電気掃除機
【課題】簡易な構成で清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制して、使い勝手のよい電気掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】清掃作業用の把手部10から掃除機本体1の車輪2までの間に、清掃作業中の掃除機本体1の移動を抑制するダンパ部11を設けたものである。これにより、ダンパ部11という簡易な構成により、清掃作業中、把手部10の前後の速い動きに対し、掃除機本体1の移動を抑制することで、意図しない方向に動きまわることがなく、使い勝手のよい電気掃除機となる。
【解決手段】清掃作業用の把手部10から掃除機本体1の車輪2までの間に、清掃作業中の掃除機本体1の移動を抑制するダンパ部11を設けたものである。これにより、ダンパ部11という簡易な構成により、清掃作業中、把手部10の前後の速い動きに対し、掃除機本体1の移動を抑制することで、意図しない方向に動きまわることがなく、使い勝手のよい電気掃除機となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床用吸込み具と掃除機本体間を可撓性ホースおよび延長管で接続した吸引型の電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機として、操作性を良くするため、可撓性ホースを牽引して掃除機本体を移動させる際、可撓性ホースが引かれている方向をスイッチで検出し、モータがギアを介して掃除機本体の車輪を駆動するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−261033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、スイッチが切れた際にモータが車輪を止めることで、掃除機本体が作業者の意図しない位置まで移動することを防ぐことができるが、掃除機本体の内部にモータの入る空間を確保し、重量の重いモータを掃除機本体内部に入れなければならないという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、簡易な構成で清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制して、使い勝手のよい電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、清掃作業用の把手部から掃除機本体の車輪までの間に、清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制するダンパ部を設けたものである。
【0006】
これにより、ダンパ部という簡易な構成により、清掃作業中、把手部の前後の速い動きに対し、掃除機本体の移動を抑制することで、意図しない方向に動きまわることがなく、使い勝手のよい電気掃除機となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、簡易な構成により、清掃作業中、掃除機本体の移動を抑制し、使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、床用吸込み具と、移動用の車輪を有する掃除機本体と、床用吸込み具と掃除機本体間を接続する可撓性ホースおよび延長管と、掃除機本体以外の箇所に設けられ床用吸込み具を移動させる清掃作業用の把手部とを備え、前記把手部から前記車輪までの間には、清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制するダンパ部を設けた電気掃除機とすることにより、ダンパ部という簡易な構成により、清掃作業中、把手部の前後の速い動きに対し、掃除機本体の移動を抑制することで、意図しない方向に動きまわることがなく、使い勝手のよい電気掃除機となる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、ダンパ部を可撓性ホースに配したことにより、ダンパ部での減衰が行いやすくなり、把手部の前後の速い動きに対して掃除機本体を動きにくい構成にしやすくなる。また、可撓性ホース全体にダンパ部を配すると、ダンパ部の重量が分散し、重量の増加によっても可撓性ホースの使い勝手が損なわれることがない。
【0010】
第3の発明は、特に、第2の発明において、ダンパ部は線状にした粘性体を可撓性ホースに巻きつけて構成したことにより、導線が巻き付けられたこれまでの構成の可撓性ホースの、導線と線状の粘性体とを入れ替えた構成が可能となり、例えば、可撓性ホースの曲がり易さや形状や重量といった点で、これまでの可撓性ホースと同様、使い勝手がよい。
【0011】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明において、可撓性ホースを弾性体と粘性体を層状に配して形成し、弾性体と粘性体により構成するダンパ部を可撓性ホースと一体構成としたことにより、可撓性ホースを形成する弾性体と粘性体の層の厚みをそれぞれ変えることで、可撓性ホースの粘性と弾性を同時に調整することができ、使い勝手がよいものとすることができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1の発明において、ダンパ部を、掃除機本体と可撓性ホースとの本体接続部、延長管と可撓性ホースとの延長管接続部、床用吸込み具と延長管との床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に配したことにより、清掃作業中、掃除機本体方向に伝わる動きに対して接続部で減衰が可能となり、減衰性能の低いダンパ部で、使い勝手がよいものとすることができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第5の発明において、本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に中間接続具を設け、この中間接続具にダンパ部を配したことにより、これまでの電気掃除機の構成を変えることなくダンパ部の導入が可能になる。
【0014】
第7の発明は、特に、第5の発明において、本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部をダンパ部の構成要素として用い、ダンパ部を接続部と一体構成としたことにより、ダンパ部の構成を簡略化でき、外観や重量を変えずに掃除機本体の移動を抑制できる。
【0015】
第8の発明は、特に、第1の発明において、ダンパ部を車輪に配したことにより、車輪は電気掃除機の吸引空気の流れに影響を与えることが無いため、吸い込み性能を下げずに、掃除機本体を抑制することができる。さらに、把手部の動きだけでなく床面から掃除機本体が受ける動きをも軽減することができる。
【0016】
第9の発明は、特に、第8の発明において、ダンパ部を、車輪の車軸の周りに配した粘性体により形成したことにより、車軸の周りのわずかな構成で、粘性だけではなく車軸の摩擦を同時に調整することができ、掃除機本体の動きやすさを細かく調整できる。
【0017】
第10の発明は、特に、第8の発明において、ダンパ部を、車輪と床面とが接する表面に配した粘性体により形成したことにより、粘性体の種類だけでなく床面と接する面の形状によっても粘性を調整でき、把手部の前後の動きに対する掃除機本体の動きやすさを細かく調整できる。
【0018】
第11の発明は、特に、第8の発明において、ダンパ部を、車輪に配した電気的な制御機構により構成したことにより、動的に把手部の前後の速い動きに対する掃除機本体の動きやすさを調整できる。
【0019】
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか1つの発明において、ダンパ部は、掃除機本体を移動せずに清掃作業する際には減衰特性を高く、掃除機本体を移動させ清掃作業する際には減衰特性を低くする構成としたことにより、掃除機本体の移動が必要な場合のみ掃除機本体を移動しやすくすることが可能となり、より使い勝手を向上することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気掃除機を示すものである。
【0022】
図に示すように、本実施の形態における電気掃除機は、移動用の車輪2を有する掃除機本体1と、床用吸込み具8と、床用吸込み具8と掃除機本体1間を接続する可撓性ホース3および延長管5と、掃除機本体1以外の箇所に設けられ床用吸込み具8を移動させる清掃作業用の把手部10とを備えている。
【0023】
また、掃除機本体1と可撓性ホース3の一端は、本体接続部4を構成する掃除機本体1に設けられた本体側本体接続部4Aと、可撓性ホース3に設けられたホース側本体接続部4Bによって接続している。可撓性ホース3の一端と延長管5の一端は、中間接続具6を挟み、中間接続部6の一端には可撓性ホース3に設けられたホース側延長管接続部7Aが接続され、中間接続部6のもう一端には延長管5に設けられた延長管側延長管接続部7Bが接続され、延長管接続部7を構成している。延長管5の一端と床用吸込み具8の一端は、床用吸込み具接続部9を構成する延長管5に設けられた延長管側床用吸込み具接続部9Aと、床用吸込み具8に設けられた床用吸込み具側床用吸込み具接続部9Bにより接続される。床用吸込み具8を移動させる清掃作業用の把手部10は延長管5に設けられている。
【0024】
そして、前記把手部10から前記車輪2までの間には、清掃作業中の掃除機本体1の移動を抑制するダンパ部11を設けている。
【0025】
次に、ダンパ部11の構成について、図2〜図6に基づき説明する。
【0026】
図2に示す構成であるが、可撓性ホース3内には、導線3Aが螺旋状に巻き付けられた構成となっているが、導線3Aの1つを、粘性体11Aを線状にした物と入れ替えてダンパ部11を構成している。粘性体11Aは速い速度で伸縮するほど大きな抵抗を生じる、減衰特性の高い種類のゴムや粘土のような材料で構成されている。すなわち、ホースダンパ部が構成されている。可撓性ホース3全体にダンパ部11を配すれば、ダンパ部11の重量が分散し、重量の増加によっても可撓性ホース3の使い勝手が損なわれることがなくなる。
【0027】
図3は、中間接続具6にダンパ部11として接続ダンパ部が配置されている。すなわち、中間接続具6の延長管側接続具6Aとホース側接続具6Bがダンパ部11の構成要素となり、接続具間に流体からなる粘性体11Bを入れることでダンパ部11を構成している。
【0028】
図4は、掃除機本体1の車輪2に車輪ダンパ部が配置されている。すなわち、車輪2の車軸2Aの周りに輪形状の粘性体11Cを配置してダンパ部11を構成している。
【0029】
図5は、図2に示した粘性体11Aのみを可撓性ホース3内に巻き付け、導線3Aは可撓性ホース3に巻きつけず可動性ホース3の外側を這わせた構成としてダンパ部11を構成している。また、導線3Aを可撓性ホース3の外側に這わせず内側に這わせた構成としても良い。また、逆に、導線3Aを可撓性ホース3に巻き付け、粘性体11Aを巻き付けない構成や、導線3Aと粘性体11Aを共に可撓性ホース3に巻き付けない構成としてもよい。
【0030】
図6は、中間接続具6の一部または全てを粘性体11Dにすることでダンパ部11を構成し、延長管側接続具6Aから延長管接続具6Bへ伝わる動きを減衰させるようにしている。
【0031】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0032】
電気掃除機を起動すると掃除機本体1内部の電動送風機により吸引力が発生し、床面の塵埃が床用吸込み具8から、床用吸込み具接続部9、延長管5、中間接続具6、可撓性ホース3、本体接続部4を通り、掃除機本体1へ吸引される。
【0033】
清掃作業中は、把手部10を手に持ち動かすことで、床用吸込み具8を前後に移動させる。また、把手部10を前後に動かすことで、延長管5、延長管側延長管接続部7B、中間接続具6、ホース側延長管接続部7A、可撓性ホース3、本体接続部4を通じ、掃除機本体1を移動させることになる。
【0034】
この時、把手部10の動きにより可撓性ホース3が動きまわる。この動きによって可撓性ホース3は全体に前後へ伸縮し、それに伴い粘性体11Aも伸縮する。このため、粘性体11Aによって動きが減衰される。粘性体11Aは速く伸縮させるほど大きな抵抗となって減衰が生じる材質であるため、把手部10が速く動き可撓性ホース3が速く動きまわるほど大きな減衰が生じる。また、可撓性ホース3が全体に伸縮する他に捩れや曲がりによっても、粘性体11Aは全体または部分的に伸縮し、その伸縮した箇所で動きが減衰される(図2、図5)。
【0035】
また、中間接続具6では、把手部10が前後に動く際、把手部10に近い延長管側接続具6Aが先に把手部10に引かれ動くため、延長管側接続具6Aとホース側接続具6Bの間のダンパ部11が動き、把手部10が前後に速く動くほど粘性体11B、あるいは粘性体11Dにより減衰が行われる(図3、図6)。
【0036】
また、車輪2では、掃除機本体1が動く際、車軸2Aが回転するため、車軸2Aの周囲に配置したダンパ部11により、掃除機本体1の動きが減衰される。
【0037】
これらにより、清掃作業中、把手部10の前後の速い動きに対して、掃除機本体1の移動を抑制し、作業者が把手部10を引いた場合には掃除機本体1を意図した位置に移動させることができる。
【0038】
本実施の形態において、ダンパ部11は、可撓性ホース3、中間接続具6、車輪2の各所に設けたが、必ずしもこれに限られるものではなく、ケースによってはダンパ部11が少なくとも1カ所に設けてあれば事足りる場合もあり得るものである。また、ダンパ部11は、本体接続部4、延長管接続部7、床用吸込み具接続部9のうちの少なくとも1つの接続部に配すればよく、また、中間接続具6も同様に、本体接続部4、延長管接続部7、床用吸込み具接続部9のうちの少なくとも1つに設ければよい。そして、ダンパ部11は、これら接続部をダンパ部の構成要素として用い、一体構成としている。
【0039】
なお、図2に示したダンパ部11(ホースダンパ部)は、導線3Aの1つを、樹脂などにより線状に形成した粘性体11Aと入れ替えた構成となっているが、導線3Aをすべて残し線状の粘性体11Aを追加して並列に配置してもよいし、または、導線3Aをすべてとり除き線状の粘性体11Aと入れ替えてもよい。また、図では、線状の粘性体11Aを導線3Aと同じ方向に巻き付けた構成となっているが、導線3Aとは逆向きに巻き付け、線状の粘性体11Aと導線3Aが交差する網目状の構成としてもよい。そしてまた、線状の粘性体11Aは全体に径が一定に構成されているが、粘性体11Aの径や形状を部分的に変えた構成としてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における電気掃除機を示すものである。実施の形態1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図に示すように、本実施の形態においては、実施の形態1における中間接続具6を省くとともに、把手部10を可撓性ホース3に設けている。そして、可撓性ホース3は、図8に示すように、導線3Aを巻いた弾性体3Bとその外側の減衰特性の高い種類のゴムや粘土のような材料からなる粘性体11Eを層状に配して形成し、弾性体3Bと粘性体11Eによりダンパ部11を構成しているものであり、ダンパ部11を可撓性ホース3と一体構成とした。
【0042】
また、図9に示すように、ダンパ部11は、本体接続部4の本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4Bを互いに完全には固定せず相対的に動くことが可能とし、その間に接続部内蔵の粘性体11Fを入れることで本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4B間にも構成されている。
【0043】
また、図10に示すように、ダンパ部11は、車輪2の床面との接触表面に複数付けられた粘性体11Gによっても構成されている。
【0044】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0045】
清掃作業中は把手部10を手に持ち動かすことで、床用吸込み具8を移動させる。また把手部10を前後に動かすことで、可撓性ホース3、本体接続部4を通じ、掃除機本体1を移動させる。
【0046】
この時、把手部10の動きは可撓性ホース3を経て掃除機本体1に伝わるが、把手部10が速く動きそれが伝わって可撓性ホース3が速く動きまわるほど、可撓性ホース3においては全体の伸縮及び/または捩れ及び/または曲がりによって粘性体11Eと弾性体3Bによるダンパ部11が速く伸縮する。粘性体11Eは速く伸縮するほど大きく減衰が行われ、掃除機本体1に伝わる動きが減衰される。
【0047】
またこの時、本体接続部4に配置されたダンパ部11では、本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4Bが前後に相対的に動くことが可能であるため、把手部10に近いホース側本体接続部4Bが先に動き、本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4Bの位置が互いにずれる。これによって、本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4B間に挟んだ粘性体11Fによるダンパ部11により動きが減衰される。
【0048】
さらに、車輪2では掃除機本体1が動き出そうとする際、車輪2の表面に配置した粘性体11Gによるダンパ部11により掃除機本体1の動きが減衰される。
【0049】
これらにより、把手部10の前後の速い動きに対して掃除機本体1を動きにくい構成とし、作業者が把手部10を引いた場合には掃除機本体1を意図した位置に移動させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態における電気掃除機では、把手部10から車輪2までの間以外の構成として床用吸込み具8と延長管5を有しているが、場合によってはこれら床用吸込み具8あるいは延長管5の一つまたは全てが無い構成であっても使用することができる。
【0051】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における電気掃除機を示すものである。実施の形態1、2と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図に示すように、本実施の形態においては、把手部10を床用吸込み具8に設けている。また、床用吸込み具接続部9にはダンパ部11が配置され、車輪2にもダンパ部11が配置されている。さらに、床用吸込み具8には移動検出器8Aが配置されている。
【0053】
そして、車輪2のダンパ部11は、図12に示すように、車輪2の側面に配置された磁石11Hと、掃除機本体1に配置された電磁石11Iと、ダンパ部11の減衰特性を変化させるため電磁石11Iに流す電流を変化させる制御装置11Jによって構成されており、前記移動検出器8Aで検出した信号を受けて制御装置11Jが動作し、電気的にダンパ部11の減衰特性の操作を可能としている。
【0054】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
清掃作業中は把手部10を手に持ち動かすことで、床用吸込み具8を移動させる。また把手部10を前後に動かすことで、床用吸込み具接続部9、延長管5、延長管接続部7、可撓性ホース3、本体接続部4を通じ、掃除機本体1を移動させる。
【0056】
この時、清掃作業中の床用吸込み具8の動きを移動検出器8Aによって検出する。この移動検出器8Aで作業の状態を検出し、床用吸込み具8が前後への動きを繰り返す際は、作業者が移動せず作業していると判断し、掃除機本体1が前後に動きにくい構成となるよう制御装置11Jが電磁石11Iに電流を流し、磁場を強くして減衰特性を高くする。それ以外の場合は作業者が移動していると判断し掃除機本体1が動きやすいよう電磁石11Iに流す電流を制御装置11Jが制御し、減衰特性を低くする。
【0057】
つまり、床用吸込み具8の動きが延長管5に伝わる際に接続部のダンパ部11によって減衰が行われる。
【0058】
これらにより、把手部10の前後の速い動きに対して掃除機本体1の動きにくい構成とし、作業者が把手部10を引いた場合には掃除機本体1を意図した位置に移動させることができる。
【0059】
またこの時、磁石11Hと電磁石11Iによって金属が引き寄せられるため床面にある金属を回収することも可能である。
【0060】
なお、本実施の形態において、移動検出器8Aは床用吸込み具8に配置されているがそれ以外に配置しても構わない。
【0061】
なお、本実施の形態において、清掃作業中に作業者が移動せず作業する際にはダンパ部11での減衰特性が高く、作業者が移動する際にはダンパ部11での減衰特性が低く動作させるため、移動検出器8Aで作業の状態を検出し制御装置11Jを動作させたが、作業者が移動せず作業する際の把手部10の動きをあらかじめ調べ、その動きに対して減衰性能が高くなるようダンパ部11の性質を調整しておいても構わない。
【0062】
なお、本実施の形態において、移動検出器8Aで床用吸込み具8の動きから作業の状態を検出し制御装置11Jを動作させたが、動きではなく、例えば、延長管5の床面に対する角度や、本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部の3つのうちいずれか1つまたは2つもしくは全ての接続部にかかる力や、可撓性ホース3の曲がり方から作業の状態を検出してもよい。
【0063】
なお、本実施の形態において、車輪2に磁石11Hを配置したが、磁石のかわりに磁性体を配置しても構わない。また、磁石11Hの代わりに電磁石を配置しても構わない。また、図示した構成とは逆に、車輪2に電磁石11Iを配置し、掃除機本体1に磁石11Hを配置しても構わない。さらに、車輪2に配置した磁石11Hは、車軸2Aに配置しても構わない。
【0064】
上記した各実施の形態1〜3における構成は、必要に応じて適宜組み合わせて使用することができるものであり、実施の形態そのものの構成に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、簡易な構成により、清掃作業中、掃除機本体の移動を抑制し、使い勝手を向上させることができるので、家庭用、業務用に限らず可撓性ホースを有する電気掃除機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体構成図
【図2】同電気掃除機における可撓性ホースの断面図
【図3】同電気掃除機における中間接続具の断面図
【図4】同電気掃除機における車輪の断面図
【図5】同電気掃除機における可撓性ホースの他の構成例を示す断面図
【図6】同電気掃除機における中間接続具の他の構成例を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態2における電気掃除機の全体構成図
【図8】同電気掃除機における可撓性ホースの断面図
【図9】同電気掃除機における本体接続部の断面図
【図10】同電気掃除機における車輪の側面図
【図11】本発明の実施の形態3における電気掃除機の全体構成図
【図12】(a)同電気掃除機における車輪と掃除機本体の断面図(b)同車輪の側面図
【符号の説明】
【0067】
1 掃除機本体
2 車輪
2A 車軸
3 可撓性ホース
3B 弾性体
4 本体接続部
5 延長管
6 中間接続具
7 延長管接続部
8 床用吸込み具
9 床用吸込み具接続部
10 把手部
11 ダンパ部
11A〜11G 粘性体
11J 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、床用吸込み具と掃除機本体間を可撓性ホースおよび延長管で接続した吸引型の電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機として、操作性を良くするため、可撓性ホースを牽引して掃除機本体を移動させる際、可撓性ホースが引かれている方向をスイッチで検出し、モータがギアを介して掃除機本体の車輪を駆動するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−261033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、スイッチが切れた際にモータが車輪を止めることで、掃除機本体が作業者の意図しない位置まで移動することを防ぐことができるが、掃除機本体の内部にモータの入る空間を確保し、重量の重いモータを掃除機本体内部に入れなければならないという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、簡易な構成で清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制して、使い勝手のよい電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、清掃作業用の把手部から掃除機本体の車輪までの間に、清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制するダンパ部を設けたものである。
【0006】
これにより、ダンパ部という簡易な構成により、清掃作業中、把手部の前後の速い動きに対し、掃除機本体の移動を抑制することで、意図しない方向に動きまわることがなく、使い勝手のよい電気掃除機となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、簡易な構成により、清掃作業中、掃除機本体の移動を抑制し、使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、床用吸込み具と、移動用の車輪を有する掃除機本体と、床用吸込み具と掃除機本体間を接続する可撓性ホースおよび延長管と、掃除機本体以外の箇所に設けられ床用吸込み具を移動させる清掃作業用の把手部とを備え、前記把手部から前記車輪までの間には、清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制するダンパ部を設けた電気掃除機とすることにより、ダンパ部という簡易な構成により、清掃作業中、把手部の前後の速い動きに対し、掃除機本体の移動を抑制することで、意図しない方向に動きまわることがなく、使い勝手のよい電気掃除機となる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、ダンパ部を可撓性ホースに配したことにより、ダンパ部での減衰が行いやすくなり、把手部の前後の速い動きに対して掃除機本体を動きにくい構成にしやすくなる。また、可撓性ホース全体にダンパ部を配すると、ダンパ部の重量が分散し、重量の増加によっても可撓性ホースの使い勝手が損なわれることがない。
【0010】
第3の発明は、特に、第2の発明において、ダンパ部は線状にした粘性体を可撓性ホースに巻きつけて構成したことにより、導線が巻き付けられたこれまでの構成の可撓性ホースの、導線と線状の粘性体とを入れ替えた構成が可能となり、例えば、可撓性ホースの曲がり易さや形状や重量といった点で、これまでの可撓性ホースと同様、使い勝手がよい。
【0011】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明において、可撓性ホースを弾性体と粘性体を層状に配して形成し、弾性体と粘性体により構成するダンパ部を可撓性ホースと一体構成としたことにより、可撓性ホースを形成する弾性体と粘性体の層の厚みをそれぞれ変えることで、可撓性ホースの粘性と弾性を同時に調整することができ、使い勝手がよいものとすることができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1の発明において、ダンパ部を、掃除機本体と可撓性ホースとの本体接続部、延長管と可撓性ホースとの延長管接続部、床用吸込み具と延長管との床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に配したことにより、清掃作業中、掃除機本体方向に伝わる動きに対して接続部で減衰が可能となり、減衰性能の低いダンパ部で、使い勝手がよいものとすることができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第5の発明において、本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に中間接続具を設け、この中間接続具にダンパ部を配したことにより、これまでの電気掃除機の構成を変えることなくダンパ部の導入が可能になる。
【0014】
第7の発明は、特に、第5の発明において、本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部をダンパ部の構成要素として用い、ダンパ部を接続部と一体構成としたことにより、ダンパ部の構成を簡略化でき、外観や重量を変えずに掃除機本体の移動を抑制できる。
【0015】
第8の発明は、特に、第1の発明において、ダンパ部を車輪に配したことにより、車輪は電気掃除機の吸引空気の流れに影響を与えることが無いため、吸い込み性能を下げずに、掃除機本体を抑制することができる。さらに、把手部の動きだけでなく床面から掃除機本体が受ける動きをも軽減することができる。
【0016】
第9の発明は、特に、第8の発明において、ダンパ部を、車輪の車軸の周りに配した粘性体により形成したことにより、車軸の周りのわずかな構成で、粘性だけではなく車軸の摩擦を同時に調整することができ、掃除機本体の動きやすさを細かく調整できる。
【0017】
第10の発明は、特に、第8の発明において、ダンパ部を、車輪と床面とが接する表面に配した粘性体により形成したことにより、粘性体の種類だけでなく床面と接する面の形状によっても粘性を調整でき、把手部の前後の動きに対する掃除機本体の動きやすさを細かく調整できる。
【0018】
第11の発明は、特に、第8の発明において、ダンパ部を、車輪に配した電気的な制御機構により構成したことにより、動的に把手部の前後の速い動きに対する掃除機本体の動きやすさを調整できる。
【0019】
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか1つの発明において、ダンパ部は、掃除機本体を移動せずに清掃作業する際には減衰特性を高く、掃除機本体を移動させ清掃作業する際には減衰特性を低くする構成としたことにより、掃除機本体の移動が必要な場合のみ掃除機本体を移動しやすくすることが可能となり、より使い勝手を向上することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気掃除機を示すものである。
【0022】
図に示すように、本実施の形態における電気掃除機は、移動用の車輪2を有する掃除機本体1と、床用吸込み具8と、床用吸込み具8と掃除機本体1間を接続する可撓性ホース3および延長管5と、掃除機本体1以外の箇所に設けられ床用吸込み具8を移動させる清掃作業用の把手部10とを備えている。
【0023】
また、掃除機本体1と可撓性ホース3の一端は、本体接続部4を構成する掃除機本体1に設けられた本体側本体接続部4Aと、可撓性ホース3に設けられたホース側本体接続部4Bによって接続している。可撓性ホース3の一端と延長管5の一端は、中間接続具6を挟み、中間接続部6の一端には可撓性ホース3に設けられたホース側延長管接続部7Aが接続され、中間接続部6のもう一端には延長管5に設けられた延長管側延長管接続部7Bが接続され、延長管接続部7を構成している。延長管5の一端と床用吸込み具8の一端は、床用吸込み具接続部9を構成する延長管5に設けられた延長管側床用吸込み具接続部9Aと、床用吸込み具8に設けられた床用吸込み具側床用吸込み具接続部9Bにより接続される。床用吸込み具8を移動させる清掃作業用の把手部10は延長管5に設けられている。
【0024】
そして、前記把手部10から前記車輪2までの間には、清掃作業中の掃除機本体1の移動を抑制するダンパ部11を設けている。
【0025】
次に、ダンパ部11の構成について、図2〜図6に基づき説明する。
【0026】
図2に示す構成であるが、可撓性ホース3内には、導線3Aが螺旋状に巻き付けられた構成となっているが、導線3Aの1つを、粘性体11Aを線状にした物と入れ替えてダンパ部11を構成している。粘性体11Aは速い速度で伸縮するほど大きな抵抗を生じる、減衰特性の高い種類のゴムや粘土のような材料で構成されている。すなわち、ホースダンパ部が構成されている。可撓性ホース3全体にダンパ部11を配すれば、ダンパ部11の重量が分散し、重量の増加によっても可撓性ホース3の使い勝手が損なわれることがなくなる。
【0027】
図3は、中間接続具6にダンパ部11として接続ダンパ部が配置されている。すなわち、中間接続具6の延長管側接続具6Aとホース側接続具6Bがダンパ部11の構成要素となり、接続具間に流体からなる粘性体11Bを入れることでダンパ部11を構成している。
【0028】
図4は、掃除機本体1の車輪2に車輪ダンパ部が配置されている。すなわち、車輪2の車軸2Aの周りに輪形状の粘性体11Cを配置してダンパ部11を構成している。
【0029】
図5は、図2に示した粘性体11Aのみを可撓性ホース3内に巻き付け、導線3Aは可撓性ホース3に巻きつけず可動性ホース3の外側を這わせた構成としてダンパ部11を構成している。また、導線3Aを可撓性ホース3の外側に這わせず内側に這わせた構成としても良い。また、逆に、導線3Aを可撓性ホース3に巻き付け、粘性体11Aを巻き付けない構成や、導線3Aと粘性体11Aを共に可撓性ホース3に巻き付けない構成としてもよい。
【0030】
図6は、中間接続具6の一部または全てを粘性体11Dにすることでダンパ部11を構成し、延長管側接続具6Aから延長管接続具6Bへ伝わる動きを減衰させるようにしている。
【0031】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0032】
電気掃除機を起動すると掃除機本体1内部の電動送風機により吸引力が発生し、床面の塵埃が床用吸込み具8から、床用吸込み具接続部9、延長管5、中間接続具6、可撓性ホース3、本体接続部4を通り、掃除機本体1へ吸引される。
【0033】
清掃作業中は、把手部10を手に持ち動かすことで、床用吸込み具8を前後に移動させる。また、把手部10を前後に動かすことで、延長管5、延長管側延長管接続部7B、中間接続具6、ホース側延長管接続部7A、可撓性ホース3、本体接続部4を通じ、掃除機本体1を移動させることになる。
【0034】
この時、把手部10の動きにより可撓性ホース3が動きまわる。この動きによって可撓性ホース3は全体に前後へ伸縮し、それに伴い粘性体11Aも伸縮する。このため、粘性体11Aによって動きが減衰される。粘性体11Aは速く伸縮させるほど大きな抵抗となって減衰が生じる材質であるため、把手部10が速く動き可撓性ホース3が速く動きまわるほど大きな減衰が生じる。また、可撓性ホース3が全体に伸縮する他に捩れや曲がりによっても、粘性体11Aは全体または部分的に伸縮し、その伸縮した箇所で動きが減衰される(図2、図5)。
【0035】
また、中間接続具6では、把手部10が前後に動く際、把手部10に近い延長管側接続具6Aが先に把手部10に引かれ動くため、延長管側接続具6Aとホース側接続具6Bの間のダンパ部11が動き、把手部10が前後に速く動くほど粘性体11B、あるいは粘性体11Dにより減衰が行われる(図3、図6)。
【0036】
また、車輪2では、掃除機本体1が動く際、車軸2Aが回転するため、車軸2Aの周囲に配置したダンパ部11により、掃除機本体1の動きが減衰される。
【0037】
これらにより、清掃作業中、把手部10の前後の速い動きに対して、掃除機本体1の移動を抑制し、作業者が把手部10を引いた場合には掃除機本体1を意図した位置に移動させることができる。
【0038】
本実施の形態において、ダンパ部11は、可撓性ホース3、中間接続具6、車輪2の各所に設けたが、必ずしもこれに限られるものではなく、ケースによってはダンパ部11が少なくとも1カ所に設けてあれば事足りる場合もあり得るものである。また、ダンパ部11は、本体接続部4、延長管接続部7、床用吸込み具接続部9のうちの少なくとも1つの接続部に配すればよく、また、中間接続具6も同様に、本体接続部4、延長管接続部7、床用吸込み具接続部9のうちの少なくとも1つに設ければよい。そして、ダンパ部11は、これら接続部をダンパ部の構成要素として用い、一体構成としている。
【0039】
なお、図2に示したダンパ部11(ホースダンパ部)は、導線3Aの1つを、樹脂などにより線状に形成した粘性体11Aと入れ替えた構成となっているが、導線3Aをすべて残し線状の粘性体11Aを追加して並列に配置してもよいし、または、導線3Aをすべてとり除き線状の粘性体11Aと入れ替えてもよい。また、図では、線状の粘性体11Aを導線3Aと同じ方向に巻き付けた構成となっているが、導線3Aとは逆向きに巻き付け、線状の粘性体11Aと導線3Aが交差する網目状の構成としてもよい。そしてまた、線状の粘性体11Aは全体に径が一定に構成されているが、粘性体11Aの径や形状を部分的に変えた構成としてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における電気掃除機を示すものである。実施の形態1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図に示すように、本実施の形態においては、実施の形態1における中間接続具6を省くとともに、把手部10を可撓性ホース3に設けている。そして、可撓性ホース3は、図8に示すように、導線3Aを巻いた弾性体3Bとその外側の減衰特性の高い種類のゴムや粘土のような材料からなる粘性体11Eを層状に配して形成し、弾性体3Bと粘性体11Eによりダンパ部11を構成しているものであり、ダンパ部11を可撓性ホース3と一体構成とした。
【0042】
また、図9に示すように、ダンパ部11は、本体接続部4の本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4Bを互いに完全には固定せず相対的に動くことが可能とし、その間に接続部内蔵の粘性体11Fを入れることで本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4B間にも構成されている。
【0043】
また、図10に示すように、ダンパ部11は、車輪2の床面との接触表面に複数付けられた粘性体11Gによっても構成されている。
【0044】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0045】
清掃作業中は把手部10を手に持ち動かすことで、床用吸込み具8を移動させる。また把手部10を前後に動かすことで、可撓性ホース3、本体接続部4を通じ、掃除機本体1を移動させる。
【0046】
この時、把手部10の動きは可撓性ホース3を経て掃除機本体1に伝わるが、把手部10が速く動きそれが伝わって可撓性ホース3が速く動きまわるほど、可撓性ホース3においては全体の伸縮及び/または捩れ及び/または曲がりによって粘性体11Eと弾性体3Bによるダンパ部11が速く伸縮する。粘性体11Eは速く伸縮するほど大きく減衰が行われ、掃除機本体1に伝わる動きが減衰される。
【0047】
またこの時、本体接続部4に配置されたダンパ部11では、本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4Bが前後に相対的に動くことが可能であるため、把手部10に近いホース側本体接続部4Bが先に動き、本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4Bの位置が互いにずれる。これによって、本体側本体接続部4Aとホース側本体接続部4B間に挟んだ粘性体11Fによるダンパ部11により動きが減衰される。
【0048】
さらに、車輪2では掃除機本体1が動き出そうとする際、車輪2の表面に配置した粘性体11Gによるダンパ部11により掃除機本体1の動きが減衰される。
【0049】
これらにより、把手部10の前後の速い動きに対して掃除機本体1を動きにくい構成とし、作業者が把手部10を引いた場合には掃除機本体1を意図した位置に移動させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態における電気掃除機では、把手部10から車輪2までの間以外の構成として床用吸込み具8と延長管5を有しているが、場合によってはこれら床用吸込み具8あるいは延長管5の一つまたは全てが無い構成であっても使用することができる。
【0051】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における電気掃除機を示すものである。実施の形態1、2と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図に示すように、本実施の形態においては、把手部10を床用吸込み具8に設けている。また、床用吸込み具接続部9にはダンパ部11が配置され、車輪2にもダンパ部11が配置されている。さらに、床用吸込み具8には移動検出器8Aが配置されている。
【0053】
そして、車輪2のダンパ部11は、図12に示すように、車輪2の側面に配置された磁石11Hと、掃除機本体1に配置された電磁石11Iと、ダンパ部11の減衰特性を変化させるため電磁石11Iに流す電流を変化させる制御装置11Jによって構成されており、前記移動検出器8Aで検出した信号を受けて制御装置11Jが動作し、電気的にダンパ部11の減衰特性の操作を可能としている。
【0054】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
清掃作業中は把手部10を手に持ち動かすことで、床用吸込み具8を移動させる。また把手部10を前後に動かすことで、床用吸込み具接続部9、延長管5、延長管接続部7、可撓性ホース3、本体接続部4を通じ、掃除機本体1を移動させる。
【0056】
この時、清掃作業中の床用吸込み具8の動きを移動検出器8Aによって検出する。この移動検出器8Aで作業の状態を検出し、床用吸込み具8が前後への動きを繰り返す際は、作業者が移動せず作業していると判断し、掃除機本体1が前後に動きにくい構成となるよう制御装置11Jが電磁石11Iに電流を流し、磁場を強くして減衰特性を高くする。それ以外の場合は作業者が移動していると判断し掃除機本体1が動きやすいよう電磁石11Iに流す電流を制御装置11Jが制御し、減衰特性を低くする。
【0057】
つまり、床用吸込み具8の動きが延長管5に伝わる際に接続部のダンパ部11によって減衰が行われる。
【0058】
これらにより、把手部10の前後の速い動きに対して掃除機本体1の動きにくい構成とし、作業者が把手部10を引いた場合には掃除機本体1を意図した位置に移動させることができる。
【0059】
またこの時、磁石11Hと電磁石11Iによって金属が引き寄せられるため床面にある金属を回収することも可能である。
【0060】
なお、本実施の形態において、移動検出器8Aは床用吸込み具8に配置されているがそれ以外に配置しても構わない。
【0061】
なお、本実施の形態において、清掃作業中に作業者が移動せず作業する際にはダンパ部11での減衰特性が高く、作業者が移動する際にはダンパ部11での減衰特性が低く動作させるため、移動検出器8Aで作業の状態を検出し制御装置11Jを動作させたが、作業者が移動せず作業する際の把手部10の動きをあらかじめ調べ、その動きに対して減衰性能が高くなるようダンパ部11の性質を調整しておいても構わない。
【0062】
なお、本実施の形態において、移動検出器8Aで床用吸込み具8の動きから作業の状態を検出し制御装置11Jを動作させたが、動きではなく、例えば、延長管5の床面に対する角度や、本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部の3つのうちいずれか1つまたは2つもしくは全ての接続部にかかる力や、可撓性ホース3の曲がり方から作業の状態を検出してもよい。
【0063】
なお、本実施の形態において、車輪2に磁石11Hを配置したが、磁石のかわりに磁性体を配置しても構わない。また、磁石11Hの代わりに電磁石を配置しても構わない。また、図示した構成とは逆に、車輪2に電磁石11Iを配置し、掃除機本体1に磁石11Hを配置しても構わない。さらに、車輪2に配置した磁石11Hは、車軸2Aに配置しても構わない。
【0064】
上記した各実施の形態1〜3における構成は、必要に応じて適宜組み合わせて使用することができるものであり、実施の形態そのものの構成に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、簡易な構成により、清掃作業中、掃除機本体の移動を抑制し、使い勝手を向上させることができるので、家庭用、業務用に限らず可撓性ホースを有する電気掃除機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体構成図
【図2】同電気掃除機における可撓性ホースの断面図
【図3】同電気掃除機における中間接続具の断面図
【図4】同電気掃除機における車輪の断面図
【図5】同電気掃除機における可撓性ホースの他の構成例を示す断面図
【図6】同電気掃除機における中間接続具の他の構成例を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態2における電気掃除機の全体構成図
【図8】同電気掃除機における可撓性ホースの断面図
【図9】同電気掃除機における本体接続部の断面図
【図10】同電気掃除機における車輪の側面図
【図11】本発明の実施の形態3における電気掃除機の全体構成図
【図12】(a)同電気掃除機における車輪と掃除機本体の断面図(b)同車輪の側面図
【符号の説明】
【0067】
1 掃除機本体
2 車輪
2A 車軸
3 可撓性ホース
3B 弾性体
4 本体接続部
5 延長管
6 中間接続具
7 延長管接続部
8 床用吸込み具
9 床用吸込み具接続部
10 把手部
11 ダンパ部
11A〜11G 粘性体
11J 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床用吸込み具と、移動用の車輪を有する掃除機本体と、床用吸込み具と掃除機本体間を接続する可撓性ホースおよび延長管と、掃除機本体以外の箇所に設けられ床用吸込み具を移動させる清掃作業用の把手部とを備え、前記把手部から前記車輪までの間には、清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制するダンパ部を設けた電気掃除機。
【請求項2】
ダンパ部を可撓性ホースに配した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
ダンパ部は線状にした粘性体を可撓性ホースに巻きつけて構成した請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
可撓性ホースを弾性体と粘性体を層状に配して形成し、弾性体と粘性体により構成するダンパ部を可撓性ホースと一体構成とした請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項5】
ダンパ部を、掃除機本体と可撓性ホースとの本体接続部、延長管と可撓性ホースとの延長管接続部、床用吸込み具と延長管との床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に配した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項6】
本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に中間接続具を設け、この中間接続具にダンパ部を配した請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部をダンパ部の構成要素として用い、ダンパ部を接続部と一体構成とした請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項8】
ダンパ部を車輪に配した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項9】
ダンパ部を、車輪の車軸の周りに配した粘性体により形成した請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項10】
ダンパ部を、車輪と床面とが接する表面に配した粘性体により形成した請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項11】
ダンパ部を、車輪に配した電気的な制御機構により構成した請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項12】
ダンパ部は、掃除機本体を移動せずに清掃作業する際には減衰特性を高く、掃除機本体を移動させ清掃作業する際には減衰特性を低くする構成とした請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項1】
床用吸込み具と、移動用の車輪を有する掃除機本体と、床用吸込み具と掃除機本体間を接続する可撓性ホースおよび延長管と、掃除機本体以外の箇所に設けられ床用吸込み具を移動させる清掃作業用の把手部とを備え、前記把手部から前記車輪までの間には、清掃作業中の掃除機本体の移動を抑制するダンパ部を設けた電気掃除機。
【請求項2】
ダンパ部を可撓性ホースに配した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
ダンパ部は線状にした粘性体を可撓性ホースに巻きつけて構成した請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
可撓性ホースを弾性体と粘性体を層状に配して形成し、弾性体と粘性体により構成するダンパ部を可撓性ホースと一体構成とした請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項5】
ダンパ部を、掃除機本体と可撓性ホースとの本体接続部、延長管と可撓性ホースとの延長管接続部、床用吸込み具と延長管との床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に配した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項6】
本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部に中間接続具を設け、この中間接続具にダンパ部を配した請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
本体接続部、延長管接続部、床用吸込み具接続部のうちの少なくとも1つの接続部をダンパ部の構成要素として用い、ダンパ部を接続部と一体構成とした請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項8】
ダンパ部を車輪に配した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項9】
ダンパ部を、車輪の車軸の周りに配した粘性体により形成した請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項10】
ダンパ部を、車輪と床面とが接する表面に配した粘性体により形成した請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項11】
ダンパ部を、車輪に配した電気的な制御機構により構成した請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項12】
ダンパ部は、掃除機本体を移動せずに清掃作業する際には減衰特性を高く、掃除機本体を移動させ清掃作業する際には減衰特性を低くする構成とした請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−158752(P2006−158752A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356357(P2004−356357)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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