】
集塵容器71には図6に示すフィルタ支持部材81が内蔵されている。このフィルタ支持部材81には粗塵用フィルタ82が支持されている。粗塵用フィルタ82は、通気口75の上流側を覆って配置されて、集塵容器71内に溜められた粗塵が通気口75を通ることを妨げるために設けられている。
【0061】
電気掃除機1を用いて掃除をするには、図1のように吸込み口8に接続された吸込みホース22に延長管51を接続し、更にこの延長管51に吸込み口体55を接続して、この吸込み口体55が有した吸込みヘッド56の吸込み開口から被掃除面上の塵埃を吸引可能な状態にした上で、手元操作部25でのスイッチ操作により電動送風機11を運転すればよい。
【0062】
それにより、手元操作部25に導入された含塵空気が粗塵分離部61により塵と空気とに分離される。つまり、粗塵分離部61に吸引された含塵空気中に含まれた塵の内で、質量が大きい塵は、その慣性により上流フィルタ62を軸方向に通過してからガイド壁32に当たって流れ方向を変え、それに伴い運動エネルギーを低減されながら集塵容器71内に吸い込まれ、この集塵容器71内で粗塵用フィルタ82に捕捉されて集塵容器71内に溜められる。これとともに、粗塵用フィルタ82を通過した空気は、合流口33を通って流出管部位31に流出し、更に、吸込みホース22のホース部23を通って掃除機本体2内の集塵部12に吸い込まれる。
【0063】
この一方で、電動送風機11の吸込み負圧が、上流フィルタ62の周りの空間にも波及しているので、上流フィルタ62内を通過しようとする空気の一部及び質量が小さい細塵が、上流フィルタ62のネットフィルタ62cを通過して吸引された後、集塵容器71内から合流口33を通って流出管部位31に流出する気流と合流して、既述のように集塵部12に吸い込まれる。
【0064】
以上のようにして含塵空気中の粗塵等が粗塵分離部61において空気から分離されて集塵容器71に溜められる。そして、粗塵分離部61を通過して集塵部12に導入された気流は、この集塵部12でろ過されるので、電動送風機11に吸い込まれようとする空気中に含まれている細塵が集塵部12に捕捉される。又、集塵部12を通って電動送風機11に吸い込まれた空気は、この電動送風機11を流通してから排気部9を通って掃除機本体2外に放出される。
【0065】
掃除の開始や掃除中等にスイッチ41を操作するには、ハンドル35aを握っている使用者の手の平を握り部35aの上部周面から離して、使用者の片手の親指以外の手指で握り部35aを下側から支えた状態とした上で、使用者の親指を、操作しようとする目的のスイッチ部材43に対応している操作凹部45に挿入して、この操作凹部45の底に位置されているスイッチ操作部43aを押込めばよい。それにより、目的のスイッチ部材43を動作させて、例えば電動送風機11の強弱制御等を実施できる。
【0066】
この場合、握り部35aを握っている片手は開くだけで、握る位置を前後にずらす必要がないとともに、片手を開いた状態でも握り部35aは下側から指で支持されているので、スイッチ操作部43aの押圧操作を安定した状態で行うことができる。
【0067】
又、スイッチ41は、ハンドル35の握り部35aから前側にずれた位置ではなく、手の平が接する握り部35aに設けられているので、スイッチ41を設けるための部位を握り部35aの前側に並べて確保する必要がない。そのため、手元管26の前部と後部に渡るハンドル35の前後方向の長さを短くできる。
【0068】
こうしたハンドル35の小形化に伴い、このハンドル35を有した手元操作部25の重量を軽くできるので、この点で吸込み口体55等を移動させるための操作性を向上できる。
【0069】
しかも、握り部35aに取付けられたスイッチ41のスイッチ操作部43aは、握り部35aの操作凹部45の底部に位置されていて、握り部35aの上面に面一又は同上面から上向きに突出していない。そのため、掃除中、ハンドル35の握り部35aが使用者の片手で握られるにも拘らず、握った手の平で前記上面から下がって設けられているスイッチ操作部43aが不用意に押されて、スイッチ41が誤操作されることを防止できる。
【0070】
この場合、操作凹部45が各スイッチ部材43に個別に対応して独立した穴で形成されているので、握り部35aを握った使用者の手の平の肉が操作凹部45に入り込む深さをより浅く制限し易く、この点でスイッチ41の誤操作をより確実に防止する上で好ましい。しかし、隣接する操作凹部45が、この操作凹部45の直径よりも細い溝を介して連通されていても、同様にスイッチ41の誤操作を防止することが可能である。
【0071】
更に、後側ハンドル基部35cの前後方向の厚みが前側ハンドル基部35bの上部の前後方向の厚みより厚いので、ハンドル35の前後方向の長さ範囲内において、その握り部35aをより前側に寄せることができる。これにより、握り部35aを握った使用者の手を、手元管26の入口である流入管部位の前端開口により近づけられることに応じて、握り部35aを握った使用者の手と吸込み口体55等との距離も短くなるので、この点でも吸込み口体55等を移動させるための操作性を向上できる。
【0072】
又、掃除中、手元操作部25から延長管51が外されて、この手元管26の前端開口から塵埃を直接吸い込んで掃除をすることがある。この際、必要に応じて手元ブラシ40を回動させて図2中二点鎖線で示した使用位置に配置して、この手元ブラシ40による塵の掻き出しを伴いながら掃除することもある。
【0073】
これらの掃除態様の場合、既述のように手元管26の前端開口から握り部35aまでの距離が短くなっていることに伴い、手元管26の前端開口を所望とする掃除場所に指向させる上での操作性を向上できる。
【0074】
又、既述のように手元管26の前端開口から塵埃を直接吸い込んで掃除をする場合であっても、図1に示すように吸込み口体55から吸塵をする場合であっても、使用者は手元操作部25のハンドル35の握り方を以下のように選択できる。
【0075】
第1の握り方は、前側ハンドル基部35bの前面からなる指掛け面35dに、使用者の片手の親指を当てることなく、この片手で握り部35aを握る態様である。第2の握り方は、指掛け面35dにその前方から片手の親指を当てた状態で握り部35aを握る態様である。この第2の握り方は、前側ハンドル基部35bの前面が、手元管26の中心軸線に対して略直角な面で形成されていることにより実現できたものである。以上のようにハンドル35の握り方が多様化されているので、掃除場所、掃除形態、及び使用者の好み等に応じて、前記第1又は第2の握り方でハンドル35を握って掃除することが可能であり、使い勝手がよい。
【0076】
本発明は前記一実施形態には制約されない。例えば、一実施形態では手元操作部に粗塵分離部を設けたが、この分離部を省略して本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…電気掃除機、2…掃除機本体、8…吸込み口、11…電動送風機、12…集塵部、22…吸込みホース、23…ホース部、24…掃除機本体接続筒、25…手元操作部、26…手元管、35…ハンドル、35a…握り部、35b…前側ハンドル基部、35c…後側ハンドル基部、35d…指掛け面、S…指通し空間、41…スイッチ、42…スイッチ基板、43…スイッチ部材、43a…スイッチ操作部、45…操作凹部、47…リード線、51…延長管、53…吸込み口体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電手段が設けられた可撓性のホース部と、
このホース部の一端部に設けられた掃除機本体接続筒と、
前後両端部が夫々開口され後端部に前記ホース部の他端部が接続された手元管、この手元管の上方に離間されて使用者に握られる握り部を有して前記手元管から突設されたハンドル、及び前記通電手段に電気的に接続されたスイッチを備えた手元操作部と、を具備する電気掃除機用吸込みホースにおいて、
前記ハンドルが、前記握り部と、前記手元管の前部から上向きに突設されて前記握り部の前端に連続する前側ハンドル基部と、前記手元管の後部から上向きに突設されて前記握り部の後端に連続する後側ハンドル基部とで形成されているとともに、前記握り部がその上面に開放された操作凹部を有しており、
前記スイッチが上側から押圧操作されるスイッチ操作部を有し、このスイッチ操作部を前記握り部の上面から下がった前記操作凹部の底部に配して前記スイッチが前記握り部に取付けられていることを特徴とする電気掃除機用吸込みホース。
【請求項2】
前記ハンドル及び前記手元管で囲まれた指通し空間が、前記前側ハンドル基部がその根元から前記握り部に近づく従い前側に寄るように前側ハンドル基部がその根元から前記握り部に近づく従い次第に細く形成されているとともに、前記前側ハンドル基部の上部の厚みよりも前記後側ハンドル基部の厚みが大きく形成されていて、この後側ハンドル基部の内側に前記通電手段と前記スイッチとを接続するリード線が配線されていることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機用吸込みホース。
【請求項3】
前記前側ハンドル基部の前面が、前記握り部を握った使用者の手の親指を前側から受けることが可能となるように前記手元管の中心軸線に対して略直角な指掛け面をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気掃除機用吸込みホース。
【請求項4】
吸込み口を有した掃除機本体と、
この掃除機本体に内蔵された電動送風機と、
この電動送風機の上流側でかつ前記吸込み口の下流側に位置して前記掃除機本体に収容された集塵部と、
前記吸込み口に着脱可能に接続された前記請求項1から3の内のいずれか一項に記載の吸込みホースと、
この吸込みホースが有した手元管の前端部に着脱可能に接続される延長管と、
この延長管の先端部又は前記手元管の前端部に着脱可能に接続される吸込み口体と、
を具備することを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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