説明

電気掃除機

【課題】使用者にとって目視することが困難な小さなゴミを使用者に確認させることが可能であって、被清掃対象物の状態を確認することが容易な電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機1は、吸込口312を有する吸込口体300と、吸込口体300において吸込口312の近傍に配置されて画像を撮影するカメラ340と、カメラ340によって撮影された画像を表示するモニター120とを備える。カメラ340は、ズーム撮影が可能であるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用電気掃除機としては、電動送風機によって吸気を発生させ、吸込口体からゴミを吸引して掃除を行なうものがある。使用者は、目視によってゴミを確認し、ゴミの位置へ電気掃除機の吸込口体を移動させ、吸込口体からゴミを吸引することによって清掃を行う。
【0003】
また近年、カメラの小型化や高性能化に伴い、カメラが配設された電気掃除機が提案されている。使用者は、カメラが配設された電気掃除機を用いて、カメラによって撮影された画面を通してゴミの除去具合を確認しながら掃除をすることができる。
【0004】
例えば、特開平5−245083号公報(特許文献1)に記載の掃除機は、ノズルの内部にテレビカメラが取り付けられ、グリップにはモニターが取り付けられている。この掃除機では、テレビカメラは、ノズルの吸込口の入口を映し出すように、向きとピントとが調整されている。ノズルの吸込口の下にあるゴミやチリは、テレビカメラによって撮影されて、モニターに映し出される。使用者は、目視によって発見されるゴミの位置へ吸口体を移動させ、モニターに表示される画像によって吸口体によるゴミの吸引状態を観察し、清掃状態を判断する。
【0005】
また、特開2003−164401号公報(特許文献2)には、吸口体の内外に監視カメラを備え、監視カメラの撮影画像を取得して表示する表示部を取っ手近傍に備える電気掃除機が記載されている。この電気掃除機では、監視カメラによって、吸口体の内外の塵埃や吸口体の運動方向を監視しながら掃除を行なうことができる。
【0006】
また、特開2006−247229号公報(特許文献3)に記載の電気掃除機では、パイプ端部の吸込ヘッド側にはビデオカメラと各種センサが配設され、グリップには、ビデオカメラによって撮影された画像を表示するモニタが設けられている。
【0007】
このように、使用者による目視が困難な場所の清掃を行いやすくすることを目的とした電気掃除機が提案されている。これらの電気掃除機を用いて掃除をする場合には、使用者は、表示部(モニター)に表示される画像によって、直接目視することが困難な場所のゴミの位置を確認したり、吸込口体(ノズル、吸口体、ヘッド)によるゴミの吸引状態を観察したりして、清掃状態を判断しながら掃除を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−245083号公報
【特許文献2】特開2003−164401号公報
【特許文献3】特開2006−247229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの電気掃除機は、使用者による目視が困難な場所をカメラで撮影してモニターに表示するだけである。そのため、使用者による目視が困難な場所にあるゴミが小さい場合には、使用者は、モニターを通してゴミの確認をすることができない場合がある。例えば、塵埃等の小さなゴミや、畳や絨毯等の内部に入り込むようなゴミ等をカメラが撮影し、そのままモニターに表示しても、使用者はモニター上で小さなゴミを目視することが困難である。そのため、使用者が直接目視できない場所を掃除するときにモニターを見ながら掃除しても、小さなゴミを見つけることができず、掃除が不完全になることがある。
【0010】
また、これらの電気掃除機では、カメラが配置されている吸込口体(ノズル、吸口体、ヘッド)を動かすことなく、カメラの撮影範囲を広げることができない。例えば、使用者がある位置に吸込口体(ノズル、吸口体、ヘッド)を保持して被清掃対象物上のゴミを確認しているとき、吸込口体(ノズル、吸口体、ヘッド)をそのまま保持して、そのゴミの周囲に別のゴミがあるかどうか等、被清掃対象物の状態をより広い範囲で確認することができない。
【0011】
近年、いわゆるハウスダストを原因物質とするアレルギー性疾患が問題となっている。このアレルギー疾患の原因の一つは、生活空間の空気中に浮遊するゴミが鼻腔等を通じて人体に吸込まれることである。したがって、症状を緩和し、あるいは予防するためには、目視が困難な場所にあるゴミや、畳や絨毯等の内部に入り込むようなゴミ等であっても、取り残しのないように清掃を行うことが求められている。
【0012】
また、目視できないような小さなゴミは、鼻腔等を通じて人体に吸込まれ、アレルギー性疾患の原因物質となり易い。したがって、そのような小さなゴミを、取り残しのないように清掃を行うことが求められている。
【0013】
しかしながら、従来の電気掃除機では、小さなゴミを取り残しのないように清掃するために、使用者が目視できないような小さなゴミを使用者に確認させることができなかった。
【0014】
そこで、この発明の目的は、使用者が目視できないような小さなゴミを使用者に確認させることが可能であって、被清掃対象物の状態を確認することが容易な電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に従った電気掃除機は、吸込口を有する吸込口体と、吸込口体において吸込口の近傍に配置されて画像を撮影する撮影部と、撮影部によって撮影された画像を表示する表示部とを備える。撮影部は、ズーム撮影が可能であるように構成されている。
【0016】
撮影部が、例えば撮影対象を拡大するようにズーム撮影を行なうことによって、吸込口の周囲のゴミが拡大されて表示部に表示される。特に、塵埃等の小さなゴミや、畳や絨毯等の内部に入り込むようなゴミ等を拡大して表示部に表示することによって、使用者は表示部を通して、このような、直接目視できないような小さなゴミを確認しながら掃除を行なうことができる。
【0017】
また一方で、撮影部が、例えば、広角撮影するようにズーム撮影を行なうことによって、撮影範囲を拡大することができる。撮影部の撮影範囲を拡大することによって、使用者は、吸込口を移動させなくても、被清掃対象物において広い範囲の状態を確認することができる。
【0018】
掃除の対象が机や椅子の下、家具の隙間などであるときには、使用者は、吸込口体を机や椅子の下、家具の隙間に入れて、このような場所の掃除を行なう。また、掃除の対象が家具の天面上のような高所である場合には、使用者は、吸込口体を家具の天面上まで持ち上げて掃除する。このとき、使用者は、掃除の対象である吸込口の周囲を直接、目で見て確認することができないので、撮影部によって撮影される範囲だけを表示部を通して確認することができる。
【0019】
そこで、撮影部が撮影範囲を拡大するようにズーム撮影を行なうことによって、使用者がある位置に吸込口体を保持して被清掃対象物上のゴミを確認しているとき、吸込口体をそのまま保持して、そのゴミの周囲に別のゴミがあるかどうか等、被清掃対象物の状態をより広い範囲で確認することができる。
【0020】
このように、電気掃除機が吸込口体において吸込口の近傍に配置されて画像を撮影する撮影部と、撮影部によって撮影された画像を表示する表示部とを備え、撮影部は、ズーム撮影が可能であるように構成されていることによって、使用者にとって目視することが困難な小さなゴミを使用者に確認させることが可能であって、被清掃対象物の状態を確認することが容易な電気掃除機を提供することができる。
【0021】
この発明に従った電気掃除機においては、撮影部は、吸込口体の移動方向に沿った方向を撮影することが可能であるように構成されていることが好ましい。
【0022】
このようにすることにより、使用者は、表示部を通してゴミを確認した方向に吸込口体を移動させ、ゴミを除去することが容易になる。
【0023】
この発明に従った電気掃除機は、撮影部の近傍に配置される照明手段を備えることが好ましい。
【0024】
使用者が直接目視することができないような、机や椅子の下、家具の隙間などは、暗いことが多い。このような暗い場所では、撮影部が撮影した画像を表示部に表示しても、使用者がゴミを確認することが困難になることがある。そこで、撮影部の近傍に配置される照明手段を備えることにより、清掃の対象が机や椅子の下、家具の隙間など、暗い場所であっても、使用者は表示部を通してゴミの確認を容易にすることができる。
【0025】
この発明に従った電気掃除機においては、吸込口体は、通風路を形成する壁部を有し、撮影部は、吸込口体の壁部の外表面に配置されていることが好ましい。
【0026】
ゴミを含む空気は、吸込口体の壁部によって形成される通風路内を流通する。そのため、吸込口体の壁部の内表面には、空気とともに流通するゴミが接触しやすい。吸込口体の壁部の内表面に撮影部を配置すると、撮影部にゴミが接触して、撮影部が汚損されやすくなる。そこで、撮影部を吸込口体の壁部の外表面に配置することにより、ゴミを含む空気が通風路の内部を流通するとき、ゴミが撮影部に接触しにくくなり、撮影部を清潔に保つことができる。
【0027】
この発明に従った電気掃除機は、吸気を発生させる電動送風機が配置される本体を備え、表示部は、本体に配置されていることが好ましい。
【0028】
使用者は取っ手を前後方向に移動させて吸込口を前後させ、掃除を行なう。そのため、掃除の間、使用者は、取っ手を前後させる動作を繰り返し行なう。特開2003−164401号公報(特許文献2)に記載の電気掃除機では、表示部が取っ手近傍に配置されているので、取っ手の移動とともに表示部も前後に繰り返し移動される。そのため、使用者は、表示部に表示される画像を確認しにくい。
【0029】
また、例えば、家具の天面等の高所や、家具の裏側と部屋の壁面との間のような閉所の清掃においては、使用者が吸込口体を掃除の対象へ移動させると、取っ手も使用者から目視しにくい位置になることがある。取っ手が使用者から目視しにくい位置になると、取っ手近傍に配設された表示部の画像も確認しにくくなる。
【0030】
一方、本体には電動送風機が配置されているので、使用者が吸込口体を前後に動かして掃除をしている間、本体は安定して動きにくい。動きにくい本体に表示部が配置されていることによって、使用者は、安定して表示部を見ることができる。
【0031】
この発明に従った電気掃除機においては、撮影部は、小型光学ユニットと撮像素子とを組み合わせた小型カメラであることが好ましい。
【0032】
撮影部を、小型光学ユニットと撮像素子とを組み合わせた小型カメラにすることによって、従来の電気掃除機の機構を妨げることなく、ズーム機能を有し、かつ高画質な画像を撮影することが可能な撮影部を備える電気掃除機を提供することができる。
【0033】
この発明に従った電気掃除機は、吸込口体の吸込口に接続される第2の吸込口体と、第2の吸込口体に配置されて撮影部を覆うための被覆体を備えることが好ましい。第2の吸込口体は、吸込口体に着脱可能であるように構成されていることが好ましい。
【0034】
使用者が掃除対象の広い範囲を直接、目視することができる場合には、撮影部によって撮影された画像でゴミを確認する必要がない。そこで、このような場合には、吸込口体に第2の吸込口体を接続して、被覆体によって撮影部を覆った状態で、掃除を行なうことができる。このようにすることにより、撮影部を清潔に保つことができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、この発明によれば、使用者にとって目視することが困難な小さなゴミを使用者に確認させることが可能であって、被清掃対象物の状態を確認することが容易な電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の一つの実施の形態として、電気掃除機の全体を示す斜視図である。
【図2】電気掃除機の吸込口体の全体を示す斜視図(A)と、吸込口体を長手方向に垂直な方向から見たときの断面図(B)である。
【図3】カメラの全体を模式的に示す正面図(A)と、図3の(A)に示すB−B線の方向から見たときのカメラの断面図(B)である。
【図4】操作部の全体を示す正面図である。
【図5】電気掃除機の制御関連の構成を示すブロック図である。
【図6】電気掃除機の吸込口体にヘッドを取り付けたときの全体を示す斜視図である。
【図7】吸込口体にヘッドが差し込まれたときの、吸込口体とヘッドとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1は、この発明の一つの実施の形態として、電気掃除機の全体を示す斜視図である。
【0039】
図1に示すように、電気掃除機1は、吸込口体300と、吸気を発生させる電動送風機(吸引モーター)や集塵部を収容する本体110と、吸込口体300と本体110とを接続するサクションホース210と接続パイプ220と延長管230と、カメラ340と、モニター120を備える。カメラ340は撮影部の一例であり、モニター120は表示部の一例である。
【0040】
吸込口体300の端面311には吸込口312が形成されている。吸込口体300には、延長管230、取っ手240を備える接続パイプ220、サクションホース210が順次接続されている。サクションホース210は本体110に接続されている。吸込口体300と、延長管230と、接続パイプ220と、サクションホース210は、吸込口312から本体110まで、ゴミを含む空気を流通させる通風路を形成している。取っ手240には、使用者が電動送風機やカメラ340の駆動と駆動停止とを切り替えたりするための操作部250が配置されている。
【0041】
延長管230は、用途に合わせて使用者が長さを調節することが可能であるように、途中で分割されたり、二重構造の伸縮式にされたりしてもよい。サクションホース210は、柔軟に曲がるように構成されている。
【0042】
吸込口体300において吸込口312の近傍には、カメラ340と、照明手段として照明330が取り付けられて、固定されている。
【0043】
本体110の天面上には、モニター120が取り付けられて、固定されている。モニター120は、カメラ340が撮影した画像を表示する。カメラ340は配線によりモニター120に接続されている。
【0044】
本体110には、本体110を床面上で移動可能に支持する車輪130が設けられている。また、本体110上には、通常、使用者が本体110を持ち上げるためのハンドル(図示しない)が配置されているが、本体110上にはハンドルが配置されていなくてもよい。
【0045】
図2は、電気掃除機の吸込口体の全体を示す斜視図(A)と、吸込口体を長手方向に垂直な方向から見たときの断面図(B)である。
【0046】
図2の(A)と(B)に示すように、吸込口体300は通風路320を形成する壁部310を有する。壁部310の外表面として端面311には吸込口312が形成され、端面311において吸込口312の近傍にはカメラ340と照明330が取り付けられている。
【0047】
カメラ340は、吸込口312の移動方向を撮影するように、吸込口312の方向に向けて取り付けられている。照明330は、カメラ340の撮影方向に光を照射するように取り付けられている。照明330は、小型で照度が高く、消費電力の小さい光源として、LED(発光ダイオード)を用いることが望ましい。また、LEDは赤外線LEDであってもよい。照明330の光源として赤外線LEDを用いることによって、暗部を、暗いままで撮影することができる。
【0048】
図3は、カメラの全体を模式的に示す正面図(A)と、図3の(A)に示すB−B線の方向から見たときのカメラの断面図(B)である。
【0049】
図3の(A)と(B)に示すように、カメラ340は、プリント板341上に装着されるケース342と、ケース342の内部に収容される小型光学レンズユニット343と撮像素子344とから構成される。小型光学レンズユニット343は、被撮影対象物を撮像素子344上に結像するためのレンズと、レンズを支持する台座とから構成される。カメラ340は、ズーム撮影、すなわち、望遠ズーム撮影と、広角ズーム撮影とを行うことが可能であるように構成されている。
【0050】
小型光学レンズユニット343は、従来の非球面レンズでは補正できなかった偏心光学系による収差を、良好に補正することができる自由曲面プリズム方式レンズを用いることが望ましい。自由曲面プリズム方式レンズによると、少ない反射回数の反射面を用いて光路を折り畳むことにより、小型化、薄型化された低コストで高性能な結像光学系を得ることができる。従って、従来の電気掃除機の機構を妨げることなく、コンパクトで、ズーム機能を有し、かつ高画質なカメラ340を電気掃除機1に配設することができる。
【0051】
撮影素子344は、MOS型あるいはCCDのエリアセンサーで、受信された画像情報を、プリント板341のインターフェースを介して、後述する計算機部に送信する。
【0052】
図4は、操作部の全体を示す正面図である。
【0053】
図4に示すように、操作部250は、取っ手240上に配置されている。操作部250は、清掃電源ボタン251と、カメラ電源ボタン252と、照明ボタン253と、望遠ズームボタン254と、広角ズームボタン255とを有する。
【0054】
使用者は、清掃電源ボタン251を押して、電気掃除機1(図1)による清掃、すなわち、電気掃除機1の吸込口312(図1)からのゴミの吸引を開始する。また使用者は、照明ボタン253を押して照明330を(図1)付けたり、カメラ電源ボタン252を押して、カメラ340(図1)による撮影を開始したりする。カメラ340の撮影においては、望遠ズームボタン254が押されることによって撮影対象を拡大し、広角ズームボタン255が押されることによって撮影範囲を拡大することができる。
【0055】
このように、清掃を開始するための清掃電源ボタン251とカメラ340による撮影を開始するためのカメラ電源ボタン252とが別個に形成されているので、清掃を行っていないときにカメラ340で撮影を行なうことができる。例えば、使用者は、電気掃除機1を駆動して清掃を開始する前に、あらかじめカメラ340で被清掃対象物をカメラ340で撮影して表示部で確認して、例えば貴金属等の貴重品を誤って吸引するような事故を防止できる。また、電動送風機を停止させて清掃を終了した後に、カメラ340で被清掃対象物を撮影して清掃状態を確認したりすることができる。
【0056】
図5は、電気掃除機の制御関連の構成を示すブロック図である。
【0057】
図5に示すように、電気掃除機1は、計算機部510と、カメラ340と、操作部250と、モニター120と、照明330と、電動送風機540とを備える。計算機部510は、画像処理部520とコントローラー部530とを含む。計算機部510と他の各部材とは、配線(図示しない)によって接続されている。計算機部510は、例えば接続パイプ220(図1)の内部に配設置されるが、接続パイプ220を軽量化するために電気掃除機1の本体110(図1)に内蔵されてもよい。
【0058】
使用者が操作部250を操作すると、操作部250から計算機部510のコントローラー部530に制御情報が送信される。コントローラー部530は、操作部250から送信される情報に基づいて、電動送風機540、照明330、カメラ340に制御信号を送信する。コントローラー部530から送られる制御信号によって電動送風機540が駆動することにより、吸気が発生し、清掃が開始される。また、コントローラー部530から送られる制御信号によって電動送風機540が駆動停止することにより、清掃が停止される。カメラ340は、コントローラー部530から送信された制御信号に基づいて画像を撮影し、撮影した画像を画像処理部520に送信する。画像処理部520は、カメラ340から送信された画像を処理して、モニター120に表示させる。また、コントローラー部530は、操作部250から送信される制御信号に基づいて、カメラ340のズーム機能を制御する。すなわち、コントローラー部530は、カメラ340が望遠ズーム撮影を行なうか、広角ズーム撮影を行なうかを制御する。
【0059】
コントローラー部530は、操作部250から送信される情報に基づいて、照明330を点灯または消灯させる。照明330の近傍に照度センサーを配設し、照度センサーによって検知される照度信号をコントローラー部530に送信することで、暗部において自動的に照明330が点灯するように制御してもよい。
【0060】
以上のように構成された電気掃除機1の動作について、図1から図5を用いて説明する。
【0061】
使用者は、接続パイプ220の取っ手240または本体110上のハンドル(図示しない)を保持して、使用者の移動に追従して電気掃除機1を移動させることができる。取っ手240には操作部250が配置されているので、使用者は取っ手240を保持して清掃を行いながら、操作部250を操作することができる。
【0062】
まず、使用者は、清掃を行なう前に、取っ手240に配置されている操作部250のカメラ電源ボタン252を押して、カメラ340による撮影を行なうことができる。カメラ340によって撮影された画像は、モニター120に表示される。
【0063】
このように、清掃開始前にカメラ340による撮影を行なうことによって、あらかじめゴミの位置を確認してから電動送風機540を駆動させて、効率よく清掃することができる。
【0064】
次に、使用者が操作部250の清掃電源ボタン251を押すと、本体110内の電動送風機540が駆動される。本体110内の電動送風機540が駆動されると、吸込口312から本体110の内部に向かう吸気が発生する。使用者が、吸込口312を、掃除の対象物、例えば床面や家具の表面等に接触させると、床面や家具の表面に付着しているゴミが吸込口312から電気掃除機1の内部に吸引される。吸込口312から吸込口体300の内部に流入したゴミを含む気体は、延長管230、接続パイプ220、サクションホース210を順に通って、本体110の内部に流入し、本体110の内部の集塵部においてゴミを除去されて、本体110の外部に排気される。気体から除去されたゴミは、本体110の内部の集塵部に溜められる。
【0065】
電動送風機540が駆動されると、ゴミを含む空気が吸込口体300の通風路320の内部を流通する。ここで、カメラ340と照明330は、通風路320の内部ではなく、吸込口体300の端部に配置されている。そのため、カメラ340と照明330にゴミが直接接触しにくく、カメラ340や照明330の汚れを防ぐことができる。
【0066】
使用者は、接続パイプ220の取っ手240を保持して、取っ手240を前後に動かすことによって、接続パイプ220と、接続パイプ220に接続されている延長管230と、延長管230に接続されている吸込口312が形成された吸込口体300とを前後に動かして掃除を行なう。
【0067】
モニター120は、本体110の天面上に取り付けられているので、吸込口体300が机や椅子の下、家具の隙間などに入れられたり、家具の天面のような高所を清掃したりするときにも、使用者はモニター120を通して吸込口312の周囲を確認することができる。このようにして、使用者は、モニター120を通して、吸込口312の周囲のゴミの有無を確認しながら机や椅子の下、家具の隙間などの掃除を行なうことができる。このようにすることにより、使用者は、より確実に掃除を行なうことができる。
【0068】
接続パイプ220と本体110とは柔軟に曲がるサクションホース210によって接続されており、本体110の内部には電動送風機540や集塵部が配置されている。したがって、使用者が接続パイプ220の取っ手240を前後に激しく動かしても、本体110は動きにくい。このように、モニター120が動きにくい本体110の天面上に取り付けられているので、使用者は、カメラ340によって撮影された画像を安定して確認することができる。
【0069】
使用者が、接続パイプ220に配置される取っ手240を動かすことによって、サクションホース210が接続パイプ220に引っ張られる。サクションホース210が引っ張られると、サクションホース210が接続されている本体110が、接続パイプ220を引っ張っている取っ手240の方向に移動する。使用者は、取っ手240を動かすことによって、本体110の天面上に配置されているモニター120を、使用者から確認しやすい位置に動かして、カメラ340によって撮影された画像を容易に確認することができる。このように、使用者は、電気掃除機1の本体110やモニター120に直接、触れなくてもモニター120の向きを変えることができるので、モニター120の画像を確認するために清掃を中断する必要がない。
【0070】
カメラ340は吸込口体300の端面311に配置されているので、使用者が吸込口312を床面に当てて床面の清掃を行なうときには、使用者から見て前方の床面がカメラ340によって撮影され、モニター120に表示される。使用者は、吸込口体300の前方にあるゴミの位置や、ゴミが吸込口312に吸い込まれる状態や、被清掃対象物の清掃状態を表示部で確認しながら清掃を行なうことができる。
【0071】
カメラ340は吸込口体300において吸込口312の近傍に配置されているので、吸込口体300とともに動かされる。吸込口体300が机や椅子の下、家具の隙間などに入れられることによって、使用者が直接、視認することができない机や椅子の下、家具の隙間などの画像を撮影し、モニター120に表示する。また、吸込口体300が家具の天面上のような、使用者が直接目視できない高所にある場合にも、カメラ340が家具の天面上の画像を撮影し、モニター120に表示する。
【0072】
吸込口体300が机の下や椅子の下、家具の隙間などの暗所に入れられているときには、使用者は、操作部250の照明ボタン253を押して、吸込口312の近傍を照明330することができる。照明330はカメラ340の近傍に配置され、カメラ340の撮影方向に光を照射するので、暗所の清掃において、被清掃対象部を明るく照らしながら撮影を行うことができる。照明330が被清掃対象部を照らすことによって、使用者は暗所を掃除する場合においても、モニター120でゴミの位置を確認することができる。
【0073】
カメラ340が撮影を行なっている状態において、使用者が望遠ズームボタン254を押すと、カメラ340は被撮影対象を拡大して撮影する。小さな塵埃や、畳や絨毯の隙間に入り込んでいるよう小さなゴミが拡大されてモニター120に表示される。
【0074】
一方、使用者が広角ズームボタンを押すと、カメラ340の撮影範囲が拡大されてモニター120に表示される。使用者は、取っ手240を動かさなくても、被清掃対象部の広い範囲を確認することができる。
【0075】
使用者が清掃電源ボタン251を押すと、電動送風機540が停止される。電動送風機540が停止されて清掃を終了した後においても、使用者はカメラ電源ボタン252を押し、カメラ340で被清掃対象物を撮影して清掃状態を確認することができる。
【0076】
また、電気掃除機1の吸込口体300には、吸込口体300に着脱可能な第2の吸込口体として、吸込口体300の吸込口312よりも大きな吸込口を有するヘッドが接続されてもよい。
【0077】
図6は、電気掃除機の吸込口体にヘッドを取り付けたときの全体を示す斜視図である。
【0078】
図6に示すように、電気掃除機1の吸込口体300には、第2の吸込口体としてヘッド400を接続することができる。ヘッド400は、吸込口体300の吸込口312(図1)よりも大きな吸込口411を有し、ヘッド400の内部には通風路が形成されている。また、ヘッド400には、被覆部としてカバー430が形成されている。吸込口体300にヘッド400を接続すると、吸込口体300に配置されるカメラ340と照明330(図1)は、ヘッド400のカバー430に覆われる。
【0079】
図7は、吸込口体にヘッドが差し込まれたときの、吸込口体とヘッドとを示す断面図である。
【0080】
図7に示すように、ヘッド400の壁部410において、吸込口411と反対側の端部には、吸込口体300の通風路320の内部に挿入される挿入部440が形成されている。ヘッド400の挿入部440が吸込口体300の通風路320の内部に挿入されると、ヘッド400と吸込口体300とが連結される。この状態で、電動送風機540(図5)を駆動させて吸気を発生させると、ゴミを含む空気がヘッド400の吸込口411、ヘッド400の通風路420内、吸込口体300の吸入口312、吸込口体300の通風路320、を順に流通し、図1に示すように延長管230とサクションホース210を通って本体110に流入する。
【0081】
ヘッド400と吸込口体300とを接続した状態で清掃を行う場合、カバー430がカメラ340と照明330を保護し、ゴミ等の付着を防ぐことができる。また、このカバー430によって、カメラ340と照明330を衝撃等による破損から保護することができる。
【0082】
カメラ340による撮影を行いつつ清掃を行う場合は、ヘッド400を吸込口体300から取り外す。吸込口体300は、直径30ミリメートルから40ミリメートル程度の太さであるため、例えば家具の裏側等の閉所にも差込んで、カメラ340による撮影を行うことができる。なお、カメラ340はヘッド400の吸込口411近傍に配置されてもよい。
【0083】
以上のように、電気掃除機1は、吸込口312を有する吸込口体300と、吸込口体300において吸込口312の近傍に配置されて画像を撮影するカメラ340と、カメラ340によって撮影された画像を表示するモニター120とを備える。カメラ340は、ズーム撮影が可能であるように構成されている。
【0084】
カメラ340が、例えば撮影対象を拡大するようにズーム撮影を行なうことによって、吸込口312の周囲のゴミが拡大されてモニター120に表示される。特に、塵埃等の小さなゴミや、畳や絨毯等の内部に入り込むようなゴミ等を拡大してモニター120に表示することによって、使用者はモニター120を通して、このような、直接目視できないような小さなゴミを確認しながら掃除を行なうことができる。
【0085】
また一方で、カメラ340が、例えば、広角撮影するようにズーム撮影を行なうことによって、撮影範囲を拡大することができる。カメラ340の撮影範囲を拡大することによって、使用者は、吸込口312を移動させなくても、被清掃対象物において広い範囲の状態を確認することができる。
【0086】
掃除の対象が机や椅子の下、家具の隙間などであるときには、使用者は、吸込口体300を机や椅子の下、家具の隙間に入れて、このような場所の掃除を行なう。また、掃除の対象が家具の天面上のような高所である場合には、使用者は、吸込口体300を家具の天面上まで持ち上げて掃除する。このとき、使用者は、掃除の対象である吸込口312の周囲を直接、目で見て確認することができないので、カメラ340によって撮影される範囲だけをモニター120を通して確認することができる。
【0087】
そこで、カメラ340が撮影範囲を拡大するようにズーム撮影を行なうことによって、使用者がある位置に吸込口体300を保持して被清掃対象物上のゴミを確認しているとき、吸込口体300をそのまま保持して、そのゴミの周囲に別のゴミがあるかどうか等、被清掃対象物の状態をより広い範囲で確認することができる。
【0088】
このように、電気掃除機1が吸込口体300において吸込口312の近傍に配置されて画像を撮影するカメラ340と、カメラ340によって撮影された画像を表示するモニター120とを備え、カメラ340は、ズーム撮影が可能であるように構成されていることによって、使用者にとって目視することが困難な小さなゴミを使用者に確認させることが可能であって、被清掃対象物の状態を確認することが容易な電気掃除機1を提供することができる。
【0089】
また、電気掃除機1においては、カメラ340は、吸込口体300の移動方向に沿った方向を撮影することが可能であるように構成されている。
【0090】
このようにすることにより、使用者は、モニター120を通してゴミを確認した方向に吸込口体300を移動させ、ゴミを除去することが容易になる。
【0091】
また、電気掃除機1は、カメラ340の近傍に配置される照明330を備える。
【0092】
使用者が直接目視することができないような、机や椅子の下、家具の隙間などは、暗いことが多い。このような暗い場所では、カメラ340が撮影した画像をモニター120に表示しても、使用者がゴミを確認することが困難になることがある。そこで、カメラ340の近傍に配置される照明330を備えることにより、清掃の対象が机や椅子の下、家具の隙間など、暗い場所であっても、使用者にとって、モニター120を通してゴミの確認を容易にすることができる。
【0093】
また、電気掃除機1においては、吸込口体300は、通風路320を形成する壁部310を有し、カメラ340は、吸込口体300の壁部310の端面311に配置されている。
【0094】
ゴミを含む空気は、吸込口体300の壁部310によって形成される通風路320内を流通する。そのため、吸込口体300の壁部310の内表面には、空気とともに流通するゴミが接触しやすい。吸込口体300の壁部310の内表面にカメラ340を配置すると、カメラ340にゴミが接触して、カメラ340が汚損されやすくなる。そこで、カメラ340を吸込口体300の壁部310の外表面に配置することにより、ゴミを含む空気が通風路320の内部を流通するとき、ゴミがカメラ340に接触しにくくなり、カメラ340を清潔に保つことができる。
【0095】
また、電気掃除機1は、吸気を発生させる電動送風機540が配置される本体110を備え、モニター120は、本体110に配置されている。
【0096】
本体110には電動送風機540が配置されているので、使用者が吸込口体300を前後に動かして掃除をしている間、本体110は安定して動きにくい。動きにくい本体110にモニター120が配置されていることによって、使用者は、安定してモニター120を見ることができる。
【0097】
また、電気掃除機1においては、カメラ340は、小型光学レンズユニット343と撮像素子344とを組み合わせた小型カメラである。
【0098】
カメラ340を、小型光学レンズユニット343と撮像素子344とを組み合わせた小型カメラにすることによって、従来の電気掃除機1の機構を妨げることなく、ズーム機能を有し、かつ高画質な画像を撮影することが可能なカメラ340を備える電気掃除機1を提供することができる。
【0099】
また、電気掃除機1は、吸込口体300の吸込口312に接続されるヘッド400と、ヘッド400に配置されてカメラ340を覆うためのカバー430を備える。ヘッド400は、吸込口体300に着脱可能であるように構成されている。
【0100】
使用者が掃除対象の広い範囲を直接、目視することができる場合には、カメラ340によって撮影された画像でゴミを確認する必要がない。そこで、このような場合には、吸込口体300にヘッド400を接続して、カバー430によってカメラ340を覆った状態で、掃除を行なうことができる。このようにすることにより、カメラ340を清潔に保つことができる。
【0101】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0102】
1:電気掃除機、110:本体、120:モニター、300:吸込口体、310:壁部、311:端面、312:吸込口、320:通風路、330:照明、340:カメラ、400:ヘッド、430:カバー、540:電動送風機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有する吸込口体と、
前記吸込口体において前記吸込口の近傍に配置されて画像を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像を表示する表示部とを備え、
前記撮影部は、ズーム撮影が可能であるように構成されている、電気掃除機。
【請求項2】
前記撮影部は、前記吸込口体の移動方向に沿った方向を撮影することが可能であるように構成されている、請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記撮影部の近傍に配置される照明手段を備える、請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記吸込口体は、通風路を形成する壁部を有し、
前記撮影部は、前記吸込口体の壁部の外表面に配置されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
吸気を発生させる電動送風機が配置される本体を備え、
前記表示部は、前記本体に配置されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記撮影部は、小型光学ユニットと撮像素子とを組み合わせた小型カメラである、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記吸込口体の吸込口に接続される第2の吸込口体と、
前記第2の吸込口体に配置されて前記撮影部を覆うための被覆体を備え、
前記第2の吸込口体は、前記吸込口体に着脱可能であるように構成されている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の電気掃除機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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