説明

電気掃除機

【課題】長時間使用しても使用者に疲労感を与えない握り部を備えた電気掃除機を提案する。
【解決手段】手元操作管4には握り部5が設けられる。握り部5は手元操作管4の握り部基部18から突出させて設けられる。握り部5の突出方向Vhは吸込側管部中心軸Xinおよび吐出側管部中心軸Xoutを含む面内に向けられる。握り部5は吸込側管部中心軸Xinの延長線上に位置される。握り部5の長手方向中心軸Xhは吸込側管部中心軸Xinの延長線に略直角に交わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が把持する握り部を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、握り部を備えた手元操作管を有する電気掃除機が知られる。
【0003】
特許文献1に記載の電気掃除機の握り部は手元操作管の軸方向に沿って設けられる。また、手元操作管は集塵ホースが接続されるホース接続部を備える。ホース接続部は、握り部の長手方向の略中央であって、握り部の下方に位置される。
【0004】
また、特許文献2に記載の電気掃除機の握り部は延長管の略延長線上に配置される。
【特許文献1】特開平4−200520号公報
【特許文献2】特開2007−6920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電気掃除機の吸込口体は、延長管との接続管部が多軸に回動可能に構成される。具体的には接続管部は吸込口本体の前進方向に平行な回動軸回りに回動可能であり、この回動軸に直行する傾動軸回りに傾動可能である。延長管をその長手軸回りに回転させると、吸込口体を使用者の左右方向に走行可能に位置させて掃除できる。
【0006】
従来の電気掃除機の握り部では、延長管をその長手軸回りに回転させる際に、使用者は腕全体を捻る必要があった。このような握り部では、掃除の時間が経つにつれて使用者に疲労感を与えてしまう。
【0007】
本発明は、長時間使用しても使用者に疲労感を与えない握り部を備えた電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明では、多軸の回動軸を有する接続管部を備えた吸込口体と、前記接続管部に着脱自在に接続された延長管と、前記延長管に着脱自在に接続された手元操作管と、前記手元操作管に設けられた握り部とを備え、前記握り部は、前記握り部の中心軸は前記接続管部の中心軸の延長線に略直角に交わらせて位置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長時間使用しても使用者に疲労感を与えない握り部を備えた電気掃除機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る電気掃除機の外観を示した図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、掃除機本体2と、集塵ホース3と、手元操作管4と、握り部5と、操作部6と、延長管7と、吸込口体8とを備える。
【0013】
掃除機本体2には集塵ホース3の一端が着脱自在に接続された接続口2aが形成される。掃除機本体2の内部には塵埃分離集塵ユニット(図示省略)と、電動送風機9とが収容される。塵埃分離集塵ユニットは、掃除機本体2の内部に着脱可能に収容され、接続口2aに連通される。電動送風機9は、塵埃分離集塵ユニットを介して接続口2aに負圧を作用させる。掃除機本体2には電動送風機9の排気を吐出させる本体排気口(図示省略)が形成される。
【0014】
集塵ホース3は可撓性を有し、湾曲可能な細長略円筒状に形成される。集塵ホース3の一端は接続口2aに着脱自在に接続されて、掃除機本体2の内部に連通される。
【0015】
手元操作管4の一端は集塵ホース3の他端に設けられ、集塵ホース3を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0016】
握り部5は電気掃除機1の使用者が把持して電気掃除機1を操作するものである。
【0017】
操作部6は握り部5に設けられる。操作部6が電気掃除機1の使用者に操作されると、電気掃除機1は複数の駆動モードに設定される。
【0018】
延長管7は、伸縮可能な細長略円筒状に形成される。延長管7の一端は手元操作管4の他端に着脱自在に接続されて、手元操作管4および集塵ホース3を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0019】
吸込口体8は、延長管7の一端に着脱自在に接続されて延長管7、手元操作管4および集塵ホース3を介して掃除機本体2の内部に連通される。吸込口体8は、床などの被掃除面に配置される。吸込口体8は握り部5から加えられた駆動力によって被掃除面を走行する。吸込口体8は吸込口本体12と、接続管部13とを備える。
【0020】
吸込口本体12は被掃除面に対向させた吸込口(図示省略)を備える。吸込口は接続管部13に連通される。
【0021】
接続管部13は延長管7に接続される。接続管部13は多軸の回動軸を備える。ここで、吸込口本体12の前進方向(図1中、実線矢F)を前方向とする。接続管部13は、具体的には吸込口本体12の前進方向に平行な回動軸回りに回動可能であり(図1中、実線矢R1)、この回動軸に直行する傾動軸回りに傾動可能である(図1中、実線矢R2)。すなわち、吸込口体8は、接続管部13によって延長管7に回動可能に接続される。
【0022】
電気掃除機1を運転すると、電動送風機9が作動して、掃除機本体2の内に負圧が作用する。この負圧は接続口2aから集塵ホース3と手元操作管4と延長管7とを経て吸込口体8に作用する。そうすると、電気掃除機1は吸込口体8から空気とともに床などの被掃除面に溜まった塵埃を吸い込んで被掃除面を掃除する。吸込口体8に吸い込まれた含塵空気は、掃除機本体2に収容された塵埃分離集塵ユニットによって空気と塵埃とに分離される。分離された塵埃は塵埃分離集塵ユニットに集塵される。他方、分離された空気は、電動送風機9に吸い込まれて、掃除機本体2の本体排気口から吐出される。
【0023】
図2は、本発明に係る手元操作管を示した側面図である。
【0024】
図2に示すように、手元操作管4は、連通管部14と、ホース接続部15と、握り部基部18とを備える。
【0025】
連通管部14は連通管19を備える。連通管19は集塵ホース3と延長管7とを連通させる。連通管部14には集塵ホース3を介して掃除機本体2から負圧が作用する。連通管部14は吸込側端部20と吐出側端部23とを有する。吸込側端部20には延長管7が着脱自在に接続される。吐出側端部23には集塵ホース3が接続される。連通管19は、その略中央部で屈曲されて形成される。すなわち、連通管19の吸込側管部中心軸Xinと、吐出側管部中心軸Xoutとは連通管19の中央部近傍で交差する。なお、吸込側管部中心軸Xinは、延長管7の長手方向中心軸もしくは管状に形成された風路の中心軸の延長線上に位置する。また、吸込側管部中心軸Xinは、吸込口体8の接続管部13の長手方向中心軸もしくは管状に形成された風路の中心軸の延長線上に位置する。
【0026】
ホース接続部15は連通管19の吐出側端部23に設けられる。ホース接続部15は吐出側端部23に接続された集塵ホース3の端部を覆い、集塵ホース3を連通管部14に固定する。
【0027】
握り部基部18は連通管部14から突出させて設けられる。握り部基部18と吐出側端部23とは二股に分けられて突設される。すなわち、握り部基部18は吸込側端部20を基部とし、吐出側端部23から分岐させて形成される。握り部基部18の突出方向は吸込側管部中心軸Xinおよび吐出側管部中心軸Xoutを含む面内に向けられる。
【0028】
握り部5は手元操作管4の握り部基部18から突出させて設けられる。握り部5は電気掃除機1の使用者が手で握ることのできる略手の幅の長さよりも長い棒状に形成される。握り部5の突出方向Vhは握り部基部18の突出方向と同様に吸込側管部中心軸Xinおよび吐出側管部中心軸Xoutを含む面内に向けられる。握り部5は吸込側管部中心軸Xinの延長線上に位置される。握り部5の長手方向中心軸Xhは吸込側管部中心軸Xinの延長線に略直角に交わる。なお、握り部5の突出方向Vhは握り部5の長手方向中心軸Xhに沿うものである。
【0029】
すなわち、握り部5は延長管7の長手方向中心軸の延長線上、もしくは管状に形成された風路の中心軸の延長線上に位置される。握り部5の長手方向中心軸Xhは延長管7の長手方向中心軸の延長線、もしくは管状に形成された風路の中心軸の延長線に略直角に交わる。また、握り部5は吸込口体8の接続管部13の長手方向中心軸の延長線上、もしくは管状に形成された風路の中心軸の延長線上に位置される。握り部5の長手方向中心軸Xhは吸込口体8の接続管部13の長手方向中心軸の延長線、もしくは管状に形成された風路の中心軸の延長線に略直角に交わる。
【0030】
なお、アップライト型の電気掃除機では吸込口体8が掃除機本体2に直接接続される。すなわち、アップライト型の電気掃除機は延長管7を備えず、かつ手元操作管4に連通管部14を備えない。このような電気掃除機では、握り部5は吸込口体8の接続管部13の長手方向軸中心の延長線上に位置され、かつ握り部5の長手方向中心軸Xhは接続管部13の長手方向軸中心に略直角に交わるよう位置される。
【0031】
握り部5の先端部には凸部24が設けられる。凸部24は握り部5の先端部から連通管部14の吸込側端部20の方向に突出される。凸部24は電気掃除機1の使用者が握り部5を把持した際に、使用者の手から手元操作管4の脱落を防止する。また、凸部24は、吸込側管部中心軸Xinの延長線を中央にして、握り部5を把持した使用者の小指から若干の隙間を設けて位置される。凸部24は電気掃除機1の使用者が握り部5を把持する際に、手の位置を力の伝達に適した位置に案内する。
【0032】
なお、握り部5にはゴムなどの軟質で摩擦係数が高い滑止部材を巻き付けてもよい。電気掃除機1の使用者が握り部5を把持した際に、握りやすく、軽く握っても手がずれない握り部5にできる。
【0033】
操作部6は連通管部14の吐出側端部23から遠方側に位置する握り部5の面に設けられる。また、操作部6は電気掃除機1の使用者が握り部5を把持した際に、把持した手の親指で容易に操作ができる位置に設けられる。操作部6が電気掃除機1の使用者に操作されると、電気掃除機1の運転状態が設定される。操作部6は電気掃除機1の運転を停止させる切スイッチ6aや電気掃除機1の運転を開始させる起動スイッチ6bなどを有する。
【0034】
次に、本実施形態に係る電気掃除機1の掃除動作を説明する。
【0035】
電気掃除機1の使用者は、まず、掃除機本体2の接続口2aに集塵ホース3を接続する。ついで、手元操作管4に延長管7を接続する。さらに、延長管7に吸込口体8を接続する。
【0036】
次に、掃除機本体2から電源コード(図示省略)を引き出して、この電源コードを商用電源を供給するコンセント(図示省略)に接続する。
【0037】
電気掃除機1の使用者が握り部5を把持して、吸込口体8を略水平な床面などの被掃除面に配置すると、吸込口体8の接続管部13の長手軸と、延長管7の長手軸と、使用者の前腕とは略同一直線上に配置される。すなわち、吸込口体8の接続管部13の長手軸と、延長管7の長手軸と、使用者の前腕とは被掃除面から斜め上方に向かって位置される。手元操作管4の握り部基部18から突出された握り部5は斜め下方を向くことになる。したがって、手元操作管4の握り部基部18と握り部5とは、使用者の握られた手に引っかかるように位置する。すなわち、使用者が握り部5をしっかりと握っていなくても、使用者の手から握り部5が抜け落ちることはない。また、吸込口体8を持ち上げる動作や、手元操作管4から延長管7を取り外して吸込側端部20から塵埃を吸い込む動作の際にも、使用者の手から握り部5が抜け落ちることはない。
【0038】
次に、握り部5を把持して起動スイッチ6bを操作する。そうすると、起動スイッチ6bで設定された動作モードに応じて電動送風機9が作動する。
【0039】
このとき、握り部5に設けられた操作部6は、握り部5の上面に位置することとなる。すなわち、電気掃除機1の使用者は、握り部5を把持した手の親指を動かすだけで、起動スイッチ6bを容易に操作できる。
【0040】
次いで、電気掃除機1の使用者は、握り部5を把持して駆動力を加える。そうすると、吸込口体8は被掃除面上を前後に走行する。吸込口体8は吸込口本体12の吸込口から空気とともに被掃除面の塵埃を吸い込む。
【0041】
このとき、吸込口体8は、電気掃除機1の使用者が掌で握り部5を押し出すと前進し、指で握り部5を引き込むと後退する。すなわち、電気掃除機1の使用者の腕の力は、握り部5から延長管7の長手軸に沿って吸込口体8に直接的に伝達される。したがって、電気掃除機1の使用者は、手首を曲げることなく、軽い力で吸込口体8を前後に走行できる。
【0042】
図3は、本発明に係る電気掃除機の吸込口体を使用者から見て左に向きを変えた図である。
【0043】
図3に示すように、電気掃除機1の使用者は、使用者から見て左右方向に吸込口体8を走行させて被掃除面から空気とともに塵埃を吸い込む場合がある。
【0044】
このとき、電気掃除機1の使用者から見て延長管7の長手軸を中心に左回り(図3中、実線矢L)に握り部5を回転させると、吸込口体8は左(図3中、実線矢l)に向きを変え、延長管7の長手軸を中心に右回りに握り部5を回転させると、吸込口体8は右に向きを変える。電気掃除機1の使用者は、握り部5を把持した腕の手首を右または左に回す動作のみによって、吸込口体8の向きを右または左に容易に変更できる。電気掃除機1の使用者から見て吸込口体8が右または左を向くと、使用者は吸込口体8を左右に走行できる。
【0045】
吸込口体8に吸い込まれた含塵空気は、延長管7と手元操作管4と集塵ホース3とを順次に通過した後、掃除機本体2の接続口2aに案内される。次に、含塵空気は、掃除機本体2の内部に吸い込まれる。
【0046】
含塵空気に含まれた塵埃は、掃除機本体2に収容された塵埃分離集塵ユニットで捕集される。
【0047】
塵埃が分離された空気は、電動送風機9に吸気されて排気風となり、本体排気口から掃除機本体2の外部に排気される。
【0048】
本実施形態に係る電気掃除機1によれば、使用者の腕の力を直接的に握り部5から吸込口体8に伝えられるので、使用者は軽い力で吸込口体8を前後に走行できる。また、吸込口体8を左右に走行させる場合には、使用者は手首を回転させる動作のみで吸込口体8の向きを右または左に向けられるので、使用者の腕には無理な力がかからない。すなわち、電気掃除機1によれば、使用者は掃除の動作に無駄な力を必要としないので、長時間使っていても使用者に疲労感を与えず、作業性が向上する。
【0049】
また、手元操作管4の握り部基部18と握り部5とは、使用者の握られた手に引っかかるように位置するので、使用者が握り部5から軽く手を離しても手元操作管4は被掃除面に落下しない。したがって、電気掃除機1によれば、使用者の意図に反して被掃除面に落下した握り部5を拾い上げることがなく使用者に疲労感を与えることがない。
【0050】
さらに、使用者は握り部5を握ったままで操作部6を操作できるとともに、吸込口体8を走行させるときは親指を含む手全体で握り部5を握ることで、操作部6を誤って操作することが無い。したがって、電気掃除機1によれば操作性を向上できる。
【0051】
すなわち、本発明に係る電気掃除機1によれば、長時間使用しても使用者に疲労感を与えない。
【0052】
また、電気掃除機1としては、キャニスタ型の電気掃除機1に限らず、吸込口体8が掃除機本体2の下部に直接形成されたアップライト型、あるいは、ハンディ型などの電気掃除機であっても対応させて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る電気掃除機の外観を示した図。
【図2】本発明に係る手元操作管を示した側面図。
【図3】本発明に係る電気掃除機の吸込口体を使用者から見て左に向きを変えた図。
【符号の説明】
【0054】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
2a 接続口
3 集塵ホース
4 手元操作管
5 握り部
6 操作部
6a 切スイッチ
6b 起動スイッチ
7 延長管
8 吸込口体
9 電動送風機
12 吸込口本体
13 接続管部
14 連通管部
15 ホース接続部
18 握り部基部
19 連通管
20 吸込側端部
23 吐出側端部
24 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸の回動軸を有する接続管部を備えた吸込口体と、
前記接続管部に着脱自在に接続された延長管と、
前記延長管に着脱自在に接続された手元操作管と、
前記手元操作管に設けられた握り部とを備え、
前記握り部は、前記握り部の中心軸は前記接続管部の中心軸の延長線に略直角に交わらせて位置されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記握り部は、前記接続管部の中心軸の延長線上に位置されたことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記握り部は、前記手元操作管から斜め下方に向けて突出させて設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記握り部には、前記電気掃除機の運転状態が設定される操作部が設けられ、
前記操作部は、
前記握り部を把持した際に、把持した手の親指で容易に操作ができる位置に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記握り部の先端部に凸部が設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記握り部には軟質で摩擦係数が高い滑止部材が巻き付けられたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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