説明

電気掃除機

【課題】従来の電気掃除機は、利用者の好みに応じて音声報知内容を変更,停止する手段については一切考慮されていなかった。このため、報知を必要としない使用者にとっては、その報知が煩わしいといった欠点があった。
【解決手段】電気掃除機に関する機器の動作、あるいは異常状態を報知する報知手段とを備えた電気掃除機において、電動送風機が停止中に前記スイッチ部が操作された状態でも前記電動送風機の運転が開始されないスイッチを設け、このスイッチを操作することにより、報知手段の報知内容を切り替えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気掃除機に係わり、特に報知内容を自由に切り替えることによって利用者の利便性向上を図った電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、掃除機の動作を利用者に報知するための手段として発光ダイオード(LED)による点滅・点灯表示が多く用いられている。これは、掃除機の本体に取り付けるなどすることで、簡便な構成で掃除機の目詰まりなどの状態を表現できる。
【0003】
しかし、この方式は利用者がLEDの方向を向いてその点滅・点灯状況を確認する必要があるため、ただちに報知内容を確認できるものではない。例えば目詰まりによる保護動作時においてLEDを点滅させる仕様にしていたとしても、利用者がLEDを見て確認しなければ正常な動作(保護動作に入った)であることがわからないことがあった。
【0004】
そこで視覚以外の報知方法として音声による報知方法が挙げられる。音声による報知方法としては、例えば特許文献1(特開平4−105630号公報)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−105630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1においては、利用者の好みに応じて音声報知内容を変更,停止する手段については一切考慮されていなかった。このため、報知を必要としない使用者にとっては、その報知が煩わしいといった欠点があった。
【0007】
本発明の目的は上記課題を解決し、利用者の好みに合わせて報知内容を簡便に変更できるインタフェースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、電動送風機及び集塵室を有する掃除機本体と、該掃除機本体に接続されるホースと、前記ホースに接続され、前記電動送風機の運転を切り替えるためのスイッチ部を有するホース手元操作部と、該ホース手元操作部に接続された延長管と、該延長管に接続された吸口体と、電気掃除機に関する機器の動作、あるいは異常状態を報知する報知手段とを備えた電気掃除機において、前記電動送風機が停止中に前記スイッチ部が操作された状態でも前記電動送風機の運転が開始されないスイッチが設けられ、該スイッチを操作することにより、前記報知手段の報知内容を切り替えるようにしたことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、掃除機の報知内容を利用者の好みに合わせて設定することが可能となり、使い勝手の良い掃除機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る音声報知内容切り替えまでの流れを示すフローチャート。
【図2】本発明に係る電気掃除機の全体斜視図。
【図3】本発明に係る手元スイッチ部30を示す図。
【図4】本発明に係る掃除機の動作遷移図。
【図5】本発明に係る制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面にて説明する。
【実施例1】
【0012】
図2は本発明に係る電気掃除機の全体斜視図である。図2において、1は掃除機本体であり、電動送風機7,制御回路6,コードリール(図示ぜず)等を収容している。集塵室には着脱自在な紙パックフィルターが装着されている。2は一端が掃除機本体1に接続され集塵室と連通して紙パックフィルター内に塵埃を搬送するホースである。3は一端がホース2の他端に接続された手元操作部であり、この手元操作部には電動送風機7,吸口体5の電動機の運転・停止を行うスイッチ部が設けられている。4は一端が手元操作部の他端に接続された延長管である。5は延長管4の他端に接続された吸口体であり、この吸口体5には床面の塵埃と掻きこむ回転清掃体と、この回転清掃体を駆動する電動機10(後述する)が内蔵されている。本実施例の吸口体5は電動機10で回転清掃体を駆動するパワーブラシとしている。
【0013】
7は掃除機本体1に収容され吸引力を発生する電動送風機である。8は報知手段であり、電気掃除機に関する機器の動作、あるいは異常状態を報知する。本実施例では、紙パックフィルターに付着した塵埃を除去する除塵装置11(図5)の動作開始時期を報知するものとする。9は設定記憶部であり、例えば報知手段8の報知する内容,報知の入切等の設定状態を記憶する。
【0014】
本実施例では報知手段8として音声報知手段を用い、具体的には他励式のブザーを用いているが、FM音源やPCMなどを使った方式を使用して実現することも可能である。また、出力周波数は人間の可聴域を考慮し、880〜2200Hzの間としている。
【0015】
図3は本発明に係る手元操作部3の手元スイッチ部30詳細を示したものであり、それぞれパワーブラシスイッチ31,強/弱運転スイッチ32,標準/気配りスイッチ33,切スイッチ34の4種類のスイッチ操作部がある。これらのスイッチを押下することで、利用者は用途に合わせた電動送風機7の入力を選ぶことができる。
【0016】
図4はスイッチが押下されたときの動作モードの遷移を示す図であり、図5は本発明に係る制御ブロック図である。図5において、11は商用電源を受け、制御回路6等に電力を供給する電源回路であり、70は電動送風機7を駆動する電動機駆動回路であり、10は吸口体5に内蔵された吸口体電動機である。
【0017】
例えば電動送風機7が停止41している状態で手元スイッチ部30の強/弱スイッチ32を1回押下した場合は、その押下信号が制御回路6に伝えられ、制御回路6は強運転42となるように電動送風機7を制御する。この状態で再び強/弱スイッチ32を1回押下すると、その押下信号が制御回路6に伝えられ、制御回路6は強運転42から弱運転43に切り替え電動送風機7を弱運転43で制御する。このように、強/弱スイッチ32を押下するたびに、強運転42,弱運転33が交互に切り替わる。
【0018】
また同様に、標準/気配りスイッチ33も、押下する毎に標準運転44,気配り運転45と切り替わる。なおこの実施例において、各運転モードと電動送風機への入力の関係は、強>標準>弱>気配りとなっている。
【0019】
一方、電動送風機へ電力を給電しているときにパワーブラシスイッチ31を押下することで、吸口体5に内蔵されている吸口体電動機10を動作,停止させることができる。また切スイッチ34は、電動送風機7と吸口体電動機10の動作を停止し、停止状態41にする。
【0020】
本実施例では、電動送風機7の運転開始前,運転停止後に除塵装置11を動作させて紙パックフィルターの除塵動作を行い、紙パックフィルターの目詰まりを防止し、吸引力を持続させるようにしている。そして、この除塵動作が行われる前に報知手段8を用いて、使用者に除塵装置11の除塵動作を知らせる。報知方法としては、ブザーやメロディを用いる。しかしながら、使用者によっては報知が不要であったり、あるいは報知されるブザー音やメロディ音を変更したいといった要望がある。その変更方法について、以下説明する。
【0021】
電動送風機7が停止しているときは、パワーブラシスイッチ31や切スイッチ34を押下しても電動送風機7や吸口体電動機10が動作することは無い。つまり、掃除機動作とは直接関係ないため、特別なスイッチを設けなくても音声報知内容切り替えなどの設定操作をこれらのスイッチに割り当てることができる。
【0022】
しかし、通常と同じ押下の検出では、利用者が望まないのに設定操作を受け付けてしまい、使い勝手が悪くなる。そこで利用者が意図的に長くスイッチを押下することで、設定操作を受け付けるようにする。
【0023】
図1に設定操作を受け付けるまでの流れを示す。制御回路6のマイクロコンピュータは、電動送風機7が停止中であることを判断し(101)、もし停止しているならばパワーブラシスイッチ31が一定時間、押下されているかを判定する(102)。なおここでは5秒連続して押下されたことを条件としている。もし一定時間押下されたと判定された場合、報知内容の切り替え(103)を行い、その後報知(104)を行う。そして、設定記憶部9に記憶されている設定内容を書き換え、報知情報の記録(105)を実行する。
【0024】
本実施例における報知内容は、約6秒のメロディの鳴音、あるいは鳴音無しの2種類としている。このように報知をさせないような設定操作を実施してもよい。
【0025】
また、メロディ鳴音状態から鳴音無しに切り替えた際の音声報知と、鳴音無しからメロディ鳴音状態へ切り替えた際の音声報知を別個のものにしてもよい。
【0026】
例えば、メロディ鳴音状態から鳴音無しに切り替えた際は単音を短く鳴らし、鳴音無しからメロディ鳴音状態へ切り替えたときはメロディを鳴らすことで、より明確に報知内容を切り替えたことを利用者に伝えることが可能である。
【0027】
さらに、メロディ鳴音状態の切り替えを特定の操作時のみに適用することも可能である。たとえば利用者が操作をするときのメロディ状態の切り替えのみを実施し、一方で目詰まり動作時に鳴音するメロディは、メロディ切り替えの情報とは無関係に同じものとすることも可能である。
【0028】
なお本実施例では、設定記憶部9として、掃除機を制御するマイクロコンピュータ(図示せず)の記録領域の一部を用いて設定情報を記録する。なお、設定記憶手段として、本実施例のほかにEEPROMのような不揮発性メモリを利用することも可能である。このような構成とすることで、一旦掃除機の電源を切られたとしても、再び利用者が掃除機を使用する際に以前の設定が記録されているため、わざわざ再設定をする必要が無く、使い勝手の良い掃除機を実現できる。
【0029】
本実施例では、パワーブラシスイッチ31で設定状態を切り替えるようにしたが、例えば電動送風機の切スイッチ34を用いるようにしても良い。
【0030】
本実施例によれば、設定情報の切り替えにあたり、特別なスイッチを用いず、既存のスイッチを兼用して(パワーブラシスイッチ31,切スイッチ34)用いるようにしているので、特別なスイッチを不意に押してしまうような誤操作を防止できると共に、スイッチが多くなることによるスイッチ操作の煩雑さを低減し、使い勝手の良い電気掃除機を提供することが出来る。
【符号の説明】
【0031】
1 掃除機本体
2 ホース
3 手元操作部
4 延長管
5 吸口
6 制御回路
7 電動送風機
8 報知手段
9 設定記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機及び集塵室を有する掃除機本体と、該掃除機本体に接続されるホースと、前記ホースに接続され、前記電動送風機の運転を切り替えるためのスイッチ部を有するホース手元操作部と、該ホース手元操作部に接続された延長管と、該延長管に接続された吸口体と、電気掃除機に関する機器の動作、あるいは異常状態を報知する報知手段とを備えた電気掃除機において、
前記電動送風機が停止中に前記スイッチ部が操作された状態でも前記電動送風機の運転が開始されないスイッチが設けられ、該スイッチを操作することにより、前記報知手段の報知内容を切り替えるようにしたことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
前記スイッチは、電動送風機の運転を停止させる切スイッチであることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機及び集塵室を有する掃除機本体と、該掃除機本体に接続されるホースと、前記ホースに接続され、前記電動送風機の運転を切り替えるためのスイッチ部を有するホース手元操作部と、該ホース手元操作部に接続された延長管と、該延長管に接続された吸口体と、該吸口体内に配置された回転清掃体を駆動する電動機と、電気掃除機に関する機器の動作、あるいは異常状態を報知する報知手段とを備えた電気掃除機において、
前記スイッチ部には、前記吸口体の電動機の運転状態を入り切りするパワーブラシスイッチが設けられ、該パワーブラシスイッチを操作することにより、前記報知手段の報知内容を切り替えるようにしたことを特徴とした電気掃除機。
【請求項4】
請求項3において、
前記パワーブラシスイッチは、前記電動送風機が停止した状態で操作された時に、報知内容を切り替えるようにしたことを特徴とした電気掃除機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記報知手段はブザー音とし、該ブザー音の周波数を880〜2200Hzにしたことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−78835(P2011−78835A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11503(P2011−11503)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【分割の表示】特願2006−277099(P2006−277099)の分割
【原出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】