電気掃除機用吸込具
【課題】回転ブラシ20を有する電気掃除機用吸込具10において、髪の毛、ペットの抜け毛、糸くずなどの長尺ゴミの回転ブラシへの絡みつきを防止したいという課題があった。
【解決手段】回転ブラシ20にウイングクロス25を設ける。ウイングクロス25は、吸込用開口16に臨んだ状態では、被清掃面400に接して回転軸21の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面400を離れて収容室15内方へ移動する際には、回転軸21周面から立ち上がるように伸び上がる。ウイングクロス25が伸び上がる際に、付着している長尺ゴミHは、回転軸21周面から離れる方向に飛ばされる。
【効果】回転ブラシ20に長尺ゴミHが絡みつく前に、長尺ゴミHをウイングクロス25で外方へ飛ばし、長尺ゴミHの絡みつきを防止できる。
【解決手段】回転ブラシ20にウイングクロス25を設ける。ウイングクロス25は、吸込用開口16に臨んだ状態では、被清掃面400に接して回転軸21の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面400を離れて収容室15内方へ移動する際には、回転軸21周面から立ち上がるように伸び上がる。ウイングクロス25が伸び上がる際に、付着している長尺ゴミHは、回転軸21周面から離れる方向に飛ばされる。
【効果】回転ブラシ20に長尺ゴミHが絡みつく前に、長尺ゴミHをウイングクロス25で外方へ飛ばし、長尺ゴミHの絡みつきを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機用吸込具に関し、特に、電気掃除機本体に装着されて使用され、被清掃面上の塵挨を吸い込んで電気掃除機本体側へ送るための吸込具に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、一般に、電動送風機を備えた本体と、本体に後端が取り付けられ、その先端には操作部が備えられた吸込ホースと、吸込ホースの操作部に後端が接続され、その先端側には吸込具が接続された吸込パイプとを有している。ユーザは、操作部に設けられたグリップを握り、吸込具を被清掃面に沿って前後に移動させることにより、清掃を行う。
【0003】
従来の吸込具は、前後に移動される際に効率良く被清掃面の塵挨を吸い込めるよう、吸込パイプに対していわゆるT字状に接続される形状をしている。また、吸込具の内部には、回転ブラシが収容されており、回転ブラシが回転することにより、被清掃面の塵挨を掻き上げる作用等をし、清掃効率の向上が図られている。
従来の吸込具のうち、本願発明にとって興味のあるものとして、特許文献1に記載された吸込具、および、特許文献2に記載された吸込具がある。
【0004】
特許文献1に記載された吸込具の回転ブラシ115には、ゴムや軟質塩化ビニールなどの弾性材料で形成されたブレード1501が設けられている。ブレード1501は可撓性を有しているため、回転ブラシ115が回転すると、回転による遠心力を受け、ブレード1501の摺接部1506がロータリーコア3の放線方向に立ち上がり、清掃面に摺接して塵挨を掻き上げることができる(特許文献1の段落[0065][0068]および15参照)という作用効果を奏する。
【0005】
また、特許文献2に記載の吸込具も、回転ブラシ8を有する。回転ブラシ8は、床面に当接しない一対のブラシ体12と回転ブラシの遠心力により起立して床面に当接する柔軟性を有する一対のブレード13とを有する(要約参照)。回転ブラシ8の停止状態においては、ブラシ体12およびブレード13は、床面に接触しないように形成されているが、回転ブラシ8が高速回転すると、ブレード13が遠心力によって起立し、床面や畳に接触し、床面や畳の磨き掃除を行うという機能を奏する(段落[0015][0021]参照)。
【特許文献1】特開平9−187405号公報
【特許文献2】特開平11−123167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転ブラシを有する電気掃除機用吸込具においては、従来より、髪の毛、ペットの抜け毛、糸くずなどの長尺のごみ(以下この明細書において、「長尺ごみ」という。)が絡みつき、回転ブラシから除去しにくいという課題があった。
ところで、特許文献1に記載の吸込具は、回転ブラシに可撓性を有するブレードが備えられているので、回転による遠心力によってブレードが立ち上がることにより、回転ブラシに対する長尺ごみの絡みつきを防止できるのではないかと、本願発明者が検証したところ、特許文献1に記載の構成では、回転ブラシに対する長尺ごみの絡みつき防止は達成できないことがわかった。また、特許文献1に記載のブレードは、ゴムや軟質塩化ビニルなどの弾性材料で形成されており、被清掃面が絨毯の場合はともかく、被清掃面がフローリング等の場合には、回転ブラシの回転時に、ブレードが被清掃面を叩き、被清掃面を傷つけるなどの欠点がある。
【0007】
特許文献2に記載の回転ブラシも、遠心力により起立するブレードを有する。このブレードは、回転ブラシが停止状態においては床面に接触せず、回転ブラシが回転することによりブレードは起立状態になり、床面や畳に接触する。ところが、特許文献2に記載のブレードによっても、回転ブラシに対する長尺ごみの絡みつきを防止することができないことが判明した。
【0008】
この発明は、このような背景のもとになされたもので、回転ブラシを有する電気掃除機用吸込具において、回転ブラシに長尺ごみが絡みつくことを防止できる電気掃除機用吸込具を提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、被清掃面に散在している長尺ごみを吸い込む際に、長尺ごみが回転ブラシに絡みつかず、電気掃除機本体側へ吸い込まれるように機能する電気掃除機用吸込具を提供することを他の目的とする。
【0009】
さらに、この発明は、被清掃面の種類を問わず、長尺ごみを含む塵挨に対し、効率の良い掻き上げおよび吸い込みが行える電気掃除機用吸込具を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、被清掃面に対向する吸込用開口を有する収容室と、前記収容室に収容され、前記開口に臨むように配置された回転ブラシとを備える電気掃除機用吸込具であって、前記回転ブラシは、前記収容室の幅方向に延びる回転軸と、この回転軸の周面に植立されたブラシおよびウイングクロスとを備え、前記ウイングクロスは、回転軸周面からの突出寸法がブラシの突出寸法よりも大きく、柔軟性があって、回転軸の軸方向に延びる帯状部材であり、前記開口に臨んだ状態では、被清掃面に接して回転軸の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面を離れて収容室内方へ移動する際には、回転軸の回転による遠心力で回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、電気掃除機用吸込具である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記ブラシは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面に対をなすように植立されており、前記ウイングクロスは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面上で、ブラシの植立位置とは異なる角度位置であって、ウイングクロスが湾曲したときに、ウイングクロスの突出端縁がブラシに重ならない位置に、対をなすように植立されていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機用吸込具である。
【0012】
請求項3記載の発明は、回転ブラシの回転軸に直交する断面方向に見たとき、回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、一定ではなく、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁までの距離、および、後部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する前部上方内壁までの距離が最も長くされていて、前記ウイングクロスは、少なくとも、後部下方内壁および前部上方内壁と対向した際に回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機用吸込具である。
【0013】
請求項4記載の発明は、さらに、回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、前記吸込用開口の前縁を区画する前部下方内壁までの距離、および、前部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する後部上方内壁までの距離も長くされていて、前記ウイングクロスは、回転軸が1回転する間に4度伸び上がることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機用吸込具である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記ブラシは、回転軸の軸方向に延び、周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状のブラシ列を含み、前記ウイングクロスは、回転軸の周面に、前記ブラシ列に対して平行に、螺旋状に植立されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具である。
請求項6記載の発明は、前記ウイングクロスは、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁と対向する角度位置において回転軸の周面から立ち上がるように伸び上がったときに、後部下方内壁と当接または近接する突出寸法にされていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具である。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記ウイングクロスは、回転軸の軸方向中心部において、その突出寸法が、中心部以外の寸法よりも短くなるように、突出端縁に切欠凹部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明では、回転ブラシにウイングクロスが備えられている。ウイングクロスは、開口に臨んだ状態では、被清掃面に接して回転軸の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面を離れて収容室内方へ移動する際には、回転軸周面から立ち上がるように伸び上がる。ウイングクロスが伸び上がる際に、ブラシやウイングクロスに付着している長尺ごみは、回転軸周面から離れる方向に飛ばされる。このため、回転ブラシで掻き上げられる長尺ゴミは、回転ブラシに絡みつく前に、ウイングクロスで外方へ飛ばされ、吸込具の収容室に連通する吸引孔を通って電気掃除機本体へと吸引される。
【0017】
ウイングクロスは、回転軸周面に対して湾曲した状態と伸び上がった状態とに形状が変化し続けることにより、長尺ゴミの回転軸への付着を妨げ、長尺ゴミを回転軸から離す方向へ飛ばす作用をすることを、発明者は検証した。この発明のウイングクロスは、湾曲状態と伸び上がった状態とに形状が変化するように、柔軟性またはしなやかさのある素材で形成されているので、長尺ゴミの回転軸への絡みつきを確実に防止することができる。
請求項2記載の構成では、回転ブラシを断面方向に見たとき、ブラシは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面に対をなすように植立されており、ブラシの植立位置と異なる角度位置に、180°対向する一対のウイングクロスが植立されている。そして、ウイングクロスは、湾曲したときに、ブラシに重ならない角度位置に設けられている。このため、ウイングクロスがブラシによる塵挨の掻き上げを妨げることはない。また、ウイングクロスは、湾曲状態では被清掃面を「拭く」という清掃機能を行う。そして、それに続いて、付着した長尺ゴミを伸び上がることにより外方へ飛ばすという機能を行う。このような機能を行うウイングクロスが、回転軸の軸心を中心に180°対向する位置にそれぞれ設けられているから、長尺ゴミが回転軸に絡みつこうとしても、回転軸の相対向する角度位置で長尺ゴミは外方へ飛ばされ、長尺ゴミが回転軸に絡みつくことがより確実に防止される。
【0018】
請求項3記載の発明では、回転軸周面から収容室内壁までの距離が工夫され、ウイングクロスは、後部下方内壁と対向した位置で伸び上がり、かつ、その位置から180°回転した位置でも伸び上がるようにされている。このため、回転ブラシにより掻き上げられる長尺ゴミは、後部下方および前部上方で回転軸から離れる方向に飛ばされ、回転軸に絡みつくことなく電気掃除機本体側へと吸引される。特に、回転軸に対して180°隔たる位置で、長尺ゴミが回転軸から引き離されるように飛ばされると、長尺ゴミはスムーズに吸引口へ吸い込まれる。
【0019】
請求項4記載の発明では、ウイングクロスは、回転軸が1回転する間に4度伸び上がり、4度湾曲するので、ウイングクロスの頻繁な伸び上がりおよび湾曲により、長尺ゴミが回転軸の周面に絡みつくことをより確実に阻止することができる。
請求項5記載の発明によれば、回転軸に対して螺旋状にブラシ列が植立されており、ウイングクロスも、同様に、螺旋状に植立されている。このため、ブラシ列は、回転軸の一端から他端に向かって被清掃面に順に接触し、接触抵抗が大きくならず、ブラシによって良好に塵挨の掻き上げを行うことができる。また、ウイングクロスも、回転軸の一端側から他端側へと被清掃面に順に接触して湾曲し、湾曲後に伸び上がるので、吸込用開口側から見ると、ウイングクロスは、あたかも波状に脈打つように湾曲と伸び上がりとを繰り返す。そしてこれにより長尺ゴミを回転軸周面から外方へ飛ばし、長尺ゴミは回転軸に絡みつくことなく、吸引口から吸引される。なお、「ウイングクロス」という名称に代え、波状にしなるので、「ウェーブクロス」と称してもよい。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、ウイングクロスの突出寸法は、後部下方内壁と対向する角度位置において、後部下方内壁に当接または近接する寸法にされているから、ウイングクロスが後部下方内壁と対向する角度位置に回転したときに、ウイングクロスは回転軸周面から伸び上がることができ、しかも、ウイングクロスの突出端縁と後部下方内壁との衝突に伴う異音等の発生が生じることはない。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、回転ブラシの回転を一時的に停止させ、しかし、電気掃除機の吸込動作は継続させている場合において、ウイングクロスが吸引口に対向する位置で回転ブラシが停止しても、吸引力によりウイングクロスの軸方向中央部が吸引口内に入り込み、吸引力によりウイングクロスがばたついて異音が生じることを防止することができる。
【0022】
なお、ウイングクロスの軸方向中央部に切欠凹部を形成して、軸方向中央部のウイングクロスの突出寸法を短くしても、軸方向中央部は、吸引口に対向しており、吸引力が強いため、長尺ゴミは回転軸に絡みつくことなく吸引口へ吸引される。このため、切欠凹部を形成しても何ら支障はない。
この発明によれば、回転ブラシにウイングクロスを設けたことにより、ウイングクロスの湾曲および伸び上がり作用により、長尺ゴミが回転軸に絡みつくことを防止することができる。よって、使用に伴い長尺ゴミが回転ブラシに絡みつくことがなく、長期にわたり快適に使用することのできる電気掃除機用吸込具を提供することができる。また、清掃効率の良い電気掃除機用吸込具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機用吸込具10を含む電気掃除機200の右側面図である。
以下、説明の便宜上、図1において左側を前方、右側を後方、手前側を左、奥側を右として説明し、電気掃除機200の各構成部材や吸込具10についての説明の際も、その方向に従って、前後、左右および上下を区別しながら説明する。
【0024】
電気掃除機200には、電気掃除機本体201、吸込ホース202、操作部203、吸込パイプ204およびこの発明の一実施形態に係る吸込具10が含まれている。
電気掃除機本体201には電動送風機(図示せず)が内蔵されていて、この電動送風機により吸引力が発生する。電気掃除機本体201の正面側には吸込ホース202の後端側に備えられた接続部210が着脱可能に連結されている。吸込ホース202は可撓性を有し、任意の形態に曲げることができる。吸込ホース202の反対側(先端側)には操作部203が取り付けられている。操作部203は、吸込ホース202の軸方向に延びるパイプ部206と、パイプ部206から軸方向と交差方向後方側へ延びたグリップ207と、パイプ部206の中心に対して、グリップ207と反対側(180°隔たる側)に設けられたサブグリップ208とを具備している。また、吸込ホース202の先端側と操作部203との間には回動機構209が介在されていて、操作部203と吸込ホース202とは、互いに軸回りに回動自在に連結されている。
【0025】
吸込パイプ204は、操作部203と吸込具10との間を連結する長手の、たとえば樹脂製のパイプである。吸込パイプ204は、その長さ方向ほぼ中央部を境に、先端側(吸込具10が取り付けられた側)211が、後端側(操作部203が接続された側)212内に同軸上に収納され、長さが可変できるように構成されている。この長さの可変は、吸込パイプ204の中央部に備えられたロックボタン213を操作することにより行うことができる。
【0026】
吸込具10には、ハウジング11と、接続筒12と、接続筒12をハウジング11に対して取り付けている連結機構13とが含まれている。
吸込パイプ204の後端側212は、操作部203から取り外し可能であり、操作部203を吸込具10の接続筒12と直接連結することも可能である。
なお、図1において、400は、被清掃面としての床面を示している。
【0027】
図2のAおよびBは、吸込具10の右側面横断面図を示す。
吸込具10は、上述したように、ハウジング11、接続筒12および連結機構13を含んでいる。ハウジング11の前方には、開閉可能なシャッター14が備えられている。ハウジング11とシャッター14とによって収容室15が区画されている。収容室15は、吸込具10が被清掃面400上に配置された清掃可能な状態において、被清掃面400と対向する吸込用開口16を有する。収容室15内には、吸込用開口16に臨むように、回転ブラシ20が収容されている。
【0028】
回転ブラシ20は、図2のAおよびBにおいて、左回りに回転し、被清掃面400上の塵挨を収容室15へと掻き上げる。収容室15の後方には吸引口17が連通されていて、回転ブラシ20により掻き上げられた塵挨は吸引口17を通り、接続筒12を経由して電気掃除機本体201(図1参照)へと吸い込まれる。
回転ブラシ20は、収容室15内において、収容室15の幅方向、すなわちハウジング11の左右方向に延びる回転軸21と、回転軸21の周面に植立されたブラシ22と、回転軸21の周面に植立されたウイングクロス25とを備えている。
【0029】
ブラシ22は、突出先端の幅(回転軸21の周方向の幅)が相対的に広い第1ブラシ23と、当該幅が相対的に狭い第2ブラシ24との2種類が設けられ、回転軸21の回転中心に対して180°隔たる対称位置に対をなすように植立されている。
ウイングクロス25も、回転軸21の回転中心に対して180°隔たる位置に対をなすように植立されている。
【0030】
ウイングクロス25は、柔軟性のある材料、たとえば片面が起毛された起毛布で構成されている。ウイングクロス25は、回転軸21周面からの突出寸法が、ブラシ22の突出寸法よりも大きくされている。そして、ウイングクロス25は、吸込用開口16に臨んだ状態では、被清掃面400に接して回転軸21の回転方向後方へ湾曲した状態となる(図2A参照)。このとき、ウイングクロス25の被清掃面400に接する面が起毛されていると、ウイングクロス25が被清掃面400を柔らかく拭くので好ましい。
【0031】
一方、回転軸21が回転し、ウイングクロス25が被清掃面400を離れて収容室15の内方へ移動する際には、回転軸21の回転による遠心力で、ウイングクロス25は回転軸21周面から立ち上がるように伸び上がる(図2B参照)。
ウイングクロス25が上述のように湾曲状態と伸び上がり状態とに変化することにより、被清掃面400に散在している髪の毛、ペットの抜け毛、糸くずその他の長尺ゴミが、回転ブラシ20に絡みつくのを防止することができる。
【0032】
図2のAおよびBでは、模式的に、太線Hにより長尺ゴミを表わしている。図2Aでは、長尺ゴミHは、被清掃面400に対向して湾曲したウイングクロス25やブラシ22に付着した状態が示されている。この状態から、図2Bに示すように、ウイングクロス25が回転軸21周面から立ち上がるように伸び上がると、伸び上がるウイングクロス25により長尺ゴミHは回転軸21から遠ざかる方向に飛ばされ、吸引口17に生じている吸引力によって吸い込まれる。
【0033】
ウイングクロス25が、上述のように湾曲状態と伸び上がった状態とに変化することにより、回転ブラシ22に長尺ゴミHが絡みつくことが防止されていることが、この実施形態の特徴の1つである。
図3は、吸込具10の底面図である。図3では、ハウジング11に対して、接続筒12が連結機構13によって斜めに傾けられた状態の図になっている。
【0034】
吸込具10を底面側から見ると、ハウジング11およびシャッター14で区画された吸込用開口16が現れている。吸込用開口16は、ハウジング11の幅方向、すなわちハウジング11の左右方向に長手の、底面視で横長の長方形状をしている。そして、吸込用開口16に臨むように、回転ブラシ20が備えられている。回転ブラシ20は、左右方向に延びる長手形状をし、その両端が、図示しない支持部材によって回転自在に支持されている。この実施形態では、回転ブラシ20の右側に駆動力が付与される。駆動力は、ハウジング11内に内蔵されたモータ(図示せず)により発生され、モータの駆動力により回転ブラシ20が回転される。
【0035】
なお、この実施形態では、回転ブラシ20がモータにより回転される構成を例にとって説明するが、この発明は、回転ブラシが吸込時に生じる吸引力(風力)により回転されるものに対しても適用できる。
図4は、回転ブラシ20のみを取り出して描いた図である。また、図5は、回転軸21とウイングクロス25との組立構造を説明するための分解斜視図である。
【0036】
図4に示すように、ブラシ22およびウイングクロス25は、それぞれ、回転軸21に対して螺旋状に植立されている。より具体的には、ブラシ22は、回転軸21の軸方向に延び、回転軸21の周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状の第1ブラシ列23および第2ブラシ列24を含む。また、ウイングクロス25は、回転軸21の周面に、各ブラシ列23、24に対して平行に、螺旋状に植立されている。
【0037】
図5に示すように、回転軸21には、その周面に、第1ブラシ列23を取り付けるための取付溝26、第2ブラシ列24を取り付けるための取付溝27、および、ウイングクロス25を取り付けるための取付溝28が、それぞれ、回転軸21の回転中心に対して180°隔たる位置に対をなすように設けられている。これら取付溝26、27、28は、回転軸21の軸方向に延び、周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状の溝である。組立て時には、回転軸21の取付溝28に対し、回転軸21の一端部から、ウイングクロス25の根元部が差し込まれ、回転軸21の軸方向にウイングクロス25は溝28内をスライドされることによって、回転軸21にウイングクロス25が装着される。第1ブラシ列23および第2ブラシ列24も、同様にして取り付けられる。
【0038】
図6のAおよびBは、それぞれ、成形前のウイングクロス25および成形後のウイングクロス25を示す図である。ウイングクロス25は、前述したように、柔軟性のある布状部材で構成されており、図2Aにおいて被清掃面400と対向する面が起毛されたたとえば起毛布で構成されている。ウイングクロス25を構成する起毛布29は、図6Aに示すように、回転軸21の軸方向に延びる帯状部材であり、その突出寸法はブラシ22(図2B参照)の突出寸法よりも大きくされている。帯状の起毛布29に対し、図6Bに示すように、下辺(根元部)に、ゴムブレード30が固着される。起毛布29の下辺とゴムプレート30とは、インサート成形により合体される。起毛布29の下辺にゴムブレード30が固着される際に、ゴムブレード30が固化する際の収縮により、ゴムブレード30の軸方向長さが縮み、起毛布29に弛みが生じる。表現を変えれば、図6Bのように、帯状の起毛布29下辺にゴムブレード30が固着されたウイングクロス25において、起毛布29の下辺の左右方向長さ(ゴムブレード30の長さ)と、起毛布29の上辺の左右方向長さとを比べると、(前者)<(後者)という関係になる。このような関係になっていると、ウイングクロス25を回転軸21に装着した際に、螺旋状に装着されたウイングクロス25の装着部根元(ゴムブレード30)の装着軌跡と、ウイングクロス29の先端辺の螺旋軌跡との間に生じる長さの差が吸収され、図8に示すように、ウイングクロス25が回転軸21の周面から立ち上がった状態で取り付けられるという利点がある。
【0039】
この実施形態では、ゴムブレード30の収縮を利用するのみではなく、起毛布29の形状を、図7に示す形状にし、ウイングクロス25の上辺における左右方向長さと、下辺(ゴムブレード30)における左右方向長さとが、(前者)>(後者)になるようにされている。
なお、ウイングクロス25の形状を、上述のようにするのに代えて、起毛布29の下辺にゴムブレード30がインサート成形により固着された状態において、ゴムブレード30の左右方向長さと、起毛布29の上辺の左右方向長さとが等しくなるようにしてもよい。かかる場合、ウイングクロス25を回転軸21に装着した場合、螺旋状の装着軌跡により、ウイングクロス25の装着部根元(ゴムブレード30)の装着軌跡と、ウイングクロス25の先端辺の螺旋軌跡との間に長さの差が生じ、図9に示すように、ウイングクロス25が回転軸21側に湾曲するように巻きついた装着状態となる。それゆえ、回転ブラシ20に装着されたウイングクロス25は、回転ブラシ20が回転していない状態において、吸込用開口16から外側にはみ出した状態となるのを防止することができる。
【0040】
以上のように、ウイングクロス25の形状は、上辺に比べて下辺が短い逆台形状としてもよいし、長方形状としてもよい。
さらに、図3〜図7に示すように、ウイングクロス25は、その長さ方向の中央部(回転軸21の軸方向中心部)において、その突出寸法が、中心部以外の部分よりも短くなるように、突出先端辺に切欠凹部35が形成されている。切欠凹部35を形成した理由は次の通りである。
【0041】
図10に示すような状態で回転ブラシ20の回転が停止し、しかし、電気掃除機本体の吸引が続けられている場合には、ウイングクロス25の軸方向中央部が吸引口17に入り込み、吸引力によりウイングクロス25にビビリ音のような異音が生じたり、吸込時の風切り音が生じたりすることが、実験上確認された。
そこで、この実施形態では、ウイングクロス25の軸方向中心部に切欠凹部35を設け、軸方向中心部の突出寸法を短くしている。ウイングクロス25の軸方向中心部の突出寸法を短くしても、ウイングクロス25の軸方向中心部は、吸引口17に対向しており、この部分に付着した長尺ゴミは、吸引口17の強力な吸引力により吸い込まれる。
【0042】
図11は、回転ブラシ20を、その軸方向に直交方向の断面で見た図であり、回転軸21におけるブラシ22とウイングクロス25との配置関係、およびウイングクロス25の長さが示されている。
回転ブラシ20には、回転軸21の周面であって、たとえば0°および180°の角度位置に、それぞれ、ウイングクロス25が植立されている。また、45°および135°の角度位置に、それぞれ、第1ブラシ列23が植立されている。さらに、90°および270°の角度位置に、それぞれ、第2ブラシ列24が植立されている。そして、0°および180°の角度位置に植立されたウイングクロス25が、第2ブラシ列24側に湾曲しても、ウイングクロス25の突出端縁が第2ブラシ列24に重ならないようにされている。換言すれば、ウイングクロス25の植立位置と、ウイングクロス25が湾曲する側に隣接する第2ブラシ列24の植立位置とは、所定の角度隔てられ、湾曲したウイングクロス25が、隣接する第2ブラシ列24に重ならないようにされている。
【0043】
ウイングクロス25とブラシ(第1ブラシ列23および第2ブラシ列24)25との配置関係を、上述のようにすることにより、ウイングクロス25が湾曲しても、第1ブラシ列23および第2ブラシ列24の塵挨掻き上げ作用が損なわれることはない。
図12を参照して、ウイングクロス25の突出寸法は、収容室15の内壁を擦る程度の長さとされている。そして、ウイングクロス25は、回転軸21が1回転する間に、4度伸び上がるようにされている。
【0044】
そのために、回転ブラシ20の回転軸21の周面と、収容室15の内壁との距離は、吸込用開口16の後縁を区画する後部下方内壁15Aまでの距離、および、後部下方内壁15Aに対し、回転軸21の軸心を中心に180°隔たる角度位置を区画する前部上方内壁15Cまでの距離が最も長くされている。
さらに、吸込用開口16の前縁を区画する前方下部内壁15Dまでの距離および前部下部内壁15Dに対し、回転軸21の軸心を中心に180°隔たる角度位置を区画する後部上方内壁15Bまでの距離も、上述同様長くされ、ウイングクロス25が伸び上がることができるようにされている。
【0045】
図13は、吸込具10の変形例を示す右側面横断面図である。吸込具10のハウジング11底面には、前述したように吸込用開口16が形成されている。吸込用開口16の後方には、サクションキーパーと称される起毛列36が配置されている。このため、サクションキーパー36と吸込用開口16との間のハウジング底面37(図3参照)にはサクションキーパー36により後方へ移動することが阻止された長尺ゴミが溜まることがある。
【0046】
そこで、ハウジング底面37を、図13に示すように傾斜面38にすることにより、サクションキーパー36の前方に溜まった長尺ゴミが、吸引口17へと吸い込まれ易くなるという効果が生じる。
傾斜面38は、吸込用開口16の後辺を、後方から前方に向かって収容室15内に上向き傾斜するような斜面とすればよい。
【0047】
図14のAおよびBは、ウイングクロス25の他の実施形態を示す正面図および側面図である。図14AおよびBに示すように、ウイングクロス25を、回転軸21の軸方向に長手の帯状部材29であって、側面視がループ状に湾曲されて、ゴムブレード30で固定された布状部材としてもよい。
このようなウイングクロス25を採用した場合、図15Aに示すように、回転ブラシ20が停止中は、回転軸21の周面からの突出量の少ないループ状のウイングクロス25であるが、回転ブラシ20が回転すると、回転軸20の回転により生じる遠心力により、ウイングクロス25のループはへしゃがり、ウイングクロス25が回転軸21の周面から立ち上がるように延びる。そして延びたウイングクロス25は、湾曲状態と伸び上がった状態とに変化する。従って、このようなウイングクロスによっても、先に説明した実施形態と同様に、ウイングクロスが伸び上がる際に、回転ブラシ20の周面に巻きつこうとする長尺ゴミを回転ブラシ20から離れる方向に弾き飛ばし、回転ブラシ20に対する長尺ゴミの付着を防止することができる。
【0048】
ところで、この実施形態で説明した吸込具10には、図3に示すように、ハウジング11の底面に、たとえば3つのホイール41、41、42が備えられている。ホイール41は、吸込具10を被清掃面400に沿って前後に移動させる際に、吸込具10のハウジング11の後方下部が被清掃面400上をスムーズに移動するように設けられたものである。ホイール42は、吸込具10が逆さまになったときに、回転ブラシ20の回転を停止するための停止スイッチに設けられたホイールである。
【0049】
これら3つのホイール41、42は、吸込具10が被清掃面400上を移動される際に、吸込具10の移動を補助するものであるが、吸込用開口16から吸引されなかった長尺ゴミが、その回転軸に絡み易いという課題があった。
そこで、この実施形態では、ホイール41、42の形状を、図16および図17に示す形状とした。
【0050】
図16は、ホイール41、42の正面図であり、図17はその縦断面図である。ホイール41、42の特徴は、接地周面43の左右両側に溝44が形成されていること、および、軸45とローラ46との間に環状凹部47が形成されていることである。接地周面43に巻きついた長尺ゴミは、ホイール41、42の回転に伴って径の小さい方向へ移動しようとするが、溝44および環状凹部47が形成されたことにより、まず、溝44へ嵌まり込む。そして溝44に多数の長尺ゴミが巻きつくことになる。溝44に長尺ゴミが巻きつき、巻きついた長尺ゴミで溝44が一杯になると、さらに設置周面43に巻きついた長尺ゴミは、軸45へと移動する。ところが、軸45には、ローラ46に環状凹部47が形成されているから、軸45に長尺ゴミが巻きついても、その巻きついた長尺ゴミがローラ46に対する抵抗として働かず、環状凹部47が一杯になるまで長尺ゴミの巻きつきが許容される。従って、ホイール41、42は、長尺ゴミが巻きついても、その回転性能が低下することなく、溝44および凹部47に長尺ゴミが満たされるまでは、スムーズな回転を維持することになる。
【0051】
以上説明した実施形態では、ウイングクロス25は片面が起毛された起毛布で構成されている例を説明した。しかし、ウイングクロス25は起毛布に限定されるものではなく、柔軟性のある帯状部材で構成されていればよく、たとえば不織布、化繊の布その他の素材で構成することも可能である。
【0052】
図18は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機200における本体201の斜視図である。図18に示す電気掃除機本体201において、左斜め下方側を前方、右斜め上方側を後方として説明する。
本体201は、たとえば樹脂で形成されたハウジング2によってその外形が区画されており、ハウジング2の前面には吸込ホース装着孔3が形成されている。吸込ホース装着孔3には、前述した吸込ホース201の後端側に備えられた接続部210が着脱可能に連結される。また、ハウジング2の後方寄り左右両側には、それぞれ、比較的大径の車輪4が備えられている。さらに、ハウジング2の上面には、図示の折り畳まれた状態から起立状態に立ち上げることのできる取っ手5が設けられている。取っ手5の前方側には、開閉可能なカバー6が配置されている。カバー6は、後方側に開閉の支点を有し、前方側が上方へ開いてその内部を露出させることができる。
【0053】
図19は、電気掃除機本体201からカバー6を取り外した状態の斜視図である。カバー6で覆われた電気掃除機本体201内には、吸込ホース装着孔3に連通する集塵室7が形成されていて、集塵室7内には集塵容器50が収容されている。集塵室7の後方には、図示しない電動送風機が内蔵されている。
図20は、集塵容器50の斜視図であり、図において左斜め下方が、集塵容器50の前面である。また、図21は、集塵容器50の分解斜視図であり、集塵容器50内における空気の流れを説明するための図である。
【0054】
図20および図21を参照して、集塵容器50は、外ケース51、内ケース52、および、フィルタ装置53を有している。
外ケース51は、たとえば透明または半透明の樹脂で形成されていて、その内部を透かして見ることができる。外ケース51の前面には、吸気口54が形成されている。図19に示すように、集塵容器50が電気掃除機本体201の集塵室7に収容された状態では、吸気口54は本体201における吸込ホース装着孔3と連通する。よって吸込ホースにより吸い込まれる空気および塵挨は、この吸気口54から外ケース51内へ取り込まれる。外ケース51の背面側は開放されている。
【0055】
内ケース52は、たとえば黄色、赤色、青色等の着色された樹脂で形成されており、外ケース51の背面側から外ケース51内に嵌合される。嵌合された状態では、外ケース51が透明または半透明であるから、外ケース51を透かして内ケース52がその内部に配置されていることを確認することができる。内ケース52は、外ケース51に嵌合された状態において、外ケース51と協働して、外ケース51の吸気口54から入る空気および塵挨を主として通し、空気中の塵挨に遠心力を付与するためのメイン流路としての旋回流路、吸気口54から入る空気の流れを確保するためのバイパス流路、および、塵挨が溜まる集塵空間を形成する。
【0056】
そのために、図21に示すように、内ケース52には、吸気口54から入る空気を受け入れるバッファ空間55、バッファ空間55の空気を時計回りに誘導する旋回流路形成部56、および、旋回流路形成部56の内側に前方向きに突設された半柱状の凸部57が含まれている。半柱状凸部57の周面で、旋回方向下流寄りの周面には多数の通気用小孔58が穿設されている。太矢印A1に示すように、吸気口54からバッファ空間55に入った空気および塵挨は、主としてメイン流路である旋回流路形成部56に沿って右回りに旋回しながら下流側へと流れる。つまり凸部57を中心に旋回する(太矢印A2)。その際、凸部57には通気用小孔58が多数形成されているから、旋回する空気の一部は、吸気用小孔58を通って背面側へと流れる。このように、半柱状凸部57に形成された多数の通気用小孔58は、吸気口54から入る空気の流れを確保するためのバイパス流路を形成している。
【0057】
外ケース51には、その上面側に取っ手59が設けられている。また取っ手59の後端側には、押しボタン62および押しボタン62と連動するフィルタ装置53を閉じた状態に係止するためのフック63が備えられている。
図22は、集塵容器50内における空気および塵挨の流れを説明するための図で、集塵容器50を背面側から見た斜視図であり、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
【0058】
図22を参照して、外ケース51および内ケース52によってメイン流路である旋回流路65が形成されており、主として旋回流路65に沿って空気および塵挨が流れる(太矢印A3)。背面側から見ると、旋回流路65の下流側内方面を形成する凸湾曲形状に滑らかに膨出したガイド面60が、内ケース52により区画されている。ガイド面60は、バッファ空間55(図21参照)を区画している内ケース52の裏面側である。このガイド面60は、旋回流路65の下流側内方に位置し、旋回流路65を流れてくる空気および塵挨をスムーズに案内し、空気および塵挨の旋回を助ける。
【0059】
旋回流路65の下流端には集塵空間66が区画されている。旋回流路65を空気および塵挨が通過する間に、空気中の塵挨に遠心力が付与されるので、塵挨Dは旋回流路65の外側を流れ、図22に模式的に示すように、主として集塵空間66から溜まっていく。
ところで、図22において、集塵空間66が塵挨Dで満たされると、次に塵挨Dは旋回流路65やガイド面60にも溢れ、旋回流路65を流れる風の流れを妨げて、吸引力の低下をもたらすおそれがある。
そこで、この実施形態では、集塵空間66に溜まった塵挨Dを圧縮し、集塵力が向上するように工夫されている。
【0060】
図23は、集塵空間66において、塵挨Dが吸引力(空気の流れ)により圧縮され、集塵量の増加が図られた構成を示す図である。図23に示すように、集塵空間66には、風の流れ方向に見て、最下流側に小空間66Aが確保されるように、集塵空間66内が櫛状の壁67で仕切られている。旋回流路65を旋回してきた空気および塵挨は、集塵空間66に至り、塵挨Dは、櫛状壁67で堰き止められ、小空間66Aへと流れる空気により、櫛状壁67の手前で圧縮される。これにより、集塵空間66に溜めることのできる塵挨Dの総量が増加する。
【0061】
集塵空間66の最下流側に小空間66Aを確保するように櫛状壁67を設けることにより、塵挨が旋回するメイン流路65を流れる空気の流れ(太矢印A3で示す)をスムーズにし、塵挨が集塵空間66に溜まったときに、溜まった塵挨が圧縮されるため、モータからの吸引が最もかかるフィルタ装置53の中央部分に塵挨が付着しにくく、吸込能力が落ちにくい構成とすることができる。
上述の櫛状壁67は、集塵空間66の最下流側に小空間66Aを確保するように設けるのに代えて、図24の内ケース52を背面側からみた斜視図に示すように、メイン流路とバイパス流路とを仕切る仕切壁68を、櫛状壁としてもよい。
かかる構成にしても、メイン流路を流れる空気は、仕切壁68を通ってバイパス流路側からフィルタ装置53へと流れる流路が確保されるから、仕切壁68の手前側で塵挨が圧縮され、集塵容量が増加する。
【0062】
図25は、集塵容器50の他の構成を示す斜視図であり、集塵容器50を背面側から見た斜視図であって、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
図25に示す集塵容器50の特徴は、バイパス流路69においても、旋回流路を設け、バイパス流路69に進入した細かな塵挨が空気とともに旋回し、この旋回によって細かな塵挨が空気から分離されて、バイパス流路69の端部に圧縮されて溜まり、バイパス流路69を流れる空気の流れが妨げられず、吸込能力が落ちにくい構成になっていることである。
【0063】
集塵容器50において、旋回流路65を流れる空気から塵挨Dが分離され、集塵空間66に塵挨Dが溜まってくると、旋回流路65を流れる空気流A3が減少するため、バイパス流路69の空気流が増加する。その場合において、バイパス流路69に吸い込まれる空気流に含まれる細かな塵挨が、バイパス流路69の背面側に対向するフィルタ装置53の対向面全体に張りつき、目詰まりし易いという課題が判明した。
そこで、図25に示すように、バイパス流路69において、通気用小孔58から進入する空気流を太矢印A4で示すように旋回させるために、半柱状の凸部17と略同心に、凸部17の内側に配置された旋回流生成用の案内壁70を設けた。これがこの集塵容器50の特徴である。このため、凸部57の外側から通気用小孔58を通って進入してきた空気および細かな塵挨は、太矢印A4で示すように旋回する。すなわち、旋回流路65を旋回する空気流A3の内方を旋回するように、サブ旋回流A4が形成される。
【0064】
これにより、通気用小孔58を通って進入してくるバイパス流路69を流れる空気および塵挨は、太矢印A4のように旋回されて、空気中に含まれる細かな塵挨D′は、バイパス流路69の側方から溜まり、バイパス流路69から背面側のフィルタ装置53へ空気が流れるのを妨げることがない。
このように、バイパス流路69にも旋回流路を形成することにより、バイパス流路69を流れる空気流に含まれる細かな塵挨D′を分離させ、その塵挨D′をバイパス流路69の側方に溜めて圧縮できるため、吸込能力が落ちにくい構成の集塵容器50を提供することができる。
【0065】
この発明に係る電気掃除機の集塵容器50は、図23または図24で説明した構成と、図25で説明した構成の両方が採用された集塵容器とすることも可能である。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気掃除機用吸込具10を含む電気掃除機の右側面図である。
【図2】吸込具10の右側面横断面図である。
【図3】吸込具10の底面図である。
【図4】回転ブラシ20のみを取り出して描いた図である。
【図5】回転軸21とウイングクロス25との組立て構造を説明するための分解斜視図である。
【図6】成形前のウイングクロス25および成形後のウイングクロス25を示す図である。
【図7】ウイングクロス25を構成する起毛布29の他の形状を示す図である。
【図8】ウイングクロス25の取付状態を説明するたの図である。
【図9】ウイングクロス25の他の取付状態を説明するための図である。
【図10】吸込具10における回転ブラシ20の停止状態の一例を示す右側面横断面図である。
【図11】回転ブラシ20を、その軸方向に直交方向の断面で見た図である。
【図12】ウイングクロス25の突出寸法を説明するための、吸込具10の右側面横断面図である。
【図13】吸込具10の変形例を示す右側面横断面図である。
【図14】ウイングクロス25の他の実施形態を示す正面図および側面図である。
【図15】ループ状ウイングクロス25の変化および作用を説明するための図である。
【図16】ホイールの正面図である。
【図17】ホイールの縦断面図である。
【図18】この発明の一実施形態に係る電気掃除機200における本体201の斜視図である。
【図19】電気掃除機本体201からカバー6を取り外した状態の斜視図である。
【図20】集塵容器50の斜視図であり、図において左斜め下方が、集塵容器50の前面である。
【図21】集塵容器50の分解斜視図であり、集塵容器50内における空気の流れを説明するための図である。
【図22】集塵容器50内における空気および塵挨の流れを説明するための図で、集塵容器50を背面側から見た斜視図であり、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
【図23】集塵空間66において、塵挨Dが吸引力(空気の流れ)により圧縮され、集塵量の増加が図られた構成を示す図である。
【図24】内ケース52を背面側から見た斜視図である。
【図25】集塵容器50の他の構成を示す斜視図であり、集塵容器50を背面側から見、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
【符号の説明】
【0067】
10 吸込具
15 収容室
16 吸込用開口
17 吸引口
20 回転ブラシ
21 回転軸
22 ブラシ
23 第1ブラシ列
24 第2ブラシ列
25 ウイングクロス
29 起毛布
30 ゴムブレード
35 切欠凹部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機用吸込具に関し、特に、電気掃除機本体に装着されて使用され、被清掃面上の塵挨を吸い込んで電気掃除機本体側へ送るための吸込具に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、一般に、電動送風機を備えた本体と、本体に後端が取り付けられ、その先端には操作部が備えられた吸込ホースと、吸込ホースの操作部に後端が接続され、その先端側には吸込具が接続された吸込パイプとを有している。ユーザは、操作部に設けられたグリップを握り、吸込具を被清掃面に沿って前後に移動させることにより、清掃を行う。
【0003】
従来の吸込具は、前後に移動される際に効率良く被清掃面の塵挨を吸い込めるよう、吸込パイプに対していわゆるT字状に接続される形状をしている。また、吸込具の内部には、回転ブラシが収容されており、回転ブラシが回転することにより、被清掃面の塵挨を掻き上げる作用等をし、清掃効率の向上が図られている。
従来の吸込具のうち、本願発明にとって興味のあるものとして、特許文献1に記載された吸込具、および、特許文献2に記載された吸込具がある。
【0004】
特許文献1に記載された吸込具の回転ブラシ115には、ゴムや軟質塩化ビニールなどの弾性材料で形成されたブレード1501が設けられている。ブレード1501は可撓性を有しているため、回転ブラシ115が回転すると、回転による遠心力を受け、ブレード1501の摺接部1506がロータリーコア3の放線方向に立ち上がり、清掃面に摺接して塵挨を掻き上げることができる(特許文献1の段落[0065][0068]および15参照)という作用効果を奏する。
【0005】
また、特許文献2に記載の吸込具も、回転ブラシ8を有する。回転ブラシ8は、床面に当接しない一対のブラシ体12と回転ブラシの遠心力により起立して床面に当接する柔軟性を有する一対のブレード13とを有する(要約参照)。回転ブラシ8の停止状態においては、ブラシ体12およびブレード13は、床面に接触しないように形成されているが、回転ブラシ8が高速回転すると、ブレード13が遠心力によって起立し、床面や畳に接触し、床面や畳の磨き掃除を行うという機能を奏する(段落[0015][0021]参照)。
【特許文献1】特開平9−187405号公報
【特許文献2】特開平11−123167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転ブラシを有する電気掃除機用吸込具においては、従来より、髪の毛、ペットの抜け毛、糸くずなどの長尺のごみ(以下この明細書において、「長尺ごみ」という。)が絡みつき、回転ブラシから除去しにくいという課題があった。
ところで、特許文献1に記載の吸込具は、回転ブラシに可撓性を有するブレードが備えられているので、回転による遠心力によってブレードが立ち上がることにより、回転ブラシに対する長尺ごみの絡みつきを防止できるのではないかと、本願発明者が検証したところ、特許文献1に記載の構成では、回転ブラシに対する長尺ごみの絡みつき防止は達成できないことがわかった。また、特許文献1に記載のブレードは、ゴムや軟質塩化ビニルなどの弾性材料で形成されており、被清掃面が絨毯の場合はともかく、被清掃面がフローリング等の場合には、回転ブラシの回転時に、ブレードが被清掃面を叩き、被清掃面を傷つけるなどの欠点がある。
【0007】
特許文献2に記載の回転ブラシも、遠心力により起立するブレードを有する。このブレードは、回転ブラシが停止状態においては床面に接触せず、回転ブラシが回転することによりブレードは起立状態になり、床面や畳に接触する。ところが、特許文献2に記載のブレードによっても、回転ブラシに対する長尺ごみの絡みつきを防止することができないことが判明した。
【0008】
この発明は、このような背景のもとになされたもので、回転ブラシを有する電気掃除機用吸込具において、回転ブラシに長尺ごみが絡みつくことを防止できる電気掃除機用吸込具を提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、被清掃面に散在している長尺ごみを吸い込む際に、長尺ごみが回転ブラシに絡みつかず、電気掃除機本体側へ吸い込まれるように機能する電気掃除機用吸込具を提供することを他の目的とする。
【0009】
さらに、この発明は、被清掃面の種類を問わず、長尺ごみを含む塵挨に対し、効率の良い掻き上げおよび吸い込みが行える電気掃除機用吸込具を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、被清掃面に対向する吸込用開口を有する収容室と、前記収容室に収容され、前記開口に臨むように配置された回転ブラシとを備える電気掃除機用吸込具であって、前記回転ブラシは、前記収容室の幅方向に延びる回転軸と、この回転軸の周面に植立されたブラシおよびウイングクロスとを備え、前記ウイングクロスは、回転軸周面からの突出寸法がブラシの突出寸法よりも大きく、柔軟性があって、回転軸の軸方向に延びる帯状部材であり、前記開口に臨んだ状態では、被清掃面に接して回転軸の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面を離れて収容室内方へ移動する際には、回転軸の回転による遠心力で回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、電気掃除機用吸込具である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記ブラシは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面に対をなすように植立されており、前記ウイングクロスは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面上で、ブラシの植立位置とは異なる角度位置であって、ウイングクロスが湾曲したときに、ウイングクロスの突出端縁がブラシに重ならない位置に、対をなすように植立されていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機用吸込具である。
【0012】
請求項3記載の発明は、回転ブラシの回転軸に直交する断面方向に見たとき、回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、一定ではなく、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁までの距離、および、後部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する前部上方内壁までの距離が最も長くされていて、前記ウイングクロスは、少なくとも、後部下方内壁および前部上方内壁と対向した際に回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機用吸込具である。
【0013】
請求項4記載の発明は、さらに、回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、前記吸込用開口の前縁を区画する前部下方内壁までの距離、および、前部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する後部上方内壁までの距離も長くされていて、前記ウイングクロスは、回転軸が1回転する間に4度伸び上がることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機用吸込具である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記ブラシは、回転軸の軸方向に延び、周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状のブラシ列を含み、前記ウイングクロスは、回転軸の周面に、前記ブラシ列に対して平行に、螺旋状に植立されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具である。
請求項6記載の発明は、前記ウイングクロスは、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁と対向する角度位置において回転軸の周面から立ち上がるように伸び上がったときに、後部下方内壁と当接または近接する突出寸法にされていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具である。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記ウイングクロスは、回転軸の軸方向中心部において、その突出寸法が、中心部以外の寸法よりも短くなるように、突出端縁に切欠凹部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明では、回転ブラシにウイングクロスが備えられている。ウイングクロスは、開口に臨んだ状態では、被清掃面に接して回転軸の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面を離れて収容室内方へ移動する際には、回転軸周面から立ち上がるように伸び上がる。ウイングクロスが伸び上がる際に、ブラシやウイングクロスに付着している長尺ごみは、回転軸周面から離れる方向に飛ばされる。このため、回転ブラシで掻き上げられる長尺ゴミは、回転ブラシに絡みつく前に、ウイングクロスで外方へ飛ばされ、吸込具の収容室に連通する吸引孔を通って電気掃除機本体へと吸引される。
【0017】
ウイングクロスは、回転軸周面に対して湾曲した状態と伸び上がった状態とに形状が変化し続けることにより、長尺ゴミの回転軸への付着を妨げ、長尺ゴミを回転軸から離す方向へ飛ばす作用をすることを、発明者は検証した。この発明のウイングクロスは、湾曲状態と伸び上がった状態とに形状が変化するように、柔軟性またはしなやかさのある素材で形成されているので、長尺ゴミの回転軸への絡みつきを確実に防止することができる。
請求項2記載の構成では、回転ブラシを断面方向に見たとき、ブラシは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面に対をなすように植立されており、ブラシの植立位置と異なる角度位置に、180°対向する一対のウイングクロスが植立されている。そして、ウイングクロスは、湾曲したときに、ブラシに重ならない角度位置に設けられている。このため、ウイングクロスがブラシによる塵挨の掻き上げを妨げることはない。また、ウイングクロスは、湾曲状態では被清掃面を「拭く」という清掃機能を行う。そして、それに続いて、付着した長尺ゴミを伸び上がることにより外方へ飛ばすという機能を行う。このような機能を行うウイングクロスが、回転軸の軸心を中心に180°対向する位置にそれぞれ設けられているから、長尺ゴミが回転軸に絡みつこうとしても、回転軸の相対向する角度位置で長尺ゴミは外方へ飛ばされ、長尺ゴミが回転軸に絡みつくことがより確実に防止される。
【0018】
請求項3記載の発明では、回転軸周面から収容室内壁までの距離が工夫され、ウイングクロスは、後部下方内壁と対向した位置で伸び上がり、かつ、その位置から180°回転した位置でも伸び上がるようにされている。このため、回転ブラシにより掻き上げられる長尺ゴミは、後部下方および前部上方で回転軸から離れる方向に飛ばされ、回転軸に絡みつくことなく電気掃除機本体側へと吸引される。特に、回転軸に対して180°隔たる位置で、長尺ゴミが回転軸から引き離されるように飛ばされると、長尺ゴミはスムーズに吸引口へ吸い込まれる。
【0019】
請求項4記載の発明では、ウイングクロスは、回転軸が1回転する間に4度伸び上がり、4度湾曲するので、ウイングクロスの頻繁な伸び上がりおよび湾曲により、長尺ゴミが回転軸の周面に絡みつくことをより確実に阻止することができる。
請求項5記載の発明によれば、回転軸に対して螺旋状にブラシ列が植立されており、ウイングクロスも、同様に、螺旋状に植立されている。このため、ブラシ列は、回転軸の一端から他端に向かって被清掃面に順に接触し、接触抵抗が大きくならず、ブラシによって良好に塵挨の掻き上げを行うことができる。また、ウイングクロスも、回転軸の一端側から他端側へと被清掃面に順に接触して湾曲し、湾曲後に伸び上がるので、吸込用開口側から見ると、ウイングクロスは、あたかも波状に脈打つように湾曲と伸び上がりとを繰り返す。そしてこれにより長尺ゴミを回転軸周面から外方へ飛ばし、長尺ゴミは回転軸に絡みつくことなく、吸引口から吸引される。なお、「ウイングクロス」という名称に代え、波状にしなるので、「ウェーブクロス」と称してもよい。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、ウイングクロスの突出寸法は、後部下方内壁と対向する角度位置において、後部下方内壁に当接または近接する寸法にされているから、ウイングクロスが後部下方内壁と対向する角度位置に回転したときに、ウイングクロスは回転軸周面から伸び上がることができ、しかも、ウイングクロスの突出端縁と後部下方内壁との衝突に伴う異音等の発生が生じることはない。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、回転ブラシの回転を一時的に停止させ、しかし、電気掃除機の吸込動作は継続させている場合において、ウイングクロスが吸引口に対向する位置で回転ブラシが停止しても、吸引力によりウイングクロスの軸方向中央部が吸引口内に入り込み、吸引力によりウイングクロスがばたついて異音が生じることを防止することができる。
【0022】
なお、ウイングクロスの軸方向中央部に切欠凹部を形成して、軸方向中央部のウイングクロスの突出寸法を短くしても、軸方向中央部は、吸引口に対向しており、吸引力が強いため、長尺ゴミは回転軸に絡みつくことなく吸引口へ吸引される。このため、切欠凹部を形成しても何ら支障はない。
この発明によれば、回転ブラシにウイングクロスを設けたことにより、ウイングクロスの湾曲および伸び上がり作用により、長尺ゴミが回転軸に絡みつくことを防止することができる。よって、使用に伴い長尺ゴミが回転ブラシに絡みつくことがなく、長期にわたり快適に使用することのできる電気掃除機用吸込具を提供することができる。また、清掃効率の良い電気掃除機用吸込具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機用吸込具10を含む電気掃除機200の右側面図である。
以下、説明の便宜上、図1において左側を前方、右側を後方、手前側を左、奥側を右として説明し、電気掃除機200の各構成部材や吸込具10についての説明の際も、その方向に従って、前後、左右および上下を区別しながら説明する。
【0024】
電気掃除機200には、電気掃除機本体201、吸込ホース202、操作部203、吸込パイプ204およびこの発明の一実施形態に係る吸込具10が含まれている。
電気掃除機本体201には電動送風機(図示せず)が内蔵されていて、この電動送風機により吸引力が発生する。電気掃除機本体201の正面側には吸込ホース202の後端側に備えられた接続部210が着脱可能に連結されている。吸込ホース202は可撓性を有し、任意の形態に曲げることができる。吸込ホース202の反対側(先端側)には操作部203が取り付けられている。操作部203は、吸込ホース202の軸方向に延びるパイプ部206と、パイプ部206から軸方向と交差方向後方側へ延びたグリップ207と、パイプ部206の中心に対して、グリップ207と反対側(180°隔たる側)に設けられたサブグリップ208とを具備している。また、吸込ホース202の先端側と操作部203との間には回動機構209が介在されていて、操作部203と吸込ホース202とは、互いに軸回りに回動自在に連結されている。
【0025】
吸込パイプ204は、操作部203と吸込具10との間を連結する長手の、たとえば樹脂製のパイプである。吸込パイプ204は、その長さ方向ほぼ中央部を境に、先端側(吸込具10が取り付けられた側)211が、後端側(操作部203が接続された側)212内に同軸上に収納され、長さが可変できるように構成されている。この長さの可変は、吸込パイプ204の中央部に備えられたロックボタン213を操作することにより行うことができる。
【0026】
吸込具10には、ハウジング11と、接続筒12と、接続筒12をハウジング11に対して取り付けている連結機構13とが含まれている。
吸込パイプ204の後端側212は、操作部203から取り外し可能であり、操作部203を吸込具10の接続筒12と直接連結することも可能である。
なお、図1において、400は、被清掃面としての床面を示している。
【0027】
図2のAおよびBは、吸込具10の右側面横断面図を示す。
吸込具10は、上述したように、ハウジング11、接続筒12および連結機構13を含んでいる。ハウジング11の前方には、開閉可能なシャッター14が備えられている。ハウジング11とシャッター14とによって収容室15が区画されている。収容室15は、吸込具10が被清掃面400上に配置された清掃可能な状態において、被清掃面400と対向する吸込用開口16を有する。収容室15内には、吸込用開口16に臨むように、回転ブラシ20が収容されている。
【0028】
回転ブラシ20は、図2のAおよびBにおいて、左回りに回転し、被清掃面400上の塵挨を収容室15へと掻き上げる。収容室15の後方には吸引口17が連通されていて、回転ブラシ20により掻き上げられた塵挨は吸引口17を通り、接続筒12を経由して電気掃除機本体201(図1参照)へと吸い込まれる。
回転ブラシ20は、収容室15内において、収容室15の幅方向、すなわちハウジング11の左右方向に延びる回転軸21と、回転軸21の周面に植立されたブラシ22と、回転軸21の周面に植立されたウイングクロス25とを備えている。
【0029】
ブラシ22は、突出先端の幅(回転軸21の周方向の幅)が相対的に広い第1ブラシ23と、当該幅が相対的に狭い第2ブラシ24との2種類が設けられ、回転軸21の回転中心に対して180°隔たる対称位置に対をなすように植立されている。
ウイングクロス25も、回転軸21の回転中心に対して180°隔たる位置に対をなすように植立されている。
【0030】
ウイングクロス25は、柔軟性のある材料、たとえば片面が起毛された起毛布で構成されている。ウイングクロス25は、回転軸21周面からの突出寸法が、ブラシ22の突出寸法よりも大きくされている。そして、ウイングクロス25は、吸込用開口16に臨んだ状態では、被清掃面400に接して回転軸21の回転方向後方へ湾曲した状態となる(図2A参照)。このとき、ウイングクロス25の被清掃面400に接する面が起毛されていると、ウイングクロス25が被清掃面400を柔らかく拭くので好ましい。
【0031】
一方、回転軸21が回転し、ウイングクロス25が被清掃面400を離れて収容室15の内方へ移動する際には、回転軸21の回転による遠心力で、ウイングクロス25は回転軸21周面から立ち上がるように伸び上がる(図2B参照)。
ウイングクロス25が上述のように湾曲状態と伸び上がり状態とに変化することにより、被清掃面400に散在している髪の毛、ペットの抜け毛、糸くずその他の長尺ゴミが、回転ブラシ20に絡みつくのを防止することができる。
【0032】
図2のAおよびBでは、模式的に、太線Hにより長尺ゴミを表わしている。図2Aでは、長尺ゴミHは、被清掃面400に対向して湾曲したウイングクロス25やブラシ22に付着した状態が示されている。この状態から、図2Bに示すように、ウイングクロス25が回転軸21周面から立ち上がるように伸び上がると、伸び上がるウイングクロス25により長尺ゴミHは回転軸21から遠ざかる方向に飛ばされ、吸引口17に生じている吸引力によって吸い込まれる。
【0033】
ウイングクロス25が、上述のように湾曲状態と伸び上がった状態とに変化することにより、回転ブラシ22に長尺ゴミHが絡みつくことが防止されていることが、この実施形態の特徴の1つである。
図3は、吸込具10の底面図である。図3では、ハウジング11に対して、接続筒12が連結機構13によって斜めに傾けられた状態の図になっている。
【0034】
吸込具10を底面側から見ると、ハウジング11およびシャッター14で区画された吸込用開口16が現れている。吸込用開口16は、ハウジング11の幅方向、すなわちハウジング11の左右方向に長手の、底面視で横長の長方形状をしている。そして、吸込用開口16に臨むように、回転ブラシ20が備えられている。回転ブラシ20は、左右方向に延びる長手形状をし、その両端が、図示しない支持部材によって回転自在に支持されている。この実施形態では、回転ブラシ20の右側に駆動力が付与される。駆動力は、ハウジング11内に内蔵されたモータ(図示せず)により発生され、モータの駆動力により回転ブラシ20が回転される。
【0035】
なお、この実施形態では、回転ブラシ20がモータにより回転される構成を例にとって説明するが、この発明は、回転ブラシが吸込時に生じる吸引力(風力)により回転されるものに対しても適用できる。
図4は、回転ブラシ20のみを取り出して描いた図である。また、図5は、回転軸21とウイングクロス25との組立構造を説明するための分解斜視図である。
【0036】
図4に示すように、ブラシ22およびウイングクロス25は、それぞれ、回転軸21に対して螺旋状に植立されている。より具体的には、ブラシ22は、回転軸21の軸方向に延び、回転軸21の周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状の第1ブラシ列23および第2ブラシ列24を含む。また、ウイングクロス25は、回転軸21の周面に、各ブラシ列23、24に対して平行に、螺旋状に植立されている。
【0037】
図5に示すように、回転軸21には、その周面に、第1ブラシ列23を取り付けるための取付溝26、第2ブラシ列24を取り付けるための取付溝27、および、ウイングクロス25を取り付けるための取付溝28が、それぞれ、回転軸21の回転中心に対して180°隔たる位置に対をなすように設けられている。これら取付溝26、27、28は、回転軸21の軸方向に延び、周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状の溝である。組立て時には、回転軸21の取付溝28に対し、回転軸21の一端部から、ウイングクロス25の根元部が差し込まれ、回転軸21の軸方向にウイングクロス25は溝28内をスライドされることによって、回転軸21にウイングクロス25が装着される。第1ブラシ列23および第2ブラシ列24も、同様にして取り付けられる。
【0038】
図6のAおよびBは、それぞれ、成形前のウイングクロス25および成形後のウイングクロス25を示す図である。ウイングクロス25は、前述したように、柔軟性のある布状部材で構成されており、図2Aにおいて被清掃面400と対向する面が起毛されたたとえば起毛布で構成されている。ウイングクロス25を構成する起毛布29は、図6Aに示すように、回転軸21の軸方向に延びる帯状部材であり、その突出寸法はブラシ22(図2B参照)の突出寸法よりも大きくされている。帯状の起毛布29に対し、図6Bに示すように、下辺(根元部)に、ゴムブレード30が固着される。起毛布29の下辺とゴムプレート30とは、インサート成形により合体される。起毛布29の下辺にゴムブレード30が固着される際に、ゴムブレード30が固化する際の収縮により、ゴムブレード30の軸方向長さが縮み、起毛布29に弛みが生じる。表現を変えれば、図6Bのように、帯状の起毛布29下辺にゴムブレード30が固着されたウイングクロス25において、起毛布29の下辺の左右方向長さ(ゴムブレード30の長さ)と、起毛布29の上辺の左右方向長さとを比べると、(前者)<(後者)という関係になる。このような関係になっていると、ウイングクロス25を回転軸21に装着した際に、螺旋状に装着されたウイングクロス25の装着部根元(ゴムブレード30)の装着軌跡と、ウイングクロス29の先端辺の螺旋軌跡との間に生じる長さの差が吸収され、図8に示すように、ウイングクロス25が回転軸21の周面から立ち上がった状態で取り付けられるという利点がある。
【0039】
この実施形態では、ゴムブレード30の収縮を利用するのみではなく、起毛布29の形状を、図7に示す形状にし、ウイングクロス25の上辺における左右方向長さと、下辺(ゴムブレード30)における左右方向長さとが、(前者)>(後者)になるようにされている。
なお、ウイングクロス25の形状を、上述のようにするのに代えて、起毛布29の下辺にゴムブレード30がインサート成形により固着された状態において、ゴムブレード30の左右方向長さと、起毛布29の上辺の左右方向長さとが等しくなるようにしてもよい。かかる場合、ウイングクロス25を回転軸21に装着した場合、螺旋状の装着軌跡により、ウイングクロス25の装着部根元(ゴムブレード30)の装着軌跡と、ウイングクロス25の先端辺の螺旋軌跡との間に長さの差が生じ、図9に示すように、ウイングクロス25が回転軸21側に湾曲するように巻きついた装着状態となる。それゆえ、回転ブラシ20に装着されたウイングクロス25は、回転ブラシ20が回転していない状態において、吸込用開口16から外側にはみ出した状態となるのを防止することができる。
【0040】
以上のように、ウイングクロス25の形状は、上辺に比べて下辺が短い逆台形状としてもよいし、長方形状としてもよい。
さらに、図3〜図7に示すように、ウイングクロス25は、その長さ方向の中央部(回転軸21の軸方向中心部)において、その突出寸法が、中心部以外の部分よりも短くなるように、突出先端辺に切欠凹部35が形成されている。切欠凹部35を形成した理由は次の通りである。
【0041】
図10に示すような状態で回転ブラシ20の回転が停止し、しかし、電気掃除機本体の吸引が続けられている場合には、ウイングクロス25の軸方向中央部が吸引口17に入り込み、吸引力によりウイングクロス25にビビリ音のような異音が生じたり、吸込時の風切り音が生じたりすることが、実験上確認された。
そこで、この実施形態では、ウイングクロス25の軸方向中心部に切欠凹部35を設け、軸方向中心部の突出寸法を短くしている。ウイングクロス25の軸方向中心部の突出寸法を短くしても、ウイングクロス25の軸方向中心部は、吸引口17に対向しており、この部分に付着した長尺ゴミは、吸引口17の強力な吸引力により吸い込まれる。
【0042】
図11は、回転ブラシ20を、その軸方向に直交方向の断面で見た図であり、回転軸21におけるブラシ22とウイングクロス25との配置関係、およびウイングクロス25の長さが示されている。
回転ブラシ20には、回転軸21の周面であって、たとえば0°および180°の角度位置に、それぞれ、ウイングクロス25が植立されている。また、45°および135°の角度位置に、それぞれ、第1ブラシ列23が植立されている。さらに、90°および270°の角度位置に、それぞれ、第2ブラシ列24が植立されている。そして、0°および180°の角度位置に植立されたウイングクロス25が、第2ブラシ列24側に湾曲しても、ウイングクロス25の突出端縁が第2ブラシ列24に重ならないようにされている。換言すれば、ウイングクロス25の植立位置と、ウイングクロス25が湾曲する側に隣接する第2ブラシ列24の植立位置とは、所定の角度隔てられ、湾曲したウイングクロス25が、隣接する第2ブラシ列24に重ならないようにされている。
【0043】
ウイングクロス25とブラシ(第1ブラシ列23および第2ブラシ列24)25との配置関係を、上述のようにすることにより、ウイングクロス25が湾曲しても、第1ブラシ列23および第2ブラシ列24の塵挨掻き上げ作用が損なわれることはない。
図12を参照して、ウイングクロス25の突出寸法は、収容室15の内壁を擦る程度の長さとされている。そして、ウイングクロス25は、回転軸21が1回転する間に、4度伸び上がるようにされている。
【0044】
そのために、回転ブラシ20の回転軸21の周面と、収容室15の内壁との距離は、吸込用開口16の後縁を区画する後部下方内壁15Aまでの距離、および、後部下方内壁15Aに対し、回転軸21の軸心を中心に180°隔たる角度位置を区画する前部上方内壁15Cまでの距離が最も長くされている。
さらに、吸込用開口16の前縁を区画する前方下部内壁15Dまでの距離および前部下部内壁15Dに対し、回転軸21の軸心を中心に180°隔たる角度位置を区画する後部上方内壁15Bまでの距離も、上述同様長くされ、ウイングクロス25が伸び上がることができるようにされている。
【0045】
図13は、吸込具10の変形例を示す右側面横断面図である。吸込具10のハウジング11底面には、前述したように吸込用開口16が形成されている。吸込用開口16の後方には、サクションキーパーと称される起毛列36が配置されている。このため、サクションキーパー36と吸込用開口16との間のハウジング底面37(図3参照)にはサクションキーパー36により後方へ移動することが阻止された長尺ゴミが溜まることがある。
【0046】
そこで、ハウジング底面37を、図13に示すように傾斜面38にすることにより、サクションキーパー36の前方に溜まった長尺ゴミが、吸引口17へと吸い込まれ易くなるという効果が生じる。
傾斜面38は、吸込用開口16の後辺を、後方から前方に向かって収容室15内に上向き傾斜するような斜面とすればよい。
【0047】
図14のAおよびBは、ウイングクロス25の他の実施形態を示す正面図および側面図である。図14AおよびBに示すように、ウイングクロス25を、回転軸21の軸方向に長手の帯状部材29であって、側面視がループ状に湾曲されて、ゴムブレード30で固定された布状部材としてもよい。
このようなウイングクロス25を採用した場合、図15Aに示すように、回転ブラシ20が停止中は、回転軸21の周面からの突出量の少ないループ状のウイングクロス25であるが、回転ブラシ20が回転すると、回転軸20の回転により生じる遠心力により、ウイングクロス25のループはへしゃがり、ウイングクロス25が回転軸21の周面から立ち上がるように延びる。そして延びたウイングクロス25は、湾曲状態と伸び上がった状態とに変化する。従って、このようなウイングクロスによっても、先に説明した実施形態と同様に、ウイングクロスが伸び上がる際に、回転ブラシ20の周面に巻きつこうとする長尺ゴミを回転ブラシ20から離れる方向に弾き飛ばし、回転ブラシ20に対する長尺ゴミの付着を防止することができる。
【0048】
ところで、この実施形態で説明した吸込具10には、図3に示すように、ハウジング11の底面に、たとえば3つのホイール41、41、42が備えられている。ホイール41は、吸込具10を被清掃面400に沿って前後に移動させる際に、吸込具10のハウジング11の後方下部が被清掃面400上をスムーズに移動するように設けられたものである。ホイール42は、吸込具10が逆さまになったときに、回転ブラシ20の回転を停止するための停止スイッチに設けられたホイールである。
【0049】
これら3つのホイール41、42は、吸込具10が被清掃面400上を移動される際に、吸込具10の移動を補助するものであるが、吸込用開口16から吸引されなかった長尺ゴミが、その回転軸に絡み易いという課題があった。
そこで、この実施形態では、ホイール41、42の形状を、図16および図17に示す形状とした。
【0050】
図16は、ホイール41、42の正面図であり、図17はその縦断面図である。ホイール41、42の特徴は、接地周面43の左右両側に溝44が形成されていること、および、軸45とローラ46との間に環状凹部47が形成されていることである。接地周面43に巻きついた長尺ゴミは、ホイール41、42の回転に伴って径の小さい方向へ移動しようとするが、溝44および環状凹部47が形成されたことにより、まず、溝44へ嵌まり込む。そして溝44に多数の長尺ゴミが巻きつくことになる。溝44に長尺ゴミが巻きつき、巻きついた長尺ゴミで溝44が一杯になると、さらに設置周面43に巻きついた長尺ゴミは、軸45へと移動する。ところが、軸45には、ローラ46に環状凹部47が形成されているから、軸45に長尺ゴミが巻きついても、その巻きついた長尺ゴミがローラ46に対する抵抗として働かず、環状凹部47が一杯になるまで長尺ゴミの巻きつきが許容される。従って、ホイール41、42は、長尺ゴミが巻きついても、その回転性能が低下することなく、溝44および凹部47に長尺ゴミが満たされるまでは、スムーズな回転を維持することになる。
【0051】
以上説明した実施形態では、ウイングクロス25は片面が起毛された起毛布で構成されている例を説明した。しかし、ウイングクロス25は起毛布に限定されるものではなく、柔軟性のある帯状部材で構成されていればよく、たとえば不織布、化繊の布その他の素材で構成することも可能である。
【0052】
図18は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機200における本体201の斜視図である。図18に示す電気掃除機本体201において、左斜め下方側を前方、右斜め上方側を後方として説明する。
本体201は、たとえば樹脂で形成されたハウジング2によってその外形が区画されており、ハウジング2の前面には吸込ホース装着孔3が形成されている。吸込ホース装着孔3には、前述した吸込ホース201の後端側に備えられた接続部210が着脱可能に連結される。また、ハウジング2の後方寄り左右両側には、それぞれ、比較的大径の車輪4が備えられている。さらに、ハウジング2の上面には、図示の折り畳まれた状態から起立状態に立ち上げることのできる取っ手5が設けられている。取っ手5の前方側には、開閉可能なカバー6が配置されている。カバー6は、後方側に開閉の支点を有し、前方側が上方へ開いてその内部を露出させることができる。
【0053】
図19は、電気掃除機本体201からカバー6を取り外した状態の斜視図である。カバー6で覆われた電気掃除機本体201内には、吸込ホース装着孔3に連通する集塵室7が形成されていて、集塵室7内には集塵容器50が収容されている。集塵室7の後方には、図示しない電動送風機が内蔵されている。
図20は、集塵容器50の斜視図であり、図において左斜め下方が、集塵容器50の前面である。また、図21は、集塵容器50の分解斜視図であり、集塵容器50内における空気の流れを説明するための図である。
【0054】
図20および図21を参照して、集塵容器50は、外ケース51、内ケース52、および、フィルタ装置53を有している。
外ケース51は、たとえば透明または半透明の樹脂で形成されていて、その内部を透かして見ることができる。外ケース51の前面には、吸気口54が形成されている。図19に示すように、集塵容器50が電気掃除機本体201の集塵室7に収容された状態では、吸気口54は本体201における吸込ホース装着孔3と連通する。よって吸込ホースにより吸い込まれる空気および塵挨は、この吸気口54から外ケース51内へ取り込まれる。外ケース51の背面側は開放されている。
【0055】
内ケース52は、たとえば黄色、赤色、青色等の着色された樹脂で形成されており、外ケース51の背面側から外ケース51内に嵌合される。嵌合された状態では、外ケース51が透明または半透明であるから、外ケース51を透かして内ケース52がその内部に配置されていることを確認することができる。内ケース52は、外ケース51に嵌合された状態において、外ケース51と協働して、外ケース51の吸気口54から入る空気および塵挨を主として通し、空気中の塵挨に遠心力を付与するためのメイン流路としての旋回流路、吸気口54から入る空気の流れを確保するためのバイパス流路、および、塵挨が溜まる集塵空間を形成する。
【0056】
そのために、図21に示すように、内ケース52には、吸気口54から入る空気を受け入れるバッファ空間55、バッファ空間55の空気を時計回りに誘導する旋回流路形成部56、および、旋回流路形成部56の内側に前方向きに突設された半柱状の凸部57が含まれている。半柱状凸部57の周面で、旋回方向下流寄りの周面には多数の通気用小孔58が穿設されている。太矢印A1に示すように、吸気口54からバッファ空間55に入った空気および塵挨は、主としてメイン流路である旋回流路形成部56に沿って右回りに旋回しながら下流側へと流れる。つまり凸部57を中心に旋回する(太矢印A2)。その際、凸部57には通気用小孔58が多数形成されているから、旋回する空気の一部は、吸気用小孔58を通って背面側へと流れる。このように、半柱状凸部57に形成された多数の通気用小孔58は、吸気口54から入る空気の流れを確保するためのバイパス流路を形成している。
【0057】
外ケース51には、その上面側に取っ手59が設けられている。また取っ手59の後端側には、押しボタン62および押しボタン62と連動するフィルタ装置53を閉じた状態に係止するためのフック63が備えられている。
図22は、集塵容器50内における空気および塵挨の流れを説明するための図で、集塵容器50を背面側から見た斜視図であり、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
【0058】
図22を参照して、外ケース51および内ケース52によってメイン流路である旋回流路65が形成されており、主として旋回流路65に沿って空気および塵挨が流れる(太矢印A3)。背面側から見ると、旋回流路65の下流側内方面を形成する凸湾曲形状に滑らかに膨出したガイド面60が、内ケース52により区画されている。ガイド面60は、バッファ空間55(図21参照)を区画している内ケース52の裏面側である。このガイド面60は、旋回流路65の下流側内方に位置し、旋回流路65を流れてくる空気および塵挨をスムーズに案内し、空気および塵挨の旋回を助ける。
【0059】
旋回流路65の下流端には集塵空間66が区画されている。旋回流路65を空気および塵挨が通過する間に、空気中の塵挨に遠心力が付与されるので、塵挨Dは旋回流路65の外側を流れ、図22に模式的に示すように、主として集塵空間66から溜まっていく。
ところで、図22において、集塵空間66が塵挨Dで満たされると、次に塵挨Dは旋回流路65やガイド面60にも溢れ、旋回流路65を流れる風の流れを妨げて、吸引力の低下をもたらすおそれがある。
そこで、この実施形態では、集塵空間66に溜まった塵挨Dを圧縮し、集塵力が向上するように工夫されている。
【0060】
図23は、集塵空間66において、塵挨Dが吸引力(空気の流れ)により圧縮され、集塵量の増加が図られた構成を示す図である。図23に示すように、集塵空間66には、風の流れ方向に見て、最下流側に小空間66Aが確保されるように、集塵空間66内が櫛状の壁67で仕切られている。旋回流路65を旋回してきた空気および塵挨は、集塵空間66に至り、塵挨Dは、櫛状壁67で堰き止められ、小空間66Aへと流れる空気により、櫛状壁67の手前で圧縮される。これにより、集塵空間66に溜めることのできる塵挨Dの総量が増加する。
【0061】
集塵空間66の最下流側に小空間66Aを確保するように櫛状壁67を設けることにより、塵挨が旋回するメイン流路65を流れる空気の流れ(太矢印A3で示す)をスムーズにし、塵挨が集塵空間66に溜まったときに、溜まった塵挨が圧縮されるため、モータからの吸引が最もかかるフィルタ装置53の中央部分に塵挨が付着しにくく、吸込能力が落ちにくい構成とすることができる。
上述の櫛状壁67は、集塵空間66の最下流側に小空間66Aを確保するように設けるのに代えて、図24の内ケース52を背面側からみた斜視図に示すように、メイン流路とバイパス流路とを仕切る仕切壁68を、櫛状壁としてもよい。
かかる構成にしても、メイン流路を流れる空気は、仕切壁68を通ってバイパス流路側からフィルタ装置53へと流れる流路が確保されるから、仕切壁68の手前側で塵挨が圧縮され、集塵容量が増加する。
【0062】
図25は、集塵容器50の他の構成を示す斜視図であり、集塵容器50を背面側から見た斜視図であって、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
図25に示す集塵容器50の特徴は、バイパス流路69においても、旋回流路を設け、バイパス流路69に進入した細かな塵挨が空気とともに旋回し、この旋回によって細かな塵挨が空気から分離されて、バイパス流路69の端部に圧縮されて溜まり、バイパス流路69を流れる空気の流れが妨げられず、吸込能力が落ちにくい構成になっていることである。
【0063】
集塵容器50において、旋回流路65を流れる空気から塵挨Dが分離され、集塵空間66に塵挨Dが溜まってくると、旋回流路65を流れる空気流A3が減少するため、バイパス流路69の空気流が増加する。その場合において、バイパス流路69に吸い込まれる空気流に含まれる細かな塵挨が、バイパス流路69の背面側に対向するフィルタ装置53の対向面全体に張りつき、目詰まりし易いという課題が判明した。
そこで、図25に示すように、バイパス流路69において、通気用小孔58から進入する空気流を太矢印A4で示すように旋回させるために、半柱状の凸部17と略同心に、凸部17の内側に配置された旋回流生成用の案内壁70を設けた。これがこの集塵容器50の特徴である。このため、凸部57の外側から通気用小孔58を通って進入してきた空気および細かな塵挨は、太矢印A4で示すように旋回する。すなわち、旋回流路65を旋回する空気流A3の内方を旋回するように、サブ旋回流A4が形成される。
【0064】
これにより、通気用小孔58を通って進入してくるバイパス流路69を流れる空気および塵挨は、太矢印A4のように旋回されて、空気中に含まれる細かな塵挨D′は、バイパス流路69の側方から溜まり、バイパス流路69から背面側のフィルタ装置53へ空気が流れるのを妨げることがない。
このように、バイパス流路69にも旋回流路を形成することにより、バイパス流路69を流れる空気流に含まれる細かな塵挨D′を分離させ、その塵挨D′をバイパス流路69の側方に溜めて圧縮できるため、吸込能力が落ちにくい構成の集塵容器50を提供することができる。
【0065】
この発明に係る電気掃除機の集塵容器50は、図23または図24で説明した構成と、図25で説明した構成の両方が採用された集塵容器とすることも可能である。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気掃除機用吸込具10を含む電気掃除機の右側面図である。
【図2】吸込具10の右側面横断面図である。
【図3】吸込具10の底面図である。
【図4】回転ブラシ20のみを取り出して描いた図である。
【図5】回転軸21とウイングクロス25との組立て構造を説明するための分解斜視図である。
【図6】成形前のウイングクロス25および成形後のウイングクロス25を示す図である。
【図7】ウイングクロス25を構成する起毛布29の他の形状を示す図である。
【図8】ウイングクロス25の取付状態を説明するたの図である。
【図9】ウイングクロス25の他の取付状態を説明するための図である。
【図10】吸込具10における回転ブラシ20の停止状態の一例を示す右側面横断面図である。
【図11】回転ブラシ20を、その軸方向に直交方向の断面で見た図である。
【図12】ウイングクロス25の突出寸法を説明するための、吸込具10の右側面横断面図である。
【図13】吸込具10の変形例を示す右側面横断面図である。
【図14】ウイングクロス25の他の実施形態を示す正面図および側面図である。
【図15】ループ状ウイングクロス25の変化および作用を説明するための図である。
【図16】ホイールの正面図である。
【図17】ホイールの縦断面図である。
【図18】この発明の一実施形態に係る電気掃除機200における本体201の斜視図である。
【図19】電気掃除機本体201からカバー6を取り外した状態の斜視図である。
【図20】集塵容器50の斜視図であり、図において左斜め下方が、集塵容器50の前面である。
【図21】集塵容器50の分解斜視図であり、集塵容器50内における空気の流れを説明するための図である。
【図22】集塵容器50内における空気および塵挨の流れを説明するための図で、集塵容器50を背面側から見た斜視図であり、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
【図23】集塵空間66において、塵挨Dが吸引力(空気の流れ)により圧縮され、集塵量の増加が図られた構成を示す図である。
【図24】内ケース52を背面側から見た斜視図である。
【図25】集塵容器50の他の構成を示す斜視図であり、集塵容器50を背面側から見、フィルタ装置53が開かれた状態の図である。
【符号の説明】
【0067】
10 吸込具
15 収容室
16 吸込用開口
17 吸引口
20 回転ブラシ
21 回転軸
22 ブラシ
23 第1ブラシ列
24 第2ブラシ列
25 ウイングクロス
29 起毛布
30 ゴムブレード
35 切欠凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面に対向する吸込用開口を有する収容室と、前記収容室に収容され、前記開口に臨むように配置された回転ブラシとを備える電気掃除機用吸込具であって、
前記回転ブラシは、前記収容室の幅方向に延びる回転軸と、この回転軸の周面に植立されたブラシおよびウイングクロスとを備え、
前記ウイングクロスは、回転軸周面からの突出寸法がブラシの突出寸法よりも大きく、柔軟性があって、回転軸の軸方向に延びる帯状部材であり、前記開口に臨んだ状態では、被清掃面に接して回転軸の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面を離れて収容室内方へ移動する際には、回転軸の回転による遠心力で回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、電気掃除機用吸込具。
【請求項2】
前記ブラシは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面に対をなすように植立されており、
前記ウイングクロスは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面上で、ブラシの植立位置とは異なる角度位置であって、ウイングクロスが湾曲したときに、ウイングクロスの突出端縁がブラシに重ならない位置に、対をなすように植立されていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項3】
回転ブラシの回転軸に直交する断面方向に見たとき、
回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、一定ではなく、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁までの距離、および、後部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する前部上方内壁までの距離が最も長くされていて、
前記ウイングクロスは、少なくとも、後部下方内壁および前部上方内壁と対向した際に回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項4】
さらに、回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、前記吸込用開口の前縁を区画する前部下方内壁までの距離、および、前部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する後部上方内壁までの距離も長くされていて、
前記ウイングクロスは、回転軸が1回転する間に4度伸び上がることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項5】
前記ブラシは、回転軸の軸方向に延び、周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状のブラシ列を含み、
前記ウイングクロスは、回転軸の周面に、前記ブラシ列に対して平行に、螺旋状に植立されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項6】
前記ウイングクロスは、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁と対向する角度位置において回転軸の周面から立ち上がるように伸び上がったときに、後部下方内壁と当接または近接する突出寸法にされていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項7】
前記ウイングクロスは、回転軸の軸方向中心部において、その突出寸法が、中心部以外の寸法よりも短くなるように、突出端縁に切欠凹部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項1】
被清掃面に対向する吸込用開口を有する収容室と、前記収容室に収容され、前記開口に臨むように配置された回転ブラシとを備える電気掃除機用吸込具であって、
前記回転ブラシは、前記収容室の幅方向に延びる回転軸と、この回転軸の周面に植立されたブラシおよびウイングクロスとを備え、
前記ウイングクロスは、回転軸周面からの突出寸法がブラシの突出寸法よりも大きく、柔軟性があって、回転軸の軸方向に延びる帯状部材であり、前記開口に臨んだ状態では、被清掃面に接して回転軸の回転方向後方へ湾曲しており、被清掃面を離れて収容室内方へ移動する際には、回転軸の回転による遠心力で回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、電気掃除機用吸込具。
【請求項2】
前記ブラシは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面に対をなすように植立されており、
前記ウイングクロスは、回転軸の軸心を中心に180°対向する周面上で、ブラシの植立位置とは異なる角度位置であって、ウイングクロスが湾曲したときに、ウイングクロスの突出端縁がブラシに重ならない位置に、対をなすように植立されていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項3】
回転ブラシの回転軸に直交する断面方向に見たとき、
回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、一定ではなく、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁までの距離、および、後部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する前部上方内壁までの距離が最も長くされていて、
前記ウイングクロスは、少なくとも、後部下方内壁および前部上方内壁と対向した際に回転軸周面から立ち上がるように伸び上がることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項4】
さらに、回転軸の周面から収容室の内壁までの距離は、前記吸込用開口の前縁を区画する前部下方内壁までの距離、および、前部下方内壁に対し、回転軸の軸心を中心に約180°隔たる角度位置を区画する後部上方内壁までの距離も長くされていて、
前記ウイングクロスは、回転軸が1回転する間に4度伸び上がることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項5】
前記ブラシは、回転軸の軸方向に延び、周方向に所定角度回るようにひねりが加えられた螺旋状のブラシ列を含み、
前記ウイングクロスは、回転軸の周面に、前記ブラシ列に対して平行に、螺旋状に植立されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項6】
前記ウイングクロスは、前記吸込用開口の後縁を区画する後部下方内壁と対向する角度位置において回転軸の周面から立ち上がるように伸び上がったときに、後部下方内壁と当接または近接する突出寸法にされていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項7】
前記ウイングクロスは、回転軸の軸方向中心部において、その突出寸法が、中心部以外の寸法よりも短くなるように、突出端縁に切欠凹部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気掃除機用吸込具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−43351(P2008−43351A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203420(P2006−203420)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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