説明

電気掃除機

【課題】サイクロン本体に集塵容器を完全に取り付け、吸引力や遠心分離能力の低下を防止することができるようにする。
【解決手段】ノズル3と、電動送風機5の吸引口15が設けられた掃除機本体1と、この掃除機本体1の取付受部9に着脱自在に取り付けられる集塵装置4とを有し、この集塵装置4が、塵埃を遠心分離するサイクロン分離部24を構成するサイクロン本体18と、このサイクロン本体18に取り付けられる集塵容器19とを有し、前記サイクロン本体18の開口部22と前記集塵容器19の開口部39Aとが、バヨネット結合部41によって結合される電気掃除機であって、前記集塵容器19に当接部68を備えると共に、前記掃除機本体1に押圧部70を備えることで、前記集塵装置4を取り付ける動作によって、前記押圧部70が前記当接部68を押して、前記バヨネット結合部41が締まる方向に前記集塵容器19を回動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置内で吸気を旋回させて、塵埃を遠心分離するサイクロン式掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この掃除機においては、電動送風機が内蔵された本体(本発明の掃除機本体に相当する)と、前記電動送風機に連通したサイクロン本体と、このサイクロン本体に対して着脱自在に取り付けられたダストカップ(本発明の集塵容器に相当する)とを有し、前記サイクロン本体内で気流から遠心分離された塵埃を前記ダストカップ内に溜めることができるものが知られている。そして、前記ダストカップ内に溜められた塵埃は、前記サイクロン本体から前記ダストカップを取り外すことで、廃棄することができるようになっている。前記サイクロン本体と前記ダストカップは、バヨネット結合によって取り付けられる。
【0003】
したがって、再び使用するときは、前記ダストカップを前記サイクロン本体にセットしてから前記電動送風機を作動させることで、再び掃除機を使用することができるようになっている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3850738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術において、前記ダストカップを前記サイクロン本体に取り付ける場合、両者間に隙間がないように弛みなく取り付ける必要がある。しかしながら、従来技術では、前記ダストカップが前記サイクロン本体に対して不完全に取り付けられたまま使用すると、両者間の気密性が低下しているため、吸引力が低下したり、塵埃の分離能力が低下したりするという虞があった。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決し、集塵容器をサイクロン本体に対して完全に取り付けることで、吸引力や遠心分離能力の低下を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ノズルと、電動送風機の吸気口を設けた掃除機本体と、この掃除機本体の取付受部に着脱自在に取り付けられる集塵装置とを有し、この集塵装置が、空気を旋回させて塵埃を遠心分離するサイクロン分離部を構成する略円筒状のサイクロン本体と、このサイクロン本体に対し同軸状且つ着脱自在に取り付けられる円筒状の集塵容器とを有し、前記サイクロン本体の開口部と前記集塵容器の開口部とが、バヨネット結合機構又はネジ結合機構によって結合される電気掃除機において、前記集塵容器が、前記掃除機本体の取付受部と対向する部分に当接部を備えると共に、前記掃除機本体が、前記集塵装置を取り付ける動作によって前記当接部を押して、前記バヨネット結合機構又はネジ結合機構が締まる方向に前記集塵容器を回動させる押圧部を備えることを特徴とする電気掃除機である。
【0008】
請求項2の発明は、前記掃除機本体又はサイクロン本体の一方に設けられたストッパーと、前記掃除機本体又はサイクロン本体の他方に設けられたストッパー受け部と、前記サイクロン本体における前記ストッパー又はストッパー受け部とは反対側に設けられた係止突起と、前記取付受部における前記ストッパー又はストッパー受け部とは反対側に設けられた係止リブとを有すると共に、前記集塵容器が、前記ストッパー又はストッパー受け部とは反対側に設けられた第二の当接部を有し、この第二の当接部に対応して、前記掃除機本体が第二の押圧部を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、前記集塵装置を前記掃除機本体の取付受部へ取り付ける際に、仮に前記集塵容器が不完全な状態で前記サイクロン本体に取り付けられていたとしても、前記押圧部によって前記当接部が押されることで、前記集塵容器が前記サイクロン本体に対して締め付けられる方向に回動するので、前記集塵容器を前記サイクロン本体に完全に装着させ、両者間の気密性を確保して、吸引力や塵埃の分離能力の低下を防ぐことができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、前記集塵装置を前記掃除機本体の取付受部へ取り付ける際に、前記集塵容器の第二の当接部が、前記第二の押圧部に押されることによっても、前記集塵容器を前記サイクロン本体に対して締め付けられる方向に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1を示す電気掃除機の斜視図である。
【図2】同、別の方向から見た斜視図である。
【図3】同、一部を切り欠いた側面図である。
【図4】同、X−X断面図である。
【図5】同、全体の分解斜視図である。
【図6】同、フィルターユニットを外した状態における集塵装置の斜視図である。
【図7】同、集塵容器を外した状態における集塵装置の斜視図である。
【図8】同、集塵装置の底側からの斜視図ある。
【図9】同、集塵装置を取り付ける過程におけるサイクロン本体の断面図である。
【図10】同、集塵装置を取り付ける過程における集塵容器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図10は、実施例1を示している。本実施例の床走行型のサイクロン式掃除機は、掃除機本体1と、この掃除機本体1に対してパイプ状の接続部2を介して着脱自在に取り付けられるノズル3と、前記掃除機本体1に対して着脱自在に取り付けられるサイクロン式の集塵装置4とを有している。
【0014】
前記掃除機本体1は、いずれも図示しない電動機によって回転駆動されるファン部を備えた電動送風機5が内蔵された胴部6と、この胴部6の上面に設けられた把持部7と、前記胴部6の横向き方向となる左右両側、すなわち掃除機本体1が床面走行(前向き)にあるとき、その前後方向に対して水平に直交する方向にそれぞれ設けた走行車輪8とを有する。なお、前記胴部6の後部には、図示しない電源コードが繰り出し、巻き取り可能に設けられている。さらに、前記胴部6の前半部には、前記集塵装置4を着脱自在に取り付けるための取付受部9を設ける。この取付受部9は、前記胴部6の後半部との仕切りをなす後面部10と、この後面部10の下部から前方へ向けて突設する底板部11と、この底板部11の前縁に該前縁に沿ってやや立ち上がる第二の押圧部としての前部立ち上り板部12と、底板部11の左右縁に該左右縁に沿ってやや立ち上がる左右部立ち上り板部13とを有して、前方、上方及び左右両側を開口するように形成している。さらに、前記前部立ち上り板部12の先端には、後側斜め上方に向かう係止リブ14が突設している。そして、前記掃除機本体1の左側を一側としたとき、前記後面部10の左右方向の他側となる右側に、前記電装送風機5の吸気口15が設けられている。なお、前記底板部11の下面の平面視中央には、キャスター16が設けられている。また、前記接続部2の途中にある図示しない把持部には、前記電装送風機5を操作するための図示しないスイッチ操作部が設けられている。
【0015】
前記集塵装置4は、両端面が塞がれた略円筒状の中空構造物である。そして、前記集塵装置4は、その中心の軸心17が左右方向を向き、サイクロンの旋回気流が左方向(横方向)に向かうように、掃除機本体1の取付受部9に対し着脱可能に横向きに載置されるようになっている。前記集塵装置4は、左右方向の中央部にサイクロン本体18を設け、このサイクロン本体18の左右方向の一側に集塵容器19を設けると共に、前記サイクロン本体18の左右方向の他側にフィルターケース20を設ける。そして、このフィルターケース20には、後で詳述するフィルターユニット21が収容されている。なお、前記サイクロン本体18、前記集塵容器19、前記フィルターケース20は透明又は半透明に形成されている。
【0016】
前記サイクロン本体18は、前記軸心17方向の一側に開口部22が設けられる。また、前記サイクロン本体18は、その外周上部に前記接続部2を接続するための接続口23を前向きに設けると共に、前記サイクロン本体18の内部に、前記軸心17を中心としたサイクロン分離部24が形成される。このサイクロン分離部24は、前記ノズル3から吸引された気流を前記サイクロン本体18の内周面のほぼ接線方向に導く導入部25と、前記サイクロン本体18の内周面の内側に間隔を置いて設けられた第一円筒部26と、この第一円筒部26の内側に間隔を置いて設けられた第二円筒部27と、この第二円筒部27の内側に間隔を置いて設けられた空気出口としての連通円筒28とを備える。前記導入部25は、前記サイクロン本体18と一体に設けられる。また、前記接続口23は、前記導入部25に接続される。
【0017】
前記第一円筒部26は、前記軸心17を中心とした略有底円筒状に形成される。また、前記第一円筒部26は、その基端側が、前記サイクロン本体18の他側に一体に形成された仕切壁29に対して着脱自在に取り付けられる。また、前記第一円筒部26は、その先端側の全周に亘って、リブ30及びスカート部31を有する。更に、前記第一円筒部26は、その側面に多数の通気孔32を有する。なお、これらの通気孔32は、前記第一円筒部26の前側面と後側面と下側面、即ち前記導入部25に近接する上側面を除いた部分に形成される。前記リブ30は、その外周が前記サイクロン本体18の内周との間に所定の間隔を置くように、前記軸心17と同軸の円盤状に形成される。また、前記スカート部31は、前記リブ30よりも前記第一円筒部26の先端側に、前記軸心17と同軸状に設けられる。そして、前記スカート部31は、前記軸心17から外側に向かって、且つ前記軸心17の一側に向かって伸びるように形成される。なお、前記スカート部31の先端部は、同径な短筒状に形成されている。また、前記スカート部31の外径は、前記リブ30の外径よりもやや小さい。
【0018】
前記第二円筒部27は、軸心17方向の両端が開口した筒状に形成される。また、前記第二円筒部27は、その基端側が、前記仕切壁29に対して取り付けられる。また、前記第二円筒部27の先端側は、前記第一円筒部26の内面に当接する。更に、前記第二円筒部27の側面には、前記第一円筒部26の内部空間の空気を前記第二円筒部27の内周面の略接線方向に導く連通部33が形成される。
【0019】
前記連通円筒28は、前記仕切壁29と一体に形成される。また、前記連通円筒28は、前記軸心17と同軸状に形成される。そして、前記連通円筒28の内径Aは、前記フィルターケース20の内径Bよりも小さく形成されている。なお、前記仕切壁29の他側には、前記フィルターユニット21の先端が当接する当接部34が設けられる。更に、前記第二円筒部27の内側には、前記ノズル3から前記吸気口15にいたる空気経路35の途中にある排気通路36が設けられている。
【0020】
従って、前記空気経路35に沿って前記ノズル3から前記接続部2及び前記接続口23を経て前記導入部25より前記サイクロン分離部24に流入した気流は、前記サイクロン本体18の内周面に沿って接線方向に流入することで、このサイクロン本体18内で旋回し、塵埃を遠心分離した後、前記連通部33から前記第二円筒部27の内周面に沿って接線方向に流入することで、この第二円筒部27内で旋回し、塵埃を遠心分離し、更に前記連通円筒28から前記フィルターケース20に流れる。
【0021】
前記集塵容器19は、有底短円筒状に形成されており、その内部に集塵室37が形成される。即ち、前記集塵容器19は、円板状の一側端面板38と、この一側端面板38の外周から突設される短円筒部39からなる。そして、前記一側端面板38の外面には、第一の摘み40が設けられる。また、前記集塵容器19の短円筒部39の他側には、開口部39Aが形成される。この開口部39Aの端部は、前記サイクロン本体18の一側に設けられた開口部22の端部と気密に連通して接続するように、前記軸心17を捻り中心軸とするバヨネット結合部41によって着脱自在とされている。このバヨネット結合部41は、いわゆる「抜き挿し」と「ひねり」を組み合わせて、前記サイクロン本体18と前記集塵容器19の結合・分離を行う結合構造である。本実施例では、前記集塵容器19の開口部39Aの外縁部に、外向きのバヨネット用突起42が設けられると共に、前記サイクロン本体18の開口部22の内縁部に、前記バヨネット用突起42が挿入されるバヨネット用溝43が形成されている。このバヨネット用溝43は、前記開口部22の内縁で開口する溝入口43Aと、この溝入口43Aに連通し前記開口部22の縁に沿って円周方向に延設される係止溝部43Bを有する。なお、前記集塵容器19は、前記軸心17の一側から見て、前記サイクロン本体18に対し左回りに回動させることで固定され、右回りに回動させることで取り外し可能となる。
【0022】
前記フィルターケース20は、有底短円筒状に形成されている。即ち、前記フィルターケース20は、円板状の他側端面板44と、この他側端面板44の外周から突設する短円筒部45からなる。また、前記短円筒部45の一側には開口部46が形成されている。なお、この開口部46は、前記サイクロン本体18の他側に設けられた固定部47に対し、気密に固定される。なお、前記フィルターケース20は、前記サイクロン本体18に対しビス止めされている。また、前記他側端面板44には、前記軸心17と同軸に左右方向に貫通する円形状の取付孔48が形成されている。そして、この取付孔48に対し、前記フィルターユニット21が着脱可能に取り付けられる。そして、前記フィルターケース20の短円筒部45には、前記集塵装置4を前記取付受部9に正常にセットしたときに前記吸気口15に対向して連通する排気口49が設けられている。なお、前記取付孔48の内径Cは、前記連通円筒28の内径Aよりも大きく、且つ前記フィルターケース20の内径Bよりも小さく形成されている。
【0023】
前記フィルターユニット21は、前記取付孔48に着脱自在に嵌合すると共に外面に第二の摘み50を備えた蓋体51と、この蓋体51の内側に一体化して設けられる織布製或いは不織布製のフィルター本体52と、このフィルター本体52を保持するための補強用の枠体53とを備える。なお、前記蓋体51と枠体53は、合成樹脂によって一体に形成されている。前記蓋体51は円板状であって、その外面に前記第二の摘み50を設けていると共に、その外周に気密用のパッキン51Aを設けている。前記枠体53は、前記軸心17と同軸状の円筒形であって、その基端が前記蓋体51の内面に接続される。また、前記枠体53の内径Dは、前記連通円筒28の内径Aよりも大きく、且つ前記取付孔48の内径Cよりも小さく形成されている。また、前記枠体53の先端は、前記フィルターユニット21を前記取付孔48に挿入して取り付けたときに、前記連通円筒28を囲むように前記当接部34に気密に接続するようになっている。そして、前記枠体53の周面には、内外を連通する連通孔55が窓孔状に複数形成されている。更に、前記枠体53の先端外周には、前記当接部34に当接するパッキン54が設けられている。前記フィルター本体52は、前記軸心17と同軸状の略円筒形状であって、前記枠体53の内周面に沿って装着されている。従って、前記連通円筒28を通過した空気は、前記フィルター本体52の内部に入り、そして、このフィルター本体52、連通孔55を通過して、前記枠体53とフィルターケース20との間の空隙56に至り、さらに前記排気口49より吸気口15へ排気される。この際、空気に含まれている微細な塵は、前記フィルター本体52により捕捉されるようになっている。
【0024】
更に、前記集塵装置4を前記掃除機本体1の取付受部9に正確にセットするための構成について説明する。前記掃除機本体1の取付受部9に臨む前記胴部6の上面に、前記サイクロン本体18を係止するためのストッパー57が設けられている。一方、前記サイクロン本体18の上面後部には、前記ストッパー57が係止可能なストッパー受け部58が設けられている。これによって、前記ストッパー57を前記ストッパー受け部58に係止できるようになっている。
【0025】
また、前記サイクロン本体18の後部には、位置決め用の下向きの挿入突起59が設けられる。この挿入突起59は、背面視で略矩形板状であって、前記軸心17と直交するように、且つ前記サイクロン本体18の周面に対してほぼ接線方向となるように、前記サイクロン本体18と一体に形成されている。そして、前記取付受部9の後面部10の下部に、前記挿入突起59が挿入される受け凹部61が上部を開口して設けられている。そして、前記挿入突起59が前記受け凹部61に挿入されることで、前記集塵装置4の左右方向の位置決めがなされる。一方、前記サイクロン本体18の前側下部には、係止突起63が設けられており、この係止突起63は、前記係止リブ14と係合可能に構成されている。なお、前記底板部11の前部中央に凸部67が設けられており、この凸部67に被さるように前記係止突起63が位置することで、前記集塵装置4の左右方向の位置決めがなされる。
【0026】
また、前記集塵容器19の短円筒部39の後部下側には、当接部68が設けられる。この当接部68は、セット時に水平となる底面部69を有しており、この底面部69が当接する受け台状の押圧部70が、前記取付受部9の後部に上向きに設けられている。なお、前記当接部68の底面部69は、前記挿入突起59の下端よりも高い位置にあり、また前記押圧部70は前記受け凹部61の上端よりも高い位置にあることで、前記挿入突起59が前記受け凹部61に完全に挿入される前に、バヨネット結合部41が弛んでいる場合には、前記押圧部70が前記当接部68を押し上げて、前記集塵容器19を、前記軸心17を回転中心としてサイクロン本体18に対して左回りに回動せしめて、バヨネット用突起42を溝部43B側に強制的に移動できるようになっている。一方、前記短円筒部39の前側下部には、第二の当接部としての突起71が下方へ向けて設けられており、この突起71は、前記係止突起63と左右方向に並んで設けられている。更に、前記フィルターケース20の短円筒部45の前側下部にも、前記係止突起63と同様に、突起72が下方へ向けて設けられており、この突起72は、前記係止突起63と左右方向に並んで設けられている。そして前記集塵容器19の突起71及び前記フィルターケース20の突起72は、前記前部立ち上り板部12に当接可能である。
【0027】
次に、前記構成について、その作用を説明する。前記集塵装置4の組み立ては、以下の手順で行われる。まず、前記第一の摘み40を摘んだ状態で、前記集塵容器19の開口部39Aを、前記サイクロン本体18の開口部22に合わせ、そして、前記バヨネット用突起42を前記溝入口43Aに挿入した後、前記集塵容器19を前記サイクロン本体18に対して前記軸心17を中心に左回りに回動させて、前記バヨネット用突起42を前記係止溝部43Bに導入することで、前記集塵容器19を前記サイクロン本体18に結合する。次に、前記第二の摘み50を摘んで、前記フィルターユニット21を前記取付孔48に挿入する。この際、前記蓋体51のパッキン54が、前記取付孔48に密着することで、前記蓋体51が前記取付孔48に対し気密に取り付けられる。また、この際、前記枠体53の先端が、前記連通円筒28を囲むように前記当接部34に気密に接続される。このようにして、前記集塵装置4が組み立てられる。
【0028】
このように組み立てられた前記集塵装置4を、前記取付受部9に取り付ける手順について説明する。まず、図9に示すように、前記集塵装置4をやや前下がりの状態とし、前記凸部67に被さるように、前記係止突起63を前記係止リブ14に掛ける。この状態で、前記集塵装置4の後部を下方に押し下げると、前記挿入突起59が前記受け凹部61に挿入される。このとき、前記集塵装置4は、前記掃除機本体1の左右方向中央に位置決めされる。そして、前記集塵装置4の後部を更に下方に押し下げると、前記ストッパー57が前記ストッパー受け部58と係合する。このように、前記ストッパー57が前記ストッパー受け部58と係合することによって、前記係止リブ14に掛かった前記係止突起63が、前記係止リブ14から外れないように係合する。このようにして、前記集塵装置4は前記取付受部9に取り付けられる。この際、前記当接部68の底面部69は、前記押圧部70の上面に当接する。
【0029】
なお、前記サイクロン本体18に対して前記集塵容器19の取り付けが不十分である場合、即ち、前記集塵容器19が前記サイクロン本体18に対し最後まで回動されていない場合、前記サイクロン本体18と前記集塵容器19の間の気密性が低下した状態となる。この際、前記集塵容器19の突起71は、前記係止突起63とは並んでおらず、前記係止突起63よりも前に位置する。このような状態で、前記集塵装置4を上述のように前記掃除機本体1に取り付ける場合、図10に示すように、前記係止突起63を前記係止リブ14に掛け、前記集塵装置4の後部を下方に押し下げると、前記当接部68が、前記押圧部70の上面に当接する。ここから、前記集塵装置4の後部を更に下方に押し下げると、前記当接部68は、前記押圧部70によって押し上げられる。同時に、前記突起71も、前記前部立ち上り板部12によって後方に押される。このようにして、前記集塵容器19は、前記軸心17の一側から見て、この軸心17を中心として左回りに回動する。これにより、前記バヨネット用突起42が前記係止溝部43Bの奥側に移動させられて、前記集塵容器19が前記サイクロン本体18に対し、完全に装着される。それと同時に、前記ストッパー57が前記ストッパー受け部58と係合する。このようにして、前記サイクロン本体18と集塵容器19の弛みが解消された状態で、前記集塵装置4を掃除機本体1に装着することができる。
【0030】
なお、前記集塵容器19の弛みが大きすぎる場合、前記突起71が上方から前記前部立ち上り板部12に当接するので、前記係止突起63が前記係止リブ14に掛かりにくくなる。従って、使用者は前記集塵装置4の異常に気づき、前記集塵容器19を前記サイクロン本体18に対して付け直すことになる。
【0031】
このようにして、前記集塵装置4が取り付けられた状態で、図示しない前記スイッチ操作部を操作して、前記電動送風機5を作動させると、前記吸気口15において空気の吸引がなされる。この吸引力により、前記ノズル3より空気が塵と共に吸引される。この空気は、前記接続部2及び接続口23を介して、前記導入部25より前記サイクロン分離部24に導入される。このサイクロン分離部24内において、前記気流は、前記サイクロン本体18の内周壁に沿って旋回しながら、前記軸心17の一側に向かって流れる。この際、前記気流中の粗い塵埃は、遠心力によって分離され、前記集塵容器19の集塵室37内に溜められる。そして、粗い塵埃が分離された気流は、前記スカート部31及びリブ30を乗り越えて、前記第一円筒部26の通気孔32を通過し、前記第一円筒部26内に流入する。そして、前記第一円筒部26内に流入した気流は、前記連通部33によって前記第二円筒部27の内周壁に沿って導入される。そして、この第二円筒部27内に流入した気流は、この第二円筒部の内周壁に沿って旋回しながら、前記軸心17の一側に向かって流れる。この際、前記気流中の中程度の塵埃は、遠心力によって分離され、前記第一円筒部26と第二円筒部27の間に溜められる。更に、中程度の塵埃が分離された気流は、前記連通円筒28を経て、前記フィルターケース20内に設けられた前記フィルター本体52の内側に流入する。
【0032】
前記フィルター本体52の内側に流入した気流は、このフィルター本体52の内側から外側へ通過する。この際、気流に少量含まれる微小な塵埃が、前記フィルター本体52に捕捉されることで、このフィルター本体52の外側に清浄空気が生成される。そして、この清浄空気は、前記フィルター本体52とフィルターケース20との間の空隙56にいったん溜まった後に、前記排気口49及び吸気口15を介して前記伝導送風機5に吸引された後、前記掃除機本体1外の大気に排気される。
【0033】
掃除の途中或いは掃除後において、前記フィルター本体52が目詰まりしたときは、前記集塵装置4を前記掃除機本体1に取り付けたまま、前記第二の摘み50を摘んで抜き出すことで、前記フィルターユニット21を前記取付孔48より取り外す。そして、前記フィルター本体52に付着した塵埃を除去し、再び前記フィルターユニット21を前記取付孔48に挿入して取り付ける。従って、前記フィルターユニット21を清掃する場合、前記集塵装置4を前記掃除機本体1から取り外したり分解したりする必要がなく、前記フィルターユニット21のみを取り外すことができる。また、使用者は、前記第二の摘み50のみ摘めばよいので、手を汚しにくくすることができる。
【0034】
なお、前記フィルターユニット21を前記取付孔48に付け忘れた状態で、図示しない前記スイッチ操作部を操作して、前記電動送風機5を作動させたとしても、この電動送風機5は、前記取付孔48から前記フィルターケース20に外気を導入する。そして、この導入された外気は、前記排気口49及び吸気口15を介して、前記電動送風機5に吸引された後、前記掃除機本体1外の大気に排気される。この結果、前記フィルターユニット21が取り付けられていない状態では、前記ノズル3から空気は殆ど吸引されなくなる。従って、細かい塵が前記ノズル3から吸引されて大気中へ拡散するという現象を起こさないようにすることができる。
【0035】
掃除後においては、前記ストッパー57を操作して前記ストッパー受け部58との係止を解除し、さらに前記集塵装置4の後部を上方へ持ち上げることで、この集塵装置4を前記掃除機本体1から取り外す。次に、前記集塵容器19が下側になるように、前記集塵装置4を立てた状態で、前記第一の摘み40を摘んで、前記集塵容器19を下方から見て前記軸心17を中心に右回りに回動させて、前記バヨネット結合部41を弛めて前記集塵容器19を前記サイクロン本体18から取り外す。そして、この取り外された前記集塵容器19に収容されている粗い塵埃を廃棄する。また、前記第一円筒部26を前記サイクロン本体18の仕切壁29から取り外すことで、前記第一円筒部26と第二円筒部27との間に溜められた中程度の塵埃が廃棄される。そして再び、前記第一円筒部26を前記サイクロン本体18の仕切壁29に取り付けた後、前記集塵容器19を前記サイクロン本体18に取り付ける。
【0036】
以上のように、前記実施例では、ノズル3と、電動送風機5の吸気口15を設けた掃除機本体1と、この掃除機本体1の取付受部9に着脱自在に取り付けられる集塵装置4とを有し、この集塵装置4が、空気を旋回させて塵埃を遠心分離するサイクロン分離部24を構成する略円筒状のサイクロン本体18と、このサイクロン本体18に対し同軸状且つ着脱自在に取り付けられる円筒状の集塵容器19とを有し、前記サイクロン本体18の開口部22と前記集塵容器19の開口部39Aとが、バヨネット結合部41によって結合される電気掃除機において、前記集塵容器19が、前記掃除機本体1の取付受部9と対向する部分に当接部68を備えると共に、前記掃除機本体1が、前記集塵装置4を取り付ける動作によって前記当接部68を押して、前記バヨネット結合部41が締まる方向に前記集塵容器19を回動させる押圧部70を備えることにより、前記集塵装置4を前記掃除機本体1の取付受部9へ取り付ける際に、仮に前記集塵容器19が不完全な状態で前記サイクロン本体18に取り付けられていたとしても、前記押圧部70によって前記当接部68が押されることで、前記集塵容器19が前記サイクロン本体18に対して締め付けられる方向に回動するので、前記集塵容器19を前記サイクロン本体18に完全に装着させ、両者間の気密性を確保して、吸引力や塵埃の分離能力の低下を防ぐことができる。
【0037】
また、前記掃除機本体1又はサイクロン本体18の一方に設けられたストッパー57と、前記掃除機本体1又はサイクロン本体18の他方に設けられたストッパー受け部58と、前記サイクロン本体における前記ストッパー57又はストッパー受け部58とは反対側に設けられた係止突起63と、前記取付受部9における前記ストッパー57又はストッパー受け部58とは反対側に設けられた係止リブ14とを有すると共に、前記集塵容器19が、第二の押圧部としての前部立ち上り板部12に当接する第二の当接部としての突起71を有することで、前記集塵装置4を前記掃除機本体1の取付受部9へ取り付ける際に、前記集塵容器19の突起71が、前記前部立ち上がり板部14に押されることによっても、前記集塵容器19を前記サイクロン本体18に対して締め付けられる方向に回動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように本発明に係る電気掃除機は、各種の用途に適用できる。例えば、実施例では集塵容器をサイクロン本体にバヨネット結合により接続したが、、一方に雄ネジ、他方に雌ネジを設けたネジ方式によって結合してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 掃除機本体
3 ノズル
4 集塵装置
5 電動送風機
9 取付受部
12 前部立ち上がり板部(第二の押圧部)
14 係止リブ14
15 吸気口
17 軸心
18 サイクロン本体
19 集塵容器
22 開口部
24 サイクロン分離部
39A 開口部
41 バヨネット結合機構
57 ストッパー
58 ストッパー受け部
62 係止突起
63 係止突起
68 当接部
70 押圧部
71 突起(第二の当接部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、電動送風機の吸気口を設けた掃除機本体と、この掃除機本体の取付受部に着脱自在に取り付けられる集塵装置とを有し、この集塵装置が、空気を旋回させて塵埃を遠心分離するサイクロン分離部を構成する略円筒状のサイクロン本体と、このサイクロン本体に対し同軸状且つ着脱自在に取り付けられる円筒状の集塵容器とを有し、前記サイクロン本体の開口部と前記集塵容器の開口部とが、バヨネット結合機構又はネジ結合機構によって結合される電気掃除機において、
前記集塵容器が、前記掃除機本体の取付受部と対向する部分に当接部を備えると共に、
前記掃除機本体が、前記集塵装置を取り付ける動作によって前記当接部を押して、前記バヨネット結合機構又はネジ結合機構が締まる方向に前記集塵容器を回動させる押圧部を備えることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記掃除機本体又はサイクロン本体の一方に設けられたストッパーと、前記掃除機本体又はサイクロン本体の他方に設けられたストッパー受け部と、前記サイクロン本体における前記ストッパー又はストッパー受け部とは反対側に設けられた係止突起と、前記取付受部における前記ストッパー又はストッパー受け部とは反対側に設けられた係止リブとを有すると共に、前記集塵容器が、前記ストッパー又はストッパー受け部とは反対側に設けられた第二の当接部を有し、この第二の当接部に対応して、前記掃除機本体が第二の押圧部を有することを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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