説明

電気掃除機

【課題】用途に応じて、ブラシを使い分けることを可能とする。
【解決手段】内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が掃除機本体に連通され、他端に吸込管1が配設されるホースと、吸込管1に着脱自在に接続される延長管5と、延長管5に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、吸込管1または延長管5に配設され、収納状態と、吸込管または延長管の先端から突出した使用状態とに移動可能なブラシアタッチメント7とを備え、ブラシ9は、多層構造を取る長さ及び硬さの異なる少なくとも二種類以上のブラシで構成され、硬いブラシほど短く形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、先端に吸込管が配設されるホースに、延長管を介して、床用吸込具を接続し、床面等の掃除が行えるように構成される。この構成に加えて、例えば、部屋のコーナーや障子の桟などの床用吸込具では、掃除しにくい場所を掃除するために、先端にブラシが植毛され、吸込管あるいは延長管等に取り付け可能に構成されるブラシアタッチメント等が備えられる。
【0003】
近年の電気掃除機は、ブラシアタッチメントの紛失防止や、取り外しの煩雑さ解消の目的で、ブラシアタッチメントを取り外すことなく、吸込管あるいは延長管に取り付けた状態のまま、ブラシアタッチメントを収納状態に移動できるように構成されおり、必要に応じて、床用吸込具あるいは延長管を外し、ブラシアタッチメントを使用状態に移動させて隙間等を掃除できるようになっている。
【0004】
前述の目的を達成するための具体的な構成としては、吸込管の左右両側に突起状の枢支部を形成し、該枢支部に、略U字状に形成され、ブラシを有するブラシアタッチメントが回動自在に枢支されるように構成することで、ブラシアタッチメントを回動させることにより、ブラシアタッチメントに備えられたブラシが、吸込管の先端から突出する使用状態と吸込管に沿った位置に収納される収納状態のいずれかの状態を選択可能に構成された電気掃除機が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−335440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
掃除する場所や用途によって必要とされるブラシの硬さは異なるものである。例えば、液晶画面等は、硬いブラシで掃除を行うと傷つく虞があるため、使用するブラシは柔らかいブラシであることが好ましく、逆に隙間などの塵埃が蓄積されやすい場所を掃除するためには、塵埃の掻き出しに適した硬めのブラシのほうが、柔らかいブラシを使用するよりも効果的である。
【0007】
しかし、特許文献1のような構成では、吸込管に取り付けられるブラシは一種類であり、それ以外のブラシを使用するためには、従来の吸込管に差し込むタイプのアタッチメントを別途用意しなければならないという問題があった。
【0008】
本発明は、用途に応じて、ブラシを使い分けることが可能で、かつ吸込管あるいは延長管に取り付けた状態のまま収納することができるブラシアタッチメントを備えた電気掃除機を提供する物である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が該掃除機本体に連通され、他端に吸込管が配設されるホースと、前記吸込管に着脱自在に接続される延長管と、該延長管に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、前記吸込管または前記延長管に配設され、収納状態と、吸込管または延長管の先端から突出した使用状態とに移動可能なブラシアタッチメントとを備え、前記ブラシは、多層構造を取る長さ及び硬さの異なる少なくとも二種類以上のブラシで構成され、硬いブラシほど短く形成されることを特徴とする。
【0010】
または、内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が該掃除機本体に連通され、他端に吸込管が配設されるホースと、前記吸込管に着脱自在に接続される延長管と、該延長管に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、前記吸込管または前記延長管の左右両側に形成される枢支部と、該枢支部に回動自在に枢支されるブラシアタッチメントとを備え、前記ブラシアタッチメントは、略U字状に形成される基部と、該基部の一面に植毛されるブラシとで構成されるとともに、前記枢支部を支点として回動することで、前記ブラシが前記吸込管の先端から突出する突出状態と、前記ブラシが前記吸込管に沿って収納される収納状態とのいずれかの状態を選択可能に構成され、前記ブラシは、多層構造を取る長さ及び硬さの異なる少なくとも二種類以上のブラシで構成され、硬いブラシほど短く形成されることを特徴とする。
【0011】
前記ブラシは、前記突出状態あるいは前記収納状態において、硬いブラシほど、内側となる位置に植毛されることが好ましい。
【0012】
前記ブラシアタッチメントが有するブラシは、柔らかい長毛ブラシと、硬い短毛ブラシとの二種類のブラシであることが好ましい。
【0013】
または、内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が該掃除機本体に連通し、他端に吸込管が配設されるホースと、前記吸込管に着脱自在に接続される延長管と、該延長管に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、前記吸込管または前記延長管の左右両側に形成される枢支部と、該枢支部が貫通するように該枢支部に回動自在に嵌着される下側ブラシアタッチメントと、前記枢支部に回動自在に枢支される上側ブラシアタッチメントを備え、前記下側ブラシアタッチメント及び上側ブラシアタッチメントは、いずれも略U字状に形成される基部と、該基部の一面に植毛されるブラシとで構成されるとともに、前記枢支部を支点として回動することで、前記ブラシが前記吸込管の先端から突出する突出状態と、前記ブラシが前記吸込管に沿って収納される収納状態とのいずれかの状態を選択可能に構成され、前記下側ブラシアタッチメントが有するブラシと、前記上側ブラシアタッチメントが有するブラシとは、ブラシの長さ及び硬さが異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項2によると、ブラシアタッチメントに長さおよび硬さの異なるブラシを備え、硬いブラシほど短くなるように形成することで、被掃除面へのブラシアタッチメントの押しつけ加減によって、掃除に寄与させるブラシを選択可能とし、ブラシを使い分けることができる等の効果を奏する。
【0015】
請求項3によると、吸込管開口に対して、短く硬いブラシが内周側に位置し、柔らかく長いブラシが外周側に位置するため、長毛ブラシを短毛ブラシが支え、長毛ブラシの毛先が吸込管近傍の空気とともに吸込管に吸い込まれ、吸込管の開口を閉塞してしまうことを防止することができる等の効果を奏する。
【0016】
請求項4によると、植毛されるブラシが二種類であるため、ブラシの使い分けが容易である等の効果を奏する。
【0017】
請求項5によると、異なるブラシを有するブラシアタッチメントが吸込管に配設され、任意のブラシアタッチメントのみを回動させることができるので、使用するブラシを選択できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態におけるブラシアタッチメントの収納状態を示す吸込管の斜視図である。
【図2】同ブラシアタッチメントの使用状態を示す吸込管の斜視図である。
【図3】同吸込管の下側から見た斜視図である。
【図4】同延長管を吸込管に接続する様子を示す吸込管の斜視図である。
【図5】本発明の第二実施形態におけるブラシアタッチメントの収納状態を示す吸込管の斜視図である。
【図6】同下側ブラシアタッチメントの使用状態を示す斜視図である。
【図7】同上側ブラシアタッチメントの使用状態を示す斜視図である。
【図8】同延長管を吸込管に接続する様子を示す吸込管の斜視図である。
【図9】同延長管を吸込管に接続した状態を示す吸込管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第一実施形態について図1乃至図4に基づいて以下に詳述する。
【0020】
1は可撓性を有するホース(図示しない)の一端に接続される吸込管で、ホースの他端に図示しない本体側接続管を備え、該本体側接続管は、電動送風機を有する図示しない掃除機本体に着脱自在に装着される。前記吸込管1外周部には、操作パネル2を有する把手部3と、該把手部3に対して反対側の位置に取っ手部4とが形成されている。以後、吸込管1に対して把手部3が位置する方を上側とする。5は一端が前記吸込管1に着脱自在に接続される延長管で、該延長管の他端には、図示しない床用吸込具が着脱自在、かつ揺動自在に接続されるようになっている。
【0021】
6は前記吸込管1の左右両側に形成される突起状の枢支部、7は前記枢支部6に枢支されるブラシアタッチメントで、合成樹脂からなる略U字状の基部8と、該基部8の端面に植毛されたブラシ9とにより構成され、前記ブラシ9は、外周側に位置する柔らかい材料からなる長毛ブラシ10と、内周側に位置する長毛ブラシ10より硬い材料からなる短毛ブラシ11とから構成されている。
【0022】
前記ブラシアタッチメント7は、枢支部6を支点として回動させることで、前記ブラシ9が吸込管1の先端から突出する使用状態と、ブラシ9の先端が使用者の手元側に向くように吸込管1に沿って収納される収納状態とのいずれかの状態を選択可能となっている。
【0023】
而して、液晶画面等の傷に弱い部分を掃除する際には、柔らかい長毛ブラシ10だけを被掃除面に接触させるように吸込管1を近づけることで、被掃除面に傷がつくことを防止し、逆に隙間などを掃除する際には、硬い短毛ブラシ11まで被掃除面に接触するように吸込管1を近づけることで、被掃除面に付着した塵埃を掻き出すようにして掃除することが可能となる。
【0024】
この構成によると、硬い短毛ブラシ11が配設されているので、ブラシアタッチメント7を使用して掃除を行う際、被掃除面に吸込管1を近づけすぎることがなく、長毛ブラシ10が根元から折れ曲がってしまうことを防止している。また、掃除を行う際、吸込管1には吸込管1近傍の空気も一緒に吸い込まれるが、短毛ブラシ11が内周側にあることで、長毛ブラシ10を短毛ブラシ11が支えるため、長毛ブラシ10の毛先が吸込管1近傍の空気とともに吸込管1に吸い込まれ、吸込管1の開口を閉塞してしまうことを防止することができる。
【0025】
一方、図4に示すようにブラシアタッチメント7を収納状態とした場合、ブラシアタッチメント7は、吸込管1に沿うように収納され、吸込管1への前記延長管5等の取り付けに支障を来すことがない。また、ブラシアタッチメント7のブラシ9は、収納状態では、ブラシ9が吸込管1に沿い、先端が開口から突出しないように手元側に向いた状態で収納されるため、長期使用により毛先が捲れても、延長管5等のアタッチメントを取り付ける際に、ブラシ9を噛み込んでアタッチメントが接続困難になる虞がない。
【0026】
次に、本発明の第二実施形態について図5乃至図9に基づいて以下に詳述する。尚、上述した第一実施形態と同一部品は同一符号を附して説明を省略する。
【0027】
12は前記吸込管1枢支部に貫通した状態で回動自在に嵌着される下側ブラシアタッチメントで、合成樹脂からなる略U字状の基部13と、該基部13の端面に植毛された長毛ブラシ14とにより構成され、該長毛ブラシ14は、柔らかい材料で形成されている。
【0028】
15は前記枢支部の外側から嵌め込まれ、回動自在に枢支される上側ブラシアタッチメントで、合成樹脂からなる略U字状の基部16と、該基部16の端面に植毛された短毛ブラシ17とにより構成され、前記短毛ブラシ17は、前記長毛ブラシ14よりも硬い材料によって形成されている。
【0029】
前記下側ブラシアタッチメント12及び前記上側ブラシアタッチメント15は、互いに独立に回動させることができるようになっており、前記下側ブラシアタッチメント12または前記上側ブラシアタッチメント15を回動させることで、ブラシが前記吸込管1先端から突出する使用状態と、ブラシの先端が手元側に向くように前記吸込管1に沿って収納される収納状態のいずれかの状態を選択可能となっている。
【0030】
而して、液晶画面等の傷に弱い部分を掃除する際には、上側ブラシアタッチメント15を使用状態とすることで、柔らかい長毛ブラシ14で被掃除面を掃除することができ、逆に隙間などの塵埃が蓄積されやすい場所を掃除する際には、下側ブラシアタッチメント12を使用状態とすることで、硬い短毛ブラシ17で、被掃除面に付着した塵埃を掻き出すようにして掃除することが可能となる。
【0031】
尚、第二実施形態では、上側ブラシアタッチメント15を収納状態にした際には、延長管5の着脱のための操作ボタンAは隠れてしまうが、操作ボタンAを覆い隠す上側ブラシアタッチメント15の基部16を外側から押圧することで、基部16が変形し、操作ボタンAを操作できるようになっている。
【0032】
本発明の第二実施形態では、下側ブラシアタッチメント12に対して、上側ブラシアタッチメント15が外側に位置するようになっているが、下側ブラシアタッチメントが外側に位置するように構成してもよい。
【0033】
また、下側ブラシアタッチメント12に硬い短毛ブラシ17、上側ブラシアタッチメント15に柔らかい長毛ブラシ14を配設する実施形態を例示しているが、下側ブラシアタッチメント12に柔らかい長毛ブラシ14、上側ブラシアタッチメント15に硬い短毛ブラシ17を配設しても良い。
【0034】
本発明の第一実施形態、第二実施形態のいずれも、ブラシアタッチメントを吸込管1に配設している実施形態を例示しているが、ブラシアタッチメントを延長管5に配設しても良く、また吸込管1と延長管5の両方に配設しても良い。
【0035】
尚、本発明の実施形態は、ブラシアタッチメントを回動可能に構成させることで、ブラシアタッチメントを収納状態と使用状態とを選択可能としているが、ブラシアタッチメントを吸込管に沿ってスライドさせることで、ブラシアタッチメントを収納状態と使用状態とを選択可能とする構成でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電気掃除機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 吸込管
2 操作パネル
3 把手部
4 取っ手部
5 延長管
6 枢支部
7 ブラシアタッチメント
8 基部
9 ブラシ
10 長毛ブラシ
11 短毛ブラシ
12 下側ブラシアタッチメント
13 基部
14 長毛ブラシ
15 上側ブラシアタッチメント
16 基部
17 短毛ブラシ
A 操作ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が該掃除機本体に連通され、他端に吸込管が配設されるホースと、前記吸込管に着脱自在に接続される延長管と、該延長管に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、前記吸込管または前記延長管に配設され、収納状態と、吸込管または延長管の先端から突出した使用状態とに移動可能なブラシアタッチメントとを備え、
前記ブラシは、多層構造を取る長さ及び硬さの異なる少なくとも二種類以上のブラシで構成され、硬いブラシほど短く形成されることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が該掃除機本体に連通され、他端に吸込管が配設されるホースと、前記吸込管に着脱自在に接続される延長管と、該延長管に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、前記吸込管または前記延長管の左右両側に形成される枢支部と、該枢支部に回動自在に枢支されるブラシアタッチメントとを備え、
前記ブラシアタッチメントは、略U字状に形成される基部と、該基部の一面に植毛されるブラシとで構成されるとともに、前記枢支部を支点として回動することで、前記ブラシが前記吸込管の先端から突出する突出状態と、前記ブラシが前記吸込管に沿って収納される収納状態とのいずれかの状態を選択可能に構成され、
前記ブラシは、多層構造を取る長さ及び硬さの異なる少なくとも二種類以上のブラシで構成され、硬いブラシほど短く形成されることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
前記ブラシは、前記突出状態あるいは前記収納状態において、硬いブラシほど、内側となる位置に植毛されることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記ブラシアタッチメントが有するブラシは、柔らかい長毛ブラシと、硬い短毛ブラシとの二種類のブラシであることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項5】
内部に電動送風機を有する掃除機本体と、一端が該掃除機本体に連通し、他端に吸込管が配設されるホースと、前記吸込管に着脱自在に接続される延長管と、該延長管に揺動自在、かつ着脱自在に接続される床用吸込具と、前記吸込管または前記延長管の左右両側に形成される枢支部と、該枢支部が貫通するように該枢支部に回動自在に嵌着される下側ブラシアタッチメントと、前記枢支部に回動自在に枢支される上側ブラシアタッチメントを備え、
前記下側ブラシアタッチメント及び上側ブラシアタッチメントは、いずれも略U字状に形成される基部と、該基部の一面に植毛されるブラシとで構成されるとともに、
前記枢支部を支点として回動することで、前記ブラシが前記吸込管の先端から突出する突出状態と、前記ブラシが前記吸込管に沿って収納される収納状態とのいずれかの状態を選択可能に構成され、
前記下側ブラシアタッチメントが有するブラシと、前記上側ブラシアタッチメントが有するブラシとは、ブラシの長さ及び硬さが異なることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−156068(P2011−156068A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18985(P2010−18985)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】