説明

電気掃除機

【課題】電解水を、その除菌効果を低下させることなく、室内に効果的に行き渡らせることができる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】掃除機本体2において、排気口14の上方には、電解水ミストの噴出口33が設けられている。電解水ミスト生成ユニット30が生成した電解水ミストMが噴出口33から噴出される。ミストMは、比較的高温の排気が放出される排気口14から上方に離れた噴出口33から噴出されるので、ミストMが噴出口33から噴出された段階でミストMの除菌効果が排気の熱で低下することを抑制できる。排気口14は、排気を斜め上方ヘ放出する。そのため、噴出口33から一旦斜め上方ヘ噴出されたミストMが自重によって下降しようとしたときに、ミストMの除菌効果を低下させない程度に冷えた排気によって、ミストMが再び斜め上方へ放散されるので、ミストMを遠くへ飛ばすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
除菌効果を有する次亜塩素酸や活性酸素を含む電解水を生成する電解水生成装置が備えられた電気掃除機が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電気掃除機では、電解水生成装置で生成された電解水が汲み上げられて排気フィルタに噴射される。そのため、排気フィルタを通過して排気される空気を、排気フィルタに含まれる電解水に晒して除菌することができる。
【0003】
また、生体に好影響を与えるとされるマイナスイオンを発生させて掃除機本体外に放出する電気掃除機が知られている(特許文献2参照)。
特許文献2に記載の電気掃除機では、掃除機本体の上部に、後側へ臨むイオン排出口を有するイオン発生装置室が設けられていて、このイオン発生装置室にイオン発生装置が収納されている。そして、電動送風機から吐出された空気(排気)の一部が、イオン発生装置室に入り、イオン発生装置が発生したマイナスイオンとともにイオン排出口から機外に排出される。これによって、マイナスイオンが室内に拡散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−175043号公報
【特許文献2】特開2004−24414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、室内の空気についての関心が高く、室内の空気を強力に除菌できることが望まれている。また、電気掃除機には、高い付加価値が常に求められている。
そこで、特許文献1に記載の電解水を室内に拡散して空気清浄を行う機能を有する電気掃除機が考えられる。しかし、電解水は、ミスト状になったとしても比較的重いので、特許文献2に記載の電気掃除機の構成を用いても、電解水を遠くまで行き渡らせることは困難である。
【0006】
また、電解水を特許文献2に記載の電気掃除機に適用すると、電解水は、マイナスイオンの場合と同様に、電動送風機から吐出されて比較的高温の排気に乗って室内に拡散される。この場合、電解水の除菌効果が排気の熱によって低下する虞がある。
さらに、電解水という液体を扱う以上、電気掃除機から電解水がこぼれて床面を濡らす虞がある。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、電解水を、その除菌効果を低下させることなく、室内に効果的に行き渡らせることができる電気掃除機を提供することを主たる目的とする。
また、この発明は、電解水がこぼれて床面を濡らすことを防止できる電気掃除機を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、電動送風機が内蔵され、かつ、前記電動送風機が駆動されたときに生じる排気を放出するための排気口が設けられた掃除機本体と、前記排気口の上方に設けられた電解水ミストの噴出口と、前記掃除機本体に内蔵され、前記噴出口から電解水ミストを噴出させるために電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニットと、を備え、前記排気口は、前記噴出口から噴出される電解水ミストを斜め上方へ放散させるために、前記排気口からの排気を斜め上方ヘ放出する構成を有することを特徴とする、電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記排気口および前記噴出口は、前記掃除機本体の一側面に設けられ、前記電解水ミスト生成ユニットは、内部に水を溜めることができるタンクと、前記タンクの水を電気分解して電解水とするための電極と、多数の貫通孔が形成された板状であって、垂直方向に対して所定角度だけ傾斜しつつ、一方の側面が前記タンク内に臨んで他方の側面が前記噴出口を介して前記掃除機本体の一側面から露出された状態で前記タンクに取り付けられており、前記タンクの電解水から電解水ミストを発生させて前記貫通孔から斜め上方へ噴出させるための超音波振動子と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、電解水ミストの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度は、前記排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度未満であることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機である。
請求項4記載の発明は、垂直方向に対する前記超音波振動子の傾斜角度が、約15°であることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機である。
【0011】
請求項5記載の発明は、電解水ミストの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度は、前記排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度以上であることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機である。
請求項6記載の発明は、垂直方向に対する前記超音波振動子の傾斜角度が、約60°であることを特徴とする、請求項5記載の電気掃除機である。
【0012】
請求項7記載の発明は、収納状態の前記掃除機本体において、前記一側面が床面に上から対向し、前記掃除機本体に設けられ、前記掃除機本体が収納状態にある場合に前記超音波振動子の前記他方の側面からこぼれ落ちる水を受ける受け部と、前記受け部に設けられ、前記受け部が受けた水を吸収する吸水部材と、を含むことを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、電気掃除機の掃除機本体では、電動送風機が駆動されたときに生じる排気が、排気口から放出される。また、排気口の上方には、電解水ミストの噴出口が設けられている。ここで、掃除機本体には、電解水ミスト生成ユニットが内蔵されており、電解水ミスト生成ユニットが生成した電解水ミストは、噴出口から噴出される。
【0014】
電解水ミストは、比較的高温の排気が放出される排気口から上方に離れた噴出口から噴出されるので、電解水ミストが噴出口から噴出された段階で電解水ミストの除菌効果が排気の熱で低下することを抑制できる。
そして、排気口は、排気を斜め上方ヘ放出する。そのため、噴出口から一旦斜め上方ヘ噴出された電解水ミストが自重によって下降しようとしたときに、電解水ミストの除菌効果を低下させない程度に冷えた排気によって、電解水ミストが再び斜め上方へ放散される。これにより、電解水ミストを遠くへ飛ばすことができる。
【0015】
以上の結果、電解水を、その除菌効果を低下させることなく、室内に効果的に行き渡らせることができる。
請求項2記載の発明によれば、排気口および噴出口は、掃除機本体の一側面に設けられている。
電解水ミスト生成ユニットは、水を溜めるタンクと、タンクの水を電解水にするための電極と、タンクに取り付けられた超音波振動子とを含んでいる。
【0016】
超音波振動子は、多数の貫通孔が形成された板状であって、垂直方向に対して所定角度だけ傾斜している。超音波振動子では、一方の側面がタンク内に臨んで他方の側面が噴出口を介して掃除機本体の一側面から露出されている。
これにより、超音波振動子は、タンクの電解水から電解水ミストを発生させて貫通孔から斜め上方へ噴出させる。そのため、噴出口では、電解水ミストが斜め上方へ噴出されるので、電解水ミストをできるだけ遠くへ飛ばすことができる。
【0017】
また、電解水ミストは、噴出口で斜め上方へ噴出されることから、噴出口の下方の排気口で斜め上方へ放出される排気から遠ざけられるので、電解水ミストが噴出口から噴出された途端に電解水ミストの除菌効果が排気の熱で低下することを防止できる。
請求項3記載の発明によれば、電解水ミストの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度は、排気口からの排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度未満である。これにより、電解水ミストと排気とが必ず混合するので、電解水ミストを排気に乗せて確実に遠くへ飛ばし、広い空間に効率的に行き渡らせることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、垂直方向に対する超音波振動子の傾斜角度が、約15°である。これにより、タンクの電解水が超音波振動子の貫通孔を通過する際に外部の空気が貫通孔からタンク内に進入して気泡となっても、この気泡は、超音波振動子に付着して貫通孔を塞ぐことなく、速やかにタンクの上部空間へ移動する。これにより、超音波振動子の貫通孔における電解水ミストの噴出が気泡によって妨げられることを防止できる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、電解水ミストの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度は、排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度以上である。そのために、請求項6記載の発明のように、垂直方向に対する超音波振動子の傾斜角度が、約60°であるとよい。
この場合には、下降することなく引き続き斜め上方へ流れる電解水ミストを、排気から離すことができるので、この電解水ミストの除菌効果が排気によって低下することを防止できる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、収納状態の掃除機本体では、噴出口が設けられた一側面が床面に上から対向する。そのため、超音波振動子において噴出口を介して掃除機本体の一側面から露出される前記他方の側面も床面に上から対向するので、タンクの電解水が超音波振動子の貫通孔から他方の側面を伝って床面にこぼれ落ちることが想定される。
そこで、掃除機本体には、受け部が設けられている。受け部は、掃除機本体が収納状態にある場合に、超音波振動子の他方の側面からこぼれ落ちる電解水を受ける。さらに、受け部に設けられた吸水部材が、受け部が受けた水を吸収する。
【0021】
そのため、掃除機本体が収納状態にある場合に、電解水がこぼれて床面を濡らすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2の右側面図である。
【図2】掃除機本体2の右側断面図である。
【図3】掃除機本体2の背面図であって、ハンドル7を起立させてカバー32を取り外した状態を示している。
【図4】掃除機本体2の背面図である。
【図5】(a)は、電解水ミスト生成ユニット30の背面図であり、(b)は、(a)のA−A矢印視断面図であり、(c)は、(a)のB−B矢視断面図である。
【図6】収納状態にある掃除機本体2の右側断面図である。
【図7】図2に変形例を適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2の右側面図である。以下では、電気掃除機1およびその構成部品の説明に関し、特に断りがない限り、便宜上、図1における左側を前側、右側を後側、奥側を左側、手前側を右側として説明する。なお、左右方向と幅方向とは同じである。
【0024】
図1を参照して、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース3と、パイプ(図示せず)と、吸込具(図示せず)とを備えている。
掃除機本体2は、前後にやや長手で丸みを帯びたボックス形状である。図1では、掃除機本体2の外郭をなす中空体である筐体4と、筐体4の左右の両側面の後端部に取り付けられた車輪5と、筐体4の底面の前端部に取り付けられたキャスター6と、筐体4の天面に取り付けられたハンドル7とが示されている。
【0025】
車輪5およびキャスター6が床面X(被清掃面)上で回転することによって、掃除機本体2は、床面X上を円滑に移動することができる。車輪5およびキャスター6が床面Xに接触しているときの掃除機本体2の状態を通常状態という。
ハンドル7は、平面視において後側へ円弧状に膨出するU字形状であり、前端部を支点として回動することができる。ハンドル7は、筐体4の天面に沿う傾倒位置(図1参照)と、筐体4の天面に対して略直交するように起立する起立位置(後述する図3参照)との間で回動可能である。
【0026】
次に、掃除機本体2(筐体4)の内部構成について説明する。
図2は、掃除機本体2の右側断面図である。
図2を参照して、掃除機本体2は、筐体4内に、第1フィルタ8と、電動送風機9と、第2フィルタ10とを主に備えている。
ここで、筐体4では、前面11に、吸気口12が形成され、後面13(一側面)に、排気口14が形成され、筐体4内部に、吸気口12と排気口14とに連通する空気流路15が区画されている。上述した第1フィルタ8、電動送風機9および第2フィルタ10は、空気流路15内に配置されている。詳しくは、第1フィルタ8、電動送風機9および第2フィルタ10は、空気流路15における空気の流れ方向(太い黒色矢印参照)に見て、上流側から第1フィルタ8→電動送風機9→第2フィルタ10の順番で配置されている。
【0027】
掃除機本体2が通常状態にあるとき、筐体4の後面13は、略垂直方向に沿って延びている。排気口14は、後面13の上下方向略中央に複数(ここでは4つ)設けられている。これらの排気口14は、幅方向に細長いスリット状であり(後述する図3も参照)、所定の間隔を隔てて上下に並んでいる。
また、最下位の排気口14Aに関連して、後面13において排気口14Aが形成されている部分には、前側へ窪む凹部17が形成されている。凹部17は、幅方向から見て、前側へ向かって細くなる略三角形状であり、幅方向に細長い(図3も参照)。排気口14Aは、凹部17の前下側の部分をなしており、凹部17から後面13に露出されていて、後上側を臨んでいる。
【0028】
排気口14Aには、幅方向に細長い板状をなすシャッタ18が設けられている。シャッタ18は、その前端部で幅方向に延びる軸(図示せず)を中心に回動することで、開閉自在である。シャッタ18は、後下側へ延びるように閉じていて、排気口14Aを、筐体4の内側から塞いでいる(図示せず)。一方、シャッタ18は、閉じた状態から右側面視で反時計回りに所定量だけ回動すると、前上側へ延びるように開き、排気口14Aを開放する(図2参照)。清掃時以外では、シャッタ18は、閉じている。
【0029】
ホース3は、可撓性を有する蛇腹状のホースであり、その一端が吸気口12に接続されることで、ホース3の内部と空気流路15とが互いに連通している。
電気掃除機1では、ホース3の他端に、パイプ(図示せず)の一端が接続されていて、パイプの他端に吸込具(図示せず)が接続されている。吸込具(図示せず)は、幅方向に長手で上下に扁平なボックス状であり、その底面には、床面Xに上から対向する吸込口(図示せず)が形成されている。
【0030】
このような電気掃除機1において、床面Xの清掃時には、電動送風機9が、電力を受けて駆動されることによって、吸引力を発生する。この吸引力は、吸込具(図示せず)の吸込口(図示せず)に作用する。そのため、この吸引力によって、床面X上の塵埃は、吸込口(図示せず)から吸込具(図示せず)内に吸い込まれ、吸込具、パイプ(図示せず)、ホース3をこの順で通過した後、吸気口12から掃除機本体2の空気流路15まで吸い込まれる。また、吸込具(図示せず)の周りの空気は、床面X上の塵埃とともに、空気流路15まで吸い込まれる。
【0031】
空気流路15まで吸い込まれた空気および塵埃は、太い黒色矢印で示すように、まず、第1フィルタ8に受け入れられる。その際、塵埃が第1フィルタ8に捕獲され、これにより、空気と塵埃とが分離され、空気だけが、第1フィルタ8を通過して、引き続き空気流路15を流れる。第1フィルタ8を通過した空気は、電動送風機9によって、空気流路15において、上述した空気の流れ方向における電動送風機9の下流側へ吐き出される。
【0032】
電動送風機9の下流側へ吐き出された空気は、第2フィルタ10を通過する。第2フィルタ10は、いわゆるHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)またはULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)の部類に属する高い塵捕獲性能を有しており、第1フィルタ8よりも細かい塵埃を捕獲することができる。そのため、空気が第2フィルタ10を通過する際、この空気において第1フィルタ8によって捕獲しきれなかった微細な塵埃が、第2フィルタ10によって捕獲される。これにより、空気は、第2フィルタ10を通過することで、完全に清浄化される。
【0033】
第2フィルタ10を通過した空気は、引き続き空気流路15を流れ、筐体4の後面13側に向かう。
そして、最下位の排気口14Aより上側の排気口14に到った空気(排気)は、最下位の排気口14Aより上側の排気口14から、略水平方向に沿って後方へ向かって機外へ放出される(太い破線矢印参照)。
【0034】
一方、最下位の排気口14Aに向かった排気(太い白色矢印参照)は、シャッタ18へ到る。これにより、今まで閉じていたシャッタ18は、シャッタ18まで到達した空気(太い白色矢印参照)の風圧によって押し開けられ、後上側へ傾斜するまで回動する。これにより、排気口14Aが後上側へ開放され、シャッタ18まで到達した空気は、太い白色矢印で示すように、排気口14Aから、上方(詳しくは後上側)へ向けて機外へ放出される。
【0035】
このように最下位の排気口14Aから後上側へ向けて機外へ放出された空気(太い白色矢印参照)が、排気口14Aより上側の排気口14から機外へ略水平に放出された空気(太い破線矢印参照)に対して、下側から衝突する。これにより、排気口14Aより上側の排気口14から放出されて後方へ流出する空気は、流れる向きが上向きに修正されて、太い白色矢印で示すように、全体的に後上側へ流れるようになる。
【0036】
このように上方へ流れるように排気が排気口14から機外へ放出されることは、上方排気と呼ばれる。また、排気口14Aから後上側へ向けて機外へ放出された排気は、エアカーテンと呼ばれる。
空気流路15内から機外へ排出された空気が上方排気されることから、この空気が床面Xに浴びせられることで床面X上の塵埃が舞い上がることを防止できる。
【0037】
そして、床面Xの清掃を終えて電動送風機9の駆動が停止すると、電動送風機9が吸引力を発生しなくなることから、空気流路15において空気が流れなくなるので、シャッタ18を押し開ける空気がなくなり(風圧が弱くなり)、シャッタ18は、自重によって閉じ、再び排気口14Aを塞ぐ(図示せず)。これにより、排気口14Aから空気を噴き出す必要がないときには、外部のごみが排気口14Aから筐体4内に入り込むことを防止できる。
【0038】
ここで、この電気掃除機1では、床面Xを清掃する通常モードの他に、空気清浄モードでの運転が可能である。空気清浄モードによる運転は、床面Xの清掃後に行われる。空気清浄モードの際、たとえばホース3が掃除機本体2から外された状態で、電動送風機9が駆動される。これにより、室内の空気が、吸気口12から空気流路15に取り込まれ、この空気に含まれる塵埃が第1フィルタ8および第2フィルタ10によって完全に除去される。そして、第2フィルタ10を通過して完全に清浄化された空気が排気口14から室内に戻される。つまり、空気清浄モードによる運転によって、室内の空気清浄が可能となる。
【0039】
次に、この掃除機本体2に備えられて、後述する電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニット30について説明する。
図3は、掃除機本体2の背面図であって、ハンドル7を起立させてカバー32を取り外した状態を示している。
電解水ミスト生成ユニット30に関連して、図3に示すように、筐体4の後面13の幅方向中央部分において、最上位の排気口14より上側の部分には、前側(図3における奥側)へ窪む凹状をなす収容室31が形成されている。収容室31は、幅方向に長手の略直方体形状の空間である(図2も参照)。収容室31に、電解水ミスト生成ユニット30が収容される。
【0040】
図4は、掃除機本体2の背面図である。
図4に示すように、筐体4には、収容室31を覆うカバー32が着脱可能に取り付けられる。カバー32は、掃除機本体2の一部である。カバー32は、薄板をL字状に折り曲げることによって形成されており、筐体4に取り付けられた状態では、後側(図3における手前側)へ延びた後に折れ曲って下方へ延びている(図2も参照)。カバー32において下方へ延びている部分の後側面は、後面13とほぼ面一になっていて後面13の一部である。
【0041】
カバー32において下方へ延びている部分において、上下方向略中央かつ幅方向略中央には、この部分を前後に貫通する噴出口33が形成されている。噴出口33は、背面視において丸い。カバー32において噴出口33を区画する部分は、後側へ向かって太くなる略円錐面をなしており、ガイド面34とされる(図2も参照)。
カバー32が筐体4に取り付けられた状態では、噴出口33は、最上位の排気口14よりも所定距離だけ上方ヘ離れた位置にある。
【0042】
また、この状態では、収容室31は、噴出口33だけを介して外部に連通している。
さらに、この状態で、カバー32の真上には、傾倒位置のハンドル7の後端部が位置している。
そこで、ハンドル7を起立位置まで回動させてカバー32の上方からどけ、その後、カバー32を上方ヘスライドさせると、カバー32を筐体4から取り外すことができる(図3参照)。この状態では、収容室31は、後方および上方へ露出されている(図3参照)。
【0043】
なお、取り外しとは逆の手順を踏むことで、カバー32を筐体4に取り付けることができる。
図5において、(a)は、電解水ミスト生成ユニット30の背面図であり、(b)は、(a)のA−A矢印視断面図であり、(c)は、(a)のB−B矢視断面図である。
図5(a)に示すように、電解水ミスト生成ユニット(以下では、「生成ユニット」と省略していう。)30は、背面視で、上下が逆になった略L字形状である。
【0044】
生成ユニット30は、本体35と、キャップ36と、2本の電極37と、水位センサ38と、超音波振動子ユニット39と、接続端子40とを含んでいる(図5(b)も参照)。
本体35は、生成ユニット30の外郭をなす部分であり、背面視で、上下が逆になった略L字形状である。本体35は、上下に延びる電解水生成部41と、電解水生成部41の上下方向中央よりやや上寄りの部分から水平方向へ(図5(a)では背面視で右側へ)延びるタンク42とを一体的に備えている。電解水生成部41およびタンク42は、ともに中空体である。
【0045】
図5(b)を参照して、電解水生成部41内には、電解室43と配線室44という2つの空間が区画されている。電解室43は、略直方体形状であり、電解水生成部41の上側に位置している。配線室44は、電解水生成部41の下端から上方へ延び、電解室43を後側(図5(b)における左側)へ迂回しながらさらに上方へ延びて、上端部において前側へ折れ曲っている。配線室44の上端部は、電解室43に対して上から隣接している。
【0046】
電解水生成部41の下端面には、配線室44に対して下から連通する開口45が形成されている。
図5(c)を参照して、タンク42の断面は、前側(図5(c)では右側)へ膨出する略半円形状をなしている。これに応じて、タンク42の後側壁46は、略垂直方向に沿って平坦に延びている。詳しくは、後側壁46は、垂直方向に対して約15°傾斜して前上側へ平坦に延びている。
【0047】
後側壁46の下端部において、背面視で幅方向中央よりもやや右寄りの位置には(図5(a)参照)、後側壁46を前後に貫通する流出穴47が形成されている。
背面視におけるタンク42の右端面には、タンク42内に連通する給水口48が形成されている(図5(a)参照)。
このようなタンク42の内部と、電解水生成部41の電解室43(図5(b)参照)の内部とは連通している。タンク42および電解室43の内部に水が溜められる。なお、電解室43をタンク42の一部とみなしてもよい。
【0048】
図5(a)を参照して、キャップ36は、本体35のタンク42に対して着脱可能であり、タンク42に取り付けられた状態において給水口48を塞ぐ。
図5(b)を参照して、2本の電極37は、電解水生成部41の電解室43に収容されている。これらの電極37は、上下方向に細長く、前後(図5(b)では左右)に間隔を隔てて平行に延びている。各電極37の下端は、電解室43の底から離れている。
【0049】
水位センサ38は、上下方向に細長く、その下端は、電解室43の上下方向中央よりやや下寄りの位置にある。水位センサ38は、電解室43における水の水位を検知する。
図5(a)を参照して、超音波振動子ユニット39は、超音波振動子49と、超音波振動子49をタンク42に取り付けるための支持部材50とを含んでいる。
超音波振動子49は、前側面49A(一方の側面)および後側面49B(他方の側面)を有する金属製の薄い円板状の圧電体である(図5(c)も参照)。ここでの超音波振動子49の直径は、約14mmである。超音波振動子49には、貫通孔51が多数形成されている。各貫通孔51は、ここでは、10μm以下の直径を有する程度に微小である。なお、図5(a)では、説明の便宜上、貫通孔51を実際よりも大きく示している。
【0050】
図5(c)を参照して、支持部材50は、第1リング部材52と、第2リング部材53と、取付部材54とを含んでいる。
第1リング部材52および第2リング部材53は、ほぼ同じ大きさの環状である。第1リング部材52において中空部分を区画する部分は、後側へ向かって太くなる略円錐面をなしており、ガイド面56とされる。
【0051】
第1リング部材52と第2リング部材53とは、それぞれの中空部分が互いに一致するように、重ね合わされている。この状態で、第1リング部材52は、第2リング部材53に対して後側(図5(c)では左側)に位置している。超音波振動子49は、重なった状態にある第1リング部材52および第2リング部材53によって挟持されている。この状態で、超音波振動子49において、後側面49Bは、第1リング部材52の中空部分から後側に露出されていて、前側面49Aは、第2リング部材53の中空部分から前側に露出されている。
【0052】
取付部材54は、第1リング部材52および第2リング部材53よりやや大径の環状であり、重なった状態にある第1リング部材52および第2リング部材53に対して後側から外嵌されて固定されている。取付部材54には、周方向外側へ突出する突出部55が一体的に設けられている(図5(a)も参照)。突出部55が、ねじ(図示せず)などによって本体35のタンク42に取り付けられることで、超音波振動子ユニット39は、本体35(タンク42)に固定されている(図5(a)も参照)。
【0053】
超音波振動子ユニット39がタンク42に固定された状態において、第2リング部材53が、タンク42の後側壁46に対して後側から接触しており、後側壁46の流出穴47と第2リング部材53の中空部分とが連通している。このとき、超音波振動子49、第1リング部材52および第2リング部材53は、後側壁46に沿って前上側へ延びている。そのため、垂直方向に対する超音波振動子49(前側面49Aおよび後側面49B)の傾斜角度αは約15°となっている。
【0054】
また、この状態の超音波振動子49において、前側面49Aは、流出穴47と第2リング部材53の中空部分とを介して、タンク42の内部に臨んでいる一方で、後側面49Bは、第1リング部材52の中空部分を介して後上側の外部を臨んでいる。
図5(b)を参照して、接続端子40は、電解水生成部41の配線室44の下端部に収容されており、開口45から下方に露出されている。接続端子40は、リード線57を介して、2本の電極37、水位センサ38および超音波振動子49(図5(c)参照)に対して電気的に接続されている。
【0055】
以上のような生成ユニット30において、まず、キャップ36を外して、給水口48から本体35のタンク42内に水を注ぐ(図5(a)参照)。タンク42内の水は、電解水生成部41の電解室43にも達する。所定量の水を注いだ後にキャップ36で給水口48を塞ぐと、タンク42および電解室43のそれぞれの内部には、等しい水位Tまで水が溜まる(図5(c)も参照)。このとき、電解室43では、2本の電極37および水位センサ38のそれぞれの下側部分が、水に浸かっている。また、超音波振動子49の前側面49Aが、タンク42内の水に浸かっている(図5(c)参照)。
【0056】
ここで、生成ユニット30では、パッキン等を用いることでシール性が確保されている。そのため、電解室43の水が配線室44に漏れたり、タンク42の後側壁46と超音波振動子ユニット39との継ぎ目や超音波振動子ユニット39における各構成部材の継ぎ目から水が漏れたりすることはない(図5(c)も参照)。
次いで、図3に示すように、前述したように掃除機本体2の筐体4からカバー32(図4参照)を取り外した後に、筐体4に対して生成ユニット30を上から装着し、収容室31に上から収容する。生成ユニット30が筐体4に完全に装着されると、筐体4に設けられた本体端子(図示せず)に対して接続端子40(図5(b)参照)が接続される。
【0057】
そして、カバー32を筐体4に取り付けると(図4参照)、図2に示すように、生成ユニット30は、カバー32によって外から覆われ、掃除機本体2に内蔵された状態となる。この状態で、カバー32の噴出口33が、超音波振動子ユニット39の第1リング部材52の中空部分に対して後上側から対向している。これにより、超音波振動子49の後側面49Bが、噴出口33を介して筐体4(掃除機本体2)の後面13から後上側へ露出されている。このときも、前述した垂直方向に対する超音波振動子49の傾斜角度α(図5(c)参照)は、約15°である。
【0058】
この状態で、前述したように、床面Xの清掃を行う。その際、掃除機本体2に内蔵された本体電源(図示せず)から、前述した本体端子(図示せず)および接続端子40(図5(b)参照)を介して、生成ユニット30に電力が供給される。
ここで、図5(b)を参照して、生成ユニット30では、前述したように電解室43内の一対の電極37が水に浸っており、一対の電極37にリード線57を介して電圧が印加されることにより、電解室43内の水は電気分解されて、電解水となる。
【0059】
より具体的には、一対の電極37には、リード線57を介して、断続的に、互いに逆極性となるように交互に所定の電流が流れるよう電圧が印加され、これにより、電解室43内の水が電気分解される。水は、通常、水道水が用いられ、水道水には塩素が含まれているから、電気分解により下記のような電気化学反応が起こる。
(陽極側)
4H2 O−4e- →4H+ +O2 ↑+2H2
2Cl- →Cl2 +2e-
2 O+Cl2 ⇔HClO+H+ +Cl-
(陰極側)
4H2 O+4e- →2H2 ↑+4OH-
(電極間)
+ +OH- →H2
上記のような電気化学反応により、除菌効果や脱臭効果を有する次亜塩素酸(HClO)や活性酸素を含む電解水を生成することができる。この生成された電解水から、後述するようにミストを生成することにより、除菌効果や脱臭効果を有する電解水ミストを発生させることができる。
【0060】
そして、電解室43とタンク42(図5(c)参照)の内部とが連通していることから、電解室43およびタンク42のそれぞれの水が、互いに行き来し合う。そして、床面X(図2参照)の清掃が完了する頃には、電解室43およびタンク42の内部の水は、所定の濃度の電解水となる。超音波振動子49の前側面49Aは、タンク42内の電解水に浸かっている(図5(c)参照)。
【0061】
床面Xの清掃が完了した後に、掃除機本体2に設けられたスイッチ(図示せず)を押すと、電動送風機9(図2参照)が駆動されて前述した空気清浄モードとなるとともに、今度は、図5(c)に示す超音波振動子49に電圧パルスがかけられ、これによって超音波振動子49が振動する。これにより、タンク42内の電解水において超音波振動子49の貫通孔51(図5(a)参照)付近の電解水が超音波振動され、貫通孔51から、微小の水の粒子である電解水ミスト(以下では単に「ミスト」ということがある。)Mが発生し、第1リング部材52の中空部分を通って、後上側(斜め上方)へ噴出される。
【0062】
貫通孔51から噴出されたミストMは、図2に示すように、カバー32の噴出口33から噴出されて、後上側へ放散される。ここで、ミストMは、電動送風機9の熱を受けて比較的高温の排気が放出される排気口14から上方に離れた噴出口33から噴出されるので、ミストMが噴出口33から噴出された段階でミストMの除菌効果が排気の熱で低下することを抑制できる。また、生成ユニット30を排気口14と分離して配置することによって、排気の温度や排気の流れ(乱流)の影響を受けてミストMの除菌効果が低下することも抑制できる。
【0063】
なお、後上側とは別の方向へ噴出されようとしたミストMは、第1リング部材52のガイド面56および噴出口33におけるガイド面34によって、後上側(斜め上方)へ正しく噴出されるように、その噴出方向が矯正される。
後上側へ放散されたミストMは、上限まで上昇した後に、今度は自重によって放物線を描きながら後下側へ下降しようとする。その際、ミストMは、前述したように掃除機本体2の排気口14から上方排気された空気(太い白色矢印参照)によって下からすくい上げられるので、この空気に乗ることによって再び後上側へ放散され、室内のすみずみまで行き渡る。これにより、室内に漂うウィルスやアレル物質がミストMによって除去されることで室内空間が除菌されるとともに、室内がミストMによって消臭される。
【0064】
このように、排気口14が上方排気する構成(排気口14からの排気を斜め上方へ放出する構成)を有していることから、噴出口33から一旦斜め上方ヘ噴出されたミストMが自重によって下降しようとしたときに、ミストMの除菌効果を低下させない程度に冷えた排気によって、ミストMが再び斜め上方へ放散される。そのため、噴出口33から噴出されるミストMを、後上側へ放散させることで遠くへ飛ばし、室内の隅々に届くようにすることができる。
【0065】
また、元々、超音波振動子49は、タンク42の電解水からミストMを発生させて貫通孔51(図5(a)参照)から斜め上方へ噴出させるので、噴出口33では、ミストMが斜め上方へ噴出され、電解水ミストをできるだけ遠くへ飛ばすことができる。
また、ミストMは、噴出口33で斜め上方へ噴出されることから、噴出口33の下方の排気口14で斜め上方へ放出される排気から遠ざけられるので、ミストMが噴出口33から噴出された途端にミストMの除菌効果が排気の熱で低下することを防止できる。
【0066】
以上のように、掃除機本体2では、電解水を、その除菌効果を低下させることなく、室内に効果的に行き渡らせることができる。
ここで、ミストMの後上側(斜め上方)の噴出方向と水平方向とのなす角度をβとし、排気口14からの排気の斜め上方の放出方向(太い白色矢印参照)と水平方向とのなす角度をγとすると、前述したように、超音波振動子49の傾斜角度αが約15°の場合(図5(c)参照)、βは、γ未満(γより小さい)となる。
【0067】
角度βが角度γ未満であることにより、ミストMと排気とが必ず混合するので、ミストMを排気に乗せて確実に遠くへ飛ばし、広い空間に効率的に行き渡らせることができる。
また、図5(c)を参照して、垂直方向に対する超音波振動子49の傾斜角度αが、約15°である。これにより、タンク42の電解水が超音波振動子49の貫通孔51(図5(a)参照)を通過する際に外部の空気が貫通孔51からタンク42内に進入して気泡となっても、この気泡は、超音波振動子49の前側面49Aに付着して貫通孔51を塞ぐことなく、速やかにタンク42の上部空間Yへ移動する。これにより、超音波振動子49の貫通孔51におけるミストMの噴出が気泡によって妨げられることを防止できる。
【0068】
なお、図2を参照して、掃除機本体2を床面X上で移動させている際においても、超音波振動子49は、ミストMを発生できる。
また、排気口14からの排気は、高い塵捕獲性能を有する第2フィルタ10を通過しているので、非常にきれいである。そのため、この排気にミストMが接触しても、排気中の塵埃とミストMとが反応することでミストMの除菌性能が低下するといった不具合はない。
【0069】
図4を参照して、筐体4の後面13において、背面視におけるカバー32の左側の位置には、縦長の表示ランプ60が設けられている。ミストMが放出されているときには、表示ランプ60が点灯することによって、ミストMが放出されていることをユーザに報知してもよい。
ここで、ミストMの放出に伴って、生成ユニット30における電解水が減少する。これにより、タンク42および電解室43の水位T(図5(b)および図5(c)参照)が所定水位まで低下すると、水位センサ38(図5(b)参照)が、それを検知する。そして、水位センサ38の検知結果に応じて表示ランプ60が点滅等することによって、生成ユニット30への水の補給を促す旨をユーザに報知してもよい。
【0070】
なお、図3に示すようにカバー32を筐体4から取り外して生成ユニット30を引き上げると、生成ユニット30を筐体4から離脱させ、給水口48(図5(a)参照)からタンク42(図5(c)参照)に水を補給できる。ここで、生成ユニット30が筐体4において後面13の上端部に位置しているので、生成ユニット30の着脱は容易である。
そして、床面Xの清掃や空気清浄を終えた後に電気掃除機1を収納する際、掃除機本体2は、前述した通常状態から、図6に示す収納状態に姿勢を変えることができる。収納状態にある掃除機本体2では、筐体4の後面13が床面Xに対して上から対向する。これにより、電気掃除機1をコンパクトに収納することができる。
【0071】
この状態では、超音波振動子49において噴出口33を介して掃除機本体2の後面13から露出される後側面49Bが、水平方向に対して傾斜しつつ床面Xに上から対向している。そのため、タンク42の電解水が超音波振動子49の貫通孔51(図5(a)参照)から後側面(図6では下側面)49Bを伝って(後側面49Bの傾斜に沿って)床面Xにこぼれ落ちることが想定される。
【0072】
そこで、カバー32の内面において、超音波振動子49の後側面49Bの水がこぼれる先には、凹状の受け部61が設けられている。また、受け部61には、スポンジ等で形成された給水部材62が配置されている。そのため、超音波振動子49の後側面49Bからこぼれ落ちた水は、受け部61に受け止められて給水部材62によって吸収されるので、掃除機本体2が収納状態にある場合に、電解水が掃除機本体2の外までこぼれて床面Xを濡らすことを防止できる。ここで、超音波振動子49の後側面49Bは、後側面49Bの水を受け部61へ導いている。
【0073】
また、筐体4の後面13において、カバー32を左右から取り囲む位置には、後側へ突出する縦長のガード63が一体的に設けられている(図4参照)。そのため、掃除機本体2を収納状態にして後面13が床面Xに対向しているときには、左右のガード63が床面Xに接触してカバー32を床面Xから遠ざけるので、カバー32(さらには、カバー32に覆われた生成ユニット30)の破損を防止できる。
【0074】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
図7は、図2に変形例を適用した図である。
たとえば、図7に示すように、前述した角度(ミストMの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度)βが角度(排気口14からの排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度)γ以上となる構成も考えられる。この場合、垂直方向に対する超音波振動子49(前側面49Aおよび後側面49B)の傾斜角度(前述したαに相当する角度であり、図5(c)参照)が約60°となっている。また、カバー32において噴出口33は、カバー32の折れ曲った部分(後上側の角)に形成されている。
【0075】
この場合には、下降することなく引き続き斜め上方へ流れるミストMを、排気(太い白色矢印参照)から離すことができるので、このミストMの除菌効果が排気によって低下することを防止できる。
また、前述した実施形態では、空気清浄モード中にミストMを室内に放散したが、床面Xの清掃中(前述した通常モード中)にミストMを室内に放散してもよい。
【0076】
また、前述した実施形態では、超音波振動子49をタンク42内の電解水に浸す構成としているが、別の構成を用いることができる。
当該別の構成として、タンク42において電解水の水面から上方ヘ離れた位置に超音波振動子49を配置し、超音波振動子49が電解水に直接触れないようにする。その一方で、タンク42内に、超音波振動子49から下方の電解水の水面へ延びる中空のパイプを設ける。パイプの下端部は、タンク42内の電解水に浸かっている。そして、排気の一部がタンク42内の電解水の水面に向かって上から流れ込むようにする。
【0077】
この場合、電気掃除機1の運転中において、排気の一部がタンク42内に流れ込んでタンク42内の圧力を上昇させつつ電解水の水面を押し下げ、それに応じて、タンク42内の電解水がパイプの内部を上昇して超音波振動子49に至る。そして、超音波振動子49に至った電解水が超音波振動子49によって超音波振動されてミストとなり、室内に放散される。
【符号の説明】
【0078】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
9 電動送風機
13 後面
14 排気口
30 電解水ミスト生成ユニット
33 噴出口
37 電極
42 タンク
49 超音波振動子
49A 前側面
49B 後側面
51 貫通孔
61 受け部
62 吸水部材
X 床面
α 角度
β 角度
γ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機が内蔵され、かつ、前記電動送風機が駆動されたときに生じる排気を放出するための排気口が設けられた掃除機本体と、
前記排気口の上方に設けられた電解水ミストの噴出口と、
前記掃除機本体に内蔵され、前記噴出口から電解水ミストを噴出させるために電解水ミストを生成する電解水ミスト生成ユニットと、
を備え、
前記排気口は、前記噴出口から噴出される電解水ミストを斜め上方へ放散させるために、前記排気口からの排気を斜め上方ヘ放出する構成を有することを特徴とする、電気掃除機。
【請求項2】
前記排気口および前記噴出口は、前記掃除機本体の一側面に設けられ、
前記電解水ミスト生成ユニットは、
内部に水を溜めることができるタンクと、
前記タンクの水を電気分解して電解水とするための電極と、
多数の貫通孔が形成された板状であって、垂直方向に対して所定角度だけ傾斜しつつ、一方の側面が前記タンク内に臨んで他方の側面が前記噴出口を介して前記掃除機本体の一側面から露出された状態で前記タンクに取り付けられており、前記タンクの電解水から電解水ミストを発生させて前記貫通孔から斜め上方へ噴出させるための超音波振動子と、
を含むことを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
電解水ミストの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度は、前記排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度未満であることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
垂直方向に対する前記超音波振動子の傾斜角度が、約15°であることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機。
【請求項5】
電解水ミストの斜め上方の噴出方向と水平方向とのなす角度は、前記排気の斜め上方の放出方向と水平方向とのなす角度以上であることを特徴とする、請求項2記載の電気掃除機。
【請求項6】
垂直方向に対する前記超音波振動子の傾斜角度が、約60°であることを特徴とする、請求項5記載の電気掃除機。
【請求項7】
収納状態の前記掃除機本体において、前記一側面が床面に上から対向し、
前記掃除機本体に設けられ、前記掃除機本体が収納状態にある場合に前記超音波振動子の前記他方の側面からこぼれ落ちる水を受ける受け部と、
前記受け部に設けられ、前記受け部が受けた水を吸収する吸水部材と、
を含むことを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−172740(P2011−172740A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39176(P2010−39176)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】