説明

電気掃除機

【課題】電気掃除機の吸込み具において、塵埃の吸引を効率的に行うこと。
【解決手段】吸込み具6下面にそれぞれ入り口を有する、複数の吸引流路26、27を、個々に開閉する開閉手段23と、前記複数の吸引流路26、27の個々の入り口近辺の塵埃を検知する複数のセンサと、制御手段24とを備え、吸込み具6下面に設けた前記入り口の総面積の前記吸込み具6下面の全面積に対する割合を、極力大きくすると共に、塵埃を検知したセンサに対応する吸引流路を開放し、他の吸引流路は閉じる構成としたもので、塵埃の位置によって最適の吸引流路が選択でき、且つ他の吸引流路が閉じているため、吸引風量も確保でき、効率的な塵埃の吸引が行える吸込み具が提供できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するもので、特にごみ吸引吸込み具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、掃除機本体に電動送風機と信号処理部がある制御手段が内蔵され、手元操作部と掃除機本体を接続するホースと、吸込み具に内蔵されている電動機と、前記電動機によって回転する塵埃をかきあげる回転ブラシと吸込み具と手元操作部を接続する延長管とから構成されており、手元操作部によって電動送風機の吸込み力コントロールや電動機の回転の有無を制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、手元操作部では「切」、「おまかせ」、「強」、「弱」ポジション等の複数の吸込み力が選択可能で「強」ポジションではゴミ集塵での風量低下による吸込み力の低減を補うために、風量を電動送風機2の電流検知手段によって検知し、吸込み力を上げるように制御を行っているものがある。
【0004】
また近年では電動送風機に流れる電流を検知し、その相関で風量を推定し、ゴミが集塵され電流値が低減されて、予め設定された電流値以下になると、ゴミ捨てを専用の報知手段で報知したり、吸込み力を低減させたりする使い勝手を考えた制御も行われている。
【0005】
さらには「おまかせ」、「弱」ポジションでは集塵経路内であるホースの掃除機本体側の接続部にごみの通過を検出するごみ検出手段を備え、ごみがあるときには表示手段(手元操作部内)で表示しながら、吸込み力を上げて掃除を行うように、集塵効率を向上させる制御も行われている。
【特許文献1】特開2002−248070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の吸込み具においては、下面に設けられた吸引流路の入り口が、吸込み具の周囲から内側に入り込んだところに1箇所有るのみであるため、使用者が掃除を開始すると、吸込み具下面の吸引流路の入り口から少し離れた、吸込み具の周囲から吸引風量が届くことになり、吸引に対しては不利な構成となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の吸込み具は、床面の塵埃を吸引する吸込み具において、吸込み具下面にそれぞれ入り口を有する、複数の吸引流路と、前記複数の吸引流路を個々に開閉する開閉手段と、前記複数の吸引流路の入り口近辺の塵埃を検知するセンサと、制御手段とを備え、吸込み具下面に設けた前記入り口の総面積を、吸込み具下面に対して極力大きくすると共に、塵埃を検知したセンサに対応する吸引流路を開放し、他の吸引流路は閉じる構成としたもので、塵埃の位置によって最適の吸引流路が選択でき、且つ他の吸引流路が閉じているため、吸引風量も確保でき、効率的な塵埃の吸引が行える吸込み具が提供できるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸込み具は、塵埃を吸引する際に、塵埃の位置に対応した吸引通路が選択でき、効率的な吸引が行えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、床面の塵埃を吸引する吸込み具において、吸込み具下面にそれぞれ入り口を有する、複数の吸引流路と、前記複数の吸引流路を個々に開閉する開閉手段と、前記複数の吸引流路の入り口近辺の塵埃を検知するセンサと、制御手段とを備え、吸込み具下面に設けた前記入り口の総面積を、吸込み具下面に対して極力大きくすると共に、塵埃を検知したセンサに対応する吸引流路を開放し、他の吸引流路は閉じる構成としたもので、塵埃の位置によって最適の吸引流路が選択でき、且つ他の吸引流路が閉じているため、吸引風量も確保でき、効率的な塵埃の吸引が行える吸込み具が提供できるものである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の吸込み具は、その平面形状を2つの長辺と2つの短辺からなる略長方形とすると共に、吸引流路は、前記長辺、短辺に沿った4つの入り口を有する第2吸引流路と、前記第2吸引流路の4つの入り口に囲まれる入り口を有した第1吸引流路とから構成したもので、吸込み具の周辺に塵埃が存在する場合は、第2吸引流路から素早く塵埃を吸引でき、より効率的な塵埃の吸引が行える吸込み具が提供できるものである。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の吸込み具を用いた電気掃除機としたもので、塵埃の吸引を効率的に行える電気掃除機が提供できるものである。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なおこの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の回路ブロック図、図2は同、電気掃除機の外観図を示すものである。
【0014】
図1、2において、1は電気掃除機本体であり、吸引力を発生させ、塵埃を集塵室(図示せず)に集塵するための電動送風機2を内蔵している。3はホースであり、前記電動送風機2の吸引力の強さである「強」、「おまかせ」、「弱」などの運転ポジションを切り替える手元操作部4と掃除機本体1を接続している。6は床面に接して被掃除面の塵埃等を吸引させるための吸込み具であり、被掃除面の塵埃をかきあげる回転ブラシ(図示せず)と前記回転ブラシを駆動する電動機(図示せず)を内蔵している。前記回転ブラシはベルト(図示せず)などを介して、前記電動機により駆動され、あるいは前記回転ブラシ内に電動機を内蔵し、ギア(図示せず)などを介して前記回転ブラシを駆動させる方法などがある。5は延長管で、前記吸込み具6と前記ホース3とを連通させており伸縮可能になっている。手元操作部4を操作し、前記電動送風機2および電動機を駆動させることで、吸込み具6から被掃除面の塵埃は、掻き上げられ、前記塵埃は、延長管5、ホース3を通って電気掃除機本体1へと運搬され、塵埃は電気掃除機本体1内に内蔵された集塵室(図示せず)に集塵されるとともに、吸込み風は前記電気掃除機本体1より排出される。
【0015】
吸込み具6は、段差検出手段21、センサ22、開閉手段23を配している。前記段差検出手段21は、吸込み具6の下面に設置されており、床面に設置した場合にON信号を、床面から離れた時点でOFF信号を制御手段24に出力する。センサ22は吸込み具6の外周に4方向に4箇所設置されており、吸込み具6が壁に近づくとそれぞれのセンサ22(a,b,c,d)が近づいたセンサのみがON信号を出力する。開閉手段23は、吸込み具6の吸気流路を例えば4分割し、その流路を開閉する弁29を有している。この弁を開閉することで、それぞれの吸気流路の開閉を実現している。
【0016】
また、吸引風量を2箇所から吸引できるようにすることで、それぞれ第一吸引口26、第二吸引口27とし、第二吸引口27を吸込み具6の周辺部分の吸引できるものとし、第一吸引口26を塞ぐことで第二吸引口27から吸引できる。
【0017】
以上のように構成された電気掃除機の吸込み具6について、以下その動作、作用を説明する。
【0018】
使用者が掃除を行う場合、電源プラグを持ち商用電源(AC100V)に挿入する。その後、図2の手元操作部4にあるスイッチ(たとえば強、弱、おまかせ、切)を操作することで運転が開始される。ここで、それぞれのポジションについて説明する。まず切ポジションは、掃除機を使用しないときに押すポジションで、前記電動送風機2の動作を停止するものである。弱ポジションは、やわらかい、軽い掃除対象物の場合に設定するポジションで、電動送風機2の入力も他のポジションより低い設定がされている。おまかせポジションは、お勧めしているポジションであり、ごみ検出手段11の信号によって、最適な入力を設定しているポジションであり、ごみの有無で入力を可変し、むだな電力を使用することなく掃除を行えるポジションである。強ポジションは最大の吸い込み力がでるポジションでありゴミ検出手段11によっての吸い込み力の変化は行わなく開放風量時には900W程度になっている。
【0019】
それぞれの動作については、前記制御手段24が、入力操作部4を使用者が操作したことを検出し、それぞれのポジションに応じて前記駆動手段12を通じて電動送風機2を操作することになる。
【0020】
ここで、吸込み具6の動作について図3、4にて詳細に説明する。
【0021】
吸込み具6は大きく第1吸込み部26と第2吸込み部27を有しており、第1吸込み部26の外周に第2吸込み部27を構成している。図3において、ほぼ吸込み具6の中央に位置する第1吸込み部26は、ほぼ吸込み具6底面全体から吸引できるよう構成されている。それに対して第2吸込み部27は、前記第1吸引部26の外周部(一例として、吸込み具6の前面部)に位置している。
【0022】
使用者が吸込み具6を正面の壁にあてて、前面部の壁際のゴミを吸引する動作を行ったとする。その場合に、まず前記センサ22が、前面にあるセンサ22aが反応する。この反応した信号を、前記制御手段24に送られることで、制御手段24は吸込み具6の位置関係が、前面が壁に当てられ、使用者が前面の壁際の掃除をしていると認識する。この認識によって、制御手段24は前記開閉手段23に信号を送る。この信号は、センサ22が検知した位置関係を含め、それに対応した位置でないと効果が発揮できない。よって、センサ22のaの位置であることを制御手段24は前記開閉手段23に送る。この信号を受けた開閉手段23は、aの位置(前面、この例は前面のみであるが)前記第1吸込み部26の吸引をやめて、第2吸込み部27のaの弁を開放する動作を行う。今まで、第1吸引部26で吸引されていると、吸込み具6の底面全体での吸引であったが、第1吸引部26をやめて、第2吸引部27の前面の吸気口のみでの吸引のため、非常に前面部での吸引が効果的となる。
【0023】
上記説明では、前面の説明を行ったが、左右側面においても同様であり、左側面が、使用者によって壁際掃除が行われると、左側の第2吸引部26bを、右側側面の場合は、右側の第2吸引部cを開放し、第1吸引部26の吸引をやめる動作を、センサ22、制御手段24、開閉手段23が行う。
【0024】
次に、段差検出手段21について図5、6および図9を用いて説明する。
【0025】
使用者が階段などの掃除を行う場合に、図5のように階段のステップの幅に対して、前記吸込み具6がはみ出して掃除する場面がある。この場合に、図5のzの部分については、非常にむだな吸引を行っていることとなり、これによって、y部分の吸引が低下していることにもなってしまう。そこで、前記第1吸引部26を分割して、それぞれに対応した開閉手段23を設けて上記場合と同様に切替を行う。
【0026】
階段での図5のzのような場合を検出するために、段差検出手段21を吸込み具6の底面に複数個設ける(一例として、スイッチ、センサなどが考えられる。図9にその一例であるが示す。吸込み具6の底面に左右に1つずつ設けている。このスイッチが押されるということは、底面が床面に設置されていると判断する)。スイッチの場合には、床面に吸込み具6が面している場合とそうでない場合において信号の切替が行われ、検出方法としては簡易である。このスイッチ(段差検出手段21)を例えば、底面の2箇所にも受け、左右の段差検出スイッチ21の信号を前記制御手段24が検出し、前記開閉手段23の分割された吸引を切り替える。
【0027】
さらに、図7、8を用いて、前記表示手段28について説明する。
【0028】
使用者にとって吸引部の切替が行われていること、どの部分での吸引がいちばん強力なのかを知ることは、非常に重要なことであり、その情報によってより効果的な掃除を行うために、その場所に前記吸込み具6をその場所に維持する時間を変えてみたり、掃除方法を変更したり出来る。
【0029】
そこで、前記吸込み具6にどの場所からの吸引がなされているかを表示する表示手段28を設ける。図6に示すように、一例として天面にその表示手段を設けて、どの位置での吸引であるかを表示する。この動作については、上記に示した各手段の動作においての信号を制御手段24が受けた際に、開閉手段23に信号を送ると同じタイミングで、前記表示手段28にも送ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の吸込み具の回路ブロック図
【図2】同、電気掃除機の外観図
【図3】同、電気掃除機の吸込み具の底面イメージ図
【図4】同、電気掃除機の吸込み具の外観図
【図5】同、電気掃除機の吸込み具の段差での使用例を示すイメージ図
【図6】同、電気掃除機の吸込み具の他の例を示す回路ブロック図
【図7】同、電気掃除機の吸込み具の他の例を示す外観図
【図8】同、電気掃除機の吸込み具の他の例を示す回路ブロック図
【図9】同、電気掃除機の吸込み具の他の例を示す要部外観図
【図10】(a)同、電気掃除機の吸込み具の他の底面イメージ図(b)同、吸込み具の開閉手段の構成を示す概略図
【符号の説明】
【0031】
1 電気掃除機本体
2 電動送風機
3 ホース
4 手元操作部
5 延長管
11 ゴミ検出手段
21 段差検出手段
22 センサ
23 開閉手段
24 制御手段
26 第1吸込み部
27 第2吸込み部
28 表示手段
29 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の塵埃を吸引する吸込み具において、吸込み具下面にそれぞれ入り口を有する、複数の吸引流路と、前記複数の吸引流路を個々に開閉する開閉手段と、前記複数の吸引流路の個々の入り口近辺の塵埃を検知する複数のセンサと、制御手段とを備え、吸込み具下面に設けた前記入り口の総面積の、前記吸込み具下面の全面積に対する割合を、極力大きくすると共に、塵埃を検知したセンサに対応する吸引流路を開放し、他の吸引流路は閉じる構成とした吸込み具。
【請求項2】
吸込み具はその平面形状を2つの長辺と2つの短辺からなる略長方形とすると共に、吸引流路は、前記長辺、短辺に沿った4つの入り口を有する第2吸引流路と、前記第2吸引流路の4つの入り口に囲まれる入り口を有した第1吸引流路とから構成した請求項1記載の吸込み具。
【請求項3】
請求項1または2記載の吸込み具を用いた電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate